[過去ログ] 魔法少女まどか☆マギカ〜After Ten Years of History〜【あれから10年】 (942レス)
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1 川´_ゝ`){注意事項 ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/11/23(金) 01:20:12.03 ID:dp81wpXM0(1/5)
このスレは魔法少女まどか☆マギカの二次創作SSです。
【ほむら】「あれから10年か・・・」の続きになります。
前スレ→vip2chスレ:news4ssnip
このSSは以下の要素を含みます↓
・タツほむ(偶にゆまタツ)
・オリキャラ
・キャラ成長(誰おま状態)
・独自解釈、独自設定
・一部のキャラが死亡済み
・他作品or野球(主に横浜)ネタ
>>1の気分次第で、BGMや自作の駄イラストとかも投稿したりします。
これらの内容がNGだという方はそっ閉じ推奨。
あなたの戦場は此処じゃない(ファサァ
参考作品:
魔法少女まどか☆マギカ(アニメ版、漫画版、小説版)
魔法少女まどか☆マギカポータブル
魔法少女まどか☆マギカオンライン
魔法少女まどか☆マギカThe different story
魔法少女おりこ☆マギカ
魔法少女かずみ☆マギカ
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1353601211
2 川´_ゝ`){前説 ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/11/23(金) 01:24:35.60 ID:dp81wpXM0(2/5)
誰かが言った―――『希望』と『絶望』は互いにバランスを取り合い、差し引きゼロであると
『希望』を求めるだけ『絶望』は生まれる―――どちらかが勝る事などありはしない
かつて―――願った『希望』の代償として生まれる『絶望』に苦しみ続ける少女達がいた
しかし―――1人の少女の『希望』の力によって―――それらは打ち消される
世界は創り変えられた―――少女自らが彼女達の『希望』となることで
彼女達が自分の願った奇跡によって『絶望』しないように―――『希望』を『絶望』で終わらせないように
この世界では―――少女達が『絶望』に飲み込まれることはない
それでも―――世界には『絶望』が生まれ続ける
誰かが『希望』を抱く分だけ―――同じくらい何処かで『絶望』が生まれる
光を照らせば―――そこに影が生まれるように――――――
『希望』と『絶望』―――どちらかが勝ることなどない
どちらかが打ち消されることなど―――ありはしない
魔法少女まどか☆マギカ〜After Ten Years of History〜
それは、『希望』を未来へと繋ぐ物語――――
3 川´_ゝ`){主要人物 ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/11/23(金) 01:27:08.99 ID:dp81wpXM0(3/5)
鹿目 タツヤ
この物語の主人公。見滝原中学1年生、13歳。身長163cm。
知らないはずの「まどか」という名前がずっと気になっている。
初期属性魔術:なし 追加習得魔術:なし
初期魔術:0 追加魔術:0 攻撃力:0 防御力:0 スピード:0 持久力:0
暁美 ほむら
この物語のもう1人の主人公。24歳。身長156cm。
容姿が中学生の頃と変わっておらず、年よりも幼く見られがち。
初期属性魔術:侵食 追加習得魔術:???
初期魔術:4 追加魔術:? 攻撃力:3 防御力:4 スピード:4 持久力:3
千歳 ゆま
ほむらと同じ魔法少女。白女高等部2年生、17歳。身長164cm。
髪型をポニーテールに変えた。杏子の髪留めを常に持ち歩いている
初期属性魔術:治癒 追加習得魔術:幻惑(弱)
初期魔術:4 追加魔術:3 攻撃力:5 防御力:2 スピード:2 持久力:4
美国 織莉子
(元)魔法少女。25歳。身長167cm。
現在は詢子の会社で社長専属秘書を務めている。
セミロングの長さまで髪を切り、仕事中は邪魔にならないようにヘアゴムで縛っている。
初期属性魔術:予知 追加習得魔術:???
初期魔術:5 追加魔術:? 攻撃力:? 防御力:? スピード:? 持久力:?
キュゥべえ(別名:インキュベーター)
魔法少女の傍に居る白い生き物、もとい珍獣。
全ての問題においての黒幕だった以前と比べ、魔法少女との関係は良好の様子。
自分の事が見えているタツヤのことを不思議に思っている
まどか
NO DATA
4 川´_ゝ`){此処までのあらすじ ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/11/23(金) 01:29:50.25 ID:dp81wpXM0(4/5)
第0話「あれから10年・・・」
見滝原中学の入学式当日、鹿目タツヤは誰かに叩き起されるような夢を見る…それは、知らない筈の懐かしい声。
タツヤは気になっていた・・・『まどか』という、子供の頃から・・・頭から離れない名前を。
放課後、タツヤは偶然訪れた河川敷で『まどか』の落書きをしていると、黒髪を赤リボンで装飾した女性と出会う。彼女は『まどか』の事を知っているかのようだった。
そして夜、お使いのため外に出るとタツヤは不気味な霧に飲み込まれ、謎の化物の襲撃を受ける。
大怪我を負い意識が朦朧とする中、タツヤが見たものは・・・不思議な衣装を身に纏い、自分を助けるようにして化物に立ち向かう河川敷で会った女性の姿だった
第1話「わたしの、最高の友達」
謎の化物による襲撃で、瀕死状態になったタツヤだが不思議な夢から目が覚めると、その時受けた筈の傷が全て消えていた。
そんな中、タツヤはまどかの事を知っている素振りを見せ、自分を助けてくれた河川敷の女性を探すが、見つけることができず途方にくれる。
しかし、タツヤは謎の喋る白い生き物「インキュベーター(キュウべえ)」と出会い、河川敷で出会った女性「暁美ほむら」と再会することになる。
彼女はまどかのことを「彼女は私の最高の友達」と答えるだけだった。
第2話「それぞれが歩んだ、それぞれの道」
タツヤは帰り道で出会った『魔法少女』千歳ゆまによって、魔法少女のことやソウルジェムのことを聞かされ魔獣退治に付き合わされる事に。
魔獣との戦いの際、襲われそうになったタツヤは自分でも気付かないうちに不思議な力を発動させる。
途中から合流した暁美ほむらは、それがかつての『まどか』の魔法であったことに困惑するも、キュゥべえによる追求からタツヤを逃がした。
一方、元魔法少女で現在はタツヤの母・詢子の下で働く美国織莉子は、キュゥべえによって今見滝原周辺で起きている奇妙な現象について知らされるのであった。
第3話「奇跡と魔法と、その代償」
キュゥべえによって魔法少女システムの概要を聞かされたタツヤは、ゆまの過去を知り彼女への認識を改めることに。
一方、ほむらは仕事場のレパ マチュカで立花夫婦に言われた事がきっかけで、仲間がいない寂しさを再認識する。
休日にタツヤに会うとほむらは昔のことを思い出し彼にある事を忠告しつつも、不思議な力を持つタツヤが平和に暮らせるよう『まどか』に願った。
その日の夜、上条家の中学入学お祝いパーティーにお呼ばれしたタツヤは恭介の幼馴染・美樹さやかの存在を知る。
その後、恭介からお祝いの演奏をプレゼントされるが、不思議な感覚に囚われた後、突然頭痛に襲われてしまい演奏は中止になってしまう。
翌日、タツヤは和子に昔ほむらが関わったとされる見滝原での行方不明事件のことを聞かされるのだった。そして、その頃ほむらはというと・・・。
5 川´_ゝ`){痛いなコレ ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/11/23(金) 01:33:59.30 ID:dp81wpXM0(5/5)
とりあえずスレ立てだけ、色々書きましたが、生暖かい目で見てやってください。
4話開始に目途が立ったら、また連絡しにきます。
それでは今日はこの辺で。ノシ
6 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/11/23(金) 02:09:51.84 ID:pCdGv3q6o(1)
乙
7 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/23(金) 03:23:10.51 ID:J7VGga3IO携(1)
乙
四話待ってます
8 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) 2012/11/25(日) 19:57:26.48 ID:INoRg4Vno(1)
スレ立て乙乙!
9 川´_ゝ`){協力プレイでSS剣出た ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/11/26(月) 01:10:15.41 ID:wg+VxxnM0(1)
夜遅くにこんばんわ>>1です。コメ有難う御座います。
次回の更新ですが、11月27日0時以降をよていしております。
今回は冒頭部分なので若干短いですが、宜しくお願いします。
それでは、お休みなさい。ノシ
10 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) 2012/11/26(月) 04:16:39.70 ID:p/y/v0poo(1)
乙乙!
11 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) 2012/11/26(月) 22:18:15.88 ID:sQ2Tt+nAO携(1)
投稿乙です
いつも楽しく読ませていただいてます
どんな結末になるのかとても楽しみです
12 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) 2012/11/27(火) 00:33:18.91 ID:9Zr8jn9uo(1)
予定通りだとすればそろそろ...
ガンバッテ!
13 川´_ゝ`){安定の遅刻 ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/11/27(火) 00:47:17.60 ID:Q2R/80SJ0(1/8)
夜遅くにこんばんわ>>1です。コメ&閲覧有難う御座いました。
AP消費してたから遅刻したんや...。マミさんにミッションで貰ったレ・オーロを装備させてたら(ry
すいません。続きを投稿します。
14 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/11/27(火) 00:51:08.64 ID:Q2R/80SJ0(2/8)
――――――――――――――――――――
夕方、見滝原中学――――
【大輔】
「あ〜・・・つっかれたー!!!」
【タツヤ】
「...ああ」
補習が終わった俺と大輔は、校門を出て家に向かって歩いていた。
学校にはまだ生徒達が残っているが、もうすぐ下校時間のためかそこまで人数は多く無い。
殆どの生徒が、それぞれの家の方向へと通学路を歩いている。
【大輔】
「もう日も沈みかけだぜ、部活にも出られなかったしよー」
【タツヤ】
「...そうだな」
部活動が終わる時間もとうに過ぎている。もっとも、今日は補習があるからと休みを貰っていたが。
【大輔】
「なんだよノリわりぃな〜、どうした?」
【タツヤ】
「ちょっと、な...」
大輔の話に、ただただ相槌だけ打つ。
正直、コイツの言っていることを、まともに聞いてなどいなかった。
補習の後に和子さんから聞いた話が頭に引っかかり続けていたから...。
15 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/11/27(火) 00:56:01.78 ID:Q2R/80SJ0(3/8)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
【和子】
「その子達が行方不明になった事件全てに関わっていたのが、暁美さんなのよ」
【タツヤ】
「...え?」
【タツヤ】
「な・・・なんでそれに暁美さんが...?」
【和子】
「その事件って、暁美さんが私の生徒だった頃から高校に進学するまでの数年間で起きたものだったんだけど」
【和子】
「その子達が行方不明になる直前まで一緒にいたっていうのが...」
【和子】
「暁美さんだったそうよ」
【和子】
「暁美さん、その子達と親しかったみたいだから」
【タツヤ】
「で、でも…それくらいじゃ、あの人がその事件に関わったなんて...」
【和子】
「私もそう思いたかったわ。警察も最初はそうだったみたいだし」
【和子】
「でも…行方不明になった子全員が、居なくなる直前に暁美さんに会っているとなると…流石にね」
【和子】
「他に手掛かりもないし…警察も動かざるをえなかったのよ」
【タツヤ】
「そんな...」
【和子】
「でも結局、警察が暁美さんから話を聞いても、何の進展も無かったんだけどね」
【タツヤ】
「・・・」
【和子】
「その事件があった後、暁美さんは高校を中退したって聞いていたから…どうしているのかなって、心配してたんだけど...」
【和子】
「タツヤ君から暁美さんが元気だったって聞けて、ちょっとホッとしたわ」
【タツヤ】
「...そう、ですか」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
暁美さん…高校、中退してたんだな...。いや、今はそんな事より...。
行方不明事件…女の子達が次々と姿を消したっていう…俺の知らない話。
その事件の事が…俺はどうも気になっていた…。その事件に…暁美さんが関わっていると言っていたから。
暁美さんと親しい人達が…暁美さんと会った後に居なくなる...。それも,,,女の子が...。
それらを考えると、どうしても頭を過るのが…
魔法少女の...。
16 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/11/27(火) 01:00:49.96 ID:Q2R/80SJ0(4/8)
【タツヤ】
「・・・・」
【大輔】
「タツヤ〜?」
【タツヤ】
「ん、あ・・・悪い」
【大輔】
「ったく、聞いてなかったのかよ」
あんまり考えたくないけど…その女の子達が仮に魔法少女だったとして...。
でも、仮にそうだったとしても…行方不明ってどういうことだ?
魔法少女って…いや、これ以上は止めておこう。あくまでも俺の予想でしかないんだし。
とにかく、その事件のことをもう少し詳しく知りたいな...。
でも...。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
【タツヤ】
「和子さん、その事件のことって」
【和子】
「ごめんなさい。これ以上はちょっと...」
【和子】
「私自身も…他人事ってわけじゃないから」
【タツヤ】
「あ…その、ごめんなさい」
【和子】
「うううん、いいのよ気にしなくて」
【和子】
「その事件の事が気になるなら、図書館に行ってみたらどう?」
【和子】
「多分、昔の新聞記事のデータとかが保存してある筈だから」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
和子さん…その行方不明になった人の中に自分の生徒もいるって言っていたからな...。
今でもその人の事引きずっているのかもしれない。これ以上の詮索は止めといた方がいいだろう。
...となると、和子さんが言っていたように図書館に行くべきか。
確か、市の図書館なら夜まで開いているし…今から行ってみても調べる時間は充分にある。
17 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/11/27(火) 01:04:03.36 ID:Q2R/80SJ0(5/8)
【大輔】
「ところでさ、腹減らね?」
【大輔】
「親父がさー、新しいラーメン開発したから試食してみて欲しいんだってさ」
【大輔】
「これからどうよ?」
【タツヤ】
「・・・」
...今から行ってみるか。
父さんが帰りを待っているかもしれないけど、やっぱり気になる。
【大輔】
「おい、タツヤ...?」
【タツヤ】
「悪い、大輔。今日はパス」
【大輔】
「へ?」
【タツヤ】
「用事思い出した。先帰っててくれ」
【大輔】
「え?どうしたいきなり?」
大輔が慌てた素振りを見せているが、そのことには構わず続ける。
悪いとは思っているが、その事件のことばかり気になっていた今の俺には、コイツに付き合う余裕が無かった。
【タツヤ】
「ごめん!!この埋め合わせは後で必ずするから!!」ダッ
【大輔】
「あ、おい!!タツヤァ!!??」
大輔の制止を聞くことなく、俺は帰り道とは逆方向にある図書館に向かって走り出す。
とにかく急がなくちゃ。まだ閉館時間に余裕があるとはいえ、何があるか分からないからな。
頑張って走れば30分も掛からない筈だ。
それに、何か…とても嫌な予感がする。この嫌な予感が、当たらなければいいんだけど。
あの人達の事で、俺が知らないことがまだありそうな気がするんだ...。
俺はそんな不安を胸に抱きながら、市の図書館に向かうのだった。
18 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/11/27(火) 01:06:23.58 ID:Q2R/80SJ0(6/8)
【大輔】
「...一体何なんだ、最近のあいつ?」
【大輔】
「...はあ、仕方ない。帰るか」
【タツヤ】
「・・・」タッタッタ・・
【QB】
「・・・・」ジー
【QB】
「...やれやれ」ピョコ
19 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/11/27(火) 01:12:20.58 ID:Q2R/80SJ0(7/8)
‐‐‐‐‐‐‐‐記憶のない時の流れにきっと‐‐‐‐‐‐‐‐
‐‐‐‐‐‐‐‐求めていた暖かさはあって‐‐‐‐‐‐‐‐
‐‐‐‐‐包まれた瞬間すべての想いは『君』へ巡る‐‐‐‐‐
‐‐‐‐‐‐‐‐空に向かって走り手にした‐‐‐‐‐‐‐‐
‐‐‐‐‐‐‐いくつもの尊い光胸にしまって‐‐‐‐‐‐‐
‐‐‐‐‐‐‐‐‐私の中の輝きに変え‐‐‐‐‐‐‐‐‐
‐‐‐‐‐‐‐‐迷いを全部払って飛ぼう‐‐‐‐‐‐‐‐
‐‐‐‐‐‐正解の見えない入り組んだ迷路を抜け‐‐‐‐‐‐
‐‐‐‐‐‐『君』が流した涙で『心』目覚めた‐‐‐‐‐‐
‐‐‐‐そして知った『世界』はこんなにもまだ綺麗で‐‐‐‐
‐‐‐‐‐‐‐新しい『可能性』を生むだろう‐‐‐‐‐‐‐
‐‐‐‐‐‐‐‐‐時のカケラの願いから‐‐‐‐‐‐‐‐‐
http://www.youtube.com/watch?v=ji2-3-5zxPo
第4話「犯した罪 科せられた罰」
20 川´_ゝ`){因みにレ・オーロは弱だった ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/11/27(火) 01:18:36.07 ID:Q2R/80SJ0(8/8)
短いですが、今回は以上になります。お疲れ様でした。
このSS書き始めてもう直ぐ1年になるんですね。なんという亀更新。
新作劇場版までに書き終わる気がしない。
こんな>>1ですが、またこのスレでも宜しくお願いします。
それでは今日はこの辺で。お休みなさい ノシ
21 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/11/27(火) 02:01:52.92 ID:4m90UugO0(1)
乙
ほむら、まさか……。円環(ry
これは続きが楽しみだ
このSSのいつもすごいなと思うところは、本当にまどマギの10年後ってこんな感じかもしれないなと思うような、
丁寧に原作ひろって描写してるところだよね…と勝手に感想失礼しました
22 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/27(火) 06:16:56.38 ID:3EXFluQ10(1)
乙
ゆっくり待ってるから、無事完結させてくれ
23 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/11/27(火) 23:59:26.98 ID:P+9dgYpQo(1)
乙
じっくり読みたいSSだからじっくり書いてくれる方が嬉しい
24 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) 2012/11/29(木) 01:28:32.25 ID:scyffcPIo(1)
乙乙!
25 川´_ゝ`){勢いだだ下がりやん ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/05(水) 02:06:23.63 ID:KkAVkOoH0(1)
夜遅くにこんばんわ>>1です。いつも閲覧&コメ有難う御座います。
次回の投稿ですが、早くて明日6日0時以降、遅くても明後日7日0時以降を予定しております。
お待たせしておりますが、宜しくお願いします。
それでは、今日はこの辺で。お休みなさい ノシ
26 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/05(水) 19:07:51.93 ID:N63/lXr/o(1)
了解です( ̄^ ̄)ゞ
27 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/05(水) 21:05:28.16 ID:CyoSoGsZ0(1)
ラジャー
28 川´_ゝ`){約束をマモレナカッタ ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/12/06(木) 01:07:25.48 ID:1zGoWblm0(1/18)
夜遅くにこんばんわ>>1です。
7日だと思った?残念、6日でしt(ry
遅れてすいません。それでは、続きを投稿します。
29 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 01:11:16.79 ID:1zGoWblm0(2/18)
――――――――――――――――――――
見滝原市内、図書館―――
【タツヤ】
「え〜と...」
大輔と別れてから数十分後、俺は市内の図書館にいた。
和子さんから聞いた事件について調べようと思ったのだけど...。何処に行けばいいのか分からず、館内をうろうろしている。
見滝原市の図書館は、商店街や駅とは少し離れた人気の少ない場所に建っている。
その分敷地が広く、市内でも1〜2位を争うほどの巨大な施設だ。
設備も最新の物が用意されていて、本や資料もよほどマイナーなものでない限り揃っている。
此処ならその事件の資料とかも手に入るかと思ったのだけど・・・肝心の資料が保管されている場所が分からないんじゃ...。
【司書】
「君、何か探し物?」
【タツヤ】
「えっ!?は、はい...」
そうやって館内を巡回していると、本の整理をしていた司書さんに声を掛けられる。
ちょうどいい、この人に資料が何処にあるのか聞いてみよう。
【タツヤ】
「あの、昔の新聞のデータとか保管してる所って何処ですか?」
【司書】
「ああ、それだったら地下にあるわよ」
【タツヤ】
「ありがとうございます」
地下にあったのか、いくら探しても見つからない筈だ。
その秘書さんから地下に向かうエレベーターの場所や、過去のデータの検索方法を教えてもらう。
周りには調べものや勉強をしている人がまだ居たので、なるべく小さな声でお礼を言った。
【司書】
「閉館時間もあるから、探し物なら手短にね」
【タツヤ】
「はい」
司書さんはそう言って再び自分の仕事に戻っていった。確かに、時間はあまり残されていない。
早く地下に行って用事を済ませた方が良さそうだ。
俺は司書さんに軽く会釈した後、足早に地下に向かった。
30 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 01:15:16.13 ID:1zGoWblm0(3/18)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
【タツヤ】
「ここか...」
エレベーターを使い地下に降りると、巨大な本棚のような機械がいくつも並んだ部屋に辿り着く。
司書さんが言うには、過去の新聞やそのデータなどは膨大な量になるので、地下を丸ごと使って保管しているそうだ。
特定の記事を調べるには、この部屋にあるタッチパネルを使って機械を操作してくれとのこと。
そうすれば、その記事のデータと、場合によっては一緒に紙媒体で保存してある新聞の記事が出てくるという仕組みらしい。
【タツヤ】
「え〜と、検索ワードは...」
【タツヤ】
「あ・・・出てきた」
機械の前にあったタッチパネルを操作し、資料を探し始める。
とりあえず今知っている情報を検索ワードとして適当に入力し、記事のデータを呼び出した。
見滝原市、行方不明、女子中学生...。
複数のワードを入力し、膨大なデータから情報を絞っていく。
すると、そのワードにヒットした記事が複数タッチパネルに表示された。
【タツヤ】
「年月は・・・一番古いので、ちょうど10年前か」
とりあえず、その記事の中で一番古いものに分類されている記事を呼び出してみる。
記事の題名は―――
『見滝原市内で行方不明の女子中学生、未だ発見されず』
【タツヤ】
「『見滝原警察は○月△日より行方不明となっている...』」
表示された記事の内容を読み上げる。
【タツヤ】
「...え?」
しかし、その内容を見て―――――思わず声を漏らし、目を見開く。
その記事の続きには、こう書かれていたのだ。
31 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 01:21:05.78 ID:1zGoWblm0(4/18)
【タツヤ】
「『美樹さやかさんについての情報提供を再度求めた』」
美樹、さやか。
俺は・・・その名前に聞き覚えがあった、それは――――。
『僕とさやかは・・・ただの幼馴染、さ』
『・・・・彼女が、遠くに行ってしまったから、かな』
【タツヤ】
「...まさか」
俺の脳内で再生されるのは、昨日の恭介さんの言葉...。
そして、今でも脳裏に焼き付いている――――恭介さんの悲しそうな顔だった。
遠くに行ったって・・・そういうことなのか?
だとしたら、恭介さんは...。
【タツヤ】
「『・・・美樹さやかさんは○月△日、友達の家に行くと言って自宅を出て以来・・・行方が分からなくなっている』」
【タツヤ】
「『家族は既に警察に捜索届を出しており、情報提供を呼びかけている』」
タッチパネルを再度操作し、『美樹さやか』という検索ワードを追加する。
新たに表示された記事の中に、美樹さやかさんが行方不明になった時のものを見つけた。
その後も、いくつか記事を呼び出し・・・内容を確認するが、美樹さやかさんが発見されたという内容の記事は・・・一つも見つからなかった。
そして――――
【タツヤ】
「『△月□日、美樹さやかさんの行方は未だに分かっておらず』」
【タツヤ】
「『警察はこれ以上の捜索は困難であると判断し、家族の合意の下、美樹さやかさんの捜索を打ち切ることを発表した』」
美樹さやかさん関連の記事の中で一番新しいものに目を通すと・・・それは、捜索を断念するという内容の記事だった。
最初の記事が出てから約1年後のものだ。
警察も必死に捜索したが・・・と、操作を打ち切ることに対しての無念さを綴ったような内容が書かれていた。
【タツヤ】
「恭介さん...」
その記事に目を通しながら、恭介さんのことを考える。
32 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 01:25:10.11 ID:1zGoWblm0(5/18)
今でも、美樹さやかさんから貰ったCDを宝物のように大切にしまってあった。
恭介さんにとって、その人の存在がどれだけ大きかったかなんて・・・馬鹿な俺でも分かる。
そんな人が突然いなくなって・・・そのまま行方不明になってしまって...。
あの人は・・・どう思ったのだろう。
今でこそ、あれだけ落ち着いているが―――。
昨日、美樹さやかさんの事を話していた恭介さんは、どこか寂しそうな表情を浮かべていた。
あの表情の奥には―――――どれだけの悲しみが詰まっていたのだろうか。
どれだけの苦しみを抱えていたのだろうか。
そう考えると、自分のことのように胸が苦しくなった。
【タツヤ】
「...他の類似してる記事は」
俺は、美樹さやかさん以外の行方不明事件の記事にも目を通す。
【タツヤ】
「みんな・・・似たような状況で行方不明になってる」
【タツヤ】
「そして、今でも行方不明のまま・・・」
どの記事も似たような内容で、警察の懸命な捜査も全て無駄に終わっていた。
【タツヤ】
「『巴マミ』」
【タツヤ】
「『佐倉杏子』」
【タツヤ】
「そして、『呉キリカ』・・・か」
行方不明になった人達の名前を確認する。
一通り目を通してみたが、事件が起きた年月がバラバラで、統一性があるとは思えない。
でも、なんとなくこれらの事件は繋がっているような予感がしていた。
その予感は多分・・・この事件に暁美さんが関わっているからだと思う。
流石に、記事の中に暁美さんの名前は載っていなかった。
記者さんも未成年だった暁美さんのプライベートを考慮したのだろう。
結局、何の情報も出てこなかったわけだし。
33 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 01:28:27.76 ID:1zGoWblm0(6/18)
【タツヤ】
「・・・・」
ガサ・・・
【タツヤ】
「っ!?誰だ?」
記事を整理していると、後ろで何やら気配を感じた。
この部屋に他に人はいない筈なのに...。気になった俺は気配を感じた方向へと視線を向けてみる。
【QB】
「やあ」ピョコ
そして、その視線の先に現れたのは―――あの白い珍獣だった。
その珍獣は何食わぬ顔をして、此方に近付いてくる。
【タツヤ】
「お、お前・・・なんで此処に」
【QB】
「前に言ったじゃないか、君をしばらく観察するって」
【QB】
「だから付いてきたんだよ」
【タツヤ】
「相変わらず嫌味ったらしいな、お前...」
何を当たり前のことを聞いている?とでも言いたいかのように、コイツは振舞う。
付いてきたって・・・また俺の気付かないところで見てやがったのか...。
相変わらずいい趣味しているな。
【タツヤ】
「まあ、いいや。むしろちょうど良い」
【タツヤ】
「お前に聞きたいことがある」
この一連の事件に関して、俺の頭の中ではずっと一つの事柄がちらついていた。
それは―――魔法少女の存在。
和子さんが言うように、この事件に暁美さんが絡んでいるのだとしたら・・・魔法少女が関わっているという可能性は否定できない。
そして、魔法少女のことならこの珍獣が一番よく知っている筈だ。
コイツなら・・・この事件のことを何か知っているかもしれない。
そう・・・思ったのだが...。
34 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 01:31:03.91 ID:1zGoWblm0(7/18)
【QB】
「無理だね」
【タツヤ】
「は!?」
俺が疑問をぶつける前に、コイツは回答を拒否しやがったのだ。
一瞬、コイツが何を言っているのか理解できず、俺は呆気に取られる。
【QB】
「君が何を聞こうとしてるのか、大体想像は付くよ」
【QB】
「悪いけど僕にも守秘義務がある」
【QB】
「契約対象じゃない君に教えることはできないよ」
まるで俺の考えを読んでいるかのように、コイツは言う。
こんな時に限って・・・いつもは自分からペラペラ話すくせに。
コイツ絶対、自分にとって都合の悪いことは聞かれるまで答えないってタイプだろ...。
【タツヤ】
「この珍獣め...」
【QB】
「・・・」キュップイ
珍獣を睨みつけるも、怯む様子は無い。つくづく嫌味な野郎だと思った・・・いや本当に。
どうすることもできない俺は、コイツの態度に拳を震わせた。
【QB】
「まあ、でも」
しかし、そんな俺を見て・・・この珍獣が独り言を呟くようにポツリと言葉を漏らす。
【QB】
「大体は、君の想像通りだと思うよ」
【タツヤ】
「・・・!!」
コイツが何気なく発した言葉に衝撃を受ける。
慌ててコイツに視線を向けてみるが、この珍獣は相変わらず涼しい顔をしていた。
い、今のって...。
もし、俺の考えていることがまんまアイツに読まれているのだとしたら...。
やっぱり、この事件で行方不明になっている人達って...。
35 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 01:33:48.36 ID:1zGoWblm0(8/18)
【QB】
「僕が言えるのはここまでだ」
【QB】
「後は、自分で調べることだね」
【タツヤ】
「・・・」
それだけ言い残して、珍獣は地下室の入り口へと歩を進める。
そして、俺が瞬きをした瞬間に姿を消した。
再び、部屋には俺一人が取り残される。しかし、此処に保存してある記事はあらかた調べてしまっていた。
これ以上は、特に情報を得られそうに無い。
【司書】
「おーい、君ー」
【タツヤ】
「あ、はい」
俺が途方に暮れていると、地下に来る時に使ったエレベーターが開く。
中からは、先程お世話になった司書さんが出てきた。
【司書】
「もう直ぐ閉館時間よ。そろそろ終わりにしてね」
【タツヤ】
「あ・・・すいません」
司書さんはエレベーターから降りると、閉館時間を知らせてくる。
ふと、部屋の時計を確認してみると、俺が地下に来てから大分時間が経っていた。
調べものに夢中になっていたせいか、時間を忘れてしまっていたようだ。
【タツヤ】
「じ・・・じゃあ、この記事のデータだけコピー取らせて貰ってもいいですか?」
【司書】
「え?ええ、それは構わないけど...」
【タツヤ】
「お願いします」
司書さんに自分が調べた資料のコピーをお願いし、帰る支度をする。
とりあえずこれらの資料だけ持ち帰って・・・後のことは家で考えるとしよう。
父さんも帰りが遅いと心配しているだろうし・・・母さんは、まだ仕事かな。
まあ、夕食までには間に合うだろう。
その後、司書さんからコピーしてもらった資料のメモリーを受け取り、閉館時間ギリギリに図書館を出る。
36 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 01:34:29.25 ID:1zGoWblm0(9/18)
【QB】
「・・・・」
図書館から出た時、珍獣が建物の上から俺を眺めていたのだが、その時は気付いていなかった。
37 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 01:38:14.51 ID:1zGoWblm0(10/18)
――――――――――――――――――――
鹿目家、リビング――――
【詢子】
「はあ〜生き返るっ!!」
夜も更け、空が綺麗な星達で埋め尽くされていた頃、
鹿目家のリビングでは、仕事から帰ってきた詢子がバスローブ姿でビールを一気飲みしていた。
ビールを美味そうに喉を鳴らしながら飲み干す彼女の姿は、若い頃から変わっていない。
変わったとすれば、多少貫禄が付いたという事くらいだ。
【知久】
「はは。はい、おつまみ」
その姿をキッチンで見ていた知久は、詢子にサラダを渡す。
ドレッシングは彼女の好きなお酒に合うよう味付けしてあり、カロリーも抑えた知久の特別性だ。
【詢子】
「ああ、悪い。ところでタツヤは?」
詢子が帰ってくる頃には、既にタツヤはリビングには居なかった。
彼女の仕事が遅くなり、息子よりも帰りが遅くなるのはいつものことだ。
しかし、いつもだったら自分が帰ってくるとリビングにやって来る筈の息子が、今日は来ていない。
そのことが詢子は少し気になっていた。
【知久】
「いるよ。ついさっき帰ってきたばかりだけどね」
【詢子】
「うわっ、またあいつ随分遅かったんだな...」
実際、タツヤが帰ってきたのは詢子が仕事から帰ってくる1時間位前のことだ。
前回知久に怒られた時よりはマシだったが、それでも学校の下校時間を考えると相当遅い。
詢子は「何してんだ」と、自分の息子の行動に溜息を付いた。
【知久】
「うん、理由を聞いたら図書館に行ってたんだってさ」
【詢子】
「図書館?またなんで」
【知久】
「さあ、分からない。何か調べ物でもしていたのかもね」
【知久】
「今も、『調べ物がある』とか言って部屋に篭っちゃってるよ」
38 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 01:40:51.28 ID:1zGoWblm0(11/18)
タツヤは自宅に帰ってきた後、恭介宅に泊まった時の洗濯物などを洗濯機に放り込んだ。
その後、夕食を済ませ自分の部屋に閉じ篭ってしまっていた。
恐らく母が帰ってきていることに気付いていないのだろうと、知久は苦笑いを浮かべながら応える。
【詢子】
「ふ〜ん、宿題でもあるのかね」
【知久】
「ん〜どうだろう」ハハハ
学業に一生懸命になってくれているのだとしたら、親としては喜ばしいことだ。
今日も、成績が悪いという理由で和子の補習を受けてきた筈なのだから。
だが、タツヤの性格を考えると、恐らくそれはないとこの両親は微妙な心境で考える。
せめて人並みには・・・と、両親は願っているのだが、それは中々難しそうだ。
【詢子】
「しっかし、最近のアイツはどうもやんちゃが過ぎるというかなんというか...」
真っ直ぐなのは良いが、もう少し後先考えて・・・・と、詢子は悪態をつこうとする。
しかし、途中まで言って・・・口を閉じた。
【知久】
「誰に似たんだろうね」ニッコリ
【詢子】
「・・・」
――――その発言が、ブーメランとなって自分に返ってくることが分かっていたから。
その後、夫の指摘を振り払うように、お酒を飲むことに終始する詢子であった。
39 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 01:55:40.11 ID:1zGoWblm0(12/18)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
【タツヤ】
「ん〜...」カタカタ
図書館から帰ってきた後、俺は夕食を足早に済ませ、自分の部屋でPCと格闘していた。
とりあえず、インターネットで事件のことや行方不明になった人について調べてみている。
【タツヤ】
「やっぱり、これ以上目ぼしい情報はない、か...」
かれこれ数時間部屋に篭って色々調べてみているが、図書館で入手したもの以上の情報は見つかっていない。
強いて上げるなら、巴マミさんがアイドル候補生だったらしいということくらいだ。
アイドルとしてデビューする直前に行方不明になったらしい。
...なんともやり切れない話だ。
【QB】
「・・・・」
【タツヤ】
「...お前はいつまでここにいるんだよ」
【QB】
「別にいいじゃないか」
【タツヤ】
「ったく...」
PCの画面と睨めっこをしていると、いつの間にかこの珍獣が部屋に入ってきていた。
今は部屋の窓際に居座り、相変わらずの涼しい顔で俺のことを眺めている。
図書館から出た時はいなくなったと思っていたのに...。
そんなに俺のことを監視し続けて・・・一体何になるんだか。
【QB】
「そんなに彼女達のことが気になるのかい?」
【QB】
「君は彼女達と何の接点もないのに」
俺の言葉を軽く受け流し、黙って眺めているだけだったコイツが口を開く。
その言葉には、何を必死になっているのだというニュアンスも含まれていた。
大方、必死にキーボードを叩いている俺のことを不思議に思ったのだろう。
もっとも、今の俺にとってそれは嫌味でしかなかったが。
40 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 01:58:52.56 ID:1zGoWblm0(13/18)
【タツヤ】
「・・・悪いかよ」
【QB】
「人間はいつもそうだ。自分に利益があるわけでもないのに、他人の生死を気にかける」
心底不思議そうに、コイツは首を傾げる。
この珍獣に人間の常識など通用しないと、薄々気付いてはいるのだが・・・ここまで来ると、流石に呆れてしまう。
【QB】
「この地球には今現在約70億人の人間が存在していて」
【QB】
「今でも6秒に10人ずつ増え続けているのに」
【QB】
「どうして、たかだか数人の生死を気にする必要があるんだい?」
人間の生き死にを、まるで算数の計算問題かのように言い表す珍獣。
そんな単純な話ではない。
失った分を補えるだけ増えているのだから問題ないとか・・・そんな簡単な事ではないのだ。
人の命は、そんなに軽くない。
死んだ人の家族や友人にとって――――その人の代わりなんていないんだから。
【タツヤ】
「お前、同じ事をお前らの目的の為に戦ってきた魔法少女の前で言えるのか...」
コイツの言葉は、仮にも人間に近付き魔法少女になって戦ってくれと頼んでいる奴のものとは思えない。
まるで他人事のようだ。
コイツは・・・人が死ぬことに対して何も感じないのだろうか?
仮に、魔法少女が死んでしまったとしても・・・・コイツは―――――
【QB】
「君は、いまいち理解できていないようだね」
【タツヤ】
「は?」
俺の思考を遮るように、コイツが言葉を返してくる。
それこそ図書館の時と同様、俺の考えを読んでいるかのように。
41 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 02:02:16.52 ID:1zGoWblm0(14/18)
【QB】
「前に僕は言ったはずだよ」
【QB】
「僕達は君達を家畜のように扱っても構わないと思ってる」
【QB】
「仮に、君達は家畜に引け目を感じたりするかい?」
【タツヤ】
「なっ・・・!!」
あまりの言い分に、言葉を失う。
――魔法少女達が死んだとしても、自分達は何とも思わない――
そう、コイツは暗に示していた。
何の迷いのなく・・・何の躊躇もなく...。
普段と何ら変わることのない、いつも通りの表情で...。
【QB】
「よく考えてごらん」
【QB】
「君達の繁殖の為に養殖されている牛や鶏達は、他の野生動物達に比べて圧倒的な繁栄を得ている」
【QB】
「それはなぜか」
【QB】
「簡単な話だ。君達人間が自身の為に彼等を生存競争から保護しているからさ」
淡々と・・・ただただ淡々と、コイツは言葉を繋いでいく。世界の仕組みとやらを説明してくる。
【タツヤ】
「...何が言いたい」
【QB】
「僕達が魔法少女を扱うことと、君達が家畜を扱うことは同じだということだよ」
当たり前のことだと言うように、コイツは言い切った。
お前達は自分達にとって、家畜のような存在であると...
お前達は―――――消耗品であると。
俺は、自分のコイツに対する認識が甘かったことを痛感する。
確かにコイツは以前、学校でそのような事を言っていた。
でも、まさか人間を・・・魔法少女達を、そんな風に見ているなんて・・・夢にも思わなかったから。
もう、怒りの沸点を通り越し過ぎていて、俺はただ唖然とするだけになっていた...。
42 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 02:05:44.11 ID:1zGoWblm0(15/18)
【タツヤ】
「この・・・」グイッ
【QB】
「違うのかい?」
【タツヤ】
「・・・」
何か言い返そうと、コイツに掴み掛かる。でも・・・何故か言葉が出てこない。
納得してしまっていたんだ・・・コイツの言葉に、心の何処かで...。
ふと、思う。
俺は・・・今まで考えたことがあったのだろうか。
普段、自分達の食卓に並ぶ食材がどうやって作られているのか。
どうやって――――自分達の食卓に上ってきているのか。
鶏肉や豚肉を食べていて、元となった鶏や豚のことを考えたことがあっただろうか。
俺は、コイツの言葉を真っ向から否定することが出来なかった。
【QB】
「まあ、そうは言っても僕達は君達をそこまで下劣には扱ったりはしない」
【QB】
「ただ、僕達に君達人間の考え方を理解する必要なんてないということさ」
同じだって言うのか――――人間が家畜を扱うことと、コイツが人間を扱うことが...。
分からない・・・いくら考えても、答が出てこない。
【タツヤ】
「お前には分からないだろうよ」
【タツヤ】
「人の・・・気持ちなんて」
言いたいことは山ほどあった筈なのに・・・今の俺には、それだけ言うのが精一杯だった。
人間には、他人のことを想える『感情』があるのだと、俺は苦し紛れに呟いた。
【QB】
「『人の感情』・・・・か」
【QB】
「悪いけど、僕達インキュベーターにとって」
【QB】
「その『感情』は精神疾患の一つでしかないんだ」
【QB】
「僕達に君の言う『感情』なんて無いんだよ」
43 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 02:09:27.62 ID:1zGoWblm0(16/18)
それでも、コイツは先程と変わらない涼しい顔をして、俺の言葉を受け流す。
感情がない・・・か。確かに、そうなのかもな。
そう考えれば、今までのコイツの言動にも合点がいく。
人間とコイツらインキュベーターは、元々の創りからして違うんだ。
だから、平気でこんなことが言えるのだろう。
【QB】
「もっとも、その『感情』が僕達にもあったら、わざわざこんな星に来ることもなかっただろうけどね」
【タツヤ】
「...もういい、出て行け」
【QB】
「僕達は・・・」
【タツヤ】
「出て行けって言ってるだろ!!!」
尚も続けようとするコイツを、大声を出して遮る。
コイツの言葉を、もう聞いてはいられなかった。
俺にはもう、コイツが何を言っているのか理解できない。
いや、正確には・・・理解しようとする程の気力が今の自分には残されていない。
それ程までに、俺は混乱していたし・・・考える力も失っていた。
自分でも分かる程、思考が停止していたのだ。
【タツヤ】
「・・・」ハァ・・ハァ・・
【QB】
「...分かった」ピョン
俺の顔を見て一つ溜息を付くと、コイツは大人しく部屋を出て行った。
その後、珍獣が居なくなった部屋は、俺だけしかいないせいか・・・妙に静かだった。
【タツヤ】
「...くそっ!!」ドンッ
そのせいだろうか。
今更になって、怒りがこみ上げてくる。俺は八つ当たりするように拳を机に叩き付けた。
この怒りは、多分あの珍獣に対してじゃない。
あの珍獣にいいように言われても・・・反論すらできなかった自分に対してだ。
奴の言葉に納得してしまい、自分の答が出せなかった事が・・・何だかもの凄く情けなかった。
アイツの言っていることが正しいなんて思いたくない。
だが、そうは言っても・・・今はアイツに何かを言い返せる自信がない。
自分がつくづく弱くて馬鹿な人間であると感じてしまい、そんな自分が嫌になる。
結局、その後は事件についての情報収集も捗らず、無意味な時間を過ごしてしまった。
調べている間もずっと・・・アイツの言葉が、頭から離れなかった。
44 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/06(木) 02:12:08.07 ID:1zGoWblm0(17/18)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
見滝原市―――
【QB】
「う〜ん」
【QB】
「また余計な事を彼に話してしまったね」
【QB】
「どうしてだろう。僕らしくもない」
【QB】
「...不思議だ」
45 川´_ゝ`){2時過ぎたよ、眠いよ ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/12/06(木) 02:15:15.79 ID:1zGoWblm0(18/18)
今回は以上になります。お疲れ様でした。
まどオンの公式放送は色んな意味で面白かった、そして色んな意味で酷かった。
それでは、また次回の投稿で。お休みなさい ノシ
46 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/06(木) 02:42:40.33 ID:eOD+faCeo(1)
乙
QBは相変わらずなようですな
47 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/06(木) 02:44:30.63 ID:DXdP8bgmo(1)
乙
48 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/06(木) 23:36:30.59 ID:uWchuaGK0(1)
だんだん謎ときっぽい展開になってきて話も進んできたな
丁寧にまどマギの10年後で描写されてるなかでのこの新展開から目が離せません
QBにもまさかの変化が?
49 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/09(日) 22:48:01.48 ID:ptQZoz+oo(1)
乙乙!
50 川´_ゝ`){もうすぐクリスマス ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/13(木) 00:59:27.56 ID:1JWN1qMb0(1)
夜遅くにこんばんわ>>1です。いつも閲覧&コメ有難う御座います。
次回の更新ですが、15日0時以降もしくは16日0時以降を予定しております。
宜しくお願いします。
それでは、お休みなさい。ノシ
51 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/13(木) 02:01:36.10 ID:8W0QMAP0o(1)
了解です
おやすみなさい
52 川´_ゝ`){おせぇ・・ ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/12/15(土) 00:48:00.85 ID:mh1LbyyV0(1/28)
夜遅くにこんばんわ>>1です。
お待たせしました、それでは投稿します。
53 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 00:50:33.34 ID:mh1LbyyV0(2/28)
――――――――――――――――――――
数日後、見滝原中学―――
【体育教師】
「よーし、50メートルのタイム計るぞー」
【体育教師】
「よーい」
ドン!!
【大輔】
「うぉぉぉおおおお!!!!!見滝原の荒波しょうとは俺のことだぁぁぁぁあああ!!!」ダダダダダ
カチ
【体育教師】
「・・・・板垣、5秒9」
【クラスメイト】
「「「えぇぇぇぇえええ!!!!????」」」
「嘘だろ!?なんで中1で6秒台切れるんだよ!?」
「中学1年の平均って、たしか7秒9くらいじゃ・・・」
「あいつ本当に日本人か?実はジャマイカ人とかだろ」
「というより人間なのか?」
【大輔】
「ふっ、学校のグラウンドは・・・もう俺の庭みたいなものさ」
「馬鹿だけど」
「馬鹿だな」
「ああ、どうしようもなく馬鹿だ」
「ああ、人間じゃなくて馬鹿そのものだったのか」
【大輔】
「なんだとぉぉぉおおおお!!!!!!!!」
【タツヤ】
「・・・」
気付けば、図書館であの事件を調べてから数日経っていた。
俺は、あの日以来何をやるにもいまいち集中出来ないでいる。あの珍獣の言葉が、未だに頭から離れないでいたのだ。
自分の好きな授業である体育でも、日陰に入って大輔が馬鹿やっている姿をただ見ているだけになっていた。
54 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 00:53:17.97 ID:mh1LbyyV0(3/28)
【タツヤ】
「(・・・とにかく、今は事件のことと・・・魔法少女のことを調べよう)」
いつまでも、アイツのことでごちゃごちゃ悩んでいてもしょうがない。
そう考え、その雑念を振り払うようにここ数日、例の事件について調べている。
だが、あれから色々な媒体を使って調べているが、目ぼしい情報は得られていない。
やはり、表に出ているものだけでは、これ以上の情報収集は無理なのだろうか?
新聞記事とかで魔法少女のことが調べられるわけないし・・・。
やっぱり、これ以上はこの事件に関係している人に話を聞くしかないのか。
でも...
【タツヤ】
「(暁美さんには・・・・流石に聞けないよな)」
和子さんの話が本当なら、あの人はこの事件がきっかけで学校を辞めちゃったみたいだし。
あの人の古傷を抉ることになりそうな気がして・・・なんとなく気が引けるんだよなぁ。
うーん、だとすると...。
【タツヤ】
「(ゆまさんに聞けば・・・何か知ってるかな...)」
同じ魔法少女で暁美さんとも交流があるゆまさんなら・・・何か教えてくれるかもしれない。
あの事件と魔法少女が関わっているのかどうか、行方不明になった人達はどうなったのか...。
...しかし、ここで一つ大きな問題があることに気が付いた。
【タツヤ】
「(よく考えたら・・・俺、あの人の連絡先とか知らないや)」
ゆまさんの携帯の番号とか、何処に住んでいるのかとか・・・俺は全く知らない。
聞く機会なんて無かったからな...。
こんな事なら、前会ったときに連絡先くらい交換しておくべきだった。
どうしよう、俺がゆまさんのことで知っている事といったら...。
55 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 00:55:08.01 ID:mh1LbyyV0(4/28)
【大輔】
「おーい、タツヤー次お前だぞー」
【タツヤ】
「あ・・・ああ、今いく」
【タツヤ】
「(白女、か)」
あの人、確か白女の生徒なんだよな...。だったら、白女に行けばあの人に会えるかも。
【タツヤ】
「(...行ってみるか)」
どっちみち、このままじゃ八方塞がりなんだし・・・行くだけ行ってみるとするか。
俺は放課後に白女に行くことを決める。
目標が出来たからなのか、それ以降の授業だけは集中して取り組むことができた。
56 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 00:59:01.21 ID:mh1LbyyV0(5/28)
――――――――――――――――――――
放課後―――
【タツヤ】
「...ここか」
放課後、俺は隣町の風見野にある白女の高等部校門前に立っていた。
隣町なだけあって見滝原中学から此処まではそこそこ時間が掛かる。
HRが終わった後、部活を休んで此処まで来たのだが、着いた頃にはすっかり夕方になってしまっていた。
【タツヤ】
「なーんか場違いな気がするんだよなぁ」
校門前に立ち、中の様子を確かめる。
放課後ということもあり、下校しようとしている生徒とやたらとすれ違う。
以前も話したとおり、白女はお嬢様学校だ。すれ違う生徒達もうちの学校の女子とは違べものにならないくらい、品のある人ばかりである。
そんな中で、一人制服の違う男子が紛れているとなると、嫌でも注目の的にされてしまうのだ。
その後、校門前に居た警備員に学生証を提示し、許可を得てから白女の敷地内に入る。
事情を話すと、わりとすんなり通してくれた。そこまで厳重に警備しているわけじゃないようだ。
もっとも、校内にいる生徒達の色物を見るような視線は若干痛かったが...。
【タツヤ】
「さて・・・と」
そんな白女の生徒達の視線を掻い潜りながら、敷地内を移動する。
ゆまさんは・・・まだ校内にいるのかな?もしそうなら、校門前付近を通る筈だが...。
緑色の髪の毛にポニーテールなんて、目立つから直ぐに見つかりそうだけど。
しかし、その後も校門前を中心にゆまさんを探してみるが、一向に見つけることができず・・・学校から出てくる様子もなかった。
ひょっとして、もう帰っちゃったのかな?う〜ん・・・こうやって探すよりも、誰かに聞いた方が早いのかもしれない。
「ちょっとあなた!!」
「我が校で何をしてますの?」
【タツヤ】
「ふぇ?」
ゆまさんを探しながらウロウロ歩き回っていると、突然誰かに呼び止められる。
声が聞こえた方に視線を向けると、ふんわりとした金髪の巻き髪に碧眼と・・・いかにも「お嬢様っ!!」っていう容姿をしている人が眉間に皺を寄せて立っていた。
57 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:03:01.60 ID:mh1LbyyV0(6/28)
「その制服、あなた見滝原の生徒ね」
「うちの学校に何か御用かしら?」
【タツヤ】
「え〜と〜・・」
突然のことで、回答に困ってしまう。いや、別に怪しい者ではないんだけど・・・ちゃんと許可も取ってあるし。
まあ、確かに私立の女子高に男子がいたら怪しまれるかもしれないけどさ。
というか・・・何なんだこの人?
「...こほん、失礼しました」
「私(わたくし)、この学校で生徒会長をしている者です」
【生徒会長】
「以後、お見知り置きを」
【タツヤ】
「は・・・はぁ」
巻き髪を手で書き上げながら挨拶してくるこの人。
生徒・・・会長・・・、この人が?
なんだか、俺の中の生徒会長のイメージとだいぶ違うなぁ。
流石、お嬢様学校だ。
【生徒会長】
「それと、私の後ろに居るのが副会長ですわ」
【副会長】
「・・・よろしく」
【タツヤ】
「よ、よろしくお願いします」ペコリ
生徒会長さんの後ろから、今度は眼鏡を掛けた黒髪の女性が出てきた。
見るからに目を引く風貌の会長さんと違って、此方は割かし地味な印象を受ける。
言葉数も少なく、紹介されるまで後ろにいることに気付かなかったくらいだ。
多分、会長さんが派手過ぎるのが原因だと思うけど。
【生徒会長】
「挨拶も済んだことですし、話を戻しましょう」
【生徒会長】
「あなた、我が校で何をしていますの?」
【生徒会長】
「一応、此処は女子高ですのよ?」
【タツヤ】
「あ、あはは・・・それは...」
会長さんが鋭い視線を此方に向けてくる。
その雰囲気に気圧されて、思わず苦笑いしてしまった。
58 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:05:56.42 ID:mh1LbyyV0(7/28)
【生徒会長】
「まさか、何かいかがわしいことを...」
【タツヤ】
「いやいや!!違いますよ!!」
突拍子も無いことをこの会長さんが言い始めたので、慌てて否定する。
急に何を言い出すんだ、この人。
やっぱりこういう所に他校の男子生徒がいると、そういう風に見られるのかな・・・うちの学校はそんなことないけど。
とにかく、特別怪しいことをしているわけじゃないし、事情を話せば分かってくれるだろう。
このまま変質者扱いされるわけにもいかないし。
【タツヤ】
「その、人を探してまして・・・此処の生徒の筈なんですけど...」
【生徒会長】
「あら、そうでしたの?」キョトン
【生徒会長】
「だったらそうと早く言いなさいな」
【タツヤ】
「(いや、言う前に絡んできたのアンタだろ...)」
事情を説明すると、会長さんは一瞬間の抜けた表情をした後、呆れたように溜息を付いた。
いや、確かに俺がいつまでも言い淀んでいたのが悪いんだけど...。
なんだろう、この納得できない感じ。
【生徒会長】
「それで、どなたをお探しに?」
【生徒会長】
「私、役職柄顔は広いほうですので」
【生徒会長】
「あなたの探している人を知っているかもしれませんわ」
人の心境など気にも止めず、この人は自信満々に言ってのける。
確かに、生徒会長なら色々知っていそうだが...。
ゆまさんの居場所までは知っているとは思えないけど、何らかの情報は聞けるかもしれない。
【タツヤ】
「はあ、だったら」
いまいち釈然としないけど・・・一応聞いてみるか。
59 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:09:10.73 ID:mh1LbyyV0(8/28)
【タツヤ】
「『千歳ゆま』って人なんですけど」
【生徒会長】
「 ! ? 」
ゆまさんの名前を出すと、会長さんは何故か目を見開き・・・息を呑む。
理由はよく分からないけど、もの凄く驚いているようだった。
...なんだ、ゆまさんのことは知っているみたいだけど・・・どうかしたのかな?
【生徒会長】
「千歳『様』・・・と・・・!!」
【タツヤ】
「ん?」
...あれ?
【生徒会長】
「...あ」
【生徒会長】
「ゴ、ゴホン!!ち・・・千歳『さん』を探しているのですね?」
会長さんは、慌てて取り繕うかのように咳払いする。
先程の自信たっぷりだった姿とは打って変わり、顔をりんごのように真っ赤にさせ、口をパクパクさせていた。
...俺の耳が正常だったら、今この人確かに千歳『様』って言ったよな?
様・・・様?・・・え?様ってなんだ?ゴートーザ、サマー?
...いやいや、落ち着け俺。
【タツヤ】
「今、千歳『様』って...」
【生徒会長】
「探しているのですね!!」
【タツヤ】
「・・・はい」
ワケガワカラナイヨ...。
...うん、きっとアレだ。お嬢様っていうのは、相手のことを敬意を込めて『様』付けで呼ぶんだな、うん。
流石お嬢様だ、俺ら凡人とは考え方からして違うなー。
60 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:13:06.72 ID:mh1LbyyV0(9/28)
【生徒会長】
「申し訳ありません」
【生徒会長】
「彼女とは学年が違いますので...」
【タツヤ】
「そ、そうですか」
...やっぱり、流石の生徒会長さんでも、生徒の居場所までは分からないよな。
仕方ない、他を当たってみることにしよう。
そうと決めたら、急いでこの場を離れた方が良さそうだ。
あくまでもゆまさんを探すためだ、嫌な予感がするからではない。
【生徒会長】
「ところで」
【タツヤ】
「はい?」
【生徒会長】
「失礼ですが、千歳さんとは・・・どういうご関係で?」
...アレ、オカシイナ?イヤナヨカンガシテキタゾ?
【タツヤ】
「え?ど、どういうって...」
【生徒会長】
「お答えになって」ズイ
【タツヤ】
「え、え〜と...」
会長さんが問い詰めてくるようにジリジリと距離を縮めてくる。
...何故かは知らないが、鬼気迫るような表情を浮かべて此方を睨んでいた。
いや、どんな関係って言われても・・・この人、どう考えても一般人だし。
...魔法少女がどうとかなんて―――
【タツヤ】
「人に言えるようなものじゃ...」ボソ
【生徒会長】
「なぁ!!!!!!」
【タツヤ】
「...あっ」
61 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:16:03.10 ID:mh1LbyyV0(10/28)
しまったぁぁぁぁぁああああ!!!!
後半声に出てたぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!!
前回ゆまさんと会った時と似たような事を、俺がやってどうするんだよ...。
ゆまさんの事言えないじゃないか...。
【生徒会長】
「け、汚らわしい!!!」
【タツヤ】
「いや、今のはそういう意味で言ったんじゃ...!!」
【生徒会長】
「“私の”千歳様がこんな冴えない殿方となんて...!!!」
【タツヤ】
「んんぅ!?」
なんか色々勘違いしているよ、この人。
いやそもそも勘違いがどうとかの問題か、これ?
ああーもう、色々言いたいことあるけど・・・なんだろう、言いたくない。
言葉に出したくない。
というか、この人とこれ以上関わりたくない。
【生徒会長】
「私には一向に振り向いてくださらないのに!!こんな何処ぞの馬の骨なんかと!!」
【生徒会長】
「そうですわ・・・この者を亡き者にすれば、きっと私にも...」
【タツヤ】
「ちょっと待てぇぇええ!!!!」
【タツヤ】
「そういう意味じゃないって言ってるだろ!!!!」
会長さんが色々危ない発言をし始めたので、大急ぎで止めにはいる。
...もうやだ、帰りたい。お嬢様ってみんなこんなんなのか...。
と・・・とにかく、これ以上は身の危険を感じる。何とか誤解だけでも解かないと...。
【生徒会長】
「...え?」
【タツヤ】
「ゆ・・・千歳さんとは、ただの知り合いです」
【生徒会長】
「...タダノ、シリアイ?」
【タツヤ】
「」コクコク
62 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:20:20.49 ID:mh1LbyyV0(11/28)
【生徒会長】
「・・・」
【生徒会長】
「...それくらい、最初から分かってましたわ」キリ
【タツヤ】
「(いや手遅れだ)」
今更そんなこと胸を張って言っても、説得力の欠片も無いです...。
【タツヤ】
「それにしても」
【タツヤ】
「随分と慕ってるんですね〜、あの人のこと」
もうこの人とは関わらない方がいいと本能が訴えている。
だが、俺はゆまさんとのことが気になり、そのことをうっかり口に出してしまった。
【生徒会長】
「当然ですわ!!」ズイズイ
【タツヤ】
「うおっ!?」
そして、その言葉を聞いた瞬間、この会長さんは高速移動でもしたのかと思うようなスピードで此方に近寄ってくる。
【生徒会長】
「彼女は私の・・・そう“おトモダチ”なんですから!!」
【タツヤ】
「(お・・・おう)」
会長さんがそう高らかに宣言する。
顔に手を当て頬を紅く染め、身体を無駄にクネクネさせながら。
あれ?『友達』ってこういう風に言う言葉だったっけ?
【生徒会長】
「そう、あれは私が生徒会の仕事で帰りが遅くなった時のことでしたわ...」
【タツヤ】
「(語り始めちゃったよ...)」
あの・・・こっちは早くゆまさんを探したいんだけど・・・このままじゃ日が暮れちゃう。
どうしよう、放置するわけにもいかないし...。
はぁ、なんか変な人に関わっちゃったなぁ。
63 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:23:22.31 ID:mh1LbyyV0(12/28)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『ねえねえ、君可愛いね。俺と遊ばない?』
【生徒会長】
『...申し訳ありませんが、急いでますので』
『いいじゃん。恥かしがらないでさ』ガシ
【生徒会長】
『は、離してください!!』
『強がっちゃって可愛いねぇ、俺好みだよ』
『ショ・・・ショウさん、この子白女の生徒っすよ。流石にマズいっすよ』
【ショウ】
『うるせぇ!!それくらいじゃないと俺に釣り合わないんだよ!!』
【ショウ】
『なあ、いいだろ?良いところ連れてってやるからさ?』
【生徒会長】
「いい加減にしてください。汚らわしい!!」パシッ
【ショウ】
『痛っ』
【生徒会長】
『こ・・・このような事をして、女性がご一緒すると思っているのですか!!』
【生徒会長】
『恥を知りなさい!!このケダモノ!!!』
【ショウ】
『...おい、糞アマ!!女のくせに調子乗ってんじゃねえぞ!!!』
【生徒会長】
『(ビクッ)』
【ショウ】
『女が男に逆らうんじゃねぇよ!!股開くことしか脳のねえ餓鬼を生む機械がよ!!!』
【生徒会長】
『な・・・なんて言い草・・・、あなたは人間の屑です!!!』
【ショウ】
『うるせぇよ。女のくせに・・・ちょっと教育が必要だな...』チャキ
64 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:26:18.55 ID:mh1LbyyV0(13/28)
【生徒会長】
『ひっそんな・・・刃物を...!!』ビクッ
【弟分】
『だ、駄目ですってショウさん...』アワワ・・
【ショウ】
『うるせぇ!!もう限界だ、女が俺を馬鹿にするんじゃねぇ!!』ダダッ
【生徒会長】
『きゃあああああ、どなたか』
ダキッ、シュン!!
【生徒会長】
『あああ・・・って』
【生徒会長】
『あら?』
【ショウ】
『あ?』
【ゆま】
『大丈夫?』
【生徒会長】
『あ・・・あの...』
【生徒会長】
『(私・・・この人に抱きかかえられて...?)』
【ゆま】
『怪我ない?』
【生徒会長】
『は、はい...』
【ゆま】
『そう、良かった』ニコ
クルッ
【ゆま】
『ちょっと、女の子に刃物向けちゃ駄目って学校で習わなかったの?おじさん』
【ショウ】
『おz・・・うるせぇ!!!何だでめぇ!!』
65 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:29:05.32 ID:mh1LbyyV0(14/28)
【ゆま】
『女の子には優しくしないと、モテないよ?』
【ショウ】
『俺がモテないだと・・・ふざけんなぁぁぁああ!!!』ダダダダ!!
【ゆま】
『よっと』ヒラリ
【ショウ】
『女のくせに!!女のくせにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!』ブン
【ショウ】
『俺のことを馬鹿にするなぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!』ガァァァ
【ゆま】
『・・・もう』ヒラ、シュン
【ゆま】
『しょうがない、な!!』ゲシッ
【ショウ】
『がっ!!』カラン
【弟分】
『(な・・・このお譲ちゃん、ショウさんが持ってるナイフを蹴り落しやがった...)』
【ゆま】
『よっと』ガシッ
【ショウ】
『がはっ!!』
【ゆま】
『ちょっとの間・・・』クルッ、ヒョイ
【ゆま】
『眠ってて!!!!』ドン!!!
【ショウ】
『がっ!!!』
【生徒会長】
『(あ、あの人・・・足で相手の首を絞めて)』
【生徒会長】
『(そのまま相手の頭を地面に叩きつけるなんて...)』
【弟分】
『(どんな運動神経してんだ・・・このお譲ちゃん)』
66 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:31:05.42 ID:mh1LbyyV0(15/28)
【ゆま】
『こっちは毎日のように化物と戦ってるんだから』
【ゆま】
『ナイフの一つや二つ、全然怖くないって...』
【ショウ】
『・・・・』キゼツ
【ゆま】
『...ちょっとやりすぎたかな?』
【弟分】
『お嬢ちゃん、すまねぇ』
【ゆま】
『ん?あなたは?』
【弟分】
『この人の連れだ。悪いことしちまったな』
【ゆま】
『ほんとだよ、下手したら犯罪だよ?』
【弟分】
『ああ・・・』
【弟分】
『昔は、こうじゃなかったんだ...』
【弟分】
『この人が人気No.1ホストだった頃は、女にも困らず・・・むしろ、女に貢がせる毎日だった』
【弟分】
『でも、それも長くは続かなくて』
【弟分】
『年を取るにつれて、ホストとしての人気も若い奴らに取られちまった』
【弟分】
『挙句の果てには客の女に騙されて、逆に密がされる始末さ』
【弟分】
『それでもショウさん・・・過去の栄光を忘れられないで』
【弟分】
『こんなことを...』
67 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:34:04.81 ID:mh1LbyyV0(16/28)
【ゆま】
『あなた大丈夫?』
【生徒会長】
『あ・・・はい』
【弟分】
『(あ・・・この娘、聞いてなかった)』
【ゆま】
『ごめんね。怖いものみせちゃって』
【生徒会長】
『い・・いえ、大丈夫です』
【ゆま】
『...ん?』ズイ
【生徒会長】
『はひ!?』
【ゆま】
『あなた、どっかで見たことあるような...』
【生徒会長】
『あ・・・あの、顔が近いです...』
【ゆま】
『あ、思い出した!!うちの学校の生徒会長さんだ!!』
【生徒会長】
『え!?あ、あなた、ひょっとして白女の生徒...?』
【ゆま】
『うん、私千歳ゆま。宜しく、生徒会長さん』
【生徒会長】
『千歳・・・ゆま・・・』
【生徒会長】
『(とてもお強くて・・・)』
【生徒会長】
『(そして、綺麗な方・・・)』ボー
68 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:36:03.29 ID:mh1LbyyV0(17/28)
【ゆま】
『あ、膝擦り剥いてるよ。生徒会長さん』
【生徒会長】
『え?あ・・ああ、恐らく先程転んだ時に...』
【生徒会長】
『お気になさらず、この程度でしたら...』
【ゆま】
『駄目だよ、後でばい菌とか入っちゃったら大変だし』
【生徒会長】
『え?い・・・いや、確かにそうですが...』
【ゆま】
『でも・・・そうだな、う〜ん』
【生徒会長】
『あ、あの...』
【ゆま】
『ねぇ、生徒会長さん』
【ゆま】
『目、瞑ってて?』
【生徒会長】
『えぇ!?い・・いきなりそのような...!!』アタフタ
【ゆま】
『いいから』
【生徒会長】
『は・・・はひ』
【ゆま】
『あなたも』
【弟分】
『ええ!?』
【ゆま】
『早く!!』
【弟分】
『は、はい!!』
【生徒会長】
『・・・』ドキドキ
69 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:38:55.22 ID:mh1LbyyV0(18/28)
パァァァアア
【ゆま】
『うん、いいよ目開けても』
【生徒会長】
『は、はい』
【生徒会長】
『...え?』
【生徒会長】
『あ・・・そんな、傷が...』
【弟分】
『(あ、ショウさんの傷も...)』
【生徒会長】
『な・・・何をしましたの?』
【ゆま】
『ん〜、そうだな...』
【ゆま】
『魔法を掛けたんだよ』ニコ
【生徒会長】
『は?』
【ゆま】
『あはは、なーんてね』
【生徒会長】
『え?あ・・・あの』
【ゆま】
『あ、私もう行かなきゃ』
【生徒会長】
『え、そんな・・・もう少し...』
【ゆま】
『ごめんね。ちょっと用事があって』
70 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:41:19.15 ID:mh1LbyyV0(19/28)
【ゆま】
『(今日はそこのおじさんのせいで瘴気が濃いからなぁ・・・)』
【生徒会長】
『あ、あの・・・このお礼はいつか必ず・・・!!』
【ゆま】
『えー、いいよ別に』キニシナイデ
【生徒会長】
『いいえ。それでは私の気持ちが治まりません!!』
【ゆま】
『んー、じゃあさ』
【ゆま】
『お友達になろ?生徒会長さん』
【生徒会長】
『・・・え?』
【ゆま】
『駄目?』
【生徒会長】
『だ、駄目なんて・・・そんな!!喜んでお受けしますわ!!』
【ゆま】
『ほんと?やったー!!』
【ゆま】
『じゃあ、学校でも仲良くしてねっ』
【ゆま】
『生徒会長さん』ニコ
【生徒会長】
『』ズキューーーン
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
71 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:47:54.67 ID:mh1LbyyV0(20/28)
【生徒会長】
「あの時の笑顔は、まこと天使のようでしたわ」ウットリ
【タツヤ】
「(長いなぁ...)」タイイクズワリ
【生徒会長】
「それからというもの、私と千歳様は...」
【タツヤ】
「(まだ続くのかぁ...)」
あれから、生徒会長さんはすっかり自分の世界に入ってしまったようで...。
自分とゆまさんとのことを永遠と語り続けている。
あまりに長いもんだから、俺は途中からは地べたに腰を下ろして聞いていた。
どうしよう、校内の生徒・・・殆ど帰っちゃったよ...。
【副会長】
「君」
【タツヤ】
「うわっ!?」ドテン
会長さんの話を手持ち無沙汰にしながら聞いていると、突然人の顔が視界に入ってくる。
完全に油断していた俺は、驚きのあまりそのまま後ろに倒れてしまう。
視界に現れたのは、今の今までずっと喋っていなかった副会長さんだった。
...この人、今まで何処にいたんだ。気配すら感じなかったぞ・・・。
【副会長】
「会長はこうなると止まらない」
【副会長】
「会長に構わず、早急に他を当たった方が良いだろう」
【タツヤ】
「え?でも...」
副会長さんは表情を変えずに、淡々と話してくる。
いや、この人放置してていいのか...?色々不味いんじゃ...。
【生徒会長】
「千歳様のことを色々調べまして・・・」
【生徒会長】
「身長164m、3サイズは上からバスト84、ウエスト53、ヒップ83...」
【副会長】
「...な?」
【タツヤ】
「...はい」
もう、色々手遅れでした...。
72 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:49:51.82 ID:mh1LbyyV0(21/28)
うん、あれだ・・・この言葉だけは使いたくなかったけど...。
必死に誤魔化してきたけど・・・もう限界だ、絶えられない。
この人・・・・・変態だ。
お嬢様だからとか、そんな問題じゃなかった。お巡りさん、この人です。
【副会長】
「此処の生徒を探すなら、職員室に行ってみると良い」
【副会長】
「職員室はこの先のつき辺りを左に行くとある」
【タツヤ】
「あ、ありがとうございます」
副会長さんは親切に職員室への行き方を教えてくれる。
居場所は分からなくても、連絡先くらいなら教えてくれるかもしれない、ということだ。
この物静かな雰囲気や冷静な物言いをするところとかを見ると、この人は本当に生徒会役員って感じだな...。
それに比べて...
【生徒会長】
「あの綺麗な緑色の長い髪をいつか私は・・・・うふふふふふふ」クネクネクネ
【副会長】
「早く行った方がいい」
【タツヤ】
「...はい」
なんでこっちの変態が会長で、この人が副会長なんだろう...。
完全に両極端にいるよな、この二人。
案外、その方が上手くバランス取れるのかな・・・よく分からないけど。
...そんな事今はどうでもいいか。早く職員室に行こう。
俺は案内してくれた副会長さんに軽く会釈し、足早に職員室に向かった。
73 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:52:25.53 ID:mh1LbyyV0(22/28)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
【タツヤ】
「ここかな...?」
副会長さんの言うとおり道を進むと、一つだけ明かりの付いている部屋が見える。
多分、あそこが職員室だろう。
職員室へは、近くにある職員用の玄関から入ってくれればいいと、さっき副会長さんが教えてくれた。
俺はその玄関で来客者用のスリッパに履き替え、職員室までの廊下を歩く。
【タツヤ】
「あ・・・あの人先生かな?」
その途中で、此処の教師らしき人の背中が見える。
せっかくだから声を掛けてみようかな。
【タツヤ】
「あの、すいません」
【白女教師】
「はい、何?」
【白女教師】
「って、あなた見滝原の生徒ね...」
【白女教師】
「何か用?」
振り返ったその人は比較的若めの先生で、さっきの副会長さん同様眼鏡を掛けている。
ちょっとキツそうな印象を受けるのが気になるが、それくらいで怯んではいられない。
とりあえず、聞くだけ聞いてみよう。
【タツヤ】
「あの、人を探してるんですけど」
【タツヤ】
「千歳ゆまさんって、此処の生徒なんですよね?」
【白女教師】
「千歳...」ピク
【白女教師】
「あの問題児か...」ボソッ
【タツヤ】
「え?」
74 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 01:56:25.15 ID:mh1LbyyV0(23/28)
この人が何か小さく呟いたような気がしたが、上手く聞き取れなかった。
いや、それよりも・・・気のせいか、ゆまさんの名前を出した瞬間、この人の表情が歪んだような...。
ゆまさん、学校でどんな生活送っているんだろう。
さっきの会長さんといい、あの人のことが少し心配になってきた...。
【白女教師】
「何でもないわ」
【白女教師】
「千歳さんならもう帰ったわよ」
【タツヤ】
「えぇ!?本当っすか!?」
【白女教師】
「本当よ、今日は早退したわ」
全然見掛けないと思ったけど、早退していたのか。
じゃあ、俺が此処に来た頃にはもういなかったってこと?なんか、損した気分だ...。
でも、なんで早退なんだ...?あの人の事だから、体調不良ってわけじゃないんだろうけど。
ひょっとして、魔獣退治に行ったのかな。
【白女教師】
「全く、あの娘はいつもいつも・・・そんなに私の授業がつまらないっていうの...」ブツブツ
...あ、どうやらそんなちゃんとした理由じゃなかったみたい。
授業にはちゃんと出ようよ・・・ゆまさん。
【タツヤ】
「あのー・・・?」
【白女教師】
「何?」
【タツヤ】
「千歳さんの連絡先とかって教えてもらえないですかね?」
このまま帰ったんじゃ、何をしに来たのか分からない。
何とか連絡先だけでも聞こうと、俺はゆまさんのことでブツブツ呟いているこの先生に尋ねてみる。
副会長さんは、頼めば教えてくれるって言っていたけど。
本当に大丈夫かな...。
こういう風に言うのは失礼かもしれないけど・・・この先生頭硬そうだしな...。
75 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 02:00:21.78 ID:mh1LbyyV0(24/28)
【白女教師】
「...ごめんなさい、それは出来ないわ」
【白女教師】
「あなた、一応部外者だし」
予想通りと言うべきか、生徒のプライベートがどうとかと理由を付けられ断わられてしまった。
部外者か、確かにそうなんだけど...。もうちょっと柔軟性を持ってくれても・・・無理だろうか。
【タツヤ】
「そこをなんとか...!!」
【白女教師】
「そう言われてもねぇ」
【タツヤ】
「うぅ...」
俺も何とか食い下がろうとするが、この先生に軽くあしらわれてしまう。
このままでは本当に無駄骨に終わってしまう・・・どうしよう。
今更別の先生にお願いってのも無理だろうし...。
「き・・・君!!」
【タツヤ】
「え?」
そう・・・俺が諦めかけた時だった―――――
「か・・・鹿目という子は君かねっ?」
【タツヤ】
「え、はい・・・そうですけど、あなたは?」
突然、何処からともなく現れた年配の老人が――――俺の事を呼んだのは。
あれ・・・この人、何処かで見たことあるような...?
【白女教師】
「どうしたんですか理事長。そんなに慌てて?」
【タツヤ】
「え、理事長...!?」
そうだ、思い出した!!よくニュースとかに出てる人だ・・・この人。
確か、白女系列の学校全てにおいての代表者だっていう結構有名な人だ。
国家議員としても活躍していて、次の総理大臣最有力候補って言われているんだっけ?
政治とかそういう事に疎い俺でも名前は聞いた事あるくらいだから、相当凄い人なんだろうな。
な、なんで・・・そんな偉い人が俺のこと知っているんだ。
76 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 02:03:14.62 ID:mh1LbyyV0(25/28)
【白女理事長】
「君!!早くこの子に彼女の連絡先を教えてあげるんだ!!」
【白女】
「えっ!?し・・・しかし...」
【白女理事長】
「私が良いと言っているんだ、は・・・早くしたまえ!!!」
【白女教師】
「は・・・はい!!!!」
理事長さんは俺と一緒にいた先生に向かって、もの凄い形相で捲くし立てる。
それを受けて、その先生は血相を変えて職員室に戻っていった。
な・・・なんだなんだ!?この人、俺の話を聞いていたのか?
だとしても、どうしてわざわざこんな事を・・・いや、こっちとしては有難いんだけど...。
なんか、気味が悪いぞ。
【白女教師】
「...お待たせ、これに千歳さんの連絡先が乗ってるわ」
【タツヤ】
「えっと・・・あの・・・ありがとう、ございます...」
少しすると、その先生が戻ってきて俺に書類みたいな物を渡してくる。
確認してみると、そこにはゆまさんが住んでいる所の住所などが記載されてあった。
此処に行けば、ゆまさんに会えるのかな...?
【白女理事長】
「さあさあ!!用事は済んだだろう?早く帰りなさい!!」
【タツヤ】
「え?な、何で...」
俺に書類が渡ると、今度は俺にその凄い形相を向けてくる理事長さん。
な・・・何をそんなに焦っているんだ、この人。
というか、テレビとかで見る時と印象が全然違うな...。
もっとこう・・・温厚な人だったような・・・き、気のせいかな?
77 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 02:05:26.19 ID:mh1LbyyV0(26/28)
【白女理事長】
「頼むから早く帰っとくれ!!!!!」
【タツヤ】
「は、はい!!!」
結局、理事長に追い出される形となった俺は、小走りで校門前まで戻ったのだった。
そして、そのまま家までの道を歩いていく。
【タツヤ】
「(なんなんだよ・・・もう)」
俺なんか悪いことしたのかな...?なんか、色々振り回されたような気がする。
お嬢様学校って疲れるんだな...。
でも・・・まあ、ゆまさんの住んでいる所は分かったし、とりあえずはOKかな。
今日はもう遅いし・・・次の休みにでも行ってみるか。
そして、あの事件のことで・・・知っていることがあったら教えてもらおう。
【白女理事長】
「ゼェゼェ...」
【白女教師】
「あの、理事長?」
【白女理事長】
「な、何をしとる。早く仕事に戻らないか」
【白女教師】
「は・・・はあ」
78 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/15(土) 02:10:29.45 ID:mh1LbyyV0(27/28)
――――――――――――――――――――
理事長室―――
【白女理事長】
「...これで良かったのかね?」
「ええ、上出来ですわ」
「少々、強引すぎでしたけど」
【白女理事長】
「そ・・それは君が...!!」
「先生?」
【白女理事長】
「ひっ・・・!!」
「先生、もう直ぐ選挙だそうですね...」
【白女理事長】
「ひ、ひぃぃぃ、勘弁してくれぇ美国君!!!!」
【織莉子】
「ふふふ、せっかく今まであの手この手で必死に築いてきた政界での地位・・・こんな所で崩したくはないですものね」
【織莉子】
「...物事は穏便に済ませましょう?」
【織莉子】
「 次 期 総 理 大 臣 候 補 様 」ニコォ
【白女理事長】
「う・・・うぅ...」
79 川´_ゝ`){1hの投稿は疲れるね ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/12/15(土) 02:15:12.16 ID:mh1LbyyV0(28/28)
今回は以上になります。お疲れ様でした。
地の文無しの回想パートって長いと表現難しいですね。
それはともかく、次回はほむらパートになる予定です。
それではまた次回。お休みなさい ノシ
あ、みんな選挙にはちゃんと行こうね←どんな締めだ
80 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/15(土) 02:40:34.20 ID:Gh0+yAgdo(1)
ショウさん(´;ω;`)
81 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/15(土) 03:06:56.09 ID:e+J5u01DO携(1)
やっぱ、この姉ちゃんおっかねぇな
82 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/16(日) 01:59:55.10 ID:EeyD1pz3o(1)
乙
あぁやっぱ落ちぶれたのかショウさん…
そして織莉子が裏で手を回していたのかww
83 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/17(月) 02:38:53.87 ID:TrwHRid90(1)
乙
さすがに10年後のホストならしかたないね
84 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/17(月) 02:56:26.01 ID:QX/SlDwro(1)
乙乙!
なんだ織莉子のせいか
詢子さんがなんかしたのかと思ったwww
85 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/26(水) 22:36:29.33 ID:Bd+Ja9ot0(1)
更新が待ち遠しいぜ!
年末だし>>1は忙しいのかな?
86 川´_ゝ`){待たせたな(震え声) ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/29(土) 01:12:46.77 ID:T/tmqz2S0(1)
夜遅くにこんばんわ>>1です。いつも閲覧&コメ有難う御座います。
遅くなって申し訳ありません。ちょっとリアでバタバタしてました。
次回の投稿ですが、31日0時以降を予定しております。
多分今年最後の投稿になると思いますが、宜しくお願いします。
それでは次回の投稿で、お休みなさい。ノシ
あ、そうだ。もう時期は過ぎましたが、最後にこれだけは言わせてください。
メぇぇぇ〜〜リぃぃぃぃクリっスマぁぁぁーーースぅ!!ひゃぁーーはっはっはっはっはぁーーーっ
87 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/29(土) 01:21:28.96 ID:QHQkAAFE0(1)
メリークリスマス
あかん >>1が不定の狂気に陥ってる だれか『精神分析』技能持ってない?
88 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/29(土) 15:58:17.42 ID:0a+xF89+o(1)
>>87
その技能でファンブル出したら、狂気を重症化させちゃわないか。
健常者に精神疾患を植え付ける危険さえあったような気がする。
89 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/29(土) 21:08:04.20 ID:Gg8wFvvWo(1/2)
分析
90 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/29(土) 21:08:31.32 ID:Gg8wFvvWo(2/2)
ミスったぁぁぁぁぁぁぁ
91 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/29(土) 23:07:18.43 ID:0E1jh9G7o(1)
くっ誰かボンボン読者はいないのか!?
92 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/29(土) 23:19:25.33 ID:y15SqqUSo(1)
LaLaLaクッキンガーとかSDガンダムしか覚えてない
93 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/30(日) 08:59:25.40 ID:mZdaVZeIO携(1)
ヴァジュリーラェ・・・
94 川´_ゝ`){大晦日だぞ ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/12/31(月) 00:29:52.61 ID:oLUsm4a60(1/28)
夜遅くにこんばんわ>>1です。いつも閲覧有難う御座います。
岩本版X4が打ち切りになったのは未だに納得できないよ、ヴァジュリーラ先生
それでは続きを投稿します。
95 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/12/31(月) 00:32:43.05 ID:oLUsm4a60(2/28)
――――――――――――――――――――
あすなろ市――――
「ありがとうございましたー」
【ほむら】
「(すっかり遅くなったわね...)」
夜も更け人通りも少なくなってくるような時間帯に、私はあすなろ市にあるコンビニで食料を調達していた。
今日は仕事が思ったよりも長引き、帰りが遅くなってしまった。
普段は家に帰ってから買い物に行くのだが、そういった理由のあり、帰宅の途中で済ませたのだ。
立花さん達は夕食を食べていけと言ってくれたけど、なんだか悪い気がしたので断った。
それに・・・以前美佐子さんに言われたこともあって、少し気まずかったから。
【ほむら】
「(早く帰らないと...)」
さっきから言っているとおり、もう夜も遅い。
外は完全に暗くなっており、街灯が帰り道を照らしている。私の他に通行人も殆どいない。
立花さんのお店から私の家までは距離があるので、歩くとすればそれなりに時間が掛かってしまう。
仕事の終わりが遅ければ、必然的に帰りも遅くなってしまうのだ。
魔法を使って飛んでいけば直ぐなのだが、流石にこんな事で魔力を消費したくない。
私はコンビニ袋を手に持ち、少し駆け足気味で帰り道を進んでいく。
・・・別に帰りが遅くなるのが嫌なわけではない。
今日は珍しく気配を感じないが、普段この時間は魔獣退治をしている。
魔獣を片付けグリーフシードを回収し家に帰る頃には、日付が変わっていたことだってあるのだ。
だから、時間が遅いから急ぐとかそんな理由ではない。
ただ・・・これくらいの時間になると、色々不便なのだ・・・私の場合。
なぜなら―――――――
【巡査】
「君、ちょっと止まりなさい」
【ほむら】
「!!」
【巡査】
「君、未成年だよね?」
【巡査】
「駄目じゃないか、こんな夜遅くに外を出歩いちゃ...」
【ほむら】
「(また...)」
―――――――こうなるからである。
96 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/31(月) 00:36:59.27 ID:oLUsm4a60(3/28)
私の前に立っているのは、夜のパトロールをしている警察・・・お巡りさんと言った方がいいだろうか。
中肉中背で年齢も比較的若めの人だ。多分、私と年齢自体は大して変わらないだろう。
そう、年齢だけは・・・。
【巡査】
「家は何処にあるの?ご家族は?あれだったら連絡しなくちゃ...」
彼は私に向かって、まるで子供に注意するかのように語りかけてくる。
別に驚きはしない。もう、こういう場面には何度も遭遇している。
それに、実際無理もないだろう。
私の容姿は―――――――中学生の頃のままなのだから。
【ほむら】
「お構いなく」
【ほむら】
「私、未成年じゃないですから」
表情を変えずにそう言い捨てる。それは、もう何度言ったか分からないような台詞だった。
【巡査】
「え?」
【巡査】
「あはは、大人をからかっちゃいけないよ」
この人は一瞬、虚を衝かれたような表情を見せるが、再び直ぐに子供に対して言い聞かせるような対応を取る。
この反応も何度されたか分からない。
予想通りの反応過ぎて、子ども扱いされることにもはや何の感情も湧かない。
【巡査】
「だって君はどっからどう見たって子供じゃないk...」
ス...
【ほむら】
「...どうぞ」
私はこの人の言葉を遮るように、鞄からあるものを取り出し目の前に差し出す。
それは、私が大人であると証明できる唯一の代物。
【巡査】
「これは・・・・え?」
【巡査】
「...免許?」
97 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/31(月) 00:39:16.63 ID:oLUsm4a60(4/28)
彼に渡したのは、こういう時の為に取得しておいた運転免許証。
別に車を運転するわけじゃないけど、こういう年齢を確認できる物を1つくらい持っておかないと、中々信じてもらえない。
この免許を取得する時も大分苦労したが、色々試行錯誤して何とか取得することができた。
...具体的には、ゆまの保護者をやっている白い腹黒女の力を借りた。
アレの力を借りるなんて死ぬほど嫌だったけど、ゆまの好意でもあったし、何より自分の為だったので仕方なく承諾した。
【巡査】
「え?・・・年生まれって、じゃあ君は...」
警察は免許証と私の顔を交互に見比べながら、目を丸くしている。
まあ・・・この反応も、もう何度も見たのだけど...。
どうして、こうもみんなして同じ反応ができるのかしら...?
【ほむら】
「...もういいですか?」
【巡査】
「いや、その・・・え〜と...」
【ほむら】
「失礼します」パシッ
未だに狼狽気味のこの人から免許証を取り上げる。
証明もできたし、もうこの人に関わる理由もない。
悪いとは思うけど、これ以上面倒なことになる前に退散させてもらおう。
【巡査】
「あ、いやちょっと...!!」
この人を振り切るように私は近くにあった路地裏に走りこむ。
そして、指輪にしてあったソウルジェムを光らせた。
バサッ シュン
【巡査】
「って、あれ?」
【巡査】
「...いない?」
【ほむら】
「・・・」
彼に見つかる前に、私は魔法で翼を出して空へと飛び上がる。
そして、ビルの屋上まで飛び、そのまま身を潜めた。
98 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/31(月) 00:41:47.13 ID:oLUsm4a60(5/28)
【巡査】
「夢でも見ていたのだろうか...?」
彼は暫く路地裏を探していたが、やがて腑に落ちないような表情を浮かべながらも、その場を立ち去っていった。
【ほむら】
「...はあ」
とりあえず一安心した私は、ビルの屋上で腰を下ろした。
あまり私情で魔法は使いたくなかったのだけど・・・あの場を切り抜けるにはしょうがない、か。
...なんで私、こんな逃げるようなことしているのかしら。別に悪いことなんてしていないのに...。
【ほむら】
「いい加減疲れたわ、このやり取り...」
そう呟いて、私は大きく溜息を付く。
行く先々でこんなやり取りを繰り返さなければいけないと思うと、嫌気が差してくる。
でも、他に打つ手もないので仕方ないと言えば仕方ないのだが...。
以前、少し大人っぽい服を着て誤魔化そうとした事もあるのだが、それも結局は失敗に終わった。
その時は、少し背伸びをした中学生にしか見えなかったらしい。
私、そんなに子供っぽいのかしら...。
少し憂鬱な気分になりながら、私は帰路に着いた。
99 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/31(月) 00:43:44.89 ID:oLUsm4a60(6/28)
――――――――――――――――――――
ほむら自宅―――
【ほむら】
「...ただいま」ボソ
家に着き、誰もいない部屋で独り言を呟く。勿論、返事が返ってくるわけはない。
別に寂しいとは思わない。何年も繰り返してきた一種のルーティンワークみたいなものだから。
それに返事が返ってくるとすれば、あの珍獣くらいからだ。正直、そっちの方が気味が悪い
【ほむら】
「...汗かいたわね」
これ以上やっかいな人物と会いたくなかった私は、あの後駆け足で家に帰ってきた。
おかげで、アパートに着いた頃にはすっかり汗だくになっていた。
そのせいか、身体がベタベタしていて気持ち悪い。髪の毛のせいで首も蒸れている。
髪の毛が長いとこういう時に不便よね...。
もういっそのこと切ってしまおうか、特に髪の長さに拘りを持っているわけじゃないし。
ただ、そうするとリボンが...。
普段も仕事の時と同じように、リボンで髪の毛を縛るようにしてみようかしら...?
【ほむら】
「食事の前にシャワーでも浴びましょう...」
食事といっても大した物じゃないんだけど...。
それでも、このままで居るのも嫌だし・・・先に汗を流すとしましょう。
私はコンビニで買ってきた物を冷蔵庫にしまい、浴室に向かった。
100 第4話「犯した罪 科せられた罰」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2012/12/31(月) 00:45:58.18 ID:oLUsm4a60(7/28)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
浴室―――
シャー・・・
【ほむら】
「...ふぅ」
【ほむら】
「気持ちいい...」
シャワーヘッドから出る少し熱めのお湯が疲れた身体に染み渡る。
最近は魔獣退治以外にも色々なことがあって、こうしてゆっくりシャワーを浴びる時間も無かった。
...いや、例え時間があったとしても、なんとなく別のことに費やしてしまい、髪の毛や身体の手入れもおざなりになってしまっていただろう。
マミさんがいた頃だったら、杏子と一緒に怒られていたところだ。
魔法少女である前にあなた達女の子でしょ、って...。
今でも美佐子さんに同じようなこと言われるけど。
【ほむら】
「・・・・」
【ほむら】
「相変わらず、成長してないわね...」
立ったままシャワーを浴びていた私は、ふと目の前にある鏡に目を向ける。
そこに写っているのは、生まれたままの姿である自分。
たまに、こうして鏡で自分の身体を確認している。
少しでも成長しているんじゃないかと、淡い期待を胸に抱いて...。
しかし、現実は――――
【ほむら】
「ほんと・・・中学生の時のまま...」
一切伸びない身長―――――
――――――――女性としての発育が未熟な肉体。
そして、昔と変わらない顔立ち――――――
まるで、自分の身体だけ時間が止まってしまっているかのように、何の変化のない。
そう・・・私の身体の時間は、文字通り――――止まってしまっているのだ。
きっと、あの時から...。
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