[過去ログ] 魔法少女まどか☆マギカ〜After Ten Years of History〜【あれから10年】 (942レス)
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643 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/15(火) 00:33:47.86 ID:Rg/DWlq10(18/23)
【織莉子】
「...貴方は」
【織莉子】
「貴方は…何も理解出来ていないわ」
しかし、それでも織莉子は険しい表情を崩そうとはしない。
むしろ、タツヤの言い分に…怒りさえ感じているように見える。
両手を握りしめ、ふるふると震わせながら…彼女は言葉を続けた。
【タツヤ】
「?」
突然どうしたのかと、タツヤは首を傾げる。
彼女が何故そのように言うのか…今の彼には分らなかったのだ。
【織莉子】
「...回りを、よく見てみなさい」
先程よりも少しだけ落ち着いた雰囲気で、織莉子は話す。
そして、タツヤに示すように…彼女は静かにある方向を指さす。
彼女が指先を向けたその先には、瘴気の中に立ち並ぶ氷山があった。
【タツヤ】
「え?」
タツヤは、織莉子に釣られるように視線を氷山に向ける。
一見すると、何の変哲もないただの氷山に見える。
彼女が何故自分にこのような物を見せたのか…タツヤは理解出来なかった。
【タツヤ】
「!!!」
しかし――――タツヤが織莉子の言うように氷山を凝視してみると…状況が一変する。
タツヤは“それ”を見た瞬間、目を見開き…言葉を失った。
まるで、身体全体に衝撃が走るかのような、あるいは悪寒に襲われるかのような…そんな感覚に襲われる。
それは、この場が寒いとか…そんな理由ではない。
【タツヤ】
「なっ…」
目の前に広がる光景が…あまりにも…
彼の予想を…考えを…あまりにも、凌駕してしまっていたから…
644 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/15(火) 00:35:24.02 ID:Rg/DWlq10(19/23)
【タツヤ】
「何だよ…これ…」
タツヤの目の前には氷山がある。しかし、問題は…そこではない。
問題は、その氷山の“中身”にあったのだ―――
氷山の中身…それを、よく見てみると…そこには―――
【タツヤ】
「人が…」
【タツヤ】
「魔法少女が…凍ってる…」
魔法少女の衣装に身を包んだ数人の姿が…そこにはあった。
そう、氷漬けにされた…魔法少女の…死体が―――
【織莉子】
「恐らく、此処の魔獣に挑んで」
【織莉子】
「...敗れていった魔法少女達よ」
氷山の中で永久に眠る魔法少女達に視線を向けながら、織莉子が静かに語る。
【タツヤ】
「敗れたって…それって…」
【織莉子】
「ソウルジェムが、砕けてるでしょ」
【織莉子】
「この子達は…魔獣との戦いに負けて…」
【織莉子】
「そして…死んだのよ」
過去にも…この瘴気に侵入し、主である深化魔獣に挑んだ魔法少女が何人もいた。
しかし、そのいずれもが…魔獣を倒すまでにはいかなかったという。
戦いの途中で力尽き…魔力を失い、
あるいは…魔法少女の“魂”であるソウルジェムを砕かれ、この少女達は死んだ。
そして、此処の魔獣達によって氷漬けにされてしまったのだ。
645 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/15(火) 00:36:54.89 ID:Rg/DWlq10(20/23)
【タツヤ】
「だ、だからって…」
【タツヤ】
「どうして…こんな…」
タツヤは、理解できなかった。
今までも何度か瘴気の中に侵入してきたタツヤだが、このような光景を見るのは初めてだ。
魔法少女達の死体を、まるでオブジェであるかのように氷漬けにしている魔獣達。
何故…どうして…こんなことをするのか…と、タツヤの頭の中は疑問と悲哀の感情で溢れていた。
【織莉子】
「…『氷華の深化魔獣』」
【織莉子】
「呪いの性質は、『孤独』」
動揺するタツヤを尻目に、織莉子は話を続ける。
【織莉子】
「此処の魔獣は、自分が襲った人間や自分と戦った魔法少女達の死体を氷の中に閉じ込めて飾ってるのよ」
【織莉子】
「自分の孤独を紛らわせるためにね...」
この瘴気に巣食う魔獣の性質を、織莉子は淡々と説明していく。
誰かに一緒にいてほしい…
…構ってもらいたい…
…自分を1人にしないで欲しい…
それは、『孤独』…であるが故に…抱いてしまう人の感情…
そういった感情から生まれた魔獣だからこそ、このような奇怪な行動をとるのだと…。
死体を自分達の周りに飾ることで、あたかも自分達は1人ではないと…自らに言い聞かせるように―――
【タツヤ】
「そんな…」
タツヤは、足腰が立たなくなったかのように…その場に座り込む。
彼女の話が…目の前の光景が…そのような行動をとらせてしまった。
タツヤには…ショックが大きすぎたのだろう。
646 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/15(火) 00:38:40.83 ID:Rg/DWlq10(21/23)
【織莉子】
「…」
【織莉子】
「(この子達も…悲惨ね…)」
【織莉子】
「(こんな状態じゃ…きっと、『円環の理』にも行けないんでしょう…)」
織莉子は想う。
この場に眠る魔法少女達の、哀しき末路を…
本来、力を使い果たした魔法少女達は…『円環の理』に導かれると言われている。
しかし、此処の少女達のように…魔獣達の力によって瘴気内に閉じ込められてしまっては…
円環の女神様でも干渉は出来ないのだろう。
つまり、この魔法少女達は…『円環の理』へは行けないという事になる。
それは…『希望』を信じる魔法少女達にとって、哀しすぎる最期なのだ。
【タツヤ】
「なんで…こんな…」
【織莉子】
「…」
【タツヤ】
「こんな…酷いこと…」
タツヤは氷の中で眠る魔法少女達の前で悲痛の声を上げる。
堪えようのない哀しみを必死に抑えながら…身体の震えを、両手で必死に抑えながら…
【織莉子】
「これで、分かったでしょ?」
【タツヤ】
「…くっ」
そうしているタツヤに、織莉子が冷たく言い放つ。
この世界は、貴方の思っている程甘い世界ではない…と。
その言葉は…今この場で使うには、あまりにも残酷で…あまりにも無常で…
そして、あまりにも正論だった。
【織莉子】
「...ごめんなさい。子供に見せるものじゃなかったわね」
タツヤが項垂れているのを見て、織莉子は直ぐに彼に手を差し伸べる。
先程とは打って変わって…全てを包み込むような優しい表情を浮かべながら...。
彼女も中学生になったばかりのタツヤに、こんな光景を見せたくはなかった。
しかし、彼に自分の行動がどれだけ危険なものだったかを分らせるには…この方法しかなかった。
647 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/15(火) 00:40:17.39 ID:Rg/DWlq10(22/23)
【織莉子】
「さあ、帰りましょう。ね?」
手を静かに肩へと乗せ、囁くように語り掛ける織莉子。
この場所は、お互いに危険な場所であるとタツヤに再度言い聞かせ、彼女は瘴気内を脱出しようとしていた。
【QB】
「!!!」
【QB】
「織莉子‼」
【織莉子】
「え?」
だがしかし…彼女がタツヤに気を取られていると、キュゥべえが突然声を上げる。
その声に反応するように、織莉子はキュゥべえの居る方向へと視線を向けた。
すると、そこには―――
【魔獣】
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼‼‼」
【織莉子】
「な…っ‼‼」
【織莉子】
「そんな、もう追いつかれたというの…?」
先程、織莉子が魔法で撹乱し撒いた筈だった魔獣が…そこにはいた。
この場が魔獣達の領域(テリトリー)である以上、織莉子も完全に逃げ切れるとは思っていなかった。
それでも、一応タツヤを逃がす時間くらいは確保出来るよう撒いたつもりだった。
【織莉子】
「(くっ、予知さえ使えれば…こんなヘマしないのに…‼‼)」
【織莉子】
「(どうして、この子がいると…)」
正直、こんなに早く見つかるとは…彼女も思っていなかった。
いや…普段なら、そんな予想をする必要もない。
予知能力さえ使えば…このような事態は容易に想定できるからだ。
しかし、今の彼女にはそれが出来ない。
どういうわけか…タツヤが傍にいると、彼女は予知能力を使用することが出来ないのだ。
何故そうなってしまうのかは、彼女も未だに分ってはいない―――
648 川´_ゝ`){ひーやん& ◆hoSR1IaC/L/D [saga sage] 2013/10/15(火) 00:44:43.40 ID:Rg/DWlq10(23/23)
今回は以上になります。お疲れ様でした。
ちょっと中途半端になってしまいましたが、まだキリの良いところまで書けてないもので…
その代わり、次回は2〜3日後に更新する予定です。
それでは、今日はこの辺で。お休みなさい ノシ
649 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/15(火) 12:02:25.52 ID:IoBYFamDO携(1)
更新乙
650 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/10/18(金) 09:21:46.26 ID:vpIloY/80(1)
O☆TU
651 川´_ゝ`){掛布C待ったなし ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 00:22:18.81 ID:0/IjO0NO0(1/26)
夜遅くにこんばんわ>>1です。いつも閲覧有難うございます。
申し訳ない、少し遅れました。
それでは続きをどうぞ。
652 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 00:27:58.05 ID:0/IjO0NO0(2/26)
【魔獣】
「ガァァア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼」
【織莉子】
「危ないっ‼‼」
そんな中、魔獣は彼女達を見つけると、すぐさま口を開け冷凍ビームを撃ってくる。
織莉子は慌ててタツヤに近付き、彼と一緒にその場に滑り込む。
そして、間一髪のところで魔獣の攻撃を回避した。
【タツヤ】
「ふぇ?わっ‼‼」
タツヤは何も分からずに、その場で転倒する。
魔獣の放ったビームは織莉子達の頭上を通り、辺りの道路や建物を一瞬で凍らせた。
キュゥべえが気付いていなければ、2人共その建物らと同じようになっていただろう。
【魔獣】
「ウガ…ァァアア…ア゛ア゛ア゛…」
【織莉子】
「くっ、まずいわね…」
織莉子は直ぐに起き上がり、魔獣を目の前に複数の水晶を構え戦闘態勢に入る。
対して魔獣は、彼女の姿を見て再びビームをチャージし…発射口を織莉子へと向けた。
【タツヤ】
「いてて…」
そんな中、タツヤは織莉子より一足遅れて起き上がる。
突然押し倒されたためか、彼は魔獣の存在に気付けず…現状を把握出来ずにいた。
【魔獣】
「ウガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
【タツヤ】
「!?織莉子さん‼‼」
しかし、目の前にいる魔獣の存在に気付くと…その場で直ぐに織莉子に呼び掛ける。
だが、魔獣は既にビームのチャージを完了しており、
タツヤが気付いた頃には彼女に向けて既に冷凍ビームが発射していた。
ビームは、織莉子へ向けて真っ直ぐに飛んでいき…彼女に迫ってくる。
653 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 00:29:56.88 ID:0/IjO0NO0(3/26)
【織莉子】
「…」
しかし、織莉子はというと…今度はビームを避けようとはせず、その場で目を閉じ…そのまま立ち尽くしている。
それは一見すると、もう諦めてしまったかのようだ―――
【織莉子】
「…っ‼‼」
だが、タツヤがそう感じたのも束の間、織莉子は閉じていた両目を力強く開く。
その姿を見たタツヤは、彼女の両目が生気に満ちているのを感じた。
織莉子の目は…まだ死んでなんかいない。
そう、彼女は―――
【織莉子】
「―――Verseau―――」
決して…諦めてなどいなかった―――
【タツヤ】
「え、な…何?」
突然、織莉子が見知らぬ言葉を発すると、それに反応するように彼女の周りに水晶玉が出現する。
水晶玉は織莉子の前方に陣取り、何かを作り出すかのように配列を変えていく。
そして、水晶玉と水晶玉の間を光の線が繋ぐと、複数の水晶玉により1つの紋章が作り出される。
それは、夜空に浮かぶ星達で作られた…星座のようであった。
「メッ‼‼」
【タツヤ】
「えっ!?」
【タツヤ】
「か、亀…!?」
織莉子が水晶玉で紋章を完成させると、それは小さな魔法陣に代わる。
魔法陣はその場で眩い光を発し、瘴気内を光照らしていく。
そして、その光が最高潮に達する時…その魔法陣から一匹の可愛らしい亀の珍獣が現れた。
目の前の突然の光景に、タツヤは目を丸くし…視線を奪われる。
654 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 00:33:06.75 ID:0/IjO0NO0(4/26)
【織莉子】
「―――défense Shield―――」
「メメェ‼‼‼」シュバババ
再び織莉子が言葉を発すると、その亀は手足や頭を甲羅に引っ込める。
そして、その甲羅を勢いよく回転させ始めた。
亀の珍獣はどんどん回転スピードを上げていき…織莉子の目の前に、小さな光の壁を作り出す。
バァァァアア‼‼‼
【タツヤ】
「うあわっ」
光りの壁は、魔獣が放った冷凍ビームを真正面で受け止め…織莉子達の身を守る。
ビームを打ち消すまではいかなかったが、最悪の事態だけは避けることが出来た。
【タツヤ】
「なんだ…アレ…」
一部始終を見ていたタツヤは、思わずそう呟く。
織莉子が呼び出した(?)小さな生き物によって、自分達は攻撃を受けずに済んだ。
しかし、その生き物が一体何者なのか…彼には全く分らなかった。
【QB】
「あれは、織莉子が自身の魔法で召喚した支援獣さ」
【タツヤ】
「支援、獣…?」
そんなタツヤの疑問に答えるように、キュゥべえが彼に近付き声を掛けてくる。
あの生き物も、彼女の魔法によるものであると…
655 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 00:35:08.90 ID:0/IjO0NO0(5/26)
【QB】
「織莉子はもともと、素の戦闘能力があまり高くない」
【QB】
「だから、ああやって防御なら『防御』というふうに…」
【QB】
「一点の能力に特化した支援獣を召喚して、サポートしてもらいながら戦うのが彼女の戦闘スタイルさ」
【タツヤ】
「…」
前述したとおり、彼女は予知能力にある程度魔力を使わなければいけない為、戦闘面で使用出来る魔力は限定されている。
彼女はそんな自分の少ない魔力を十二分に活用するため、攻撃なら『攻撃』…防御なら『防御』と、
1つの能力を集中的に強化する術を習得した。
それぞれの能力に適した使役魔獣…『支援獣』を呼び出し、援護してもらうのである。
勿論、この戦い方にはデメリットもある。
1つの能力に限定して強化するため、他の能力が疎かになってしまうのだ。
しかし、彼女はそのデメリットを自らの『未来予知』でカバーしている。
相手の行動を先読みし、その状況にあった支援獣を呼び出して戦う。
それが、彼女が長年の戦いの中で身に付けた戦い方だった。
だが―――
【QB】
「でも、あれじゃ多分勝てない」
【タツヤ】
「えっ」
【魔獣】
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛…ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼‼‼‼‼」
「メ…メメ…メッ‼‼」バリンッ‼‼
キュゥべえがそう呟くと同時に、織莉子が作り出した光の壁が魔獣によって打ち消される。
冷凍ビームは光の壁を貫通することはなく、どこかへ消えていってしまった。
しかし、その反動で彼女の支援獣も一緒に消滅してしまう。
【織莉子】
「‼‼ そんな…」
【魔獣】
「ガァァアア‼‼‼」バァァア‼‼
【織莉子】
「きゃあ‼」
魔獣は、すかさず次の冷凍ビームを撃ってくる。
光の壁を失った織莉子はギリギリのところでビームを回避した。
だが、彼女はそのビームの反動をまともに受けてしまい…近くの氷山まで吹き飛ばされてしまう。
656 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 00:38:27.47 ID:0/IjO0NO0(6/26)
【タツヤ】
「なっ‼‼」
【タツヤ】
「織莉子さん‼‼」
【織莉子】
「く…ぅう…」
織莉子を心配に思ったタツヤは、大急ぎで彼女の傍へと駆け寄る。
幸い…大きな怪我は無かったが、少なからずダメージは受けているようであった。
支援獣とやらを召喚し、相手の攻撃を防いだ筈なのに…その魔法は、いとも簡単に破られてしまった。
それも、主である深化魔獣ならともかく…
只の…魔獣相手に…
【QB】
「やっぱり、その状態じゃ無理だよ織莉子」
タツヤに続いてキュゥべえも彼女に近付いてくる。
【QB】
「変身しないと...」
そして、キュゥべえは言う。
魔法少女の姿にならなければ、まともに戦うことは出来ないと―――
【織莉子】
「分ってるわよ、それくらい...」
本来、魔法少女として契約した者達は、それ相応の姿に変身して戦う。
自らの魔翌力を解放して魔獣に立ち向かうためだ。
変身せずとも魔法を使うことが出来るのだが、それでは通常の半分程度の力しか発揮できない。
只でさえ戦闘能力が今一つなのだ…
変身してない状態の織莉子では苦戦するのは…ある意味道理であった。
【織莉子】
「でも…」
だが、彼女は…
657 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 00:41:16.48 ID:0/IjO0NO0(7/26)
【タツヤ】
「織莉子さん...?」
【織莉子】
「…」
織莉子はキュゥべえの言葉を聞くと、表情を隠すように俯いてしまう。
それはまるで、珍獣から…現実から、目を背けているかのようだった。
タツヤは、そんな彼女を見て声を掛けるも…織莉子が反応することはない。
急に様子が可笑しくなった彼女を見て、タツヤはただただ首を傾げる事しか出来なかった。
【織莉子】
「タツヤ君…」
しかし、少しすると…織莉子は何かを決意したかのように顔を上げる。
彼女を心配するように見るタツヤに声を掛け、目線を合わせた。
そして―――
【織莉子】
「貴方だけで、逃げなさい」
ただ一言…自分を残して逃げろ、と―――それだけを彼を伝える。
【タツヤ】
「えっそんなっ」
【織莉子】
「コイツは、私が何とかするわ」
タツヤが困惑する中、
彼女はそう言って自分の身体を引きずるように持ち上げ…魔獣に対峙した。
その身体は、所々で先程の魔獣の攻撃による傷が目立っている。
【タツヤ】
「無茶だ‼‼だって今キュゥべえが…‼‼」
タツヤはキュゥべえが先程言った事を聞きのがしてはいなかった。
変身しなければ、あの魔獣には勝てないという、先程の言葉を…
彼女が変身しない理由は、正直よく分らない。
だが、今の織莉子を残して行ってしまったら…どうなるか、それくらいは容易に想像できる。
それなのに、彼女を見捨てて自分だけが逃げるわけにはいかない。
タツヤは織莉子にそう訴えかけようとする。
658 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 00:43:26.47 ID:0/IjO0NO0(8/26)
【魔獣】
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼」
【QB】
「来るよっ」
しかし、そんな事を言う暇もなく…魔獣がタツヤ達に襲い掛かる。
不気味なほど真っ白な息を吐き出し、鋭く尖った氷柱のようなものを口から次々と吐き出してきた。
【織莉子】
「いいから行きなさい‼‼」ドン
【タツヤ】
「うわっ」
氷柱が迫ってくる中、織莉子はタツヤを敵の攻撃から守るため、遠くへと突き飛ばす。
そして、自らは攻撃を避けようとはせず、目の前で小さな結界を展開させた。
しかし、その結界は…どう見ても魔獣の攻撃を防ぎきれるものではない。
先程のように支援獣を召喚する余裕も…魔力も、今の彼女には残っていなかったのだ。
【魔獣】
「ガァァア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼」ヒュンッヒュンッ
パリィィン
【織莉子】
「…っ‼‼」
案の定というべきか、織莉子の展開させた結界は数本の氷柱を受け止めた後に砕けてしまう。
だが、魔獣が放った氷柱の雨がそれだけで終わることはなく…
その後も次々と織莉子に無数の氷柱が襲い掛かり、彼女の身体を傷付けていった。
【タツヤ】
「ん…うぅ…」
そんな中、織莉子に突き飛ばされたタツヤは、氷山に頭をぶつけ…軽く意識を失っていた。
【タツヤ】
「…んぅ」
【タツヤ】
「…織莉子、さん」
タツヤは意識を失いながらも、周りの状況を何となく感じ取る。
659 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 00:53:53.13 ID:0/IjO0NO0(9/26)
【魔獣】
「ア゛ア゛ア゛ア゛…ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛…」
【織莉子】
「…はっ‼‼」
彼の脳内には―――1つの映像が流れていた。
それは、織莉子が自らの身を削りながら…魔獣に挑んでいる姿…
例え…どんなに不利な状況だったとしても、絶対に退こうとはしない彼女の姿だった。
何故、こんな無謀な事をするのか…それは、決まっている。
無謀にも…この世界に頭を突っ込み、こんな状況を作り出してしまった自分を…
赤の他人である自分を、守るためだ…
【タツヤ】
「…」
【タツヤ】
「…俺は」
意識が朦朧とする中、そんな紛うことなき事実を突き付けられたタツヤは…
【タツヤ】
「…」
【タツヤ】
「…俺は、また…」
また、同じことを繰り返してしまうのか。
自分は…あの人達に迷惑をかけたまま…何も出来ず、ただひたすらに…守られるだけなのか…。
勝手に首を突っ込んで、止めろと言われても我が儘を通して突き進んで…
そして、守られる…その、繰り返しなのだろうか。
何度、何度繰り返しても…結果は変わらないのだろうか。
自分は…弱いままなのだろうか――――
【タツヤ】
「く…くそぉ…」
自分は…何の為にここまで来たのだろう…。
せっかく…父や友人、自分を支えてくれる人達に背中を押してもらったというのに…
それなのに…このまま、彼女達に迷惑を掛けたまま…終わってしまうのだろうか。
タツヤは、自分の不甲斐なさに怒りすら覚え…拳を震わせる。
このまま、自分は…また…―――
660 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 00:55:09.51 ID:0/IjO0NO0(10/26)
―――また、何?―――
661 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 00:56:29.24 ID:0/IjO0NO0(11/26)
http://www.youtube.com/watch?v=6nh9uqU3tZE
【タツヤ】
「…っ」
そんな時だった―――
以前にも聞いたこともある、不思議な声が聞こえたのは…
―――また…―――
―――この(魔法少女の)世界から、逃げるの?―――
聞き覚えのある…懐かしい声が、タツヤの脳内に響く。
その声は…彼に語り掛けるように、彼の核心を付くように…
【タツヤ】
「…お、俺は…」
―――このままで、いいんだ?―――
彼を、導くように―――
【タツヤ】
「…い、嫌だ…」
【タツヤ】
「俺は…俺は…もう…」
【タツヤ】
「…二度と、逃げたく…ない…」
タツヤはその声に反応するように、歯を喰いしばり…少しずつ声を絞り出す。
あの日…身体を再生させたほむらを見て…怖くなってしまった『自分』
魔法少女達の世界から…目を背けてしまった『自分』
彼女達から…逃げ出してしまった『自分』
662 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 00:59:24.11 ID:0/IjO0NO0(12/26)
【タツヤ】
「弱い、自分を盾にして…」
【タツヤ】
「…逃げる、なんて…」
【タツヤ】
「…もう、嫌…なんだ」
そんな『自分』を…変えたいと思った―――
だから、無謀を承知で…此処まで来た―――
彼女達に自分の意思を伝える為に…タツヤは此処まで駆けてきたのだ―――――
これ以上、逃げるわけには…諦めるわけには、いかなかった。
―――………―――
―――じゃあ、どうしよっか?―――
そんなタツヤを、優しく包むように…その声は、彼に語り掛ける。
薄らと開けられたタツヤの目には…可愛らしい衣装に身を包んだ少女のシルエットが映っていた。
彼女は、徐々にタツヤに近付き…優しく、手を差し伸べる。
その姿は…さながら天使のようであった―――
663 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:00:25.21 ID:0/IjO0NO0(13/26)
【タツヤ】
「俺は…」
【タツヤ】
「…強く、なりたい…」
【タツヤ】
「もう、逃げなくてもいいくらい…」
【タツヤ】
「どんなものにも…負けないくらい…強く…」
タツヤは、彼女の差し伸べた手を掴む為に…自らの手を伸ばす。
彼女の手を力強く握りしめ…自分の意思をぶつけた。
『強くなりたい』
ただそれだけを…彼女に願ったのだ。
664 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:01:00.79 ID:0/IjO0NO0(14/26)
そう、ただただ…それだけを――――
665 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:02:26.72 ID:0/IjO0NO0(15/26)
―――…―――
―――…ッヒヒ―――
―――…いいよ―――
―――その『願い』叶えてあげる―――
彼の手を掴んだ彼女は…そう言って、口角を上げ笑みを浮かべる。
そして―――
【タツヤ】
「…え」
ズキッ
【タツヤ】
「あがっ‼‼」
【タツヤ】
「が…あ…」
刹那―――
タツヤを、『あの』頭痛が襲う。
頭を鈍器で殴られたような…
あるいは、頭を引き裂かれたかのような激痛が彼に襲い掛かった。
―――さあ…―――
―――あなたの中に眠る…その力を―――
―――解き放って―――
苦しむタツヤを優しく見守りながら…彼女は、語り続ける。
【タツヤ】
「がぁぁぁぁあああああああああああああああ‼‼‼‼‼‼」
―――そう…それでいいんだよ―――
彼の中にある『何か』を…呼び覚ます為に―――
666 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:03:56.90 ID:0/IjO0NO0(16/26)
【タツヤ】
「あああああああああああああああああああああああ‼‼‼‼」
タツヤの叫びが最高潮に達すると、彼の周りには不思議な光柱がいくつも現れ…
更には、大地を震わせるような地響きが発生し始める。
それは、まるで…世界が彼の中に眠る『力』に怯えているかのようであった―――
―――だって…―――
―――力なら…―――
―――幾らでも、あるんだから―――
―――…イヒヒッ―――
そんな状況の中でも、彼女の口元の笑みは崩れない。
相も変わらず、彼に見守り続け…優しく語り掛ける。
光の奥に…その表情を隠したまま―――
667 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:06:52.12 ID:0/IjO0NO0(17/26)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
【織莉子】
「はぁ…はぁ…」
【魔獣】
「アア゛…ガァア…」
タツヤがそのような事態になっている中、織莉子は…必死になって戦っていた。
身を挺して彼を守る為に、生身のまま戦い続けていたのだ。
その身体には、魔獣から受けた無数の傷が痛々しく残っている。
【織莉子】
「私は…こんな魔獣1匹にも…歯が立たないっていいうの…?」
フラフラになりながらも…織莉子は魔獣に対峙し、武器を構える。
しかし、彼女のどんな攻撃も…魔獣を倒すには至らなかった。
元々、今の状態では敵わないことは分っていた。
だが、流石にここまで圧倒的だと…流石の彼女もショックを隠し切れなかったのだ。
【織莉子】
「…くっ」
【織莉子】
「やっぱり…変身しないと…」
この状況を打開する方法は…1つしかない。
ソウルジェムに力を集中し、魔法少女の姿に変身することだ。
彼女は自らの白いソウルジェムを取り出し…意識を集中させる。
変身さえ出来れば、この魔獣1匹くらいはどうにかなるかもしれない。
668 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:08:39.45 ID:0/IjO0NO0(18/26)
【織莉子】
「…っ‼‼」
【織莉子】
「…、………、…‼‼」
だが―――
『織莉子…』
【織莉子】
「!!!」
意識を集中させる彼女の脳裏に、1つの映像が浮かび上がる。
それは、かつての友人の姿であり―――
忘れたくても…忘れられない、彼女の過ちの記録であった―――
【織莉子】
「…う」
【織莉子】
「ごほっ…ごほっ…うっ…あっ…」
その映像が頭の中で流れた瞬間…彼女は、突然胸が苦しくなるのを感じる。
織莉子はその場で蹲り、苦しそうに胸を抑えた。
あまりの苦しさに、自らのソウルジェムを地面に落としてしまうほどだ。
身体は震え出し、堪えようのない吐き気が…彼女を襲う。
【織莉子】
「はぁ…はぁ…」
【織莉子】
「やっぱり…駄目…」
【織莉子】
「私は…」
彼女は―――変身することが出来なかった
彼女の中にある、過去のトラウマがそれを許さなかったのだ。
変身して魔法少女の姿になれば…
自分は、再び同じ過ちを繰り返してしまうかもしれない。
そんな思いが…彼女の変身を邪魔していた。
669 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:10:52.30 ID:0/IjO0NO0(19/26)
【魔獣】
「ガァァァアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼‼‼‼‼‼」
その場で蹲る織莉子の姿を見て、魔獣が再び口を開き冷凍ビームをチャージし始める。
【魔獣】
「ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼‼」
【織莉子】
「…っ‼‼」
そして、ビームのチャージを完了すると…魔獣は織莉子に向けてその冷凍ビームを放つ。
織莉子は最早逃げることも出来ず、その場で身構えることしか出来なかった。
結界を張る時間もない、自分もいよいよここまでか…と
織莉子は思いを巡らせながら、静かに目を瞑る。
こんな未来は予知できなかったが…
それが、自分の『運命』なら…受け入れるしかない。
最期に、あの少年を助けることが出来て――――
ヒュン タタッ
良かったな、と――――
安堵、しながら――――
670 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:11:54.09 ID:0/IjO0NO0(20/26)
【織莉子】
「…え?」
だが、しかし―――
そんな彼女の想いは…突如として、打ち消される。
【タツヤ】
「…」
自分が守った筈の、少年の手によって―――
671 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:14:59.90 ID:0/IjO0NO0(21/26)
【織莉子】
「あ、貴方…」
何が起きたのか…彼女には分らない。
魔獣による攻撃は、織莉子に命中したかに見えたのだ。
しかし、ギリギリのところで彼女はこの少年に抱きかかえられ、攻撃を回避することになった。
【タツヤ】
「…大丈夫ですか」
【織莉子】
「え、ええ...」
【タツヤ】
「…良かった」
戸惑いながらも、織莉子は少年に応える。
そう、彼女は…戸惑っていたのだ。
この少年は…一体誰なのだろう、と―――――
分っている、自分が可笑しな事を言っていることくらい…
だが、そう思ってしまう程に…今の彼は、先程までとは雰囲気が変わってしまっていたのだ。
光りに包まれたかのようなオーラを身に纏い、
そのオーラの影響か…髪の毛は逆立ち、色も色素を失ったかのような白色に変わっている。
目つきは再び鋭くなり、眼光も真っ赤に染まっていた。
最早、彼と親しい人物でさえ…
『彼は果たして本当に鹿目タツヤなのだろうか?』
と疑問を覚えてしまう程に―――
それ程までに…今のタツヤは、原型を留めてはいなかった。
【魔獣】
「ガァアアア‼‼‼ア゛ア゛ア゛‼‼‼」
【タツヤ】
「…下がっててください」
【タツヤ】
「…この化物は、俺が片付けます」
タツヤは織莉子を下ろすと、彼女の前に立ち魔獣と対峙する。
そして、落ち着いた口調で彼女に声を掛けた。
この魔獣は…自分が倒す、と―――
672 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:16:55.10 ID:0/IjO0NO0(22/26)
【織莉子】
「な、何言って…」
突然何を言い出すのかと、織莉子はタツヤを呼び止める。
普通の人間であるタツヤが…魔獣に勝てるはずがないと…そう、思ったから。
もっとも、今のタツヤは…どう見ても普通ではないのだが…。
【タツヤ】
「…っ‼‼」
【織莉子】
「きゃあっ」
しかし、織莉子がそう呼びかけるのとほぼ同時に…タツヤが纏うオーラが輝き始めた。
織莉子がその輝きに驚き…ふら付く中、タツヤは地面をしっかりと踏みしめ意識を集中させる。
彼に反応するように、瘴気内の建物やその他諸々がざわつき始めた。
http://www.youtube.com/watch?v=PQ1nPERg2XY
【織莉子】
「…え?」
体制を崩してしまった織莉子は、近くの氷山の前で尻餅を付いてしまう。
そして、ふと氷山を見上げると…彼女は“ある異変”に気付いた・
それは―――
【織莉子】
「氷づけにされた、魔法少女達の…」
【織莉子】
「砕けた、ソウルジェムが…」
そう、氷山内で永眠する魔法少女達のソウルジェムが…
まるで生きて活動しているかのように…光り輝き始めていたのだ―――
【タツヤ】
「…」
その光は、やがて1つに集まり…大きな光となって、タツヤの下へと注がれていく。
【織莉子】
「…うっ」
そして、織莉子のソウルジェムもまた…彼女らと同様、その輝きを強めていく。
必要以上な輝きを見せるソウルジェムに、彼女は戸惑いを隠せずにいた。
やがて、彼女のソウルジェムの光もまた…タツヤの下へと近づいていく。
673 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:18:43.54 ID:0/IjO0NO0(23/26)
【織莉子】
「(何…これ…?)」
【織莉子】
「(力が、抜けていく…)」
同時に、彼女は自分の身体に…力が入らなくなるのを感じた。
それは、自分の中から…何かが抜けていくような感覚…
魔法を使っているわけでもないのに、魔力が徐々に減っているような…そんな感覚だった。
【タツヤ】
「…っ‼‼」
そして、タツヤはというと…彼女達のソウルジェムの光を一身に浴び、全身を覆うオーラを徐々に大きくさせていく。
只でさえ強力な魔力を、ますます強くさせているように見えた。
まるで、死んでいった魔法少女達の残された最期の魔力が…彼に力を与えているかのようであった。
だから、織莉子のソウルジェムもまた…彼に力を与えようとしていたのかもしれない。
少なくとも、今この場では…そのように見えたのだ。
【織莉子】
「(何…何なの…)」
【織莉子】
「(この子の…この力は…)」
タツヤの姿を…力を見て、驚くことしか出来ない織莉子。
今までずっと彼の事を、少し無鉄砲な子供くらいにしか思っていなかった彼女にとって、今の光景は信じることが出来なかった。
しかし、彼女が呆然と立ち尽くしている間も…彼の力はより強大になっていく。
彼を覆うオーラはますますその輝きを強くさせ、より大きなものへとなっていく。
【タツヤ】
「…はぁああ‼‼‼」
そして、タツヤは掛け声と共に一気に左手を振り上げた。
すると…彼を覆ていたオーラが左手に集まっていく。
まるで、その強力な力が…左手に集中しているかのようであった。
674 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:21:24.07 ID:0/IjO0NO0(24/26)
【織莉子】
「!!!」
【織莉子】
「あ…あれって…」
一部始終を見ていた織莉子が思わず声を上げる。
タツヤの左手に集まったオーラが、徐々に形を変え…何かを具現化させていったからだ。
オーラは、彼の身長と同等の細い武器へと変化していく。
全体的に黒を基調とし…少し長めのグリップの両端から剣身を伸ばしている。
それは、2つの剣の柄頭を重ね合わせて作り出したような…1つの得物へと変貌した。
【QB】
「…」
【QB】
「そうか…」
【QB】
「それが…君の…」
そう、それは紛れもなく…タツヤ自身が作り出した――――
彼、専用の―――
【タツヤ】
「…」
【織莉子】
「双、刃…剣…」
―――武器で、あると…
タツヤは…彼専用の武器をその手に握りしめる。
グリップの両端に…2つの剣身を伸ばす特殊な剣…
『双刃剣』を―――
675 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:23:20.02 ID:0/IjO0NO0(25/26)
【QB】
「…そして」
【QB】
「君の…魔法は…」
そんなタツヤに視線を送りながら…何か答を見出したかのように、キュゥべえが呟く。
彼を見上げる今のキュゥべえは…物事の核心に辿り着いたかのような…そんな表情をしていた。
キュゥべえの辿り着いた答が…真実が、何を意味しているのか…
それは、今は誰も分らない―――
http://hp41.0zero.jp/data/800/tiger2/pri/37.jpg
【魔獣】
「ア゛ア゛ア゛…ア゛ア゛ア゛ア゛…ア゛ア゛…」
【タツヤ】
「…かかってこい」
【タツヤ】
「…化物っ‼‼」
しかし、そんなキュゥべえや織莉子の事を知る由もなく
タツヤは剣を構え、魔獣に対峙する。
そして、目の前の化物に一心不乱に挑んでいくのであった。
676 川´_ゝ`){オマリーCも待ったなし ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/10/20(日) 01:35:36.86 ID:0/IjO0NO0(26/26)
今回は以上になります。お疲れ様でした。
まどか→弓
ほむら→重火器→弓
さやか→剣
マミ →マスケット銃
杏子 →槍
ゆま →ハンマー
織莉子→水晶
キリカ→クロー
かずみ→杖
タツヤ→双刃剣←NEW
よっしゃ、何も問題はないな(白目)
いや、本当すいません。調子乗りました、はい。
5話ですが、後3回くらいの更新で終わる予定です。
更新が何時になるか分りませんが、なるべく早く更新したいです(フラグ)
長文失礼しました。それでは、また次回。お休みなさい ノシ
677 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/20(日) 01:38:49.61 ID:sD174QL6o(1)
たっくんが素で変わってしまった
なんだかよくわからない謎のキャラに
678 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/29(火) 22:50:11.86 ID:g2nisqBDO携(1)
遅くなったが乙
679 川´_ゝ`){近況報告 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/11/18(月) 00:06:17.54 ID:omB5QN6j0(1)
夜遅くにこんばんわ>>1です。いつも閲覧&コメ有難うございます。
今日は近況報告しに来ました。
現在、次の更新分までの進行度は6〜7割といったところです。
なんとか11月中には更新できるように頑張ります。
ついでに劇場版見に行って来ました。
一応、それに合わせてこのSSの今後の内容も若干修正中です。
といっても物語の大筋に影響はほぼないのですが
なので、今後は叛逆のネタバレが若干含まれます、ご注意下さい。
長文失礼しました。それでは、お休みなさい。ノシ
680 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/11/20(水) 08:06:46.45 ID:ZAbhebS80(1)
公式でタツほむ否定されてメシウマ
681 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/11/21(木) 07:08:23.67 ID:KZS5zBEDO携(1)
>>680
帰れ百合豚
682 川´_ゝ`){愛ってなんだ ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/11/30(土) 01:46:32.45 ID:NCb/v68m0(1)
夜遅くにこんばんわ>>1です。いつも閲覧有難うございます。
お待たせしました。
次回ですが、土日のどちらか0時頃に投稿出来ると思います。
宜しくお願いします。
今日は簡単な報告だけ、それではお休みなさい。ノシ
683 川´_ゝ`){54分遅れた ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 00:55:54.13 ID:4JR8vyGW0(1/23)
夜遅くにこんばんわ>>1です。
それでは続きを投稿します。
684 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 00:59:42.63 ID:4JR8vyGW0(2/23)
http://www.youtube.com/watch?v=fZneQCCnESU
【魔獣】
「ガァァァアア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼‼」バァアア
魔獣はタツヤの姿を見て、標的を彼に移す。
そして、再び鋭く尖った氷塊をタツヤに向けて吐き出した。
氷塊は次々と発射され、障害物をいとも簡単に貫き…タツヤに襲い掛かってくる。
【織莉子】
「あ、危ないっ」
織莉子が声を掛けるも、避ける時間などなく…氷塊は目の前まで迫る。
【タツヤ】
「!!!」ザンッ
しかし…次の瞬間、タツヤは双刃を回転させ、その場で小規模の結界を作り出す。
氷塊はその結界に吸い寄せられるように次々と飲み込まれ、粉々に砕けていく。
結局、魔獣の攻撃はその結界によって全て防がれ、タツヤを傷付ける事はなかった。
【魔獣】
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼‼」ドッドッドッ
攻撃を防がれた魔獣は、逆上するようにその場で奇声を上げる。
そして、タツヤに襲い掛かろうと物凄い勢いで突進してきた。
【タツヤ】
「はぁあああああああ‼‼‼」
我を失い勢い任せとなっている魔獣と対峙し、タツヤはオーラを全身に纏わせ始める。
ただがむしゃらに突っ込んでくる化物を迎え撃つため、双刃を構える。
そのままタツヤは大きく一歩を踏み出し、重心を低く前に移動させ突撃の体制をとった。
685 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:02:44.65 ID:4JR8vyGW0(3/23)
【タツヤ】
「―――飛龍閃―――」
タツヤは懐に飛び込むように魔獣に向けて駆け出す。
彼を覆うオーラはその輝きをどんどん強め、更にはその姿を龍の形へと変える。
オーラに包まれたタツヤは、そのまま自らが弾丸となるように…魔獣へと突撃する。
そして、突進してきた魔獣と衝突すると、龍のオーラが魔獣を食いちぎったかのように…その身体を貫いた。
【織莉子】
「な…」
【魔獣】
「ガ…ア…アア…」
身体に大きな穴を開けられた魔獣は呻き声を上げながら、その場に崩れ落ちていく。
織莉子がどんなに手を尽くしても足止めすら出来なかった魔獣を、タツヤは一撃で倒してしまった。
そんなタツヤの姿を見て、織莉子は小さく声を漏らし傍観する事しか出来なかった、
【魔獣】
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼‼‼‼」
しかし、その魔獣が完全に崩れ落ちたとほぼ同時に、次の魔獣がタツヤの目の前に現れる。
魔獣は彼を警戒しているのか近付こうとはせず、その場から氷塊を吐き出していく。
彼の力を目の当たりにして、魔獣も不用意に接近するのは不味いと本能で感じたのかもしれない。
【タツヤ】
「…このっ‼‼」
タツヤは氷塊をジャンプで避けつつ、全て回避するとそのまま空高く飛び上がった。
すると、オーロラが流れる空に…急に暗雲が立ち込める。
暗雲は次第に黒い雷を落とすようになり、その雷はタツヤの持つ双刃に集まっていく。
やがて、双刃は黒い電撃を纏い…その電撃によって刀身を伸ばし、巨大な剣へと変化した。
【タツヤ】
「―――九天―――」
【タツヤ】
「―――雷鳴斬―――」
タツヤが巨大化した双刃を振り切ると、刀身に纏っていた黒い電撃が衝撃波となって飛んでいく。
そして、衝撃波は徐々にスピードを速め…魔獣へと迫った。
686 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:06:28.68 ID:4JR8vyGW0(4/23)
【魔獣】
「ギャァァアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼‼‼‼」
衝撃波は魔獣へとヒットすると、その身体を真っ二つに切り落とす。
更に、その切り口からは凄まじい電撃が発せられ…その身体を焦がしていく。
身体半分を切り落とされ、もう半分も電撃によって駆逐された魔獣は、そのまま粉々に砕け…消滅していくのだった。
「アアア゛ア゛「ア゛アアァ…」…ア゛ア゛アァ」…ア゛ア゛」ア゛ア゛「ア゛…」…ウ゛゛アァ…」「ア゛「ギア゛ア゛…ァア…」グア゛ァ‼‼‼」
しかし、休む暇を与えないとでも言うように…今度は複数の魔獣が出現し、タツヤに迫る。
魔獣は次々と増えていき、あっという間に1つの大群を作り出す。
いくらタツヤの魔法が強力なものであったとしても、これだけの大群を一撃で撃破するのは難しい。
そもそも1人が相手に出来る量ではない。
今回ばかりは苦戦するかと思われた。
【タツヤ】
「!!!」
【織莉子】
「!?」
しかし、それでもタツヤが怯むことはなかった。
彼は魔獣の目の前に立つと、双刃を横にして自分の前に構える。
すると、双刃が再びオーラに包まれ始めた。
そのオーラは徐々にその光を強め…双刃は、その姿を変えていく。
そして―――
【織莉子】
「(剣が…)」
【織莉子】
「(2つに…)」
オーラを纏った双刃はグリップの真ん中から分かれ、2つの独立した剣へと変化する。
双刃剣が…双剣へと変化した。
タツヤは2つに分かれた双刃を両手に持ち、魔獣と再び対峙する。
【魔獣】
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼‼‼」
【タツヤ】
「だぁぁぁぁあああ‼‼‼」
魔獣達は我こそはと競い合うように、次々とタツヤへ襲い掛かってくる。
タツヤも負けじと双剣を構え、自分へと向かってくる魔獣の群れに突撃する。
そして、彼は一気に魔獣の眼前まで近付いていった。
687 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:08:15.55 ID:4JR8vyGW0(5/23)
【タツヤ】
「せいっ」
【魔獣】
「ア゛ァ‼‼‼」
一閃、タツヤは目の前の魔獣を斬りつける。
斬られた魔獣は、その身体に大きな切り傷を作り…何故か、その場で固まり…動けなくなってしまう。
【タツヤ】
「ぜあっ」
【魔獣】
「ア゛ア゛ァァア‼‼‼‼‼」
そんな中、タツヤは直ぐにその後ろに居る魔獣へと迫り、同じように斬りつけた。
【タツヤ】
「はあ‼‼」
【魔獣】
「ガア゛ァァァアアアア‼‼‼‼‼」
魔獣を斬りつけ、その後ろにいる魔獣に近付き…また斬る。
その動作を繰り返し、更にはそのスピードを徐々に速めていくタツヤ。
そのまま超スピードで魔獣の群れを駆け抜けていき、双剣で魔獣達に次々と一撃を与えていく。
そして、あっという間に全ての魔獣に切り傷を負わすと、タツヤは自分が最初にいた場所へと戻ってくる。
一方で、傷を負った魔獣達はその場から一歩も動けず立ち往生することしか出来ない。
【タツヤ】
「―――閃光双刃―――」
しかし、タツヤが双剣同士を合わせ、その形を双刃剣へと戻した時―――
ガチン、と柄頭同士が合わさった瞬間…魔獣達を無数の刃が襲う。
魔獣の身体は、その無数の刃によって斬り刻まれ…細切れになっていく。
「アアア゛ァァ‼‼「ギア゛アァァァァ」…ア゛ア゛ァ‼‼‼‼‼」
無数に居た筈の魔獣は次々と身体を斬り刻まれ…崩れ落ちていく。
そして、一瞬にして全ての魔獣を消滅させていった。
688 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:09:36.23 ID:4JR8vyGW0(6/23)
【織莉子】
「強い...」
戦闘の一部始終を見て…一言、それだけを漏らす織莉子。
あれだけ大量に居た魔獣を、タツヤは特に苦にすることもなく倒してしまった。
いくら単体が一般レベルの魔獣であったとしても、この力は常軌を逸している。
何の力も持っていない筈だった少年が…どうしてこんな力を持っているのか…
織莉子は理解することが出来なかった。
【QB】
「うん、本当にね」
そんな中、後ろからキュゥべえがトコトコと彼女に近付いてくる。
【織莉子】
「キュゥべえ...」
【QB】
「やあ、無事かい?」
キュゥべえは何事も無かったかのように、織莉子に声を掛ける。
目の前で起きていた現象に驚いた様子はなく、ただただ彼女の事を気遣う。
もっとも、腹の中では何を考えているのか…その表情からは分らないのだが…。
【織莉子】
「…あの子は、何者なの」
動揺を抑えつつも…織莉子は近付いてきた珍獣に問いかける。
彼は…鹿目タツヤは、何者なのか―――と
【QB】
「それは、どういう意味で言ってるんだい?」
織莉子の問いにキュゥべえは惚けたような態度を取る。
彼女が何を言っているか分らない、そう…わざとらしく首を傾げた。
その意味が分からないわけないというのに…
689 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:12:06.46 ID:4JR8vyGW0(7/23)
【織莉子】
「いいから答えなさい」
織莉子はそんなキュゥべえに冷たい視線を浴びせ、再び問いかける。
こんな状況の中で、彼女に冗談や誤魔化しが通じる筈もなかった。
知っている事を全て話せ、織莉子はキュゥべえに対し暗にそう示していたのだ。
【QB】
「…」
【QB】
「…僕もそれが知りたかったんだ」
【織莉子】
「え?」
すると、一転してキュゥべえは真面目なトーンで応え始める。
ジッとタツヤの姿を見つめながら、彼女の問いに対する答を出す。
そう、彼が何者なのか…それは、この珍獣自身が求めていた答であり…
辿り着いた『答』でもあった―――
【QB】
「彼は…そうだね」
【QB】
「何の力も…素質も…因果も持たない」
【QB】
「どこにでもいて、どこまでも普通で…」
一言一言、ゆっくりと言葉を紡ぐキュゥべえ・
彼は、この世界で平凡に暮らす…どこまでも平凡な少年である―――
【QB】
「だけど…」
―――「筈」、だったのに…
【QB】
「…どこまでも異質で、どこまでも異常な…」
【QB】
「極め付けのイレギュラーだよ」
何時しか、時を巻き戻す少女の事を言い表した言葉を…彼に使う。
いや、今回の場合は…その言葉の意味がより重々しく感じる。
彼は異常だったのだ…どこまでも…かつての暁美ほむらよりも…
そして、誰よりも―――
690 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:13:47.81 ID:4JR8vyGW0(8/23)
【織莉子】
「…」
織莉子はキュゥべえの話をき聞きつつ…タツヤをへと視線を移す。
イレギュラー…その言葉が、彼女の頭の中で反芻する。
タツヤのあの力…予兆が無かったわけではない。
織莉子自身が彼を気にかけていた理由…それは、彼に自分の予知能力が使えなかった事から始まる。
彼自身の事や彼が関わる未来を覗き見ようとすると、何かに邪魔されるようにその光景を遮断されてしまう。
普通の少年ではあるが、何かしら力を持っているのかもしれない…そう薄々とは感じていた。
だが、まさか此処までの力を秘めていたとは…織莉子は想像もしていなかったのだ。
「ギアアア゛ア゛「ア゛アァ…」…ア゛アァァァ」…ア゛ア゛ア゛」ア゛ア゛ァァ「ア゛…」…ウ゛ウ゛ァアァ…」「ア゛「ア゛ア゛…ァアアア…」グア゛ァァァァ…」
【織莉子】
「魔獣が、逃げていく...」
タツヤの圧倒的な力を見せつけられ、魔獣達は一斉に彼に背を向け…彼から遠ざかろうとする。
【QB】
「…」
あの呪いを振りまき…人に絶望をまき散らす存在である魔獣が…
たった1人の少年に対して、怯え…そして、恐れ…対峙を拒んでいる。
魔法少女に対してだって…そんな行動を取らないというのに…
まるで―――タツヤ自身が人間ではなく、魔法の力を持つ存在でもない…
そう、それらを超越した『何か』であるかのように―――
【タツヤ】
「…逃がすかっ‼‼」
【タツヤ】
「…っ‼‼」
タツヤが自分に背を向ける魔獣に対して双刃を構えると、再び双刃がオーラに包まれる。
そして、再び双刃は姿を変え…先程の双剣とは全く別の武器へと変化する。
691 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:16:00.41 ID:4JR8vyGW0(9/23)
【織莉子】
「剣が…」
【織莉子】
「弓に…なった…」
双刃は両端の刀身の部分が変化し、光線で作られた弦で結ばれる。
織莉子の言う通り、タツヤの双刃は…1本の弓へと変化した。
タツヤは魔力で作られた黒い矢を複数取り出すと、弓を魔獣に向けて構える。
【タツヤ】
「喰らえっ‼‼」
【タツヤ】
「―――スプレッド―――」
弦を引き複数の矢を一斉に放つ。
複数の矢は飛んでいく間にも次々と分裂していき、終には矢の雨となって…魔獣達に襲いかかった。
「ギアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼」ドドドドドドド
【織莉子】
「きゃっ」グラッ
タツヤの放った複数の矢は魔獣達を一斉に撃ち抜き、逃げていく魔獣を次々と撃破していく。
その際生じた衝撃は凄まじく、地面を激しく揺らし…織莉子はその場で思わずよろけてしまう。
結局、逃げ切れた魔獣は1匹もおらず…辺り一面には矢が降り注いだ後しか残っていなかった。
【タツヤ】
「…」ハァハァ
全ての魔獣を撃破すると、タツヤは双刃剣を地面に下ろし…肩で息をする。
額にはじんわりと汗をかき、大分疲労しているように見えた。
本格的に戦ったのは今回が初めてなのだ、無理もないだろう。
いくら強力な魔力を秘めていたとしても、当の本人の体力が通かなければ意味がないのだから…
692 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:18:07.60 ID:4JR8vyGW0(10/23)
【QB】
「…なるほどね」
【QB】
「近距離特化の双剣」
【QB】
「遠距離特化の弓」
【QB】
「そして、遠近のバランスが取れた双刃」
一挙一動も見逃さないと言うように…タツヤを観察していたキュゥべえが、冷静に分析する。
双刃剣という武器、それだけで他の魔法少女よりも異彩を放っているのは確かだ。
加えて、その武器を弓や双剣に変化させて戦うのだから…間違いなく、他の魔法少女とは次元が違う。
【QB】
「うん、良い武器だ」
【QB】
「彼の力を上手く引き出してる」
しかし、その武器が彼の戦い方に合っているのも事実だった。
今までを見た限り、タツヤは自らを覆ったオーラを纏わせて武器や自身の身体能力を強化し、
または、オーラを直接衝撃波として相手に放つなどして戦っていくタイプだ。
遠近両方で機能する双刃剣は、彼の力を最大限に活かす武器だと言えるだろう。
例えそれが、かつてこの世界を救った魔法少女の戦い方と…かけ離れていたものだとしても―――
【織莉子】
「…」
一方で、キュゥべえと同様…一部始終を目撃していた織莉子は彼の力に驚かされるばかりだった。
彼から視線を外すことが出来ず、自身の魔力を回復することも忘れ…ただ黙ってタツヤのことを見つめている。
しかし、その表情は驚きよりも…むしろ不安の色の方が強かった。
【織莉子】
「…でも」
彼女もまた…タツヤの力に驚きつつも、彼の力を冷静に分析していたのだ。
そう、1人の契約した者として…1人の人間として…
彼女の頭の中には、“ある1つ”の不安が過っていた。
693 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:20:18.09 ID:4JR8vyGW0(11/23)
【織莉子】
「仮に、あの子が強力な力を持っていたとして…」
【織莉子】
「あの魔力は…何処から来てるの?」
それは、かつて魔法少女として戦っていた彼女だからこそ抱いた不安―――
彼自身の…魔力の源についてだった。
【QB】
「…」
【織莉子】
「確かに、あの子は強いわ」
【織莉子】
「でも…あれだけ強力な魔法…」
【織莉子】
「使えばそれだけ…その魔力の消費も、尋常じゃない筈…」
織莉子は言う。
強力な魔法を使うには…それだけ莫大な魔力を消費しなければならない。
必然的に、使える回数というものが限られてくる。
魔法少女達の魔力は…無限にあるわけではないのだ。
【QB】
「…そうだね」
【織莉子】
「普通の魔法少女だったら、とっくに魔力が尽きて…ソウルジェムが黒く染まっている筈よ」
魔法少女の場合、自らの因果と魔翌力によって使える魔力が違ってくる。
もし、限界を超えた魔力を消費してしまえば…ソウルジェムは輝きを失い、最悪『死』が訪れる。
更に魔法少女になりたてで、始めから強力な魔法を連発した場合…
その魔法に自らのソウルジェムが耐えられず…急速に黒く染まってしまう事だってある。
【QB】
「…」
【織莉子】
「なのに…なんで…」
694 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:21:50.29 ID:4JR8vyGW0(12/23)
タツヤを見ると、体力の消費は感じられるが彼自身を覆っている魔力に衰えは見られない。
いや、そもそも彼はソウルジェムを持たない『普通』の人間なのだ。
魔法少女の常識が通用しないのは、ある意味頷ける。
しかし、そうだとすると…いよいよあの力の源が分らなくなってくる。
現存するキュゥべえと契約したメンバーの中で、最も博識である織莉子でさえ…今の状況は理解できなかった。
珍獣の台詞を借りれば…『訳が分からない』である。
【QB】
「…これは、あくまでも推測だけど」
織莉子の話を聞いて、キュゥべえは沈黙を破り…言葉を発する。
【QB】
「彼の魔力は…減らないんだよ」
キュゥべえは自らの考えを…タツヤについて辿り着いた答を彼女に話し始めた。
それは、この先…最も重要になっていくであろう…
彼の…『鹿目タツヤ』という人物の秘密の…ほんの一部であった―――
【織莉子】
「...え?」
【QB】
「いや、少し…違うかな」
【QB】
「彼の中には、きっと『魔力』という概念そのものが存在しないんだ」
この珍獣にしては珍しく、少し言い辛そうにして…話を続ける。
タツヤは、彼女達魔法少女とは…根本的に違う存在である。
そう―――キュゥべえは織莉子に示していた
【織莉子】
「何を…言っているの?」
しかし、織莉子には珍獣の言葉の意味がいまいち理解出来なかった。
自分達とは…魔法少女とは、違う存在…それは、一体どういう意味なのか…
彼は…一体何者なのか…
695 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:23:20.50 ID:4JR8vyGW0(13/23)
【QB】
「彼は…」
【QB】
「…」
その答を言葉をにしようとして…急に黙ってしまうキュゥべえ。
まるで、その言葉を口にしてはいけないと…本能で悟ったかのように…
それ程までに、この少年の力の正体というのは―――
【魔獣】
「ガァァアア゛ア゛ア…」バァァアア
【織莉子】
「!!!」
しかし、彼女達がそんな会話を繰り広げている時だった。
先程の矢の雨を、物陰に隠れて凌いでいた1匹の魔獣が…タツヤの後ろに現れる。
相当弱っているのか、その足取りは重く…よろけながらも彼に襲い掛かろうとした。
【織莉子】
「...まだっ」
【織莉子】
「タツヤ君‼」
織莉子は未だに気付いていないタツヤに急いで声を掛ける。
今のタツヤは双刃も手元にはなく、完全に無防備な状態だった。
そんな状態の中、魔獣に襲われてしまえば流石の彼でもただでは済まない。
そう…織莉子は判断した。
いや、そうであって欲しいと…心のどこかで感じていたのかもしれない。
【タツヤ】
「…っ‼‼」
【魔獣】
「ギィィア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァ‼‼‼」
織莉子の声で魔獣の存在い気付いたタツヤは、直ぐに振り返り魔獣の正面に立つ。
魔獣は最後の力を振り絞り、彼に掴みかかろうとしていた。
しかし、その手に双刃剣はない。
今の彼は、魔獣を追い払う手段を持ってはいなかった。
そう――――持ってはいない筈だった
696 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:25:27.00 ID:4JR8vyGW0(14/23)
【タツヤ】
「…」ガッ
だが、次の瞬間――――
掴みかかろうとした魔獣の手を、タツヤは片手で受け止める。
タツヤはそのままその手を掴み…魔獣を引き寄せた。
【タツヤ】
「はぁぁああああああ‼‼‼」
【魔獣】
「ギガァァァアアア‼‼」
タツヤは魔獣に向けてもう片方の手を出し…掌を向ける。
すると、魔獣は突然苦しみ始め…そして、その身体を輝かせ始めた。
【織莉子】
「...え?」
織莉子はその光景目の当たりにして、思わず息を呑む。
なぜなら、魔獣に起きたその現象は――――
先程…魔法少女達が見せたものと、全く同じものであったのだから…
【魔獣】
「ギガァ…アア…アアアア…」
魔獣を包む輝きは、ますます強くなっていく。
しかし、それと反比例するように…魔獣は苦しみ、弱っていった。
まるで、その輝きが―――魔獣から力を奪っているかのように…
【魔獣】
「ギァァァアアアアアアアアア‼‼‼」
魔獣は、その輝きに包み込まれるように…消滅していく。
その場には魔獣を包んでいた光の結晶だけが残っていた。
その光の結晶もまた…先程魔法少女達の中から現れたものと全く同じものであった。
そして―――
697 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:27:21.44 ID:4JR8vyGW0(15/23)
【タツヤ】
「…‼‼」バシュゥゥ
【織莉子】
「!!!」
その光の塊は、タツヤの掌へと集まっていき…そのまま消えてしまった。
いや、消えた…という言葉には多少語弊がある。
それは、むしろ―――
【織莉子】
「え…何…今の…?」
【織莉子】
「魔獣の魔力を…」
光の結晶を…魔獣の力を…
タツヤが、そのまま自分の力にしたかのように見えたのだ―――
【織莉子】
「どうして…」
織莉子は目の前の現象を受け入れる事が出来ず、混乱してしまう。
今、自分の眼前で…何が起きたのだろう。
魔獣の身体が、氷漬けにされた魔法少女達のソウルジェムのように光り輝き…そして、消滅していった。
更に、残された光の結晶は…タツヤの下へと集まり、消えてしまった。
一体、何が起きているのか…織莉子は頭を悩ませる。
【織莉子】
「そう…いえば…」
だが、そんな目の前の異常な状況が…織莉子に、ある事を気付かせる―――
【織莉子】
「…ない」
【織莉子】
「何処にも…ない…」
織莉子は辺りを見回し、ある物を探す。
しかし、そのある物は何処にも見当たらなかった。
それは、魔法少女と…魔獣との戦いの中で―――
必ずと言って良いほどに、なくてはならないもの…落ちていなければいけないもの―――
698 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:28:12.02 ID:4JR8vyGW0(16/23)
【織莉子】
「グリーフシードが…何処にも落ちてない…」
そう、魔法少女の必需品であり…魔獣を倒した時に落とす…
グリーフシードが―――何処にも…
699 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:29:45.17 ID:4JR8vyGW0(17/23)
【織莉子】
「これだけの魔獣を倒したのに…」
【織莉子】
「たったの…1個も…」
魔獣を倒す事には、人間を守るという使命とは別に…グリーフシードの回収という目的もある。
魔法少女の魔力は無限にあるわけではない。
適度にグリーフシードで魔力を回復しなければならないのだ。
グリーフシードは通常、魔獣を倒す事で手に入れる事が出来る。
しかし、タツヤが倒した魔獣達は一切グリーフシードを落としてはいなかった。
魔獣の中でもグリーフシードを落とさないものは存在する。
だが、タツヤが倒した魔獣の数を考えれば…1つくらい落ちていなければ可笑しい。
【QB】
「…」
それなのに、彼の周りには…そのたった1つでさえ、グリーフシードが落ちていなかった。
それは―――明らかに異常な光景であった。
【織莉子】
「(魔力が、減らない…)」
【織莉子】
「(グリーフシードを落とさない魔獣…)」
【織莉子】
「(そして、さっきの…)」
織莉子の中で、様々な情報が交差し…脳内を駆け巡った。
そしてそれは、彼女を…ある“答”へと導いていく。
点と点が線となって繋がっていくように…あるいは、固く結ばれた糸が解けていくように―――
その“答”に辿り着く事は、彼女にとって難しいことではなかった。
【織莉子】
「(そんな…)」
【織莉子】
「(あの子の、能力って…まさか…)」
700 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:31:10.85 ID:4JR8vyGW0(18/23)
辿り着いた“答”―――それは、タツヤの能力の秘密
キュゥべえが…何故彼の魔力は減らないと言ったのか
何故、彼には魔力という概念が存在しないなどと発言したのか…
全ては、タツヤの固有魔法とも言うべき…ある能力によるものであると…彼女は悟った。
【織莉子】
「(でも…)」
【織莉子】
「(それじゃ…)」
だが、その“答”を…織莉子は受け入れることが出来なかった。
いや…受け入れたくなかった。
なぜなら、その能力は…『人』としては…あまりに――――
【タツヤ】
「…」スゥ・・
【織莉子】
「…あ」
【織莉子】
「元に、戻った…?」
織莉子達がそうしている内に、タツヤを覆っていたオーラが徐々に消えていく。
髪の毛は普段の茶色に戻り、鮮血に染まったかのように紅くなった瞳も元の色に戻っていった。
そこには、誰もが知る…見滝原中学1年の鹿目タツヤが立っていた。
【QB】
「…」
【タツヤ】
「ハァ…ハァ…」
【タツヤ】
「お…終わった…」
タツヤは元に戻るなり膝を付き、前に倒れるようにして手を地面に付いた。
手を膝に付き、ぜぇぜぇと肩で息をする
大粒の汗が額から流れ、顔をつたって地面に落ちていった。
701 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:33:24.71 ID:4JR8vyGW0(19/23)
【タツヤ】
「…」
【タツヤ】
「俺が…やったんだよな…」
タツヤは辺りを見回し、小さくそう呟く。
これまでタツヤは、魔獣と戦った時の記憶を失っていた。
しかし、今回に限っては…その記憶が微かに残っている。
【タツヤ】
「俺が…」
自分が…何をしたのかを―――
何の力も持たなかった筈の自分が、魔獣達を倒す姿を…彼は覚えている。
その姿に…自分ですら、恐怖を覚えてしまうくらいに―――
パァ…
【タツヤ】
「!!!」
【タツヤ】
「な、何…?」
タツヤがそうやってぼーっとしていると、傍にあった双刃剣が光り出す。
光に包まれた双刃剣は宙に浮き徐々に姿を変え…何やら小さな物に変化する。
それは、その場でゆっくりと地面に落ちると…不思議な光を放ちキラキラと輝いていた。
【タツヤ】
「...ん?」
気になったタツヤは、その光っているものに近付き腰を下ろす。
そして、目の前に落ちているその何かを拾い上げた。
【タツヤ】
「え…何これ」チャラッ
【タツヤ】
「…黒い、宝石?」
タツヤが拾ったそれは―――菱形の形をした小さな黒い宝石であった。
宝石は紐に繋がっており、ネックレスのような造形をしている。
更に、その黒い宝石の奥底からは…何とも奇妙な輝きが放たれており、
不思議と人を惹きつけるような…そんな印象を受ける。
702 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:35:24.10 ID:4JR8vyGW0(20/23)
【タツヤ】
「ソウルジェムとは…少し違うか…」
【タツヤ】
「はぁ…もう、何が何だか…」スッ
卵の形をしたソウルジェムと違って、菱形の形をしたそれは普通に見れば何の変哲もない只の宝石に見える。
だが、前述した通り…その宝石は普通とは違う、何処か異彩を放っているような物体だ。
下手をすると、それはソウルジェム以上に異質で非現実的な物なのかもしれない。
肌でそれを感じ取ったのか、タツヤはその宝石を無意識の内にポケットに忍ばせる。
【QB】
「…」
その行為が、今後の自分を左右することになるとは知らずに―――
【タツヤ】
「...いや、今はそんな事より」
【タツヤ】
「織莉子さん‼‼」
タツヤは、何かを思い出したかのように一呼吸入れると、織莉子に声を掛ける。
そう、思い出したのだ…自分が、何の為にこんな所まで来たのかを…。
【織莉子】
「えっ!?」
【タツヤ】
「ごめんなさい、俺…やっぱり暁美さん達の所に行きます」
【タツヤ】
「どうしても…伝えなきゃいけないことがあるから」
織莉子の言いたい事は分かる。自分にとって、この場所は明らかに危険な場所だ。
下手すれば、命を失いかねないくらいに…
だが…それでも、自分はこのまま逃げる訳にはいかない。
彼女達に…ほむら達にある事を伝える為に―――
タツヤは、そう力強い目つきで言ってのける。
そこに…魔法少女達の死体を見て怯えていた姿はない。
先程の戦いが、彼の中の…魔獣への『恐怖心』を薄れさせたのかもしれない。
703 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:38:01.39 ID:4JR8vyGW0(21/23)
【織莉子】
「タツヤ君…」
【タツヤ】
「それじゃっ‼」
タツヤは、そう言って織莉子に背を向け…瘴気内を走り始める。
まるで、その瘴気に住む魔獣達に呼ばれているかのように…一直線に奥底へと向かっていった。
【織莉子】
「あ、待ちなさい‼」ダダッ
一瞬ボーっとしてしまっていた織莉子は、慌ててタツヤを呼び止める。
だが時既に遅く、彼は駆け出してしまっていた。
【織莉子】
「(タツヤ君…)」
【織莉子】
「(貴方は…)」
【織莉子】
「(貴方は…‼)」
織莉子は思う―――
タツヤは、ほむら達に会いに行くと言っている。
しかし、果たして…彼を彼女達に会わせてしまって良いのだろうか…と。
そんな、彼の力に一種の不安を覚えながらも…織莉子は、タツヤの背中を追い掛けていくのだった。
704 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:39:52.45 ID:4JR8vyGW0(22/23)
【QB】
「…」
そんな中―――
キュゥべえは物思いに耽るように、瘴気内の空を見上げる。
【QB】
「(どうして…)」
【QB】
「(どうして、僕たちは…『忘れていた』んだろう)」
【QB】
「(こんな、大事な事を…)」
キュゥべえはタツヤの力にある1つの結論を付けた。
それは―――同時に、この珍獣達にある記憶を呼び覚まさせる事になる
キュゥべえ…インキュベーターにとって、忘れてはいけない筈だった…
ある…1つの物語を―――
【QB】
「浸食…」
【QB】
「呪われた力、か…」
一言、それだけを呟いて…キュゥべえはタツヤ達を追い掛ける。
その言葉が、果たしてどんな意味を持つのか…
織莉子ですら見えない彼等の“未来”に、一体何があるのか…
キュゥべえだけが、その先を知っているのかもしれない―――
705 川´_ゝ`){寒くなってきたね ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/01(日) 01:45:43.05 ID:4JR8vyGW0(23/23)
今回は以上になります。お疲れ様でした。
次回はなるべくクリスマス頃には投稿したいと思います。
それでは、また次回。お休みなさい ノシ
706 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/03(火) 00:40:53.94 ID:R4b17eyDO携(1)
更新乙
次も楽しみにしてます
707 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/07(土) 23:33:33.69 ID:uvbPJal3o(1)
乙
708 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage ] 2013/12/23(月) 22:56:17.39 ID:TFaa/IM30(1)
乙
709 川´_ゝ`){なお、間に合わん模様 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/25(水) 00:39:40.64 ID:ba4wvtPt0(1)
メぇぇぇ〜〜リぃぃぃぃクリっスマぁぁぁーーースぅ!!ひゃぁーーはっはっはっはっはぁーーーっ
すいません。これを言わなければ始まらないと思いました、はい。
夜遅くにこんばんわ>>1です。いつも閲覧&コメ有難うございます。
お待たせしております。
次回の投稿ですが、今週の土日には出来ると思います。
どうぞ宜しくおねがいします。
それでは、次回の投稿で。お休みなさい ノシ
710 川´_ゝ`){なお、間に合わなかった模様 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:14:21.17 ID:EnSU9iKY0(1/25)
夜遅くにこんばんわ>>1です。
遅れてすみません。
続きを投稿します。
711 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:18:21.19 ID:EnSU9iKY0(2/25)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
―――瘴気内、最深部
【ほむら】
「...っ‼‼」
【深化魔獣】
「リリィ」
タツヤ達が瘴気内を駆け抜けている頃、ほむら達は瘴気内の奥底で戦っていた。
此処の瘴気の主とも言うべき―――深化魔獣と…
深化魔獣は身体を氷の結晶で作り、美しい女性の風貌をしている。
結晶で作られた身体は羽衣のようなもので覆われており、その姿はさながら天女のようであった。
人間であれば、思わず見とれてしまう程である。
しかし、相手はあくまでも魔獣。倒さねばならない敵。
だが…深化魔獣は瘴気の中を舞い踊るように移動し、ほむらの放った矢を優雅にかわしていく。
【ゆま】
「それぇぇ‼‼」
続けて、ゆまが深化魔獣に向けて衝撃波を放つ。
衝撃波は敵の行く手を阻むように、徐々に横幅を広げていき…深化魔獣に迫った。
【深化魔獣】
「リィィィィイイイイ」
しかし、深化魔獣は衝撃波が迫ると自分の目の前に巨大な氷壁を作り出す。
ゆまの衝撃波はその場に現れた氷壁に衝突すると、そのまま打ち消されてしまう。
同時に氷壁も粉々に砕けたが、結果的にゆまの攻撃はその氷壁によって防がれてしまった。
【ゆま】
「あっ、もうっ‼‼」
【ゆま】
「駄目だよほむら姉ちゃん、私の衝撃波全然効かない」
【深化魔獣】
「リリィイ……」
ゆまは自分の攻撃が効かない様子を見て、ガクっと項垂れる。
そんな彼女を嘲笑うかのように、深化魔獣は彼女の周りをヒラヒラと舞い踊る。
その姿は傍から見れば綺麗に映るが、彼女達からすれば屈辱以外の何物でもなかった。
712 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:20:19.73 ID:EnSU9iKY0(3/25)
【ほむら】
「弱音を吐いてないで攻撃しなさい」
【ゆま】
「そうは言うけどさー…」
ゆまの言う通り、ほむら達の攻撃はこの深化魔獣によって悉く受け流されていた。
スピードはそこまでではないが、動きがトリッキー過ぎて行動が全く読めない。
更には、先程のような氷壁によって…正攻法の攻撃は全て防がれてしまう。
【深化魔獣】
「リリィィ‼‼」
周りを舞っていた深化魔獣は、その場でピタリと止まると…その視線をほむら達に向ける。
そして、彼女達の頭上に巨大な氷塊を作り出し、それをそのまま彼女達目掛けて超スピードで落下させた。
【ほむら】
「来るわよ‼‼」
【ゆま】
「えっ、きゃあ‼‼」
ほむら達は氷塊を辛うじて避けるも、体制を崩し着地した地点でよろけてしまう。
更に、氷塊は地面に落下すると勢いよく砕け散り、その欠片が彼女達に再び襲い掛かる。
ほむら達は砕けた氷塊を武器で辛うじて振り払うも、その身体に複数の切り傷を作る。
【深化魔獣】
「リィィィィィィィィ‼‼」
【ほむら】
「くっ」
続けて魔獣は辺り一面に吹雪を発生させる。
吹雪はその1粒1粒が氷の礫となって、ほむら達に襲い掛かった。
その吹雪によってほむら達は思わず吹き飛ばされそうになり、少しずつではあるがダメージを受けていた。
彼女達は受けたダメージを魔力で回復しつつ、魔獣の攻撃を何とか凌ぐ。
しかし…このまま持久戦が続けば、魔力に限界がある自分達が不利なのは明白。
だが、何とか反撃の機会を…と攻撃を耐えるものの、その機会は中々訪れなかった。
713 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:22:50.54 ID:EnSU9iKY0(4/25)
【ほむら】
「(確かに、この魔獣は…強い)」
【ほむら】
「(これまで以上に、呪いの力を強く感じる)」
ほむらは思う、この深化魔獣は…今まで以上に強敵であると。
織莉子の言っていた事も、あながち間違いではなかったと今更になって実感させられていた。
【ほむら】
「(一体、どれほどの呪いを…)」
【ほむら】
「(この魔獣は…)」
魔獣の強さは、その魔獣が抱え込んでいる呪いの強さによって変わる。
呪い―――人の恨みや妬み…誰もが一度は抱える負の感情が積りに積もった事で生まれたもの
この魔獣は、どんな人間のどのような負の感情によって生まれたのか…
そして、その感情は…どれだけのものだったのか―――
【深化魔獣】
「リィィィィイイイイィィィィイイイイイイイイイイイイ‼‼‼‼」
深化魔獣は、その場で奇声を上げほむら達を威嚇する。
しかし、その声は…何処か悲しげで、まるで子供が泣き叫んでいるようにも聞こえる。
誰かに助けを求めているような、そんな叫び声でもあった。
氷華の深化魔獣―――呪いの性質は『孤独』
714 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:27:20.93 ID:EnSU9iKY0(5/25)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
時は―――今より少し遡る
「らっしゃせー」
とある飲食店、店員達が客に向けて声を掛ける。
その言葉は来客した人達に向けられ、その声からは力強く聞こえた。
「い、いらっしゃいませ...」
そんな中で、1人場違いであるかのように…声の小さな少女がいた。
少女は見るからに弱々しく、何処か怯えているかのように身体を縮ませている。
そんな彼女の声は…当然と言うべきか、客達の耳に届くことはなかった。
「…ねえ君、もう少し大きい声出せないの?」
「す、すいません...」
近くに居た店員は、彼女のあまりに小さい声に苛立ちを見せる。
その言葉に少女はますますビクついてしまい、腰が引けてしまう。
とてもじゃないが、接客が出来る状態ではなかった。
「はぁーもう此処はいいから、ちょっと冷凍庫から予備の食材とってきてよ」
「は、はい...」
仕方がないと、店員は溜息を付きながら…少女を接客以外の仕事へと回す。
接客が出来ないのだから、このような処置もやむを得ないだろう。
少女は少し落ち込みながら、その場を後にするのだった。
「…ちっほんと使えねーな」ボソッ
少女に聞こえないように、店員が愚痴を零す。
その表情は、少女に向けた憎悪に満ちている。
そして、その言葉は…少女にとって何処までも冷たく、何処までも残酷なものだった。
「…さーん、ちょっと良いですかー?」
「あ、はいはい今行くよー」
他の店員に声を掛けられると、その憎悪に満ちた表情は影を潜め…店員は、接客に戻る。
この短時間で、2つの表情を見せた店員―――
人間の…『表』と、『裏』が…垣間見えたような瞬間であった。
715 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:30:51.32 ID:EnSU9iKY0(6/25)
「…はぁ」
一方で、少女は店の裏にある巨大冷凍庫で食材の整理を行っていた。
寒さを防ぐには心許ないが、一時的な防寒には十分だった。
店の制服の上には薄い上着を羽織り、両手には薄い手袋を付けている。
「やっぱり、私って駄目だな…」
少女は先程店員に言われた事を気にしているのか、作業中にも終始溜息を付いている。
自分の声が小さい事は、自分が一番よく分かっている。
元々引っ込み思案だった自分を変える為に、この仕事を始めたのだ。
しかし、実際は中々上手くいかず…こうして裏側に回される事が多くなっていた。
その事を考えると、少女は溜息を付かずにはいられなかった。
気温が低いせいか、彼女の吐く息は白く…その姿はなお一層寒そうに見えた。
「でも、此処に居れば…私も1人じゃないし…」
「誰かに…構って貰えるし…」
それでも、少女は充実感のようなものを感じていた。
どんなに怒られようとも、どんなに邪見にされようとも…この場所に居れば、
自分が1人ぼっちになることはない…と。
少女は―――恐れていたのだ
他者との繋がりを失う事を…1人になることを…
『孤独』になることを―――
「…うん、もう少し頑張ってみよ」
「えーと、この食材は…」
少女は気を取り直し、仕事に取り組む。
今は邪見にされているが…頑張っていれば、いつかは認めてくれるかもしれない。
そうすれば、自分は本当の意味で1人ではなくなる。
引きこもりがちだった自分が…『孤独』ではなくなる。
そんな、淡い期待をもって―――
716 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:32:13.79 ID:EnSU9iKY0(7/25)
「おい誰だ、冷凍庫開けっ放しにしてる奴は」
「え?」
だが―――
「閉めるぞー」
「えっちょっと待ってっ」
バタン
その期待は―――直ぐに崩れ去ることになる
少女が一緒に居てくれると信じていた者達によって―――
717 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:34:39.16 ID:EnSU9iKY0(8/25)
「…嘘」
「あ…開かない…」
近くを通りかかった店員は、少女の存在に気付かず…冷凍庫の扉を閉めてしまう。
少女は慌ててその店員に声を掛けるも、その声が店員に届くことはなかった。
急いで少女は入口に駆け寄るも、その扉はビクリともしない。
この飲食店では一昔前の冷凍庫を使用していた。
冷気を逃がさないよう…扉は厚くなっており、中からは開けられない仕様になっている。
どうあがいても…中に居る少女には開けることが出来なかった。
「嫌っ‼お願い開けてっ」
少女は、その場で扉を叩き開けてもらえるよう必死に叫ぶ。
外に、他の店員達が居る事を信じて…
「まだ私が中にいるんですっ‼‼だから開けてっ」
自分が中に居るのだと、必死になって助けを懇願する。
「ねえお願いだから、誰か気付いて‼‼」
「お願い…だから…」
「誰か…」
「1人に…しないで…」
「…」
自分が居ない事に、誰か気付いてほしい。
自分を…1人にしないで欲しい―――『孤独』、にしないで欲しい…
寒さに打ち震え…意識が遠のく中で、彼女はそう願い続けた。
718 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:38:42.27 ID:EnSU9iKY0(9/25)
「おい、スタッフ1人足りなくないか?」
「そういえば…でも、他に誰か居ましたっけ?」
しかし―――
「そういやあのノロマが居たような…」
「…さん、彼女に何か仕事頼んでましたよね」
「あー、んでも別にいいだろ」
「アイツ役立たずだし」
その願いが―――店員達に届く事は無かった
「それもそうっすねー」
「ほら、仕事に移るぞー」
少女と店員達には、その冷凍庫の扉よりも厚い壁が存在していた。
それは―――目では直視することが出来ない…心の壁
少女と店員達の思いは、あまりにも…あまりにもかけ離れていた。
まるで…少女と店員達とでは、元々住む世界が…違っていたかのように―――
719 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:40:12.99 ID:EnSU9iKY0(10/25)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
――○月△日、市内にある某飲食店にて、女子高校生の遺体」が発見されました。
――少女の死因は凍死で…
――飲食店でアルバイト中、冷凍庫に閉じ込められたと見られており…
「あー、くそっめんどくせっ」
――飲食店関係者は警察の調べに対し、気付かなかったと…
「あのグズが勝手に出られなくなって、勝手に死んだだけじゃねぇか‼」
――――…
――――ドウシテ…
「俺は知らねえよっ」
――――ドウシテ、ダレモキヅイテクレカッタノ?
「どいつもこいつも俺のせいにしやがって‼‼」
――――ドウシテ…
――――ドウシテドウシテドウシテ…
「大体あんなクズが死んだからってなんだってんだよ‼‼‼」
「あーくそっ」ガンッ
――――ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテ
720 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:43:10.25 ID:EnSU9iKY0(11/25)
「あ、なんだよ」
「…って何処だぁ、此処」
「っつか寒っ」
――――ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテ
「...え?」
――――ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテ
721 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:44:32.68 ID:EnSU9iKY0(12/25)
「ひっ」
「ば、化物っ」
――――ワタシヲ…
――――ヒトリニシナイデ
――――ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛
「ぎゃぁぁぁああああああ‼‼‼」
「あああああああああああああああああああああああああああああ‼‼‼‼‼‼」
「あああ…ああ…あ…」
「…」
――――………
――――…リリィィィィイイ♪
722 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:47:02.50 ID:EnSU9iKY0(13/25)
少女の想いは…『孤独』は、1つの大きな呪いを生み出し…そして、1匹の魔獣を生んだ。
魔獣は今後…自らの『孤独』を和らげる為に、人を襲う。
全ての人間に『呪い』を…『絶望』を振りまき続ける。
それが『希望』を願い…裏切られた少女の、世界への復讐であるかのように―――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
723 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:51:01.88 ID:EnSU9iKY0(14/25)
【ほむら】
「(…)」
ほむらは、この深化魔獣の強さを見て…『呪い』の強さを図る。
この深化魔獣が、どれほどの呪い(もの)を抱え…
そして、どれだけの人間を『絶望』に陥れたのだろう…と。
【ほむら】
「(…いえ)」
【ほむら】
「(例えこの魔獣がどれだけの呪いを抱え込んでいようと…)」
【ほむら】
「(私のやることは…ただ1つ)」
しかし、ほむらは思う―――
この魔獣がどれほどの力を持とうとも…自分のすることに、変わりはない。
ただただ…この魔獣を倒すことに、全力を注ぐだけである。
なにより自分のために、または…友人が護った世界を守るために―――
そして、友人が残した…あの少年を守るために…
【ほむら】
「ゆまっ」
【ゆま】
「ん?」
【ほむら】
「連携して一気に決めるわよ」
ほむらは、いつも以上にその目つきを鋭くさせ…ゆまに声を掛ける。
1人で駄目なのであれば…力を合わせればいいと、彼女は言った。
【ゆま】
「…うんっ」
【ゆま】
「了解‼‼」
ゆまは、ほむらに対してそう言って大きく頷く。
そして…魔獣にすぐさま臨戦態勢をとった。
力を合わせると言っても、彼女達は特に作戦などを立てることはしない。
相手の考えは目を見れば分かる…そんな感じだった。
724 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:55:46.98 ID:EnSU9iKY0(15/25)
【深化魔獣】
「リリィィイイイ‼‼‼」
【ゆま】
「そーれっ」
【ゆま】
「―――波動―――」
【ゆま】
「―――連弾―――」
ゆまはハンマーを振り上げ、衝撃波を連続で放つ。
複数の衝撃波は四方八方に分かれ、深化魔獣を囲み一斉に襲い掛かった。
前方からの衝撃波は先程防がれてしまったが、これだけの数を防ぐのは容易ではない。
そう、彼女は考えた。
【深化魔獣】
「リリリィィィィイイイイ‼‼‼‼」
それでも深化魔獣は自分の周りに氷壁を作り出し、ゆまが放った衝撃波全てを防いでしまった。
【ゆま】
「それそれそれー‼‼」
しかし、ゆまは負けじと続けて衝撃波を放つ。
先程の倍…いや、それ以上の衝撃波を次々と撃っていった。
その度に魔獣は氷壁を作り出し、衝撃波を防ぐ。
自らの魔力全てをつぎ込むかのように、ゆまは攻撃を続けた。
【深化魔獣】
「リリィイ‼‼」
流石の深化魔獣も鬱陶しくなったのか、氷壁を作るのを止めその場で飛び上がる。
彼女の攻撃を防ぐことを止め、ジャンプで回避してから反撃に移ろうとした。
【ゆま】
「ほむらお姉ちゃんっ今だよ‼‼」
しかし、次の瞬間ゆまは声高くほむらに呼び掛ける。
一方で、空高く飛び上がった深化魔獣は空中で無防備になっていた。
この深化魔獣は…空中で自由に動けるタイプではない。
したがって、深化魔獣は空に飛びあがると…一瞬だが隙が生まれる。
その一瞬の隙を、彼女は見逃さなかったのだ。
725 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 21:58:42.74 ID:EnSU9iKY0(16/25)
【ほむら】
「―――魔手―――」
【深化魔獣】
「リリィ!?」
ゆまの合図を皮切りに、空を飛んで身を潜めていたほむらが深化魔獣の前に現れる。
ほむらは自らの翼を目一杯広げると、その翼の端々から無数の巨大な手を出現させる。
巨大な手は一斉に深化魔獣に襲い掛かり、あっという間に拘束してしまう。
無数の手はどす黒く禍々しい形をしており、まるで…捕まえた得物を地獄まで引きずり下ろす存在…そんな印象を受けた。
【ほむら】
「…っ‼‼」
続けて両翼の中央からは、その無数の手の持ち主であるかのような黒い化物が現れる。
その化物は拘束された深化魔獣に対し、敵意をむき出しにして…今にも襲い掛かりそうな勢いであった。
その後、ほむらの両翼はエネルギーを溜め始め…そのエネルギーを中央の化物へと送り込む。
すると…化物は口のような部分を開き…送り込まれたエネルギーをその部分へと集中させ始めた。
そのエネルギーは次第に化物の口元で凝縮され、その場に光の球体を作り出す。
【ほむら】
「―――ティロ―――」
【ほむら】
「―――フィナーレ―――」
バァァアアアアア
次の瞬間―――
ほむらは、その球体から真っ黒なレーザーを発射する。
レーザーは拘束され身動きの取れない深化魔獣に一気に迫り、そのままクリーンヒットした。
【深化魔獣】
「リィィィィイイイイイィィィィィィィィィ‼‼‼」
ほむらはレーザーを撃ち終わると、魔手を引き深化魔獣の拘束を解く。
強力なレーザー砲をまともに喰らった深化魔獣は、崩れ去るように地上に落下していった。
726 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 22:01:11.86 ID:EnSU9iKY0(17/25)
【ゆま】
「やった‼‼」
【ほむら】
「…えぇ」
瓦礫の中に埋もれてしまった深化魔獣は、ピクリとも動かない。
そして、空に浮かんでいるオーロラは徐々に消え…周りを満たしていた瘴気も晴れていく。
深化魔獣と対峙した時に感じる独特の雰囲気のようなものもなくなっていった。
【ゆま】
「やったよぉほむらお姉ちゃん‼‼‼」
魔獣を倒したものだと、思わず喜びを爆発させるゆま。
喜びのあまり、後ろからほむらに抱き着いてしまう。
【ほむら】
「...離れなさい」
しかし、一方のほむらは不機嫌そうに呟く。
ゆまを振り払おうとまではしないが、明らかに鬱陶しそうな表情をしている。
727 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 22:02:34.28 ID:EnSU9iKY0(18/25)
【ゆま】
「えーなんでー?」
ゆまは心底不思議そうに、ほむらの顔を後ろから覗き込む。
そのせいか、彼女はほむらから離れるどころか余計に密着する形になってしまう。
それはもう…身体と身体がピッタリとくっ付いてしまうくらいに…
【ほむら】
「…当たってるのよ、その無駄に発育したものが」
ほむらの背中には、ゆまの女性らしく発育したあるものが押し当てられていた。
それが、彼女には個人的に鬱陶しくてしょうがなかった。
…そう、あくまでも個人的な理由で…
【ゆま】
「えー別にいいじゃんー」ムギュー
【ほむら】
「…」
【ほむら】
「泣くわよ」
【ゆま】
「あ、ごめん…」
【ほむら】
「…」
ほむらの表情を隠して呟いた一言で、思わず身体を引いてしまうゆま。
拘束から解放されたほむらは、横目でチラリとゆまの発育した部分を見る。
そして、自分の同じ部分と比べ…何とも言えない表情を浮かべる。
…恐らく、今の彼女の気持ちは…当の本人にしか分らないのだろう。
728 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 22:08:55.42 ID:EnSU9iKY0(19/25)
【ゆま】
「それにしても…」
気を取り直して…とでも言うように、ゆまが崩れていく瘴気内を見渡しながら呟く。
【ゆま】
「最近の魔獣って何なんだろうね?」
【ゆま】
「なんか、急激に強くなってるような気がする...」
それは、最近の魔獣の事についてだ。
魔獣は…これまでも彼女達の予想を遥かに上回るペースで強くなっていた。
しかも、此処最近の強化は…常軌を逸している。
まるで―――何かの前触れであるかのように…
そして、その何かに吸い寄せられているかのように―――
【ほむら】
「えぇ…そうね…」
【ほむら】
「…」
ゆまの言葉に頷き、そのまま黙りこむほむら。
彼女の脳裏には、ある1つの事柄が浮かんでいた。
『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!』
【タツヤ】
『がぁあ!!!!!!!!』ギィィィン!!!
それは、魔獣の異常なまでの強化と…ほぼ同時期に、少年に起きた現象―――
強化された魔獣と…互角、いやそれ以上の力を見せ付けた少年。
果たして、それは只の偶然なのか…あるいは、何かしらの関係性があるのか…
仮に関係があるのであれば、あの少年にも危害が及ぶかもしれない。
そんな不安が、彼女の中に渦巻いていた。
729 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 22:10:22.70 ID:EnSU9iKY0(20/25)
【ゆま】
「ほむらお姉ちゃん、どうしたの?」
【ほむら】
「…何でもないわ」
不思議そうに顔を覗き込むゆまに、ほむらは愛想なく答える。
今は…そんな事を気にしても仕方ない。
そう、彼女は考える。
【ほむら】
「さ、帰るわよ」
【ゆま】
「あ、待ってよー」
あの少年を、巻き込まなければ済む話なのだから…
例え、彼にどんな風に思われようとも…自分のやる事は変わらない。
今までだって、そうしてきたのだから…。
そう…ずっと、1人で――――
「…ィィィ…」
しかし―――
ほむらが、そうやって自分に言い聞かせている時だった
【ゆま】
「え?」
突如、周りの雰囲気が一変する。
晴れかけていた瘴気が…再び辺りに広がり始め、世界を禍々しい空気に包んでいった。
元に戻りかけていた空は、オーロラが再び浮かび上がる。
730 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 22:13:10.60 ID:EnSU9iKY0(21/25)
【深化魔獣】
「リリリリィィィィイイイイイイイイイ‼‼‼‼‼‼」
そして、次の瞬間―――
それまで瓦礫に埋もれて動いていなかった深化魔獣が勢いよく飛び出してくる。
深化魔獣は、その場で巨大な氷塊を作り出し…そのまま打ち出してきた。
【ほむら】
「!?」
【ほむら】
「ゆまっ‼」
氷塊は真っ直ぐにゆまへと向けて飛んでくる。
そんな深化魔獣の行動にいち早く気付いたほむらは、彼女に声を掛ける。
急いで黒翼を広げ、彼女に近付いていった。
【ゆま】
「きゃぁぁぁああああ‼‼‼」
しかし、その行動は一歩遅く…ゆまはその氷塊をまともに受けてしまう。
ゆまはそのまま激しく吹き飛ばされ、近くにあった氷山へと衝突した。
【ほむら】
「大丈夫、ゆま」
【ゆま】
「う…うん、なんとかね」
ほむらはゆまの安否を気にして、彼女に声を掛ける。
その声に応えるように、ゆまはその場でフラフラと立ち上がる。
ゆまはダメージは受けてはいるものの、幸い命に別状はなさそうであった。
【深化魔獣】
「リリィィィィイイ‼‼‼‼」
【ほむら】
「気をつけなさい」
【ほむら】
「あなた、自分の傷を治すのは得意じゃないんだから」
【ゆま】
「へへ…ごめんね…」
ほむらはゆまに肩を貸しながら、そんな忠告をする。
彼女の言葉を受けて、ゆまは思わず苦笑いを浮かべた。
731 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 22:16:03.45 ID:EnSU9iKY0(22/25)
回復魔法を得意としているゆまの唯一の弱点―――
それは自分自身の回復が苦手だという事…。
かつて友人の腕の為に魔法少女になった少女と違い、ゆまは自分以外の他人…
それも、全体回復に特化している。
その影響もあってか、ゆまは肝心の自分自身への回復を苦手としていた。
【深化魔獣】
「リリリィィィィ…」
【ゆま】
「そんな・・あれでも駄目だったの…?」
深化魔獣は傷を負っているようだが…まだ、余力を残しているように見える。
いや、この深化魔獣もほむらの攻撃によって痛手を負っていたのは事実だ。
先程まで瓦礫の中で動かなかったのは、その傷の修復に努めていたからである。
一時的に意識を奥底へと沈めていた為、瘴気内が崩れかけていた…というわけだ。
【ほむら】
「…くっ」
【ほむら】
「(本当に…強い…)」
全ての事に気付いたほむらは、その顔を一層険しくさせる。
持久戦で此処まで苦戦を強いられる深化魔獣は、流石のほむらでも初めてだった。
パワーこそ前回の灼熱の深化魔獣に劣るが…それでも、彼女達には十二分に強敵だったのだ。
【深化魔獣】
「リリィィ…」
【ゆま】
「ねぇ、まずいよ...」
【ゆま】
「さっきので私達の魔力も殆ど残ってないし...」
ゆまの言う通り、先程の合体技の影響で…彼女達の魔力は殆ど残っていない。
回復用のグリーフシードも、残りわずかとなっていた。
このまま持久戦が続くのなら…結果は…
【ほむら】
「そうね…」
ほむらは最初に聞いた織莉子の言葉を思い出す。
正直、此処まで苦戦するとは思っていなかった。
最悪の事態も考えられる中で、ほむらは何とか打開策を見出そうとする。
732 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 22:18:27.79 ID:EnSU9iKY0(23/25)
【深化魔獣】
「リリリリィィィィィィィィイイイイイイィィィ‼‼‼‼」
【ゆま】
「来たよ‼‼」
【ほむら】
「…っ‼‼」
だが、そうしている間にも…深化魔獣は再び彼女達に襲い掛かる。
このままではまずいと考えながらも、特に打開策を見出せないまま…彼女達は戦闘態勢をとる。
例え自分達がどうなろうと…目の前の魔獣だけは、止めて見せる。
そんな一種の覚悟のようなものを持ちながら…。
「暁美さん‼‼ゆまさん‼‼」
だが、そんな時だった―――
【ゆま】
「え?」
【タツヤ】
「うぉぉぉぉおおおおお‼‼」
少年が…鹿目タツヤが、彼女達の居る場所に到着したのは…
【ほむら】
「!!」
【ほむら】
「なっ…」
ほむらは、タツヤを見て驚愕する。
何故…こんな所に彼が居るのか、一体何をしに来たのか…
どうして…なんで…ほむらは、柄でもなく頭の中をぐちゃぐちゃにしていた。
733 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 22:22:47.56 ID:EnSU9iKY0(24/25)
【タツヤ】
「―――スターライトアロー―――」
バシュッ‼
【深化魔獣】
「リィィィィィィィィィ‼‼‼‼」
ズガガガガガガガガガガガ‼‼
一方でタツヤは、左手に先程の双刃剣を持ち…そのまま弓に変化させる。
そして、何処からか光の矢を取り出し…それを深化魔獣に向けて放った。
タツヤの矢をまともに受けた深化魔獣は、後ろへと一気に吹き飛ばされる。
【ゆま】
「凄い…」
その魔獣の姿を見て、ゆまが思わず声を上げる。
自分達が手を焼いていた魔獣を、たった一撃であそこまで後退させた力…。
それは、経験豊富な彼女達にも無いものであった。
【タツヤ】
「ゼェ…ゼェ…」
【ゆま】
「え…嘘…」
【ゆま】
「たっくん…?」
そこでようやく、ゆまもタツヤの存在に気付き…ほむら同様、驚きの表情を浮かべる。
そして―――今の攻撃が…彼によるものであることも…
【ほむら】
「…」
【ゆま】
「なんで…?」
彼女達は、何がなんだか分らないとでも言うように…呆然とその場に立ち尽くしている。
タツヤが何をしに来たのか、彼が持っているあの武器は何なのか…
そもそも、あの力は何なのか…
全ての事が、彼女達には分らなかったのだ。
734 川´_ゝ`){良いお年をー ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2013/12/31(火) 22:29:18.47 ID:EnSU9iKY0(25/25)
今回は以上になります、お疲れ様でした。
一応後2回で5話及び1章終了予定です。
それでは今年も有難うございました、来年もよろしくお願いします。
では、お休みなさい。ノシ
735 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/31(火) 22:56:05.89 ID:9PdiC1GDO携(1)
乙
良いお年を
736 川´_ゝ`){あけおめ ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/01/26(日) 22:32:49.57 ID:fU4uR8Kg0(1)
遅くなりましたがあけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。
お待たしております。今日は近況報告です。
現在進行度は60%といったところです。
時間が掛かってしまい、申し訳ありません。
投稿の目途が立ったらまた連絡しに来ます。
それでは、今回はこの辺で。お休みなさい ノシ
737 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/29(水) 00:18:20.74 ID:KEI9YmWm0(1)
初期から楽しませてもらってるけど流石に先行きが心配
あと二回で1章が終了予定みたいだけど3章完結だっけ
だとしたら連載開始から2年以上かかってやっと一章完結で3章完結まで何年かかるの と
余計なお世話かもしれんが構成を少し短めにしてみては?
738 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/15(土) 01:34:14.76 ID:OrdFIt750(1)
恥ずかしい
739 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/15(土) 05:50:52.40 ID:MAAJOTXX0(1)
まどか☆まだか
740 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/17(月) 00:27:09.74 ID:VglJspWL0(1)
あ
741 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/17(月) 03:52:35.98 ID:AVfQKSHro(1)
■ HTML化依頼スレッド Part15
vip2chスレ:news4ssnip
依頼出しとけよ
742 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 16:19:26.85 ID:rAHNDjK0o(1)
保守
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