[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part8 (1002レス)
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980: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水)04:42 ID:5ouFvNKEo(3/9) AAS
「頭が痛い」
「モグモグモグモグ…ング!プハッ!どうした?病気か?それよりおかわりだ!」
「……ほんと頭が痛い」

 早朝、食卓にはマッチョと着物少女が座っていた。マッチョは頭を抱えて顔を伏せ、少女は元気に食事を食べている。食事はご飯に目玉焼き、キュウリの浅漬け、麩のお味噌汁。
それほど広くないキッチンに、朝食の香りが充満する。少女は満足そうに、しきりにうなづきながら食べている。キュウリだけですでにご飯を一杯食べている。朝食に文句はないらしい。
少女は醤油を手に取ると、箸で黄身に数ヵ所穴をあけ、そこに醤油をたらし込む。そして黄身が黒々としたころに、目玉焼きをご飯茶わんの上に乗せるとかき混ぜ始めた。
俗に言う目玉焼きご飯である。
 その様子を見ながらマッチョは深々と息を吐いた。マッチョはあまり箸が進んでいない。しかし、それも当り前だろう。いま目の前にいるのは人間ではない。
つい昨日、この家に迷い込んだ『座敷ワラシ』なのだ。
省10
981: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水)04:43 ID:5ouFvNKEo(4/9) AAS
(とりあえず、今は保留でいいだろう)

 居候とでも思えば、多少なりとも気分は晴れる。居候であれば、いつかは家から出ていく。座敷ワラシは家に来て、そして『去って』いく存在。相手は子供。飽きれば出ていくだろう。
それが現状を考えたうえで伊織が出した答えだった。あとは、考えたくもない。
 そんなことを考えながら味噌汁をすする。

「うまい」

 我ながらよくできていると自画自賛する。家族が死ぬ前から食事当番はいつも伊織だったのだ。料理は得意である。

「うまいだろう?ほら、もっと食べるといいぞ。ワシは寛大だからな。崇めていいぞ」
「……作ったのは俺なんだが」
「気にしゅるこちょはにゃいじょ」
省3
982: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水)04:45 ID:5ouFvNKEo(5/9) AAS
「がっこぉおおおおお!?」

 それは家を出ようとした時だった。耳をつんざくような大きな声が家中に響き渡る。その声の大きさに、伊織は大きく顔をしかめ両耳を塞いだ。
座敷ワラシは大きく口を開け目を見開き、信じられないものをみるかのように伊織を凝視する。
 そんな座敷ワラシを無視し、伊織は学校への出勤準備を再開した。

「ちょっと!えぇ!?聞こえなかった!きっと今の聞き間違い!もう一回!」
「ですから、私は学校へ出勤してきます。帰りはおそらく10時ぐらいになるでしょう。一応、昼食と夕食は冷蔵庫に入れておいたので適当に食べておいてください。
 別に家の中を壊したり荒らしたりしなければ何をしててもかまいませんので。聞こえましたか座敷ワラシ様」

 伊織は手を止めず、座敷ワラシの顔を見ず、淡々と準備をし続ける。いつも通りの動き。いつも通りの朝を務めようとする。
違いがあるとすれば、それを妨害する存在が目の前にいるということだ。
座敷ワラシは伊織が準備していたカバンをまるでスリの常習犯のような軽やかな手つきで奪い取ると、素早くそのカバンをそのまま部屋の隅に投げつける。
省6
983: モデルケース 2013/02/20(水)04:46 ID:5ouFvNKEo(6/9) AAS
「ワシは座敷ワラシ!家に富と福をもたらす存在!ワシがいれば働く必要もない!ゆえに、学校に行く必要なんてない!」

 ここは家族と過ごした家。これから先も、家族と過ごす予定だった家。そんな家に勝手に土足で入り込み、自分勝手な持論を並び立てる目の前のガキ。

「こう見えてもワシは強力な座敷ワラシ。力が万全であればものの数日で金持ちだ。今の状態でもひと月もあれば福を実感させてやれるぞ」
「…まれ」
「そうだ!この荷物なんて捨ててしまうか。もう学校に通う必要なんてないからなぁ」

 伊織の心に満ちたのはストレスからくる過剰なまでの怒り。満ちた怒りはあっさりと理性という防波堤を破壊し、頭のてっぺんから足の先まで行きわたる。
怒りは駆け巡った勢いそのままに伊織の体を大きく動かした。拳を固く握らせ、拳を大きく振りかぶらせる。

「黙れって!言ってんだろうがこのクソガキ!!!」
「え?」
省6
984: モデルケース 2013/02/20(水)04:46 ID:5ouFvNKEo(7/9) AAS
 殴り飛ばした伊織は自分の体を抱きしめ大きく数度身震いし、ゆっくりと息を吐き出した。息を吐き出し切り、数秒呼吸を停止する。
そうすることによって、怒りで乱れていた呼吸が平常に戻っていく。そして身震いする体を拘束する腕をゆっくりほどいていく。
拘束が解かれたのは、怒りがこれ以上噴出しないようにだったのだろう。自分の体を抱きしめる伊織の体は暴れる獣を抑えているかのようだった。
 拘束を解いた伊織は座敷ワラシを一瞥をくれると、部屋の隅に投げられている自分の荷物を拾い上げると、スーツについていた皺を直し、髪を整え、学校へ行く準備を整えた。
そして、再び座敷ワラシの一瞥をくわえる。座敷ワラシはすでに体勢を整え、こちらに顔を向けている。その顔は無表情にも見えるが、伊織には今にも泣くのを耐えている顔に見えた。
最近、こんな顔を見たことがある。

(だからどうした)

 伊織は心の中で一人ごちる。座敷ワラシから勢いよく視線を外し、ふすまを開け部屋を出た。冷気に満ちる廊下を渡り、足早に玄関へと向かう。
その足早な態度に廊下が軋みを上げ大きく鳴った。その軋みはまるで大声で泣く男のようで伊織は耳をふさぎそうになる。しかし、それは伊織にしか聞こえない鳴き声だった。
そんな幻聴を振り払うように足を動かし、玄関で靴を履いた。鳴き声を振り切ろうと玄関戸に手をかける。
省2
985: モデルケース 2013/02/20(水)04:47 ID:5ouFvNKEo(8/9) AAS
 そこにいたのは、目に涙を溜め、それでも流さぬよう少し上向きに顔を上げた少女がいた。座敷ワラシだというのはわかる。
しかし、そこには今まで発していたような大仰な態度も偉そうな雰囲気も、ましてや楽しげな少女の顔すらない。
今あるのは必至に、何かを守ろうとして縋り付こうとしているあられな少女の姿だった。オカルトではない、少女の波だった。
 少女は膝をつく。許しを請うように。少女はこうべを下げる。自分の顔を見られぬように。

「お願いだから……。一人にしないで」

 泣き声すら押し殺した、小さな声で語られた切実な願い。もし、今もなお怒りに身を任せていたとしても心に届きうる真摯な態度。心の底から語られた座敷ワラシの言葉。
そのすべてが、ダブらせる。ダブるからこそ、正面から受け止められない。座敷ワラシが顔を上げる。そこにあったのは涙が流れる顔。
 伊織はすべてを振り切って、まるで逃げるように外へ飛び出した。戸に鍵をかけることも、まして戸を閉めることすらなく、逃げ出したのだ。
太く、小さい体をみじめに動かし、少女の願いから目をそむけた。思い出させるなとでもいうように。
 座敷ワラシが見た顔は、下唇をかみしめ、目じりが下がり、泣きそうになりながらも、それでも耐えようとする男の顔だった。
省2
986: モデルケース 2013/02/20(水)04:49 ID:5ouFvNKEo(9/9) AAS
以上

半年以上たってしまった
987: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水)08:06 ID:btxj8CP90(1) AAS
おつでした
それぞれに重たい事情があるみたいじゃねえ
どうなるんだ?どうなるんだ?
って続きが気になる展開でございました
続き楽しみにしております
988: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水)21:46 ID:rO+gaV9DO携(1) AAS
今日は人いないねえ
989: 都市伝説と戦わないシリーズ第三話「The sun against my will」 [saga] 2013/02/20(水)22:18 ID:ufTDUwHm0(1/3) AAS
「皆さんおはようございます、今日は一学期最終日です」

夏休みの前日の暑い暑い朝。僕達は校庭に集められて校長先生の話を聞かされる。
校長先生の話は長い。聞いている途中で女の先生が貧血を起こしたこともある。
僕が思うに校長先生は悪い人ではないし僕達に迷惑をかけようとも思っていない。
だが校長先生は自分が偉くないと気が済まない人なのだ。
長々していて説教臭い挨拶をかますことが偉いと勘違いしているのだ。
そうやって内心彼を馬鹿にしながらじっと耐えている間も太陽は僕達の背中を静かに焼き続ける。
それにしても今日は少し暑すぎる。
今すぐにでも服を脱ぎ捨ててしまいたいがそれをするには服の枚数が足りない。
呼吸が次第に荒くなっていく。
省29
990: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水)22:26 ID:ufTDUwHm0(2/3) AAS
戦わないシリーズはワンスプーン料理みたいなものです

とまあそれはさておき誰も居ないなら一人で書きまくって皆の為に時間を稼げばいいじゃない
そんなことを思う俺なのでした

今回はもうちょっと太陽がジリジリ迫ってきてそのまま焼きつくすみたいなビジュアルを重要にしたかったなあ
あと被害者を肉体的に傷めつけるのはどうもホラーらしくない気がして辛い
ホラーたるものなんていうかこう精神的に殺していかないと間違ってる気がする
でもそう考えるのも了見が狭い気がしてあふぅ
991: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水)22:34 ID:ufTDUwHm0(3/3) AAS
ところで避難所チラ裏の>>538さんも仰ってるんですけどシェアワって長く続けば続くほど新しい人が書きにくいじゃあないですか
シェアワにとって一番重要なことってとっつきやすさだと思うんですよ
インスマスを覆う影とか壁の中のネズミとか悪霊の家とかは知らなくてもニャルとかハスターとかクトゥルフとかSAN値とか知ってるじゃないですか
よく解んないけどとりあえず知ってる、だから書ける
みたいな感じって重要だと思うんですよ
組織とかぶっちゃけもう上のナンバー皆取っちゃったから使いづらかったりとかするし
先にでかい組織が有ると入っていって書くのにも遠慮しちゃうし
あと人の作った組織の設定に乗るのって勇気が要りますしね

でも設定消しちゃうのも辛いよね
992
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水)23:58 ID:4gwZGN6AO携(2/2) AAS
必ずしも学校町や組織を使う必要はないし、わざわざ消さなくてもいいと思うの。
設定刷新した新スレとこっちと両方あってもいいんじゃないかな。投下ペースは落ちそうだけど。
993
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木)00:14 ID:sfne2yqyo(1/2) AAS
避難所の>>538さんも学校町に代わる舞台と組織以外の複数の作者が絡める大組織をどっかにつくれば
同じ世界の中の別の地域の話ということで万事解決する気もする

って書いてるし、世界規模の組織が一つだけしかないわけじゃない
同じように魑魅魍魎が跋扈してる町が学校町だけなわけじゃない(いろんな作者さんがいくつか町や組織出してますし)
作者全員が協力して一つの町つくって第二の学校町にすればいいんじゃない?
994: シャ ◆7aVqGFchwM [sage saga] 2013/02/21(木)00:23 ID:1pSpG3P00(1) AAS
新スレ

vip2chスレ:news4ssnip

すまん、私はくたばる
埋め作業は任せた
995: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木)08:15 ID:OLWi5AjDO携(1) AAS
新スレ乙
埋め立てはどうやろう
996: 都市伝説を〆るために世界と再契約したのが、この俺だ!! 2013/02/21(木)23:25 ID:1itFk9+X0(1/2) AAS
伝言のために来たため、各作品へのレスが出来ないことを許して頂きたい
久々に長編が投下されたと聞き、頭に血が昇っていたというのに申し訳ない
色々あって立て込んでいたのだが、シャドーマンの契約者の人に伝言がある

これまでの設定(学校町ルール)をぶん投げて
世界観と各種設定を大幅リニューアルした舞台で
黄昏雪奈と愉快な仲間たちのお試し単発を書かせて頂きます

ところが案はまだ出ていないため
ひとまずシャドーマンの契約者の人に上記の確認のみ行いたい

そして重大な問題がある
ネットワークのハードウェアが検出されないと称して
省4
997
(1): 都市伝説を〆るために世界と再契約したのが、この俺だ!! 2013/02/21(木)23:29 ID:1itFk9+X0(2/2) AAS
急いで付け加えなければならないのは
肝心のテキストデータが入ったUSBメモリが
数日前から行方不明になってしまっている件である
誰か見かけたら教えて

ひとまずジャスコ行ってきてから考えりゅ
998
(2): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木)23:31 ID:sfne2yqyo(2/2) AAS
スレ自体が絶頂期を過ぎて衰退してるのは感じてたが
そうか、ついに〆ようという流れも現実化してきたか
999: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage] 2013/02/21(木)23:31 ID:oIjCy0LO0(1/2) AAS
最後の最後でキタ━(゚∀゚)━!
カゲオの人じゃあないけど作品tな惜しみに待ってます
自分の方は2.0世界に合わせる為に色々やってく予定でござい
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あと 3 レスあります
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