[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part8 (1002レス)
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966: 都市伝説と戦わないシリーズ「キの印」 [saga] 2013/02/19(火)21:31 ID:GtzfOWjc0(2/6) AAS
学校からの帰り道、私は初めて万引きをした。
最近できたばかりの雑貨店で、瑪瑙のブローチを万引きした。
黄色と黒の縞々で、中央に非ユークリッド幾何学的にねじれ曲がった三本のラインが入った不思議な不思議な金細工のブローチ。
前から欲しくてしょうがなかったのだけど、私のお小遣いでは買えないし、どうせお父さんもお母さんもあの店のものは買ってくれない。
大人たちはあの店に近寄ってはいけないなどと言っているのだから。
店番のおばあさんは何時も眠っているし、万引き自体はとても簡単だった。
やり方も他の子から教えてもらったのだ。
皆がやっている。私は悪くない。心のなかで何度も繰り返しながら私はブローチをポケットに入れた。
家に帰ると両親は居らず、妹が一人でテレビを見ていた。
私はこっそり自分の部屋に戻ってブローチを眺めた。
省32
967: 都市伝説と戦わないシリーズ「キ印」 [saga] 2013/02/19(火)21:35 ID:GtzfOWjc0(3/6) AAS
前回の話は「青空の神話」ってタイトルだということで
「其処にイタクァ」にしようと思ったら友人に大爆笑されてしまいました

欲望は人を変えます
もしかしたらあの少女もあのブローチを見るまではまともな人間だったのかもしれません
しかし人智を越えた怪異の力はそんな普通の人間たちの幸せや日常をいともたやすく打ち壊していきます
この話を読み終わったら想像してみてください
これから家に帰ってくるお父さんの気持ちを
恐怖や感動は文章の中に有るのではなく読んでいる内に感じるものです
文章そのものよりも文章を読んだ後に巡らせる想像に価値があると思うのは私だけでしょうか
968: シャ ◆7aVqGFchwM [sage saga] 2013/02/19(火)21:57 ID:7kZrKzZ20(2/2) AAS
乙ですのン
前に言及してらっしゃったが、コズミックホラーらしく不気味で狂気的……
背筋がぞくぞくして逝ってしまいそうですの(
969: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火)22:24 ID:GtzfOWjc0(4/6) AAS
戦わないシリーズはスレ埋め立て能力無いのが辛いねえ
雑談とかもこっちで行えば良いのかしら
970
(2): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火)22:36 ID:GtzfOWjc0(5/6) AAS
あとこの前避難所で話してた都市伝説スレ2.0バージョンの話をこっちでもしたいなあって
971: 俺と彼女と彼女の肢体 1/4 [saga sage] 2013/02/19(火)22:46 ID:vAg2fzoU0(6/9) AAS
豚もおだてりゃ木に登る。八尺様俺です踏んでくださいブヒィブヒィ
というわけでおだてられた豚がもう一度投下します

・『空を眺める少女』と契約者のお話。
・何度かあった戦いの中の一幕的な
・男爆発しろ
・タイトルは誤字にあらず

それではごゆるりとお楽しみくださいませ
972: 俺と彼女と彼女の肢体 2/4 [saga sage] 2013/02/19(火)22:47 ID:vAg2fzoU0(7/9) AAS
彼女は病院、カラオケ、ボーリングを嫌う。
彼女は喫茶店、映画館、スーパーを好む。
最近になって彼女の趣向がわかるようになってきた。
『都市伝説』である彼女は、身分証の提示を嫌うようだ。

一時間後に待ち合わせを約束し「まるで神田川みたいね」と彼女は微笑んだ。

時々彼女は、俺にはわからない比喩を出してくる。もともと彼女とは世代が違うから、仕方がないのかなとは思う。

「石鹸投げてー!」

彼女の声が銭湯に反響する。感覚的に俺が今いる場所のちょうど裏側に彼女がいることはわかっている。契約しているもの同士、銭湯程度の広さの場所で互いを見失うことはない。
省9
973: 俺と彼女と彼女の肢体 3/4 [saga sage] 2013/02/19(火)22:48 ID:vAg2fzoU0(8/9) AAS
「……今何か変なこと考えてたでしょ?」

ハハハ、ナンノコトナノカナ。

「ほらやっぱりごまかしてる」

「というかナチュラルに人の心を呼んでんじゃねえよ」

「三割くらい強制的に流れこんでくるんですけど。そういう状況にさせたのはどこのどなただったかしら?」
省7
974: 俺と彼女と彼女の肢体 4/4 [saga sage] 2013/02/19(火)22:50 ID:vAg2fzoU0(9/9) AAS
以上です
スレ汚し失礼しました
いい感じに当分の間のライフワークになりそうです
あと男は「30歳超えたら魔法使い云々」の都市伝説とは契約出来ませんのであしからず
近いうちにまた投下させてもらいます
975: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火)23:14 ID:GtzfOWjc0(6/6) AAS
ああ……心が暖かくなってくる
光があふれるほど闇が強くなる気がするので自分の作品をもっと容赦なくできるような気がしてきたよ
ありがとう、ありがとう
976: シャ ◆7aVqGFchwM [sage saga] 2013/02/20(水)00:15 ID:1Skfqt2x0(1) AAS
もうヤってんのか! ちくしょう誰か椿さんと疾風くん呼んでこい!
乙ですのン乙ですのン
てか冒頭wwww気持ちは分かるけど改めて言われると噴くwwwww
そうか、電気消すのか……うちの子達は電気消すどころか日の明るい内に(ry
977: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水)02:20 ID:4gwZGN6AO携(1/2) AAS
都市伝説と戦わないシリーズの人乙ですー
なにこの狂気をはらみつつも清々しい文章…脱帽です

彼と彼女の〜の人乙です
もげろとも言えんほどさわやかなカップルだなーいーなーと思ったけどやっぱりもげろ

そして神田川の例えがわかってしまう俺
978: モデルケース 2013/02/20(水)04:40 ID:5ouFvNKEo(1/9) AAS
「待て!どこに行く!?」

 家に響いたのは男の怒号。その大声はまるで獣の叫びとでも言わんばかりの迫力をもっていた。

「うるせぇ!離しやがれ!!」

 そんな男と対峙する男の声もまた、怒号。前者ほどの声量はないが、その声には満ちに満ちた怒りであふれている。いや、それはもはや憎悪へと昇華していると言っていいだろう。
 前者は太く大きな、しかし背の低い男。後者の男は痩せて不精なひげが顎を覆っている男だ。
 太い男は、痩せた男の腕を握っている。体格の差から考えればそこから抜け出すことなど不可能だろう。

「ぐぅっ!?」
省12
979: モデルケース 2013/02/20(水)04:41 ID:5ouFvNKEo(2/9) AAS
「待て!雄二!待ってくれ!!待てぇえ!!」

 あたりに男の叫びが響き渡り、闇夜に消えていく。走り去る雄二は振り返ることすらない。街灯に照らされた後姿を、太い男は必死に追いかけようと足を動かす。

「もう!もう俺には!」

 男は歯を食いしばる。顔をくしゃくしゃにゆがめ、それでも耐えるように。しかし、それもここまでだった。

「俺を一人にしないでくれぇぇぇ!!!!」
省12
980: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水)04:42 ID:5ouFvNKEo(3/9) AAS
「頭が痛い」
「モグモグモグモグ…ング!プハッ!どうした?病気か?それよりおかわりだ!」
「……ほんと頭が痛い」

 早朝、食卓にはマッチョと着物少女が座っていた。マッチョは頭を抱えて顔を伏せ、少女は元気に食事を食べている。食事はご飯に目玉焼き、キュウリの浅漬け、麩のお味噌汁。
それほど広くないキッチンに、朝食の香りが充満する。少女は満足そうに、しきりにうなづきながら食べている。キュウリだけですでにご飯を一杯食べている。朝食に文句はないらしい。
少女は醤油を手に取ると、箸で黄身に数ヵ所穴をあけ、そこに醤油をたらし込む。そして黄身が黒々としたころに、目玉焼きをご飯茶わんの上に乗せるとかき混ぜ始めた。
俗に言う目玉焼きご飯である。
 その様子を見ながらマッチョは深々と息を吐いた。マッチョはあまり箸が進んでいない。しかし、それも当り前だろう。いま目の前にいるのは人間ではない。
つい昨日、この家に迷い込んだ『座敷ワラシ』なのだ。
省10
981: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水)04:43 ID:5ouFvNKEo(4/9) AAS
(とりあえず、今は保留でいいだろう)

 居候とでも思えば、多少なりとも気分は晴れる。居候であれば、いつかは家から出ていく。座敷ワラシは家に来て、そして『去って』いく存在。相手は子供。飽きれば出ていくだろう。
それが現状を考えたうえで伊織が出した答えだった。あとは、考えたくもない。
 そんなことを考えながら味噌汁をすする。

「うまい」

 我ながらよくできていると自画自賛する。家族が死ぬ前から食事当番はいつも伊織だったのだ。料理は得意である。

「うまいだろう?ほら、もっと食べるといいぞ。ワシは寛大だからな。崇めていいぞ」
「……作ったのは俺なんだが」
「気にしゅるこちょはにゃいじょ」
省3
982: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水)04:45 ID:5ouFvNKEo(5/9) AAS
「がっこぉおおおおお!?」

 それは家を出ようとした時だった。耳をつんざくような大きな声が家中に響き渡る。その声の大きさに、伊織は大きく顔をしかめ両耳を塞いだ。
座敷ワラシは大きく口を開け目を見開き、信じられないものをみるかのように伊織を凝視する。
 そんな座敷ワラシを無視し、伊織は学校への出勤準備を再開した。

「ちょっと!えぇ!?聞こえなかった!きっと今の聞き間違い!もう一回!」
「ですから、私は学校へ出勤してきます。帰りはおそらく10時ぐらいになるでしょう。一応、昼食と夕食は冷蔵庫に入れておいたので適当に食べておいてください。
 別に家の中を壊したり荒らしたりしなければ何をしててもかまいませんので。聞こえましたか座敷ワラシ様」

 伊織は手を止めず、座敷ワラシの顔を見ず、淡々と準備をし続ける。いつも通りの動き。いつも通りの朝を務めようとする。
違いがあるとすれば、それを妨害する存在が目の前にいるということだ。
座敷ワラシは伊織が準備していたカバンをまるでスリの常習犯のような軽やかな手つきで奪い取ると、素早くそのカバンをそのまま部屋の隅に投げつける。
省6
983: モデルケース 2013/02/20(水)04:46 ID:5ouFvNKEo(6/9) AAS
「ワシは座敷ワラシ!家に富と福をもたらす存在!ワシがいれば働く必要もない!ゆえに、学校に行く必要なんてない!」

 ここは家族と過ごした家。これから先も、家族と過ごす予定だった家。そんな家に勝手に土足で入り込み、自分勝手な持論を並び立てる目の前のガキ。

「こう見えてもワシは強力な座敷ワラシ。力が万全であればものの数日で金持ちだ。今の状態でもひと月もあれば福を実感させてやれるぞ」
「…まれ」
「そうだ!この荷物なんて捨ててしまうか。もう学校に通う必要なんてないからなぁ」

 伊織の心に満ちたのはストレスからくる過剰なまでの怒り。満ちた怒りはあっさりと理性という防波堤を破壊し、頭のてっぺんから足の先まで行きわたる。
怒りは駆け巡った勢いそのままに伊織の体を大きく動かした。拳を固く握らせ、拳を大きく振りかぶらせる。

「黙れって!言ってんだろうがこのクソガキ!!!」
「え?」
省6
984: モデルケース 2013/02/20(水)04:46 ID:5ouFvNKEo(7/9) AAS
 殴り飛ばした伊織は自分の体を抱きしめ大きく数度身震いし、ゆっくりと息を吐き出した。息を吐き出し切り、数秒呼吸を停止する。
そうすることによって、怒りで乱れていた呼吸が平常に戻っていく。そして身震いする体を拘束する腕をゆっくりほどいていく。
拘束が解かれたのは、怒りがこれ以上噴出しないようにだったのだろう。自分の体を抱きしめる伊織の体は暴れる獣を抑えているかのようだった。
 拘束を解いた伊織は座敷ワラシを一瞥をくれると、部屋の隅に投げられている自分の荷物を拾い上げると、スーツについていた皺を直し、髪を整え、学校へ行く準備を整えた。
そして、再び座敷ワラシの一瞥をくわえる。座敷ワラシはすでに体勢を整え、こちらに顔を向けている。その顔は無表情にも見えるが、伊織には今にも泣くのを耐えている顔に見えた。
最近、こんな顔を見たことがある。

(だからどうした)

 伊織は心の中で一人ごちる。座敷ワラシから勢いよく視線を外し、ふすまを開け部屋を出た。冷気に満ちる廊下を渡り、足早に玄関へと向かう。
その足早な態度に廊下が軋みを上げ大きく鳴った。その軋みはまるで大声で泣く男のようで伊織は耳をふさぎそうになる。しかし、それは伊織にしか聞こえない鳴き声だった。
そんな幻聴を振り払うように足を動かし、玄関で靴を履いた。鳴き声を振り切ろうと玄関戸に手をかける。
省2
985: モデルケース 2013/02/20(水)04:47 ID:5ouFvNKEo(8/9) AAS
 そこにいたのは、目に涙を溜め、それでも流さぬよう少し上向きに顔を上げた少女がいた。座敷ワラシだというのはわかる。
しかし、そこには今まで発していたような大仰な態度も偉そうな雰囲気も、ましてや楽しげな少女の顔すらない。
今あるのは必至に、何かを守ろうとして縋り付こうとしているあられな少女の姿だった。オカルトではない、少女の波だった。
 少女は膝をつく。許しを請うように。少女はこうべを下げる。自分の顔を見られぬように。

「お願いだから……。一人にしないで」

 泣き声すら押し殺した、小さな声で語られた切実な願い。もし、今もなお怒りに身を任せていたとしても心に届きうる真摯な態度。心の底から語られた座敷ワラシの言葉。
そのすべてが、ダブらせる。ダブるからこそ、正面から受け止められない。座敷ワラシが顔を上げる。そこにあったのは涙が流れる顔。
 伊織はすべてを振り切って、まるで逃げるように外へ飛び出した。戸に鍵をかけることも、まして戸を閉めることすらなく、逃げ出したのだ。
太く、小さい体をみじめに動かし、少女の願いから目をそむけた。思い出させるなとでもいうように。
 座敷ワラシが見た顔は、下唇をかみしめ、目じりが下がり、泣きそうになりながらも、それでも耐えようとする男の顔だった。
省2
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