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141: レプリカ 2016/11/02(水)20:00 ID:ul4a9bPM(1/3) AAS
剣槍一合、交わる。

エドワード・エクセルシア、清宮天蓋の特性は非常に似通ったものであった。起源をほぼ同じくする以上、当然の話ではある。
ただし、それらの関係は贋作と真作でもあった。贋作は清宮天蓋であり、真作はエドワードだった。
店外は本来では魔術師の域を出ない存在だったが、サーヴァント・ルーラーの外法、『英霊兵』の力を以てその身にアルトリア・ペンドラゴンのコピーを降ろしたに過ぎない。
技術、ステータス、スキル、全てが借り物。その宝具も、自身のものではない。
対して、エドワードこそ真作であった。真なるアーサー・ペンドラゴンより、聖剣の担い手として選ばれ、正統なる聖剣を振るう、真なる騎士の王であった。
天蓋の世界に当てはめるならば、エドワードは伝承保菌者、或いは擬似サーヴァントやデミ・サーヴァント……更に言うならば、現存する『英雄』と呼んで差し支えない。

「……くそっ!!」

「どうした《騎士王》! そんなものか!?」

だが。その力関係は、ほぼ逆転していた。
当然の話ではあった。このロワイヤルに向けた調整が施してあるとはいえ、天蓋はサーヴァントという超常の存在と比較して差し支えない存在なのだ。
対して、エドワードは、特別秀でた戦闘能力を持つわけではない。剣の腕では、ランスロットやガウェインと比較して……いや、そうせずとも平凡の域を出ない。
繰り出される槍撃に対して、選定の剣と化したそれで対応する。『魔力放出』を用いて打ち合うものの、その力の差は歴然であった。
打ち下ろされたロンゴミニアドを、選定の剣を以て受け止める。甲高い金属音が響き、その向こうの贋作の騎士王を睨む。

「俺はそんな大層な人間じゃない……ただ、偶々聖剣の資格を手に入れただけの、凡人だ」

「ならば都合は良いかもしれんな。最果ての槍に滾る叛逆者の殺意、先ずは収めなければ落ち着いて殺し合いも出来ん」
「その血を以てこの槍の熱を沈めてもらおうか、王よ。そして真なる王の座、私に譲って貰うとしよう」

「黙れ贋作、お前に騎士王を騙る資格はなく。その聖槍を振るうことも許されん」

ただ、その性能差へとエドワードは強靭極まりない意思を以て食らいついていった。それこそが騎士王の証であった。贋作には存在しない、王の証明だった。
だが、それすらも嗤うまでに、贋作の力は大きかった。サーヴァントとして最上級のそれの模倣は、着実に打ち合う選定の剣へと傷を入れていった。
数度の交錯。槍と剣という、単純な攻撃範囲の差を埋めながらも、エドワードは肉薄し、接近し、離れ、という銭湯を繰り返す。
確かな『技量』を持った人間同士の殺し合い。高次元の斬り合いは……然し、一旦の終わりを迎えた。

「……選定の剣が……!!」

突き出した聖槍の穂先と、選定の剣の剣先がぶつかり合い、そして選定の剣がそのまま粉砕される。
聖槍ロンゴミニアドの強固さは、エドワードもよく知るところである。故にありえないことではないし、かの贋作の強さを考えれば当然とも言える結末ではあった。
選定の剣は折れた日本刀に舞い戻る。それを握る様は……天蓋には、酷く滑稽に見えた。

「フフ……フフフ……フハハハハハ!!! どうする、剣が折れたぞ!! それで終わりか? それで終わるか?」
「いや、語らずとも。終らせてみせよう。この最果ての槍を前にして、騎士王たるお前は刺し貫かれるが必然だ」

「引導を渡そう、騎士王よ。その心臓を一突きにしてみせようか!!!」

そして、天蓋は高らかに歌い上げた。その口上は勝利の凱歌の代わりであった。そして、その槍をもう一度、エドワードへと向けて、突き出した。
それで終わる、つもりだった。この異常な殺し合いの中で、天蓋は一つ、大切な事を忘れていた。いや……それは、どんな魔術師でも、想定外に他ならないだろう。
その槍を払うものがあった。天蓋が本能的に後ろへ飛び、そして目にしてのは。光り輝く、一振りの剣であった。
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