なりきりリレー小説スレッド (152レス)
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117: 名無しさん [sage] ジーク・ハイルの大号令と共に火を吹く銃火器、雨の様に降り注ぐ爆弾、出鱈目な程に巨大な砲弾を吐き出す砲門。独逸第三帝国が、人類史が誇る暴力が業火となりてアリスを包み込む。 凡そ一個の生命体を殺すには過ぎた火力、それはルーラー自身も理解している。決して狂奔した訳ではない、力に溺れそれを振り翳し嗤う男でもない。 判断したのだ、此処で為さねばならぬと。決戦なのだ、人類史の存続を願う。人の未来は人によってのみ選び取られなければならない。人でない彼の者にそれが為されるなど、人類を渡す訳にはいかないのだから。 「……惜しむらくは。私と、我が独逸が未だ存命であったのならば、必ずや貴様のその力を解析し人類の力とする事が出来たのだが……それは最早叶わぬ夢。フフフ、フハハハハハハハハハハ!!」 ルーラーは嗤う。英霊となりて尚人として夢を想う自分に対して。人をやめて尚人類史の糧となる物を求める独裁者に対して。 ルーラーの嗤い声がベルリンの空に木霊する頃、アリスを包み、その全てを食らいつくさんとしていた炎は不自然に消失していた。その残火すら一片と残さずに。 『人の飽く無き欲求、飽く無き欲望。それが生み出すものを人の叡智と呼ぶのなら、やはり人間は愚かと言わざるを得ないわ。 でも、そうね。持たざる者が憧れ、欲するのは当然のことなのかしら? 全てを持つ私には理解できないけれど。 ふふ、理解できないものを愚かと片付けてしまうのは、私の思考も些か貧弱かしら?』 ルーラーの耳に届いたアリスの言の葉は眼下からではない。ルーラーの足場、宙に浮かぶ戦艦を更に見下ろす様にアリスは浮遊していたのだ。 その姿は全くの無傷。信じられない事だが身に纏う衣服にすら損傷が無い。その光景にルーラーは驚愕し、それを隠す事なく面に見せる。正しく人間の表情であった。 「……貴様ッ!? どうやって――いや、それはいい。それは許そう。だが許せぬのは人を、人類を持たざる者と嘲るかッ!!!」 その表情は驚愕から怒りを孕んだものへ。ルーラーがニーズヘグの石突きで足元を力任せに叩けば、彼の周囲に飛行物体が出現する。人類が宇宙へ進出する礎となった――V2ロケットである。 『ああ、ルーラーさんいけないわ。そんなものでは私を斃すことなんて叶わない。所詮は兵器、所詮は道具。 ひとつことのみの為に作られたそれらに意思はないもの。例えどれ程の火力があろうとも意思無きものに力は無いわ。 それは私にとって玩具と何ら変わらない。力とは明確な意思によって為される結果なんですもの』 出現したロケットがアリスに向かって飛ぶことはなかった。理由は明確、ルーラーも瞬時に理解した。破壊されたのだ。ただそれだけの事。 アリスが片手を掲げればその掌に力が収束、漆黒の魔力の奔流は球体を形作る。それはバスケットボール大の大きさでありながら内包するエネルギーは筆舌に尽し難く。 V2ロケットが噴射炎を撒き散らし始めた瞬間、まるで黒い太陽の様なそれから爆発的なエネルギーが放出された。黒き光状となったアリスの魔力は全方位に発射され、国防軍を戦艦をロケットを、そして空を埋め尽くす爆撃機の全てを薙ぎ払った。 焼き払われる英霊たち、火の海と化すベルリンの街並み。轟沈する巨大戦艦とルーラーの眼に映るは正に終末。全てを吞み込み終わりを告げるメギドの火。 『ふふ、ここが結界の中で良かったわ。折角のフィールドが台無しになるところだったもの。 でももうここも壊れてしまいそう。私の力に耐え切れなかったのかしら? それともルーラーさんの命が尽きようとしているから? まぁどちらでもいいわ、同じだから』 燃ゆるベルリンに悠然と降り立つアリス。そしてゆっくりと、仰向けに倒れ伏したルーラーへと歩み寄る。トドメを刺そうというのだろうか。ルーラーはそれに気付いていながらも動くことはしなかった。 最早受け入れるしかあるまい。彼自身の力も、独逸第三帝国の全てを以ってしての結果なのだ。聖杯も聖槍も持たぬ今、自身に出来ることはもう何も残されていない。 あるとすればただひとつ。祈り、願うこと。同じ様に人類を愛するたちが、彼の者を打ち倒しその未来を護り繋いでくれる、そんな希望を―― http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17610/1471874699/117
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