なりきりリレー小説スレッド (152レス)
1-

108: 音楽のおくりもの◆r7Y88Tobf2 2016/09/10(土)23:59 ID:p8T3DASU(40/41) AAS
「……僕が、あの人を死なせたのか……?」

頭を抱え苦悶の表情を浮かべる少年、桐生真雄は静かに会場での出来事を思い返していた。
このバトルロワイヤルの元凶であるアジ、そしてアリスの目の前に立ち反抗を決意した自分。
だがその直後、まるで自分らに見せつけるかのように名も知らぬ女性の首輪が爆発される事になってしまった。
その原因の一端は間違いなく自分であり、結果その惨劇を目の前で見せられ嫌でも思い知らされてしまったのだ。
人が死ぬ光景を、それも自分の目の前で見てしまったのだ。忘れられるわけなどないだろう。

「…………」

首筋の枷にそっと触れる。
指先に伝わるのはひやりとした無機質な感触で、今自分の命が風前の灯だという事を実感させられる。
思わず頭部を失ったヘレネの遺体を思い出し――込み上げられる胃液が喉を焼いた。

「…ダメだ、立ち止まってたら僕も……」

マイナスな思考を振り払うように首を振り、言い聞かせるように独りごちる。
そう、まずはやるべき事がある。ここが何処なのか、そしてデイパックの中身を見なければならない。
しかし、流石に街路の中で呑気に支給品確認などしていたら殺してくださいと言っているようなものだ。
手頃な施設でも見つけて中に入ろう。そう考えた真雄の視界に映ったのは、一棟の銭湯だった。



「翼に進、美弥子に大輔……勢揃いだな……」

銭湯内の休憩所にて、参加者の名が綴られた名簿を開き静かに知人の名を呟く真雄。
三橋翼、橘進、天穹院美弥子、有坂大輔――全員同じ高校の生徒であり、翼と大輔に関しては友人と言える仲だ。
一刻も早く合流したいのが本音だが、彼らも動き回っていると考えるとそれも難しい。
だからといって一人でこの場に留まり再会を望むのは……絶望的だ。

「あー…こういうの、苦手なんだよねー…」

彼の言う”こういうの”、というのは殺し合いの事ではなく計画を立てる事である。
大体流れに身を任せてきたが故にあれこれと考え込むのは好ましくなく、どうにも上手くいかない。
だからこそ真雄の導き出した答えは”気分によって”、というなんとも気楽な考えだった。

「……っと、…楽器…?」

次に真雄がデイパックから取り出したのは、変わった形状をした弦楽器だった。
三味線のような見た目でありながら、その手触りはギターを彷彿とさせる。
一緒に出てきた説明書のような紙に目を通してみると、どうやらこの楽器の名前は《Somnium》というらしい。
キラキラと煌く雲と花の透かし模様は真雄の目を惹き、同時に美しいという感情を抱かせた。
しかし何もただの楽器という訳ではないようで、サイドの部分のカバーを外せば鋭い刃が顔を出す。
一応武器にはなるだろうが取り扱いは難しいだろう。しかし、真雄にとってはこれ以上ない程の当たりだった。
1-
あと 44 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.091s*