[過去ログ] 〜 選択形式で進めていくスレッドXXXVII 〜 (538レス)
1-

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
11: 2007/12/29(土)13:33 ID:uHMzNmmB0(2/6) AAS
「……彼女とは、まずあなたが話をしてもらえませんか?」
「私ですか?」
 天の声を聞いて、僕はひらめいた。
 何も僕が苦労する必要は無い。ここに従業員の女性がいるのだ。
 同じ女性なのだ、僕よりも話を合わせやすいに違いない。
 彼女にまずは任せるのが一番の得策だろう。
「ええ。僕だと警戒心を持たれる恐れがありますからね、同じ女性のあなたにしか頼めないことです」
「私にしか出来ない……ですか。分かりました、なんとかやってみます」
 よし、作戦成功。
 人に頼みごとをする場合は「その人にしか出来ない」などと言葉を付け加えて、
 相手の自尊心を擽るのが一番だ。大抵は二つ返事で了承してくれる。
「それじゃ、まず準備が要りますね」
「準備……ですか?」
「相手のところにおしかけるんです。お茶とお菓子ぐらいは用意するのが礼儀です」
 なるほど、そういう部分には全く目が向かなかった。
 流石彼女は僕とは違う。気配りというものを心得ていると見える。
 僕らは二人で台所へ向かい、紅茶と人数分のケーキを用意してから戻ってきた。
 ちなみに、台所のオーナーの死体は下ろしてから彼の部屋に寝かせてある。
 流石に吊るしっぱなしにはしてないさ。
 ……まあ、それでもここで殺人があったわけだから、
 誰も好き好んで台所に足を運ぼうとする人など皆無なんだろうが。
 そういう意味でも彼女の神経は図太い。彼女の精神力は僕も見習うべきだろう。

 用意済ませ、落ち着いてノックする。
 すると、数秒の沈黙の後に「どうぞ」という声が聞こえてきた。
 どうやらまだ起きてくれてはいたらしい。妙な疑心暗鬼にも陥っていないようだ。
 中に入ると、椅子に悲痛な面持ちで腰掛けている女性がまず目に付いた。
 どうやらあれからずっとこうやって塞ぎこんでいたらしい。
 そういう意味でも、訪れて正解だったと言える。
1-
あと 527 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.006s