[過去ログ] ガンダムヒロインズMARK ??I (152レス)
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39: フェニックステイル第34話 2021/05/23(日)19:01 ID:FZPzClP7(10/11) AAS
「あれ……なんだよ、これ。誰か間違えやがったな。俺のスーツケースじゃねえじゃん。誰のだよコレ」
 与えられた個室で荷物を確かめながら、ロブは悪態をついた。
 ミケリヤ邸の外装は地球の伝統建造物を模してはいるが、個室ごとの基本構造は現代技術のモジュール工法で作られていた。防音や断熱もしっかりしている。
 夜中に大音量で映画を観たりしても、隣から文句を言われることはないだろう。家具や家電の類も一通りは揃っており、生活に不自由することはなさそうだった。
 景観も艦内よりは悪くない。ちょっとしたリゾート気分が味わえる。
 だが同型だったからといって、スーツケースを取り違えられたのはさすがに腹が立つ。
「ったく、ホントに誰のだよ……。なんかやたらクソ重いし、何が入ってんだこれ。クソ……夕食の時間まで待つしかねえか」
 誰かの重たいスーツケースをバタンと床へ転がすと、他の荷物を開梱しながら、ロブは少しずつ新生活の準備を始めた。
 それにしても一人で落ち着くと思い出すのは後輩、シュンのモテ具合だ。
 シュン自身は女性に対する積極性に著しく欠けている。過去に何か嫌なことでもあったのかもしれないが、女たちにとってはそれさえ魅力に見えてしまうらしい。
省25
40: フェニックステイル第34話投下終了 2021/05/23(日)19:02 ID:FZPzClP7(11/11) AAS
今回は以上です。
追ってハーメルンとpixivに挿絵付きの完全版を投稿しますので、よろしければそちらもご確認ください。
ご感想などいただけますと励みになります。
41: フェニックステイル第35話投下準備 2021/05/30(日)17:03 ID:nhL4kqtL(1/11) AAS
続けて投下します。
今回は冒頭場面以外、ほぼ前編エロ、孕ませありです。
42: フェニックステイル第35話 2021/05/30(日)17:04 ID:nhL4kqtL(2/11) AAS
「ミコト、――ここにいたのか。シータと、ジローはどうした? おじさんと一緒に行かなかったのか」
「…………」
 ワンピース姿の女児は答えない。思考回路を予想外の爆撃で吹き飛ばされたままのアイネ・クライネ伍長の規格外の乳房へ頭を埋めつつ、淡々と話しかけてくるマコト・ハヤカワ准尉――彼女の母親に対して背中を向けている。
 マコトは近づき、娘の顔にそっと手を伸ばす。だがミコトは顔を背け、アイネの胸の谷間へといっそう深く潜り込んでしまった。マコトの手は泳ぎ、宙に浮いたまま、止まった。
「そうか……。クライネ伍長のことが、気に入ったのか」
 静かに微笑むと、マコトは娘から部下へと視線を上げた。
「クライネ伍長。すまないが、しばらくこの子のことを見てやってもらえないか?」
「えっ? ハヤカワ准尉の、妹さん……じゃ、なくって。娘さんを、私が、ですか?」
「こうなると聞かないんだ。言うことを聞かないときは、きつく躾けてもらって構わない。……頼めるか?」
「え、……ええっと……、は、はい。わかりましたっ。ハヤカワ准尉のお子さん、謹んでお預かりしますっ!」
省12
43: フェニックステイル第35話 2021/05/30(日)17:06 ID:nhL4kqtL(3/11) AAS
 進入したマコトの背後で、秘密のドアと本棚が再び閉じる。その室内にはさらに分厚い壁で密閉された内部屋があった。
マジックミラーの窓と監視カメラ、そして壁のないユニットバスと簡素なベッドが設けられ、天井や壁からは手枷と足枷が吊るされた殺風景な小部屋は、さながら監獄の独房を思わせる。異様な光景だった。
その室内に入っても用心深く内鍵を施錠すると、マコトは拳銃型の装置をその手に握りながらスーツケースへ手を掛けた。
 それは火薬で弾丸を発射して目標を殺傷する通常型の拳銃ではなく、ワイヤーを射出して目標の手足を縛りあげる非殺傷武器だった。
そしてマコトの傍らには、勃起した男性器型の女性向け性玩具も置かれている。
 モーターを備えてプログラムに従った各種の運動が可能なだけでなく、電動ポンプとタンクも内蔵しており、本体ボタンやリモコンの操作で模擬精液を射精する機能付きという、凝ったつくりの代物だ。
こんなものでどこまで『力』を騙せるのかは分からない。だがマコトは、打てるだけの手はすべて打つつもりだった。
「…………」
無力化を完了する前に途中で場所を変えさせられるのは予想外だったが、これでひとまず、いま出来る限りの準備は整えられた。そのはずだった。
『力』を発動させて宿した人間に対し、物理的な拘束が常に必ず有効であるという保証はない。
省11
44: フェニックステイル第35話 2021/05/30(日)17:07 ID:nhL4kqtL(4/11) AAS
「な、なんだよお前っ。ど、どこから入って……っ」
「あ、あぁ……やっと、あえた、……殿方、様ぁ……」
 所有者不明のスーツケースの中から、銀髪の美少女が立ち上がった。
輝くような白い裸身のすべてを一糸まとわず晒したまま、きゅっと引き締まった細い腰の上でたわわに弾んで揺れる爆乳も、陰毛を濡らしながら股間から溢れる透明な雫も気に掛ける様子などない。
 少女はゆっくりと、部屋着のままソファから腰を浮かせたロブ・サントス伍長へ向かって接近してくる。
「な、お前、な、なに……何だよ、だから……何!?」
 だがあまりに状況が異常過ぎるがために、ロブはこの明らかに常軌を逸したこの不審者に何も対応できない。思考を停止させられてしまっている。
そしてロブが一歩も動けない間に、謎の全裸不審美少女は眼前に達する。少女は屈みこみながら、その手をロブの股間へ伸ばしていた。
「なあっ!?」
「あ、ああ……すごい……おおきい、……かたい……うれしいぃ……」
省19
45: フェニックステイル第35話 2021/05/30(日)17:07 ID:nhL4kqtL(5/11) AAS
「うう!? ううっ、ううううううーーーっ!?」
 自分自身を全方位からの巨大な乳房の弾力と質量によって圧し潰されながら、亀頭だけを美少女の舌の不慣れなしぐさに突き責められる。それは完全なる未知の感覚だった。ロブは爆乳美少女になすすべなく組み敷かれながら、強烈な未体験の新快楽に身をよじった。
 それは今まで相手にしてきた玄人女たちとはまったく格の違う、現実離れした女体美の具現化。パイロットスーツ越しに透視図を何度も想像した、アイネ・クライネ伍長の裸身にも匹敵しうる肉体がもたらす破壊力に、ロブはただ翻弄される。
 ――なんだ、こいつ。本当になんなんだ、こいつは。
 頭を起こし、なんとか落ち着こうとしながら眼前の少女を見た。おっとりとした感じを与える、垂れ目がちで上品な顔立ちが、今は発情に染まりきった淫靡な欲望一色に塗りつぶされていた。
 家主のサブリナ・ミケリヤ少尉が気を利かせて用意してくれた、コールガールのサプライズ接待か? いや――いくらなんでも、そんな話はあり得ない。
 では同宿で先に到着していた先輩のイベル・ガルノフ軍曹に頼まれたコールガールが、行き先の部屋を間違えたのか……いや、そうだとしても、それならどうしてわざわざスーツケースから出てくるのだ??
 出口のない思考の迷路を彷徨うロブをよそに、少女は亀頭から舌を離してなめずった。
「はぷっ……」
「あおおおおおぉっッ!?」
省24
46: フェニックステイル第35話 2021/05/30(日)17:08 ID:nhL4kqtL(6/11) AAS
「しゅ、しゅごい……っ。こ、これが、……涅槃……?」
「や、やばい……もう、出そう……っ……」
 すでに第一波を放った直後とはいえ、ロブの若さは早々に二回戦の準備を完了させている。少しでも気を抜けば強い膣圧に負け、簡単に二度目の精を放つことになるだろう。そうなればただでは済むまい。
 腔内ならまだしも、避妊具も無しに膣内射精となれば、相手が娼婦でも一大事だ。
 これ以上は、マズい――異常な状況と鮮烈な快楽に陰った理性が、再び明確な警告を発する。
 だが少女はまたしても後手後手のロブを嘲笑うように、一歩先んじて次の動きへ移行してきた。腰を振り始めたのだ。自分から、獣じみた勢いで。
「あん! あん! あん! あんんっ!!」
「おぐうっ!?」
 四つん這いになって銀髪を振り乱し、左右の爆乳を上下左右へ弾み散らさせながら、ロブに最奥を突かせるたびに少女は絶叫した。
「あああああああ〜〜〜っ!! すき、すき、すき、すきぃぃぃ〜〜〜っ!!」
省19
47: フェニックステイル第35話 2021/05/30(日)17:09 ID:nhL4kqtL(7/11) AAS
「俺のターン! 見せてやるよォ……核もビームも通さねえ百キロ岩盤をも穿ち貫く、必殺のドリルチンポ……『ルナツー掘り』をなぁ!!」
「あムゥっ!?」
 亀頭の切っ先だけを少女の内側に残したところから、ロブの腰突きが少女の最奥を貫いていた。その腰使いのキレは、先ほどまでの騎乗位で少女が上から落としていた速度を遥かに上回る。
 そしてロブはその突きを休むことなく、頭部60ミリバルカン砲にも匹敵する発射速度で叩き込んでいく。
「フンフンフンフンフンフンッッ!!」
「ア゛! ア゛! ア゛! ア゛! ア゛! ア゛ア゛ア゛ア゛〜〜〜ッ!!」
 飛び散る汗が霧を作る。少女は突き上げられるたび魂消るような絶叫を上げてよがり狂いつつ、なんとか両手で必死にシーツを掴んで耐えようとした。
だが、もはやロブの一転攻勢は留まるところを知らない。
「しゅぅっ、しゅご、ぉぃっ」
「凄ぇのは当たり前だっ!! あまりの威力に初めて行った店の女を壊して速攻出禁を食らい、変な噂まで立てられてきたロブ様の本気を嘗めんじゃねぇッ!!」
省25
48: フェニックステイル第35話 2021/05/30(日)17:10 ID:nhL4kqtL(8/11) AAS
「――南ァ無・ジオン……っ……」
盛大な火球の中で確かに己を貫いたビームのイメージを、どくどくと精液を注がれていく自らの胎内で貫かれる卵子のイメージに重ねて感じる。
ひとりの少女から『母』になっていく自分をどこか遠くから見下ろすように認識しながら、少女の意識は再び、ふっつりと途切れた。
「おっ……? お、おい。だ、大丈夫か……? おーい……」
 ベッド上でしばらく彼女を抱きしめながら射精の余韻を謳歌したあと、ロブは完全に意識を失った彼女に気づいた。呼びかけながら目の前で手を振ってみても反応はない。
「ああ……。やれやれ……、やっちまった。まーた、調子乗って壊しちまったか……」
 ようやく自身を少女の中から引き抜くと、混じり合った濃厚な精液と愛液、そして血液がぬらりと糸を引いた。
「何だよ、この血……。別に、俺のがデカすぎたから、ってわけでもないよな……。まさか、この子……あれで処女、だったのか……? いや、何も言ってなかったよな」
ひとまず脈と呼吸があることを確認し、密着していた上体を離してそっとベッドに横たえる。そして気づいた。
「ン……? う、うわっ!? なんだコレ!?」
省17
49: フェニックステイル第35話 2021/05/30(日)17:11 ID:nhL4kqtL(9/11) AAS
 だが、もしも。
 もしも彼女が何らかの手段で生き残り、そして、それをトラキア隊の誰かが密かに捕らえ、スーツケースに閉じ込めてここまで連れてきたのだとしたら。
 その過程で拷問なり尋問のために何かおかしな薬物でも使用し、彼女の理性や体質に重大な悪影響を与えていたのだとしたら。
 ロブが今まで体験したこの異常な現象には、ほぼ全ての説明が付いてしまうのではないだろうか。
「…………」
 冷たい汗が背中を流れ落ちていく。
 あの戦闘後に敵の捕虜を捕らえた、などという報告はどこからも出なかった。彼女が大ジオン仏道の捕虜だとしたら、彼女を捕らえてここまで連れてきた誰かは、完全な違法行為を犯していたことになる。表沙汰になれば厳罰は免れ得ないだろう。
 そして、あの戦闘とその後に、そうした一連の行動が可能だった人物はといえば――
「サントス伍長」
「はいいいぃぃっ!?」
省15
50: フェニックステイル第35話 2021/05/30(日)17:12 ID:nhL4kqtL(10/11) AAS
 どこまで話せばいいのか。どう誤魔化せばいいのか。どこまで知られてしまったのか。
 無意味と分かり切った上っ面の会話を条件反射だけで続けながら、マコトは全力で現状の分析と次に打つべき一手を考え続け、ロブは恐怖と絶望の中でもはやかつての威容など見る影もなくしなびた自身を今さら隠すことも出来ないままに、無意味な返答を続けていた。
 そのとき、少女の方で何かが光った。
無防備に両足を開き、ロブに何度も貫通され大きく押し開かれながら白濁液を垂れ流していた少女の膣口からへその辺りで、電光のような何かがパリッ、と煌めいた。
「ん……?」
一瞬、そんな光景が見えた。
――ような気がした、と思った次の瞬間――
「ゔッ!!」
 下腹の内側で手榴弾でも炸裂したかのように、少女の腹が爆発的に膨らんだ。
みぞおちへ巨人の鉄拳でも受けたかのように少女は目を剝いて仰け反り、膣口からは圧迫された精液が水鉄砲のように噴き出す。腹の膨らみに蹴飛ばされた乳房がデタラメに弾け飛び、母乳の飛沫を撒き散らしながら暴れ狂った。
省15
51: フェニックステイル第35話投下終了 2021/05/30(日)17:13 ID:nhL4kqtL(11/11) AAS
今回は以上です。次回以降はしばらく非エロ場面が続きます。
追ってハーメルンとpixivに挿絵付きの完全版を投稿します。
よろしければ「フェニックステイル」で検索して、そちらもご確認ください。
ご感想などいただけますと励みになります。
52: 2021/06/21(月)02:37 ID:MlgskLdh(1) AAS
真面目な話、ティファってアルタネイティブ社に居た時
どんくらい強姦&中絶させられてたんだろ?
53: フェニックステイル第36話投下準備 2021/06/24(木)22:34 ID:mPo0pFSG(1/20) AAS
今回は長引きます(おそらく本文だけで13レス以上)。
54: フェニックステイル第36話 2021/06/24(木)22:36 ID:mPo0pFSG(2/20) AAS
「ん……はぷっ。んちゅっ、……はぷうぅ……っ」
 P−04から離れた新サイド4暗礁宙域の深部を、1隻の民間貨物船が行く。
 派手なペイントで『ジャンクハンター・ゴアズ』と表記された船体には、複数の空コンテナと3機のRB−79『ボール』、そして1機のMS−09R2『リック・ドム?』が係留されていた。
 そして、その船に乗り組んでいるのはジャンク回収業者――この新サイド4宙域では『境界漁民』とも呼ばれるジャンク屋たちである 。
 新サイド4に前進拠点P−04を構える地球連邦軍及びルウム農協と、同宙域に潜伏しながら戦力を拡大し続けてついには広大な絶対防空圏『聖域』を構えるまでに至った、強大なジオン残党軍ルスラン・フリート。
 その両者がかつて激しく激突し、今は静かに対峙しつつ拮抗している両勢力圏の『境界』は同時に、8年前のルウム戦役で崩壊した数十のコロニーとそこから生じたデブリが手つかずで漂う、大量の有価値ジャンクの宝庫とも言える。
 境界漁民とは、そこで一獲千金を夢見て操業するジャンク屋たちの別称だった。
 新サイド4暗礁宙域はまさに地球連邦軍とジオン残党軍の最前線であり、他のサイドで活動するジャンク屋以上に危険な環境へ身を置くことにはなる。だがそこでは、かつて行われた破壊が撒き散らしたジャンクの規模も桁違いなのだ。
 わずか一日で20億人の市民を殺してのけた地球圏史上最大の虐殺劇、ルウム戦役の残骸は、血塗られた富の芳香とともに今なおL1軌道を漂い続けている。
 そしてジャンク回収船の船橋では一人の若く屈強な男が、まだ幼さの残る顔立ちの少女を抱いてその唇を貪りながら、旧式パイロットスーツの上から乳房を自在に揉みしだいていた。
省17
55: フェニックステイル第36話 2021/06/24(木)22:37 ID:mPo0pFSG(3/20) AAS
 今回の『漁』でさらなる金と力を手に入れたら、彼女たちに手を出してみるのも乙なものだ。確か連中は借金を抱えていたはずだ。それならひとつ債権でも買い取って、追い込みがてら迫ってみるとするか――
「しゃ、社長」
「あァ?」
 パティの程良い大きさの乳房を愛撫しながら、さらなる欲望の算段を弾いていた最中に割り込まれて、パサベイは話しかけてきた通信士を不機嫌そうに睨む。通信士はその眼光に竦みながらも、なんとか言葉を継いで報告した。
「つ、通信が入っています。接近する『騎士団』機からです」
「――騎士団から? ここでか。チッ……しゃあねぇ、出せ」
「あんっ」
 パサベイはその目に殺気を宿すと荒く吐き捨て、抱いていたパティを乱暴に船橋の脇へと押しやる。無重力に押し出された少女は切なげに喘いでみせつつ、乱れたスーツの前を素早く直しながら船橋正面のモニタを見た。
 すぐに通信が接続され、モニタに金髪の美女が映し出された。凛々しく涼やかな青い目元に、冷たい雰囲気を讃えている。
 新型の連邦式パイロットスーツの胸元を押し上げる膨らみは、男が抱いていた少女のそれよりゆうに二回りは豊かだ。それでいて引き締まった身体に隙は無い。
省18
56: フェニックステイル第36話 2021/06/24(木)22:38 ID:mPo0pFSG(4/20) AAS
 この新サイド4暗礁宙域のように、ジオン残党軍や宇宙海賊など怪しげな武装勢力が跋扈し、地球連邦軍による対処も追いつかない危険宙域で活動する自社及び契約企業の作業要員の安全を守るため、ブッホが地球連邦軍の認可を受けて設けた警備会社。
 それがブッホ・セキュリティ社、通称『ロナ騎士団』だった。
 ロナ騎士団の勢力は、連邦軍やルウム農協などと比べればごく小さなものに過ぎない。だがここで重要なのは、ロナ騎士団はジオン残党軍ルスラン・フリートと完全に敵対しているわけではない、ということだ。
 例えば境界漁民たちが『聖域』近くで操業していて、ルスラン・フリートに拿捕されるような事態が生じたとする。このとき連邦軍や農協が助けを求められたところで、致命的な戦闘に挑むか、あるいは完全に無視するかの二択しかない。
 そして境界漁民たちにとって、前線でのプレゼンスにおいて連邦軍や農協がルスラン・フリートに完全に押し負けつつあることは、もはや周知の事実であった。救援など期待できない。
 しかしルスラン・フリートと完全に敵対しているわけではないロナ騎士団ならば、そこには交渉の余地が出てくるのだった。
 そのロナ騎士団の構成員、特にMSパイロットたちは最高の家庭環境で育ち、最高の教育を受けてきたエリート揃いなのだという。
 確かに、中には融通の利かない地球連邦軍や、ジャンク屋たちなどただの使い走りだとしか思っていない節さえ感じさせるルウム農協などより、よほど親身になってくれる騎士もいなくはない。
 だがロナ騎士団の大半はこの女騎士のように、とにかくお高く止まった面々だ。油断ならない――少なくとも、パサベイとパティはそう思っていた。
 なにせブッホ・ジャンクは境界漁民たちの後方拠点と、彼らが回収してきたジャンクの販路までもを握っているのだ。
省17
57: フェニックステイル第36話 2021/06/24(木)22:39 ID:mPo0pFSG(5/20) AAS
「…………」
 ロナ騎士団の2機が回収船から十分に遠ざかったのを確認してから、男は船橋の前列へ向かって言葉を投げた。
「おい。進路を変えるぞ。前方15キロ、あのコロニー残骸の下に回れ」
「はっ……? し、しかし、社長。その経路では、騎士団機との通信が維持できなく――ブッ!!」
「馬鹿かテメェは!?」
 途中まで言おうとしたところで、彼はパサベイに思い切り後頭部を蹴飛ばされてコンソールに潰れた。
「話聞いてなかったのかこのボケ、あいつらもお宝の噂を聞きつけてんだよ! このままブッホの騎士どもに一部始終を見られてたら、せっかくお宝を収めても奴らにいいように搾られちまうだろうが。
 奴らはこれから帰り道だ、いったん隠れてやり過ごすんだよ!!」
 瞬間的にキレた社長はそのまま大声を張り上げながら、パサベイは部下の頭を激しく何度も蹴りつけた。コンソール上に頭を踏みにじりながら威圧する。
「だいたいテメェの見張りが適当だから、今もブッホのクソ騎士どもにコソッと近づかれたんだろうが! 先に見つけてりゃあうまく撒けてたかもしれねぇのによ。境界じゃあ目ン玉皿にして見とけって言ったろ?
省13
58: フェニックステイル第36話 2021/06/24(木)22:40 ID:mPo0pFSG(6/20) AAS
「おお……すごい。なんか、本当に『ディナー』っぽい……」
 十人ほどの人間が入ってなお余裕のありそうなミケリヤ邸の食堂には、すでに皿と食器が整然と並べられ、隣接する台所から食欲をそそる匂いが届いていた。
 示された時間に三三五五と集まってきたトラキアMS隊の来客たちと同様、アイネ・クライネ伍長も食卓を遠巻きにしながら手持無沙汰に立ち尽くしている。
 プラント到着後初めての夕食は、サブリナ・ミケリヤ少尉とマコト・ハヤカワ准尉の2家族が主催して、トラキアMS隊から招いた来客と顔を合わせる会食だった。
 そしてアイネは結局この時間まで、ミケリヤ邸で割り当てられた自室へ入る時間もないまま、上官たるトラキアMS隊長マコトから預かったその娘ミコトに延々と振り回され続けていた。
 ミコトはその母親似の可愛らしい顔立ちに浮かべる表情こそあまり大きく動かさないのだが、動作と感情の振り幅は非常に活発だった。
 プラント最下層部の一区画を使って箱庭のように設けられた、ミケリヤ邸・ハヤカワ邸の各地をミコトがじっくり見せて回ってくれたおかげで、アイネはこれから当分の間寝起きすることになるのであろう一帯についての理解を深めることが出来た。
 そしてもう一点、アイネが骨身に染みて理解したことがあった――ミコトはアイネの乳房に、並々ならぬ強い関心を抱いている。
 何しろ手で、顔で、頭で、胸で、とにかくミコトは全身全力でアイネの乳房を触ってくるのだ。アイネに隙あらばキャミソールを剥き下ろして裸の乳房を転び出させようと企む、無邪気な幼女の邪悪な意志の存在を強く感じさせられていた。
 夕食前にはミコトが帰宅してようやく解放されたとはいえ、これからこの調子がずっと続けば身が持たないのではないかと思う。いや、ミコトはとても可愛いから、そういう意味では癒されるのだが……。
省15
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