[過去ログ] 怪盗が捕まってあんな事こんな事・・・第6夜 (965レス)
前次1-
抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) レス栞 あぼーん

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
511: 2019/06/14(金)03:34 ID:tgFVlmFK(1/9) AAS
転機は謎の少年との出会いだった。
色々なことがあったあの日の深夜、駐車場から歩いてきた私を、マンションの入り口で待ち受けていたのだ。
腹が出始めた私の相貌とは違い華奢な体格だ。
パーカーのフードで頭を覆い、俯いて表情を隠しているが、わずかに口元が笑っている。
ジーンズのポケットが膨らんでいるところをみると何か持っているらしいとわかった。

「社長。俺と組む気ない?」

街灯の下で影が差した目元を上げてみせる。
見ず知らずの子どもに取り合っている暇はない。
訝しみながらも、無視して立ち去ろうとするとーーー

「あんたに大迷惑かけた怪盗に復讐できるよ」
省14
512: 2019/06/14(金)03:36 ID:tgFVlmFK(2/9) AAS
「結構片付いてるじゃないですか。良い仕事はまず整理からですもんね」

部屋の椅子にかけた少年は、大きく伸びをした。

初対面の人の家でよくそんな態度を取れるものだ―――文句が喉元まで出かかったが、寸前で押し留めた。
冷静に事を運ばねばならないのだ。荒っぽい展開にこちらから持ち込んでは、素性の知れないこの男がどんな態度に出るか知れない。
まだ相手の企みや狙いが見えない以上、私の知らないカードを持っている可能性も警戒しておいた方が良いだろう。
この私、見栄山芋助はそう簡単には行かないぞ。

「どうもありがとう。それなりに来客がある身なのでね、恥をかかないようにしているだけだよ」

私は柔らかく答え、用意したコーヒーを勧める。
下手に刺激するのは得策ではない。今は出方を伺うときだ。
私は自分のコーヒーを目の前におき、いつも通りのセッティングをする。砂糖を2つだ。
省10
513: 2019/06/14(金)03:37 ID:tgFVlmFK(3/9) AAS
「何故だ? 私としても素性が知れない相手と組むわけにはいかないよ」」

「まあ組むと言っても、ホントに少し助けて欲しいだけなんですけどね」

そう言ってわずかに目を伏せる。
妙だ。
こいつは、私が得体の知れない輩と連帯することはないと分かっているはず。
秘密を知っていることをネタに強請ってくることも予想していたが、そういう素振りも見せない。
どうやらこちらの事情をそれほど深く知らないらしい。
私もたくさんの人間を見てきた身だ。向こうの腹の中を探り続ければ必ずボロを出す。

「あ、こいつ大丈夫なのかと思ってます? ちゃんと勝算はあるんですよ」

でまかせか?
省6
514: 2019/06/14(金)03:39 ID:tgFVlmFK(4/9) AAS
「あぐっ!」

「ぐあっ!」

二つの悲鳴が聞こえる。

目をそちらにやると、両者とも見覚えのある顔だった。
長く部下として使ってきた護衛で、重要な「業務」の際は必ずつけてきた。
その二人が、暗いアスファルトの上に寝転がされているではないか。

「な、何だ!?」
省13
515: 2019/06/14(金)03:42 ID:tgFVlmFK(5/9) AAS
腰の左右にポーチが付けられていることや、白い手袋に目が奪われたのではない。
もっと全体的な容姿が、鮮烈な印象を私に与えたのだ。

ヒップラインから裾にかけてプリーツ加工が施された黒いミニスカートは夜風に揺れて、上質な絹のようなふとももと戯れるようにひらひらと遊んでいる。
胸の下で裾をカットした白いタンクトップは肌に密着し、薄手の生地も相まって年不相応に艶かしい。
本来なら感じるであろうスポーティーで活動的な印象が退いてしまっているのは、その態度だけで無く、むき出しのへそ周り滑らかさのためだろうか。
視線を喉元に結わえられた赤いリボンから更に上げると、垂れがちの目に収められた青い瞳、小さい鼻筋、淡い色合いの花びらのような唇……
かなりの美少女と言い切れるほどの面貌が目に入る。
肩口まで伸びたウェーブがかかった金髪を指で梳き流すと、見え隠れする白いうなじが街灯に妖しく照り映える。
ところどころに纏われた白い煙が、この世あらざる妖精のような趣を演出していたのだった。

「動かないところを見ると、護衛の方と同じ目に会いたくないということでよろしいですか」
省12
516: 2019/06/14(金)03:44 ID:tgFVlmFK(6/9) AAS
「エクリュ〜〜! 頂いたよ〜!」

はっとして後方へ目をやる。
果たしてそこには、〈預かり物〉を手にしたもう一人の少女が笑っていた。
自慢げに胸を張り満面の笑みを浮かべながら。

やられた。白いタンクトップの娘に気を取られている隙に、守らなければならないものを取られてしまった。
背後から呆れたような溜息が聞こえる。

「簡単に行き過ぎですね」

やれやれ、という嘆声の主を恨みを込めた目でにらみ、秘密の運搬物を奪回すべく駆け出した。
省12
517: 2019/06/14(金)03:46 ID:tgFVlmFK(7/9) AAS
「 作戦成功ー♪」

「お疲れ様。それは私が移送します」

二人の盗賊少女の合流を許してしまう。
彼女らは〈預かり物〉を手に、踵を返して夜道に消えていく―――

「行かせるか!」

慌てて2人の少女怪盗の前に立ち塞がる。
相手の澄んだ碧眼が見ひらかれた。
省17
518: 2019/06/14(金)03:49 ID:tgFVlmFK(8/9) AAS
「通報するんですか? こんな深夜に何をしていたか、ちゃんと事情を話せるんですかね」

「うっ!?」

こちらの内実を明かすわけにはいかない。私も元々法的に見れば外れた行為を重ねてしまっているのだから。
それにしてもこの私が出し抜かれるとは……
年端もいかぬ小娘にやり込められ、年甲斐もなく顔が熱くなる。
向こうの目には、頬から耳まで真っ赤になってる様が認められたことだろう。

「じゃーねー、おじさん♪」

「これに懲りたらもう悪いことしちゃダメですよ」
省1
519: 2019/06/14(金)03:50 ID:tgFVlmFK(9/9) AAS
今回はここまで
前投稿への乙米、ありがとうございました
続きは近いうちに投下できると思います
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 2.880s*