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怪盗が捕まってあんな事こんな事・・・第6夜 (965レス)
怪盗が捕まってあんな事こんな事・・・第6夜 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1319468991/
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362: 怪盗アクアメロディ 〜インビシブル・ストーカー〜 [sage] 2017/12/15(金) 13:21:41.42 ID:aqAbC2Xe クラスメイトの男子たちが自分をいやらしい目で見ていると知ってしまったあの時から 羞恥心という名の鎖が未だ男を知らぬ一人の少女の心を知らず知らずの内に縛り始めていた。 「あ、あの! 青広豪水は一体どんなつもりで……?」 「私は貴女様を案内をせよという命令を受けているだけですので」 気を紛らわそうと前方にかけた声はあっさりと一蹴される。 ここまで徹底して己の職務にだけに集中できるプロ意識はいっそ清々しい。 向けられる視線をどうしても意識してしまう自分からすれば、見習いたいくらいだと美音は思った。 「次の突き当りを右に行けば、青広豪水様がお待ちになっている部屋となります」 「……そう、ようやくというわけね」 時間にすれば数分。しかし美音にとっては数時間にも感じられた移動が終わりを告げる。 普通に考えれば自分を捕らえようとする罠が張り巡らされているであろう場所。 何が起きても対処できるように、と身構える怪盗少女を迎えたのは扉の前に立つ二人の黒服だった。 「おい、その女が例の?」 「はい。それで豪水様は?」 「中にいらっしゃる。しかしそうか、情報は本当だったってわけか」 「へえ、これが生の怪盗アクアメロディか。テレビや雑誌のよりずっと美人じゃないか」 右側に立つ黒服は感心したような、そして左側の黒服は軽薄そうな態度を見せる。 「それにイイ身体してやがる……早く邪魔なもんを溶か―――」 「オイ!」 「っとすまねえ。でもまあ、この後が楽しみってもんだぜ……ケケケッ」 (……この後?) 意味深な左側の黒服の言葉に不穏なものを感じる美音。 女へのゲスな欲望を隠そうともしないその視線に思わず身体を両手で庇いたくなってしまうが 怪盗アクアメロディとして弱みを見せることはできない、という強い意志で衝動を抑え込み 逆に胸を張って堂々とプロポーションを誇示するような姿勢で目の前の男を睨みつけた。 正直気恥ずかしさはあったが、その甲斐あってか相手の目を逸らさせることに成功する。 「ケッ! あとで見てろよ……豪水様、開けてもよろしいですか?」 「ああ、構わんよ」 忌々しそうに捨て台詞を吐く軽薄そうな黒服は、しかし職務を優先し扉をノックする。 そして中からの返事の後、遂に屋敷の主が待ち構えている部屋の扉が開かれた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1319468991/362
363: 怪盗アクアメロディ 〜インビシブル・ストーカー〜 [sage] 2017/12/15(金) 13:25:26.58 ID:aqAbC2Xe (……中にいるのは二人で護衛はなし。左右に扉があるからその向こうに伏兵がいるのかも。 罠は……パッと見た感じだと特にないようだけれど……) メイドに促されて入室した怪盗少女は予想とは裏腹に何も起きなかったことに拍子抜けした。 やや広めの部屋の中にいたのは食事中と思わしき一人の初老の男と、給仕らしき老人だけ。 言うまでもなく、初老の男が屋敷の主にして今回のターゲットである青広豪水だ。 大勢の黒服が武器を向けて待ち受けているわけでも、強化ガラスで部屋が区切られているわけでもない。 これではたとえ何らかの罠が仕掛けてあったとしても、豪水に攻撃が届く余地は十分にある。 余裕か、それとも何か考えがあるのか。注意深く相手を観察する美音に対し、屋敷の主は口を開く。 「すまないね。君が来るまでに食事を終わらせておくつもりだったのだが」 「こちらこそ、食事中の訪問をお詫びしないといけないかしら?」 「それには及ばない。それに、もう一口で終わるところだ……うむ、美味い」 彼が食しているのは鰻の蒲焼きだろうか。 丁寧な所作で皿に残った最後の一切れを口に運ぶ男は本当に食事を楽しんでいるようにしか見えない。 「鰻はいい。栄養があって精がつく。それに、他にもいろいろと使い道が―――」 「講釈は結構、こちらとしては早く要件を済ませたいのだけど」 「ふむ、確かにその通りだな。遅れたが自己紹介をしておこう、自分が青広豪水だ。 これからよろしく頼むよ、怪盗アクアメロディ」 「よろしくするような時間をかけるつもりはないわ。貴方が何を考えているのは知らないけれど―――」 会話を交わしながらも豪水の動きと周囲の観察を続ける美音だったが、今のところ異変はない。 目の前には予告状を出し、自身の大事なものを盗みにやってきた有名な怪盗がいるというのに 彼は欠片も動揺の気配すら見せず、優雅にも食後のワインを味わっている。 一見すれば上品そうな老紳士といった感じの男に、しかし怪盗少女は一層の警戒心を抱く。 経験上、こういう人間こそが最も油断ならない、弱みを見せてはならないと知っていたからだ。 「フフフ、つれないね。しかしシティを騒がせる女怪盗というからどんなものかと思っていたが なかなかどうして、美しさは申し分なく、仮面の奥の意志の強そうな瞳が素晴らしい」 「お褒めの言葉をどうも。それで―――」 「まあ待ちたまえ。本題に入る前に君には話しておくべきことがある」 「……話しておくべきこと?」 「そう、君にとっても重要なことのはずだ。何故侵入経路にメイドを待機させることができたのか。 その情報提供者について……アイズについて知りたいのだろう?」 「っ! その名前は……っ!」 屋敷の主の口から出てきた名前にドキリ、と心臓が大きく跳ねる。 アクアメロディにとって、その名前は捨ておくことはできないものだった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1319468991/363
364: 怪盗アクアメロディ 〜インビシブル・ストーカー〜 [sage] 2017/12/15(金) 13:28:45.93 ID:aqAbC2Xe 「答えなさい、貴方はアイズの正体を知っているの!?」 「おや、急に余裕がなくなったね。だが、ご期待に沿えなくて悪いが自分の持つ情報は多くはない。 彼はそうだな……一言で言えばビジネスパートナーでしかないからね」 「ビジネスパートナー、それは……?」 「数か月ほど前のことだ、携帯に非通知の電話がかかってきてね、それがかの人物だったんだが…… まあ、色々とあってね。それ以来多方面にわたる情報提供者として重宝させてもらっている」 「……彼の正体を調べようとはしなかったの?」 「考えはしたがね、すぐに止めたよ。情報の秘匿を人一倍大事にしているこの自分の携帯番号を 調べ上げ、平然と連絡を取ってきた存在だ。この手の者は下手にさわると火傷では済まないのが常。 君子危うきに近寄らずというやつだよ。だから彼の本名は勿論、容姿や素性も知らない」 ナプキンで口元を拭きながら語る男の口調や表情に淀みはない。 つまり、嘘はついてはいないということだ。 「なのに彼のもたらす情報は利用している、と。危険だとは思わなかったのかしら?」 「思ったとも。そもそもこちらが一方的に利益を得るだけで彼にメリットがなさすぎるからね。 だが、だからこそ危険ではないと判断した。自分を罠に嵌めるならもっと他に手段はある。 ということはだ、自分には理解できないメリットが彼にはあるということになる」 ならばそのメリットを得るまでは切られることはない。 そう言葉を閉める豪水には、酸いも甘いも噛み分けた実力者の風情がある。 情報を重要視するという慎重さと正体不明の男からの情報を利用するという豪胆さを併せ持つその様は 流石にシティでも有数の富を築き上げてきただけのことはあると納得できるものだった。 「そして今日になってようやくわかったよ」 「……それは、アイズのメリットが?」 「そう、彼のメリット……というか目的だな。それは君だったんだ、アクアメロディ」 「わ、私……?」 「正確に言えば今この状況を作ることが狙いだったんだろうな。 つまり、自分は君の為に用意された敵役だったというわけだ。なんともまあ愛されているね?」 「これが愛からくる行動なら、迷惑の一言ね」 愉快そうに笑う初老の男に対し、不快そうな表情を浮かべてアイズへの嫌悪を露にする怪盗少女。 結局この男も自分も彼によっていいように動かされているだけなのだ。 違いがあるとすれば、それを受け入れているか、そうでないかという点だけ。 「まあ、そうなると彼の筋書きでは自分はこの後まんまと君に盗みを働かれてしまうわけだが……」 「そうはさせない、と?」 「操り人形でいるのも中々に楽しいが、少しくらいは意趣返しをするのも悪くはない。 それに自分は君のことを大変気に入ってしまった。彼から奪い取ってしまいたいくらいにはね」 「私は私のものよ。それに私は奪う側で貴方は奪われる側、いずれはアイズからも……!」 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1319468991/364
366: 怪盗アクアメロディ 〜インビシブル・ストーカー〜 [sage] 2017/12/15(金) 13:32:08.35 ID:aqAbC2Xe 改めて闘志を燃やすアクアメロディに、しかし屋敷の主は不敵に笑う。 「残念だが、君が自分から盗みを働くことは絶対に不可能だ」 「残念だけど、今まで私にその台詞を吐いて実際に成功させた者はいないわ」 「いいや、今回に限っては絶対なのだよ―――オイ」 パチン、と豪水が指を鳴らすその仕草にすわ開戦かと身構える美音。 しかし罠が発動することも、黒服がなだれ込んでくることもなく、動きを見せたのはただ一人。 自分をここまで案内してくれた後は無言で退室していたメイドだった。 背後から入室してきた彼女はこちらに襲い掛かってくる気配などまるで見せずにしずしずと近寄ってくる。 両手で抱えたお盆の上には一枚のメモリーカードと、淡く輝く濃蒼の宝石が乗っていた。 「どうぞ」 「これは……」 「市長への不正献金に違法な薬の使用による品種改良など、それには自分の悪事の証拠が詰まっている。 宝石のほうは知っているだろうが、秘蔵の『グランレイクブルー』だ」 「……どういうつもりかしら?」 「言っただろう、盗みを働くことは絶対に不可能だと。何せ盗まれる前に差し出すのだからな」 ハハハッと愉快そうに笑う初老の男に怪盗少女は困惑を隠せなかった。 偽物、あるいは罠かと考えたがそんな様子は見えない。 しかしこれが本物だというのならば、後は屋敷を脱出するだけでミッションはクリアとなる。 「おやおや、そんなに眉間にしわを寄せては折角の美貌が台無しだぞ」 「ふざけ―――」 「クハハ、冗談だ、そんなに怖い顔をしないでくれたまえ。だがね、前言を翻すことはしないよ。 何故ならば―――」 それは怒りによって視野の狭まった美音の隙をついた一瞬の出来事だった。 流れるような無駄のない手慣れた動きで懐に手を伸ばし、引き抜く。 時間にすれば一秒にも満たない中で、青広豪水はその右手に黒い棒状の何かを掴み そして、それが拳銃であることに気がついた時には既に照準は怪盗少女の胸元にセットされていた。 「―――君はここで死ぬのだから」 引き金にかかった指が曲げられ、発砲。 パァン! という乾いた音がその場に響いた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1319468991/366
367: AM [sage] 2017/12/15(金) 13:37:18.38 ID:aqAbC2Xe 以上で投下終了となります。前置きが長くなり過ぎた… というか書き終わって気がついたんですが、これ火野の時と同じヒキだ! コス溶けシチュは既にシーフイントラップでもやってますが、好きなシチュなので気合を入れていきたいです http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1319468991/367
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