[過去ログ] 怪盗が捕まってあんな事こんな事・・・第6夜 (965レス)
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526: 2019/06/17(月)03:38 ID:HN0oIb7Q(1/7) AAS
できたー
行きます
527: 2019/06/17(月)03:43 ID:HN0oIb7Q(2/7) AAS
そうだ。ここだ。

私が笑みを浮かべる怪盗共を捕らえようと走り出した次の瞬間、紅い衣装を着た方が跳んだのが見え、続けて右肩に強い衝撃を受けた。

痛みに細められた私の目に映ったのは、空中にひるがえり、茶目っ気たっぷりに舌を出した怪盗の姿。宙返りする途中であり、身を丸めようとしたため尻が一瞬こちらに突き出された格好になる。
赤いスクール水着のような衣装はぴっちりと股間の柔肉に食い込み、僅か一瞬の間の出来事とはいえそこに目が吸い寄せられるのを止められない。

「余所見している場合ですか」

前方からの声で、続け様に私は虚を突かれた。
あわてて向き直ると、腰の後ろで手を組んだ少女の姿が目に入る。
小さくみずみずしい唇から溜息をもらし、非難がましい上目遣いでこちらを見ている。
こちらは何倍も年上の大人だというのに、無礼な態度を隠そうともしていない。
省10
528: 2019/06/17(月)03:45 ID:HN0oIb7Q(3/7) AAS
「狐につままれたような―――そんなお気持ちでしょうね」

「だ、黙れっ」

そこからはがむしゃらだった。
遮二無二手を伸ばし、突進し、姿を消せば見つけるために頭を振り回す。
しかし相手の胴体はおろか、腕にも、足にも、髪の毛一本にすらかすることも叶わない。
あと少しというところで、いつもいつも捕獲の手をすり抜けていく。

「はあっ……! はあっ……!」

こちらの息が切れ、汗が噴き出すまで動き回っても、相手の余裕を崩すこともできない。
腕を振り回しながら接近しているのだが、アルキメデスと亀の定理のように距離が縮まらないのだ。
省8
529: 2019/06/17(月)03:46 ID:HN0oIb7Q(4/7) AAS
「様子を伺ってばかり。普段運動不足なのでしょうけれど、もう少し頑張ってくれませんか?」

呆れ混じりの挑発に、浮かび上がり始めた感情を慌てて心奥に押し込む。

「まだ子どもだろう! 大人を馬鹿にするんじゃない!」

そう怒鳴りながら飛びかかるものの、またしても身を翻らせて避けられてしまう。

「いや大人だから偉いとかないですし。一人の人間として評させてもらったまでです」
省22
530: 2019/06/17(月)03:47 ID:HN0oIb7Q(5/7) AAS
「エクリュ〜 そろそろ終わらせちゃお? 遊び過ぎても時間的にマズイし」

「先刻承知です。カルマン、悪いですけどこの荷物少し預かっててもらえませんか」

「りょーかい!」

「くっ!」

二人の余裕に、私の怒りはいよいよ頂点に達しようとしていた。
何とか一泡吹かせてやりたい―――そう思っていたところ、あることに気が付いた。
タンクトップの小娘の背から5、6メートルほどに建物の壁がそびえている。
そして今までの行動を思い出してみると、この慇懃無礼な小娘は私の手から逃れるときは常に後方へ退く動作が含まれていた。
なら、残りの力を振り絞り、襲い掛かれば―――
省13
531: 2019/06/17(月)03:49 ID:HN0oIb7Q(6/7) AAS
「あっ……!」

ついに、タンクトップの怪盗娘の肩がコンクリート壁に当たる。
驚きとわずかな絶望が混じった小さな悲鳴は、私に勝利の確信をもたらす。

「所詮はガキだな!」

両腕を広げ逃げ道を塞ぎつつ、じりじりと距離を詰めていく。
生意気な小娘は怯えの色が混じった目で私を睨んでくる。
消え去った逃げ道を辿ろうと、未練がましく踵(かかと)でかちかちと硬い壁を小突いているが、無駄な足掻きとしか言いようが無い。
やがて己の運命を悟ったのか、敵は観念したかのように腕を下ろし、うなだれるように顔を伏せた。

勝った。
省7
532: 2019/06/17(月)03:51 ID:HN0oIb7Q(7/7) AAS
今回はここまでです
また次回よろしくお願いします
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