[過去ログ] 怪盗が捕まってあんな事こんな事・・・第6夜 (965レス)
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946: 2022/09/11(日)22:01 ID:9KT8foIf(1/6) AAS
「どうしたのかしら……」
あの戦いの日から3日後の夜、ルナグレイスは北の埠頭に来ていた。
悪徳富豪の屋敷から救い出した、怪盗仲間の少女との約束を果たすためである。
かつて彼女の亡父が収集し、何者かに奪われた12個の貴重な宝石。
そのうちの一つ、「水無月の真珠」を正当な相続人たる娘の手に返してあげようというのは、正義の怪盗少女であるルナグレイスにとって自然な発想であった。

あれほど欲していた「水無月の真珠」なのに、彼女――フェアリキャットはどうして受け取りに現れないのか。
準備もなしに悪徳富豪の屋敷に潜入するほど焦っていたのではないか。

「わたしのことを疑っているのかも」
同業者とは言え、見ず知らずの怪盗が相手ではある。
立場が逆なら、理由のハッキリしない親切など、何かの罠かもしれないと考えるのが普通かもしれない。
自分であれば、どこかに隠れて相手をじっくり観察するだろう。
そう考えたルナグレイスは、埠頭の周辺を見回してみる。
手近に古い倉庫があった。
かなり古びてはいるが、コンクリート造りのしっかりした倉庫だ。
今は使われてないらしく、手入れはされていないようで、鉄の扉も錆びついている。
「あそこなら潜伏するのにうってつけだわ」

ルナグレイスは扉に耳を押し当てて、倉庫の中の気配を探る。
彼女は血の滲むような修行の末、不随意筋すら自己のコントロール下に置いている。
心臓の鼓動を可能な限り押さえて扉の向こうを窺ってみたが、人が潜んでいる気配はない。
それでも相手は同じ怪盗であるので、気配の殺し方くらいはマスターしているだろう。
ルナグレイスは意を決すると、施錠のされていない扉を引いてみる。
蝶番に垂らした潤滑ローションの効果で、音はほとんど立たない。

「赤外線スコープを使っている形跡はなし。暗視カメラも設置されていないわ。よし」
特殊グラスで中の様子を探ってから、彼女は倉庫の中に足を踏み入れた。
フェアリキャットも暗視装置でこちらを警戒しているのかもしれない。
怪しまれて攻撃されては溜まったモノではない。
ルナグレイスは両手を開いたまま手のひらを前に向け、何も持っていないことをアピールしつつ歩を進める。

いきなりスポットライトが点されたのは、彼女が倉庫の真ん中あたりまで来たときであった。
ほとんど反射のレベルで床に身を伏せ、次いで物陰に転がり込む。
素早く光源の位置を確認し、ダーツをつまんで投擲姿勢に入る。
そこでルナグレイスは、スポットライトが自分を狙っていないことに気付いた。
スポットライトが照しだしていたものは――。
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