[過去ログ] 怪盗が捕まってあんな事こんな事・・・第6夜 (965レス)
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363: 怪盗アクアメロディ 〜インビシブル・ストーカー〜 2017/12/15(金)13:25 ID:aqAbC2Xe(2/5) AAS
(……中にいるのは二人で護衛はなし。左右に扉があるからその向こうに伏兵がいるのかも。
 罠は……パッと見た感じだと特にないようだけれど……)

メイドに促されて入室した怪盗少女は予想とは裏腹に何も起きなかったことに拍子抜けした。
やや広めの部屋の中にいたのは食事中と思わしき一人の初老の男と、給仕らしき老人だけ。
言うまでもなく、初老の男が屋敷の主にして今回のターゲットである青広豪水だ。
大勢の黒服が武器を向けて待ち受けているわけでも、強化ガラスで部屋が区切られているわけでもない。
これではたとえ何らかの罠が仕掛けてあったとしても、豪水に攻撃が届く余地は十分にある。
余裕か、それとも何か考えがあるのか。注意深く相手を観察する美音に対し、屋敷の主は口を開く。

「すまないね。君が来るまでに食事を終わらせておくつもりだったのだが」
「こちらこそ、食事中の訪問をお詫びしないといけないかしら?」
「それには及ばない。それに、もう一口で終わるところだ……うむ、美味い」

彼が食しているのは鰻の蒲焼きだろうか。
丁寧な所作で皿に残った最後の一切れを口に運ぶ男は本当に食事を楽しんでいるようにしか見えない。

「鰻はいい。栄養があって精がつく。それに、他にもいろいろと使い道が―――」
「講釈は結構、こちらとしては早く要件を済ませたいのだけど」
「ふむ、確かにその通りだな。遅れたが自己紹介をしておこう、自分が青広豪水だ。
 これからよろしく頼むよ、怪盗アクアメロディ」
「よろしくするような時間をかけるつもりはないわ。貴方が何を考えているのは知らないけれど―――」

会話を交わしながらも豪水の動きと周囲の観察を続ける美音だったが、今のところ異変はない。
目の前には予告状を出し、自身の大事なものを盗みにやってきた有名な怪盗がいるというのに
彼は欠片も動揺の気配すら見せず、優雅にも食後のワインを味わっている。
一見すれば上品そうな老紳士といった感じの男に、しかし怪盗少女は一層の警戒心を抱く。
経験上、こういう人間こそが最も油断ならない、弱みを見せてはならないと知っていたからだ。

「フフフ、つれないね。しかしシティを騒がせる女怪盗というからどんなものかと思っていたが
 なかなかどうして、美しさは申し分なく、仮面の奥の意志の強そうな瞳が素晴らしい」
「お褒めの言葉をどうも。それで―――」
「まあ待ちたまえ。本題に入る前に君には話しておくべきことがある」
「……話しておくべきこと?」
「そう、君にとっても重要なことのはずだ。何故侵入経路にメイドを待機させることができたのか。
 その情報提供者について……アイズについて知りたいのだろう?」
「っ! その名前は……っ!」

屋敷の主の口から出てきた名前にドキリ、と心臓が大きく跳ねる。
アクアメロディにとって、その名前は捨ておくことはできないものだった。
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