[過去ログ] 【みなみけ】桜場コハル Part 13【今日の5の2】 (715レス)
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176: 2011/05/05(木)03:38 ID:p4BDd72V(7/9) AAS
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――藤岡の手が、気持ちいい。
――触ってると、なんだか胸の中が温かくなる。
――骨が甘くなって溶けてしまいそうな気持ちになる。
――おっきくて、温かくて、優しい手。

 千秋は腰に回された腕の太さと逞しさを思い出していた。
 その感覚を脳裏に蘇らせるたびに、千秋の胸の一番奥がなんだかぽかぽかと暖かくなっていく。

「お茶ぐらい出すから上がっていけばいいよ」
 千秋がそんなことを言ってしまったのは、つないだ手を離したくなかったから。
 エレベーターに乗るときも、千秋はその手を離さなかった。

 チャイムを押しても誰も出てこないので千秋は藤岡と繋いだ反対の手で鍵を開け、そのまま靴を脱ぐ。
 藤岡が靴を脱いでいる間もその手は離さない。

 そして居間のテーブルの上に書置きを発見した。

「チアキへ
 ケーキバイキングは美味かったぞー!
 冷蔵庫にお土産のショートケーキがあるから食べていいぞ!感謝しろよ!
 で私はちょっとケイコんちに行ってくる
 六時頃には帰る
 ハルカもそのくらいだってさ
                   カナ」

「ここに座ってればいいよ」
 千秋はそう言うと、名残惜しそうに藤岡と繋いだ手を離すとキッチンに向かう。

 二人分のお茶を入れ、冷蔵庫からケーキを取り出してテーブルに置く。

 でもケーキは一つしかない。
「半分こしよう」
「あ、いや、いいよチアキちゃん」
「ダメだよ」
 そう言いつつ藤岡の膝の上に座る千秋。

 一瞬の逡巡ののち、千秋は指先でそのショートニングのクリームを掬い取ると、後の藤岡の前にその指を突きつけた。

 千秋の胸の中では心臓が暴れている。
 小さな心臓がトクトク、と激しいビートを刻んでいる。

――こ、これって、さっきのアレみたいなもんだよな
 なるべく軽い気持ちで藤岡はその指に口を付ける。
 映画館のときとは違って、しっとりとした指の感触が藤岡の胸に何かを生む。

 藤岡にはそれは不快ではない。
 女の子の、柔らかくて細い指。
 それが口の中をまさぐって
 甘いクリームを舐め取ってしまってもまだどこか甘い、女の子の指。
 自分の膝の上にいる、小さな女の子。
 その子の指が、まるい指先が、折れそうなほど細い関節が、藤岡の唇を割り、舌の上で跳ね回る。
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