[過去ログ] 【仮面】オペラ座の怪人エロパロ第9幕【仮面】 (243レス)
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7: 1/9 2010/11/05(金)23:43 ID:8M4zNz5b(2/11) AAS
原作の皆さんが「新・オペラ座の怪人(仮)」を考えてみた。
ラウル編

ビッシリと並べられた数字にラウルはめまいを覚えた。
数字って苦手だ。1やら2やら、お行儀よく並んでるだけ。そこには一片の感情もない。
では何が得意かと訊かれたら、ラウルは「さあ」と答えただろう。
そんなことを教える義理はないし、それを知ったところで何になる?
感情を悟られぬように努めて笑顔で、紙の上に並ぶ数字に目を通す作業を続行する。
といっても内容を完全に理解出来ているかは怪しかったが。
そういえば。と先ほどのことを思い出す。
さっきの彼は一体どうしたんだろう。屋根裏がどうとか言ってたけど、そこに住みたいのかな。
あまり住み心地の良い場所とも思えないが、どこだって地下よりはマシか。
「はあ」
深いため息が漏れ聞こえ、顔をあげると向かいのモンシャルマンが誤魔化すように咳き込んだ。
このまま見つめ合っているのも何なのでラウルは軽い調子で訊ねてみる。
「何かお悩みでも?」
「我が儘なスポンサーがうるさくて」
彼の言わんとすることはわかったが、弁明の必要性を感じなかったので
ラウルは「大変ですね」と柔和に返した。対するモンシャルマンは再びため息をつく。
「子爵は悩み事などなさそうで羨ましいですな」
「褒めないでくださいよ」
「褒めてません」
「これでいいですか?」
ラウルは話を切り上げるべくニッコリと笑いかけると、片手間に紙にサインして差し出した。
「感謝します」
受け取ったモンシャルマンは有無を言わさずラウルをロビーまで案内した。はやく帰れということらしい。
長居するつもりは更々なかったので、彼に別れを告げて馬車に乗り込んだ。

悩み事がなさそう、か。そう見えたのなら僕も少しは本心を隠すのがうまくなったってことかな。
ラウルはふっと窓に映る自分を見やった。
人当たりの良い笑みを浮かべた青年が映っている。
窓に映る彼は表情を崩さぬまま目を伏せた。
僕の生きるこの煌びやかな世界は、虚飾と欺瞞に塗り固められた世界。
兄や周りの大人達が望むように無垢で純粋な子供の心のままでいようとしたけれど、
みんなが思うほど器用には生きられない。
世界の悪意に気づいた日、自分は今までどれほど大事に守られて生きてきたかを知った。
目をつぶって、耳を塞いで、それから遠ざかろうとしたけどだめだった。
この世界からは逃げられない。
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