[過去ログ] 【仮面】オペラ座の怪人エロパロ第9幕【仮面】 (243レス)
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26: 6/12 2010/11/09(火)23:29 ID:ilYdDyVy(6/13) AAS
「まさかエリックがどこかへ行ってしまうってこと?ねえお願い、違うと言って!」
クリスティーヌは頭が真っ白になった。
どうにか否定してほしくてラウルに呼びかけるが彼は答えてくれなかった。
沈黙は肯定だと誰かが言っていた。ならこの沈黙もそうなの?
「ああ神様、どうしよう!どうしたらいいの!」
手にしたカードを破り捨ててしまいたかったけど、出来なかった。
もう一度、カードに目を通す。文字を上滑りするだけで内容がうまく入ってこない。
けれど先ほどと内容が全く変わらないということだけで十分だった。
クリスティーヌは部屋の中を当てもなく歩き回り、鏡台の前に力無く座った。
「クリスティーヌ」
ラウルが床に片膝をついて、こちらに視線の高さを合わせる。
慰めようとしてくれる気持ちはとてもありがたかったが、
今のクリスティーヌにはそれに応じる気力はなかった。
弱い私はただただ小さな両手で涙を隠して、声を殺して泣くだけ。
「ああ、どうしよう。天使様がいなくなったら、私はどうしたらいいの?
エリックがいなかったらなんにも出来ない。もう歌うことも出来ない……。
どうしよう、ラウル……私、死んでしまいそう……!」
優しく髪を梳く手が止まる。ラウルが息を呑むのがわかった。

彼は静かに、けれど突き放すように言う。
「もう黙って、いいから黙れよ」
聞いたことのない声色にクリスティーヌはこわごわとラウルを見つめた。
「君は彼のことを愛しているんだね」
「彼って誰のこと?」
「とぼけるなよ。君の音楽の天使さ。僕を嫌いになったのならそう言えよ!」
「あなたを嫌いになるわけないわ!」
「じゃあ君は僕のことを愛していて、僕無しでは生きていけないって?」
「あなた、頭がおかしくなったみたいね」
クリスティーヌは一抹の恐怖を覚えた。だって
「ラウル、あなたいつもと違うわ。別人みたいよ」
「君がそうさせているんだ!君はあの夢の通り僕を邪魔だと思っているんだろう?」
ラウルは荒々しく立ち上がった。こんな彼は初めてだ。
それほどまでに彼はいつも優しかったし、怒ったときもここまで酷いことはなかった。
クリスティーヌは竦み上がり、震える肩を抱いて唇を噛んだ。
私はエリックを変えてしまったのと同じように、ラウルも変えてしまった。
けれど二人は私を変えたじゃない。
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