[過去ログ] 麻生優子妄想同盟(夢幻戦士ヴァリス) 第八幕 (791レス)
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752: ARCH DUKE 2013/09/07(土)22:55 ID:IVB2vCqx(26/29) AAS
(25)

(何とかして、城内の状況を皆に伝えなければ・・・・でも、一体、どうやって?)

目の前の主君に余計な不安を与えまいと、努めて冷静さを保とうと試みる赤毛の<戦士>だったが、
困惑の表情を完全に隠し切るのはどうやら出来ない相談のようだった。
優子たちに急を知らせるためには、安全が保証されているこの場所を離れて、一旦、通常空間に出なければならない。
通常空間に出て、通信を送った上で、再度、外界と隔絶されたこの空間に戻ってくる事も理論上は不可能ではなかったが、
その間ずっと、狡猾な<ドリームハンター>の目を誤魔化し切れる自信は、さしもの彼女も持ち合せてはいなかった。
隠蔽と隠密行動は自分の十八番だが、同時に、<夢守りの民>の末裔である麗夢の得意とする分野でもあるのだから・・・・。

「・・・・麗子・・・・」

重苦しい沈黙を破ったのは、幾重にもわたって思案を重ねる赤毛の側近を、無言のまま、じっと見つめていた<幻想王女>の一言。
省4
753: ARCH DUKE 2013/09/07(土)22:57 ID:IVB2vCqx(27/29) AAS
(26)

「構いません、麗子。貴女の判断に、全てを委ねます。
・・・・<夢幻界>、そして、多元宇宙に存在する、全ての<世界>の運命を・・・・」

(・・・・ッ!?ヴァルナ・・・・さまッ!!)

――――――――TO BE CONTINUED.
754: ARCH DUKE 2013/09/07(土)23:05 ID:IVB2vCqx(28/29) AAS
以上、第9章をお送りいたしました。
お楽しみ頂けたのであれば、幸いに存じます〜。

各世界の<戦士>たちが、(敵も味方も)一カ所に集まり始め、
文字通り、『戦士集合!』という形になってきました。
さすがにその全員を、同時に、かつ、平等に描写するのは困難ですので、
その中の何人かにスポットを当てて描くしかないのですが、
なるべく多くの<戦士>たちに、少なくとも一度は活躍シーンを割り振りたいな〜、と考えています。
755: ARCH DUKE 2013/09/07(土)23:09 ID:IVB2vCqx(29/29) AAS
さて、次回ですが、『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』の第30章をお送りする予定です。
11月中の完成・発表を目指していますので、またしばらくの間、お待ち下さいませ。

それでは、本日はこの辺で〜。
756: 2013/10/07(月)00:06 ID:VLLLCcF/(1) AAS
捕手
757: ARCH DUKE 2013/11/06(水)00:22 ID:z/mACyXk(1/32) AAS
皆様、大変お待たせいたしました〜。

『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』の第30章、完成しました。
本日の22:00頃からSSの投下を開始いたしますので、あとしばらくお待ち下さいませ〜。
758: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:03 ID:z/mACyXk(2/32) AAS
お待たせしました〜。

只今より、『3V(ヴァリス・ヴァルキリー・バージョン)』第30章の発表を開始します。
『夢幻戦士ヴァリス』最大の悪役、<暗黒王>ログレス陛下最後のステージ、お楽しみ頂ければ幸いに存じます〜。
759: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:05 ID:z/mACyXk(3/32) AAS
(1)

――――<暗黒界>。帝都ヴェカンタニア上空。

それは、まさに壮観と言って良い光景だった。
天空を覆い尽くさんばかりに展開していた大艦隊・・・・
<暗黒王>ログレスの発した動員令によって広大な<暗黒界>の全土から根こそぎ掻き集められた、空前絶後の大兵力が、
断末魔の悲鳴を上げながらのた打ち回り、潰滅の危機に瀕している。
深海に生息する魚類のようなグロテスクなフォルムの次元航行艦やイカともタコともつかない、醜悪な海棲生物を模した機動要塞が次々と業火に呑まれ、
オレンジ色の火球と化して地上へと墜落していく様は、さながら流星雨を思わせた。

ヴェカンティの支配者の威信を知らしめる目的で、堅牢かつ重厚な外観を備えた戦艦群。
彼らに対して、あたかも、炎を撒き散らす巨大な邪竜に挑む聖騎士の如く、白銀の輝きを放つ聖なる剣を振り下ろしているのは、
省2
760: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:07 ID:z/mACyXk(4/32) AAS
(2)

「ヤァ――――ッ!!」「ハア――――ッ!!」

勇壮な雄叫びと共に、自分の身の丈の数十倍から数百倍はあろうかという巨大な敵に対して、白刃を煌めかせて吶喊していく無数の<戦士>たち。
ある者は炎に包まれた刀身を打ち下ろし、別の者は疾風を纏わせた刃で切り裂く。
雷光が唸りを上げて巨艦のどてっ腹に炸裂し、氷の切っ先が装甲版の継ぎ目の僅かな隙間を正確に抉り抜く。

『ええい、怯むなッ!!』『対空砲塔は何をしているッ!?とっとと撃ち払えッ!!』

無論、<暗黒界>の艦隊も必死に応戦し、密集体型を組んで濃密な砲火を浴びせてくる。
だが、本来、自身と同程度か、それ以上のサイズの戦闘艦艇や地上目標を攻撃するために設計された艦砲では、
飛来してくる<ヴァリスの戦士>たちを正確に狙う事は不可能だった。
ましてや、艦体に取り付かれたり、艦内にまで侵入を許してしまえば、もはや、打つ手は無いと言って良いだろう。
省4
761: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:09 ID:z/mACyXk(5/32) AAS
(3)

「そらそらッ!!どうしたァッ!!」「ヴェカンティの軍勢の実力はこの程度なのッ!?」

反対に、<ヴァリスの剣>と黄金の聖鎧に身を固めた少女たちは、
(自身は戦闘経験など皆無だったにも関わらず)サザーランドの魔道装置の中で出撃の時を待ち焦がれてきた魂を受け容れたおかげで、
各自が一騎当千の強兵に匹敵する戦闘技量を会得したのと同じ状態にあった。

彼女たちが自らの意志でやり遂げねばならないのは、
たとえ何が起ころうとも<剣>を握り締め、絶対に手を放さないでいる事、そして、しっかりと両目を見開いて、意識を保ち続けている事の二つだけ。
それ以外の全ての行動は、心身に宿った<戦士>の魂が代わりに判断し、実行してくれるのである。
<暗黒界>側による迎撃の試みは、徒に屍の山を量産するばかりで、撃退に成功する例は皆無に近かった。

「増援は・・・・増援はまだかッ」「だめだ、もう戦線を維持できんッ!!」「後退、後退――――ッ!!」
省6
762: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:11 ID:z/mACyXk(6/32) AAS
(4)

――――因果地平の彼方。何処とも知れぬ場所。

『フフ、どうやら、間に合ってくれたみたいだね・・・・』

陽炎のような影が、ユラユラとゆらめく。
生と死の狭間を漂う、その幽鬼じみた存在は、
<黄昏の地>サザーランドを建設した<夢幻界>の魔道士にして、
永きにわたり<暗黒五邪神>の一柱を占めた、青年のなれの果て。

かつて、<夢幻界>と言わず<暗黒界>と言わず、数多の美女たちを魅了してきた眉目秀麗な面立ちは見る影も無く、
ご自慢のプラチナ・ブロンドもすっかりと色褪せてしまっている。
・・・・否、肉体を失い、魂魄のみの存在となってよりこの方、
省2
763: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:13 ID:z/mACyXk(7/32) AAS
(5)

『・・・・まったく、すんでの所で、全てが台無しになるところだったよ。
私の可愛い<戦士>さんたちにも、困ったものだ』

――――だが、半ば透き通りかけた薄いクチビルが紡ぐ言葉は、
以前と変わらぬシニカルな響きの中に、傲然たる、と形容しても過言では無い程の自信を湛えていた。
『困ったものだ』と言いながらも、彼の口調は、あたかも、計算外の事態を愉しんでいるかのようですらある。

『とはいえ、あの子たちの置かれていた状況を考えれば、良くやった、と誉めてやるべきだろうね。
何にせよ、彼女たちは仕事をやり遂げてくれたのだから
・・・・私が、長い時間をかけて張り巡らし、準備を整えた計画通りに』

口元を歪めつつ、くつくつと笑うと、彼――――アイザードは切れ長の眼をすっと細めた。
省3
764: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:15 ID:z/mACyXk(8/32) AAS
(6)

<暗黒界>。ログレス城地下。最深奥部。

――――ザッ、ザッ、ザッ。

闇よりも黒く禍々しい瘴気の奥から近付いてくる、規則正しい足音に、
ヴェカンティの支配者は、半ば反射的に背後を振り返った。

暗示がわずかに弱まり、今まさに絶息せんとしていた<夢幻界>の王女が、低い呻き声と共に地面へと崩れ落ちる。
ログレスの腕で絞め潰されている・・・・と、幻覚の力で信じ込まされていた白い喉元には、
ヴァルナ自身の両手の指の跡が真っ赤な痣となって残っていた。
省6
765: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:17 ID:z/mACyXk(9/32) AAS
(7)

「・・・・」

ログレスの言葉に優子の足が止まる。
引き結んだクチビルの内側で、奥歯を軋らせる音が、ぎりっ、と小さく鳴り、
地面を向いていた魔剣の切っ先が静かに持ち上げられた。

『フン、死に損ないの小娘を倒したぐらいで、いい気になるなッ!!』

怒気と共に、<暗黒王>の影が真っ黒な鱗に覆われた大蛇の群れの如く、蒼髪の<戦士>に向かって殺到していく。
<夢幻界>の王女の目には、それは、先程、自分が散々に味わい、危うく生命を落しかけた幻覚攻撃
――――<ヴェカンティ>の支配者が最も得意とする禁忌の魔呪として映っていた。
たとえ幻だと分かっていても決して逃れる事など出来ない、圧倒的なまでの現実感を備えた死の幻影・・・・。
省4
766: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:19 ID:z/mACyXk(10/32) AAS
(8)

「えっ!?」『むううっ!?』

王女と魔王の口元から、異口同音に驚きの叫びが発せられた。
優子に殺到した筈の無数の黒い刺客
――――半ば物質としての実体を備えていると言っても過言では無い程の、邪悪な魔道技術の産物たる死神の腕が、
彼女の華奢な身体に触れた瞬間、跡形も無く、フッ、と消え去り、闇へと還元される。
ヴァルナは勿論、ログレスすら驚愕を隠せない中、
唯一人、表情を動かさなかった<ヴァリスの戦士>は、相変わらず、一言も発しようとせずに前方を睨み据えていた。

「・・・・・・・・」

その視線は、地面にうずくまったまま、ぽかんと自分を見上げている<夢幻界>の魔道士にも、
省9
767: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:22 ID:z/mACyXk(11/32) AAS
(9)

ガァアアアァアアァンッッッ!!!!

あたかも、何百何千もの雷霆が天空から地上の一点を目掛けて降り下ったかの如き、大音声が轟き渡った。
<暗黒界>の開闢以来、決して破られる事の無かった沈黙が引き裂かれ、
ぞっとするような陰鬱な音色の木霊が大鍾乳洞の岩肌に反響して、殷々と鳴り響き続ける。

『オオ・・・・オオオッ!!』

ログレスの双眸が大きく見開かれ、全身がガクガクと揺れ動いた。
闇の深奥より生まれ出し最も不浄なる存在が、
おそらくは初めて味わうであろう感情――――恐怖に狼狽え、震え慄いている。
省7
768: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:24 ID:z/mACyXk(12/32) AAS
(10)

『ば、莫迦なッ!!麗子が、だと!?一体、どういう事だッ!?』

「麗子は気付いていたわ・・・・お前の真実にッ!」

気迫のこもった優子の眼差し。
気圧されたかのように、<暗黒王>が押し黙り――――唐突に、大きくたじろいだ。
足元の錆びついた鎖から、ぎしッ、ぎしッ、という軋ばんだ音が響くたびに、
黒衣に包まれた体は大きく揺らぎ、安定を失って傾いでいく。

その場を支配する雰囲気に圧倒されつつ、
二人の間で交わされるやり取りを反芻していた<夢幻界>の王女は、
やがて、薄水色の双眸を大きく見開き、驚愕に喘いだ。
省4
769: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:27 ID:z/mACyXk(13/32) AAS
(11)

『ウッ・・・・ウォオオオオッッ!!!!』

黄金の仮面の下から、凄まじい絶叫が迸った。
憤怒、憎悪、呪詛、絶望、恐怖・・・・あらゆる負の感情が綯い交ぜとなった怨嗟の叫び声が、
あたかも、そのものが一匹の巨大な魔物と化したかのように、地下の闇を切り裂きながら幾重にも木霊する。
暴風の如く溢れ返る<ヴェカンタ>の瘴気が、
五体を八つ裂きにせんとばかり、<ヴァリスの戦士>に向かって掴みかかろうとした――――その刹那ッ!!

パキィィィンッッッ!!!!

金属ともう一つの金属とがかち合い、噛み破り、砕け散る、恐ろしい程に澄み切った金属音が、
漆黒に閉ざされた地下空間全体に響き渡った。
省9
770: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:29 ID:z/mACyXk(14/32) AAS
(12)

ゴゴゴゴゴ・・・・!!!!

立ち竦む黒衣の王の背後から、地鳴りを思わせる圧潰音が轟き渡り、
天を衝いて聳え立っていた邪悪のモニュメント――――<暗黒界>それ自体を生み出す母胎となった、原初の<ヴェカンタ・オア>が崩れ始めた。

『ヤ・・・・ヤメ・・・・ロ・・・・』

黒衣に包まれたカラダが大きく傾ぎ、ガラガラと騒々しい物音を立てながら地面へと倒れ込んでいく。
黄金の仮面を失ったフードが捲れ上がり、ほんの一瞬だけ、中身が垣間見えたが
――――案の定、そこには何も無く、虚無そのもののような黒々とした影が存在していただけだった。
次の瞬間には、漆黒の長衣自体が形を失い、
更には、物質としての実体を維持できなくなって、原子のチリへと還元されていく――――。
省6
771: ARCH DUKE 2013/11/06(水)22:31 ID:z/mACyXk(15/32) AAS
(13)

(麗子、やったわ・・・・)

薄青色の双眸が見つめるのは、右の手首に決して解けないよう幾重にもきつく巻き付けた、薄い布切れ
・・・・ログレスによって運命を狂わされた挙句、非業の死を遂げた、赤毛の親友の唯一の形見の品。
頬を伝った一筋の涙が、在りし日の赤毛の少女がバンダナ代わりに愛用していた薄布へと滴り落ち、音も無く吸い込まれていく。

――――その、次の瞬間だった。

「優子、危ないッ!!」
省7
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