★FFDQバトルロワイアル3rd PART20 (497レス)
1-

319: ――絶望は予想外の死角に 11/16 2023/01/29(日)11:50 ID:rHssY7SEM(11/17) AAS
「ぬうぅ……すまぬ、リュック。
 お主を疑いたくはないんじゃが、念のためにライブラをかけさせてはもらえんか?
 何せセフィロスはワシら全員を出し抜きアーヴァインを操った技量の持ち主じゃ、お主が何かされていないという証拠がワシらにはないでのう」
「う……ううん、さすがにちょっち心外だけど……
 でもギードの言い分もわかるから、いいよ。
 ササッとパパッとやっちゃって!」

あっ、この無抵抗具合は本物リュックちゃんですね。
じゃあもう細かい話を聞く必要はなさそうです。
服を着替えてからピサロみたいに尊大になりやがったサイファーだが、俺様一人を騙すためだけにロックとギードを巻き込んで偽情報を流す理由はないからな。

――そ・れ・に。
省28
320: ――絶望は予想外の死角に 12/16 2023/01/29(日)11:53 ID:rHssY7SEM(12/17) AAS
「……???」

純粋な同種ではない、劣化した細胞の波長。
一瞬、本物のアーヴァインが近づいてきたのかとも思ったが、アレであるならばここまで強い違和感は覚えないはずだ。
この反応はむしろS細胞そのもの――……

そこまで認識したところで、『私』が思い出す。
『私』がこの身体を得るより前、セフィロスはサイファーに片腕を切り飛ばされていたことに。
誰かがセフィロスの腕を持ち歩いている――……その誰か、とは?
答えは呆気なく判明した。
未だ建物内でまごまごとしていた女がまたもや叫び声を上げ、教えてくれたからだ。

ケフカ。
省33
321: ――絶望は予想外の死角に 13/16 2023/01/29(日)11:55 ID:rHssY7SEM(13/17) AAS
――思考終了。
計画変更を決定。

「クエック、クエックー。クエックエックークエー、クエェクエックックー」
(ボビィ、お願いがあるんだ。あそこから飛び降りて、建物の前で待っててほしいんだ)

『僕』は転落防止柵の向こう側、学生寮へと繋がる渡り廊下の屋根を指し示す。
人間であれば転落死の危険があるが、チョコボならば十分降りられるだろう。
ついでに言えば本物のアーヴァインも利用可能なルートだ。アレには竜騎士の靴があるからな。

「クエッ?」(えっ?)

不安げに首を傾げる愚鈍な鳥に、『僕』はそっと羽を撫でながら穏やかな声音を作る。
省28
322: ――絶望は予想外の死角に 14/16 2023/01/29(日)11:59 ID:rHssY7SEM(14/17) AAS
「あー、あー、さてっと、一仕事するか!」

発声テストもクリア。
あとは腕を人間の形に整え直し、衣服部の質感を微調整して終了だ。
これでソロ以外の生存者には、ロック=コールの姿に映るだろう。

――とはいえ。
アーヴァインやセフィロスと違って、偽装人格の構築ができるだけの情報は集まっていない。
現状で実行可能なのは『アーヴァインが自分の認識に基づいて演じるロックの再現』だ。
一応、他生存者と遭遇しても相手の思考を読み取れば適宜修正は可能だが――
即座に見破られてしまった場合はそうもいかない。
それと監視設備の一環として盗聴器類が仕掛けられている可能性も否定できないし、守衛室に誰かいる可能性もある。
省32
323: 希望は予想よりも近くに、絶望は予想外の死角に 2023/01/29(日)12:02 ID:rHssY7SEM(15/17) AAS
AA省
324: 希望は予想よりも近くに、絶望は予想外の死角に 2023/01/29(日)12:05 ID:rHssY7SEM(16/17) AAS
【ロック (MP3/4、HP:9/10、左足軽傷、透明状態)
 所持品:クリスタルソード 魔石バハムート、皆伝の証、かわのたて、レッドキャップ、2000ギル、メガポーション、デスキャッスルの見取り図
 第一行動方針:ソロ達と一緒に訓練施設に向かい、本物のアーヴァインと合流する
 第ニ行動方針:仲間と合流し、静寂の玉を手に入れる
 第三行動方針:ジェノバをどうにかする
 基本行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】
【ソロ(MP0、真実の力を継承、軽度の精神ダメージ)
 所持品:ラミアスの剣(天空の剣、E)、天空の盾(E)、天空の兜(E)、天空の鎧(E)、ケフカのメモ、着替え用の服(数着)、
  ドライバーに改造した聖なる矢、メガポーション、村正
 第一行動方針:ロックと一緒に本物のアーヴァインと合流する
省30
325: 希望は予想よりも近くに、絶望は予想外の死角に 2023/01/29(日)12:05 ID:rHssY7SEM(17/17) AAS
【ジェノバ@ロックの姿
  所持品:奇跡の剣、いばらの冠、筆記具、ドラゴンオーブ、弓、コルトガバメントの弾倉×1、ユウナのドレスフィア、スコールの伝言メモ、ひそひ草
 第一行動方針:生存者の居場所を特定するために監視設備を探す
  第二行動方針:利用できそうな生存者に寄生し、ケフカを殺してセフィロスの腕を入手する
  第三行動方針:ソロをセフィロスコピーに変えて操り、真実の力を掌握する
  基本行動方針:全生命体を捕食し、自己を強化する】
【現在位置:バラムガーデン3F・学園長室】

*チョコボ(ボビィ)はバラムガーデン1F・学生寮入口前に待機しています

最後、本文が長すぎてエラーが出たので分割しました。
投下終了です。支援ありがとうございました。
326: 2023/01/29(日)13:05 ID:t25mGF51v(2/2) AAS
投下乙です。

それぞれのキャラクターたちの思惑が交差してますます混迷してるなあ。
ジェノバが一番危険だけど見誤りも多くて、
ケフカはジェノバの狙いをまだ読み切れておらず、
そしてジェノバの計画変更には誰も気づいていない。
本当にどう転がっていくかが読めなくて楽しい。

人によって愛の歌で思い起こす想景が違うとか、そういう細やかな設定がなんかいいよね。

サイファー相手に風紀委員への陳情を訴えたいケフカとか、
とりあえずエレベーターでダメな選択肢を試したがるケフカとか、この辺は笑ってしまった。
超高速地団駄とかほんと好き。
327: 2023/01/30(月)19:07 ID:zoKJjc8zV(1) AAS
投下乙です!

「an unexpected turn」
一つの場所でそれぞれの思惑が交錯するのが面白い!
ソロは前から目つきが悪いって描写されていた分、ここで激情の表情を見てバッツがヤバイと思うのも容易に納得できていいなあ
アンジェロをセフィロスだと断定して考えている分思考がから回ってるのは仕方ないけど、いろいろな可能性を考えて切り抜けようとしているバッツがかっこいい
そしてジェノバに怒りを向けながら、それでもリュックやみんなを思うソロの勇者っぷりが一貫していて逆につらい……リノアンジェロがそばにいてくれて本当に良かった
アンジェロをかばいながら進もうとするソロに、冷静さが戻ってきたみたいで安心だなんて思ってたら、最後に大集合する展開にひっくり返ってしまった
サイファーと透明状態のロック、そしてサイファーに引き継がれたピサロの意思、全部目の当りにしたらそりゃソロだってそうなるし、そこにリュックの声が聞こえればなおさら混乱する
展開の混乱っぷりもそうだけど、広大とはいえ一つの施設に過ぎないバラムガーデンで半数近い生存者の現在地がバレたの、致命的なのでは?と思ったりした

「希望は予想よりも近くに、絶望は予想外の死角に」
省13
328: 彼方の存在証明 1/10 2023/02/21(火)15:37 ID:f73jwN581(1/10) AAS
くそったれ、と吐き捨てたくなる気持ちを堪えながら鍵をかける。
乱れた息を整える暇さえも惜しい。
バッツと手分けしながら全ての窓と扉をチェックし、カーテンを閉め、ブラインドを下ろし、外部からの視線と侵入をシャットアウト。
ついでに殺虫剤も撒いておくか――とテーブルの上に視線を移したところで、ようやく俺は室内の様子に気がついた。

「これ……誰かいる、ってか、いた……よな?」

バッツも見咎めたのだろう。
床に残っていたガラスの破片を、部屋の片隅に立てかけられた箒に向かって蹴り飛ばす。
穂先の影に隠れているが、どうやら先客はそれなりに片づけを試みていたらしく、ひとところに纏められた砕片がきらきらと光を反射していた。
こういう几帳面なことをする奴といえば――

「ソロ……じゃねえな。ヘンリーとアーヴァインだ。
省30
329: 彼方の存在証明 2/10 2023/02/21(火)15:39 ID:f73jwN581(2/10) AAS
「なあ、サイファー、何やってんだ?」
「お前の言う通り、とんでもねえ考え違いがあるからな。
 証拠……ってほど大したものじゃねえが、見せたいモノがあるんだよ」

言いがてら、ノートパソコンを開く――ってあのガルバディア野郎、電源ごと落としてるじゃねえか!
スリープにしとけよ! OSの起動に時間かかるだろうが!
くそっ……仕方ねえ。
立ち上がるまでボケっとしてるのもアホらしいし、先に話を進めるとするか。
俺はバッツに向き直りながら、軽く肩を竦める。

「で、俺が不機嫌な理由を聞きたいんだったよな?
 どうせ信じられねえだろうからかいつまんで話すぞ」
省27
330: 彼方の存在証明 3/10 2023/02/21(火)15:40 ID:f73jwN581(3/10) AAS
「い、いや、サイファーのことを疑ってるわけじゃないんだ。
 ただ、さっき見たソロの顔、どうにもあいつらしくなかったからさ」
「そりゃ偽物に手玉取られた仲間に根も葉もないデマをバラまかれてるんだぞ?
 いくらソロだってブチギレるだろうがよ」
「そ、それもそう、か……そうかも……」

度を越えた聖人君子みたいな性格してるとはいえ、ソロだって人間だ。
あんなことをされて平静でいられるワケがねえ。
ピサロが見た胸糞悪い光景を思い返しながら、俺は言葉を重ねる。

「だいたい俺が言ってることだって推測ばっかりなんだ。
 何が起きてどんなことをされたのか、全部知ってるのはソロしかいねぇ。
省31
331: 彼方の存在証明 4/10 2023/02/21(火)15:44 ID:f73jwN581(4/10) AAS
「……はぁ?」

見当たらねえ。
いや、そもそもこの書き込みは……なんだ?

――――――――――――――――――――――――――

  * ※Non-Display!※
  *↑おいバカ止めろ
  *↑↑不謹慎投稿不許可、次同様発言確認次第教員報告実行。
  *調子乗りましたすいません。許してくださいなんでもしますから!
  *↑ん? 今なんでもするって言ったもんよ?
  *人の真似してからかうのは良くない。怒られるのは誰だと思ってるの?
省28
332: 彼方の存在証明 5/10 2023/02/21(火)15:52 ID:f73jwN581(5/10) AAS
それでなくてもガーデンの朝は6時の起床から朝食、清掃、武具点検、点呼とスケジュールが詰まってる。
6時手前に書き込みが途絶えてから、自習時間と暇をはき違えたアホが湧いてくるまでの時間に書き込む奴はまずいない。
だからアーヴァインも俺も気づかなかったんだろう、が……
そもそもそれ以前に、

「どうしてこいつらの書き込みが……?」

ここはアルティミシアが複製した空間、言わばバラムガーデンの模造品であるはずだ。
事実、1階のホールにも俺達以外の人間はいなかったし、食堂に見知らぬ誰かがいたならバッツだって真っ先に教えてきただろう。
なのに、何故、他の生徒が書き込んだとしか思えない文章がガーデンスクウェアに残されているのか。
それもアーヴァインの投稿を認識している状態で。

「なあ。このがーでんすくえあ? とかいうの、お前とアーヴァインしか見れないよな?
省27
333: 2023/02/21(火)15:53 ID:t+ZyVSJ5w(1) AAS
しえん
334: 彼方の存在証明 6/10 2023/02/21(火)15:56 ID:f73jwN581(6/10) AAS
バッツの能天気な言葉に、俺は首輪を叩きながら眉を潜める。
夢世界でならまだしも、現実世界じゃ盗聴器が生きてるんだぞ? 迂闊なことを口にするんじゃねえよ。
……まあ、あの魔女ならこっちの技術レベルは把握してるはずだから、ギリギリ誤魔化せるとは思うが。

「俺達の技術じゃ、どんなに頑張ったって宇宙空間に辿り着くのが精々だ。
 次元間やら平行世界間やらの移動技術なんて便利なモンは存在しねえし、そもそもここが"どこの次元にあるどこの世界のどこなのか"って根本的な事すらわからねえだろ。
 現在地の説明も座標データもないのにSOSだけ送ったところで、千年かかっても見つけられねえよ」
「そ、そうか……こんなすっごい機械だらけなんだからイケるかもって思ったんだけどな。
 やっぱり何とか俺達だけで頑張るしかない……んだよな」

バッツはがっくりと肩を落とし、再びベンチに座りこんだ。
こいつでもこんなに凹みっぱなしになることがあるんだな――と思いながらも、俺はモニターに視線を戻す。
省35
335: 彼方の存在証明 7/10 2023/02/21(火)15:59 ID:f73jwN581(7/10) AAS
「……やってみる、か」

「ん?」とバッツが背後で声を上げるが、あえて無視して別のページを開く。
『風紀委員会からのお知らせ』。
俺と風神雷神だけが編集権限を持っているページだ。――とは言っても、セルフィほど活用しちゃいなかったが。

「なあなあ、何してるんだ?」

わざと黙殺してたってのに、好奇心旺盛な20歳児が首を突っ込んでくる。
仕方なしに俺はバッツでもわかるよう、画面に文字を打ち込む。

『助けは呼べないだろうが知識を借りることはできるかもしれない。
 ただ、書き込みをしている連中が本物かわからないから、判別できるようにコンタクトを取る。
 盗聴されて対応されたらまずいから適当に話を合わせろ』
省30
336: 彼方の存在証明 8/10 2023/02/21(火)16:04 ID:f73jwN581(8/10) AAS
だいぶ雑だが、こんなもんでいいだろう。
仮にアルティミシアに検閲されたとしても、それなりに妥当な内容に見えるはずだ。
スコールの生死をあからさまに伏せているのだって、俺様が向こう側にいる連中に何の配慮もしねえほうがおかしいだろうがよ。
あとはこれを"下書き"で保存して、ガーデンスクウェアに戻り、書き込みを残す。

――――――――――――――――――――――――――

  *朝から遊んでるんじゃねえよ。
   風神に雷神、新しい知らせを書いておいたから学園長に承認もらってこい。
   あと人の呼び出しを勝手に盗撮するな。消しとくからついてくんなよ。 アルマシー

――――――――――――――――――――――――――

最後にアーヴァインの投稿を一時非表示にしておしまいだ。
省26
337: 彼方の存在証明 9/10 2023/02/21(火)16:06 ID:f73jwN581(9/10) AAS
「サイファー。そろそろ食堂に戻った方が良くないか?
 ここまで襲ってこないってことは、偽アーヴァインも別の場所に向かったのかもしれないしさ。
 それにラムザとセージにも説明しなきゃまずいだろ」
「……そう、だな」

頭を振って、思考を切り替える。
さっきバッツを追って校庭に飛び出した時、確かにボビィの鳴き声を聞いた。
あれだけ声が響くってことは2階のデッキにいたんだろうし、アーヴァインの真似をしているクソジェノバも背に乗っていたはずだ。
俺達の動向は筒抜けだ――そう判断するしかない状況だったからこそ保健室に籠城してみせたってのに、奴らしき存在は姿を現さない。
やっぱりソロだけを狙ってやがるのか?
それともアーヴァインの方にちょっかい出してるのか?
省30
338: 彼方の存在証明 10/10 2023/02/21(火)16:08 ID:f73jwN581(10/10) AAS
AA省
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