★FFDQバトルロワイアル3rd PART20 (464レス)
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265: 重責に身は強張る 6/11 2022/10/12(水)01:11 ID:vdi51sADm(6/12) AAS
『やばい、やばいぞ、ピサロがいなくなってただなんて思いもしなかった。
 万が一はぐれキング野郎が襲ってきたら完全にお手上げだぞどうするんだ俺。
 よくよく考えたら当然じゃないかバカ野郎、ピサロがソロを放って俺とアーヴァインについてくるわけないだろバカ野郎、
 アストロン解除したらソロははぐれキング野郎と真正面からご対面なんだぞ俺が幽霊になってても残るわそのくらいは考え回しとけよバカ野郎』

(うわ、『焦点の合わない目でずーっと独り言呟いててこの人アブない』ってこれのことか〜。
 もしかして、ヘンリーさんって調子に乗ってたほうがうまく行くタイプの人だったり?
 ピサロがいないこと、言わないほうがよかったかなあ?)

『いやいや待て待て落ち着け俺、ピサロとソロが揃ってんだ。
 なんなら光と闇があわさって史上最強の絶対勇者ソロが誕生するフラグだろ?
 光と闇の協調で、はぐれキング野郎には究極の伝説魔法ミナデインをお見舞いするフラグだろ?
省15
266: 重責に身は強張る 7/11 2022/10/12(水)01:15 ID:vdi51sADm(7/12) AAS
それは、唐突な出来事だった。
自分たち以外の何者も感じ取れなかった静謐の空間で、突如大音量が響き渡る。
それは、今手押ししている車椅子の軋みが数百倍になったような不快な音だった。
始業の鐘よりも駐車場のシャッター音よりも大きく、キーンと響くような耳障りな音。
それが校庭全体、いや、ガーデン全体に響き渡る。

「な、なんだ!? 今度こそ敵か!?」
「ゲホ、これ、校内放送。周波数合ってないんだよ……って周波数じゃ分からないか。
 とにかく、誰かが放送しようと動かしてるんだと思うけど……使えるとしたらサイファーかな。
 ゲホ、ゲホ、あー、僕の残したメッセージ、まだ見てないかな〜?」

校庭やゲート外にまで届く放送回線。
省8
267: 重責に身は強張る 9/12 2022/10/12(水)01:20 ID:vdi51sADm(8/12) AAS
「ソロが!? ウソだろ!?」

ヘンリーの歩みが止まる。
ゆっくりながらも着実に前に進んでいた、その歩みが確かに止まる。
ヘンリーは動揺を隠せない。

『……俺が間違えたのか? アンジェロに蘇生魔法をかけるべきじゃなかったのか?
 それとも、あの野郎に付け狙われるリスクを負ってでも、蘇生魔法を持ち去るべきだったのか?
 くそ、後悔なんてするんじゃねえよ!
 じゃあ何か? コイツを一人放り出して俺が残るべきだってか!?
 落ち着けよバカ野郎、足手まといが一人増えて何になるってんだ!
 思い上がるなよバカ野郎、俺はさっきの放送内容を否定したくて、もしもやり直せたらを並べてるだけだろ!
省23
268: 重責に身は強張る 10/12 2022/10/12(水)01:23 ID:vdi51sADm(9/12) AAS
「あの……ヘンリーさん?」

ヘンリーに比べればアーヴァインは比較的冷静さを保っていたと言えるだろう。
とめどなく流れ込む、ヘンリーの激情が強すぎたがゆえに、アーヴァインは相対的に落ち着いていた。
身体に負担をかけないように細心の注意を払いつつ、アーヴァインは後ろに振り向いてヘンリーの顔色をうかがう。
まばたきも忘れて見開いた目と強張った口元、しかしアーヴァインの声は届き、はっとした表情でいつもの飄々とした雰囲気を取り戻す。

「いや、悪い。大丈夫だ、たとえリュックの忠告でも、俺がソロを信じてやらなくてどうするんだってな。
 お前はしっかり目的地まで届けてやるから、安心してくれ」
(違う、ヘンリーさん全然大丈夫じゃない。
 そりゃ、当初の目的地は訓練施設だったし、ソロとはすれ違ったわけだからあそこは当分安全だよ?
 けど、そんなニュアンスで言ってないよね? だいたい、ヘンリーさんってそんな後ろ向きで慎重なキャラしてないでしょ)
省28
269: 重責に身は強張る 11/12 2022/10/12(水)01:27 ID:vdi51sADm(10/12) AAS
お前は何を言っているんだ?
ちゃんと起きてた?

第三者がいれば、こう揶揄されても仕方がないくらいに、答えは単純明快だ。
そういう放送があったからだ。
リュックが、『セフィロスがアンジェロの身体を使って、ソロを操ってる』と放送したからだ。
セフィロスの名を聞けば、セフィロスのことを思い出せば、アーヴァインがアーヴァインじゃなくなりそうになる。
それを知っているリュックが、放送でそう言ったからだ。

もうその段階は通り過ぎた?
その通りだ。セフィロスの名を聞いても、セフィロスの姿を思い返してもアーヴァインは平気だ。
リュックはそれを知らない。
省37
270: 重責に身は強張る 12/13 2022/10/12(水)01:28 ID:vdi51sADm(11/12) AAS
【サイファー (職業:魔剣士 見た目:ピカレスクコート(黒)@DQR 右足微傷)
 所持品:E破邪の剣、G.F.ケルベロス(召喚不能)、キューソネコカミ
 第一行動方針:放送に対応する
 第ニ行動方針:仲間と合流し、静寂の玉を手に入れる
 第三行動方針:ソロやアーヴァイン達を保護し、ジェノバを倒す
 基本行動方針:ケフカを除く全員の生存を優先/マーダーの撃破
 最終行動方針:ゲームからの脱出
 備考:ピサロの記憶を継承しています】

【ロック (MP3/4、HP:9/10、左足軽傷)
 所持品:クリスタルソード 魔石バハムート、皆伝の証、かわのたて、レッドキャップ、2000ギル、メガポーション、デスキャッスルの見取り図
省16
271: 重責に身は強張る 13/13 2022/10/12(水)01:29 ID:vdi51sADm(12/12) AAS
AA省
272: 2022/10/16(日)16:02 ID:eWhbDtOTa(1) AAS
投下乙です!
サイファーとヘンリーがめっちゃ動揺してるなあ
サイファーには情報アドバンテージが、ヘンリーには本物のアーヴァインがいるから一方的不利ではないんだけど
さすがにリュックの放送だけでジェノバの目論見を正しく推測するのは難しそうだ
ケフカはケフカで今は大人しくしているだけでいずれやらかす気満々だし、アーヴァインも自分の能力に未だ無自覚なのがちょっと怖い
果てしなく不安だけどこの先どうなるか楽しみです!
273: 2022/11/15(火)00:21 ID:P6Mj88RwE(1) AAS
FFDQ3  780話(+ 1) 18/139 (- 0) 12.9
274: ☆なにかんがてるの 1/11 2022/11/17(木)18:22 ID:MNlUydAve(1/11) AAS
晴れ渡る空を雲が流れていく。
天をかき混ぜるように回り続ける巨大な円環、その煌めきが一瞬だけ俺の眼を焼いた。
目を覚ませ、と叱りつけるかのように。

頭では理解しているつもりだった。
足を止める間にも時は過ぎていくのだと。
俺は一息大きく吸い込み――意を決し、車椅子を押して歩き出す。
理論上の最適解と感情由来の衝動が食い違うなんて良くあること。
どれほど不穏な状況であろうとも……
いいや、こういう時こそ優先順位を見誤ってはいけない。

そもそも俺が真っ先に守らなきゃいけないのは誰だ?
省33
275: ☆なにかんがえてるの 2/11 2022/11/17(木)18:24 ID:MNlUydAve(2/11) AAS
「あのな、その基準なら最上位はラムザかケフカだろ。
 いくら俺でも、あの二人に勝てる気はしないぞ」
「う、ううん……そうかな……そうかも……」

ごにょごにょと言い淀むアーヴァインを他所に、俺は再び思考を巡らせる。
現状、アーヴァインが操られているような素振りはない。
たまにヘンなことを口走ったり、やたらとこっちの心を見透かしたような会話を投げかけてきちゃいるが……
アーヴァインが違和感を訴えられないレベルでセフィロスに言動を掌握されているなら、そんな隙は見せないだろう。
むしろ俺の注意を惹かないように大人しくさせるか、じゃなきゃ俺を遠ざけるために徹底的に拒絶する態度を取らせるはずだ。
だからアーヴァインの意見自体は信じていいい、信じていいんだが――

その上で、こいつの判断が誤ってる可能性が、まだ残っている。
省30
276: ☆なにかんがえてるの 3/11 2022/11/17(木)18:26 ID:MNlUydAve(3/11) AAS
「ね、ねえ、ヘンリーさん。
 言いたいことは、ゲホッ、わかるんだけど……で、でも、でも、やっぱり、あの放送は、に、ニセモノだと思うんだ。
 ほ、本当に、本当に、リュックが、あ、あん、あんな言い方するなんて、おか、おかしいんだよ〜!」

アーヴァインが振り向き、縋るような視線をこちらに向けた。
杖を握りしめている手は小刻みに震え、今にもぶっ倒れそうなほど浅い喘鳴を繰り返している。
それでもつかえながら必死に喋ろうとするあたり、自分の意見を――引いてはソロとリュックを信じてほしいのだろう。

「……そうだな。俺もそう思う」

俺だってソロを疑いたくなんかない。
こんなこと考えるだけで嫌になるし、ケフカの偽情報で終わりって事にしてアーヴァインを守ることに集中した方が良いとすら思いたくなる。
それでも――それでも。
省30
277: ☆なにかんがえてるの 4/11 2022/11/17(木)18:28 ID:MNlUydAve(4/11) AAS
「あ……あ、あの、ティーダ。今、リュックの声で変な放送があったんだ。
 セフィロスがアンジェロに取りついてソロを操ってるって内容だったんだけど、僕には本当だとは思えないんだ。
 この世界に来てからセフィロスの声も聞こえないし……ゴホッゴホッ、こうやって、名前を呼んでも何ともなくなってて……」
『は? え? そ、それってどういうことッスか!?』

うーん、この困惑っぷり。
残念ながら当然というか、まだ誰も夢世界に話をしに行ってないな。
単純に寝て情報収集しようって発想が出ないだけなのか、それとも全員寝られる状況じゃないのか……
それこそ俺達以外全員エントランスに大集合してソロを囲んで問い詰めてるまであるか?
……――いやいやないな。
ソロだって馬鹿じゃないんだぞ、放送聞いた時点で速攻逃げるって。
省28
278: ☆なにかんがえてるの 5/11 2022/11/17(木)18:30 ID:MNlUydAve(5/11) AAS
『わ、わかったアービン!
 何が起きてるのか、俺がバシッと探っておくから!
 ヘンリー、アービンのこと頼んだ!!』
「ああ、任せてくれ。ちゃんと安全なところを探して休ませておくから。
 俺が見張れば"少しぐらい眠っても大丈夫"だからな、安心しろ、アーヴァイン!」

会いたかったら夢世界で話せばいいんだ。
今、無理する必要なんかない。
――そんな俺の気持ちを汲み取ったのか、アーヴァインは力なく項垂れた。
直後、時を巻き戻すかのようにティーダの姿が光の粒に変わり、異形の身体を抱きしめるかのように消えていく。
俺は一つ大きく息を吐くと、地面に転がった杖を拾い上げ、アーヴァインの左手に握らせる。
省29
279: 2022/11/17(木)18:31 ID:U03KK0OYo(1) AAS
しえん
280: ☆なにかんがえてるの 6/11 2022/11/17(木)18:40 ID:MNlUydAve(6/11) AAS
アーヴァインを守らなきゃいけないし、ソロを助けないといけない。
魔女を倒さないといけないし、コリンズだって待ちくたびれているだろう。
それにデールがいなくなった以上、ラインハットを治めるのも俺の役目になるわけで。
やらなきゃいけないことだらけで、感傷に浸りたくとも明日と仕事はやってくる。
それが人生だ。
そして、生きていれば存外どうにかなるのも人生だ。
どうにもならない時はどうにもならないのも確かだが――……それでも生きてさえいれば、いつかどうにかなって、過去になる時がやってくる。

「ヘンリー、さん……」
「ん? どうした?」

アーヴァインが上半身をよじり、不安げに俺を見つめる。
省35
281: ☆なにかんがえてるの 7/11 2022/11/17(木)18:41 ID:MNlUydAve(7/11) AAS
「あの、違………ううん、もういい、なんでもない。
 ヘンリーさんに聞こうとしたの、間違ってた」

アーヴァインはそう言って顔を背ける。
横を向いたその表情は、やっぱり泣いているようで、どうしてわかってくれないのか怒っているようで、そのくせ呆れ果てて苦笑しているようにも見えて――
結局、よくわからない。
『父上なんかに聞いたのが間違いだった!』ってコリンズにもよく言われるけど、あいつみたいに反抗期ってわけじゃないだろうし。
うーん……もしかして、茶化されたと思ったんだろうか。
自分で超絶親切とかいう奴が真面目に話を聞いてるとは思えない、とか言われたらさすがに反論できないしなあ。
別に冗談のつもりじゃなかったんだが、一応謝っとくか。

「悪いな、気の利いた事言えなくて」
省35
282: ☆なにかんがえてるの 8/11 2022/11/17(木)18:42 ID:MNlUydAve(8/11) AAS
「あ、あの、僕、まだ、ここの、生徒じゃ、ないから……
 あの二人と、いっ、一緒に、するのは、や、止めてほしい……」

……そういやそうだっけか。
こいつが通ってたのは姉妹校のガルバディアガーデン、だっけ?
レーベの村や保健室でちょろっと聞いた気がする。

「お前が通ってた学校はもう少しマトモだったのか?」
「まぁ……うん…………一応、軍の、士官、学校、兼ねてた……から。
 厳しくて、うるさくて………ゴホッゴホッ! ……体育、会、系で…………まあ、マトモ、だったよ」
「そんな顔を逸らして言われても説得力ないんだよなあ」

俺はため息をつき、何気なしに口元に手を当てる。
省31
283: ☆なにかんがえてるの 9/11 2022/11/17(木)18:44 ID:MNlUydAve(9/11) AAS
急に、なんでだ?
……いや、それは今考えるべきじゃないな。
それじゃなくたってセフィロスの血を追加で撃ち込まれたり、ピサロに身体を貸したりしてたんだ。
何ならピサロ曰く進化したドラゴンライダーを食べてたって話もある。
ドラゴンライダーってアレだろ? レナを唆して俺を殺させようとした張本人の、読心能力を持つ竜の魔物ってヤツだろ?
そりゃ影響あるだろ――ってアーヴァインがめっちゃガタガタ震えてるんだけど!?
なんで!? ってアホか俺、思いっきり考えてるじゃねえか俺!

と、とりあえずなんとか落ち着かせないと……って、何からどう話せばいいんだ?
別に俺の心読んだところでやましいことは考えてないから怒ったりしないぞ、とかか?
それとも人の心を見通す奴なんて珍しくないから心配するな、とかの方がいいか?
省31
284: ☆なにかんがえてるの 10/11 2022/11/17(木)18:46 ID:MNlUydAve(10/11) AAS
「あ、あっ、あの、その、えっと、……ゴホッゴホッ」
「だから無理して喋らなくていいって。
 自分でも何が何だかわかってないんだろ?」
「う、うん……ずっと、ずーっと、独り言、しゃ、喋ってるって、思ってた」

そんなわけないんだよなあ! って言いたいけど、こいつずっと車椅子に乗ってたからな。
俺が後ろに立って押してた以上、俺の口元は見えないし、声だけ聞こえてたなら『喋ってる』と勘違いするのも無理はない。
むしろあれほど心を見透かした会話を投げられて、今の今まで気づかなかった俺の方が超ド級のニブチンなのでは?
『誤射王の次は鈍感王の座を狙うんですか?』って脳内マスタードラゴン様が呆れ返ってるんだが?
多分本物マスタードラゴン様にも言われる奴なんだが?
どっちも嫌なのに言い返せない! 畜生!
省19
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