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◆女性に捕食されるされるスレ◆ 二口目
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>>469 > 佳奈の脳裏を過ぎるのは、千絵の事ばかりだった。佳奈がいなくなってしまったら、彼女はどうするだろう? > 悲しんでくれるだろうか?悲しむことは、まだ出来るだろうか? > あの不器用な怪物は、一人で生きていくことなど出来るのだろうか…。 > 嫌だ。千絵を一人にしたくない。だが彼女の命はもう尽きる。千絵を守るどころか、また足手まといになってしまった。 > 佳奈は自分の死が、今後一生親友を苦しめることになるだろうと分かっていた。それでも千絵は怒ったり、腹を立てたりせず、きっと優しく微笑んで…。 > 巨人の牙が彼女の柔らかい肉に深々と突き刺さる瞬間、佳奈は呟こうとした。 > 「ごめんね、千絵…」 > だがその声は音になる前に、込み上げてきた血反吐に呑まれ、トンネルの饐えた空気を震わせることなく、彼女の胸の中だけに閉じ込められた。永遠に。 > 涙の乾いた頬に鮮血が飛び散り、佳奈は死んだ。 > > ---------------------------------------------------------------------------------- > > 千絵は少し離れたところで、怪物の気配を感知した。佳奈の力が予想以上に発達しており、追い付けずに途方に暮れていた所だった。 > 正直、千絵は佳奈に自分を撒く事が可能であるなどと思っても見なかったのだ。と同時に、一抹の不安も感じていた。 > 佳奈がそれほどまでに急ぐ理由は何だろう?周防美和が逃げたか。いや、それならばこれほど掛からずに捕らえられるだろう。 > 別の追っ手だろうか。だがもはや例え銃を持っていようと、人間は佳奈の適にはならない。となると、考えられる可能性は一つ、“あいつ”と遭遇した事だった。 > それまで千絵は佳奈の気配を辿っていたのだが、少し前に不意にその気配が薄らいだ。 > 替わって強烈に彼女の全感覚を刺激したのは、忘れもしない、あの6月の終わり、あの忌まわしいホテルで出遭った、あの少女の存在だった。 > “あいつ”が近くに居る。そう思っただけで千絵は、佳奈の身に起こり得る最悪の可能性についての考えを閉ざしてしまった。 > 千絵はトンネル内を疾走した。自分の足音が反響するコォンという耳を劈くような音も、耳を掠める風の音も聞こえない。 > その時の千絵には“あいつ”の肉に深々と爪を立て八つ裂きにするイメージしか沸かなかった。駆け抜ける彼女の姿は、もしそこに人が居たとしても > 目にも留まらなかったであろうが、彼女が足を着いたレールは拉げ、コンクリートの基盤にはクレーターのような同心円状の皹が入った。 > ふと前方に明かりが見えてきた。駅のホームらしい。千絵は減速した。ふわっと埃が舞い上がり、視界が霞む。 > その時、心臓に小さな針でも刺されたかのような衝撃が彼女を襲った。そのまま心臓が止まってしまったのかと思うほど、胸が締め付けられるように苦しい。 > 目の前に、ホーム全体を覆い尽くす程の巨人が蹲っていた。 > 控えめ(と言っても、巨人サイズだが)な乳房と性器から少女である事が分かるが、“それ”は人間離れした獣のように4つ足で立ち、地面にある何かを貪り食っていた。 > 千絵はぽかんと口を開けて、その後姿を呆然と眺めていた。無論、ホームに散らばった血や肉片が目に入らなかった訳ではない。 > だが彼女には思考することが出来なかった。“母”との対面はどんな気分がするのだろうと、この2ヶ月あれこれ考えてきたが、そんな事は全て記憶から吹き飛んだ。 > ホームの一角の、ひび割れて瓦礫を敷き詰めたようになっている部分に、見覚えのある金属片を認めた時も、彼女は何一つ考えることが出来なかった。 > それが、彼女の親友がいつも大切に持ち歩いていた愛用の凶器の断片である事は、見つけた時から分かっていた。 > だがその折れたスライサーの意味するところの事実を、彼女は拒否しようとしていた。 > 巨人がぼうぼうに伸びた髪を振り乱して頭を上げた。何かを呑み込んだようで、喉がごくんと鳴る。 > ふと周防美里は、トンネルの入り口から小さな人が自分を見つめているのに気付き振り向いた。 > 美里はあくびをする犬のように口を開くと、「げふっ」と小さくゲップをした。 > 口の周りが血で汚れている。千絵には、感じることが出来た。巨人の胃の奥から込上げてくる親友の香りを。 > “あいつ”の口から漂う、彼女が愛した、あの血の臭いを。
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