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>>29 > 空海コレクション「十住心論」(ちくま学芸文庫)抜粋 04.唯蘊無我心 (ゆいうんむがしん)- 上座部仏教のうち声聞の境地4 > > ・五位七十五法の修行体系 > 「倶舎論」の巻二十三に言う。――「解脱の因となるもの」を種えようとする者は、速い者で、三たび生を受けて、解脱の因を得る。 > ――第一生で、解脱の因にしたがう心を起こす。第二生で、四つの聖なる真実の理法を見て、智慧の因にしたがう。第三生で、聖者の道に入り、解脱を得る。 > > 生けるものが人間界で、あるいは他に一食を施し、あるいは戒律の一つを守り、解脱する願いを捨てないから、解脱の因となる善を増長させる。 > 遅い者だと、六十劫(「劫」は、カルパの訳語で「時分(顕教)」「妄執(密教)」)という、無限に長い時間を要する。[巻末要語29] > 第二生に入るための、準備的な修行には三種類ある。(ア)智慧の実修と、(イ)身器を整えること、(ウ)さとりを求める修行である。 > > (ア)世親は智慧の相を注解して、次のように述べている。――「教えを聞くことによって生ずる智慧」が聞所成。「正しい理法を思惟することによって生ずる智慧」が思所成。「定(瞑想)を修することによって生ずる智慧」が修所成。 > > (イ)身器をととのえるとは、「倶舎論」に言う。 > ――1.身心遠離。悪友から離れる。不善を求めることから離れる。 > ――2.喜足小欲。わずかなものに満足し、大欲を起こさない。 > ――3.四聖種に住する。1.衣服において、足りることを知る。2.飲食において、足りることを知る。3.臥具において、足りることを知る。4.聖者への道を修行しようと願う。 > > (ウ)さとりを求める修行とは、四聖諦に通達して、生死の苦しみを超え、涅槃の境界を得るものである。 > 「五停心観」「別相念住」「総相念住」すべてを併せて対象とし、「別相念住」の、観想の四「存在する、すべてのものには実体がない(法念住)」これを繰り返し実修する。そして、欲界の苦のみを観ずる。
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