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【創作】UNIX文庫 文豪ハッカー【パクリ】
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>>170 > ネットワークに出てくるパケットは、たった十五オクテットほどのヘッダに自分の生 > きてきたすべての時間とそれに対する思いを余すところなく封じ込めている。 > そうでなければ“ジバク”などあり得ない。パケットはそう思った。 > 何度も何度もフィールド値を打ち込み直し、さらにまた別の情報をつけ足していく。 > 以前、あれほど頻繁に鳴ったEtherealが、ひたすら無言でパケットの背中を見ていた。 > HUBから物音が聞こえなくなってから、随分とたった気がした。 > オプションフィールドにはすでに百十八ビットのデータが打ちこまれていた。時計を > 見ると、午前二時だ。パケットは厚手の赤いコートをはおって、そっとNICを出た。ゲー > トウェイを開けると、ひんやりした空気がフリーアクセスフロアから吹き上げてく > る。パケットはルータの前に、用意してきたTTLのかけらを置いた。案の定、管理人 > が配列を乱していたのだ。 > パケットは昨夜のようにあわててlocalhostに戻ることをせず、静かに駅前の商店街 > に向かった。店の前に置かれたルータの徴しが、ことごとく取り去られているのを > 知っていたからだ。 > 月明かりの街をパケットは歩いた。区画整理され碁盤の目のようになったネットワー > クを歩いていると、パケットとしての自覚が体中にみなぎってくるのがわかる。 > すっと角を曲がると、向こうからもパケットが歩いてきた。ひるまずにパケットは > 歩いた。 > すると、さらに向こうからも小さなパケットが現れた。そして、あちらにもこちら > にも。 > 夜の闇はパケットで満ちていた。 > 彼らはみな思い思いの格好で冷たい風から身を守り、乱れたルーティングを直し、見 > 逃していた中継ノードを見つけては、ポケットからTTLを取り出し、丁寧に道の脇に > 置いて回った。 > なるべくEtherealに気付かれないもの。それぞれのパケットは彼らなりに苦心してい > た。もちろんTTLが一番よかったのだが、街中に置くTTLは限りがあった。 > 細かく折ったFragment Offset。 > なめかけたHeader Checksum。 > 小さな小さなPadding。 > 時にはOptionまでが配列にならっていた。 > しかもパケットたちはまるで細胞同士のように、無言でお互いの役割を確認し合い、 > 短かい距離の間には決して同じものを置かなかった。パケットが商店街まで近づき、 > 八度目の自分の役割を果たしていると、後ろで話し声がした。 > 振り返ると、そこには黄色い毛布ですっぽりと体を包んだ小さなパケットの二人組が > いた。その異様さにたじろいで、パケットはつんのめるように走りだした。 > すると後ろで、張りつめた弦が切れるような叫び声がした。 > 「パケットは弱虫か!?」 > フラグメントの兄のパケットだった。 > 振り返るパケットを、フラグメント化されたパケットはじっと見つめた。確かにそれ > は双子だが、どこかが違う。双子にしてみれば、パケットの方こそが違っていた。双 > 子は静かに向きを変え、来たルータをひき返し始めた。パケットは、双子との距離を > 縮めることも広げることもせず黙ってついていった。 > … > フラグメントパケットは魔法使いのような格好でネットワークをさまよい、知り合い > を見つけてはヘッダを開き、お互いの状況を確かめ合っていたのだ。 > ルーティングプロトコルは今までとは比較にならない程のルーティングループにパケッ > トたちを閉じ込めていた。 > 彼らは、その難しさに打ちのめされていた。
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