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さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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>>977 > > * > > パシッ、パシッ。 > 乾いた音が連続して響く。 > 零が、杏子の頬を軽く左右に張った。 > > いつものように牙を剥いて怒声を返すことを期待したが、音は空しく闇に消える。 > 杏子の眼に光は戻らない。微かに呻きは漏らすものの、相も変わらず虚空を見つめるだけ。 > > 『ダメみたいね、ゼロ』 > > 「だな。これ以上は後が怖い。ま、あんまり女の子の顔を叩くのも気が引けるし」 > > つい昨日、路地裏の決闘で平然と顔を狙った蹴りを放った男とは思えない言い草。 > しかし戦いと、無抵抗な少女を殴るのは訳が違う。 > 今の彼女からは、あの時の闘志も殺気も感じられない。まるで人形。 > > 感触からして、強く叩いても傷が残るだけで無意味だろう。 > ショックと痛みで気付けという強引な方法では効果がないようだ。 > 零はおどけて言ったが、内心では焦りが芽生え始めてもいた。 > > 「ホラーの術にはまったにしても、封印されてからも効力が続くなんてあるのか?」 > > 『ないとは言えないけど……モロクにそんな前例はないから、少し考えにくいわね。 > 恐らくだけど、ホラーの術はとっくに解けているはず』 > > 「……どういうことだ?」 > > 『この娘が自分で戻ってこないのよ。ホラーの術を受けて、精神が同調しているのかも』 > >
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