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さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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>>297 > > ほっと息をつくさやか。 > 不安は、恭介が軽く笑い飛ばしてくれた。そういえば、そんな話は聞いた覚えがあるような。 > やはり杞憂に過ぎなかったのだと気を取り直した。 > > 「でも僕にも似たような経験はある。 > 頑張っても頑張っても弾けなかった曲が何かの拍子に突然弾けたり、とか。 > 大げさだけど、そんな時は奇跡が起こってる気さえした。だから真実は誰にもわからない。 > ひょっとしたら、天使や悪魔を見た人だっているかもしれないね」 > > 「へぇ……恭介にも、そんな経験あるんだ……」 > > 「勿論あるさ。もっとも、僕はそこまで極限に迫ったことはないけれど。 > もし仮に、そんなものが見えるとしたら、それは本当に凄絶な精神状態だろうね。 > 過去、数多の芸術家や音楽家が狂気に取り憑かれ、身を削り、滅ぼしながらも作品を遺した時みたいに」 > > たぶん恭介も同じ。彼は音楽しか見ていない。彼を想う自分の気持ちも見えていない。 > だが、それでもいいと、さやかは思っていた。 > 自分のものにならなくても、他の誰かのものにならないなら。 > 誰より近くにいられるのなら。 > > それでもいいと、思おうとしていた。 > > 音楽を語る時、往々にして彼は多弁になる。 > 芸を極めようとする人は、多かれ少なかれ他人と違うものが見えているのかもしれない。 > 素養も素質もさっぱりなさやかには些か理解し難い感覚ではあったが。 > > 内容は理解できなくても、さやかは彼の話が好きだった。 > 彼の音楽が好きだった。 > 彼が好きだから。 > 理由は、それだけで充分だった。 > >
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