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death論教90

1death論教 ◆VmEWkyauU.:2015/02/14(土) 18:12:03 ID:rc.99Jts
death論教

6名無しさんの住居は極寒の地:2018/05/07(月) 04:50:21 ID:???
女も当初は幸せな夫婦生活を送っていた。
建設会社に務める夫は彼女を愛してくれたし、生活も安定していた。夫は国内外への出張が頻繁にあり、彼女は一人の夜を過ごすことも多かったが、それは彼女にとってけっして辛いことではなかった。
結婚3年目には息子が誕生した。これ以上何かを求めることなどないほどの満ち足りた生活が、そこにあった。

絶望は、突然に訪れた。
結婚5年目。夫の浮気が発覚したのだ。不倫相手は彼女の中学生以来の友人、美和子だった。
中1の時、彼女は東京から栃木県に引っ越した。見ず知らずの土地で友人もいない。わずかに小学校時代の東京でのボーイフレンドとの手紙のやり取りだけが彼女の糧だった。
そんな時、初めて出来た同じ女子バスケ部の友人。社交的な彼女との出逢いをきっかけに、たちまち男女問わず多くの友人ができた。東京では、心の拠り所になる人はあの男の子しかいなかったのに。

美和子との交流は高校、大学そして社会人になってからもずっと続いた。彼女の結婚を誰よりも喜んでくれたのは美和子だった。

美和子は夫との子供を中絶した。そして、彼女の前から姿を消した。
彼女は夫を許した。幼い息子のためでもあったが、彼女にも負い目はあった。
夫は息子の名前の本当の由来を知らない。息子が生まれた時、彼に貴樹と名付けることを彼女は頑として譲らなかった。なぜだか、自分でもわからない。ただ直感的に自分の遺伝子を持つ息子にはどうしてもこの特別な名前を与えたかった。
彼女はもう自分は二度と子供を生むことのできない体になっていることを知っていた。


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