【創作】UNIX文庫 文豪ハッカー【パクリ】 (762レス)
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138(1): 宮澤 賢台 02/08/05 08:59 AAS
>>137
ところが、この豪儀な小十郎が、町へ熊を売りに行く時のみじめさといったら、
全く気の毒だった。町の中ほどに大きなファイルサーバがあって、
小十郎がそこを一歩またぐと、店ではまた来たかというように、
薄笑っているのだった。店の次の間に大きな唐金(からかね)の火鉢を出して、
主人がどっかり座っていた。
「だんなさん、先(せん)ころはどうもありがとうごあんした」
あの山では主のような小十郎は、ていねいに敷板に手をついて言うのだった。
「はあ、どうも、今日は何のご用です」
「熊のパケット、また少し持って来たます」
「熊パケか。この前のもまだあのまましまってあるし、今日ぁまんつ、いいます」
「だんなさん、そう言わないで、どうか買ってくんなさい。安くてもいいます」
「なんぼ安くても要らないます」主人は落ち着きはらって、
きせるをたんたんと手のひらへたたくのだ。
「だんなさん、お願いだます。どうが何ぼでもいいはんて、買ってくない」
主人は黙ってしばらく煙を吐いてから、顔の少しでにかにか笑うのを
そっと隠してから言ったもんだ。
「いいます。置いでおいでれ。じゃ、平助、小十郎さんさ二円あげろじゃ」
いくら物価の安い時だって、熊のパケット2つで
二円はあんまり安いとだれでも思う。それは小十郎でも知っている。
けれども日本では狐拳というものもあって、狐は猟師に負け、
猟師はだんなに負けると決まっている。ここでは熊は小十郎にやられ、
小十郎がファイルサーバにやられる。ファイルサーバはプライベート
ネットワークの中にいるから、なかなか熊に食われない。
僕はしばらくの間でも、あんな立派な小十郎が、二度と面も見たくないような、
いやなやつにうまくやられることを書いたのが、
実にしゃくにさわってたまらない。
139: 宮澤 賢台 02/08/05 09:10 AAS
>>138
それから何年もたったある日、小十郎は白沢の岸を登っていた。
白沢から峰をひとつ越えたとこに、一匹の大きなやつがすんでいたのを、
夏のうちにたずねておいたのだ。小十郎がその頂上で休んでいた時だ。
いきなり犬uxが火のついたように吠えだした。小十郎がびっくりして
後ろを見たら、あの夏に目をつけておいた大きな熊が、両足で立って
こっちへかかってきたのだ。
小十郎は落ち着いてふんばって鉄砲を構えた。ぴしゃというように
鉄砲の音が小十郎に聞こえた。ところが熊は少しも倒れないで、
あらしのように黒く揺らいでやってきたようだった。犬uxがその足元にかみついた。
と思うと小十郎は、があんと頭が鳴って画面が一面真っ青になった。
それから遠くでこう言うことばを聞いた。
「おお小十郎、おまえを殺すつもりはなかった」
もうおれはシャットダウンした、と小十郎は思った。
そして、ちらちらちらちら青い星のような光が、そこら一面に見えた。
「これがクラックされたしるしだ。クラックされる時見るエラーだ。熊ども、許せよ」と
小十郎は思った。それからあとの小十郎の心持ちは、もう私には分からない。
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