タブンネ刑務所13 (1000レス)
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871: 2017/03/07(火)15:01 ID:/BlE7yuI0(1) AAS
「はぁ…」

住宅街の外れにある一軒家に住む青年は朝一番から深いため息をついた。
というのも、自宅の庭のど真ん中にタブンネの死体が横たわっていたからだ。
原因は家の周りに設置された対ネズミポケモン用の毒餌。
青年は前々からコラッタの被害に悩まされており、その対策のためつい先日設置したのだった。
コラッタは被害にあった場所には二度と近付かないと聞いていたので、かなり強力な毒を持った物を選んだのだが、まさかタブンネがそれを食べてしまうとは彼自身も思っていなかった。
せっかく天気の良い休日の朝だというのに、いきなり見馴れぬポケモンの死体を見た事で穏やかな陽気に対して気分は最悪だった。

やがて、いつまでもこうしていても仕方ないと死体を引き取って貰うため保健所に連絡しようとしたその時、

「チィチィ。チィ?」

青年の耳に甲高い声が聞こえてきた。その声は眼前の死体の向かい側から。
恐る恐る覗いてみると、そこには大きさ30センチ程度のベビンネ2匹の姿。
この息絶えたタブンネは子持ちだったのだ。

「チッチィ、チィ」

ベビンネ達は動かないタブンネを揺すり、何かを求めるような声で鳴き続けている。
それはベビンネ達がお乳を求める声。
2匹のベビンネはその幼さ故に既にこのタブンネが事切れている事にまだ気付いていないのだ。

「マジかよ…」

チィチィと鳴き続けるベビンネを見て、茫然とする青年。
彼自身、コラッタを駆除したかっただけでタブンネを殺すつもりは毛頭なかった。
漸く歩けるようになった程度の乳飲み子である2匹は自分達で餌を確保することも出来ず、餓死するか他の野生ポケモンの餌になるかだ。

見つけた瞬間、青年が第一に持った感情はただただ面倒臭いというものだった。
が、眼下にお乳を求め尻尾を振り、小さな手でタブンネ揺すりながらチィチィと懸命に鳴き続けるベビンネ2匹。
その姿を見る内に、間接的とはいえタブンネを手に掛けてしまった事に対する罪悪感が徐々に青年に芽生えていった。

暫くベビンネ達の声を聞きながら頭を抱え葛藤していたが、やがて意を決して自宅の中へ戻り、小さめの段ボールに不要になったバスタオルを敷いて庭に戻ってきた。
この子らが自分達で餌を取れるようになるくらいまでは面倒を見てやろう。
それがこのタブンネへの罪滅ぼしになると考えたのだ。
青年の存在にも気付かず、未だ小さい手でタブンネを揺さぶっているベビンネを青年は左右で1匹ずつ、出来るだけ優しく掴んでやる。
ベビンネ達にとっては巨人にも等しい青年の手に捕まれた事に驚き、そこで漸く青年の存在に気付いた。
上を見上げると強張った表情で自分達を親から引き離そうとする未知の存在。

「チィッ!?チィチィチィ!」

ずっと一緒だった親から引き離される事、今まさに自分達を掴んでいる存在への恐怖から今度は激しく泣き喚き始めた。
青年は突如大きくなった声に驚いて手を離してしまい、ベビンネ達は段ボールの上に図らずも叩きつけられてしまった。

「チィィ!チィチィ!チィ!ビィーー!」

バスタオルがクッションとなったものの、その衝撃を切欠に軽いパニックを起こし、一層激しく泣き出すベビンネ2匹。
青年はその声の煩さに思わず顔を歪める。

「すまない、お前達のお母さんはもう死んでしまったんだ。だから今日からここで暫く暮らすんだ」

その言葉を理解出来る訳がないと思いつつも、あやすように段ボール箱を優しく揺すりながら家の中へ戻っていった。
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