タブンネ刑務所13 (1000レス)
タブンネ刑務所13 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/
上
下
前
次
1-
新
通常表示
512バイト分割
レス栞
このスレッドは1000を超えました。
次スレ検索
歴削→次スレ
栞削→次スレ
792: ショーケースの裏側で [] 秋も終わりの11月、イッシュ地方にある名もない草むらの中で大きな麻袋を持った2人の男が子タブンネを探していた 1人はルカリオ、もう1人はドリュウズを傍らに連れている 「ワフ!」 「おっ、見つけたか」 ルカリオが一件なんの変哲もない場所を指差すと、ドリュウズがそこを掘り起こす するとその時、2人の近くからガサガサと草を揺らす大きな音が 「兄貴、襲ってくるんじゃねえか?」 「黙って続けろ、巣から気を反らそうとしてやってるだけだ」 30センチ近く掘ると地中に大きな空洞が見つかった その中から「チィチイ」「ミィミィ」と子タブンネの声が聞こえてくる 「いたぞ、すぐに捕まえろ。ドリュウズは使うなよ、爪で傷つけちまうからな」 「わかったよ、ドリュウズ、周りを見張っててくれ」 「ドリュ!」 弟分の男が懐中電灯を片手にドリュウズが開けた穴に上半身を突っ込んで何かを探しだす そうして十数秒経つと、ミィーミィーと騒ぐ40㎝ほど子タブンネを片手に持って穴から出てきた 「兄貴、あと7、8匹はいますぜ」 「よし、穴を広げろ、全部捕まえるぞ」 「あい、ドリュウズ、もっと穴を大きくしろ」 指示の元にすごいスピードで地面を掻き、穴をどんどん広げていくドリュウズ 土しぶきをあげながら穴はどんどん広がっていき、遂には穴の中にあったタブンネの巣全体が露になった 二メートル四方ほどの巣に枯れ草のクッションが満遍なく敷かれていてその上で10ほどの近い子タブンネやベビンネたちが恐怖で震えている 「よし、捕まえよう。目が空いて ないのは捕まえなくていいぞ」 「わかってまさぁ」 男たちは子タブンネだけを次々捕まえ、麻袋に放り込んでいく 捕まれたタブンネたちは「ミ゙-ッ!」と鳴いて手足をジタバタさせて抵抗するが男たちは気にも止めない 中には恐怖で糞尿を漏らす子タブンネもいたがそれも気にされる事もなくお尻を汚したまま麻袋に放り込まれた 「チー!チー!ビー!ミーッミーッ!ビャアアアアア!!」 「ミイーッ!!」 「おっ、ママさんのお出ましだぞ、出迎えてやれぃ」 麻袋の中のタブンネ達のママンネが草むらを掻き分けて男たちの前に姿を現した 麻袋からの子供たちの恐怖と苦痛と救いを求める声を聞いて急いで餌集めから戻ったのだ 目をつり上げた怒りの表情(タブンネだから怖くない)で肩をいからせた臨戦態勢だ 「あ、兄貴、いっぱいいるみたいだよ」 「あー、群れを作ってたんだな…」 男たちの周り、草むらの至るところでガサガサと揺れる音がする 音の主が全部タブンネだという事は想像に難くない 「ウミャアアアアア!!!」 弟分の怯えに反応するかのように、ママンネは男たちに向かって突進した それと同時に回りのタブンネも草むらから姿を表し臨戦態勢で男たちを取り囲む しかし、ママンネの突進は速いとは言えず、間に入ったドリュウズのアイアンヘッドで迎撃されそのまま血を吐いて倒れてしまった 鳩尾にモロに当たったので肋骨が折れて灰に刺さったのだ 「こんだけ成体が居るってことはガキもそれだけ沢山てことだ、こりゃ宝の山じゃねえか!」 「気合いいれて行きますぜ、兄貴!」 「地震は使わせんなよ、巣の中のお宝がおじゃんになっちまうからな!」 仲間が倒されて怒りに火がついたのか、草むらから出てきたタブンネたちも「ミィーッ!」と雄叫びを上げながら次々と男たちに突進していったが、結果は惨憺たる物であった 波動弾で吹き飛ばされ、メタルクローで腹を引き裂かれ、顎や腹に飛び膝蹴りを食らって血と折れた歯を撒き散らしながら次々と倒れていった 2人のポケモンは戦闘用に鍛え上げられたポケモンだ。野生のタブンネが何匹来ようと負けるはずがない 気がつくと2人の周りに居るのは倒れた半死半生のタブンネだけだった 「あらかたやっつけたみてぇだな、ルカリオ、波動で逃げるタブンネを見つけ出せ、 リーマ(弟分の名前)、お前は草むらが揺れてる所を当たってみろ」 「がってんでさ!」 襲い来るタブンネたちを倒しても兄貴分はのんびりする事なく指示を急ぐ 多くの場合巣が襲われて戦闘に出るのは父タブンネで その父タブンネが倒されると母タブンネは巣から子供を連れて逃げだしてしまうからだ 『ゥミィィ!チギュピー!! ミワーッ!! ミビャァァァ!!!』 ママンネ、パパンネ、 子タブンネ、ベビンネ、ありとあらゆるタブンネ達の悲鳴が草むらに響いた 顔を殴られ、足を折られ、その腕から子タブンネを引き剥がされるママンネの悲鳴、 戦うことも庇うことも出来ず、命より大切な妻や子供たちが傷つけられていくのをただ見ていることしかできないパパンネの慟哭 柔らかくて暖かい親の腕から引き剥がされ、硬くて暗い麻袋に詰められていく子タブンネの悲鳴 破壊された巣の中に残され周りのタブンネの尋常ならざる悲鳴に恐怖し、ただ泣きじゃくるベビンネ 数十分前はただ風がそよぐだけだった草むらは2人の男によって叫喚地獄と化していた http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/792
793: ショーケースの裏側で [] 「こんなもんで勘弁してやるとするか」 「大漁ですぜ兄貴、とても持ちきれねぇや」 狂乱の後、男たちは子タブンネで満タンになった麻袋を車の中に積み込んでいる 穀物用60kgサイズの麻袋が3つ、もう何匹捕まえたか分からないほどの大漁である 『ヂィー ! ミ゙ィ-!ミ゙ィ-! ビビィ! ヴミ゙ー!!』 大量に喜ぶ男たちと対照的に、袋の中の子タブンネたちは地獄そのものの様相であった 詰め込まれた子タブンネ達の体温で中は灼熱の蒸し風呂状態、 ついでに上からも下からも糞尿が降り注ぎ全身を容赦なく汚し、充満する悪臭で息もまともに吸えない 無数の子タブンネが泣き喚く甲高い騒音にも耳のいい子タブンネたちは苦しめられた この地獄から脱出しようと子タブンネたちは仲間たちを蹴り、そして押しのけながら闇の中を動き回る しかし、その出口は固い紐でしっかりと閉じられているのであった 「ちょっといくらなんでも詰め込みすぎたな、酸欠で死ぬかもしれんから空気入れてやろうや」 「へい」 弟分は大型のエアポンプを起動し、そこから枝分かれして伸びる管をそれぞれの麻袋に突っ込んでいく その時、結び方が甘かったのか麻袋の口がほどけ、1匹のベビンネが袋の外にこぼれ落ちた それに気づいた兄貴分は「気を付けろ」と注意しつつベビンネをさっと拾い上げる それは袋の中の子タブンネたちよりだいぶ小さい、まだ目が開いてないベビンネだった こういう小さすぎるベビンネは捕まえずに避けておいたハズだが何かの拍子に混ざってしまっていたらしい 手の中でぶるぶると震え、チィチィと弱々しく母を求めて鳴くそれを 兄貴分は振りかぶって草むらに放り投げた 「そいつは返してやる、大事に育ててやれよー」 草むらからはミィとも帰ってこなかったが兄貴分は気にする事も無く ミィミィうるさい車に乗り込み草むらの前から去っていた 「フィィ…」「チィ… チィ… 」「ミィ…」 男たちが去った後、草むらに残されたのは立ち上がれないほど傷ついた親タブンネ そして太陽の下に露になった巣に放置された幼すぎるベビンネたちだった 彼らは互いの存在を確認しあうようにチィチィ、ミィミィと鳴き合っていた もう1時間もすれば再生力でまともに歩けるようになるタブンネもちらほら出てくるだろう しかし、イッシュの自然はタブンネたちに1時間の猶予も与えてはくれなかった 「ワンワン♪」 どこからともなく可愛らしいヨーテリーが現れた。それも1匹ではなく草むらを取り囲むように何匹もいる そして1匹のベビンネの匂いを嗅ぎ、首筋に食いつくとそのままどこかに連れ去っていってしまった 「ミフーッ!ミフーッ!」「ミアアアアアア!!!」 成体のタブンネ達は声を荒げて威嚇したがヨーテリー達には何のの効果もない 何故ならヨーテリー達は相手の強さや様子が顔のレーダーで分かる能力があるからで 動けないタブンネがいくら吠えようとこちらに危険は無いとヨーテリーたちは分かっているのだ それからヨーテリーたちは動けない大人タブンネに、抵抗する力も無いベビンネに集団で容赦なく襲いかかった そして彼らが去った後に残されたのは骨が剥き出しになった死体と瀕死の大人タブンネだけだった 一方、子タブンネを捕まえて行った2人の男たちは人里から離れたところにある一軒家に車を止めた 「今回は早かったね。こっちは準備できてるよー」 その玄関から出てきた若い女性、この女性が袋に詰められた子タブンネたちの運命を決めるのである http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/793
794: 名無しさん [sage] いいねー、目も開かないベビンネがヨーテリーに咥えられて チィチィ泣きながら連れ去られる光景を想像するとゾクゾクする http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/794
795: 名無しさん [] ピッピちゃん高いですね、カントーならもうちょい安そう。 そしてタブンネが3万ってぼったくりですよ・・・ まだ養殖とかが無いからこその値段ですかね? http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/795
796: ショーケースの裏側で [] この女性は個人経営のペット業者で人里離れた家を安く買い仕事場にしているのだ ちなみに男2人はこの業者の社員なのである ポケモンマスターになる夢が破れてブラブラしてる所を拾われたのだ 「うわあ… 酷いことになってますぜこりゃあ」 「ちょっといくらなんでも詰めこみすぎだよー」 車の中の麻袋は酷い有様だった 子タブンネたちの糞尿で袋の下の方がぐっしょりと塗れ、そこから強烈な悪臭を放つ液体が染み出してきているのだ 1時間道のりの間に袋の中の子タブンネたちすっかり静かになっていた 弟分は中のタブンネが皆死んでるのではないかと心配したが 兄貴分が袋を揺すってみると一斉にミッミッと騒ぎだした 「それじゃタブンネちゃんたちをお庭にあるビニールプールに入れてあげてね」 男たちは2人がかりで子タブンネが 詰まった麻袋を1袋庭に持って行き、 そこに用意されていた水を張ってない直径3mの特大ビニールプールに中身をぶちまけた 『ゥミィィ!! ミィ~ッ!! ミッ?!ミッ? ミギー!!』 プールの中に袋の口を向け、口を結んでいた紐をほどくと、まるでピンク色の滝のようにタブンネたちは一斉に袋からプールの中に飛び出した 皆一様に困惑し、不安そうに鳴きながら広いプールの中をウロウロと歩き回る その毛皮には糞と小便が混ざった汚液がたっぷり染み込んでおり、ビニールプールの周りには悪臭が立ち込めた 「ん?袋から出てこねぇのもいるぞ」 兄貴分はまだ重みを残す袋を怪しみ、それを逆さまにして強く振ってみる すると袋の底に残された子タブンネたちが一塊になって糞尿と共にどちゃりと地面に落ちた 先に出てきた子タブンネよりもさらにビショビショに汚液で濡れていて、糞尿の臭いに加えて何か別の種類の悪臭がする そしてその子タブンネたちはミィとも鳴かずピクリとも動かない 「あー、おしっこで溺死しちゃったみたいね」 「うへー、かわいそ」 「ばっちいからごみ袋に入れとこうね」 弟分は重なりあう子タブンネの死体をトングでつまみ上げようとした時、その隙間から見えた小さな白い手が僅かに動いているのを見つけた 上に重なってる死体をどけてみると、その下にはまだ息のある子タブンネが かなり衰弱していて、弱々しく息を吐きながらピクピクと小刻みに手足を動かすのが精一杯らしい 「うーん、この子はもうダメかな ー、後で捨てとくから死体と一緒にごみ袋に入れといてね」 「え、こいつはもう助からないんですかい?」 「回復の見込みが無いことはないけど、これから忙しくなるから看病する手間がもったいないんだよー 」 奇跡的に助かった命を省みられる事なく糞まみれの死体と共にビニールのごみ袋に詰められた生き残り子タブンネ 密閉された空間で死臭と糞尿と酸欠で苦しみ抜く事約30分、声にならない断末魔を上げ誰にも知られる事なくその短い一生を終えた その死に顔は周りの死体と違わぬ絶望の表情だった http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/796
797: 名無しさん [sage] まあ、生き残った子タブンネちゃんたちも おしっこで溺死していた方がましだったという目に遭うと予想 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/797
798: 名無しさん [] おしっこで溺死ですか、久しぶりでいいですね! 苦しんで死んだチビの顔をママンネやパパンネに 見せてやれないのが残念ですw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/798
799: ショーケースの裏側で [] 3袋分の子タブンネ、約150匹をプールに入れると、さしもの3mビニールプールも満員になった 子タブンネたちは泣きじゃくる子にウロウロ歩き回る子、ぶつかって喧嘩する子など様々だ 壁を登って脱出しようとしてる子タブンネも多数いたが手についた糞汁で滑ってずり落ちてお尻を打ってしまうのだった 「それじゃあタブンネちゃんたちを綺麗にしてあげちゃうよ~」 女は腕まくりして用意していたポケモン用粉石鹸を子タブンネたちの上から満遍なく振り掛ける 野生だった子タブンネたちにとってそれは未知の物質で訳も分からずパニックになりギャアギャアと騒ぎだした しかし女はそんなのには慣れた様子で気にもせず、用意していた高水圧洗浄機でタブンネたちに放水した 『バアアァァァァァァァ!!!ヴミ゙イイイイイイイイ!!!!』 高水圧で噴出する11月の水は肌に触れるとまるで針が刺さるような痛さと冷たさで それを全身でまともに浴びた子タブンネたちは絶叫しながら放水から逃れるべく一斉にプールの端へ押し寄せる 「こんな冷たい水かけちまって、風邪ひいちまうんじゃないですかい?」 「このくらいなら大丈夫大丈夫♪ 一応水圧は一番弱いのにしてるし」 子タブンネ達が逃げたら回り込んで水をかけ、また逃げたら回り込んで水をかけの繰り返しがしばらく続いた 汚れを吸った石鹸はブクブクと茶色い泡を立て子タブンネとビニールプールを覆っていく そしてその泡にまみれた子タブンネたちは自分に何が起きてるのかも分からずただただ泣き叫び、悶え、逃げ惑うのだった ちなみにビニールプールの底には排水用の穴が開いてるので水が溜まって子タブンネが溺れる心配はない 『ヂヂィ… ヂィィ… 』 「はい、みんな綺麗になりましたね~」 泡があらかた流れ落ちた時、子タブンネ達の毛皮は鮮やかなピンク色を取り戻していた しかし当の子タブンネたちは巨大なピンクの塊のように身を寄せあってカチカチと歯を鳴らしながら激しく震えていた 濡れた体に冬の始まりの風は物凄く堪える、体の小さな子タブンネになら尚更だ 「社長、持ってきましたぜ」 洗浄が終わったのに合わせて、兄貴分の男が大きなプラスチックの箱がついた手押し車を押してきた 子タブンネたちは三人によってその箱に押し込められ、家の中へ連れて行かれた 「ここでタブンネちゃんたちを乾かしてあげてね」 タブンネたちが連れていかれたのは自宅件仕事場の一室 床全面にバスタオルが敷き詰められていてファンヒーター二台と石油ストーブ一台が煌々と部屋全体を暖めている 「ミッ!」「ミィィ!」「ミィィ~ン♪」 男2人が見張るその前で、体が冷えきっていた子タブンネたちは我先にとストーブの前に押し寄せる 温風に当てられると濡れてビショビショだった毛並みもふわふわに戻っていった 競争に負けてストーブの前に行けなかった子タブンネたちもバスタオルの上で転がったりプルプルと全身を震って水滴を飛ばしたりと何とか体を乾かそうと頑張っている それから30分、暖まって元気が戻ってくると、子タブンネたちは個性あふれる様々な行動を見せた 数匹連れだって部屋の中をトテトテ走り回る子、親が恋しくなったのかミンミンと泣きじゃくる子、 部屋の隅っこで丸まって眠ってしまってる子、小さい妹や弟をお世話する子… 中でも目立っていたのは胡座をかいて見張っている男2人に攻撃している10匹ほどの子タブンネたちだ 「ミィィィ!!!ミィッ!!ミフーッ!!」 「ひょっとして俺達の事恨んでんですかね?」 「ミッ!ミッ!ミッ!ミ゙ーーー!!」 「あれだけやったんだからそりゃ恨むだろうよ」 その子タブンネたちの攻撃というのは男たちの足を小さな手でペチペチ叩いたり、 助走をつけて体当たりして反動でコロンと転げてしまったりなど端から見るとじゃれているようにしか見えない しかし子タブンネたちにとっては家族の敵を討つための捨て身の特攻なのだ その証拠に攻撃してる子タブンネたちは歯を食い縛り、目をつり上がらせた怒りの表情(でも子タブンネだから怖くない)で時折涙を溢しながら男たちの足にぶつかっていく 「疲れた足にゃいいマッサージだよ、ハハハ」 もちろん男たちには全然効いてなかった 「タブンネちゃんたちそろそろ乾いたかな?選別を始めちゃうよー」 特に何事も起きず、男たちと子タブンネがくつろいでた所に社長の女が「選別セット」と書かれた大きな段ボール箱を持って入ってきた http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/799
800: 名無しさん [] 攻撃してきた子タブンネはペットには向いてないですね。 生意気な子は毛皮を剥ぎ取ってやりたい http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/800
801: 名無しさん [sage] 皆様新作おつです 虐アフターデータ消失で書き直ししてます。必ずあの一家を終わらせます その前に思い付きの別作品一本だけ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/801
802: 名無しさん [sage] 書き直しお疲れ様です。楽しみに待ってますね。 良ければ、お時間のある時に前のレスに出てた揚げ物の儀も書いてください(^m^) http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/802
803: ショーケースの裏側で [] 「はいはい、タブンネちゃんたち、ご飯ですよー」 女社長は箱から茶色いペレットを取り出して袋からパラパラと床に落とした そのペレットは全国のポケモンショップで普遍的に売られている安価な草食ポケ用ポケモンフーズで ショップの店頭で売られているタブンネに主食として与えられてる事も多い 「ミッ?」「ミィ?」「ミッミッ!」 すぐに近くにいた数匹の子タブンネたちが反応を示しペレットの元によちよちと集まってきた しかし野生の子タブンネたちは初めて見るペレットを餌だと認識せず、コロコロと転がして遊んだり足で蹴っ飛ばしたりで口に入れる様子は無い ペレットは乾燥していて硬いが口に入れると唾液の水分で柔らかくほぐれて子タブンネでも食べられる だがそれを知らない子タブンネたちにとっては丸い土の塊か木片としか思えないのだ 十数分ほどして子タブンネ達がペレットに飽きてきた頃、それはある1匹の子タブンネが遊んでる最中に不意にペレットを口に入れてしまった事から始まった 「ミィ? ミッミッミッ…(ポリポリポリ)」 ペレットが唾液を吸い込んで柔らかくなると子タブンネの口の中に穀物のほのかな甘みが広がり、それは噛むほどに強くなっていく 雑穀を粉砕してオカラを混ぜて固めただけの嗜好性があまり高くないペレットなのだが 野生暮らしでいつも腹ペコだった子タブンネにとってそれはすごく美味しく感じられた 「ミッミッミ、ミフーッ!ミフーッ!」 「あらら、今日のタブちゃんたちはいい子がたくさんだね~ まだまだあるから遠慮せず食べてね~」 1匹が食べ始めると周りのタブンネが真似をしてペレットを拾って食べ、 そのまわりのタブンネがまた真似をして拾って食べの繰り返しで部屋のタブンネの殆どがペレットを求めてる状態になった それに合わせて部屋中にペレットを撒く女社長。実はその最中も約150匹全ての子タブンネを観察し、大まかながら選定を行っているのだった 部屋中の子タブンネに行き渡るようにペレットを蒔いたその後 女社長が箱から取り出したのは、青、赤、黄の三色の短く切ったリボンの束だ 「好き嫌いしないいい子には、素敵ブルーのリボンをあげちゃうよっ♪」 「チィ?」 口一杯にペレットを頬張ってた所、突然二の腕に青いリボンを巻かれた子タブンネの中の1匹 気になるのかむず痒そうに巻かれたところをポリポリ掻いている この三色リボンを巻くことで質のいいタブンネと悪いタブンネを見分けやすくするのだ 良し悪しは基本的にペレットの食いで決まる 人工の餌を食わないような子タブンネはペットとして飼うのに不適格で店には卸せないという訳だ 見た目や健康状態に問題がなくペレットを積極的に食べる個体には青いリボンが与えられる これは一番良いリボンで「すぐにでも出荷できる」事を表している 「もうちょっとなタブンネちゃんには黄色いリボン!、もう一息頑張ってね~」 「ミッミッ!」 ペレットが口に合わず、あまり食べなかったり途中で吐き出してしまった子タブンネには黄色いリボンが巻かれる これは「少し改善すれば出荷できる」を意味するリボンだ 黄色いリボンのタブンネはケージに入れられてペレットに徐々に慣らしながら食べられるようになるまでここで飼育されるのだ 目立つ抜け毛があったり跡が残らない程度の傷があるタブンネにもこのリボンが巻かれ、治るまで飼育される 「困ったちゃんには、赤いリボン!、いい子ちゃんになれるように頑張ろうね~」 「ミィィ!ミィィ!!」 ペレットに見向きもせず弟分の足をペチペチとはたき続けている子タブンネに赤いリボンが巻かれた ペレットを口に入れない、興味を示さない子タブンネには赤いリボン このリボンを巻かれた子タブンネは一番ランクが下の「売り物になる可能性は低い」タブンネで、 性格に大きな難があるタブンネ、離乳したてのタブンネにも赤リボンが巻かれる このリボンが巻かれたタブンネたちはスパルタ方式で教育され 丸一日絶食させる、他のタブンネが美味しそうに食べるのを見せつける、ペレット食べないと殺すという旨を触角から伝えるなど様々な仕打ちを受ける しかしそれでも赤リボンのタブンネが出荷できるまでになる確率は半分以下と少ない http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/803
804: ショーケースの裏側で [] 「ん~? ずいぶんちっちゃい子がいるね~」 「チィ?」 男2人も社長を手伝い選別の作業を続けてると、まわりの子タブンネより一際小さい子タブンネが見つかった 身長は35㎝ほどで普通なら持って帰らないサイズだが今回は数が多かったので紛れ込んでしまったようだ まだおぼつかない足取りでよちよち歩き回り見ていて危なっかしい 恐らくここ数日のうちに歩けるようになったばかりなのだろう 鳴き声もまわりの子タブンネよりも幼いベビンネのチィチィ声だ 「巣漁るとき間違って捕まえちまったかなー」 「ミミィ! ミィミィ!」 「ん、なんだこいつ」 弟分が何気なく小さい子タブンネの顔を覗き込んだ時、黄色いリボンの子タブンネがその間に割って入った この子タブンネは小さい子タブンネのお兄ちゃんで、初めて出来た妹である小さい子タブンネをとても可愛がっていたのだ 両親を目の前で殺され、2匹揃って捕まった後もこの兄子タブンネは必死に頑張った 麻袋の中では降り注ぐ糞尿や他のタブンネの荒ぶる手足から庇い 高水圧洗浄機の冷たい放水からも自分の身を盾にして必死に守った 黄色いリボンを巻かれたのにも理由がある 固いペレットを妹にも食べられるように自分の口で噛んで柔らかくして吐き出したのを「食べられなかった」と誤解された為である 「よしよし、抱っこの時間でちゅよ~」 「チッチ!」「ミィィ!」 目の前の弟分に気を取られていたのか、兄ンネは後ろにいた女社長にいとも簡単に妹ンネを抱き上げられてしまった 「妹を返して!」と言わんばかりにミーッ!ミーッ!と声を張り上げて両手を抱き上げられた妹に向けピョンピョン跳ねながら怒ったが 社長は特に気にする事も無く赤ちゃんを抱っこするような形に妹ンネを抱き直した 「チィ…チィ…」「ミィ…?」 社長に抱っこされた妹ンネを見たとき、兄ンネはピタリと怒るのをやめた 妹ンネの身体全体を優しく支えるような抱きかた、それは母タブンネが妹を抱く時と同じ姿だったからだ 目の前でドリュウズに腹を引き裂かれて死んだママンネが人間の姿で帰ってきた… そんなあり得ない妄想で兄ンネの頭の中がいっぱいになった そして妹ンネも久しぶりに触れた大きな温もりに安らいでいる 社長はそんな妹ンネの小さな口に人差し指で優しく触れると、妹ンネはまるでお乳を飲むかのように指をちゅぱちゅぱとしゃぶりだした 「うーん…この子は育てらんないかな~、まだ歯が全然生えてないや」 社長はそう呟くと妹ンネを胴体を片手で掴むような持ち方に持ち替え、 まるでペットボトルのフタでも捻るかのように妹ンネの首をグキリと後ろに回してしまった 「ミィ…?」 社長の手からポトリと妹ンネが落とされると、兄ンネは「何が起こったのか分からない」といった表情で妹ンネへ駆け寄る 野次馬の子タブンネも数匹寄ってきた 首が180°後ろに向いた異様な姿でピクピク痙攣する妹ンネ、兄ンネは不思議に思って触角をくっつけで妹ンネの体の音を聞いてみる そこから聞こえるのは急速に小さくなっていく心臓の音、血の流れがだんだん緩やかになり、やがて止まる音、止まってしまった呼吸の音… これらが「死の音」だということは幼い兄ンネにも分かることだった 「ミギュッヒ… ミビェェ~~ン!!」 「ありゃ、兄弟だったのね」 兄ンネは死体となった妹ンネにすがり付いて泣いた。それは狂気を含む泣きかただった 死んだはずの母親が生き返って大好きな妹ンネを殺した… 幼いタブンネの心に致命的なダメージを与えるには十分な出来事だろう 当の社長は自分が兄ンネに母親と勘違いされてるとかそんな事知るよしも無いのだが 「社長~ こっちにも小さいのが居ましたぜ~」 「歯が生えてるなら赤いリボンつけて残しといてねー」 「あいたた!ちゃんと生えてんなこいつ」 離乳してないベビンネ、病気の子タブンネ、身体に欠損がある子タブンネはリボンを付けられる事無くその場で処分される 育てても商品にならないか、育っても手間と金が掛かりすぎて採算割れしてしまうからだ 青いリボンの子タブンネは明日にでも競りにかけられポケモンショップに売られていく そして赤と黄のリボンの子タブンネはここで商品になるよう飼育される しかしそれは生き延びて売られるか、力尽きてゴミになるかの希望の無いサバイバルなのだ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/804
805: 名無しさん [] >>801 完結編楽しみにしてます! 一家のパパンネが今までに無いゲスさでどんな罰が下るか気になりますな http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/805
806: 名無しさん [] 兄ンネみたいな健気な子は可愛いですね。 こういう子ほど割を食いますけど http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/806
807: 801 [sage] ショーケースさん割り込み失礼します。やっぱこういう閉鎖空間ものは大好きです。 では思い付きネタ投稿させていただきます。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/807
808: 21XX年のタブンネ [sage] 21XX年タブンネ 時は21XX年。タブンネと呼ばれたポケモンが世に知られた年から100年後の未来。 そのタブンネだが現在ポケモンとして認知されていない。 全国図鑑531には70年程前に見つかったドリュウズが進化したMOGERA(モゲラ)というポケモンが位置している 見た目は機械のような鋼タイプだがこれは割愛させてもらう。 様々な理由により害獣とされたタブンネとの長きに渡り続いた熾烈な争いは人側の勝利に終わった。 タブンネの大量処分と家畜管理により、人の手に納めることに成功したのだ。 今やタブンネという名は失われ、現在彼らは 「ニク」と呼ばれ人に飼育され食料や様々な加工品として人やポケモン達の糧になっている。 ポケモンというカテゴリから排除された人間の家畜、消耗品、物。それが今のニク達 まるで人間やポケモンに都合よく作られたタブンネの体は繁殖力の高さもあり安価で安定した安心して食せる肉を提供してくれる。 この食料事情により、カモネギの絶滅種認定が解除され、彼らは現在食料にされることなく生態系が戻りつつあった。 牛鶏豚魚等のポケモン肉を消費することも完全に無くなり、食肉はニクとして統一されている。 ここからは、数あるニク牧場のうちの一つから一連の行程を説明する。 「ナンバー1から30搬入します」 「1から30確認」 ホースから流れる水の音のみのコンクリ部屋に運ばれる三十匹のニクの列。 ニク達はここでその命を終え、食肉として加工される所謂屠殺場。 排水溝を真下に備えた断頭台に何の疑問を抱くこと無く首を差し出していく10匹のニク達。 コンクリにこびりついた黒ずんだ血液痕も気にもせしない。理解していないだけかもしれないが。 いずれも穏やかな笑みを浮かべているのは不気味に思えるかもしれないが、これには理由がある。 数十年前の種としてのニクが完成された頃から、家畜ニクは生後から現在一歳まで徹底した教育を施される。 自分は「人間とポケモン」の為にその命を捧げる名誉と幸福があり、それは何よりも素晴らしいこと。 ニク達がこれらを受け入れるのも理由があり、過去の彼らは本能で他者に対し献身的な態度を取ることがあった。 それが自身の命を狙う相手でも。 良い部分を伸ばし悪い部分を排除する理想の教育は成功し、 このような教育から「お世話していただく人間様に恩を返し、ポケモン達の糧となる」事もすぐ様受け入れる。 そして断頭台に首を差し出すこの瞬間の為にその身に肉を蓄えてきたのだ。 ニク達はこれから最高の名誉ある最後を迎える。今ここにいる事を皆誇りに感じているのだ。 「今までおいしいご飯と楽しい暮らしをいただけてありがとうございました。私達はこ」 ズダン!10頭はその命を捧げた。 排水溝に流れる水が赤く染まる。作業員がゴム製のレーキで血水ごと頭部を排水口に設置された篭へ押し出していく。 ニクそれぞれの表情は穏やかだが目尻に涙を浮かべていた。 これが屠殺だが 例外 というものはどんな物にも存在するのも確か。 次の10頭のうちの一匹が急に叫び出すが、すぐ様作業員に取り押さえられた。 これは100匹中1匹いるかいないか程度ではあるが、やはり生命体である以上確実とはいかない部分はある。 大暴れしながら断頭台に首をはめられる一匹のニクだが、周りのニク達はそれをまったく気にしないどころか軽蔑の眼差しだ。 死を受け入れられないニクは恥ずべき存在。 「ビィギィィッ!イギィィッ」 首を抜くべく顔を真っ赤にし両手で首の拘束をはずそうとするが、 ズダン! 叫び声は消え、残りの全ても命を捧げた。 司令塔を失った体は痙攣を終えるとフックに吊るされ、作業員に血抜きと毛皮をはがされ腹部を裂かれ肉にされていく。 それを終えると冷蔵室に運ばれていき各所に届けられる。 これら一連の作業はかなりの速さであり、すでに次のニクが運び込まれていた。 タブンネは昔から食用にされることもあったがその際に体や精神を痛め付けると肉質や旨味があがる性質があった。 だが現在は研究が進みその煩わしい作業の必要性も失われている。 科学の力により改善サプリが開発され、食肉用ニクの飼料にまぜて与えるだけで肉質を限界まで痛め付けられた同様にできる。 だが本ニクも気づかないが体は蝕まれ、結果寿命が一年になってしまうが食肉処理適齢が一歳なので問題にならなかった。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/808
809: 21XX年のタブンネ [sage] ……………… ここは屠殺場から離れた畜舎。 棟の区画わけされた舎で百を越える母ニクが子ニクの世話をしている。 母が一度に持つ子は15から20。整った環境や管理された栄養状況により母はもちろん子も健康に育っている。 母は数匹ずつ順に授乳させ、終えると舐めて排尿排便や体を清潔にする、それらが仕事だがこれも順調に進む。 外敵もなく個別管理のため子育てに集中するのも教育の一つだ。 過去にタブンネによる畜産は子を隠すなど反抗があったが、現在は前述した教育により結果はこうだ。 母ニクも「人間の為に育て上げた子を献上する」事が名誉なこと。 子や仲間の死を目の当たりにしないぶん食肉ニクのような異変は無い。 隣の棟は適齢を迎えた子達を親から離していた。ここでも別れ際のいざこざもない。 これから彼らはそれぞれの道を歩む。 まずオスは100匹中一匹の割合で種雄となるが今回は不要だったようで、食肉や毛皮加工に回される メスは出産用、食用卵用、該当無しは食肉にされるが、こちらも今回は不要だったようだ。 これらは一歳が適齢だが数ヵ月で肉処理されるニクもある。 その現場も少し解説するとようやく自分で食事ができるようになった一部子ニクは別の畜舎に運ばれる。 そこでは筋肉がつくのを防ぐ為に足枷をつけられ、基本的に食う寝るだけとなる。 自由を奪われ、まだ教育やサプリによる改善が行えない為に個室での孤独や不自由を意識し騒いだり涙する子ばかり。 だが拘束上始末に困る糞尿を世話する人間に抱く感情は子を安堵させ、そしてそれらがいなくなる寂しさを与える 屠殺は寝ている間に行われる。情けではなく過剰なアドレナリン分泌を防ぐ為。 一見悪意がありそうだが、この昔を彷彿させる自然なストレスの繰り返しでこれが高級食材に分類される子ニク肉となる。 とある都市に面した商店街の食堂の看板メニューの子ニク丼(600円)にニク卵をつけた孤児丼は半日どころか昼前には完売する程だ。 もうひとつ彼らがタブンネではなくニクになった証が退化した触角にある。 ちなみに耳はそのままだが聴力は落ちている。 人間に管理され外敵に怯えず、安定した食事はタブンネから野生で生き残る為の機能を消した。 個別管理の空間や、一貫した人間の教育による他人の感情を伺う事の不要さ。 最初は奇形とされたが、はっきり言えば「余計な情報を遮断する」のにうってつけと交配を繰り返し現在に至る。 稀に触角付きもあるが生後すぐに切除される。 元はタブンネで何故ここまで従順になれるかは、教育の成果と言ってしまえばそこまでたが、やはり様々な苦労はあった。 タブンネにとって一番の驚異である外敵、食糧難を解決したことにより精神のバランスを保ち、 さらに大量捕獲の際に性格が大人しく温厚な個体を選別し、それらにより継がせてきたものもある。 タブンネも悪ばかりではなく、善もある。そこも利用してきたのだ。 さらに触角を無くしたことで他者を知ろうとする意識が消え、さらに疑いも消えた。 教育は主にビデオでの刷り込みではあるが、タブンネはその野生での弱性から危険を伝える為に親の子への遺伝は強い。 先述の屠殺時のようなケースもあるが、そういう個体はまびくの一番早く周りに影響もない。 昔のように見せしめはせず、「悪い」とだけ教えるのだ。 これら一連の改良に異を唱える者は誰もいない。 今や原生を無くし完全に人間達の為に存在するポケモンですらない生物。これが ニク だ。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/809
810: 21XX年のタブンネ [sage] ……………… ここから現在の野生タブンネの話。 100%タブンネはこの世から消えたかと聞かれればそうですとは言えない。 野生にはわずかだが残存しているのも確か。 ここは牧場の裏手にある小さな山の廃屋。 中には二匹のタブンネと命の消えかけたベビンネがいた。 薄汚れた傷だらけの♂ンネ つがいであろう♀ンネも傷だらけで片足が無くなっており、痩せてしぼんだ乳をさらし仰向けのままだ。 その下腹部は垂れ流しの尿や糞で炎症を起こす程悪化している。 枯れた草に寝かされたガリガリのベビは二、三度苦しそうに呼吸をするとそのまま息絶えた。 「ミック…ミギィ…ミィのベビ…」 ♀は必死に這うように我が子へ向かうと、まるでナメクジが這ったように糞尿の跡が残った。 「ミィ…ミィもあそこに行ってみるミィよ」 ♂の言うその場所は牧場。あそこに タブンネ がいることを知っている。 だが隠れるよう細々生きてきた彼らは現状を知らない。あそこにいるのは同族ではない別の生物になってしまっていることも。 人間の管理する土地は昔からタブンネにとっては死地に等しい。 今のタブンネ達にとっては昔以上に警戒されるのだ。しかし財宝がある場所にはかわりないのも事実。 ♂は夜が明けたら牧場へむかうことを決意した。 このつがいはこの山で10匹も満たなかった群れの生き残り。 彼らは安住の地を求めようやくたどり着いたのがこの山。 人の施設から近いということで野生ポケモンもおらず、苦しさから解放された安心感からか群生していた食料を根刮食い漁った。 そして陥る食糧難。本能レベルで進化や適応を知らない群れは過去のように人家を求めそして死ぬ。 餓死、人里へ向かい駆除、様々な理由で減り続け今に至る。 何匹かは牧場へ向かったまま戻らない。 さらに外だけでなく中も変わりないのも事実。 ♂が傷だらけなのは食料をめぐった内部抗争の結果。巻き込まれたつがいの♀は足を失った。 極限状況であれば仲間を失っても今のタブンネには食料を争う相手が消えた程度。 本来の優しさを向ける相手はあくまでも自身の家族だけ。 それが今のタブンネ。 決意を固めた♂は無言で石を握りしめると微動だにしなくなった我が子へ向けて石を叩きつけた。 グチャグチャバリッピチッ という音を聴かぬよう目をギュッと閉じ耳を塞ぐ♀。 すきま風が吹き込み、カタッと何かが落ちたような音の先にあるのは骨。 廃屋の隅に積まれた小さなたくさんの骨。それが今のすべてを物語っていた。 もはや未来を繋ぐベビ達は非常食でしかない。 翌朝♂は下山し牧場を目指した。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/810
811: 21XX年のタブンネ [sage] いずれはこの山は牧場の所有地になることが決まっている。 ある程度開発された道により道中は楽だったが、かつて自分達が暮らしていた風景が無くなる様は、 野生タブンネには寂しさとなって現実を知らしめた。 牧場の放牧場。 一歳間近となったニク達がそれぞれのびのびと日光浴を楽しんでいる様子が見える。 ここまで近づけるのは普通はあり得ない。 黒ずんだワイヤーやトラバサミに付着したピンクの毛を含んだ肉片が♂に罠を示すよう揺れていた。 さらに今日は保険施設による免許更新日で主要なスタッフは出払い、わずかな作業員のみであったのが幸運だったかもしれない。 そんなことお構いなしに♂は身を隠すことも忘れ、見た目美しい同族に駆け寄り叫んだ。 「助けてくれミィ!ミィの奥さんが!!」 「あなたは誰ですか?知らない人とは話したり近づきたくないのでいなくなってください」 「なにしてるの?あ、「触角付き」だ!ダメだよいこう!」 返答は意外なものだった。 これもニクの教育で、自分達ニクと人間とそのポケモン以外には絶対関わらない。 残存する野生タブンネによる様々な過去の本能を刺激する要因を防ぐため。 「どうして仲良くしてくれないミィ?タブンネは優しいポケモンミィ!」 先日まで身内で争っておきながらこのような考えに至るのがタブンネである証拠だろう。 ♂は柵を叩き必死に 同族 へ呼び掛けた。 「なんでいっぢゃうミィ!だずげミァ!それになんでミィミィいわないのミィ!?ミィはベビと奥ざん」 あちらでは数匹がなにかを笑顔で食し、別な場所では綺麗な水で水浴びする数匹の姿も輝いて見える 「ミィはっ!ミィはっ!ミブィフィーン!ミィも綺麗なところで、食べ物ををををを!」 情けないがこれが本音だろう。 「みんな触角はどうしたミィ!?タブンネは可愛い触角で意思をミゲフン」 突然の衝撃に倒れる♂。振り替えるとそこにいたのは 「またか」 棒を持った人間だ。 規定により古種は処分し、遺体は保険施設処理。それが今のタブンネへの対応。 人間は無言で♂の耳を掴み引きずり出した。 「痛いミィ!お耳とれちゃうミィ!」 激しい痛みにもがく♂だがやはり力で人間には叶わない。 「ミギュン」 ♂が投げつけられたのは牧場の裏手にある用具洗い場。 金属音を鳴らしながら取り出されたのは大きな鉈に♂は失禁した。 さらに鉄板の上に蹴り込まれ、背中を踏みつけられ自由を奪われると死を意識したのか暴れるがやはりかなうわけもない。 踏まれた際に吐き出してしまったが、肺に残されたわずかな空気を絞り出すように 「ごめんなさミィごめんなさ」 と叫ぶがダンッ!という音でかきけされた 人間は何事もなかったように♂の頭を掴み、保険施設の名前と「特殊廃棄物」と書かれた厚手の大きな袋に死骸を詰め込んでいく。 トタン張りの物置に同じような袋三体ほどの上に投げ込まれた。 その後人間は鉈や靴に付着した血を洗い流すと放牧されているニク達に向かい大声で叫んだ。 「交代!」 その声にニク達は次々と畜舎へ戻っていく姿はいずれも不満な表情すら浮かべず、にこやかに戻っていった。 同じ頃、廃屋に残された♀も我が子の骨を抱きながら息を引き取った。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/811
812: 21XX年のタブンネ [sage] このつがいは一例に過ぎず今も野生のタブンネ達はその誇りを胸に今日もどこかで滅びの宿命に抗っているのだろう。 学者の調べでは現在の古種対策が続けば絶滅は確実だという。 ……………… 最後に肉として命を終える以外の種ニク、母ニク、産卵ニクはどうなるかを解説して終わりにしたい。 彼らは三年目を迎えると薬により最期を迎える。 品質を保つためには三年しか有効に働けないのはやはり人間の手が入ったからであろう。 ただし種ニクのみは一歳で必要分の精子が確保された時点で精肉となる。 遺体はミキサーにより液状化された様々な分野で活躍する万能燃料となる。 改良されていない野生のタブンネでは燃料にはならず、先ほどの♂のような野生の遺体は高熱焼却され灰すら残らない。 焼却炉のバーナーの燃料ももちろんニク油。 これらが21XX年のタブンネの現状。 長い時を経てようやく願ってやまなかった人との共存の道を得たのだ。 タブンネであることを捨て去っても、彼らにとっては他者から必要とされることが一番の幸福なのであろうから 終わり http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/812
813: 名無しさん [] 21XX年のタブンネの作者さん、ありがとうございました。 技術が発達して経験値や努力値稼ぎが容易になったら サンドバッグとしてのタブンネの役割が終わるのかもしれませんね 奴らの絶望フェイスが見れないのが寂しいですが・・・ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/813
814: 名無しさん [sage] タブンネがタダの肉扱いされてるのが面白かったです。 似たようなSF(牛が食肉用に人間を飼育し人間も食べられるのを誇りに思っている)を読んだことがありますが、あちらは後味が悪かったのにタブンネになると快感ですね。 どんな教育なのか母肉や肉の教育場面も見てみたいので、番外編でもお願い出来ないでしょうか? http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/814
815: 名無しさん [] ショーケースとニクの方、新作ありがとうございます! ショーケースは王道のチビ虐でワクワクしますね。ニクはまた違った視点での虐待で事務的なのが楽しいです。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/815
816: 名無しさん [] 肉屋の日常の実験チビンネ二匹の視点からのお話があったと思うんですがタイトル知ってる方がいらしたら教えていただけませんか? http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/816
817: 名無しさん [] どこかの話のタブンネside これですかね? http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/817
818: 名無しさん [] >>816 あれは臆病な方のBちゃんの語り口だったっけな 糞豚じゃない善良固体な分よけい壮絶になっちゃうw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/818
819: 名無しさん [sage] 肉の日にニク達のお話ありがとうございました! どの話でも栄養状態が悪く自然に朽ちていく無力のベビちゃんは可愛いです あと子ニク肉という響きが面白くてつい口ずさんでしまうw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/819
820: 名無しさん [] 816ですが、どこかの話のタブンネSIDEでした ありがとうございます! http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/820
821: 名無しさん [] >>816 どういたしまして。 あの話は乳母ンネの子供時代からベビンネsideまで 何度も見たくなる良作だと思ってます。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/821
822: ショーケースの裏側で [] 黄色いリボンのタブンネたちは約30匹 車輪つきの特大衣装ケースにすし詰めにされて女社長に第一飼育室へと連れて行かれた 第一飼育室は窓とエアコンがついた広いリビングを改造した飼育場で黄色いリボンの子タブンネがここに置かれるのだ 先住の子タブンネは三段、所によっては四段も積み重ねられた狭い檻のようなケージに一匹から数匹ずつ入れられている 『ミミーッ! ヂーッ!ヂーッ! ミッヒミッヒ! ミーッ!ミーッ!』 女社長が部屋に入ってくると部屋中の子タブンネたちが一斉に鳴き出した 歓喜、渇望、不満、悲哀、様々なな感情が籠った声が混じりあって部屋中に響く そのあまりの騒音に衣装ケースの新入り子タブンネの達は思わずたじろいだ ここのタブンネには十分な食べ物と水、そして温かい空気が与えられてはいるが足りない物が二つある それは楽しみ、そして母の愛。この子供にとって必要不可欠な二つにここの子タブンネたちは非常に飢えている 「はいはーい、みんな、新しいお友だちだよ~」 部屋の隅にある折り畳み式のケージをいくつも組み立て、そこに子タブンネをホイホイと首を掴んで放り込んでいく社長 基本的に1檻に1匹、兄弟の子タブンネがいたら一緒のケージに入れるのだ ケージの大きさは70㎝四方、身長40~50㎝の子タブンネにとってはだいぶ狭いが、食うか寝るか糞するかしかする事は無いので問題はない ケージに入れられた子タブンネは個体毎に違った反応を見せた 抗議するようにビービー鳴いて鉄格子をカタカタと揺らす子、 困惑した様子で狭い中をうろうろ歩き回る子、 周りの子タブンネの鳴き声に怯えきってしまい隅で丸くなって震えている子など色々だ 社長は全ての新入り子タブンネをケージに入れ終えると、先住の子タブンネたちを一匹一匹丁寧に観察していく その時、社長が檻に顔を近づけると子タブンネは「ミッミッ!ミッミッ!」と喜びながらケージの前面に寄ってくる 社長が子タブンネに対してしてる事と言えば 「今日も元気だね」や 「 ご飯全部食べて偉いね~」 など他愛もない言葉をかけるだけだ 「ミィィ…」 この光景をケージの中から「信じられない」という目で見ている新入りタブンネがいた 先ほど社長にまだ幼い妹ンネを殺された兄子タブンネだ なぜあの子タブンネたちはベビンネを平気で殺すような奴に笑顔を見せて喜んでいるんだ… 兄ンネは不気味でならなかった しかしその答えは単純、この社長がここの子タブンネたちにとっての母親だからだ 確かに子タブンネに毎日餌をあげているのは社長であるが、ただそれだけではない 社長がここの子タブンネ達の母親足り得てるのは、一種の「魔性」のような物があるからだ 独特の高くて柔らかい声はママンネの声にどことなく似ていて子タブンネ達に安らぎを与え 童顔で目が大きく、優しげな円みを帯びた顔も子タブンネ受けがいい あの、妹ンネを抱っこした時のような穏やかで優しく見える振る舞いもまた魅力的だ 事実、兄ンネもこの魔性に一度騙されかけているのだ ただ、社長が第一飼育室に来るのは日に1、2回、数十分の間だけ。子タブンネたちはあまり一緒に居ることができないのだ まだ甘えたい盛りの子タブンネにとって一日の大半を子供だけで過ごすのがどんなに心細い事か 母性というものに飢えきっている子タブンネたちにとっては社長と顔を合わせるたった数秒が砂漠に下りる朝露のような尊い物になるのだ 例えそれが、打算から来る上っ面だけのヘドが出るような母性であってもだ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/822
823: ショーケースの裏側で [] 「それじゃあご飯を全部食べた子には、オヤツをあげるよ~」 『ミィィィィィヤッ!!ミィィィー!ミッ!!ミッ!!ミッミ!!』 社長が一緒に持ってきていたスーパーの袋からオボンの実を取り出すと、飼育室は歓声に包まれた それはクリーム色のはずの皮が全体的に茶色くなっているかなり傷んだオボンの実だったが そんな事は子タブンネ達には関係ない、みんな鉄格子の隙間から小さな白い手を伸ばして欲しい欲しいと催促している 「慌てちゃダメだよ、みんなの分はちゃんとあるからねー」 社長はそのオボンをナイフで薄く削ぎ落とすと、飛び出ている子タブンネにの手にそっと手渡した 一円玉程度の大きさのペラペラの切れ端だ、これでは舌に乗せて一なめしただけでで無くなってしまうだろう しかし子タブンネは受け取った瞬間すぐに口に入れ、ペチャペチャと舌を鳴らしながらいつまでも咀嚼している 美味しくて仕方がないと言った感じだ ここの子タブンネたちにとって楽しみはこの吹けば飛ぶような切れ端しかないと言っても過言ではない それ故、味がなくなるまで、いや、味が無くなってもなお実の繊維の一本に至るまで味わい尽くす 「無くならないで」「いつまでも口の中に居て」そんな事を願いながら子タブンネたちは数滴もないであろう果汁を唾液で口一杯に満たすのだ 「ミ゙ーッ !ミ゙ーッ !ミ゙ーッ!!」 「はいはい、今あげるからねー」 サクサクとナイフでオボンを削りながらテンポ良く次々と配っていく社長 子タブンネたちは隣の檻の子タブンネがオボンを受け取るとより強く鳴いて自分にもくれと必死でアピールする そして受け取ると一転して静かになり小さなピチャピチャという音だけがケージの中から聞こえてくる だが、ある子タブンネのケージの前でオボンを切る手が止まった そしてケージの上部に貼られている付箋紙をチェックする社長 そこには「10月29日 腕 毛抜け」と書かれている たしかにそのケージから出ている手は、腕の部分にハゲができてて地肌が丸見えだ 「うーん、1週間経っても何も変わらないなぁ… もう改善は望めない、かな?」 社長はオボンを床に置いてからケージの扉を開け、片手にナイフを持ったまま毛抜け子タブンネを抱き寄せた 腕の中で「ミィ~♪」と甘えるように鳴いて、母タブンネの毛皮を掴むのと同じように社長の服をきゅっと掴む抜けンネ そしてたまたま顔の近くに来ていたナイフからオボンの匂いがするのに気づくと、その峰をペロペロと嘗めだした ナイフが危険な物だと分かっていないのだ そんな事には気付かず社長は片手でオボンが入っていたビニール袋を床に敷くと、そこに抜けンネをそっと寝かせ首の所をやんわりと押さえつけた 抜けンネは社長が遊んでくれてるんだと思い込んでいて、 「ミッミッ♪」と笑いながら小さな手をパタパタ振り回して喜んでいる 端から見ればナイフを持った人間に首根っこを押さえつけられてる絶体絶命な状況だが抜けンネにはそれが分からない 抜けンネとってナイフは甘い味がするおやつで、押さえつけてる人間は大好きなママなのだから 「えっと、心臓はこの辺だったよね?」 社長は抜けンネの胸にナイフを突きつけ、そのまま力を込めてナイフで刺した 「ミグッ?!」と最後の一鳴きと同時に、胸から血が溢れだす 抜けンネは突然ママから与えられた激痛にもう訳がわからなくなったいた 「どうしてママはミィにいたいことするミィ? ミィはわるいことしてないミィ」 鳴いてそう伝えたかったのだが喉に血が上ってきて鳴くことも、いや呼吸することすら出来ない 抜けンネの澄んだ青い瞳から、痛みと悲しみの涙が胸の血にも負けぬほど溢れ出た 「心臓を外しちゃったかなー? でもこれだけ血が出てたらそのうち死ぬよね」 社長は抜けンネの血がついてない尻尾の部分でナイフの血を拭き 死にきれずにピクピク痙攣する抜けンネをまるでゴミのようにスーパーの袋に入れてしまった そして何事も無かったかのようにオボンの切れ端を子タブンネたちに配る作業に戻っていった この惨劇に子タブンネたちは怯えていたが、目の前のオボンの魅力には敵わずまた檻の隙間から白い手を出して催促するのだった 「あの子は悪い子だからお仕置きされた、でも自分はいい子だから大丈夫」そんな都合のいい解釈をして この部屋の子タブンネたちは本来ならば両親や仲間たちから色々なことを学ぶ時期だ それは他タブンネとの円滑な接し方や、食べ物のみつけかた、危険なポケモンからの逃れかたなど様々だ そんな大切な時期にただ餌を食べるという事だけを教えられたこの部屋のタブンネたちは、本当に幸せなタブ生を送るのだろうか… そんな事は子タブンネを売ってしまえばそれで終わりの社長は考えてもいないのである http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/823
824: 名無しさん [] ショーケースの続きありがとうございます! 子犬とかだと2、3カ月は親元で暮らさないと 社会性が欠如しやすくなるとか・・・ 飼育室に捕らえられた子達も、一部の賢い仔タブンネ以外は おかしな行動を取るようになるかもしれませんねw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/824
825: 名無しさん [sage] 見切りをつけた子タブに淡々ととどめを刺す社長が最高!結婚してくれ!w http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/825
826: ショーケースの裏側で [] 『ミイッ!チィチィ!キィィ!ミィッミィッ!!』 「いつもくせぇなーここは」 一方、赤いリボンの子タブンネたち約20匹も特大衣装ケースに入れられ男2人によって第二飼育室に連れていかれた 第二飼育室は物置として使われていた部屋で環境は劣悪だ。 常に糞尿と腐ったフーズと死体の悪臭が籠りエアコンもストーブもなく窓が1つあるだけ 子タブンネを入れるケージも専用の質のいい物ではなく、使い古しの衣装ケースや果物の木箱 力の弱いベビンネのケージには段ボール箱さえ使われている そんな環境で離乳して間もないベビンネやペットに向かない攻撃的な子タブンネが数十匹も飼われているのだ もちろんそんな事をしていれば毎日死ぬタブンネが出るのは当たり前 男2人の仕事は死んだタブンネを片付ける事から始まる まず手を付けたのは悪臭に満ちた部屋の中でも飛びきりキツい悪臭を放つ衣装ケースからだ 「あー、兄貴、このでけえの死んじゃってますぜ」 「うーむ、いくらなんでも5日間エサ抜きはムチャだったみてぇだな」 「こいつぁ確かオボン畑の近くで捕まえたヤツだもんで、口が肥えててオボンしか食わなかったからなぁ…」 弟分に耳を捕まれて持ち上げられた死体、黒い汁にまみれたそれはタブンネとは思えないくらいに痩せ細っていた ふっくらしているはずの腕は骨と皮だけになって棒のよう 毛皮越しでもあばらが浮き出てるのがはっきり見て取れる胸に 支える腹筋が痩せ衰えて内臓がぽっこりと出たお腹はまるで餓鬼の様だ そして絶望し切っている子タブンネとは思えないほど歪んだ死に顔… それは新入りの子タブンネたちに一目見ただけでここは地獄だと分からせるのに十分なインパクトだった 「フィィ… ミッミィ…」 「ほらほら、お前らもこうなりたくなかったらフーズを食べられるようになるんだぞ」 初めて見る死体に怯え震える新入り子タブンネたち しかし死んでいたタブンネは一匹だけではなかった 男2人は死体を脇に積みながら死に場所となった衣装ケースを雑巾で次々と掃除していく この日死んでいたのは12匹。死因はいずれも餓死 みんな同じ場所、つまりオボン畑の側で捕まえた子タブンネだった 「兄貴、やっぱり畑の近くで捕まえるのはやめた方がいいんじゃないかい?」 「農家のおっさんには有り難がられるがな、害獣駆除してくれたってよ タブンネみてーに見た目が可愛いと農家の連中も中々手が出せねぇんだよ、色々言われるからな」 乾拭きで申し訳程度に綺麗にした衣装ケース、臭いはするがこれで新たな子タブンネが入れられる 最初に入れられるべく選ばれたのは子タブンネのなかでも一際幼い、まだベビンネと言っても良いくらいの小さなタブンネだった http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/826
827: ショーケースの裏側で [] 「ヂヂーッ! ヂヂーッ!! ヂャアーーッ」 「おいおい、暴れんなって」 弟分に首根っこを捕まれたベビンネは恐怖して激しく暴れた 喉が枯れるほど叫び、手足を振り回し、体をよじらせ、おしっこを撒き散らし… 小さな身体で出来る抵抗は全てやっだろう しかしその抵抗も大人の握力にはまるで意味を成さない ベビンネを移そうと弟分が子タブンネたちを運んできた衣装ケースに背を向けたその時 「ウミィーーーーーーーーーー!!」 幼い雄叫びと共に一匹の子タブンネが他の子タブンネを踏み台にして飛び出してきた そして弟分のズボンの飛び付くと噛みつきながら激しく揺さぶった 「うぉっ、なっ、なんだ?」 突然の攻撃に弟分は思わずベビンネを床に落としてしまった ベビンネは急に落とされたショックと痛みでチーチーと泣きわめく 弟分に飛び付いた子タブンネはズボンから手を離すとベビンネの側に駆け寄り、両手を広げ男2人の前に立ち塞がった 「うへぇ、ちびの癖になかなか根性のあるじゃねぇか」 この勇気ある子タブンネ、実は男2人が襲った群れのリーダータブンネの息子だ 偉大な父から群れを守る責任と勇気を以て闘うことを教えられ この子タブンネもそれに堪えられるように強くあるように努力してきた その実力も群れの子タブンネの中では一番強く巣に侵入したバチュルを電撃を浴びながらも追い払った事もある程だ それで群れの子タブンネたちからの尊敬を受けているガキ大将、 いや、小さな勇者とも言うべき立派な子タブンネだ 『ウミィーッ!ミーッ!ミーッ!ミィッ!ミィッ! ミバーッ!』 「兄貴ぃ、なんか他のタブンネも怒り出したんだけど」 「触ったら噛みつかれそうだなこりゃ」 勇者ンネの蛮勇に触発されてか、衣装ケースの中の新入り子タブンネ達も怒りを爆発させ、声を荒げて叫び暴れだした ある者は小さな腕を振り上げ、ある者はケースから飛び出そうと短い足で必死に跳ね、 またある者は近くにいるベビンネを抱きしめ男2人を怒りの表情(でも子タブンネだからカワイイだけ)で睨み付けている このケースの子タブンネたちは攻撃的ゆえに赤リボンを巻かれた個体が多い それは彼等が勇者ンネと切磋琢磨していた仲間、もしくはライバルたちで 大人タブンネがいなくなった以上へ戦うしかないと覚悟を決めていたのだ 「兄貴、どうしよう、落ち着くまで待とうか?」 「うーん、そうだな、所詮タブンネのガキなんだしすぐに疲れるだろ」 男たち2人が困ってると、部屋の外から「フィー、フュルルル♪」と可愛らしいポケモンの鳴き声が聞こえてきた http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/827
828: 名無しさん [] 可愛らしいポケモンは・・・エーフィかな? 世話のやり方次第でペットチビンネの出荷数が変わる、 やりがいの有りそうな仕事ですね。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/828
829: 名無しさん [sage] 逆らっても寿命が短くなるだけなのにねえ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/829
830: 名無しさん [sage] 勇者ンネと触発されたチビ達のケース内に爆竹投げ込んでやりたくなりました http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/830
831: ショーケースの裏側で [] 「あっ、シルフィちゃんですぜ」 「なに?、何でこんな時に」 部屋の入り口にいつの間にか居たのは綺麗な青い目をした四足歩行のピンク色のポケモン 「シルフィ」と名付けられている社長のペットのニンフィアだ 社長はこのシルフィを娘の様に溺愛していて、男2人は気軽に触ることもできない。たが 「そうだ、シルフィにこの場を納めて貰おうぜ ニンフィアてのは触覚で周りのポケモンを落ち着かせる事が出来るらしいからな」 「大丈夫ですかい兄貴、怪我でもさせたら大目玉ですぜ」 「なーに相手はタブンネのガキだ、大丈夫だろ… シルフィちゃーん、おやつあげるからこっちおいで~」 兄貴の猫なで声はやや不気味だがシルフィは「フィ~♪」と機嫌の良いに返事をして臭い部屋の中へ入ってきた シルフィを前にした勇者ンネは突然現れた大人タブンネの背丈ほどある相手に思わず冷や汗を垂らした しかし、背のベビンネを守るべく、全身に力を込めた臨戦態勢でその場に踏み止まる 「シルフィちゃん、この子たちが興奮して暴れちゃって困っているんだ シルフィちゃんの力で大人しくさせてくれないかな?」 「フィ~♪」 シルフィは二つ返事で承諾すると、リボンのような触角をゆらゆらと揺らし、波動を出し始めた するとどうだろう、衣装ケース内の子タブンネたちがぴたりと騒ぐのをやめた そしてみんな何が起きたか分からないという感じでキョロキョロと周りを見渡している 心の中に炎のように燃えていた闘争心が突然萎えていってしまい、皆困惑しているのだ そしてそれは勇者ンネも同じだった 心にぴりりと張り詰めていた緊張の糸が切れ、力んでいた全身からはふわりと力が抜けた 「ミィ… ミィ…?」 「フィ~フィ~」 不意な心の変化に戸惑う勇者ンネ、その眼前にシルフィが歩み寄る そして勇者ンネに顔を近づけクンクンと匂いを嗅ぐと、後ろのベビンネに興味を移した 「チィチィ♪」「ミィ?」 泣いていた筈のベビンネはいつの間にか泣き止んでいた。これも波動の効果である シルフィはベビンネの顔に鼻が当たりそうになるくらい頭を近づけると、またクンクンと匂いを嗅ぎだした あまりいい匂いはしないはずなのだが、どこか嬉しそうな顔で興味津々に ベビンネもまた「チィチィ♪」と嬉しそうに笑いながらシルフィの顔をペタペタ触っている 「こいつら仲良くなってますぜ」 「色が似てるからお互い仲間だと思ってるんじゃねぇかな」 勇者ンネもベビンネと触れ合うシルフィを見て男2人と同じことを思っていた このポケモンは僕たちタブンネのお友達なんだ、と シルフィがベビンネのお腹に噛みつくまでは 「ヂビーーッ!!!」 前足で頭を押さえつけながら腹を食い破ると、腸が裂け目からプリッと飛び出した そこに鼻先を突っ込み、ハラワタの中から美味しそうな1つを最初に腹から食い千切る シルフィが見つけたのは栄養たっぷりの肝臓だ 「兄貴ぃ!シルフィがタブンネ食べちゃってますぜ!」 「えっ、こいつ肉食なの?!」 男たちがそれに気づいた時にはもう手遅れ。ベビンネがもう助からないのは誰の目にも明らかだ 「ミ,ミィィ… 」 勇者ンネはまさに目の前で起こっている惨劇に、ただ震えて立っている事しか出来なかった もし、勇者ンネがまともな精神状態だったとしたら今頃シルフィに全力のタックルを仕掛けていることだろう 勇者ンネは強い相手に立ち向かう時、いつも恐怖を父から受け継いだ闘志で打ち消して戦ってきた だが、ニンフィアの波動で闘志 を消された今の状態では捕食者への恐怖に心が覆い尽くされ、一歩前に出ることすらできなくなってしまったのだ 「ミギギ…」 たがそこは子タブンネの勇者と言うべきか、涙が溢れる目で毅然とシルフィを睨み付ける勇者ンネ 亡き父の教えと勇姿、そして誇りを心に思い浮かべながら一歩も下がらずに踏み止まった 耳の中に粘りつくようなおぞましい音もまた恐怖を煽った プチップチッという腸が鋭い歯で千切れる音、コリコリという耳が口の中で噛み砕かれる音 バチン!と目玉が弾けて中の液体が飛び散る音、クチャクチャという咀嚼音など様々 中でも一番勇者ンネを苦しめたのは、死にきれないベビンネが時折漏らす苦痛のうめき声だ 勇者ンネが流す涙は恐怖のためだけではない 目の前でズタズタになっていく守るべきベビンネへの申し訳なさと、何も出来ない自分への悔し涙だ 「ドリュウズ出して止めさせようか?」 「バカ!怪我させちゃマズイって分かってんだろ!」 男2人もまた対処に困って何も出来ないでいる。さすがに泣いてはいないが http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/831
832: 名無しさん [sage] お腹壊さないのかなw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/832
833: 名無しさん [] イーブイ時代に覚えられる「かみつく」がまだ残ってた様ですねw タブ虐王道のブイズ進化形態、特殊能力で闘志を奪えるって素敵! 生意気な子の心をへし折ってほしい。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/833
834: ショーケースの裏側で [] 『ミィッ!ミィィッ!!ミーッ!ミーッ!ウミーッ!!』 ケースの中の子タブンネたちがまた騒ぎだした、たださっきとは様子が違う 全てのタブンネが同じ方向、勇者ンネに向かって叫んでいる ある者は小さな拳を天に突き上げ、ある者はケースの壁をバンバン叩きながら その叫びは、勇者ンネへの応援であった 「負けるな!」「やっつけろ!」「がんばれ!」「ベビの敵を討て!」 かつて仲間だった子タブンネも、ライバルだった子タブンネも皆声を張り上げ勇者ンネを激励した 彼等もまた闘志が消えかけていく自分の心と戦っているのである 人にはミィミィとしか聞こえない、しかし、勇者ンネにはその声に込めた熱い思いが確かに伝わって来た 仲間たちの声が光明となり、恐怖という闇に覆われた勇者ンネの心を勇気の光で照らした みんなの勇気、そして自分の心のから涌き出る勇気、その全てを奮い立たせ、小さな足で大敵に向かって一歩を踏み出した 「ンーーーッ!!ウミーーーッ!!」 幼い雄叫びと共に繰り出された攻撃は、身体全てを使った捨て身の体当たり それは群れの長、父タブンネの得意技であり、勇者ンネが最後に見た父の勇姿でもあった 父タブンネは言った、勝てない相手でも痛い目だけは見せろと そいつがタブンネを容易ではない相手だと分かれば、仲間のタブンネが襲われなくなる 俺たちの戦いは勝って奪うための戦いではなく、たとえ負けても仲間を守るための戦いなのだと そして勇者ンネも今、父亡き後の群れの長として、残った仲間達を守るために大敵との戦いを始めたのだ 問題はシルフィに痛い目見せるには勇者ンネの攻撃力が足りなさすぎた事なのだが 「ポフッ」 …これは勇者ンネの捨て身タックルがシルフィの後ろ足に直撃した音だ 筋力、体重、スピード、足の踏ん張り、身体の硬さ 悲しきかな勇者ンネの捨て身タックルはそれらの全てが足りてなかった 直撃を受けたはずのシルフィはびくともせず、勇者ンネは反動でコテンと尻餅をついてしまった 「フィー?」 「何かフワフワして気持ちいいものが足に当たったな」 シルフィはそんな事を思いながら捕食を中断し、何の気無しにひっくり返っている勇者ンネの顔を見下ろすように覗き込んだ 「ミ,ミィィ…」 血に塗れたシルフィの顔を見た瞬間、勇者ンネは戦慄した こいつは可愛いタブンネのお友達などでは断じてない 悪魔だ、赤ん坊を食い殺し、その血を浴びて笑う悪魔だ 人間から見ればチャームポイントである大きくて円らな青い瞳、そして口からチラリと覗く白い牙 それらも恐怖した勇者ンネにとってはおぞましく悪魔的に見えた 「うわわっ、血だらけだぁ、ひでぇ事になってますぜこりゃ」 「やべぇよ… 昨日社長がサロンに連れてったばっかなのに… 」 男たちもまた別の部分で戦慄していた 「フィ~?」 興味深そうな顔をして怯える勇者ンネの顔に鼻先を近づけるシルフィ、その距離わずか数センチ その吐息が勇者ンネの鼻に触れた 血の臭いと破れたハラワタの臭いが混じりあった胸が悪くなるような生臭い、死の臭いがする吐息だ 「ミビャァァァァァァァァ!!!」 それが鼻に入った瞬間、勇者ンネは悲鳴をあげてベビの様にハイハイして逃げ出した 恐怖のあまり腰が抜けてしまい立ち上がれないのだ ニンフィアの闘志を消し去る波動など最早関係ない あまりにも本能的で、そして圧倒的な目の前の捕食者への恐怖が勇者ンネの心を完全に支配した 群れを守る覚悟や偉大な父の教えなど、もはや完全に吹き飛んでしまっていた そして恐怖に駆られたその行動、相手の目の前で背中を見せて逃げるという行為 それは捕食者を相手にしたときの最悪の行動の一つだ 「フィィー!」 「逃げるものを追う」というのは捕食者の誰もが持ち合わせている習性だ その習性のスイッチが入ったシルフィはピョンとひと飛びで勇者ンネに追い付き、前足でキュッと押さえ込んでしまった 「ビギュリグミバァ!」 押さえつけられた勇者ンネはタブンネの声とは思えない滅茶苦茶な声を出しながら悶絶した 手足を闇雲に振り回し、身体をくねらせて床にバンバンと打ち付ける 余りの恐怖で正気が保てなくなってしまったのだ その姿は陸に上がったコイキングとかそういうレベルではない見苦しさだった http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/834
835: 名無しさん [] この見苦しい子がどうなるか楽しみです。 生き恥とトラウマ抱えながら生きて欲しい(^ ^) http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/835
836: 名無しさん [sage] やっぱタブンネが大人チビ問わず体をはって仲間を守ろうとする姿は感動しますね 逃げるのにも一生懸命な姿につい応援したくなります。 シルフィちゃんを http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/836
837: タブンネ虐アフター [sage] だらだらとしてすみません 再開させていただきます、ショーケースさん再び割り込み失礼します http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/837
838: タブンネ虐アフター [sage] 家族の章・中編「脱出」 「ミッスンミスン…」 どんどん冷たくなっていく息子を抱き締め涙を流すママ。 頭を撫でるとたくさんの砂とそれに混じって固まりだしていた血がザラザラと地に落ちていく。 一体どんな目に合わされたのだろう?考えれば考える程それに比例するかのように溢れだす涙。 自分達のように人間に虐待されたのだろうか?あの地獄のような拷問の記憶が甦り震えとなって現れる。 「この子はこんな小さな体で意地悪を受けて、それでも頑張ってここまで帰ってきたんだミィ…ミッ…ミグッミアアアアアッ!」 昼過ぎの林地にママの叫び声が響いた。 その頃巣ではママが出掛けたと思ったか娘が四つん這いで必死に体を這わせながらパパの元へ辿り着いたところだった。 這いずる度に地に血の痕が残る。連日の繁殖行為や産卵にまだ成熟しきっていない体が耐えられるわけがない。 この態勢で動いた事からか、膣内の傷ついて裂け目が走っていた部位から出血を起こしたようだ。 その悪臭を放つ血液は化膿までしているようであった。 それでも娘を動かすのは「家族のため、ベビのため」という意思力。 シングルマザーンネが劣悪な状況でもしぶとく生き残るのは、この意思の強さなのかもしれない。 寝室で待ち受けていたのはもはや性欲の怪物と化した かつてパパと呼んだオスンネ。 怪物は転がるように娘に近づくと直ぐ様行為を始めた。 「ギゲッ!?グッ…!?」 やはり傷のせいか痛みに声をだす娘だが、それもお構い無しといった具合に 「ボオオン!バッフォウウ!シャアアアア!ミォッーオッ!オンッー!」 とパパはひたすら行為のみに思考を使っていた。 そのせいか部屋に入ってきた存在に気づかなかったようだ。 「なにじでぅミギィィッッ!!!」 怒声に気づいた時既にパパは突き飛ばされ、絶頂したのか白液を撒き散らしながら壁に激突した。 娘の窮地を救ったのはママだった。 息子の亡骸を抱きかかえ肩で息をしながらパパを睨むその目は怒りと悲しみ入り交じる目。 息子の死をどう伝えようか苦しみ抜いてようやく決意し、訪れたのにこの有り様。 「オッオゥオゥオウ」 ダラダラの手足をバタバタさせながらもがく姿にママは音がするほど歯軋りしつつ、娘に駆け寄った。 「チビお姉ちゃんしっかりしてミィ!あなたまでどうしてこんなことになったのミィ!?ミオオッ!!パパはお兄ちゃんにあやまれミギャアア!?」 ママは息子の遺体をパパに無理矢理だかせると、四つん這いのまま痙攣する娘を抱き上げた。 「怖かったミィね!もうだいじょミィからね!」 「………ヒ…………」 娘は小さく息を吐くとその虚ろな目から涙をあふれさせた。 「息子とベビにあやまれええミィ!!」 涙と鼻水と唾液をまきちらしながらママは娘を抱き締め寝室を後にした。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/838
839: タブンネ虐アフター [sage] 娘を子供部屋に寝かせしばらくたち、現在ママは必死に娘の看病をしているところだ。 「おまたから血が止まらないミィ…」 ぼろ布で拭いても拭いても血は止まらず、すでに布三枚は真っ赤に染まっていた。 草のベッドも緑の葉についた血がどす黒く見えるのは錯覚だとママは信じたかった。 血に汚れた草をよかした時にそれを見つけてしまう。 「……卵…ミィ?」 ベッドの下に掘られた空間に安置されていたのはまぎれもない卵 。 「もしかしてチビお姉ちゃんはパパの相手をさせられていたのかミィ!?なんて…なんでごどオ゛オ゛オオ!?!」 抱かれた際に触角から伝わる母の怒りと悲しみの感情に、娘は心が締め付けられたような感覚にかられた。 『ちがうミィ、ミィはベビを返したくてパパに手伝ってもらってるミィ、パパは悪くないミィ!』 そう言いたく必死に声を出そうともかすれた息にしかならない。 そもそもベビを死なせてしまった罪悪感からきたものだが、 たとえ「新しいベビ」が生まれてもその「新しいベビ」は「死んだベビ」ではない。 その事実を娘が理解することはできなかったのだ。 そしてその想いが母親に伝わることもない。親とはいえ、触角に頼りすぎた分失えばこの有り様だ。 ママにとっては、パパが娘をレイプしてこうなったとしか見えない。 普段から触角に頼るのがあたりまえなタブンネが触角を失うことの意味は深く重い。 もし残されていたとすれば少なくとも息子を死なせずにすんだかもしれないのだが。 数分後。 落ち着いたのか静かに寝息をたてる娘の傍らでママは卵を一つ抱え、じっ…とそれを見据えていた。 以前パパがケンホロウつまりはマメパトの卵を狩って(実は蹴りおとされた無精卵を拾っただけ)きてそれを食べたことがある。 つまりは卵は食料という認識があり、今のママは自身が産んだ卵ではないぶん意識は無いが心にひっかかるものはある。 しかし今の食糧難、狂ったパパ、弱った娘、そしてアバラが浮き出した自身はある決意をさせた。 ママは卵を一つ抱えたままキッチンスペースに向かい、木の実を砕くための石を手に取る。 「ミハーッ、ミハーッ、ミッ…ハアアァッ!!」 荒い息継ぎをしながら何度も石を振り上げて卵に叩きつけようにも寸前で力が抜けてしまう。 やはり同族、さらに娘の産んだ卵という認識に躊躇してしまうのは当然か。 だが母親が娘を守るためには決断するしかない。 「ミフュゥ…ミフュウ…ウッ!ウグッ!?………ミンッッ!」石を叩きつけられた卵は中身を吐き出すように砕け散った。 「ミアハァァーン!ミィィアアアッ!ミィアハハーン!!ミッ、アッ、アッ、アァァ……ミヒィィンヌゥ!ヌギッ!ヌウウンンー」 ママは尻餅をつきながら号泣したのはやはり仲間、身内を殺した現実が強烈な罪悪感。 泣きわめきながらカップ(盗品)で黄身を掬おう手が震え、何度も何度もこぼれ落ちては崩れて広がっていく。 ようやく掬いあげ、それをこぼさぬよう両手で抱えながら娘の元へ向かった。 何度も深呼吸し落ち着いてから意を決し、娘に歩み寄る。 「チビお姉ちゃんこれ飲んでミィ」 もし今娘が健常であったならママの顔を見て叫んでいただろう、そのくらいママの顔は酷い有り様だった。 口移しで少しずつ娘に卵黄を飲ませていく。弱々しいが喉をならす様子にママは少しだけ気分が和らいだ気がした。 「………ぉぃ……ち……ぃ…」 娘が小さな声でそう言ったのが聞こえると、ママは口に含んだままの卵黄を胃液ごと吐き出してしまった。 いくらタブンネには食糧難がつきものでも共食いに発展しない。するなら種が絶滅の危機に瀕した時くらいだろう。 娘が再び寝息をたて始めたことを確認するとママはキッチンへ向かった。 再びカップに一杯分すくうと、自身も地に広がった卵を舐めとりはじめた。 目をギュッと閉じ、ザラザラと砂ごと舐めとっていく。 涙を堪えながら何度も「ごめんなさいミィごめんなさいミィ」と心を繰り返しながら。 舐め終えたママが次に向かうはパパの寝室。 自身も禁忌を冒したからかパパに対する怒りも少しはうせたのかもしれない。 だが現実はそんな甘さを吹き飛ばした。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/839
840: タブンネ虐アフター [sage] 「バフン!バッフン!」 「………パパ……?」 パパは息子の死体に性行為を行っていたのだが、その陰茎を挿している場所は息子の眼球。 腰を動かす度に、ブリュブリュと目玉が出入りしている様子に先程の卵を吐き出しそうになる感覚を堪えながら叫んだ。 「もうやめてミィ!!元のパパに戻ってミィ!!」 抱き締めるように身を寄せるも激しいピストンに突き飛ばされてしまう。 擦りむいた肘を押さえながらママはその場から去った。 カラになったカップを眺めながらしばらくママは娘の枕元で涙を流していた。 この一週間で世界は大きく変わった。あの幸せな日々はあの人間により破壊された。 狩りが盗みと認識できない野生のタブンネが達する結論は怒りや悲しみ。 息子もそれらに殺されたのだ。そしてママは今と、「あの時」の自分の不甲斐なさにさらに涙を流した。 タブンネが自分達が太刀打ちできない強者にする最終手段は媚び。 ママはパパが壊されてる間、自分はただひたすら人間に尾を振り、笑いかけ、必死に媚びて許しを請うた。 自身もボロボロにされた怒りを堪え必死に人間に媚びるのはとてつもない屈辱だった。 その姿に理由はあれどもきっとパパも幻滅したのであろう。だからこそパパからの仕打ちは必然なのかもしれない。 ここまで陥り、さらに自己嫌悪にまみれてもママが潰れない理由はやはり傍らでまだ生きている娘の存在。 「この子だけでも助けてみせるミィ。……おうちなら助けてくれるミィよね…」 おうちとは幼少時に住んでいた森の奥にある巣のことだ。 勝手に生える木の実と綺麗な川、そして秘密の力による巣の隠蔽は完璧で外敵の侵入を許してなかったあの場所。 外界と隔絶された安住の地だが種の保全のためか自由は無い世界。 ママ姉妹もそこで生まれ育ち、成熟後どうしても外が知りたいと決められた♂を捨てて外へ出た。 そして姉妹はそれぞれのオスと出会い今の暮らしがはじまった。 ママは静かに娘を抱きかかえるとパパに何も言わず巣を後にした。 あそこなら娘も元気になれる、自身のパパママも受け入れてくれる。 「チビお姉ちゃんだけは必ず守るからミィ」 優しく抱き寄せそう呟いた。娘から伝わる心臓の鼓動がママに安堵を与える。 娘もいつぶりかに優しく母に抱かれたからか、身を母の胸に寄せた ママは後ろを振り返らず巣を後にした。息子が命を賭けて集めた菓子に気づかぬまま。 タブンネは決して家族を捨てない。しかしここに居ては娘は確実に死に、自身も危ないのは明白。 ママの決断は正しいのかもしれない。 森の中を身をかがめるよう走り抜けていくママ。集落はそんなに遠くはない、走りきればすぐだ。 ママは自分にそう言い聞かせ歩みを進めた。その先に待つ幸せのために。 「やっと動いたわ」 ママは木の上から自分達を追う鋭い視線に気づかずにいた。 脱出編 終わり 最終編に続く http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/840
841: 名無しさん [sage] 近いうちに終わらせます 言われて気づいたんですが、ニク話は肉の日だったんですね http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/841
842: ショーケースの裏側で [] 虐アフターさん、続きありがとうございます こちらも長々と続いてしまってすいませんです このパパンネはタブンネSS史上最低クラスの屑ンネですねぇ ともあれ結末はまた次に持ち越しですか この一家がどんな凄惨な末路を辿るか楽しみです http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/842
843: ショーケースの裏側で [] 勇者ンネを押さえつけた後で、シルフィはハッと気づいた 「自分は今お腹空いてない」と そして押さえつけていた前足をそっと離した 「ミ…ィ…」 「フィ?」 開放された勇者ンネは動きを止め、うつ伏せのままプルプル震えている 精神が限界でもはやハイハイで逃げることも出来ないのだ しかしそんな事シルフィには分からない 死んでしまったのかと思い前足でそっと触ったその瞬間 「ビルルルルルル!!ボギュアビッビ!」プゥッ 勇者ンネはもう一度あの発狂ダンスでのたうち回った。しかもオナラのおまけ付き いくら勇敢とはいえ勇者ンネも所詮は子タブンネ 幼く脆い精神であまりに過剰な恐怖を受けてしまい、少しの刺激でも自分が殺されると心が勘違いするようになってしまったのだ 人間で言うところのトラウマとかPTSDとかその類いだろう 「フィッフィ~w」 リアクション(オナラ付き)を面白がり、シルフィは動きが止まる度に勇者ンネを前足で叩いた まるで触れば動くオモチャのように 勇者ンネは繰り返される悶絶ダンスの中で色々なリアクションを見せた 小便を漏らす、頭を床に叩きつける、あぶくを吹く、白目を剥いて触覚を自分で引っ張る… 男二人は悩んだ末「シルフィが飽きるまで遊ばせとく」という選択肢を取った そのため勇者ンネの悶絶ダンスは死ぬまで続くかと思われた。しかし 「チィチィ… チィチィ…」 勇者ンネはうずくまって頭を抱え、震えながら「チィチィ」と繰り返すだけになった これはタブンネの赤ちゃん、ベビンネの鳴き方、それもママンネを呼ぶときの鳴き方である 勇者ンネは心が壊れて赤ちゃん返りを起こしてしまったのだ それはシルフィにとっては詰まらないリアクションだったようで やっと小突くのを止めてくれたのが勇者ンネにとっての唯一の救いだ 幼い勇者の戦いは無惨な結末に終わった 父の教えの通りタブンネの強さ、危険さを敵に分からせるどころではない 何の抵抗もできずベビンネを食べさせてしまった上に、自分自身もオモチャにされてしまった いつでも安全に美味しく食べられる上に楽しいオモチャも付いてくる… ボクたちは草むらのハッピーセットですと天敵に宣伝したような物ではないか これでは天敵がリピーターになって何度もタブンネの群れを襲いに来てしまうだろう まあ勇者ンネがいた群れなんてもう無いようなもんだからただの杞憂たが http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/843
844: ショーケースの裏側で [] 「ミッグ… ヒッグ…」「ンミィ…」 静けさを取り戻した第二飼育室には、子タブンネのすすり泣く声だけが聞こえてくる 衣装ケースの中にいる勇者ンネの仲間たちはもちろんの事、元々この部屋で飼われていた先住子タブンネも泣いていた あの強い(強そうな)勇者ンネでも何もできずにオモチャにされて、挙げ句の果てには赤ちゃん返り 勇者ンネへの失望、そして自分たちの弱さへの悔し涙がプラスチックの床にポトポトと溢れた 「ホラ、いつまでも泣いてんじゃねぇよ、これからいっぱい食べて強くなるんだぞ」 兄貴分が震える勇者ンネを優しく抱っこして空いてる飼育ケースに入れた この期に及んで親のカタキに励まされるとはもう恥も極まれりである 『ウミィィィィィ!!チィィィィィ!!』 「シルフィ!だめだよ、やめなさい!」 勇者ンネでは遊び足りなかったのだろう シルフィは衣装ケースの縁に乗り掛かり次のオモチャを選ぶべく中の子タブンネ達を覗き込んだ 泣き叫び、一斉に逃げてケースの反対側に押し寄せる子タブンネたち もはやシルフィと闘おうとなどと思う奴はいなかった 端から見れば衣装ケースを覗きこむ可愛いニンフィアだが ケース内の子タブンネ達から見れば壁から顔を出す超大型巨人の如くである 「チッ、チィィ、キチーッ!」 逃げ遅れたベビンネが前足で押さえられ、そして耳を咥えられて捕まってしまった 目の前でベビンネが襲われ、救いを求め泣き叫んでるのにも関わらず、助けようとする子タブンネは誰もいない 目の前の現実から目をつぶり、耳を塞ぎ、必死に逃れようとする タブンネの小さな戦士たちは、残虐な捕食者に威嚇の声一つ上げられない臆病者に堕してしまっていた 「チィーッ!チィーッ!チィーッ!ビャアアアアアア!!!」 泣き叫ぶべビンネを口に咥えたままシルフィはスタスタと飼育室を出ていった 美味しいオヤツをママ(社長)に持ってってあげようと思ったのか はたまた、楽しいオモチャでママと一緒に遊ぼうかと思ったのか それはシルフィにしか分からない 男たちに分かるのは、シルフィのお陰で仕事がやり易くなったという事だ 商品候補が1個ダメになったのはご愛嬌 「こいつらすっかり大人しくなっちまったな」 「これでフーズが食べれたらもう出荷出来そうですぜ」 男たち2人は反抗しなくなった子タブンネたちを次々に飼育ケースに移し 同時にボール付きの給水器に入った水と一掴みのフーズも一緒に入れていく ケースに入れられた子タブンネ達、どの子を見ても隅っこで身体を丸くしてプルプル震えている 大勢の仲間がいても何もできなかった自分の弱さと目の前で悪魔に連れ去られたベビンネへの罪悪感 その二つが混じりあって黒くて重い塊となり、子タブンネたちの幼い心にずっしりとのし掛かった もし、この子タブンネたちがこれからペットショップに売られて行き、そこで優しい飼い主に出会ったとしても 心にこれほど重い物を抱えたままで本当に幸せに暮らせるのだろうか…? 「うぇぇぇぇぇ!!?」 別の部屋から社長の悲鳴が聞こえた 血まみれのシルフィに驚いたからなのは想像に難くない 男たち二人も、震える子タブンネにも負けぬほど恐怖した http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/844
845: 名無しさん [] 決められた♂を捨てつつ故郷を出ておいて助けてもらおうだなんて・・・ 投石されて追い返されそうなものなんですがw パパの気違いぶりに「あるタブの光と闇」のタブンネを連想しました。 死んだ方がマシなぐらいの地獄を味合わせてから解放したら 周囲を破滅させるクズになった所とか一致してます。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/845
846: 名無しさん [sage] たくさん投下されて嬉しいです! 平穏な故郷も巻き添えを喰らうのかなw 勇者ンネは勇者ンネサイドだけでも1作品になりそうな贅沢なボリューム! チビ・ベビ同様に部下の兄貴たちも可愛いすぎるw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/846
847: 名無しさん [sage] >いつでも安全に美味しく食べられる上に楽しいオモチャも付いてくる… >ボクたちは草むらのハッピーセットです これは上手い!吹きましたwww http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/847
848: 名無しさん [] 恐怖に怯えるチビタブちゃん達可愛い!想像したらゾワゾワしてきた! そして可愛い顔して絶望を与えるニンフィアさんマジキュウべえw 虐アフター待ってました! 姉兄チビタブちゃん可哀想…パパンネがクズ過ぎて笑えてくる こんなクズパパは南極サバイバル以来だ、完結編も楽しみにしてます! http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/848
849: ショーケースの裏側で [] 男二人は社長からのお叱りに戦々恐々としていたが、今日は客が来るという事でお叱りは先伸ばしになった そして次の仕事に取りかかるべく、最初のタブンネを選別した部屋に戻った 『ミィッ、ミィッ、ミッ、ミッ、ミィッ!』 「ふぃ~、これだけいるとウンザリしてくるな流石に」 青リボンを結ばれた子タブンネ達は週に一回の競りがある日まで部屋で放し飼いにされる そして競りの日になるとキャリーケースに入れられて出荷されるのだ 普通だったら出荷までに2~3日はこの部屋で過ごして、その間に親から離されたショックからある程度回復するのだが今回は違う 「ンミーッ!ミチッ!ミミーッ!!」 「ほらっ、痛くねーから大人しく入れって!」 子タブンネたちは捕まった当日だというのに輸送用のキャリーケースに次々と入れられていく 輸送用のキャリーは直方体で奥行きき70㎝、幅と高さが40㎝しかなく子タブンネ用にしてはかなり狭い 大きさだけ見ればケージというより棺桶である これを入り口を上にしてそこから子タブンネを入れるのだが 狭くて暗いキャリーを嫌がって足をバタバタさせて入れられまいとしたり 入れられても入り口の縁を小さな手で懸命に掴んで懸垂のように登って脱出しようとするが 子タブンネを押し込めるように出入り口のドアを閉められ、ガチャリとカギをかけられてしまうのだった 「お邪魔するざんす、おー、こちらが当社の今度の企画で扱わせて頂くタブンネ達ざんすね 差し障りなければ少し見学させてくれないざんすか?」 「あっ、デパートの担当の方で?、どうぞお気になさらずご自由見てってくだせぇ」 急に子タブンネを集めたのには理由がある それはデパートが企画した「タブンネとあそぼう!Mi Mi パラダイス」というイベントである 具体的に説明すると沢山の子タブンネと触れあって遊べて、その上気に入った子タブンネをその場で購入できるという催しだ そのイベントに使う子タブンネが足りなくなって、急きょこの小さな会社に大量の発注が掛かってきたというわけだ そしてこのざんす男はデパートの社員でイベントで扱う子タブンネの下見にやって来たのだ 「いやー、ここのタブンネたちは綺麗な子ばっかざんすね~、どの子も傷一つなくフカフカで!」 「ええ、ランク分けして厳選してますもんで、ここに居るのはいつでも売りもんに出来る一級品ですぜ」 「れれ?ランク分けってことは他にもタブンネがいるざんすか?」 「野生のやつを捕まえてきてるもんで、人工餌を食わない奴や攻撃的な奴なんかはウチで慣らしてから売るんですよ」 「実を言うと、ここにいる分だけではタブンネが足りてないんざんすよ、 そん中に使えそうなタブンネが居るかもしれないし、良かったら見せてほしいざんす」 「大丈夫ですぜ、これが終わったらご案内しやす」 「お客さんの要望だぞ、しばらく俺一人でやっとくから今すぐ案内して差し上げろ」 兄貴分に急かされて、弟分はデパートの社員を第一飼育室に案内する 弟分と知らない男が入ってきたので、ケージの中の子タブンネ達は「ミッミッ、ミッミッ!」と困惑や警戒の声で一斉に鳴き出した 弟分の操るポケモンに親兄弟を殺された子タブンネもいるのだ そんな子タブンネたちをデパートの社員はケージに顔を近づけて一匹一匹観察していく 「さっきの部屋の子達とそれほど違いは無さそうざんすけど、何が違うんざんしょ?」 「ここに居るのはペレットのポケモンフーズに馴染めない奴等が主だもんで、 見た目だけはさっきの一級品とそう変わらないんですぜ、少しは毛抜けとかもいますがね」 「へぇー、好き嫌いの問題ざんすね、 …アー、このタブンネに餌をあげてみてもいいざんすか?」 「少しなら大丈夫ですぜ、あ 、人間の食べ物や刺激の強えぇもんは止めて下せぇ」 「な~に、ただのフーズの試供品ざんすよ」 そう言ってデパートの社員が懐から取り出したのはタブンネの絵が印刷されたとても小さな袋 カラフルなデザインで餌と言うよりかは駄菓子の小袋のようだ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/849
850: ショーケースの裏側で [] ほ~れ、タブンネちゃん、美味しいオヤツざんすよ~」 「ミィッ?ミイッ!!」 食べ残しが残る餌入れに、その新製品のペレットが3粒、袋から転がり落ちた それは鮮やかな赤や黄色の小さなクッキーの様なペレットだった 知らない人が見ると人間のお菓子と間違えてしまうような見た目だ しかし、クッキーの様な見た目には似合わない不自然に強いフルーツの香りを放っている その色と香りは、野生タブンネの最高のごちそう すなわち、完熟した果実をイメージして作られているのだ 雑穀の粉とオカラの塊である子タブンネたちがいつも食べているフーズとは嗜好性が段違いだ その新製品を投入された餌入れの主の子タブンネは、迷わずそれを二つ同時に手にとって食べた 「ミィッミッミ~♪」クチャクチャ 「ホッホッホ!ちゃーんとペレットも食べられるざんすねぇ」 見た目のみならず味もいつものペレットとは比べ物にならない 甘くてフルーティで食感もしっとりと柔らかい これに比べたらいつも食べているフーズの味は土の塊にも等しいだろう 子タブンネもあまりの美味しさにほっぺたに両手を当てて尻尾をフリフリして幸せをアピールしている そして、飲み込んだ後に最後のフーズを餌箱から取ろうとしたその時、 弟分は格子の隙間からそのフーズをひょいとつまみ上げてしまった 「ンミーッ!!ギィィィ!!」 「はえー、まるでお菓子みたいですな」 子タブンネはもちろん怒り出入口の格子のを掴みガタガタと激しく揺らして抗議したが弟分もデパートの男もあまり気にしていない そして弟分はフッフッと息を吹き掛けて汚れを飛ばし、ためらいもなく口に運んだ 「ムミィィィィィィィィィィィィーーー!!!」 「ヒッ?!」 「昔トレーナーやっててね、ポケモンが食べるフーズはこうやって味見したもんですよ」 「…ふえー、すごい事するざんすねぇ」 フーズが口に入った瞬間、子タブンネは絶叫した まるで目の前で肉親が殺されたかのような凄まじい慟哭だった デパートの男はそれにビクッと驚いたが弟分はノーリアクション 仕事上タブンネの悲鳴には慣れっこなのだ 悲鳴には驚かない弟分だが、フーズの味には顔をしかめて静かに驚いていた 口に入れた瞬間に広がる安物の飴のような人工香料の香り そして次に来る果物のような酸味、それもまた不自然な風味だ 食感はマドレーヌのような食感だが口の中でほどけると結構な量の油が含まれているのが分かる そしてほんのりとだが、ポケモンフーズにはあるまじき白砂糖の味がする (こりゃあ酷ぇ、知ってはいたがまさかここまでやってるとは思わなかったぜ) 弟分は知っていた、ペットポケモンショップで売られているフーズにはろくでもないものが入っている事があると 嗜好性を高めるための人工香料、化学調味料、脂肪分、糖分… この新製品のフーズにはその全てが入っている そして鮮やかな色は人工着色料によるものであることは想像に難くない こんな物を自分のポケモンに食べさせる奴の気が知れない… 口の中のフーズの味も手伝って、弟分は気分が悪くなってきた 「おらっ、返すぜ」 「フミィ~ン!」 弟分はまるで痰を吐くように子タブンネのケージの中にフーズを吐き出した 唾液まみれでグチャグチャのそれに笑顔で迷わず飛び付く子タブンネ 「よく帰ってきてくれたね」と再開を喜ぶような嬉しさと感動が混ざった声で鳴きながら 運悪くフーズは先ほどオシッコをした場所に落ちてしまった しかし新製品フーズの虜になった子タブンネは何も躊躇わない 四つん這いになっておしっこと唾液が混ざったフーズを小さな舌でペロペロと嘗めるのであった 「ンー… ところで、赤ちゃんのタブンネはいないざんすかね?」 「あー、こことは別の部屋に何匹かはいますぜ」 子タブンネのあまりの浅ましい行動にドン引きしていたデパートの男だったが 気を取り直して次の目的に話題を切り替える事にした そして2人は子タブンネたちの「ミッミッ!ミッミッ!」と自分にもくれと催促する声を背に第一飼育室を出ていった http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/850
851: 名無しさん [] 更新お疲れ様です 前回の勇者ンネに続き浅ましンネという個性的なのが来ましたね センスに脱帽です! http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/851
852: 名無しさん [] 「タブンネとあそぼう!Mi Mi パラダイス」 直接触れ合い反応を見てから購入できるのは素敵ですね。 純粋な子を探し出してオモチャにしてあげたいw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/852
853: んショーケースの裏側で [] あの第二飼育室を客人に見せるのは少し抵抗があった弟分だが、ベビンネはそこにしかいない 「かなり臭ってて悪いですが、どうぞお入りくだせぇ」 「ふぇ~、こりゃ強烈ざんすねぇ」 第二飼育室の強烈な悪臭に、デパートの男はハンカチを取り出して鼻を覆った この部屋にも子タブンネは沢山いるはずなのだがその鳴き声は聞こえず カサカサ、カサカサと紙が擦れるような音がかすかに聞こえてくるだけだった 「ここに居るのは攻撃的なヤツや幼すぎるヤツが主でして、 出荷出来る個体になる可能性は高くないもんでこんなぞんざいな扱いしちまってるんです」 「ふーむ、ベビィちゃんはともかく攻撃的な子はこちらとしてもいただけないざんすねぇ」 攻撃的な子タブンネとはどんな物なのであろうか? デパートの男はそんな好奇心から衣装ケースの空気穴から中の子タブンネを覗きこんだ 「ピィッ!!」 視線に気づいた子タブンネはビクッと驚き高い声の悲鳴をあげた そして狭いケースの中をパタパタと走り、壁にぶつかってしまった 「あの、むしろ普通の子より臆病そうに見えるざんすが…」 「あー、社長のペットのニンフィアがこいつらに酷いいたずらをしちまって、 それで怯えちまってみんなビビりになってるんでさぁ」 どんないたずらをしたんだろうとデパートの男は気にはなったが、あまり話題が逸れてもいけないのでここは聞かないでおいた ここに来た本来の目的はベビンネである 「ええと、たしかこのケースだったな… いたいた」 「チィィ…?」 弟分がケースの蓋を開けると、アンモニアの臭気がムワッと立ちこめた ケースの中は無造作にいくつもの糞が転がり、敷き詰められた新聞紙は大部分が小便でしっとりと濡れている そして、新聞紙の残り少ない濡れてない部分にちょこんと座るベビンネがいた 「いやー、汚いとこ見せちまって済まんこってす」 「いえ、大丈夫ざんす、それよりもせっかく見せてもらったのに悪いざんすが、 もうちょっと小さい、ママのミルクを飲んでるくらいのベビィちゃんはいないんざんすかね?」 「えっ、乳飲み子ですって? ここにはいないですぜ 店に置いてからの世話が大変だもんでショップが扱わねぇんですよ ショップの店員でももて余すのに、ましてやポケモンを金で買うような素人なんか…」 「ホホホ、それでも可愛いベビィタブンネちゃんを一目見たい、 あわよくばお家にお迎えしてママになってあげたいという方々は大勢いるざんすよ あのアイドルの女の子がタブンネの赤ちゃんをお世話するテレビ番組の影響ざんすね」 「はぇー、そんなのがあったんすか、タブンネ扱ってんのに不勉強でしたぜ」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/853
854: んショーケースの裏側で [] デパートの男の言う通り、テレビの影響でベビンネを飼いたいと思う人が密かに増えていた だが、イッシュ地方のほぼ全てのポケモンショップが離乳前のベビンネの販売には及び腰であった 餌皿に餌を入れて糞さえ掃除しておけば生きてる子タブンネとは違って乳児ンネには色々と手間がかかる 食事一つとってもいちいち粉ミルクを作り、その上人の手で一匹ずつ飲ませてやらなくてはならない 世話の手間だけではなく身体の弱さも問題だ ママンネから引き剥がされたストレスや急な環境の変化などで乳児ンネはすぐに体調を崩してしまう 乳児ンネの体調不良はすぐに風邪や下痢などの病気に変わり、酷いときには入荷から数日で死んでしまう事もある 入荷しても売れる前にすぐダメになってしまうのでは商品失格という事だ ただ、2日間のごく短期間のイベントで展示販売するとなると話は別である その程度の期間だったら持つだろうし普段のショップの何十倍、何百倍もの客が来るであろうから売れる確率も高い もし売れた後にすぐ死んでしまっても客の自己責任である 最も、弟分が心配した通り可愛いからと衝動買いするようなヤツの下でか弱い乳児ンネが長生きできるワケがないのだが 「う~ん、でも、このベビィちゃんも十分可愛いざんすねぇ お手数ざんすが他のベビィも見せてくれないざんすか?」 「いいですぜ、箱に集めるんでちょっとお待ちくだせぇ」 そう言って弟分は部屋の隅にあった段ボールを組み立て、 部屋中のケースからベビンネを探し出し次々とその箱に移していく ほんの5分ほどで6匹のベビンネが見つかり箱の中に集められた 「チィ?」「チィィ♪」「チィ♪チィ♪」 箱の中のベビンネたちは最初はキョトンとしていたが、久しぶりに同族に触れたのが嬉しくてすぐに他のベビンネと遊びだした 小さな手をペタペタと手遊びの様に合わせあったり他のベビンネの尻尾をもふもふと揉んだり 軟らかなほっぺをくすぐり合ってチッチッと笑いあったりしている そのあまりに微笑ましい光景にデパートの男は思わず顔がにやけてしまう 「おほ~、これはキュートすぎていかんざんすねぇ~ イベントで使わない手は無いざんす! 全部買わせてほしいざんす! 」 「あー、俺は一番下っぱだもんで、売り買いの話は社長にお話くだせぇ 社長室は二階なんで案内しますぜ、一緒に行きやしょう」 そうして男たちはベビンネたちが入った箱と共に二階の社長室へと向かう 階段を上る際の揺れる感覚が楽しかったのか、箱の中のベビンネたちは「チッチッ、チッチッ」と楽しそうに笑っていた http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/854
855: 名無しさん [] 屋台のヒヨコと同じですね、可愛いけどすぐ死んじゃう http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/855
856: 名無しさん [sage] 楽しそうなのは今だけ。どんな死に方をするのかな? http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/856
857: 名無しさん [sage] 現実のペットショップの問題や裏側も垣間見える素晴らしい話ですね。 犬猫だと心が痛むのにタブンネが面白いのは害獣だからかなww 「ショップで買うのはタブンネちゃんの虐待ミイ」等とデモを行うタブンネ側の話も見てみたいです。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/857
858: 名無しさん [sage] 新聞紙の残り少ない濡れてない部分にちょこんと座るベビンネ可愛い! ママンネが恋しいと騒がずにキョトンとしているのがいいですね! http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/858
859: んショーケースの裏側で [] 狭いが小綺麗な社長室では社長が椅子に座って机に向かっていた そこにノックの後にデパートの男が入り、挨拶もそこそこに商談が始まった 「つまり、B級品のタブンネと小さい子も追加で買いたいと。それは大丈夫ですよ」 「いやー、話が早くて助かるざんすよ」 「ただ、B級品はともかく小さい子はそちらにお届けした後の品質は保証できかねますので そちらに送られてからの返品や交換は無しでお願いしますね」 「ええ、そこの所は承知してるざんす。ただ、五匹しか居ないと言うのがちと不足ぜんすが」 「不足?この半分赤ちゃんみたいなタブンネがもっと必要なのですか?」 「そりゃもう、いまタブンネの赤ちゃんは大人気ざんしょ、もう10匹、いや20匹でも大歓迎ざんすよ イベントで赤ちゃんタブンネの授乳体験とかもやる予定ざんしたから」 「へぇ、ところで、イベントは明後日の土曜日からでしたよね?」 「ええ、その通りざんすよ」 「ならギリギリ調達が間に合います ね、何匹に調達できるかは分かりかねますが」 社長室の外で横聞きしていた弟分はぎょっとした 一日で調達と選別に、ついでに配達とか無茶すぎる… しかも乳飲み子だけを狙うとは、これはかなり骨が折れることになりそうだ そして話がまとまってデパートの男が帰ったあと、タブンネの梱包作業を行っていた兄貴分も呼ばれて指令が下された 「明後日の夕方5時のまでにタブンネの赤ちゃんを10匹以上捕まえてきてね」 正直かなりきつい条件だが、シルフィの事もあって男2人は素直に受け取らざるを得なかった そして翌日、日が昇ると同時に男たちはワゴン車の前で狩りの準備をしていた 「さて、どの辺りを探せばいいかなぁ」 「子タブンネならまだしも、赤ん坊となるとなぁ… よく吟味して探す場所を選ばんと一匹も見つからねえって事もありうるぞ」 「こんな事なら昨日の群れの赤ん坊をつかまえておくんだったよ」 今は11月、秋が終わり餌も少なくなってくると野生のタブンネたちは子作りをしなくなる つまりこの時期にベビンネはあまり居ないと言うことだ 居るとしたらパートナーを見つけるのが遅れた、 夏に孵ったベビが早い時期に全滅してしまいもう一度タマゴを産んだ、 冬に餌が少なくなるのが分からないほどママンネがバカ、など何らかの事情があるタブンネのベビだ 昨日狩った群れにはそれらしいベビも結構居たがあれほど荒らしてしまっては同じ場所にいるとは考えない方がいいだろう 仕度が終わって車に乗り込んでも男たちは目的地をまだ決めかねていた 「さて、この時期に赤ん坊抱えてるバカタブンネが居るとすれば… リンゴ畑の側か それとも、昨日みてぇなでけぇ群れを探すか…」 「畑といえば兄貴、近くの果樹園で売りもんにならねえ果物を捨ててる場所が近くにありますぜ」 「そりゃいいや、とりあえずそこを当たってみるか」 その場所は会社から車で10分ほどの所にある雑木林にあり その中の少し開けた場所に割れたり痛んだりしたリンゴや梨などが捨ててあったのだ ただし、男たちが訪れた時には果物の本体は無く変色した芯や腐って溶けた残骸がわずかに残っているだけだった その周りの地面を男二人が少し探すと、あのハート形の足跡が 「やりましたぜ兄貴、タブンネ居るみたいですぜ」 「まー喜ぶのはまだ早ええ、赤ん坊を見つけてからだ」 足跡はまだ新しく、そして藪の中へと続いていた 兄貴分はルカリオをボールから出し、弟分と共に慎重にそれを追跡していく そうして5分ほど足跡を追っていくと、草や蔓を編んで作られたドーム状の巣が見付かった 大きさは高さ約1m、幅は直径1.5m強くらい、タブンネの親子が隠れるには十分な大きさだ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/859
860: んショーケースの裏側で [] 「間違いねぇ、この大きさはタブンネの巣だ、ルカリオの波動で探させるまでもなかったな」 弟分が隙間から中を覗くと、タブンネが横になってすうすう眠っていた そしてそのお腹の前には、小さなピンク色の毛玉たちがもぞもぞと蠢いている (やりましたぜ兄貴、大当たりだ) (小声でも喋るな、タブンネに聞こえちまう) 兄貴分は静かに興奮する弟分を諌めると、静かに麻袋を広げる そしてドリュウズを出させ、巣に大きな穴を開けるようハンドサインで指示を出す ドリュウズはそれに応じ、鉄の爪で巣の壁を縦に切り裂いた 「今だ!捕まえろ!」 「ミィッ?!!」 男たちは裂け目を掻き分けて巣の中に押し入りベビンネたちを数匹まとめて両腕で抱え込むように捕まえた それは飛び付いたと言っても過言ではない素早さだった 驚いて飛び起きたママンネだが何がなんだかわからず、ただ寝ぼけまなこで狼狽えているだけだ 『チィッ、チィッ、チィッ、ヂーッ!ヂーッ!ヂャァァ!!ヂーッ!!』 「ミッ?ミィッ!!ミィィー!!!」 袋の中からの助けを求める声を聞いて、やっと自分のベビ達が拐われそうになってると気付いたママンネ 寝起きでふらついた足取りだが必死で男たちに向かっていく しかし、主人が襲われると判断したルカリオに素早く間に入られてしまった 「ん? こいつ小せぇな」 「ああ、かなり若ぇな」 出前のルカリオと見比べてみて二人は初めて気づいたが、このママンネはかなり小さい 身長120㎝のルカリオと比べて頭一つ分ほど低く、身長90㎝も無いだろう それに加えまだ子タブンネの面影を残す顔つきでかなり若いタブンネだという事が分かる 「ガル!」 「ミヒィ!?」 ルカリオの一喝で驚いて尻餅を突いてしまうママンネ 続いて腕を振り上げて殴る真似をするとキュッと目をつぶり手のひらをつき出し ミィミィと涙声で「やめてやめて」と訴えている 「殴るまでもない」と呆れてルカリオが拳を下ろしたその時、ガサッと草が揺れる音がした 「ルカリオ、左だ!追え!」 兄貴分の急な命令に即座に反応してルカリオが音の元へ一足跳びで飛び付く そのスピードは名の通り神速で音の主は一たまりもなく押さえ込まれてしまった 「グルル…!」 「ミィ… ミィ… ミィ…」 兄貴分の直感の通り、音の主はタブンネだった。さっきの奴程ではないが小さめの若い個体だ さっきの奴よりかは根性があるタブンネで 歯を食いしばって右へ左へ身をよじりながら馬乗りになったルカリオの腿をペチペチと叩いて抵抗している ただ力の差は歴然で、いくら足掻こうともルカリオが離す様子はない http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/860
861: ショーケースの裏側で [] 「チィ… チィ… チィィ… 」 「ミィッ!?」 どこからか微かにベビンネの声が聞こえてくると、タブンネの顔に焦りが見え始めた このタブンネもまたママンネだったのだ 無慈悲にも男たちはその声がする方へ正確に向かっていく 「ルカリオ、そのまま押さえつけてろ へっへっへ残念だったな、お前ら程じゃねーが俺も地獄耳にゃ自信があるんだ」 「あー、これじゃねーですかい兄貴」 それはさっきのと同じ様な草でできたドーム状の巣だったが高さは50㎝程とずいぶん低い それは家主のタブンネが穴を掘ってスペースを作り、 その上に草のドームの屋根で覆うという工法で作られているからだ この作りだとさっきのママンネの 巣と違って敵から見つかり辛い しかしそれでも見つかってしまってはそれまでだ 「ドリュウズ、屋根をひっ剥がしちまえ」 「ドリュ!」 ドリュウズがちゃぶ台返しの要領で屋根を剥がすと、巣の中の全容が丸見えになった 全体に分厚く草が敷き詰められており、片隅には乾燥した草の実やドングリなど保存の効く食べ物が集められている そして巣の真ん中には細くて柔らかい草で作られた大きな鳥の巣状のベッドがあり そこで5匹のベビンネたちが身を寄せあってプルプル震えていた 「ハハハ!これでもうノルマ達成じゃねぇか! いやー出来すぎてるぜ」 「このタブンネたちに感謝感謝だぜこりゃ」 男たちが近寄るとベビンネはチィ-チィ-と悲痛な声で鳴きながらベッドからハイハイで懸命に逃げだした 「ミィッガガガガガ!!!ウギィーーーー!!!」 ベビンネが鳴いた途端、ルカリオに押さえつけられてるママンネが激しく暴れだした この鳴き声はベビンネが緊急時にママンネを呼ぶ声なのだ 手足を無茶苦茶に振り回し、体を反らしてバタンバタンと跳ね、ルカリオの手に噛みついた うっかり手のトゲの部分に噛みついて前歯を全部折ってしまったがそれでも怯むこと無く暴れまくる 何がなんでもベビンネを助けに行くべく必死なのだ しかしその抵抗も空しく、ベビンネたちは次々と男たちに捕まって麻袋の中に入れられて行った 捕まった瞬間恐怖でウンチとおしっこを漏らしたベビンネも居たが気にかけられる事も無く股間を汚したまま麻袋へ放り投げられた そして最後のベビンネに兄貴分の手が掛かったその時、 「ウッミィイイイイイイイイ!!!」 突然藪の中から一匹の子タブンネが現れ、兄貴分に突進していく この子タブンネはベビンネたちの兄タブンネで、ママンネの言いつけで草むらに隠れていたのだが ベビンネ達の必死な助けを呼ぶ声にたまらず飛び出してきたのだ 妹や弟を可愛がっていたいいお兄ちゃんなのだが、兄貴分にサッカーボールの様に蹴り飛ばされてしまった 「ミヒィィィィィン!」 「ルカリオ、離していいぞ!」 見事な放物線を描き藪の中へと落ちていく子タブンネ 開放されたママンネはそれの落下地点へ泣きながらまっしぐらに走っていく 「オトリ作戦大成功! よし、ずらかるとするか」 男たちはポケモンを戻し、チィチィ五月蝿い麻袋を肩に下げながらタブンネの巣を後にした http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/861
862: ショーケースの裏側で [] 車に戻った男たちはベビンネの仕分けを始めた 昨日のように麻袋に乱雑に詰めて死なせるといけないので一匹ずつ洗濯ネットに小分けにしていく ベビンネは硬くてざらざらした洗濯ネットの感触を嫌がって中でモゴモゴともがいた しかし外側から堅いチャックで閉じられていては脱出は不可能だ 「チィ-!チィ-!チィ-!チィ-!…」 「11、12、13… 全部で13匹だな」 「あの小さいの8匹も産んでたんですかい」 「捨てられる果物をアテにしてたんだろうよ、それもこれから無くなるってのにバカな奴だ」 2人が最初に出会った若いチビママンネ 彼女は二週間前に親元から独り立ちしたばかりで、その後パートナーに出会ってからあの林に流れ着き 兄貴分が言う通り大量に捨てられる果物をアテにしてタマゴを8個も産んだのだ チビママンネの無知のなせる業である しかし今は11月、収穫も終わりに近づいてきて捨てられる果物も大分少なくなってくる時期だ パートナーのパパンネは日々少なくなっていく廃棄果物に不安になり、 新たな餌場を見つけようと遠征に行ったまま帰ってこなくなっていた 水を飲もうと沼に近づいたらガマゲロゲに食われてしまったのだ もう一匹のママンネの夫もまた遠征中にフシデの毒にやられて力尽きている 男たちもママンネ達も気づく由も無かったが、かなり絶望的な状況だったのだ 「まぁー、赤ん坊さえいなけりゃ成獣2匹にガキ一匹だ、 草の根っこでも食ってりゃ何とか冬も越せるだろうさ」 「俺たちゃあのタブンネを救ってやったのかもなぁ」 会社に着くと男たちはベビンネを洗ってやる事にした 子タブンネの様に冷水で洗うと死んでしまうかもしれないので風呂場で洗面器にお湯を張って一匹ずつ綺麗にする 「チィッ!チィッ!チィッ!チィッ!チィィー!!」 「ほら、綺麗にしてやるからじっとしてろって」 生まれて初めてのお風呂だったが最初のベビンネは嫌がって洗面器の中でジタバタと暴れた シャンプーが目に入って滝のように涙を流し、シャワーのお湯の勢いと熱さ(38度)に泣き叫んだ 腕を捕まれ、体じゅう泡立てられながらイヤイヤと首を振り、 ヂィ-ヂィ-とこの場にいるはずのないママンネに必死で助けを求める その光景を見ていた順番を待つベビンネたちは何か怖くて痛くて苦しい事をされるんだと勘違いして、 処刑の順番を待つ死刑囚にも似た心境で次は自分の番かとガクガク震えていた 「兄貴、それシルフィ専用の高いシャンプーですぜ、勝手に使っちゃまずいよ」 「いいんだよこの際、赤ん坊の肌と毛並みは繊細だからなるべく刺激が少ねぇ奴を使ってやらんと…」 ベビンネ全員のお風呂が終わった後男たちがバスタオルで体を拭くと、 怖かったのと泣き疲れたのとでみんなグロッキー状態だ そんなベビンネたちを床に広げたバスタオルの上に並べてドライヤーで温風を送ると、暖かくて気持ちが良くなった様でみんなそのままスウスウと眠ってしまった 「こりゃ丁度いいや、うるさくなる前にこいつらの寝床を作ろうや」 2人が作る寝床というのは特大の段ボールの中に古くなったバスタオルを敷き詰め、 保温に布を巻いた湯たんぽを置いただけというシンプルな物だ 手早く完成させたそれに眠っているベビンネを一匹ずつ寝かせていく 抱き上げられてもベビンネたちは起きる事なく眠ったまま 朝早くに起こされた上に色々な事があってとても疲れていたのだ 赤ちゃんなので元々睡眠時間が長いというのもあるが 男たちはその寝床を中のベビンネごと選別部屋へ持っていくと、社長が子タブンネが入ったキャリーケースを整理していた 「おはよー… ふぇっ、もうベビちゃんたち捕まえて来たの? すごーい!」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/862
863: 名無しさん [sage] いいですねー、チィチィ泣きわめくベビンネちゃんたち可愛い http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/863
864: 名無しさん [] また禄に越冬の準備も出来てないのに子供を産んでるwww やはりタブンネは考え無しの淫獣なのかも http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/864
865: 名無しさん [sage] 伝統芸とも呼べる安定の「餌を探しに行って帰って来ないパパンネ」w そして放物線を描き藪の中へと落ちていく子タブンネ可愛い その光景が目に浮かびます!頑張って冬を越してね http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/865
866: 名無しさん [] 更新お疲れ様です! ベビンネと引き離されるところが堪らないですね ママンネと子タブンネもこれからどうなるか気になるくらいキャラが立っていてすごいです! http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/866
867: ショーケースの裏側で [] 「いい場所を見つけましたもんで、一度に13匹も見つけられたんでさぁ」 「良かった良かった、じゃあ開店時間になったらデパートの方に連絡するから、仮眠室で休んでていいよ ベビちゃん達は私が見てるから大丈夫!」 「はい、少し眠らせてもらいますぜ」 男二人は二階にある仮眠室のベッドに入ると、すぐたグウグウとイビキをかいて眠ってしまった 早起きしてすぐの野外での仕事は体にも精神にも堪えるものだ そうして3時間ほどたった頃、社長がデパートの男に連絡して、午後三時に子タブンネたちを輸送するトラックを会社へよこす約束を取り付けた 今現在11時、社長が子タブンネ達の最終チェックをしている時、ベビンネたちは人知れず目を覚ましていた 目が覚めた時、肌に伝わる感触はいつものふかふかな柔らかい草のベッドではなく、古いタオルのゴワついた感触 隣に居るのは見慣れた兄弟とそれに混ざっている知らない子 ママンネの姿を求めて周りを見たけど、見えるのは見たことのない茶色い壁ばかり ママンネの音を求めて小さな耳をピンと澄ましたが、 聞こえてくるのは知らないタブンネたちの辛そうな声と怖い怖い人間の足音だけ 人間の存在に気が付いた瞬間、ベビンネ達の心の中に今朝の辛い出来事が一気に甦った 突然目の前が明るくなって、突然現れたママンネより大きな生き物 そいつに手で捕まれた時の痛さとゴツゴツした感触 大好きなママンネを苛める青いポケモン どこかへ飛んでいく大好きなお兄ちゃん… 眠ってる間には悪い夢のようにも思えていたそれらは確かな現実の記憶となり、 今の自分達の状況とも混ざってベビンネの小さな心を恐怖と不安でたっぷりと満たした そして心で受け止めきれなかった分は涙となり、数日前に開いたばかりの青い瞳から止めどなく溢れ出た 『ヂィ… ヂィ… ヂィ-!ビィィー!!ビィィー!! 』 一匹のベビンネが大声で泣きだした それに釣られて隣のベビンネも泣きだして 隣、その隣と次々と泣き声をあげ、段ボールの中のベビンネ皆が大声で泣きじゃくった それはママンネを呼ぶための涙の大合唱だった 声が届く所にママンネが居ないかもしれないのはベビンネでも薄々分かっている だが、こうしていないと心が不安で潰れてしまいそうなのだ 「あらら起きちゃった、お腹すいたのかな?」 泣いてるのに気付いた社長はキッチンへ行き、お湯を湧かして粉ミルクを溶かして人肌の温度のミルクを手際よく作る そしてベビンネのうちの一匹を抱っこして哺乳瓶を口に近づけた しかしベビンネは嫌そうな表情で飲み口から顔を逸らし、小さな手で哺乳瓶を押し退けてしまう 今までママンネの母乳しか口にしたことがなく、初めて見る哺乳瓶が怖かったのだ 「あらら、飲んでくれないのね…」 「チヒッ?!ヂィィィィィ!!ヂィィィィィィ!!」 腕の中のベビンネはビクッと何かに驚いたかと思うと、さっきよりさらに大声で泣き出した そして足をバタつかせ、両手で自分を抱く腕を押し、必死に社長の腕の中から逃げ出そうとしている その泣き声は「お腹がすいた」とか「さみしい」というベビンネのよくある泣きかたではない 恐ろしい何かに出くわして恐怖で泣き叫んでるといった泣きかただった ベビンネが出くわした恐ろしい物、それは「殺意」 不意に社長の胸に触れていた触角からそれを感じ取ってしまったのだ 産まれて初めて感じ取った他者の負の感情、敵意に、ベビンネは心の底から恐れおののいた それが敵意の最上級とも言える殺意をいきなり感じ取ってしまったのだからなおさらだ しかし、社長は貴重なベビンネを殺す気は毛頭ないのだが、いつものクセというやつだ 「ヂッ… ヂィッ… ヂィィィィン!! ヂィィィィィィン!!」 「えっ、わっ、ちょっと… どうしよ~」 さらに勢いを増していく泣き声に焦りを感じ、ユサユサと揺らしたり背中を優しく撫でたりしてあやそうと頑張る社長 しかしどうやってもベビンネが泣き止む気配はない しかも泣いてるベビンネはあと12匹もいるのだ 「ふぇー、困ったな…」 家中に響き渡るベビンネ13匹の泣き声の中、社長は為す術もなく呆然としていた そして色々思案した結果、とりあえず泣きたいだけ泣かせておけばいいやという結論に達して抱いていたベビンネを箱に戻した そして子タブンネの最終点検に戻ろうとした時 ドン!ドン!ドン!ドン!! ドン!ドン!ドン!ドン!! 玄関のドアを激しくノックする音が社長がいる選別室まで響いた 音が激しすぎるので変に思った社長だが「デパートの人かな?」などと思いつつ小走りで玄関に急ぐ 「はーい、今開けるよー」 社長がドアを開けた瞬間、一匹のタブンネが玄関に飛び込んできた それは男たちが今朝最初に襲った 巣の主 身長90㎝もないチビママンネだった http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/867
868: 名無しさん [] 連れ戻しに来たかチビママ・・・ 我が子だけでも八匹居るから、鈍足で逃げきるのは絶対無理だぞw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/868
869: 名無しさん [sage] 助けに来たのは最初のママンネか >どこかへ飛んでいく大好きなお兄ちゃん… を追いかけて行った2匹目のママンネは今頃どうしてるかなw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/869
870: 名無しさん [sage] すげー大作になってきてる。 期待。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/870
871: 名無しさん [sage] 「はぁ…」 住宅街の外れにある一軒家に住む青年は朝一番から深いため息をついた。 というのも、自宅の庭のど真ん中にタブンネの死体が横たわっていたからだ。 原因は家の周りに設置された対ネズミポケモン用の毒餌。 青年は前々からコラッタの被害に悩まされており、その対策のためつい先日設置したのだった。 コラッタは被害にあった場所には二度と近付かないと聞いていたので、かなり強力な毒を持った物を選んだのだが、まさかタブンネがそれを食べてしまうとは彼自身も思っていなかった。 せっかく天気の良い休日の朝だというのに、いきなり見馴れぬポケモンの死体を見た事で穏やかな陽気に対して気分は最悪だった。 やがて、いつまでもこうしていても仕方ないと死体を引き取って貰うため保健所に連絡しようとしたその時、 「チィチィ。チィ?」 青年の耳に甲高い声が聞こえてきた。その声は眼前の死体の向かい側から。 恐る恐る覗いてみると、そこには大きさ30センチ程度のベビンネ2匹の姿。 この息絶えたタブンネは子持ちだったのだ。 「チッチィ、チィ」 ベビンネ達は動かないタブンネを揺すり、何かを求めるような声で鳴き続けている。 それはベビンネ達がお乳を求める声。 2匹のベビンネはその幼さ故に既にこのタブンネが事切れている事にまだ気付いていないのだ。 「マジかよ…」 チィチィと鳴き続けるベビンネを見て、茫然とする青年。 彼自身、コラッタを駆除したかっただけでタブンネを殺すつもりは毛頭なかった。 漸く歩けるようになった程度の乳飲み子である2匹は自分達で餌を確保することも出来ず、餓死するか他の野生ポケモンの餌になるかだ。 見つけた瞬間、青年が第一に持った感情はただただ面倒臭いというものだった。 が、眼下にお乳を求め尻尾を振り、小さな手でタブンネ揺すりながらチィチィと懸命に鳴き続けるベビンネ2匹。 その姿を見る内に、間接的とはいえタブンネを手に掛けてしまった事に対する罪悪感が徐々に青年に芽生えていった。 暫くベビンネ達の声を聞きながら頭を抱え葛藤していたが、やがて意を決して自宅の中へ戻り、小さめの段ボールに不要になったバスタオルを敷いて庭に戻ってきた。 この子らが自分達で餌を取れるようになるくらいまでは面倒を見てやろう。 それがこのタブンネへの罪滅ぼしになると考えたのだ。 青年の存在にも気付かず、未だ小さい手でタブンネを揺さぶっているベビンネを青年は左右で1匹ずつ、出来るだけ優しく掴んでやる。 ベビンネ達にとっては巨人にも等しい青年の手に捕まれた事に驚き、そこで漸く青年の存在に気付いた。 上を見上げると強張った表情で自分達を親から引き離そうとする未知の存在。 「チィッ!?チィチィチィ!」 ずっと一緒だった親から引き離される事、今まさに自分達を掴んでいる存在への恐怖から今度は激しく泣き喚き始めた。 青年は突如大きくなった声に驚いて手を離してしまい、ベビンネ達は段ボールの上に図らずも叩きつけられてしまった。 「チィィ!チィチィ!チィ!ビィーー!」 バスタオルがクッションとなったものの、その衝撃を切欠に軽いパニックを起こし、一層激しく泣き出すベビンネ2匹。 青年はその声の煩さに思わず顔を歪める。 「すまない、お前達のお母さんはもう死んでしまったんだ。だから今日からここで暫く暮らすんだ」 その言葉を理解出来る訳がないと思いつつも、あやすように段ボール箱を優しく揺すりながら家の中へ戻っていった。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/871
872: 名無しさん [sage] いいねいいねー 最近は子タブやベビンネものが多くて嬉しい限り http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/872
873: 名無しさん [] 人工哺育ものにワクワクします。 どうやって餌の取り方とか教えるんだろ? http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/873
874: ショーケースの裏側で [] 「ええっ、タブンネ!?」 社長が驚く間もなくチビママンネは玄関から廊下へ上がり、我が子が居る選別室へ脇目も振らずバタバタと真っ直ぐに向かっていく あまりの急な事態に呆然とする社長 だが、母タブンネが赤ちゃんを取り返しに来たのだと気付くのにそう時間はかからなかった 「うー、まずいまずい、早く追っ払わなくっちゃ」 おとなしいタブンネ相手とはいえ野生のポケモン相手に素手ではまずい そう考えた社長は玄関にある傘立てから古いビニール傘を持ち出して選別室へソロソロと向かう そしてドアの前で一旦立ち止まり、身を隠しながら中の様子を覗き見る 「ミィッ、ミミッミッ!」 「チィチ!チィチィ!チィチィ!!」 部屋の中のチビママンネはベビンネたちが入っている段ボール箱を何とか引き千切って壊そうと頑張っていた 自分の肩ほどの高さのある大きな厚い段ボールなのでかなり苦戦している 箱の中のベビンネたちはさっきまで家中に響き渡る大声で泣いていたのが嘘のようにケロリと泣き止んでいて その代わりにチィ、チィ、と可愛らしい声で鳴いている。顔を見なくても喜んでるのが分かるような歓喜の声だ (うっそ、もう泣き止んじゃってる… やっぱり本物のママが一番なんだね) 社長は驚いていた 自分があれほど手を尽くしてあやしても一匹のベビンネすら泣き止ませる事ができなかった それなのに、あのタブンネが顔をちらりと顔を見せるだけでみんな泣き止んでしまったのだから チビママンネに興味を持った社長は追い払うのを止めて少し観察する事にした 依然として段ボールに苦戦しているが、体重をかけてグイと引っ張ると角の部分からびりりと破けた 古い段ボールだったため所々劣化していたのだ 後ろに体重を掛けた時に急に破けたためチビママンネはバランスを崩して尻餅をついてしまった しかし、段ボールは大きく破けベビンネが通れるくらいの隙間ができた 「チィ…! チィ…!!」 「ミッミ、ミッミ!」 チビママンネが破いた隙間からベビンネたちが次々と這い出てくる 精一杯であろうスピードでパタパタとハイハイしてチビママンネへまっしぐらだ 尻餅をついたままキョトンとしているチビママンネだったが 箱から出てきて自分に寄ってくる我が子を見ると両手を伸ばし自力で自分の所まで来るよう促した 「ママはこっちだよ」とミィミィと柔らかく優しい声でベビ達に鳴きかけながら 母と子の微笑ましい戯れなのだが、敵陣の真っ只中でやることではない そしてチビママンネの下にたどり着いたベビ達はそれぞれ思い思いに甘えだした 柔らかなお腹に顔を埋めたり、太ももの毛皮をキュッと掴んで昇ろうとしていたり、ふわふわした尻尾に抱きついたり チビママンネの小さな体は8匹ものベビンネがくっ付いて忙しいことになっている http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/874
875: ショーケースの裏側で [] 「チィィ… チィィ…」 再開を満喫してるチビママンネ親子だったがあの二番目に見つかったママンネの5匹のベビンネたちは気が気ではなかった チビママンネのベビと同じように隙間から箱の外へ出たベビンネたち 段ボールの周りを闇雲にハイハイしてはチィと鳴き、必死で自分のママンネの姿を探した 自分たちのママンネも来ているに違いない。幼すぎる心でそう信じて しかしどこにも自分たちのママンネの姿はない。そして横目に見えるは母親に触れ合うベビンネたち 「チィッグ… ヂッグ…」 五兄弟のうちの一匹が疲れたようにハイハイを止め、メソメソと泣き出した 母親が来てくれなかった悲しみ、捨てられたのかもという不安 、そしてチビママンネ親子への羨ましさ その三つが幼い心の中でぐちゃぐちゃに混ざりあった涙だった 「ミィミ、ミィ」 「チィ…?」 そんなベビンネに、チビママンネはそっと手を伸ばし優しく頬を撫でた 「あなたのママはベビちゃんたちを見捨てたりはしないよ」 そんな事をミィミィと優しい声で語りかけながら 「チィ… チィィ」 ベビンネはほっぺを耳と一緒にチビママンネの手にふわりとくっ付けた その顔はまるで本当のママンネと触れあっているときのような安らいだ顔だった 「チィィ…」 「チィィ…」 それを見ていた他の4匹のベビもチビママンネへと集まっていく 例え実の母でなくとも母性のぬくもりを切ないほど欲しているのだ そんなベビンネたちをチビママンネは何も拒否することなく我が子と同じように受け入れた 「ミィー♪ ミミミー ミミミー♪ ミミミィ~♪ ミィ~♪」 「チィィ~ チチィ~♪」 自分の子とお隣さんの子、全てのベビンネが体にくっつくと、チビママンネは子守唄のような歌を歌いだした 子守唄といってもベビンネたちが眠そうな様子はない それどころか少し外れた音程で真似をするベビもいた おねむが出来ないほどにベビンネ達はママンネに夢中だった もう二度と離れたくないと小さな白い手できゅうっと毛を掴み、柔らかな毛皮に頬をくっ付けている 温もりだけではなく、ベビンネはその小さな触角でママンネの命の音を聞くことによって安心感を得るのだ 「へ~、あの子、背は小さめだけど凄いタブンネなのかも」 この一部始終は社長にしっかりと見られていた そして社長の頭のなかでは、あのチビママンネを排除するのではなく利用する方向に考えが動いていた http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/875
876: 名無しさん [] どうやって利用するんだろ・・・ ルカリオ見せて、恐怖で服従させるとか?wwww http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/876
877: 名無しさん [sage] 社長、向こうから労働力がやって来て良かったですねw シルフィさん、出番ですよ! http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/877
878: 名無しさん [sage] 「チッビィィィ!チィヤアアア!」 「うるさっ…!頼むから静かにしろって…」 庭からリビングへ戻った青年はベビンネの入った段ボールを緩かに上下左右してみるも、一向に泣き止む気配がない。 人間の赤ん坊のように抱き抱えてあやす事も考えたが、じたばたと駄々っ子のように暴れており、とても掴める状況ではない。 「ビチィ!チィチィチィチィ!チィィーーーー!」 親を失ったベビンネに待ち受ける現実は死。 あのまま放置されれば半日と待たずに他のポケモンの餌食となっていたか、一晩空腹と喉の乾きに苦しんだ後に餓死していたかのどちらかだっただろう。 客観的に見れば今のベビンネ達は青年によって命を救われたのだ。その事は間違いない。 「ンチィ!ヂィィィ!!ヂィィィィイ!!」 しかしそんな事を理解する事の出来ないベビンネは、親から引き離された事に対する悲しみ、知らない存在への不安、恐怖でいっぱいになっており、力の限り親タブンネへ助けを求め続ける。 離されても、その分声を大きくすればきっと届くに違いない、そう健気に考えて。 「あー、もう…くそ…」 家中に反響する、耳をつんざくような騒音に青年はとうとう音を上げた。 いつまでも泣いている訳ではないだろうと、あやす事を諦めベビンネ入り段ボールにお盆で蓋をし、その上から毛布をかけ、様子を見る事にした。 「…チィー!ンミィ!チミィィ…!」 今度は周りを暗闇に覆われ、一層恐怖したベビンネは限界を越えて来る事のない親タブンネへと助けを求めた。 しかし、漸くハイハイを卒業した程度のベビンネ達にとって、泣き続けるという行為は想像以上にその未熟な体力を奪っていく。 やがて蓄積された疲労は眠気という形で現れ、突如としてベビンネ2匹は意志とは無関係の強烈な睡魔に襲われる。 「チィ……チィィ…」 本能的に体力を回復させようと脳から送られる指令に抗う事は出来ず、身体を丸め眠る体勢を取る。 程なくしてベビンネ達は意識を失った。 寸前、目が覚めれば目の前にきっと親タブンネがいると信じて。 「あ、静かになった…」 青年が恐る恐る毛布を上げた先に見えたのは海老のように丸くなっているベビンネ2匹。 一瞬ショック死でもしたのかとヒヤッとしたが、緩かに上下するピンクの身体を見て眠っている事を理解する。 今のうちだと青年は毛布をかけ直し、リビングを後にする。 ベビンネ達が眠っている間に親タブンネの死体を保健所に引き取って貰う為だ。 流石に目の前で保健所職員に引き取られる姿をベビンネに見せたくないと考えたのだ。 その後、インターネットでタブンネの育て方を調べようとスマートフォンの検索エンジンに「タブンネ 赤ちゃん」と入力する。 すぐに表示された結果を見て、青年は愕然とする。 「な、何だこれ…」 検索候補の上位に出てきたのは、生まれて間もないベビンネや幼い子タブンネをケージや水槽などに閉じ込め餓死させた、親タブンネの目の前でその子供達を弄んだなどというものだった。 こんな世界があるのか、とその生々しい記述に驚きつつ画面をスクロールしていき、漸くそれなりのベビンネ育成サイトを見つけた。 早速開き、その内容を確認していく。 ・与えるミルクはポケモン用の物で良い。それを湯煎し、人肌まで冷ました物を哺乳瓶でゆっくりと与える事 ・排泄物の処理は小まめに行う。その際、血便や血尿がないかを確認する事 ・2日に一回程度、ぬるま湯にで身体を洗い、その後すぐにドライヤーの温風を弱風で当て体を乾かすこと ・周2回程度、ポケモンセンターで検診を受ける事が望ましい ・ミルクを卒業したら、ケージからだして屋内で飼育する。このところから餌をミルクから子供用ポケモンフーズ、きのみへ変更する ・ある程度育ってきたら適度に遊ばせ体力を付けさせる事 「はぁぁ……なんだよこれ…」 その他事細かに書かれた注意点の多さに肩を落とし、深いため息をつく。 青年は早速ベビンネを育てようと思った事を後悔しつつあった だが、殺してしまったタブンネへの罪滅ぼしの為に引き取ったのだ。 やるだけやってみよう。 何とか気を取り直した青年は、ベビンネの眠っている今のうちにポケモン用のミルクやケージ等を買ってこようと考え上着を着た。 毛布のなかのベビンネがまだ眠っている事を確認し、近くのフレンドリーショップへ急いだ。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/878
879: ショーケースの裏側で [] これはまた楽しみなSSが出てきましたな 飼い始め早々に不穏な空気が漂ってるのが素敵です http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/879
880: 名無しさん [sage] 食材の気持ちが、我慢の限界に取って代わられるまでどれくらいかな ちなみにタイトルは今のところ未定ですか? http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/880
881: 名無しさん [sage] 間違えました、×食材 ○贖罪です タブンネは基本的に食材と思ってるから無意識に間違えたかw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/881
882: 名無しさん [] 上コメの食材の気持ちに笑ってしまった ベビンネSSはやはりいいですね 贖罪から虐待に変わって最後に食材になるのも面白そうですね http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/882
883: 名無しさん [sage] ケージからだして屋内で飼育する・・・ 見張り用のポケモンとかが居ないと悪戯とかしそうで出したくない。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/883
884: ショーケースの裏側で [] 「こんにちは、タブンネちゃん。可愛い赤ちゃんだね♪」 「ミッ!?」 突然部屋に入ってきた人間、社長にチビママンネはぎょっとした ベビ13匹を体にくっ付けている状態ではまともに逃げることは出来ない もし逃げられたとしても、ベビたちの半分は見捨てることになってしまうだろう チビママンネは敵を前にしてどうしたらいいか分からなくなってしまっていた そんなチビママンネに社長はにこやかに話しかける 「怖がらなくていいよ。私は可愛い子タブンネちゃんが大好きなの 可愛い赤ちゃんを見せてくれたお礼にプレゼントを持ってきたよ」 「ミッミ!」 社長がプレゼントと言って差し出したのは丸ごと一個のオボンの実 それを見たチビママンネは目を丸くして驚いた 食料の乏しい場所で生まれたチビママンネにとっては幼い頃にひとかけら食べただけのごちそうだ それが今、丸ごと差し出されているのだから 受けとる前に、目の前のオボンの実と社長の顔を交互に見比べる 同じ人間と言ってもベビたちをさらっていった怖い男たちとはまったく違う 背は小さくて目も丸くて大きく、高くて柔らかな声もどこか自分たちタブンネに近いように感じる その優しそうな雰囲気からこの人間は自分達の味方なのではないかとママンネは思い、オボンを受け取った 事もあろうに昨日同じ部屋で捻り殺されたベビンネの兄と同じ致命的な勘違いであった チビママンネのお腹に顔を埋めてブルブルと震えるベビンネ、 あの社長の殺意を感じ取った個体だけがそれが間違いだと知っていた 「ミッミィミィ…」 「ふふ、美味しそうに食べるね~」 渡されたオボンの実をシャクシャクと音を立てて美味しそうに食べるチビママンネ 体に纏わりつくベビンネたちも一匹を除いてその様子をじっと見ている 丸ごとのオボンの実は1分も経たずに芯も残さずチビママンネのお腹の中に収まってしまった チビママンネが満足したタイミングを見計らって、社長はお願いを始めた 「タブンネちゃんには、ここに残って赤ちゃんたちのお世話をして欲しいの ご飯はいっぱいあげるし、ベッドも用意してあげちゃうよ~」 「ミィ?」 チビママンネは社長が言ってる事をあまり理解出来ていなかったが、ここでベビ達の世話をしてれば良いということだけは分かった ベビの世話は言われなくても喜んでやるだろうが 「チィチィ、チィチィ、チィ!」 母親が食べてるのを見て自分達もお腹が空いてきたベビンネたち チィチィと鳴きながらチビママンネの皮膚を揺さぶってお乳を催促した 気づいたチビママンネはすぐさま寝そべって授乳の体勢になりそれに応えた 「チィィ!チィィ!」「チィチ、チィチィ!」 本当の子もそうでない子も、ベビンネ達はチビママンネのお腹に殺到した 身長90㎝弱のチビママンネのお腹に25~30㎝のベビンネが13匹も集まったものだから大変だ お腹の前は小さなピンクの毛玉が折り重なってぎゅうぎゅう詰めになった チィ!、チィ!、と強い口調の鳴き声が時折ベビンネの塊から聞こえてくる 普段は喧嘩することなどないのだが数が増えたからどうしても乳首の取り合いになる、 おまけに朝から何も口にしてなくてベビ達もお腹が空いて気が立っているのだ そんな中、ベビンネの塊の中から 一匹のベビンネが這い出してきた。25㎝ほどの小さいベビンネだ 小ベビンネは目に涙を一杯溜め、震える手の弱々しいハイハイでチビママンネの顔へと向かっていく 涙目でチィチィと何かを訴えるベビンネを、ママンネは片手で優しく抱き寄せた そして「おちびちゃんの分もちゃんとあるからね」と後ろ頭を撫でながら優しい声で慰めている その光景を見ていた社長は思わず微笑ましい気持ちになってしまった 「よーし、お姉さんがおっぱいのお手伝いをしてあげちゃうよ ちょっと待っててね」 そうチビタブンネに話してから先程作ったミルクを温め直しに戻ろうとした瞬間、社長はあることに気づいた http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/884
885: ショーケースの裏側で [] (そういえば、イベントで授乳ショーをやるって言ってたよね) そう、授乳ショーをやるためには 粉ミルクを飲めるようにしなければならないのだ その為には今すぐにベビンネたちに母乳を絶たせなければならない 「タブンネちゃん、ストップ、スト~ップ!」 「ミッ、ミィッ!?」 社長は寝そべるチビママンネの脇の下に手を回して持ち上げて無理矢理立たせた 急に立たされたもんだからベビンネたちは乳首に吸い付いたまま一瞬宙ぶらりんになってしまい、そしてボトボトと床に落ちた どうしてどうしてと困惑するママンネに、社長は何とか授乳を止めさせようとする 「おっぱい、あげる、ダメ!」 「ミィッ!ミィィッ!ミィッ!」 簡単な言葉と身ぶり手振りで授乳を止めるように伝える社長 チビママンネにその意図は伝わったのだが、首を激しく横に降り言うことを聞く様子がない お腹を空かせた赤ちゃんにお乳をあげてはいけない理由などあるのだろうか? あったとしても、そんなものチビママンネは分かりたくも無いのである 社長も譲歩してもう一個オボンを見せるなどいろいろやったが結局交渉は決裂 横になって授乳の体勢に移ろうとするチビママンネを社長が腕を引っ張って止めるという不毛な争いが10分も続いた 「ンミーッ、ミーッ!ミィーッ!!」 「痛っ、痛い!やめてよ!」 お腹を減らしたベビンネたちを前にして、ママンネの神聖な行いである授乳を何度も止められる… 今まであまり怒った事がないチビママンネも流石に我慢の限界だ 唸り声を上げながら社長の胸やお腹を手のひらでバシバシと叩きだした 小柄で戦闘経験がない未熟なチビママンネだったのでビンタの威力はかなり弱かったが 一応はポケモンの攻撃なので身長160㎝弱の小柄な社長には結構効いている 結局社長は耐えかねて、後ずさりしてチビママンネ親子から離れていった 「うー、そっちがその気ならこっちにも考えがあるんだからねっ!」 「ミッミ!ミッミ!」 涙目になって部屋から出ていってしまう社長 その後も腕を振り回しながら怒るチビママンネだったが、ベビンネたちがぐずり始めてるのに気づいてハッと正気に戻った そして授乳の再開すべく寝そべると床からスタスタと階段を下りる音が聞こえてきた 「音の間隔からして二足歩行」「体重はさっきの人間と同じくらい」 タブンネに先天的に備わっている能力で無知で未熟なチビママンネでもこのくらいの分析はできた この2つの情報からさっきと同じくらいの大きさの弱い人間だろうと高を括ってそのまま授乳に入ろうとする 「ガルッ!」 「ミヒィッ!!?」「チィィ!!」 しかしというか、案の定チビママンネの読みは外れていた 駆け足で部屋に飛び込んできたのは、今朝出会ったあの恐ろしいルカリオだ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/885
886: 名無しさん [] とりあえずママンネの顔面にバレパンを 叩き込んでほしいですw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/886
887: 名無しさん [sage] 目鼻の区別がつかなくなるくらいタコ殴りにしてほしいんだが 授乳ショーに出すとなると傷物にはできない ということは、ベビンネ1匹を見せしめにすることで万事解決! http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/887
888: ショーケースの裏側で [] ルカリオはドリュウズと共にシルフィの見張り兼遊び相手を兄貴分たちに命じられていたのだが 下の階の騒ぎを不審に思いシルフィをドリュウズに任せて様子を見に来たのだ そうして目に入ってきたのは今朝脅したタブンネがなぜか家の中に居るという異常事態だ 「ミッミッミ、ミィー」 さっき人間を追い払ったことで少しだけ自信が着いたチビママンネ 今朝あれほど怯えていたルカリオを前にしても恐れることは無かった 横になったままベビンネたちを腕で庇いつつ「おっぱいあげてるから静かにしててね」とお願いする だが今のルカリオにはそんな物を聞く耳は持たない チビママンネを自分達の家に堂々と侵入し、事もあろうに授乳をしている不届き者と認識しているのだ もし、社長を攻撃している場面を見られていたら今頃命は無かったであろう その点だけチビママンネの運は良かった 『ヂーッ!ヂーッ!ヂィィィィィィィ!!ビィーッ!!』 「ワウ! ワウ!」 「ミィッ… ミィッミィーッ!!」 恐怖と空腹でベビンネたちが大声で泣きじゃくる中、ルカリオとチビママンネの戦いが始まった ルカリオに耳を引っ張って持ち上げられて無理矢理立たされ、その耳に至近距離で怒声を浴びせられるチビママンネ 耳が千切れそうな程痛くて怖かったが、お乳を待ってるベビたちを前にして負ける訳にはいかない 社長にやったようにベシベシ叩いて必死に反撃を続ける しかし、鍛え上げられた身体に鋼の骨格を持つルカリオには全く効いていない 急所である下顎にビンタが当たっても平然としているのだ 最初は穏便に脅して追い払おうとしていたルカリオだが ベビンネがのうるささとチビママンネのしつこさにとうとう我慢の限界に 全身に怒りの青い波動のオーラを纏いながら掌に光の塊、波動弾を形作る だが波動弾がチビママンネの顔面に発射されようとしたその時、大きな工具箱を片手に社長が部屋に戻ってきた 「あっ、ルカリオちゃん駄目だよ、その光るやつ引っ込めてね」 「ガルッ!?」「ミィ?」 社長の一声でハッと我に帰るルカリオ 同時に青いオーラと波動弾は蝋燭の火が吹き消されたようにしゅんと消えてしまった チビママンネもまた呆気に取られて攻撃の手が止まりキョトンとしている 「いい子いい子~、…そうだ、そのタブンネちゃんを後ろから捕まえといてくれないかな?」 「ワゥ!」「ミィッ?!」 社長のお願いに即座に反応し、ルカリオはチビママンネの後ろに素早く回り込んでがっちりと羽交い締めにした 身長に差があったのでチビママンネの身体は持ち上がって宙に浮いてしまう ビービーと声を荒げ足をバタバタさせて抵抗したが、力の差は歴然である 「すごくうるさくなると思うけど、ルカリオちゃんちょっと我慢してね」 そう言いながら社長は工具箱の蓋を開け、ゴソゴソと中を探る そしてそこから取り出したのは、少し大きめのペンチだ 「えーと、ここかな… あったあった」 社長は前屈みになってチビママンネの胸の毛皮をまさぐり、ピンク色の乳首を探し出してペンチの先端で軽く鋏む 「ヒイッ?!」 敏感な乳首へ伝わるペンチの固くてひんやりとした感触にママンネの背中に悪寒が走り、冷や汗が流れる 猛烈な嫌な予感に怯え顔を青くしてプルプルと震えるが、数秒後にその予感は現実の物となった 「ルカリオちゃん、すっごい暴れそうだからしっかりと押さえといてね」 社長はペンチに力を込めて乳首を思いっきり鋏むと、周りの肉ごと乳首をブチリとむしり取った http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/888
889: ショーケースの裏側で [] 「ヂビャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」 その瞬間、鋭い痛みがママタブンネの乳首から脳天へ、そして全身へと駆け巡る 目から涙が洪水のように溢れ、首も腰も足も、動くところは全部めちゃくちゃに動かしてバタバタと大暴れだ 乳首は神経や毛細血管が集中している場所、その痛みは想像しただけでも寒気がする程だ 乳首が取れた痕からは血液と白い母乳がタラタラと流れだし、クリーム色のお腹を濁ったピンクで汚した ルカリオもあまりの所行に青い顔をさらに青くしてドン引きしていたが、拘束の手を緩めることは無かった 「うぇぇ~、自分でやっといて何だけどすっごい痛そー…」 「ヒィッ… ヒィッ… ヒィィィッ…」 「でもがんばって、はい、次いってみよー」 悶絶が収まったのを見計らって、社長は次の乳首にペンチで狙いをつける ペンチの先端が乳首に触れると、チビママンネはガクガクと激しく震えカタカタと歯を鳴らして怯えだした 地獄は始まったばかりだ。乳首はあと七個も残っているのだから 「ジビビーッッ!!クキュウゥゥゥゥゥッッ!!!」 二つ目の乳首をむしり取られた時、チビママンネは全身をビクビクと激しく痙攣させ、失禁して床に水溜まりを作った もう限界と言わんばかりに白目を剥き、舌をダランと出してゼェゼェと苦しそうに息を吐いている 『チィ… チィチィ… チィィ…』 「ミィ…? ミィ…」 二つ目で限界に達したかに見えたチビママンネだが、ベビンネたちのか細い声がその精神を正気へと連れ戻した 血まみれのペンチを持つ社長の後ろに見えるのは、怯え震えるベビンネたち 目の前で大好きな母親がなす術もなくズタズタにされ泣き叫ぶ… ベビンネたちにとってかなり絶望的な光景である ベビンネたちの前でこれ以上情けない姿を見せるわけにはいかない… チビママンネは強い母としての覚悟と共に歯を食い縛り、キッと目の前の社長を睨み付けた 「ミッ!ミッ!ミッ!ミッフィフィィィーン!!!」 だがそんな覚悟も乳首をもぎ取られる毎に薄れていき、三つ目をむしられた時には跡形もなく吹き飛んでしまった こうなるともはやベビ達の姿は目に入らなくなり、 痛みから逃れるために情けなくミィミィと泣きながら社長に命乞いをするのであった だが社長にそんなものは通用しない 六つ目の乳首も容赦なく千切り取られ、部屋中に悲鳴を響かせるのであった 「最後は二つ同時にやっちゃうよ~♪」 右手にペンチ、左手にラジオペンチを持ってカチカチと鳴らす社長 言葉は分からずともやろうとしてることを察したチビママンネは震え上がり、ふるふると首を横に振った もちろん許されるはずもなく、お腹に最後に残った二つの乳首にペンチが襲いかかる 「ヂビガァァァァァァァーーーッッ!!!!」 「あ、一個失敗しちゃった」 二つの乳首のうち左手のラジオペンチの方が完全には取れずに皮と乳腺と血管でぶら下がってるという状態になっていた 血と母乳だらけの傷口から垣間見える白い筋が非常に痛々しい チビママンネの方は叫び尽くして行きも絶え絶えと言った感じだ そんな状態でも社長は妥協せず、取れかけのままだと気分が悪いのでしっかり全部取ってしまう事にした 「えーと、この筋が硬いんだねー」 「オギョワギョオオオオオオ… カッ…」 社長がラジオペンチを傷口に突っ込んでぐちょぐちょとかき回しながら先端で筋を摘むと チビママンネは目をギョロギョロと出鱈目と動かし、もはやタブンネの鳴き声ではなくなった声で喘いでいる 痛すぎてもう発狂する寸前なのだ そして筋を力ずくでブチッと引き抜かれると、チビママンネはガクンと気絶してしまった 「はい、終わったよ~。あとはこれで仕上げっと」 血を拭き取り、パウダーを吹き付けて傷口を塞ぐタイプの傷薬を乳首の痕に一つずつ吹き付けていく社長 処置が終わってルカリオが解放すると、チビママンネは力なく床にバタンと倒れこんでしまった http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/889
890: 名無しさん [sage] 乳首いてててててwww オギョワギョで笑った 過去作にはミェェェェェイ!ワアアアオ!みたいな断末魔も有ったな http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/890
891: 名無しさん [sage] 素晴らしい処刑です、隠れて授乳させることも不可能だ! チビママンネの薄っぺらい自尊心を破壊してくれてありがとうございますw >ミェェェェェイ!ワアアアオ! 断末魔だっけ?眼球破壊だったと思うけど。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/891
892: 名無しさん [sage] 検索したら「あるタブの光と闇・ビギニング 第二部」で 「ミェェイ!ワアアアオッ!ワオオオオオッ!!」 だったw こちらの作者さんもそうだけど、悲鳴の描写もみんな上手いよね http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/892
893: 名無しさん [sage] ちなみにその娘ンネは 「ミェェイ!!ワアアアアオッアオオッ!」 同じく眼球破壊 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/893
894: ショーケースの裏側で [] 「あ、ミルク暖めて持ってこなくちゃ ルカリオちゃん、タブンネちゃんたちが変なことしないように見張っててね」 社長はルカリオとタブンネたちを残してまた部屋から出ていった 「たかが赤ん坊と気絶してるタブンネがどんな悪さをするというのだ」 そんな事を思いながらルカリオはダルそうにタブンネたちを見下ろす そんな中床にうつ伏せに倒れたチビママンネにベビンネたちが弱々しいハイハイでよろよろと集まっていく もちろんすぐ傍で怖いルカリオが睨んでいるのはベビたちにも分かる しかし、恐怖よりも耐え難い空腹の方が勝っているのだ 「チィィ… 」「チィチィ… 」「チィチ、チィチ…」 「ミィ… ミィ!!」 か弱く悲痛な乳を求める声と、たくさんの小さな手に触れられる感触がチビママンネの意識を現実へと引き戻した そうだ、お腹を空かした赤ちゃんたちにお乳をあげなくちゃ… ズキズキとした激しい痛みと朦朧とした意識の中、ただそれだけを思い出し授乳の体制をとるチビママンネ ベビンネたちはハイハイで再びお腹の前に集まった 「チィィ?」「チィ?」 先陣を切ってお腹にたどり着いたベビンネたちが不思議そうに鳴いた 乳首がどこにもなくて、あったはずの場所には白くてザラザラした何か(傷薬)があるだけ それならばとその周りの毛皮に顔を埋めて探すが、乳首はどこにもない 「ミッ… ミィ… ?」 チビママンネもまた自分の身体に違和感を感じていた 大勢のベビたちがお腹の前に集まっているというのに、誰もお乳を吸ってこない あの身体の中からお乳が吸われていくむず痒いけど心地よい感覚がやってこないのだ そんな中、ベビンネのうちの一匹が我慢できずに傷薬を塗った傷口にパクリと吸い付いた http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/894
895: ショーケースの裏側で [] 「ミピィ!!」「ヂボェッ!!」 急な激痛に驚き、ママンネは叫んで横になった状態から飛び起きてしまう 処置をしてあるとはいえ出来立てホヤホヤの敏感な傷口に食い付かれるのはかなり痛い 一方、吸い付いたベビンネの方は涎を大量に垂らしながらオエオエと嗚咽している 何故かというとポケモン用の傷を覆い隠すタイプの傷薬はポケモンが付けた薬を舐め取ってしまわないようにかなり苦い味がつけてあるのだ その苦味はカンポー薬の数倍とも言われている ルカリオは舐めてしまったベビンネを苦い顔つきで見つめていた 実はルカリオもリオル時代に自分に塗られた傷薬を舐めて苦い思いをしたことがあるのである 一生の思い出に残る、それほどの苦味だ それをただでさえ敏感な赤ちゃんの舌で思いきり味わってしまったのだからもうたまらない 「…エッ!ォエッッ!! ェエーッ!… ハァ… ハァ…」「ミィ… ミィ…」 苦味がなかなか口の中から消えず、床に涎と涙をポトポト落としながら激しく嗚咽するベビンネ チビママンネは優しく声をかけながらその背中を優しく擦って慰める 他のベビンネたちはその様子を心配と不安が入り交じったような心境で泣きもせずにじっと見ていた ベビンネを慰めてるうちに、チビママンネの目から涙が数滴こぼれ落ちた 「なんでお乳を吸おうとしたベビちゃんがこんなに苦しんでるんだろう」 「どうして吸われたときあんなに痛かったんだろう」 疑問と悲しみが頭の中をぐるぐるする中、チビママンネ何気なしにベビに吸われて痛かった部分に手を触れてみた 「ミィ…? ミ!?」 傷を触った時、チビママンネは猛烈な違和感を感じた そこにあるはずの大事な出っ張りが完全になくなっている そんなはずはないと痛みを堪えて軽く絞ってみるも、傷薬のコーティングに血が滲むだけ おバカなチビママンネはようやく自分の体の状態と、あの拷問の意味を理解した 「ミッ… ミグッ… ヒグッ…」 チビママンネはガクガク震えだし、瞳から絶望の涙が止めどなく流れた 目の前にいるまだ乳離れしてない8匹の我が子と5匹の大切な友達の子供たち 何よりも大切で愛しいベビたちが飢えて苦しみ、そして死んで行く… 想像しただけでも胸が張り裂けそうな未来が、確実に訪れようとしている なぜ、ここからベビたちを連れてすぐに逃げ出さなかったのか なぜ、ルカリオと戦おうと思ってしまったのか… なぜ、8匹もベビを作ってしまったのか… 様々な絶望と後悔がチビママンネの心の中で膨らんでギチギチと胸を締め付ける 「ヂッ… ヂビッ…」「ビィィ… ビッ…」 チビママンネの絶望に呼応して7匹のベビンネたちもグスグスとぐずりだした 嗚咽ンネのはまだ嗚咽したままだが タブンネは他者の感情に敏感なポケモン。血の繋がった親子なら尚更だ ベビンネたちもまた、自分の将来が閉ざされてしまったのを母の心の音から察したのだ その絶望と悲しみはやがてお隣さんのベビンネたちにも伝わり、やがて涙の大合唱へと発展していった そんな泣き声の嵐とたまに聞こえる嗚咽の中、部屋のドアがガチャリと開いて社長が戻ってきた ミルクが詰まった哺乳瓶を満載した箱を持って 「ふぇー、重い… ルカリオちゃんに手伝ってもらえば良かったよー」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/895
896: 名無しさん [sage] ベビたちを連れてすぐに逃げ出すが最悪の選択肢だと思う。 素早さ50の鈍足だから、ルカリオの神速で追いつかれてママンネ撲殺ルートに繋がるw 「空腹は最高の調味料」と言いますがベビンネにも適応されるかな? http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/896
897: 名無しさん [sage] >おバカなチビママンネはようやく自分の体の状態と、あの拷問の意味を理解した あの拷問はペンチでつねられていただけと思っていたのか?バカすぎるw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/897
898: 名無しさん [sage] 傷薬が剥がれてきたら授乳出来るようになるのでは? 友達が飼ってる保護犬も乳首ない(前の飼い主に虐待されたらしい)けど子犬に乳あげてるし。 だけど痛みでママンネが発狂する方が先かなw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/898
899: 名無しさん [sage] 何か社長の喋り方がBWのベルっぽいなー やめたげてよお!の本家本元なのがなんとも・・ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/899
900: 名無しさん [sage] 個人的にはFRLGとDPのポケモンブリーダーを足して2で割った感じ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/900
901: <削除> [<削除>] <削除> http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/901
902: <削除> [<削除>] <削除> http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/902
903: <削除> [<削除>] <削除> http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/903
904: ショーケースの裏側で [] 「ミィ… ミィ…」 ここは社長に怒りの一撃を食らわしてやるのが筋なのだろう しかし、乳首を奪った張本人である社長が目の前にいてもママタブンネは座り込んだまま動かなかった 余りにも深すぎる絶望で身体が動かせないのだ 「お待たせ~、お腹空いてるでしょ。ミルクの時間だよー」 社長は箱を床に置き、一本の哺乳瓶を取りだして飲み口をベビンネに近づける しかし向けられたベビンネは口を固く閉じて後ろに引いてしまう さっきと同じように哺乳瓶からミルクが出てくると理解できないのだ 「うーん、やっぱり飲まないなぁ… これならどうかな?」 今度は自分の手の甲にミルクを数滴垂らし、そっとベビンネたちの前に差し出してみる すると匂いに惹かれた一匹のベビンネが社長の手の甲に近づいてきた 少し怖がって恐る恐るなゆっくりとしたハイハイだったが、社長の手に辿り着き手の甲のミルクをペロリと舐めた 「…!!」 ベビンネは目を見開いて静かに驚いた 母親のとは少し違うが、確かに待ち焦がれていたお乳の味だ なぜ人間の手の甲からお乳が出ているのか? そんな事は空腹の極限状態であるベビンネは気にも留めなかった ただ手の甲のお乳を塗ってあった場所に夢中でむしゃぶりついて皮膚をチュウチュウと吸っている もちろん人間の手からお乳は出てこない だが、ベビンネはお乳が出ると信じて力一杯手の甲を吸い続ける 小さな手で社長の指をしっかり掴み、涙まで流しながら 「あいたた、おっぱいはこっちじゃないよー」 「ヂッ? ジビッ… ビーッ!」 少し痛くなってきたので社長はプルプルと少し手を振ってベビンネを振りほどいた 手の甲の真ん中なベビンネの口の形にほんのり赤く充血していたのでけっこうな力で吸っていたのが分かる 一度は手を離したベビンネだったがは焦った声で鳴きながらまた社長の手にすがり付いた 朝からお腹がカラッポのベビンネにとっては生きるか死ぬかの瀬戸際なのだ 数滴とはいえミルクを見てしまえば必死になるのも無理はない 「ベビちゃんのは、こっち!」 「チグッ?!」 社長は手の甲を吸おうとする横から哺乳瓶の吸い口をベビンネの口に無理矢理突っ込んだ もちろんベビンネは嫌がって押し退けようとする しかし、押し込んだ拍子に吸い口から飛び出したミルクが数滴舌の上に落ちると態度は一変 素早く哺乳瓶を掴んでゴクゴクとすごい勢いで飲みだした 「チィィ…?」「チイ?」「ミ?」 他のベビンネたちとママンネはミルクを飲んで喉を鳴らす音に反応し、視線を社長とミルクを飲むベビに集める 世の事は何も知らないベビ達にもその音がミルクが喉を通る音だという事は分かる 兄弟たちの喉で鳴るその音をすぐ隣で聞いているからだ そして一匹、また一匹とハイハイを始め、しゃがんでミルクを飲ませている社長の下へと集まっていく http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/904
905: ショーケースの裏側で [] 「チィチィ!」「チッチ!」「チーッ!チーッ!」 「えわわ、ちょ、みんなにもちゃんとあげるから待ってね」 12匹ものベビンネに群がられると流石の社長も焦った ベビンネたちは足やお尻を小さな手で揺するように押したり エプロンの紐やスカートの裾を引っ張ったり、ミルクを飲むベビンネぴったりくっついて横から吸い口をペロペロ嘗めたり ふくらはぎにできていたおできを乳首と勘違いしてチュパチュパ吸ったりと大騒ぎだ やられている社長はたまった物ではないが、この全ての行為はただお乳が欲しいが為だけの必死なおねだりなのだ 「ほらほら、ミルクはここだよ~!」 『チィーッ!!』 困った社長は無理矢理片手に3本ずつ哺乳瓶を持って群れるベビンネ達の目の前に差し出す すぐに全ての哺乳瓶にベビンネが食いついてミルクを飲み始めた が哺乳瓶が6本に対しベビンネは13匹 まだ半分以上のベビがミルクからあぶれたままである 結果哺乳瓶の周りはギュギュウの押し合いになり、ヂーヂーと声を荒げて喧嘩するベビも出てきた チビママンネはそんなベビンネ達をミィ、ミィとあやす時の声で鳴きながら頭や背中を撫でてなだめようとするが ベビ達の注意は完全に哺乳瓶の方に向いていてなんの効果も無かった 「そうだ、ルカリオちゃんも手伝って!そこの箱に哺乳瓶入ってるからベビちゃんにあげてね」 「ワフ?」 ルカリオは指示に戸惑いながらも箱から哺乳瓶を取り出して両手に1本ずつ持ち そして膝をついて吸い口をベビンネ達に向けた オスなのでこういう事には慣れてないのだ 「チィ?」「チィィ?」 「クゥ~ン…」 哺乳瓶に気づいたベビンネ2匹がそろそろとしたハイハイでルカリオに近づき、持っている哺乳瓶から恐る恐るミルクを飲み始めた やはり社長よりか見た目が怖いので若干警戒しているのだ ルカリオも慣れない猫なで声など出して頑張ってはいるのだが 「チィ… チィ… 」 「ミィ…」 ベビンネの押し合いの中から一匹がよろよろと抜け出してきた 先程チビママンネが授乳しようとした時、乳首争奪戦に負けてママンネに慰められていたあの25㎝ほどの小さいベビだ 知らないベビにも、仲良しだった兄弟たちにも揉みくちゃにされ、押し退けられて今までにないほどに泣いたのであろう 顔の毛皮を涙でくしゃくしゃに濡らした、この上なくみじめで悲しみに溢れる顔だった その顔を更に涙と鼻水で濡らしながら、小ベビンネは震える手のハイハイでチビママンネに近づいていく そんな小ベビンネをチビママンネはそっと抱き上げて、濡れた顔をペロペロと嘗めて綺麗にしてあげた くすぐったいのと嬉しいのとで、小ベビンネは「チッチッw」と少しだけ笑った その笑顔とは裏腹に、小さなお腹はキュルキュルと鳴り悲痛に空腹を訴えるのだった そしてその音は、お腹を空かした我が子に何もしてあげられない無力なチビママンネの心を、キリキリと締め付けるのであった http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/905
906: 名無しさん [sage] 最初から強引に飲ませれば良かったな・・・社長さん要領悪いw 25㎝ベビはどうなる? 普通なら淘汰されて衰弱死がふさわしいけど http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/906
907: <削除> [<削除>] <削除> http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/907
908: ショーケースの裏側で [] 「ルカリオちゃん、そのタブンネちゃんにも手伝わせて!」 「ワウ」 ルカリオは一端授乳を中断して、哺乳瓶を箱から取り出してチビママンネに手渡す 哺乳瓶を小脇に挟み、なぜ敵のルカリオが自分に哺乳瓶を渡すのか状況が掴めずに困惑するチビママンネ 小ベビンネは抱っこされたまま頑張って体を伸ばし、哺乳瓶の吸い口をチュウチュウと吸った しかし、ビンが上を向いていたのでいくら吸ってもミルクを飲むことができなかった 「ワウ、ワウ、」 「ミィ?」 チビママンネに、ルカリオは瓶を下に向けるとお乳が出ることを教える 理解は出来たがチビママンネの手は小さく片手では哺乳瓶を持てかった 仕方なく小ベビをそっと床に下ろし、両手で哺乳瓶を持って授乳を始める すると小ベビンネはコクコクと小さく喉を鳴らしてミルクを飲み始めた 「ミィ…!ミィ…!」 「お、けっこう飲み込みが早いね~、その調子でお願いね」 ミルクが小ベビンネの細い喉をゆっくりと通り、そしてお腹の中に落ちていく音は チビママンネが失いかけていたベビたちの将来への希望と母親としての自信を少しずつ取り戻していった ミルクを飲み終わって満腹になり、哺乳瓶から口を離しても小ベビンネはチビママンネの足に抱きついたまま離れなかった どんなにお腹が空いても、酷いことをされても、悲しくても、最後は優しいママが助けてくれる… 今朝からの出来事で、小ベビンネのチビママンネへの信頼と依存はこれ以上無い程深いものになっていた 『チィ… チィ… チィィ…』 「ふぅ、やっと飲み終わってくれたよ」 社長が8匹、ルカリオが3匹、チビママンネが2匹のベビンネにミルクを飲ませ、どうにかベビ達の全員の授乳を終わらせる事ができた お腹一杯になったベビ達は再びウトウトしだして、何匹かは床に突っ伏してそのまま眠ってしまっている 「ミッ… ミミッ」 次々と眠りに落ちていくベビンネたちを目の前にして、「暖かいベッドに連れてってあげなくちゃ」とチビママンネは思った しかし、この場所にはベビを安全に寝かせられるような隠れ場所も、気持ち良く眠れるような柔かな草のベッドもない それらが備わっている自分の巣は遥か遠く、ついでにこの場には何を考えてるのか分からない人間とポケモンがいる ベビ達にお乳を与えた安心感から忘れかけてはいたが、今はかなり危機的な状況なのだ 経験と判断力が圧倒的に不足していたチビママンネは困りながらただウロウロとベビ達の回りを歩き回ることしか出来なかった 「あっ、もうおねむなんだね~ 今ベッドを用意してあげるから出荷の時間までゆっくりおねんねしててね」 そんなチビママンネとは対照的に、おねむのベビンネ達にも落ち着いた様子で対処する社長 ベビを3匹まとめて抱っこして、先程の段ボールの寝床にそっと寝かせていく 「ンミッ?ミーッ…!」 それを見たチビママンネはまたベビ達が閉じ込められてしまうと勘違いしてしまった そしてベビを取り戻そうと先程破いて開けた隙間を無理矢理押し広げながら段ボールの中へ入っていく 「ミィ…?」 最初は一刻も早く段ボールの中から出してあげよようとしていたチビママンネ だが、段ボールの中に踏みいってバスタオルの上ですやすやと気持ち良さそうに眠るベビンネを見ると気持ちは変わった フローリングよりかはほんのり暖かい段ボールの床に、いつもの草のベッド程では無いが柔らかいバスタオルのベッド… かなり狭いがここでベビ達が安全に眠れるんじゃないかとチビママンネは思いついた そして段ボール箱の中で身を丸めながら横になり、眠るベビンネたちを優しく抱き寄せる 「んー? もしかしてベビちゃん達と一緒に眠りたいの?」 社長はチビママンネが入っているのも関係なしに次々と段ボールの中へベビンネを寝かせていく やがて13匹全てのベビンネが入れられると、段ボールの寝床はぎゅうぎゅう詰めになった タオルの上に置ききれなかったベビはチビママンネの上に乗せられ、まるでベビンネのかけ布団という状態だ ベビの布団はけっこう重かったが、温もりと今朝からいろいろあった疲れに負けチビママンネはゆっくりと眠りに落ちていく 「うふふ、もう少しで出荷だから今のうちにゆっくり休んでてね」 眠りに落ちていく中で、チビママンネは部屋に積まれた箱から子タブンネの静かにすすり泣く声が聞こえてくることに気づいた 「どうしてあんな所からに子どもの声が聞こえるんだろう?」 気にはなったが、そんな疑問は睡魔に負けて眠りの中に消えていった http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/908
909: 名無しさん [sage] ほのぼのしてていいですねー 嵐の前の静けさなんだろうけど http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/909
910: 名無しさん [sage] 小ベビンネの信頼と依存ですか・・・売買での引き離しが楽しみw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/910
911: ショーケースの裏側で [] それから何事もなく時間は過ぎて午後三時になり、中形のトラックが会社へとやってきた 子タブンネたちをデパートへ出荷する時間がやってきたのだ 「お疲れさまです、もう出荷の準備は整っていますよ」 「こんちはこんちは、それでは早速持っていかせてもらうざんす ホレ、荷物は家の中ざんす、中身はポケモンざんすから気をつけて運ぶざんすよ~」 「あっ、玄関でうちの社員が2人待ってるから詳しい場所はその人に聞いてね」 デパートのざんす男の指示で、運送屋の2人の男が家の中に入っていき、子タブンネの入ったキャリーケースを次々と運び出し、トラックへ積み込んでいく 『ミィッ!ミィッ!ミィッ!ミィッ!ミィーッ!!』 棺桶のような狭いケースの中では眠るしかないので眠っていた子タブンネたちだが 早足で運ばれる激しい振動で目を覚まし、何が起こっているのかわからず寝ぼけながらミィミィと騒ぎだした 「ふう… いったいいくつあるんですか?」 「詳しい数は社長に聞かないと分からねえですが、確か250くらいですぜ」 「ひぇー、そんなに売れるもんなんすかねタブンネって」 「まあー、イベント用らしいですからな、しかしウチにいるタブンネをほとんど全部お買い上げとは恐れいったぜほんとに」 兄貴分の言う通り、傷物意外ほぼ全ての子タブンネがデパートに買われたのだ 売り値は質に関わらず一律で一匹9000円、そして売れた子タブンネは243匹 218万7000円の会社始まって以来の大商談である 「ところで、あのケージが置いてある部屋にあった破れた段ボール 、 あそこにもタブンネが入っていたんすけどアレは持ってくんですかね?」 「あ、今朝獲って来たやつだ、急いで梱包しねぇと…」 「破れてる?まさか」 そう、チビママンネとベビンネ達は輸送用のキャリーに入れられる事なく未だ段ボールの寝床の中にいて運送屋の屈強な男たちの大きな足音で目を覚ましていた 狭い段ボールの中、チビママンネは足音の主に見つからないように身を屈めて今にも泣き出しそうなベビたちを必死になだめていた こう書くと頼もしい母親に成長してきたように思えるが、チビママンネもまた泣きそうになっているのがまだ頼りない所だ 一方、社長もまた自分の失敗に気づいていた 「あっ、ベビちゃん達をケージに入れるの忘れてた!」 「ほう、先程連絡があったベビィちゃんざんすな 運ぶ前にちょいと見せて貰っても構わないざんすかね?」 「はい、大丈夫ですよー、家の中にあるので私についてきてくださいね」 「それではまたお邪魔するざんすよ」 そうして家の中へ入っていった社長とざんす男 そして子タブンネが入ったキャリーとチビママンネ親子が置かれている部屋に入ると、 男2人と運送屋の男が段ボールを囲み怪訝な顔で中を覗きこんでいた その中のチビママンネはベビを庇いながらも敵に囲まれた恐怖でプルプルと震え、 その恐怖はベビ達にも伝わってベビたちも同じように震えていた 「あれ、どうしたの2人とも」 「あっ、社長。何故か今朝獲って来た赤ん坊の親タブンネが箱の中に居るんですよ 連れてきた覚えは無ぇのにまったく不思議なもんで」 「あ、言うの忘れてた。ベビちゃん達を追いかけて来ちゃったみたいなの、 それで丁度いいから臨時のお世話係として置いておいたってわけ」 「赤ん坊の泣き声を聞き付けてここが分かったんでしょうな 5kmくらい離れてても聞けちまうとは、耳がいいのは知っていたが想像以上だぜ」 「はえ~、すごいもんざんすねぇ ところで、このマーマさんに退いてもらってベビィちゃんたちをもっとよく見てみたいんざんすが よござんすかね?」 「オーケーですぜ、ちょいと騒ぐかもしれやせんが勘弁してくだせぇ… よいしょっ!」 「ミッミッミー!!」 弟分は「よいしょ」の一声と共にチビママンネの両腕を掴んでまるで大根でも引っこ抜くかのように箱から一気に持ち上げた 持ち上げられたチビママンネは足をバタつかせて抵抗し、 宙に浮いても尚その視線を段ボールの中のベビたちから離さず、必死に鳴いて何かを訴えていた 人間の言葉に直せば「泣かないで」「大丈夫だよ」などの意味を含んむ慰めと励ましの声である もうこれ以上、可愛いベビに涙を流させる訳にはいかない… チビママンネはベビたちを不安にさせまいと必死なのだ 「チピィィーー!!」「チーッ!!チー!!」「ビィィィ!!!」 しかし、その声も空しく箱の中に残されたベビたちは一斉に泣き叫んだ 母親と触れあっていることで押さえられていた恐怖と不安が無理矢理離された事で一気に爆発したのだ 興味が勝るのか、ざんす男は13匹のベビンネが一斉に泣き叫ぶ爆音にも怯む様子もなく段ボールの中を覗きこんだ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/911
912: ショーケースの裏側で [] 「ほほ~、昨日見せてもらったベビィちゃんよりもっと小っちゃいくて可愛いざんすねぇ~ でも、ちょっとマーマさんにべったりすぎるじゃないざんすか? お客さんに触らせていいものかちぃと不安ざんすよ」 「うーん、その点は大丈夫だと思いますよ。 さっきは私の手からミルクを飲みましたし、抱っこしても泣きませんでしたし 今泣いているのは寝てるときにドタドタした足音で起こされてご機嫌斜めなのかもです」 「抱っこして人の手からミルクを? それなら授乳体験も大丈夫そうざんすねぇ~ いや~、社長さんにも社員のお二方にも改めてお礼を言わせて頂くざんすよ~」 「いえいえ、こちらこそこんなに沢山お取引頂いてありがとうございます」 「どういたしましてざんす、 ところで、あのマーマさんはお世話係という話ざんすがどういった事をしてくれるざんすかね?」 「そうですねぇ… 泣いてたらあやしてくれますし、哺乳瓶でミルクも飲ませてくれますよ えーと、あとは…」 思い出してみたらそれくらいしかやってなかったので言葉に詰まってしまう社長 それを見かねて、兄貴分がトレーナー時代に学んだうろ覚えの知識で続きを話しだした 「あー、糞尿の処理もやってくれますよ。こう見えても野生の個体ですからねこいつぁ あとは保温ですかね。人の手で育てるときは湯たんぽやら電気あんかやら使うんですが、やっぱ母親の体温で暖めるのが一番ですぜ」 「ふむふむ、それは大助かりざんすねぇ… 」 「あ、でも母乳は出ないからミルクは私たちで作らないといけないですね」 ざんす男はベビたちの泣き顔を眺めながら少し考え、ある事を決断した 「このマーマさん、イベントの間レンタルさせて頂けないざんすかね? 買ってからのベビィちゃんの管理はこちらとしても不安があったんざんすよ」 「あー、大丈夫ですよ。沢山買ってくれたからサービスでお付けしちゃいます!」 「サービス! いや~器量もきっぷもいい社長さんで良かったざんすよ~」 「へぇ~、こいつもイベントに出すんですかい?」 「いえ、裏方としてベビィちゃんのお世話をして頂くざんす ベビィちゃんは売り物でもあるざんすから お売りするときにお客さんの目の前で母親と引き離すなんて事したらマイナスイメージざんすよ」 「あー、言われてみたらその通りですなぁ よくよく考えたら俺らもなかなか酷ぇ商売してるよなぁ、ハハハ」 弟分が笑いながらチビママンネを地に下ろして手を離してやると 脇目も振らず段ボールの中に裂け目から押し入り、撫でたり抱っこ したりしてベビたちをあやしだした 「ふむふむ、熱心ざんすねぇ~」 「それじゃあ、こいつらを運べるようにするとしますか でけぇケージに親子一緒に入れちまうのがいいかな?」 「トラックで運ぶんだぞ。シートベルトも無しに一緒に入れたんじゃあ輸送中に親が転げて赤ん坊を押し潰しちまうかもしれん」 「うーん、親子を別々の入れ物に入れて輸送した方がいいかもしれんざんすねぇ」 「そうですねぇ、じゃあ、早速箱を用意して詰め込んじゃお~」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/912
913: ショーケースの裏側で [] その後色々と話し合いをした結果 チビママンネは大型の青果用木箱、ベビンネたちは特大の発泡スチロール箱に纏めて入れられる事に決まった 「ミ゙ーッ!ミ゙ーッ!ンビビーッ!」 「オラッ!暴れんなよコラ!」 兄貴分と弟分によってまだ泣いているベビンネから引き剥がされるチビママンネ 必死に暴れて抵抗したが手足を縛り上げられ、いつもの麻袋に首だけ出して入れられてから箱詰めにされた 『ヂビィィィィィィィ!!ムビィィィィィィィ!!』 「はいはい、ベビちゃんのおうちはこっちですよー」 一方、ベビンネたちは泣きながらも必死にハイハイして引き離された母親に必死に追いすがろうとする しかし、チビママンネに近づくそばから次々と社長に捕まり、小型の洗濯ネット一網に一匹ずつ入れられていく そうして全てのベビンネが洗濯ネットに入れられると、社長はそれを緩衝材の入ったスチロール箱に一匹ずつ丁寧に入れていく 「ふむー、半分はこっちが原因とはいえなかなか壮絶ざんすねぇ」 3人の手によって作業開始から10分ほどでミィミィとうるさい荷物の箱が2つ出来上がった 「梱包終わりました! 赤ちゃんの箱にはエアポンプをつけて空気を送っているので大丈夫だと思いますが、 酸欠以外にもストレスも心配ですのでそちらに着きましたら早めにキャリーから出してあげてください」 「了解ざ~んす、重ね重ね丁寧な心遣い感謝するざんすよ」 その後、それほど時間はかからずに積み込み作業は終わり ベビンネたちとママタブンネ、そして子タブンネたちを載せたトラックはデパートへと向かっていった 3時間の道のりの中、子タブンネ達は暗闇と震動とエンジンからの轟音に怯えていた 恐怖から必死にキャリーの壁を叩く子、引っ掻く子、キュッと目を閉じて眠くもないのに必死に眠ろうとする子 そして闇に浮かぶママンネの幻覚に必死に助けを求めて泣き叫ぶ子… 子タブンネが必死に足掻く騒音や泣き声、叫び声が他の子タブンネの恐怖を煽り、3時間の道のりを永遠にも感じられる地獄の時間に変えていた そんな中、あの13匹のベビンネ達は小さな耳と触角で叫喚の中から近くにいるチビママンネの存在を必死に聞き分け、 辛うじてその幼く弱々しい精神を正気に保たせていた その道のりもやがて終わり、トラックはデパートに到着してバッグで荷台を搬入口に向けて停まった http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/913
914: 名無しさん [] 相変わらずザンス男の喋り方は面白くていいね。 そして麻袋に首だけのチビママに、 サンドバッグ系ssを連想してしまったw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/914
915: 名無しさん [sage] 洗濯ネットに入れられ、緩衝材の入ったスチロール箱に 思いっきり「物」扱いで梱包されるベビちゃんたちの姿想像して吹いたw http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/915
916: ショーケースの裏側で [] トラックの荷台が開かれてタラップが下ろされると、待ち構えていたデパートの社員達が子タブンネが入ったケージを次々と荷台の中から運び出していく そして用意してあった台車に数箱ずつむとめて乗せて保管部屋へと運んでいった 「フィィ… フィィ… ミッ… ミッ…」 「チィチ… チィチ…」 台車の上のキャリーからは子タブンネたちの弱々しい声が聞こえてくる 地獄の長旅でだいぶ憔悴してはいるがしっかりと生きている トラックから少し遅れて、ざんす男も車でデパートに到着した 「ふぃー、遅れてすまんざんすよ お、搬入は順調に進んでるざんすね」 「はい、保管場所に運び次第検品も行っております」 「ふむ、私もすぐに検品に入るざんす」 そうしてざんす男は部下と共に検品場である会議室へと向かった そこの様子はいつもとは違い、ドアに近づくだけで子タブンネたちの鳴き声が聞こえてくる 中ではいつも並べられている机は折り畳まれて壁際に片付けられておりドアには脱走防止用の腰の高さ程の金柵が設けられており その向こうで新聞紙が何重にも敷き詰められた床の上を何匹もの子タブンネがオロオロと歩き回っていた そんな所に、ざんす男が柵をひょいと飛び越えて入っていく 「おつかれさんざんす、おおー、」 「あ、チーフ(ざんす男)、お疲れ様です 現在75匹のタブンネの検品が終わりましたが、今のところ死着はゼロです」 「ほっほ~、けっこうけっこう。 いやー、イベント直前に急いで見つけたけどいい業者に当たって良かったざんすよ」 「前の業者は最悪でしたからね… 素人以下ですよあそこは」 「うむ、まったく思い出したくもないざんすよ」 ざんす男の部下が言う前の業者と言うのは、このイベントをやるに当たって事前に子タブンネを発注していた業者で ざんす男は安さに惹かれてそこに決めたのだがそれは大きな失敗で、とてつもなくいいかげんな業者に当たってしまったのだ その業者は野生からかき集めた300匹近くの子タブンネやベビンネを空気穴も空けていない貨物用の小型のコンテナに一度に詰め込み、 それを屋外に半日放置したあと中身を確認せずデパートにそのまま送って来たのだ ざんす男とデパートの平社員はそのコンテナを開けた時の事を忘れることは出来ないだろう 異様に重いコンテナの扉を開けた瞬間、沢山の子タブンネやチビンネの死体が悪臭と共にドドッと雪崩落ちてきたのだ 半日以上放置されたコンテナの中は酸欠状態になり、 中の子タブンネたちは息苦しくなって外に出ようと扉に殺到したものの 結局出られずにそのまま窒息死、もしくは他の子タブンネに押し潰されて圧死してしまったというわけだ 奇跡的に的に生き残っていた子タブンネも数匹はいた。しかしイベントを開催するにはどう考えても足りない 業者に苦情と代わりの子タブンネを要求もしたが 代金は要らないというだけであの数の代わりの子タブンネは用意できないという事だった そのため急遽別の業者に頼む事となり、あの社長と男二人の会社に白羽の矢が立ったのだ http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/916
917: ショーケースの裏側で [] 惨劇を思い出してざんす男と部下が嫌な気分になっていると、女性社員が大きなスチロール箱を持って入ってきた 「あっ、そのスチロール箱の中にベビィちゃんたちが入っているざんす 13匹入ってる筈ざんすから確認するざんすよ」 「はいっ、すぐに… え?」 蓋を開けた時、女子社員は困惑した ピンク色の小さなタブンネが沢山の入っている思っていたら、 青い網の塊らしきものが何かが緩衝材の間にポツポツと入っているだけだったのだ 「その洗濯ネットの中にベビィちゃんが入ってるざんすよ」 「ええ…? かわいそ…」 「むーん、でも少し静かすぎるざんすね、手にとって確かめてみるざんす」 まだ頭に混乱が残る中、その洗濯ネットを手にとってみると、ほんのり暖かい そして手の上でもぞもぞと動きながら「チィ、チィ」と小さく鳴くのであった 「眠っていただけだったみたいざんすね。安心安心 ネットから出して品質を確認したら… えー、子タブンネとは別にしておいた方がいいざんすねぇ…」 ざんす男がベビをどこに置いていくかか少し迷っていると、男性社員が部屋の一角の柵で囲ってある所を指差した 「自分もそう思ってベビーサークルで赤ちゃんタブンネ用のスペースを用意しておきました」 「おほ、気が利くざんすね~ では、品質に問題が無かったらそこのサークルに入れておくざんすよ」 「はい」 そうして女子社員は洗濯ネットのチャックを開けて中からベビンネをそっと取り出すと、 掌の上に寝せるように両手で優しく抱いてどこかおかしな所が無いか観察した 「チィィ… チィ…」 女子社員の手の上で、ベビンネは涙の跡が残る目元を小さな手でくしくしと拭った そして小さな耳をピコピコと動かした後、キョロキョロと周りを見回しながらチィチィと何かに呼び掛けるように鳴いている 「ふへ~…、可愛いなぁ…」 その愛らしい仕草に、女子社員は仕事中だという事も忘れてうっとりと見とれてしまったのであった 「ホッホッホ、可愛いのは分かるけどあと12匹もいるざんすよ さ、次のベビィちゃんを検品するざんす」 「あ!すいません…」 女子社員は慌ててベビンネをベビンネ用のスペースの中に仰向けにして置くと、 すぐさま次の洗濯ネットを空けて中のベビを検品し始めた 「チィー… チィ… 」「ミィ?」「ミィーミ~」 ベビーサークルの周りでは、数匹の子タブンネが中のベビンネを覗きこんでいた 心配そうな表情をする者、不思議そうな表情な者、ミッミとおどけてみてベビを笑わせようとする子など個性豊かだ 目が覚めたら近くに母親が居なくて不安でたまらなかったベビだが、 この子タブンネたちのお陰でだいぶ寂しさと不安が和らげられている http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/917
918: ショーケースの裏側で [] その後作業が順調に進む中、体格がいい社員が木箱を台車に乗せて会議室の前にやって来た チビママンネが入っている木箱だ 「チーフ!この箱だけやたら重いんですけどこれも子タブンネなんですか?!」 「おお、マーマさんも来たざんすね~ 早速出してあげるざんす」 「あっ、はい」 体格がいい社員はネイルガンで閉じられていた木箱の蓋をベリリと剥がすと、チビママンネがムクリと起き上がってパチパチと数回まばたきをした その後、何が何だかわからないという感じでキョロキョロと見回していたが、 突然驚いたように目を丸くして部屋の中のある一点を見つめた その一点とはベビンネを抱っこしながら検品している女子社員だ 作業を急いで扱いが荒くなっていたのか、ベビンネは泣きそうな顔をしている 「ン、ンミィィィーーーーー ッ!!!!」 「うわっ、何だ!?」 その瞬間、チビママンネは雄叫びを上げて箱から飛び出した ベビンネが酷いことをされていると勘違いしたのだ そしてベビを助けるべく、全速力で女子社員に向かって突進しようとした …が部屋の入り口にあった柵にガシャンと腹を強打して後ろに転がってしまった その音で子タブンネたちは一斉にビクッと驚いて動きを止めた 「何がしたいんだこいつは…」 「あー、きっとベビィちゃんの所に行きたいのざんしょ、 この子はあのベビィちゃんたちのマーマさんざんすからね イベントまでのベビィちゃんのお世話係として借りてきたざんす」 「へえー、それじゃあ、あのベビーサークルに一緒に入れてあげましょう」 「ミッミッ!ミィー!」 転んだせいで腰が抜けたチビママンネは体格のいい男性社員に持ち上げられて運ばれ、 ベビたちのいるベビーサークルへと入れられてしまった 「チィ!」「チィィ~」「ミッミィ~」 自分の置かれてる状況がよく分かってないチビママンネだったが 泣きそうになってるベビ達を見るとすぐに一匹を抱き寄せてあやしだした ベビたちの方もチビママンネの側に集まり、チィチィと甘え声を出して我先に構ってもらおうとする 「はい、この子が最後だよ。優しくお世話してね」 「チィィ… チィィ…」 「ミィ?」 ベビ達の検品が終わり、女子社員はチビママンネに最後のベビンネを手渡した チビママンネは女子社員をベビを虐める悪いやつだ思い込んでいたので何故自分に返してくれるのかがよく分からなかったが ここは素直に受け取って一刻も早くベビを慰めてあげる事にした チビママンネもベビのお世話に集中し、子タブンネの検品作業も終盤に差し掛かった時、 検品前のキャリーに「あかんぼう」と横に書かれたものがあることに女子社員が気づいた 扉を空けて中を見てみると、そこにいたのは他の子タブンネより一際小さい、書いてある通りのベビンネだった 同じベビでも先程のベビよりかは一回り大きい、歯も生えてきていてあんよを始める時期のベビンネだ 「 あれ、 赤ちゃんはさっきの13匹だけじゃなかったのですか?」 「ああー、それはさっきのとは母親が違うベビィちゃんざんす 確か6匹いたざんすけど危うく忘れるところだったざんす」 「品質に問題はなさそうですね、こいつもあのベビーサークルに入れておきますか」 「ふーむ、母親が違うというのが不安ざんすが… まあとりあえず置いてみるざんしょ 観察してみて、もしマーマさんがおっきいベビィちゃんを虐めるようだったら別のところに移すざんす」 ※ざんす男はチビママンネが世話をしているベビンネの中に本当の子じゃないベビが混ざっているのを知らない http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58124/1404741040/918
メモ帳
(0/65535文字)
上
下
前
次
1-
新
書
関
写
板
覧
索
設
栞
歴
あと 82 レスあります
スレ情報
赤レス抽出
画像レス抽出
歴の未読スレ
AAサムネイル
Google検索
Wikipedia
ぬこの手
ぬこTOP
0.134s*