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173: 部外者 [いろいろ興味深いっすね ] 2001/03/09(金) 10:25 AAS
「規制資本主義捨てよ」「ユニバーサル」はチャンス
ウィリアム・ケナード前米連邦通信委員会(FCC)委員長の基調講演
外部リンク[html]:www.nikkei.co.jp

 情報通信分野では世界各国が自由化の重要性を認識し、市場開放によって新しい市民サービスが次々と生まれている。米国でもインターネットなどナローバンド(狭帯域)レベルでの普及は進んでいるが、広帯域のブロードバンドはまだ努力が必要だ。
 米連邦通信委員会(FCC)の前委員長として学んだ五つの教訓を今日は紹介したい。ブロードバンドネットワークを普及させるための参考になるはずだ。まず第一に独占体制の魅力に気をつけることだ。80年代に米国政府が下したいくつかの判断がよい例で、それが現在のインターネット革命をもたらした。

 その一つがAT&Tの分割で、痛みも大きかったが情報通信分野における競争原理の基盤となった。またインターネットを従来型の電話サービスとして規制すべきでないと決定したことも重要だった。これにより様々なアプリケーション提供者が参入し、爆発的な競争が生まれイノベーションをもたらした。

 もちろん既存の大手電気通信事業者は「ユニバーサルアクセスのサービスを市民から奪うことになる」として開放政策に反対した。しかしこれは事実ではない。政府は真に独立した規制当局を設け、閉鎖的な市場を開放する必要がある。市場開放は最も苦労する仕事だが、勇気を持って現状を変えねばならない。

 第二の教訓が既存と新規の事業者が同じ土俵に立って競争するという神話を疑うことだ。FCC時代にも「せめて対等の土俵に立てるよう規制緩和して欲しい」という要請を多くの事業者から受けた。しかし、これは言い換えれば「自分たちの規制を緩めて競合相手をもっと締め付けてくれ」ということと同じだ。

 三つ目の教訓は「規制資本主義」を放棄すべきだという点だ。ポリティカルエコノミーに依存する企業は工場や新たなサービスに投資することはない。規制資本主義では歴史の長い大企業が大きなメリットを受けるだけでしかない。

 「ユニバーサルサービスは慈善事業ではない」という点が第四の教訓だ。ユニバーサルサービスというと福祉や慈善事業であると考える人は多いが、私は競争によって新規参入者が生まれる「チャンス」であると考える。例えばワイヤレス市場などはその典型と言えるのではないか。新規参入者が生まれることで今まで無視されてきた地域でもサービスの開始が考えられるはずだ。

 ただ、注意すべきなのは、新規参入があったとしても人口や地理的条件などによってサービスが受けられない地域が存在し続ける、という事実も認めなければならないことだ。まさにデジタルデバイド(情報化が生む経済格差)の問題であり、これを解決することが今後のテーマになる。

 最後の五つ目の教訓は「将来を受け入れることが重要である」。今、通信の世界では回線からパケットによるネットワークに移行しつつある。これは最近の会計や決済の変更にも役立つと言える。

 IP(インターネットプロトコル)電話は急速に拡大する「ピアtoピア」を音声レベルでも実現できると言え、世界中の消費者の間でIP電話を使えば低コストで電話がかけられるという認識が広がり始めている。一方でIP電話がいまだに犯罪行為と見なされる国も残っている。我々は変化を恐れるべきではない。変化を恐れることは確実に将来の打撃になる。

 ユビキタスを広めるためには、今後もどのような国家横断的な戦術が必要なのか議論が必要だろう。
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