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雨宮天 Part16
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>>575 > 「どうせ、真っ黒なんでしょ?」 > 背中に回った男の手が滑り落ち、安城鳴子の尻を撫でた。 > 「ちょっ」 > 驚く鳴子を男が抱き寄せる。 > 「やだやだ! やめてよ……触んなっ!」 > 身の危険を感じ、男から離れようと鳴子がもがいた。恐怖で目に涙が浮かぶ。男に腕を掴まれた。 > 「はいはい」 > 男が意にも返さないように言う。 > 「はいはいじゃなくて……。離せよ! てめぇっ……離せぇ!」 > 「ああ、うるせぇな!」 > パン! と人通りのない道に乾いた音が響いた。同時に、鳴子は頬に鋭い痛みを感じた。 > 「あ……」 > 頬を殴られた。と、一瞬遅れて鳴子が理解する。そこへ、今度は腹に男の膝がめり込んだ。 > 「あぐっ!」 > 鳴子は腹を押さえて崩れ落ちた。猛烈な吐き気を催して咳き込む。そんな鳴子を見下ろしていた男がおもむろに髪を引っ張った。 > 「痛い! 痛いってば!」 > 鳴子が叫んだ。が、男は止めない。髪の毛を上に引っ張られ、鳴子がよろよろと立ち上がった。 > 立ち上がった所で、男が鳴子の顎を掴んだ。否応なしに男と向き合う形になった。 > 「一々抵抗してんじゃねえぞ! ビッチが!」 > 男が恐ろしい形相で凄む。竦んだ鳴子は、体に力が入らなくなった。 > 「初めから大人しくしてりゃいいんだよ」 > 男が顎から手を離す。その手が鳴子の背中に回った。もう片手で鳴子の手を取る。 > 「じゃあ、入ろうか」 > 鳴子は、男に引かれるままにホテルへ入った。
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