【シャニマス×ダンガンロンパ】シャイニーダンガンロンパv3 空を知らぬヒナたちよ【安価進行】Part.1 (996レス)
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抽出解除 必死チェッカー(簡易版) レス栞 あぼーん

577: ◆vqFdMa6h2. 2023/07/27(木) 21:36:33.57 ID:5pp+9EB+0(1/26)調 AAS
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   GAME OVER

イカルガさんがクロにきまりました。
  おしおきをかいしします。

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578: ◆vqFdMa6h2. 2023/07/27(木) 21:37:43.46 ID:5pp+9EB+0(2/26)調 AAS
他の人から羨望の眼差しを受ける存在、そうそれこそがカリスマ!
ファンはもちろん、同じステージに立つものですらも魅了する彼女のカリスマ性はもはや神がかってすらいます。
ただ、生まれた時代が良くなかった。
人智を超えたような力は時として、他者からは畏れを持ってみられることがあるのです。

斑鳩さんはその槍玉に挙げられてしまいました。
長く、険しい坂の頂上で、今彼女は磔にされています。

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      ロンリネスの槍

 超研究生級のカリスマ 斑鳩ルカ処刑執行

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579: ◆vqFdMa6h2. 2023/07/27(木) 21:39:45.74 ID:5pp+9EB+0(3/26)調 AAS
帝国の支配者モノクマが、兵士のモノクマーズに指示を出すと、一斉に5匹はその槍を構えました。
鏃には聖印が刻まれた、信仰の槍です。
それが“カミサマ”を貫こうとしているのだから皮肉なものですね。

ですが、彼女は悲嘆することも、みっともなく命乞いをすることもありませんでした。
彼女には強い芯があるわけではない、ただ一度悪路に外れたからには最後までその泥濘の中を進むと決めた意志がある。
頬を吊り上げ、目を細めてモノクマーズを見下ろしたかと思うと、その顔に向かって唾を吐きかけます。

そのことが誇り高き指導者モノクマの反感を買った!
モノクマが右手を下ろした瞬間、モノクマーズたちは槍を構えて突進!
磔になっている斑鳩さんは身動きを取ることもできず、その槍に四方八方から貫かれてしまいました。

ああ、カミサマ……
たくさんの人々に依存を受け、身勝手な投影を被り、救いをもたらさんとした……未来に息づくカミサマよ
私たちはそのお姿を見ることもなく、終わってしまうのですね。

と、その時!
近くの町内会でやっていたお祭りの神輿が処刑場に侵入!
参加しているクソガキどもはその神輿に神を乗せていることも、この馬鹿騒ぎも神へ捧ぐ興の一つだということもまるで理解せず、斑鳩さんの固定されている磔を倒して、踏みつけて、ズイズイと進んでいってしまいました。

____残ったのは、血に塗れてぐちゃぐちゃに踏み潰された哀れな人間の末路。
そこにカリスマらしい威光なんて、まるで見当たりませんでしたとさ。
580: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:41:49.47 ID:5pp+9EB+0(4/26)調 AAS
……カチッ

???『_____これ、ちゃんと撮れてるか?』
581: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:43:23.53 ID:5pp+9EB+0(5/26)調 AAS
ガタタ

???『あーあ、よし……いけてそうだな』

ガタ

ルカ『この映像を見てる私は今頃、何がなんだか訳分かんなくなってんだろうけど……安心しな。今の私は正真正銘のあんた、斑鳩ルカだ』

ルカ『この映像の記憶が今のあんたにはまるでないだろうけど……それは忘れちまってるからだ。それ以上でもそれ以下でもない』

ルカ『……っと、あんまり時間もないし用件だけ先に話させてもらうぞ』

ルカ『いいか? このコロシアイは避けられないコロシアイなんだ。これは私たちにとって決められていた道筋なんだ』

ルカ『だから逃げだそうだとか、抗おうだとか余計なことは考えるんじゃねーぞ』

ルカ『あんたが考えるべきなのはただ、このコロシアイを生き抜くということ』

ルカ『絶対に、死ぬんじゃねーぞ。死んだらあんたも……ほかの連中と【同じ】になっちまうからな』

___プツン
582: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:44:25.05 ID:5pp+9EB+0(6/26)調 AAS
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    CHAPTER 02

 退紅色にこんがらがって

  (非)日常編

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583: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:45:40.09 ID:5pp+9EB+0(7/26)調 AAS
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【夜時間 1F 女子トイレ】

ルカさんの事件の裁判が終わり、芹沢さんを寄宿舎の個室に戻した後。
私たちは学園内の女子トイレに集結していた。

灯織「七草さん、全てを詳らかにしていただきますよ」

にちか「……」

夏葉「あなたが隠し通路の存在を隠匿し、私たちを欺こうとしたことは変えようのない事実。あなたにはその説明の義務があるわ」

にちか「わかってます」

地上に上がってすぐに、私の自供した犯行内容の検証が行われた。
というのも、犯行における最も重要なピースである隠し通路は私とルカさん、そして芹沢さんしか知らなかった存在であり、
私たちが辿り着いた真相の意味を確認する上で、その立ち合いが必要だろうということになったのだ。
私は他の人が見守る中で、用具入れの壁を強く押した。

ゴゴゴゴ

すると、聞き慣れた音と共に壁は横にスライドしていき……
空洞が現れた。

真乃「ほわぁ……ほ、本当に隠し通路があったんですね……っ」

甜花「す、すごい……トイレの隠し部屋なんて、どこかの魔法学校みたい……!」

にちか「ここを進めば図書室に出られます。ついてきてください」

私に続いてゾロゾロと通路を進む。コンクリートで四方を囲われた空間は足音が過剰なほどに反響した。
ムカデのような足音が続くこと数十秒ののち、あの悪意の部屋へとたどり着く。
584: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:46:58.99 ID:5pp+9EB+0(8/26)調 AAS
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【B1F 隠し部屋】

めぐる「……っ!」

円香「……何? ここ」

流石に初めて訪れた人たちは面食らった様子だった。
明らかにこの部屋は異質。前にいた人間の息吹が、残り続け、それが今にも自分たちの尋常を蝕もうとしてくるのだから。

にちか「そこの壁付の扉から図書室に出られます。扉からは一方通行で、向こうからは入れません」

霧子「図書室に行くためだけの隠し通路ってことなんだね……」

にちか「というより、向こうから入るにはカードキーが必要みたいで。そのキーは持ってないのでどうしようもないんですよね」

灯織「カードキー……」

私は粛々と説明に徹した。他の人からの視線には明らかに不信が混じっていることを悟っているからだ。
下手な作り笑顔なんかすれば反感を買うだけだ。
585: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:48:36.66 ID:5pp+9EB+0(9/26)調 AAS
透「……ね、あれって聞いていいやつ?」

凛世「凛世も、足を踏み入れし時より……気になっておりました……」

そして、関心は当然【あれ】に惹きつけられていく。
異様だらけのこの部屋で、一際目立つ異様。もはや異常と言ってもいいかもしれない。
私たちにコロシアイを強いり、生と死とを嘲笑うモノクマの巨大な頭部。気にならないわけがない。

にちか「私にも、あれがなんなのかはわからないです。ただ、ルカさんはあれに手がかりがあるんじゃないかって言ってました」

にちか「今は故障してしまってるみたいですけど、内部のコードが引きちぎれちゃってるだけなので、それさえ補修すれば元通りになるかも……と」

恋鐘「ルカはこいを修理する気やったとね?! 」

樹里「おいおい……そんなことして大丈夫なのか? だって、モノクマだぞ?」

にちか「リスクがあることは承知の上。それでもこのモノクマが私たちの知らない何かを握っていること自体は確かですから」

円香「ちなみに、そのコードっていうのは?」

にちか「あ、そこの電子盤に書いてあるんですけど……」

円香「【SHU-1ケーブル】【YM2ケーブル】【HR-MKケーブル】【K-Bケーブル】【SG-TMケーブル】この5種類が必要なんだ」

甘奈「えっ?! ちょっと円香ちゃん、それ直すつもりなの?」
586: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:50:33.81 ID:5pp+9EB+0(10/26)調 AAS
円香「……別に。興味本位で見てるだけ」

透「んー、でも直すのはありじゃん?」

樹里「はぁ? ナシだろナシ! こんなの敵の罠に決まってるって!」

夏葉「……いえ、そう断ずるのも早計だわ」

樹里「えっ?」

夏葉「今の私たちは少しでも情報が欲しい。自分自身が置かれている状況も、今何が起きているのかも何もわからないままだわ」

夏葉「それを知るためなら藁にもすがる思い。まさにこのモノクマの頭部はその藁になり得る材料だと思わない?」

愛依「毒をくらわば皿まで……ってことだね!」

樹里「それ使い方合ってるか?」

めぐる「わたしも賛成……! このモノクマを直したからすぐに襲われるってわけでもなさそうだし……やれることは全部やってみたいかな!」

にちか「……今の所、ケーブルは一つも見つけられてないです。本当にこの学園の中にあるのかもわからないんで、当てにはしすぎない方がいいと思います」

夏葉「……そうね、それぐらいのスタンスで行かせてもらおうかしら」

モノクマの頭部の修理は全体で仮で進める案件となった。
少しでもルカさんの遺志が残ってくれるのは、ありがたいかな。
587: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:52:57.29 ID:5pp+9EB+0(11/26)調 AAS
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【にちかの部屋】

女子トイレと図書室を繋ぐ隠し通路の確認を終えると、私たちはそのまま解散することになった。
何も失うことのなかったはずの学級裁判で、信頼という大切なものを落としてしまった私たちに長く語らう意欲は残されていなかった。
今はただ、現実に向き合うだけの体力を取り戻したい。
それが総意だった。

「……帰って、きちゃった」

私は学級裁判で勝てなかった。
ルカさんとの約束を果たすことができなかった。
それどころか、私ははじめから芹沢さんに出し抜かれていて、惨めに踊らされただけだったんだ。

他の人を欺いたことに後悔がないとは言わない。
風野さんが私に向けた視線の冷たさに私は初めて軽蔑というものを知ったし、愛依さんの涙交じりに無実を訴える声は今も耳にこびりついている。
588: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:53:59.85 ID:5pp+9EB+0(12/26)調 AAS
無力感と罪悪感は心臓を内側からずんずんと突き破ってきそうで、ベッドの上で何度も身を捩った。
その衝動に任せて、首を括りでもすれば楽になるんだろう。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

真乃「ルカさんがにちかちゃんに生きてほしいって……ずっとずっと思ってくれてたんだよね……?」

真乃「だとしたら、にちかちゃんはこれからを生きて……私たちと向き合ってほしいな……」

真乃「私は、にちかちゃんを信じてるよ……っ! 一緒に生きていける、【仲間】だって……っ!」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

でも、そんな私のことをまだ信じると言ってくれた人がいた。

ただ、憎しむことができない不器用なだけな人なのかもしれない。私のように、口から出まかせを吐いただけかもしれない。そこに何の芯も通っていない空虚な信用かもしれない。

でも、その空洞は今からでも埋め尽くせることができる。贖罪なんて大層なものではない。約束一つ守れない人間が罪を注ぐことなんて不可能だ。
だからこれは、無謀な挑戦だ。今から信頼を取り戻すなんて絶対不可能な難題に、遮二無二に挑戦する。
たとえそれが叶わずとも、その挑戦の中で拓ける運命もあるかもしれないから。
そう盲信して突き進むしかない。
自分に何度も言い聞かせて、覚醒する瞳孔を何とか閉じさせた。
589: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:54:58.70 ID:5pp+9EB+0(13/26)調 AAS
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【School Life Day7】
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【にちかの部屋】

【キーンコーンカーンコーン……】

モノダム『キサマラ、オハヨウ』

モノダム『健全ナ学校生活ハ気持チノイイ挨拶カラ始マルヨ』

モノダム『キサマラモ、友達ニ会ッタラ大キナ声デ自分カラ挨拶ヲスルトイイヨ』

モノダム『ミンナ仲良ク、ネ』

みんな仲良く、なんて私から最も程遠い概念だ。
モノクマーズの放送でいきなり気が沈みかけたが、何とか自分を叩き起こして、ベッドから立ち上がる。
私は今の自分と向き合うって決めたんだ。
少しでも甘えている時間はないぞ。

いつも以上に忙しなく朝の支度をすると、私は食堂へと向かった。
590: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:56:09.68 ID:5pp+9EB+0(14/26)調 AAS
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【1F 食堂】

そして足を踏み入れた食堂で私は、予想だにしなかった光景を目にすることになる。

あさひ「あ、にちかちゃん。おはようっす!」

昨日学級裁判の終わりに、廃人状態に追い込まれたはずの芹沢さんが飄々と、いつも通りと言わんばかりに待ち構えていたのである。
591: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:58:05.73 ID:5pp+9EB+0(15/26)調 AAS
にちか「せ、芹沢さん……?! ど、どうして……?!」

あさひ「どうしても何も……ルカさんは死んじゃったっすけど、朝食会は続けるっすよね? いっつもこの時間には集まってたし、来ただけっすけど」

樹里「な……っ!」

あさひ「にちかちゃん、昨日はわたしが負けちゃったっすけど……次は負けないっすよ!」

みんな何かを言ってやりたいが、うまくまとまらず口籠る。
体を気遣うような言葉は仲間の仇にかけるには優しすぎるし、排斥するような言葉は自分たちよりも年下の少女にかけるには気が咎める。
とにかく厄介な立ち位置にいる相手だ。

あさひ「びっくりしたっすよ。目が覚めたら自分の部屋だったんで、あの裁判は夢だったのかと思ったっす」

甜花「いっそ、夢だったらよかったのに……」

あさひ「えー、ダメっすよ。あんなに盛り上がったのに勿体無いじゃないっすか」

夏葉「……あさひ、あなたが昨日やったことの意味と重大さは理解しているのよね?」

あさひ「昨日やったこと……ああ、ルカさんを殺しちゃったことっすか?」

甘奈「そ、そんな軽々しく言うんだね……」

あさひ「でも、あれって元はルカさん自身が望んだことじゃないっすか」

にちか「……!」
592: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 21:59:27.04 ID:5pp+9EB+0(16/26)調 AAS
あさひ「にちかちゃんにルカさんは自分を殺して欲しいって、そう言ったんっすよね? 自分の命を犠牲にして、わたしたちに生き延びてもらうのが元々ルカさんの希望だったはずっす」

あさひ「それで、わたしがルカさんを殺して何がダメなんっすか?」

その瞳はどこまでも真っ直ぐだった。
わたしがこの子に抱いていた第一印象は何一つ間違っていなかったんだと思う。
この場にいる誰よりも純真無垢。誰よりも等身大であり続ける彼女は、私たちの誰よりも早く、そして深くこの状況に適応してしまった。
彼女の白は、この学園に渦巻く悪意の色に染め上がっている。そのことに、彼女自身が違和感を抱くこともなく、疑問を持つこともなく。

あさひ「モノクマも言ってたっすけど、これはコロシアイのゲームなんっすよ? みんなはゲームに勝ちたくないんっすか?」

もはや生き死により先に、ゲームの勝敗が立つ。
彼女の底なしの好奇心は、歪な形に変えられてしまっていた。

円香「……」

霧子「……」

真乃「……」

私たちは彼女の瘴気に当てられたようで口を挟めずにいた。
彼女の発言は間違っている。必死に否定したい衝動は何度となく走るのだが、嫌なくらいに澄み渡った彼女の瞳がそれを許さない。
593: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 22:00:14.93 ID:5pp+9EB+0(17/26)調 AAS
愛依「ちがう……ちがうよ、あさひちゃん」

……だけど、一人だけは違っていた。
594: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 22:01:52.30 ID:5pp+9EB+0(18/26)調 AAS
愛依「こんなのゲームなんかじゃない、勝ち負けなんかないって!」

あさひ「愛依ちゃん? これはゲームっすよ? 他の人をいかに欺いて、自分だけが得をするかのゲームっす」

愛依「ちがう、ちがうって!」

あさひ「……ちがうって何がちがうんすか? ちゃんと教えて欲しいっす」

愛依「ちがう……何が、とかわかんないけど……今のあさひちゃんはずっと、間違ってるって!」

芹沢さんから向けられる、排他的な純真さを真正面から受け止めたその上で、怯むことなく手のひらを差し伸べ続けた。
口も立たない、理論もない。直向きに、ただ感情だけでぶつかっていった。
芹沢さんにはそれが響いているようには見えなかった。キョトンとした表情で、自分の方が正しいとまるで聞く耳も貸していなかった。

でも、傍目に見ていた私たちは違う。
和泉さんの無謀なその後ろ姿に、私たちは俄かに勢いづく。

恋鐘「自分の命も他人の命も、遊びなんかに使っていいもんじゃなか! もっとちゃんと……考えんね!」

夏葉「ルカが自分の命を賭したのはゲームに乗じたわけじゃない。あなたの独りよがりなプレーとは文脈を異にする覚悟よ」

真乃「あさひちゃん……お願い、今からでも考え直して……っ!」

あさひ「……あー、みんなはそういう感じなんっすね」

【おはっくま〜〜〜〜!!!!】

芹沢さんへの呼びかけで、勢いづき始めたところで、狙い澄ましたかのようにモノクマ達が割り込んできた。
私たちと芹沢さんの間に立つ連中。空気が読めないにも……いや、読めすぎているにも程がある。
595: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 22:03:36.42 ID:5pp+9EB+0(19/26)調 AAS
モノクマ「うぷぷぷ……キミはやっぱり面白いよ。今までにも色んなヤツがいたけど、そこまでゲームに真摯に向き合ってくれる奴は珍しいよ」

モノクマ「きっと芹沢さんは長生きするだろうね。このゲームではキミのようなヤツが強いんだ」

あさひ「えへへ、ありがとうっす!」

モノクマ「それに引き換えオマエラと来たら……さっきからなんだいなんだい! 命の価値だとかゲームに乗らないだとか!」

モノクマ「くだらないくだらない! オマエラの命の価値なんて、砂粒一つなんかよりも軽いんだよ!」

樹里「はぁ? アンタ、この前はアタシ達には未来があるって言ってたじゃねーか」

モノクマ「うぷぷぷ……そうだね、オマエラには未来があった。それは間違いないよ」

モノクマ「でもそれと命の価値はまた別の話だよ。何も為していない今のオマエラなんて、誰も必要としてないんだ」

めぐる「そんなことない! 人はみんな必ず……誰かに必要とされてるんだよ!」

モノダム「ソウダヨ。誰モガ、生マレテキタ意味ガアルンダ」

(えっ……!?)

モノダム「人ト人ガ巡リ合ッテ絆ガ生マレル。ソウシテ、意味ト価値ハ育ッテイクンダヨ」

モノタロウ「モ、モノダム! ダメだよ! そんなお父ちゃんに歯向かうようなこと言ったら!」

モノクマ「……」プルプルプルプル

モノスケ「あ、あかん! お父やんが怒りで体が震えとるで!」

モノファニー「いやー! 地震と雷と火事が同時にやってくるみたいだわー!」

モノクマ「モノダム……オマエと来たら……」プルプルプルプル
596: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 22:04:55.02 ID:5pp+9EB+0(20/26)調 AAS
モノクマ「なんて青臭くてかわいらしいんだ〜! 綺麗事を盲信して、厚顔無恥に演説するその姿!」ペロペロペロペロ

モノクマ「水彩画にしてリビングに飾りたいほどの愛らしさだよ〜!」ペロペロペロペロ

モノダム「ワァァァァ……」

(な、なんなの……? モノクマとモノクマーズは必ずしも意見が合致してるわけじゃないの?)

甘奈「ね、ねえ! 一体何しに来たの?! 今、甘奈たちは大切なお話をしてたんだけど……」

モノクマ「おっと、愛しの我が子の愛らしさに目的を見失うところだった!」

モノクマ「そう邪険にしないで欲しいな、今日はボクからオマエラに【プレゼント】があるんだ」

霧子「プレゼント、ですか……?」

モノタロウ「うん! キサマラの道を切り拓く、素敵なプレゼントだよ!」
597: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 22:06:29.12 ID:5pp+9EB+0(21/26)調 AAS
モノスケ「この才囚学園がずっとエグイサルで工事をしとったのはキサマラもよく知るところだと思うんやが……」

モノファニー「ぱんぱかぱーん! ついに一部のエリアの工事が終わったのよ!」

モノダム「キサマラガ行ケル範囲ガ広ガッタンダ」

凛世「行動圏内にいくつか閉まったままの扉がありましたが、そちらが開いたということでしょうか……?」

モノタロウ「えっとね、そうじゃなくてね。今までただの壁だったところの幾つかをエグイサルで取っ払ったんだ!」

灯織「か、壁を壊した……?」

モノファニー「具体的にいうと、一階の体育館前の廊下の横壁を取り壊したわ! これで行けなかった部屋もいくつか開放されてるのよ!」

モノダム「【二階】や【三階】ニモ上ガレルカラ、探索シテミテネ」

夏葉「……なぜ?」

モノクマ「はぬ?」

夏葉「なぜ、そんなことをするの? 私たちの活動領域を増やして……何が狙いなの?」

モノクマ「狙いなんかないよ、これはただの労い! オマエラは越えるべき障害をちゃんと超えてくれたからね。ソレに見合うだけのご褒美を用意したってだけのことだよ」

樹里「ご褒美なんて言われても信用ならねーよ、何か罠を仕掛けてるんじゃないのか?」

モノタロウ「そんなことないよ! むしろキサマラにとってプラスになる【宝物】も用意されてるからね!」

あさひ「えっ! 宝物っすか!? すごい、見つけてみたい!」

霧子「宝物ってなんなのかな……?」

モノクマ「それは見てみてのお楽しみ! 損だけはさせないから安心してよね!」

愛依「や、全然安心はできないけど……」

(絶対ろくなもんじゃないでしょ……)

【ばーいくま〜〜〜〜!!!!】

真乃「……行っちゃいましたね」
598: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 22:07:27.86 ID:5pp+9EB+0(22/26)調 AAS
樹里「なんかとっちらけになっちまったな……あさひのことでだいぶヒートアップしてたんだが」

あさひ「……?」

透「とりあえずは新しく行けるようになったとこ。見といた方がいいんじゃん?」

甘奈「甘奈もそれに賛成かな……手がかりは少しでも多いに越したことないよ」

愛依「あさひちゃんのことは大丈夫! うちがつきっきりで見とくから!」

あさひ「えー? 愛依ちゃん、わたしのペースにちゃんとついてきてくれるっすか?」

愛依「が、がんばるから……! もう、目は離さないかんね……!」

夏葉「愛依……ありがとう。あなたの想い、よく伝わってくるわ」

円香「……当の本人にそこまで伝わってないようですけどね」

灯織「監視というのなら、七草さんにも必要なのでは?」

にちか「……!」

灯織「前回の裁判、結論としては犯人はあさひでしたが……事実上の犯人は七草さんです」

灯織「そして何より、七草さんは私たちを欺き、裏切った事実がある」

出会った時から、壁を感じる人だとは思っていたけど今はそれとは比にならない。
風野さんとの間にできてしまった隔たりは、断崖のように大きい。
それほどまでにその口調は冷たく、鋭いものだった。
599: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 22:08:51.23 ID:5pp+9EB+0(23/26)調 AAS
真乃「だ、だったら……私がにちかちゃんにはついて行きます……っ」

灯織「さ、櫻木さん……?」

真乃「めぐるちゃん、今回は灯織ちゃんについていってあげてもらえるかな」

めぐる「う、うん……いいけど……」

(櫻木さん……この前の裁判の終わりから私に歩み寄ってくれてるけど、どうしたんだろう)

灯織「……なんで?」

誰も監視にはつきたがらないとでも思っていたのだろうか。
櫻木さんの申し出が余程予想外だったらしく、風野さんはしばらく面食らったような反応を見せていた。

まあ、それは私も同じこと。
櫻木さんのように、気が強いわけでもない、むしろ推しに弱いような女の子が殺人の前科がある私に寄り添おうとしているのかはよく分からない。

にちか「よ、よろしくお願いします……」

真乃「は、はい……こちらこそ……っ」

とはいえ、私には拒む権利もそんな気もない。
とにかく、自分に向けられたこの不信に挑み続けるとルカさんに誓ったのだから。
600: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 22:10:38.58 ID:5pp+9EB+0(24/26)調 AAS
探索のメンバー分担が終わると、すぐに全員が食堂を出て散策へと向かった。
残ったのは私と櫻木さんのただ二人。
……先に口を開いたのは櫻木さんだった。

真乃「なんで私が、にちかちゃんの監視を申し出たのかって……不思議に思ってますよね……?」

にちか「それは、正直……はい。私のこと、怖くないんですか?」

真乃「怖い……気持ちもあるかもしれません。でも、私が思ってるのは裁判終わりに言ったこととずっと同じなんです……っ」

(裁判終わりって……)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

真乃「あ、あの……っ!」

にちか「……なんです?」

真乃「えっと……正直、にちかちゃんがルカさんを……その……刺しちゃったのはまだびっくりしてて……」

真乃「許されることじゃないと、思う……けど……」

にちか「そんなの、言われなくたってわかってますよ」

真乃「で、でも!」

真乃「ルカさんはにちかちゃんに生きてほしいって……ずっとずっと思ってくれてたんだよね……?」

真乃「だとしたら、にちかちゃんはこれからの生きて……私たちと向き合ってほしいな……」

(……)

真乃「私は、にちかちゃんを信じてるよ……っ! 一緒に生きていける、仲間だって……っ!」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

真乃「あの、嬉しかったの……にちかちゃんが、今日の朝もちゃんと朝食会に来てくれたのが……」

真乃「私たちと向き合ってくれるんだ……これからも私たちと生きてくれるんだ……」

真乃「私たちの仲間であり続けようとしてくれてるんだって、そう思えたから……っ」

櫻木さんの目は潤んでいて、言葉の一つ一つを口にするのにも肩を震わせていた。
その怯えは、殺人犯と接することに向けられたものではない。
自分との間にできた縁が途絶えてしまうこと、その手から真っ白な珠がこぼれ落ちてしまう事を惜しむ畏れだったのだ。

ほんの数日前に会っただけ。たまたま同じ状況に居合わせただけ。
それだけの関係性の相手をこれほどまでに慈しみ、尊ぶことができるなんて随分とできた人物だ。
601: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 22:11:56.71 ID:5pp+9EB+0(25/26)調 AAS
にちか「私が櫻木さんが思ってくれてるほど、大層な決断を下したわけじゃないんです」

櫻木さんの太陽のような眩しさが、自分自身に影を落としているのを感じている。
私は、こんな風にはなれない。学級裁判で出し抜こうとした独善主義な人間が何を望むんだって話だし、憧れるのも烏滸がましい。

にちか「ルカさんが前に言ってたんです。不可能なことだとしても、挑み続けることで拓ける運命はあるかもしれないって」

だからせめて、彼女の邪魔にはならないようにしようと思った。
どれだけ騙されても他の人を信じ続けようとする、その不器用な実直さが歪められてしまうことがないように。
その軽やかな足取りが、段差に蹴つまずいてしまうことがないように。

にちか「私が殺人に手を染めた事実は変わらないですし、失った信頼はもう取り返せないかもしれない。それでも……誰かと歩んでいくことだけは諦めずに、挑み続けていたいんです」

___私はせめて、彼女の成功体験の一つでありたいとそう思った。

にちか「な、なんて! すみません、なんか長々と! 変なこと言っちゃいましたかね!? 言っちゃいましたよね?!」

真乃「にちかちゃん……ありがとう、嬉しいなぁ……っ」

(ああ、ずるいなぁ……そんな風に笑える人、本当に羨ましい)
602: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2023/07/27(木) 22:14:36.35 ID:5pp+9EB+0(26/26)調 AAS
ひとまず本日は2章を始めるところまで。
なんだかんだレインコードの発売や我儘なままの開催があり、再開が遅くなりました……すみません。
ただ、その分3章までの書き溜めも進んだので……何卒

明日辺りから行動の指定を取りつつ進めていけたらなと思っています。
これからまたよろしくお願いします。
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