【安価コンマ】転生させてみたらこうなった (541レス)
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73: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 00:27:28.68 ID:daT+a4EN0(1/34)調 AAS
斧の形をした模擬刀を選んだ。
不思議と手に馴染むような感覚がする。

グスタフ「いいのを選んだな」
タリア「パパのを真似るのがいいと思って」

グスタフ「よぉし、いいか? 斧というのは力任せに振り回してはダメだ」
タリア「ただ振ってるだけじゃダメなの?」
グスタフ「ああ。腰を使うんだ。腰の捻りで勢いをつける。それが大切だ」

斧を振り回してるようにしか見えない…。

グスタフ「そして同じところに何度も当てるようにするには腕の筋肉が必要だ。振ってるうちに腕が下がると狙いが外れるからな」
タリア「腕の筋肉…。どうすればいい?」
グスタフ「毎日のトレーニングが実を結ぶ! タリアもこれから毎日少しずつすれば筋肉がつくぞ!」

親心で言ってるんだろうけど、娘に筋肉つけろって父親が言うか?
……ここにいた。
74: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 00:30:20.33 ID:daT+a4EN0(2/34)調 AAS
父さんの真似をして斧を振り続けること十数分。

グスタフ「一旦休憩だ。休んでよし!」

その瞬間、糸の切れた人形のように膝から倒れ込んだ。
キツい。キツすぎる。
魔力回復より体力回復に時間を費やしたい…。

マリア「やりすぎよ。可愛いタリアをイジメないで」
グスタフ「イジメじゃない、特訓だ。入学式まで時間がない。せめて今のうちに俺たちが教えられることを…」
マリア「分かってるわ。今まで甘やかしすぎたのは私たちのせいだけど、だからって無理させていい理由じゃない」
グスタフ「……すまない」

タリア「だ、だいじょうぶ…。ボクは平気だから。それより休憩中に聞きたいことがあるんだ」

安価下1
1:どうして魔木製のものばかりなの?
2:ここぞ!という時になんで魔法を使うの?
76: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 01:24:32.15 ID:daT+a4EN0(3/34)調 AAS
タリア「『ここぞ!』という時になんで魔法を使うの? 最初に使っちゃえばいいのに」

グスタフ「さっきも言ったが、俺の魔法は不得意なんだ。そのせいで魔力消費が半端ない」
タリア「魔力消費は昨日聞いた話だ。余計に消費するんだっけ」
グスタフ「あぁ。たった一回の魔法で一気に魔力を消費して倒れたこともある」
マリア「パパは素質あるくせに不器用だからねぇ。0か100か。術式なんて暴走が当たり前だし」

脳筋魔法使い。ふとそんな言葉がよぎった。
というかマリア母さん、話を脱線させないで。

グスタフ「とまぁ、確実に狩るためには最後の一振りで魔法を使う。隙を晒さずに済むというのも一因だな」
タリア「そっかぁ。ただ斧を振り回す木こりじゃないんだ」
グスタフ「俺のことを今までどんな目で見てたかよく分かった」

タリア「……あれ、術式を暴走させてるならパパの魔法ってどう使うの?」
マリア「いいとこに気が付いたね」
グスタフ「おいおい、今日は俺の番だろ。その説明はまたにしてくれ」
マリア「ちぇ」

グスタフ「休憩終わり! 次行くぞぉ!」
タリア「え、もう!?」
77: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 01:26:15.23 ID:daT+a4EN0(4/34)調 AAS
グスタフ「次は模擬刀を使って俺に攻撃してみろ。遠慮はいらんぞ!」
タリア「えぇ!?」
グスタフ「大丈夫だ。所詮模擬刀。怪我しないさ。それに、タリアの太刀筋を見るには間近で見た方がいい」

間近すぎませんか…? 力加減が難しいよ。

グスタフ「さぁこい!!」

安価下1コンマ 初期武力測定のため幸運なし
00〜09:失敗
10〜59:成功
60〜89:大成功
90〜99:極大成功
79: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 01:52:44.78 ID:daT+a4EN0(5/34)調 AAS
初期武力:92

タリア「で、でりゃー!!」

父さんの真似をしてたった一日。それでも見える時はいつも見ていた後ろ姿。

グスタフ「こ、これは……!!」

見ていたから分かる。父さんの長年の努力が実を結んだことに。

マリア「……面白い。可愛いタリア。どこまで研究魂をくすぐればいいの…?」

タリア「はぁぁぁああああ!!」

グスタフ「太刀筋、威力、申し分ない。まさか五歳の娘がここまでやれるなんて…」

手が熱い。いや、今はそんなことより父さんに全力をぶつける!!

グスタフ「……そろそろか。タリアっ! そこまで!!」
タリア「まだまだ!!」
グスタフ「ダメだっ! それ以上は魔木で抑えられん!! 暴走するぞ!! マリア!!」
マリア「は〜い」

後ろから突然現れた何かに斧を奪われた。
ダメ。返して。まだ父さんに!!

マリア「おやすみ、タリア」


……。
…………。
80: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 02:37:40.77 ID:daT+a4EN0(6/34)調 AAS
……。

タリア「あ、れ?」

ここ、僕の部屋だ。

グスタフ「目が覚めたか。気分はどうだ?」
タリア「なんか、変な感じ。ボク、風邪でもひいたの?」
グスタフ「そうだな。近いような近くないような」
マリア「貴女は魔力暴走の一歩手前までいってたの。まさか魔法以外での時になると思わなかったわ」

魔力、暴走?

マリア「でもこれでようやくタリアの素質が分かったわ。普段から魔木の生活でよかった」
グスタフ「俺もマリアも魔力の素質は人並み以上だから苦労したもんだ」
タリア「どういう、こと?」

マリア「簡単に言えば、タリアは私たちの高すぎる魔力素質を受け継いだの。そしてパパの身体能力も」
グスタフ「魔力だけなら魔木で抑えられる。魔木は元々魔力で育つ植物だ。…吸収しきれない程の魔力がタリアにあることが分かった」
タリア「よく分かんないけど、なんで魔法を使ってないのに魔力暴走なの?」

グスタフ「集中していたからだろうな」
マリア「魔法はイメージが大切ってことは分かってるよね。そのイメージに大切なのは集中すること」
グスタフ「集中している時は魔力が高まってると言っていい。高まった魔力を模擬刀が吸い取っていた」
マリア「パパは模擬刀が折れかけてるのに気付いて魔木の吸収容量を超えたと判断したのよ」
81: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 02:38:30.67 ID:daT+a4EN0(7/34)調 AAS
ところどころは理解できるけど、とても五歳が理解できる内容じゃないのはよく分かる。

タリア「あのまま続けてたらどうなるの?」
マリア「魔力が尽きるまで暴走よ。その間のことは覚えてないから詳しくは言えないけど、最悪って気持ちだけは残るわ」

それが聞けただけで暴走はしたくない。そう思うには充分だ。

グスタフ「とにかく今日はもう休みなさい。いいね?」
タリア「うん…、分かった」

無理をして二人に心配かけたくない。
おとなしく僕は眠りについた。

……。
入学式まで残り5日。
82: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 02:42:05.85 ID:daT+a4EN0(8/34)調 AAS
タリア・ハイレン
使用属性魔法:水、雷、その他?

武力値:92
武器:斧

最後にこれを。
安価下4まで多数決
1:二人の特訓(説明)パートを続ける
2:入学式前日までワープ(説明パートは学園になる)
3:二人の特訓を最終日まで続ける
89: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 16:17:58.92 ID:daT+a4EN0(9/34)調 AAS
―― 翌日 ――

マリア「調子はどう?」

目が覚めると隣にマリア母さんがいた。
ずっと看ていてくれたのかな。

タリア「よくなったよ。…ごめんなさい」
マリア「いいのよ。貴女の眠ってた力を見れて嬉しいの」
タリア「……うん」

リビングへ行くと既に父さんは素振りをしていた。

マリア「昨日のタリアがすごかったから『パパも頑張るぞ!』って今朝から張り切ってるわ」
タリア「あはは。でも少ししか覚えてないんだよね」
マリア「暴走の手前までいった影響かしら。本当に何ともない?」
タリア「平気だってば」
マリア「それならいいわ。…私、やることがあるの。悪いけれど今日はパパと稽古か、術式の初級魔法の練習でもしてて」

タリア「でもまた魔力暴走したら?」
マリア「大丈夫。貴女は不器用じゃないし素質がある。初級じゃ暴走しないわ。それじゃね」

そう言って母さんは術式の描かれた紙とペンと折り紙を置いて離れてしまった。
90: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 16:20:52.54 ID:daT+a4EN0(10/34)調 AAS
水と雷はもちろんのこと、火に土に風、まだやってない属性の術式もある。
それぞれ注意事項が小さくまとめてある。こういうとこ感心する。

それとも魔法は母さんの居る時にして、父さんの素振りでも見学? 行くと稽古になるかも。
声には出さないけど、斧振りの音が気持ちいいんだ。

うーん。

安価下2
1:初級魔法の練習
2:武術の稽古
3:筋トレ
93: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 16:50:56.16 ID:daT+a4EN0(11/34)調 AAS
せっかく母さんが用意してくれたし、今日は魔法の練習をしよう。

とりあえずやったこともあるのとそうじゃないのに分けてっと。

まずは復習から始めよう。雷の術式を描いて…慎重に魔力を送って…。

……よし、僅かだけど電流のような光が見えた。

次は水の術式だ。イメージはコップ一杯分の水。

それを折り紙に垂らすような感じで…。

おぉ、バッチリだ。ちゃんと湿った。

それじゃ次は……、

安価下1 コンマ
00〜32:火
33〜65:土
66〜98:風
99:イベント
95: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 17:07:49.08 ID:daT+a4EN0(12/34)調 AAS
火をやってみよう。
……念のため水の近くでやろう。

えっと母さんの説明書によるとこんな感じ。

『火属性は雷と同じように反動の怖い属性です』
『ちなみに私の属性魔法でもあります』
『既に雷の素質を持つタリアには出来れば発動させたくありません』

…脱線部分は飛ばそう。

『もし発動しても慌てず消火のイメージをしてください。水をかけてもいいです』

なるほど。火を消すイメージでいいのか。便利だ。

安価下1 コンマ
安価下1コンマ 幸運発動&母親遺伝ボーナス
偶数:大成功
奇数:極大成功
ゾロ目:イベント
97: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 17:17:57.81 ID:daT+a4EN0(13/34)調 AAS
折り紙がよく燃えている。少し魔力を送っただけなのに……。

雷と水とは違った結果だ。
身体の調子は何ともない。もしかして火が得意属性なのかな。

タリア「ってそんなことより! 火! 消さないと!」

でも消火のイメージってどうすればいいんだ? あぁもう分かんないから水かけちゃえ!

……。
…………。

この辺拭かないと。びしょ濡れだ。
98: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 17:20:41.99 ID:daT+a4EN0(14/34)調 AAS
ようやく拭き終わった!

グスタフ「騒がしいけどどうした?」
タリア「何でもないよ! 素振り続けてて!!」

危うく火事になりかけたなんて言えないよね。
…次はどっちにしようかな。

安価下2
1:土
2:風
101: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 17:37:44.53 ID:daT+a4EN0(15/34)調 AAS
土にしてみよう。
母さんの説明書は燃えてないよね? よかった。大丈夫だ。

『土属性は主に感知魔法です』
『反動は五感にダメージがくるので気をつけましょう』

『初級の土魔法はいわゆるセンサーです。目を閉じてもどこに何があるか分かります』
『ただし空中にあるものは別なので注意するように』

土魔法だから地面と接触してないものは無理ってことかな。

『使えると中々便利ですよ』
『なお、術式の仕様上、効果時間は短いです』

とりあえずやってみよう。

安価下1コンマ 幸運発動
偶数:成功
奇数:大成功
ゾロ目:極大成功
103: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 17:52:00.61 ID:daT+a4EN0(16/34)調 AAS
目を閉じてみる。

……。

おぉすごい。普通なら真っ暗だけど、なんて言うんだろう、暗視ゴーグルっていうのかな?
それを付けた感じってこういうのをいうんだろうなぁ。

試しに家の中をこのまま歩いてみる。
障害物を避けて、庭に行って……。

グスタフ「タリア? なんで目を閉じて歩いてるんだ?」
タリア「魔法の練習中」

父さんを避けて近くに置いてある模擬斧を選び、手に取る。

グスタフ「そこにあるってよく分かったな。土魔法か? なかなかの精度じゃないか」

……だんだんと暗くなるのが分かる。効果が切れたのか。

タリア「終わっちゃった」
グスタフ「初めてにしては素晴らしい感知だったぞ。土が得意魔法かもな」

安価下2
1:このままグスタフ父さんに風魔法を教わる
2:戻って母さんの説明書で風魔法を勉強
106: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 19:01:02.05 ID:daT+a4EN0(17/34)調 AAS
タリア「確かパパの魔法って風だったよね。教えてほしいんだけど」
グスタフ「俺にか? そこまで力になれるか分からんが…娘の頼みだ」

グスタフ「今タリアが手にしているのは何だ?」
タリア「え? 模擬斧…いや、模擬刀です」
グスタフ「風属性は強化魔法に使う。それは自身にも他者にも武器にも使える」
タリア「そうなの?」
グスタフ「あぁ。風の力で素早い一撃を放つ。俺が使うのはそういう魔法だ」

なるほど。

グスタフ「上手く扱えないと風圧で皮膚が裂けることもあるから注意が必要だぞ」
タリア「それって大丈夫なの? パパって術式で暴走したんでしょ?」
グスタフ「その度にマリアの回復魔法の世話になったもんだ。はっはっは」
タリア「えぇ…」
グスタフ「知っての通り、俺は術式魔法は使えん。教えることができるのは『詠唱魔法』だ」
タリア「詠唱?」
グスタフ「分かりやすく言うなら、イメージした魔法を言葉にし魔力にのせて放つ魔法、って感じか?」

タリア「分かるような、分からないような」
グスタフ「まぁ俺もずっと無詠唱でやってるし、こういう説明はマリアが上手いんだ」
107: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 19:09:09.69 ID:daT+a4EN0(18/34)調 AAS
タリア「とにかくどんな感じか見せてほしいな」
グスタフ「簡単に言うが、使ったらしばらく動けなくなるぞ」
タリア「でも見てみたい」

グスタフ「よぉし! そこまで言われてやらないのは俺じゃない!」

そう言って父さんは斧を模擬斧に持ち替える。

グスタフ「これが魔木製の斧ってことは知ってるな? これでは普通の斧に比べて木を伐るには不自由だ」

グスタフ「しかし風魔法を使えば切れ味抜群とまではいかないが、木を伐るには充分な威力をもつ」

タリア「でも魔木って魔力を吸うんでしょ? 意味ないんじゃない?」
グスタフ「鋭い指摘だ。魔木が好むのは純粋な魔力。魔法に変換された魔力も吸収するが、そこまでじゃない」
タリア「うーん?」
グスタフ「伐採する前の魔木こそどんな魔力でも吸収するが、こうやって加工すれば魔法は吸わないんだ」
タリア「なんか難しい話だぁ」

グスタフ「…じゃあやってみるぞ」
108: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 19:18:01.00 ID:daT+a4EN0(19/34)調 AAS
グスタフ「風よ、身体を支えてほしい。娘に恰好良いところを見させてくれ! 【武具強化(エンチャント)】!!」

素振りと同じ動作、なのにいつもより心なしか動作が速い。
……なんか地味。

グスタフ「ただ素振りをしてるだけに見えるか? 注意して先の木を見てみろ」
マリア「え?」

素振りをしている一歩先には木がある。それを見ればいいのかな。
あれ、切れ込みがある。前もって入れてた?
……あ、違う。

タリア「切れ込みがどんどん増えてる」
グスタフ「そう。風魔法のおかげだ。風を斧の刃の形状にまとわせている。攻撃範囲の増えた斧と思えばいい」

やがて木は斧に触れることなく伐れた。
109: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 19:20:11.61 ID:daT+a4EN0(20/34)調 AAS
グスタフ「これが風魔法だ。分かったか?」
タリア「なんとなく?」
グスタフ「コツは風をどういう感じで動かし、たい、か、だな……」

父さんが尻もちをついた。

グスタフ「すまん。かなり抑えたつもりだったんだが、立てそうにない」
タリア「わ、分かった…。ちょっと見てて」

安価下1コンマ 幸運発動&父親遺伝ボーナス
偶数:大成功
奇数:極大成功
ゾロ目:イベント
111: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 19:48:59.37 ID:daT+a4EN0(21/34)調 AAS
風魔法は強化の力……。

自分に風をまとわせて、斧にもやれば効果は跳ね上がるのでは?

イメージを言葉にすればいいんだよね。なら考えたことをそのまま口に出す。
邪魔な思考は一切排除して…目を閉じて『集中』…。

タリア「風よ、全てにまといて力を貸して。【全強化(オールエンチャント)】」

……感じる。風が渦巻いてるのが分かる。
その中心に僕がいる。これを、ぶつける。

グスタフ「これは……マリアは何してる」

タリア「今だぁっ!!」

斧を振る。たったそれだけ。それだけ、だったのに……。
112: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 20:23:15.46 ID:daT+a4EN0(22/34)調 AAS
目の前には何もなかった。
そこにあったはずのたくさんの木が全て切り刻まれて倒れていた。

手に持っていた模擬斧は砕けて落ちた。

しばらくするとマリア母さんが血相を変えて飛び出してきた。

マリア「ちょっと大丈夫!? 結界に異常があったからきたけど何があったの!?」

座り込んだ父さんと庭の惨状を見てさらに顔色が悪くなる。

マリア「本当に何があったの!?」
グスタフ「マリアこそ何してた! タリアの風魔法はすごいぞ!!」
マリア「もしかして、これ、タリアがやったの?」
タリア「そうみたい」

グスタフ「俺の力を濃く受け継いだみたいだ! タリアは俺の誇りだ!」
タリア「大げさだよ…」
マリア「これだけの力を使って疲労を見せないなんて…。天才すぎるわ」

今夜は盛大なパーティが行われた。
…こういうのは初めてだからとても嬉しい。けど恥ずかしい…。

入学式まで残り4日。
113: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 20:28:32.80 ID:daT+a4EN0(23/34)調 AAS
タリア・ハイレン
使用魔法:水、雷
得意魔法:火、土
大得意魔法:風

武力値:92
武器:斧

安価下3まで多数決
1:二人の特訓(説明)パートを続ける
2:入学式前日までワープ(説明パートは学園になる)
118: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 20:57:11.66 ID:daT+a4EN0(24/34)調 AAS
―― 翌日 ――

マリア「結界の修復も終わったし、今日はタリアに大事な話があります」
タリア「うん」

リビングに行くといきなり研究者モードの母さんがいた。

マリア「まさか基本属性全部を使えるとは思わなかった。百年、いや千年に一人の天才よ。それが我が子なんて…」

マリア「貴女を研究対象にしないと決めていたけど、もう我慢できないの。血液だけでいいからサンプルを頂戴」
タリア「えぇ!?」
マリア「不得意属性がないどころか得意魔法が三種類。しかも私のいないところでの発覚なんて!」
グスタフ「落ち着けマリア。お前の気持ちも分かるがタリアの意見も聞いてやれ」

マリア「…そうね。でもこれだけは言わせて。貴女に詠唱魔法は危険すぎる…違う、集中するのが危険」
タリア「集中が危険ってどういうこと?」
マリア「貴女は集中する際に魔力を高めすぎてる。魔木がなければ暴走が確実に起こるわ。そういう意味では貴女もパパ同様、魔法使いに向いてない」
グスタフ「だが俺と違ってタリアは! 制御さえ出来れば素晴らしい魔法使いになる!」
119: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 21:00:06.39 ID:daT+a4EN0(25/34)調 AAS
マリア「そう、制御さえ出来れば、ね」
グスタフ「マリア、まさか」
マリア「そのために血液サンプルが必要なの。貴女に合う魔道具を入学式前に急いで作るわ」

タリア「……」

安価下3まで多数決
1:自力で制御する
2:血液を渡す
123: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 21:32:40.41 ID:daT+a4EN0(26/34)調 AAS
グスタフ「だが道具に頼っては…」
タリア「パパ、いいの。ボクは魔法に憧れてたから。好きなだけ採って」
マリア「ありがとう、可愛いタリア。こっちに来て」

父さんを置いて母さんと二人で歩いていく。

連れてこられたのは地下室。ここへは絶対来ないようにと言われている場所だ。

マリア「今日は特別よ。さ、入って」

そこは一面真っ白い空間。大きい本棚がたくさんある。

マリア「本は触っちゃダメよ。それを見るのはまだ早いわ」

注意しつつ注射らしきものを用意している。

タリア「分かった。これって何なの?」
マリア「ハイレン家が保管している魔法よ。中身は門外不出。そのうち貴女が護る番がくるわ」

準備が整って手招きしている。

マリア「ちょっと我慢してね」
124: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 21:42:43.95 ID:daT+a4EN0(27/34)調 AAS
……。
…………。

マリア「これで終わりよ。お疲れさま」
タリア「うん。絶対に完成させてね、マリア母さん」
マリア「任せなさい。これから忙しくなるからパパのとこに行きなさい」

ボクを地下室から出すと母さんは中から鍵をかけた。

リビングへ戻ると不機嫌そうな父さんがいた。

グスタフ「マリア、子供は研究に使わないと言っていたのに……」
タリア「…ボクのことを想って魔道具を作ってくれるんだよ」
グスタフ「そうかもしれないが、……くそっ!」

大声をあげた父さんは庭に行って素振りを始めた。
父さんには悪いことしちゃったかな。
125: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 21:43:51.77 ID:daT+a4EN0(28/34)調 AAS
姿勢が乱れていると思うのは気のせい、だよね。
今日は何しよう。父さんには近づきづらい。

安価下2
1:今日はお休みする
2:素振りで筋トレ
128: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 21:59:03.41 ID:daT+a4EN0(29/34)調 AAS
今日はなんだかやる気が起きないや。
部屋に戻ってゆっくり休もう……。

入学式まで残り3日。

―― 地下室 ――

マリア「……やっぱり。タリア、ごめんなさい」

マリア「私が貴女にしてあげられることは……」

―――――――――
129: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 22:02:51.88 ID:daT+a4EN0(30/34)調 AAS
―― 翌日 ――

タリア「お、おはようございます」

グスタフ「あぁ、おはよう」

いつにもまして気分が落ち込んでる父さんだ。

タリア「マリア母さんはあれから出てきた?」
グスタフ「ずっと地下室だよ。タリアが生まれて初めて地下で寝泊まりしてる」

タリア「…様子見た方がいい?」
グスタフ「俺が行く。ご飯もロクに食べてないだろうし」

安価下1
1:父さんに任せる
2:一緒に行く
132: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 22:42:15.52 ID:daT+a4EN0(31/34)調 AAS
なんだかんだ言いつつ母さんを心配している父さんだ。
こうなったのボクのせいだし…、

タリア「一緒に行くよ」
グスタフ「…分かった」

―― 地下室 ――

ドアに手を掛けるも鍵が邪魔して先へ進めない。

グスタフ「マリア! ご飯くらい食べに出て来い!」
タリア「食べないと身体にも悪いよ!」

声をあげて中にいる母さんに聞こえるようにするも返事がない。

グスタフ「昔っから研究に没頭すると何も聞こえなくなる。全く直ってないな」
タリア「まぁまぁ。でもどうしよう」
グスタフ「終わればひょっこり出てくるかもしれないが…」

その時、鍵の開いた音がした。
133: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 23:06:37.98 ID:daT+a4EN0(32/34)調 AAS
マリア「なぁに? 騒がしい」
グスタフ「騒がしいじゃないだろう。いつまで籠ってるつもりだ」
マリア「え? あら、もうこんな時間? 久しぶりに時間感覚を忘れちゃった」
タリア「マリア母さん、ちゃんとご飯食べて」

マリア「そうね。でも待って。……グスタフ、大事な話があるの。来て」
グスタフ「今はそんな場合じゃ」
マリア「時間が惜しいの。早く」
グスタフ「タリアには聞かせないのか? タリア関連の話だろう」

マリア「時間が惜しい今じゃ二人に説明した方が早いか。可愛いタリアもおいで」
タリア「うん、分かった」

地下室へと再び入ったけど、昨日とはまるで部屋の内装が違った。
大きな机に見慣れない機械がいくつもあって本が床に散らばっている。

マリア「今は認識阻害の魔法をかけてないの。これが本来の部屋よ」
グスタフ「そんなのはどうでもいい。話ってなんだ」
134: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 23:22:25.53 ID:daT+a4EN0(33/34)調 AAS
マリア「結論から言うわ。タリアに作る魔道具は二つ。『魔力吸収装置』と『魔力抑制装置』」

マリア「この二つでタリアの魔力を下げておかないと魔法を使うには危険と判断したわ」
グスタフ「吸収と抑制? そんなことしたらせっかくの才能が」
マリア「これでも足りないくらいなの! 庭にいたなら分かるでしょ!? あれは上級魔法よりずっと上なの!」
タリア「母さん…?」
マリア「私の結界にヒビを入れた魔法はそれほどに危険なの。幸いこの場所は魔木に困らないからいいけど、学園に行ったら…」

グスタフ「待て待て。どうしてその結論に至ったのか教えてくれ」
マリア「…きっかけは水と雷の属性をあっさり使えたことよ。私とグスタフの子にしてはおかしいと思ったの。この時点で私はいくつかの仮説を立てた」

ひとつ、タリアは天才
ふたつ、魔力の覚醒途中
みっつ、私のせい

マリア「出来れば最後以外であってほしかったけど、最後だったのよ」
グスタフ「ど、どういうことだ? まさか俺に隠れてタリアに何かしてたのか?」
マリア「するわけないでしょ! バカ!」
タリア「えっと? つまりどういうことなの?」
135: ◆vmfmKqFvN2 [saga] 2020/09/16(水) 23:49:35.02 ID:daT+a4EN0(34/34)調 AAS
マリア「貴女は不思議に思わない? 私が水魔法を使ったことに」
タリア「え? 思わなかったけど」
マリア「なら、さっき認識阻害の魔法を使ってないって言ったけど、それは?」
タリア「別に?」

グスタフ「認識阻害は土属性の感知魔法だ。さらにいうなら結界は風魔法。空気を圧縮して壁を作ってる」
タリア「えーと、マリア母さんはそれじゃあ…水と土と風の属性が使えるってこと?」

あ、違うや。火が母さんの属性魔法だ。紙にそう書いてあった。

マリア「学生時代の私は【狂った科学者(マッドサイエンティスト)】って呼ばれてたの」
タリア「まっど…?」
マリア「全属性魔法が使えたらいいなぁって思って、魔法の研究を始めたんだけどね。それをするには自分の身体を改造するしかなかったの」
タリア「か、かい…!?」
マリア「若気の至りって怖いわね。改造による身体の悪影響は成長するにつれ収まったんだけど、後遺症で魔力をずっと放出しないといけない身体になったの」

グスタフ「……それを利用した結界ってところか」
タリア「パパは知らなかったの?」
マリア「出会ったのが卒業したあとだったから知らなくて当然よ」
グスタフ「研究に熱心な女性だと思ったが、すごいやんちゃだったんだね…」
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