SSスレ (980レス)
上下前次1-新
699: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/24(日) 23:24 ID:kHqoVL5Q(56/111)調 AAS
そして俺は背筋に冷たい物が走るのを感じた。バルト帝国、大陸西方に勢力基盤を持つ一大軍事国家、
これが大陸最大の国家であるアジェントと手を結び、自分達日本と戦おうと言うのだ。
「セフェティナ…それは本当なのか、何かの冗談じゃなくて?」
「…うん。青島さん、どうにかして戦うのを避ける事は出来ないの?
アルヴァール様なんかと戦ったら…、青島さん…だけじゃない、
佐藤さんも、村田さんも、沢村さんも、加藤さんも皆死んじゃう…。」
「…セフェ―――。」
何かに耐え切れなくなって俺は手をセフェティナの背中へと回した。
「あ…。」
セフェティナもまた、それを拒む様子は見せなかった。
700: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/24(日) 23:27 ID:kHqoVL5Q(57/111)調 AAS
「たいちょー!」
ビクッ!
青島の腕がセフェティナを抱きしめようとしたその時、
突然入り口から佐藤の能天気な声が響き、二人は慌てて離れた。
そして佐藤が見たものはいわずもがな、
明らかに泣いていたばかりのセフェティナとそれから30cmも離れていない青島であった。
「ティナちゃん見つかりまし――――あ…し、失礼しましたー。」
「ま、待ってくれ、誤解だ佐藤ーっ!」
悲痛な青島の言葉も届かず、佐藤はそそくさと立ち去ってしまった。
「こ、こりゃ明日は大変だな…。」
「アハハ…。」
セフェティナの笑いを見るとそうぼやきながら青島はすっくと立ち上がった、そしてセフェティナを見る。
「大丈夫、セフェティナ。俺は死なない。佐藤たちも死なせるつもりは無い。」
「……はい!」
この結論が何の解決にもなっていないことは二人には分かっていたが、
今二人で笑っていられるだけでも青島にとっては十分であった。
701: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/24(日) 23:27 ID:kHqoVL5Q(58/111)調 AAS
次の日、散々な冷やかしを受けた青島とは別に、大変なことになっている場所があった。
どこか、それは政府上層部であった。
当然である、敵国がアジェント一国だけではないことが分かったのだから。
「えー、皆さんようやく方針が決まったと思っていた所大変申し訳ないが…、
昨日、協力者のところにアジェントからの通信があり、ごらんの事実が明らかになりました。」
ほぼ昨日から眠っていないのだろう、目を真っ赤に腫らした袴が言った。
他の閣議参加者も大体同様である。
「……通信、とは?まさか通信をする程の技術が向こうにあるわけでもないだろうに。」
「あー…、それについては赤羽君。」
「はい。」
恐らく参加者の中でも最も疲労困憊なのがこの赤羽であった。
連日の侵攻準備の総指揮をとりつつ、協力者(セフェティナ)からの情報を閣議に報告するのも彼の役目だったのだから。
しかし彼はそんな疲労を全く表には出さなかった。
「皆様お手元の資料をご覧下さい。通信魔法の説明と相手からの通信の全文です。
これらからアジェント、そして西方のバルト、この大陸における二大強国が手を組んだ物と考えられます。
おそらくは…いや、間違いなく我が日本と対抗するために。」
「待て。待ってくれ、アジェントとバルトは絶対に手を結ばないのではないのか、
それにアジェントは我々を舐めきっているのではないのか?」
「それに対しては返答しかねます。」
元々危機的な状況が更に悪化したのだ。
重苦しい沈黙が会議室に流れた。
702: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/24(日) 23:28 ID:kHqoVL5Q(59/111)調 AAS
そんな中、出席者の一人が声を上げた
「そうだ、その協力者を通じて友好を申し入れられないのか?」
「かの国がこれ程我々に対する敵対姿勢を見せている以上それは不可能かと。
それに通信は一方通行な物しか不可能と言う報告です。」
「はっ!それが本当かどうかも怪しい物だ。その協力者と言うのは向こうのスパイなのではないかね!」
「口が過ぎませんか、彼女の協力で我々がどれ程助けられたか忘れたのですか?」
袴に言われ、男はばつが悪そうに椅子に座りなおした。
「だが…、スパイと言う可能性があるのも事実だ。」
その男の援護をするわけではなかろうが酒井が言った。
「そもそも彼女はどちらの国の味方なんだね、それをはっきりしてもらわねば困る。」
「はい。それは確かめるつもりです。
近日中に行われる予定の三介島開放作戦。これに彼女の協力を求めます。」
赤羽が事務的な口調で答える。そもそもその仕事はセフェティナを管理下におく赤羽の仕事である。
つまり酒井の言った言葉は赤羽への当てこすりなのだ。
「待て、待ってくれ、本当にこのままの方針でいくのか?」
「そうしかないだろうな…バルトは大陸内陸部に存在する国家だ。即座に我々と衝突する訳ではない。
それよりも先日赤羽君の提案してくれた軽空母開発計画。これを実行するべきだと思うのだが。」
袴の言葉に赤羽は慌てて彼の顔を見た。
彼は赤羽の視線に気付くと黙って頷き、参加者の面々を見た。
この状況においては彼らもまた、反対する気はないようだった。
「確かに…こうなってしまった今いち早い戦力の拡充が必要…。
多少の資金はかかりますが軽空母の導入は必要でしょう…。」
普段は赤羽の言葉をことごとく否定する酒井も袴の言葉に同意した。彼は言葉を続けた。
「ただし、投資にはちゃんと投資分の成果を期待する。」
「それは約束しよう。」
赤羽は自信に満ちた笑みを見せた。
703: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/24(日) 23:30 ID:kHqoVL5Q(60/111)調 AAS
投下終了です。
戦争編はそろそろかな…。
ついでに700ゲトー。
ご意見ご感想お待ちしております。
704: S・F (7jLusqrY) 2004/10/25(月) 02:53 ID:MSZ8PKC.(21/23)調 AAS
軽空母計画再始動キター!そしてキリ番アンド佐藤えらい!
恋愛劇はクライマックスの直前直後が一番。つまり今はまだ動く時ではない。
と言うわけで、ナイスストッパー佐藤。
フィリッピンが本来あるべき辺りに、日本とも「世界」とも全く異質な文明の
島が並んでいる・・・いいなあ。でもその辺の地図はどうなってるんでしょ?
国と戦争の板挟み、初期の頃曖昧に付いていったのが、こんな結果を生むとは。
セフェティナはまあ前線には出ないだろうけど、魔法戦担当なんだろうか?
705: 名無し三等兵@F世界 2004/10/25(月) 03:05 ID:EXfmuxps(1)調 AAS
話の流れを読んでいないが人魚なんて出てこないかな?
706: 名無し三等兵@F世界 2004/10/25(月) 07:14 ID:K1U79z9M(6/8)調 AAS
彼女の役割は対魔法アドバイザーなんでないの?
707: 名無し三等兵@F世界 2004/10/25(月) 09:39 ID:K1U79z9M(7/8)調 AAS
長い休みから復活していつもの投稿ペースに戻ってきましたね。
何はともあれおめでとーございます。
708: 卓ゲ板から(略 (j0AhRKAw) 2004/10/25(月) 18:56 ID:q1rA4c46(1/5)調 AAS
自衛隊とはあまり関係無いので、少々場所をお借りします。
こんな現象、あったら嫌だ
「雨、か。珍しいな」
テントを叩く軽い音を聞きつけ、三浦は装備の手入れをする手を止めた
開け放したテントの入口から、たっぷりと水気を含んだ風が吹き込んできた。
津波の傷跡がまだ生々しい森の、それでも徐々に回復してきた緑が雨粒を受け止め、集めて地面に落とす。
まだほんの2ヶ月ほどしか経っていないと言うのに、森林の回復力はめざましい。
日本の植生では考えられないほどの速度で、生長を続けている。
植物のサンプルを持って帰った学者達が、その耐久力に目を見張ったほどだ。
・・・・さすがに、『強酸にも殆ど侵されない強靭な物質に覆われている』とか、
『若葉の表皮細胞に大量の強アルカリを含む』というのは何かの間違いだろうが。
野営地となった広場には、しとしとと銀の軌跡を描いて、空から水滴が落ちてくる。
世界が変わっても、そう言った自然現象は変わらないらしい。
・・・・向こうに比べれば、大幅に頻度が落ちている。
こちらの世界に呼び込まれてから、数回しか雨天を経験していない。
709: 卓ゲ板から(略 (j0AhRKAw) 2004/10/25(月) 18:58 ID:q1rA4c46(2/5)調 AAS
「客人、何か手伝える事は無いか?」
ぬっ、と藁の塊のような物が三浦の目の前に突き出された。
思わず仰け反ってしまったが、よくよく見ればこの世界の原住民の一人だ。
好奇心が強いのか、毎日の様に野営地を訪れる。
『何か手伝える事は無いか』と訊き回って断られ、尻尾を垂らして帰っていく姿を良く見かける。
・・・・その外見と行動とがあいまって、まるで犬のようだと隊員達に噂されているようだ。
立派な毛皮を持つせいか、あまり衣服という物を身に着けない彼らでも、雨に濡れるのは嬉しくないらしい。
今日は、蓑のような作りの雨具を身に着けていた。頭には、しっかりと笠に良く似た物を被っている。
一見藁を大雑把に束ねただけに見えるが・・・・、実際もその通りだったりする。
元々の植物が油分を多く含む為、防水性は中々に高い。
もっとも、含まれる油分のせいで大変燃えやすいのだが。
それに、がさがさと騒がしい事この上ない。
「特には、無いな」
三浦のにべも無い返答に、原住民はあっさりと踵を返した。
断られるのはもう既に慣れっこになっているようだ。
野営地に出入りしている間に覚えたのか、日本語でのコミュニケーションにも怪しい所は無い。
ふと、原住民が足を止めた。額の、複眼のような器官が雨雲を通した弱い日光を反射する。
「(言語形態が異なる為、表記不可)ん、伝える」
・・・・この世界の原住民は、なにやらデンパを受信できるらしい。
「もう既に知っているかもしれないが。これからの季節、たまに『痛い雨』が降る。
出来る限り、森の中、大きな木の下に居た方が良い」
一気にまくし立てると、原住民は再び歩き出した。
森の中に入ると、あっという間にその姿は見えなくなる。
「痛い雨? 一体何の事だ?」
三浦の疑問が解消されたのは、早くもその翌々日の事である。
710: 卓ゲ板から(略 (j0AhRKAw) 2004/10/25(月) 19:01 ID:q1rA4c46(3/5)調 AAS
原住民の勧めどおりに野営地を移したのは、翌日の午前中。
野営地としていた広場のすぐ脇、森の中の下生えを刈り取って、無理矢理場所を作っての事。
まるで日本人が神でもある様に崇拝して来る原住民が、わざわざ忠告してきたのだ。
何か、もっともな理由があるのだろう。・・・・理由の説明は、まったく無かったが。
当然ながら、森の中には車両まで置くような場所の余裕が無い。
木を切り倒してしまえば駐車スペースも出来るだろうが、それでは森の中に入る意味が無くなってしまう。
今まで通り、昨日までの野営地に止めておく事になった。
そして、夜半。再びの降雨があったらしい。当直の者達が、交代の時にそう伝えてきた。
もっとも、森の中の野営地から出る事も無く、密生した木の葉に当たる雨音を聞いただけのようだが。
朝には、からりと晴れ上がっていた。
「森の中なら、雨具は必要無いかも知れないな」
そんな声を聞きながら、車を止めてあったはずの広場に向かう。
この森には、大きな生き物も居らず危険は少ない、はずであった。
広場にあったのは、車両の残骸、としか呼べないものだった。
まるで、何年間も放置されていたかのように、ぼろぼろにサビを浮かせている。
広場のあちこちには、異臭を放つ緑色の水溜りが出来ていた。
手入れの悪い水槽のように気味の悪い暗い緑に濁った水が、赤茶けた粘土質の土の上に溜まっている。
車両の方から流れてきたらしいサビ混じりの水と混ざり、名状しにくい色になっている物も多い。
「何だ、こりゃ?」
水に触れないよう注意しながら、得体の知れない水溜りを覗き込む。
つん、と鼻を突いた臭いは、何処と無く酢に似ていた。
合成酢をうっかり口に含んでしまった時よりも強い刺激が、舐めた訳でも無いのに口と鼻を直撃する。
「検査キット持って来ました!」
ガサガサと音を立てて、水質検査キットを開封する。
その水が、飲料水に適しているかどうかを調べる為の物だ。
・・・・どう見ても、体に良く無さそうなこれに使うのは気が引けるが、
他に水質検査に使える物が無いのだから仕方が無い。
711: 卓ゲ板から(略 (j0AhRKAw) 2004/10/25(月) 19:02 ID:q1rA4c46(4/5)調 AAS
検査結果は、『強酸』。流石に、キットを用いた簡易検査ではその種類までは判らないが。
奇妙な事に、うっかり触れれば火傷してしまうような酸の中に、
藻のような苔のような黴のような、青緑の綿状の物が浮いている。
やはり植物の類らしく、サンプルを採取している間にも、急速にその体積を増やしていた。
水を吸って膨れている訳ではない。
棒状の物で引っ掛け、出来るだけ水気を切ってから入れたはずのスクリュー瓶の中でも、
いまだに生長を続けているのだから。
「今日はまた、随分と降ったなぁ」
場違いに暢気な声がした。がさがさと、原住民の雨具が擦れる音と共に。
わらわらと、森の中から沸くように現れた原住民の集団が、
手にした長い木の枝を箸のように使って黴の様な物を採取する。
「これは、一体?」
今の事態に対してなのか、この正体不明の『黴の様な物』に対してなのか。
自衛官達の中から質問が飛んだ。
「えーっと。『薬のコケ』で、意味あってるかな?」
彼らにとっての、薬草の一種であるらしい。
季節風に乗って飛んだ胞子が、雨雲の中で水分を得て増殖し、
地上に落ちてくるのだと説明した。
「何日か川で晒して、酒につけておくんだ。そのまま触ると、痛いけど」
・・・・どうやら、酸性雨の原因はこれのようだ。
712: 卓ゲ板から(略 (j0AhRKAw) 2004/10/25(月) 19:06 ID:q1rA4c46(5/5)調 AAS
と、言う訳で。
『F世界に酸性雨が降るとしたら、その原因は何か?』を考えてみました。
降るんだったら、それに適応した植物があっても面白いかな、と。
森の中で酸性雨による被害が出なかったのは、樹冠部分のアルカリ性の葉っぱのおかげ、と。
713: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/26(火) 01:06 ID:kHqoVL5Q(61/111)調 AAS
どうも卓ゲ氏、いらっしゃいませ。
それにしても車も溶ける雨…ガクガクブルブル
さて、投下でもしましょうかね…。
714: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/26(火) 01:07 ID:kHqoVL5Q(62/111)調 AAS
「やれやれ、とんでもねえ作戦だなこりゃ…。」
これから作戦に赴く集団を見て(と言っても彼もその一員なのだが)沢村は言った。
しかしそれも無理も無い。
赤羽佐世保地方隊司令が陸自、空自も含め直接指揮を執るこの作戦は、
これから編成される異界方面隊司令が彼で適正であるかどうか見るテストでもあった。
気合いが入るのも当然である。
陸自は一個師団をほぼまるごとつぎ込み、そしてイージス艦を含むそれに見合うだけの艦隊が用意されていた。
そして空自においても制空権確保のためのF-15J部隊が用意されていた。
つまり、名目上は「解放」であるこれも、実質は「侵攻」なのである。特にこの三介島上陸作戦は。
そして青島たちの小隊は魔法戦を経験した物として、
セフェティナの護衛をしながら陸自と行動を共にする特別部隊とされていた。
「沢村さん、どうですか調子は?」
「ああ、佐藤か、いやいや、二回目ともなるとさすがに慣れてくるもんかな。
周りの奴を見てみろよ。」
言われて佐藤が周りを見渡す、すると周りの隊員のほとんどが緊張にガチガチになっていた。
「といっても俺達はティナちゃんの護衛ですから、そんなしんどい仕事にはなりませんよ。」
「まあ、な。」
沢村は曖昧な返事をした。
715: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/26(火) 01:07 ID:kHqoVL5Q(63/111)調 AAS
一方、この作戦の司令官達、及び特別幹部候補である青島、加藤は赤羽に作戦の説明を受けていた。
だが、最低でも左官レベルの司令官達の視線は冷たかった。
「(ひえ〜、睨んでる睨んでる。)」
「…。」
その視線に少し圧される青島に対して加藤は全く気にする素振りは見せなかった。
しかし赤羽が壁に張ってある地図を用いて説明を始めると、その視線も立ち消えた。
「これは三介島の地図だ、人工衛星があれば完璧な物が撮れるのだが、無いものねだりをしてもしょうがない。とにかく我々はこの台湾の半分ほどの島への上陸作戦を行う。」
赤羽は島の中心部を指した、そこには真っ赤な三角印とバツ印が寄り添うようにあった。
「この三角がこの島を重要なものと成し得ている鉱山だ。そしてこのバツ印が敵拠点。
元々鉱山管理として作られた物のためにこれら二つの距離は非常に近い。
この二つが我々の制圧目標となる。
しかしこの拠点、魔法という強力な遠距離攻撃手段が存在しているせいか、非常に防御力が高い。
そのため、鉱山はともかくとしてこの拠点で攻城戦を行うことは絶対に避けたい。」
赤羽は手元のプリントも見ずに続けた。
「そして偵察によると敵の兵力はおよそ2000。これは予想よりずっと少ない数字だ。」
部屋の面々の間に安堵のため息が漏れた。
「ただし、これは敵の訓練された兵士、常備軍の数だ。ちなみにその内200は竜騎士部隊。敵は現地人を徴用して兵士として使ってくる可能性が非常に高い。
それもたぶん男なら誰でもという勢いで、だろうな。
そしてこの場合、相手兵力はおよそ4万。まあ単純計算でこちらの2倍以上だ。」
ビキッ。部屋の空気が一気に凍りついた。
冷静な顔をしているのは三人。赤羽と加藤、そして意外にも青島であった。
716: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/26(火) 01:08 ID:kHqoVL5Q(64/111)調 AAS
「ちょっと待ってください。」
士官の一人がたまらず発言した。
「海将は我々に死ねとおっしゃるのですか?数で圧倒的差をつけられているのに侵攻などと…。
兵法の条理にも反しています。」
この言葉を皮切りにかなりの批判意見が噴出した。
しかしそれを赤羽は黙って聞いていた。
そしてひとしきり批判が出終わると彼は青島のほうを向いた。
「お前はこの作戦が無茶だとは思っていないようだな。」
「えっ…?あ、はい。」
再び冷たい視線が皆から突き刺さる。
赤羽が青島を構うことからのジェラシーだろうか、その視線の中には加藤も含まれていた。
「…何故かを少し言ってみてもらえないか。」
「あ、…はい。まずはネックとなっている4万と言う数字、しかしこれはほとんど戦闘訓練も受けていない素人たちです。当然魔法の脅威も存在しません。
そして更にそれを指揮するには2000人では到底足りません。
まず間違いなく指揮系統は混乱すると思われます。
そしてさらにもう一つこの4万人は皆、アジェントの常備軍に対して憎しみを持っています。
士気も0に等しいでしょうし、さらに場合によっては戦闘すら起こりえないと思われます。」
717: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/26(火) 01:09 ID:kHqoVL5Q(65/111)調 AAS
青島が言葉を切ると赤羽は満足そうに笑った。
「その通りだ。はっきり言ってしまえばこの現地徴用の敵は相手にはならない。
むしろ注意すべきはこの現地人達を傷付けないようにすることだ。我々は解放軍なのだからな。
現地人たちは敵ではない、むしろ味方だ。」
赤羽はそう言うと再び自分でしゃべり始めた。
「そこで、だ。
前提として、上陸地点付近の敵竜騎士部隊を殲滅、制空権を確保する。
そして我々はまず、敵船部隊、これは相手にもならないだろうが、を殲滅後、海上に艦船を展開する。
その後、敵が海辺に展開するかどうかで戦闘パターンが決まる。
海辺に兵を展開する場合は厄介なことになる。本来ならば砲撃で焼き払いたいところだが、
そうもいかん。この場合、敵現地兵を説得、失敗の場合は威嚇砲撃を行う。
それでもだめならば仕方があるまい、兵法の基本どおり、焼き払う。
そうして突破後はもうなんら厄介なところは無いだろう。
むしろこうなってくれたほうが我々側の犠牲は少なくて済む。」
赤羽は薄く笑った。
その表情は笑みであるにもかかわらず、多くの士官達を畏怖させた。
718: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/26(火) 01:11 ID:kHqoVL5Q(66/111)調 AAS
「もう一つは敵が篭城、もしくは拠点周辺に兵を展開する場合だ。
この場合は艦船の援護射撃がほとんど得られない可能性が高い。
この場合は鉱山を攻める。鉱山は敵が絶対に守らねばならない施設だ。
そうである以上ここを攻めれば敵は守らざるを得ない。拠点より遥かに守りにくいこの鉱山をだ。
つまりは亀の甲羅からお出まし願うわけだ。」
「赤羽海将。」
赤羽の言葉を遮るように士官の一人が言葉を発した。
「なんだ?」
「鉱山を攻めるとしたら、現地人の犠牲は免れないのでは?」
「いや、そこで現地抵抗勢力と手を結ぶ。彼らを先方とすれば現地人との衝突は避けられるだろう。
現地レジスタンスたちの言葉も聞かないようであれば、それは解放される意思のないただの敵だ。
ちなみに…現地レジスタンス達とはもう連絡を取ってある。」
そして最後に赤羽はニヤリと笑って言った。
「そしてもし鉱山を攻撃されても拠点から出てこない臆病者ならば、
我々はこの島への「援助」を続けながらゆっくりと兵糧攻めをさせてもらうとしよう。以上だ。
これらの作戦は最後のケース以外は敵常備軍を以下に早く殲滅できるかにかかっている。諸君の健闘に期待する。」
「はっ!」
参加者達が一斉に十度の敬礼をする。
これが、戦後日本の始めての侵攻。「三介島解放作戦」のはじまりであった。
719: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/26(火) 01:12 ID:kHqoVL5Q(67/111)調 AAS
どうも投下終了っす。
いや、戦術面にはかなり穴があると思います、
お見苦しいでしょうが、お許し下さい。
意見も待ってます。
それではご意見、ご感想、よろしくお願いします。
720: 名無し三等兵@F世界 2004/10/26(火) 02:49 ID:8sJRFPj2(1)調 AAS
いよいよ本格的な戦闘でつか・・・期待しとります。
721: 名無し三等兵@F世界 2004/10/26(火) 17:57 ID:/JxOKHjA(2/2)調 AAS
上陸といったらおおすみのホバーの出番ですね!!
722: 名無し三等兵@F世界 2004/10/26(火) 23:48 ID:reUgUsAo(1)調 AAS
竜騎士の奴らを倒すのにミサイルは牛刀で鳥をさばくようなもの。
護衛艦の搭載砲とファンクラスで充分かな?
イージス艦は100もの対象をロックオンできるというし。
723: 2004/10/27(水) 03:09 ID:QW0PcCKs(1)調 AAS
OTOメララ大活躍ですな
個艦防御で各艦対応できるだろ
724: 名無し三等兵@F世界 2004/10/28(木) 08:42 ID:K1U79z9M(8/8)調 AAS
ヘリによるエアカバーも必要じゃないかと付け加えてみる。
725: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/29(金) 18:13 ID:kHqoVL5Q(68/111)調 AAS
ああ、演出を求めるか整合性を追及するか…。
残念ながら私には両立する腕が無い…。
投下は少し遅れます。
726: 2004/10/29(金) 22:29 ID:uvNIFZYQ(1)調 AAS
上陸前にクラスターを撒くのを忘れずに。
727: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/31(日) 17:48 ID:kHqoVL5Q(69/111)調 AAS
投下?
投下。
728: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/31(日) 17:48 ID:kHqoVL5Q(70/111)調 AAS
「それは、本当ですか?」
「ああ、ほぼ間違いない。」
三介島鉱山山麓、カリヴァン候運営の拠点。
そこの長を務める男、アーガスはうなずいた。
純白の鎧を身に着けるカリヴァン騎士の多いなか、彼は何故か好んで灰色などの暗い色の鎧を付けていた。
曰く、「奴隷の管理などと言う仕事において清廉を保つことは不可能。」
その一見白が基調のカリヴァン候への反抗にも見える鎧また、彼なりの忠誠心の現れであった。
アーガスは有能な男であった。そして更に「妥協」と言う言葉を知っている男であった。
それ故に彼は清廉潔白を旨とするカリヴァン騎士団からこんな僻地へととばされたのだが、
しかし、彼はいじけることなくその能力を発揮していた。
「レジスタンスグループの一人を捕らえた。どうも彼らは新たに召還された島と手を組んだらしい。」
「新しく召還?そんな魔法技術も無い島国…たいしたことは…。」
「本国がそんなたいしたことの無い島のために帝国と手を組むと思うか?」
「い、いえ、失礼しました。」
まだ若い騎士が慌てて頭を下げた。
「いや…、ともかく、それほど強大な勢力だと言うことだ。それが今まで召還されてきた奴隷島へ向かってくる…。」
「勝算は…ありますかな?」
彼の傍に控えていた魔道士が言った。
729: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/31(日) 17:48 ID:kHqoVL5Q(71/111)調 AAS
彼の名はロン。
彼もまた騎士団からつまはじきにされ、冷や飯を食わされている男であった。
「いや…ないな。」
アーガスの言葉に若い騎士がハッと顔を上げる。その様子も気にせず魔道士は微笑んだ。
「ま、そうでしょう。…そういえばその捕らえたレジスタンスというのは何処にいますか?」
「ああ、客室にいる。…人間と言うのは醜いな。軽い拷問の後地位を保証すると言ったらすぐに飛びついた。
いや、そういう方法をとった我々のほうが余程醜いか…。それに…我々には保障する地位も無い。」
自嘲的に笑うアーガスに対しロンはニヤリと笑った。
「だから我々はこの島にいるのでしょう。」
「ハハ、それもそうか。」
アーガスもまたロンに答えにやりと笑った。
「で、どうなさるのです?今ならこの島を放棄して逃げることも出来ますが。」
「いや、迎撃する。勝てないのならば後の候達が少しでも有利に戦えるようにするべきだからな。
すこしでも戦力を削り、情報を得ておく必要があるだろう?」
「ご立派。」
「ついてきてくれるか?」
「愚問を。」
「すまないな。」
「いえいえ。」
二人は軽く笑った。
ひざまずく若い騎士は自分の未来を考えただ呆然としていた。
730: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/31(日) 17:49 ID:kHqoVL5Q(72/111)調 AAS
日本。佐世保基地。
セフェティナは数日前に返って来た魔法用の篭手をはめなおしていた。
研究用に政府側に一時的に渡していたものだったが、
アルヴァールからの通信が入る前にセフェティナに帰ってきたのは幸運であった。
ちなみにこの篭手を研究して分かったことは魔導の石アルジェクトがある程度ケイ素を含む、それだけであったらしい。
セフェティナは緊張していた。人生二度目の戦場。
しかも混乱していて何がなんだか分からなかった前回に対し、
今回はきちんと準備もなされたものだけに、プレッシャーも大きい。
ガチガチに固まっている彼女を見かね、佐藤は声をかけた。
「あ、ティナちゃん。どうしたの強張った顔しちゃって、それじゃ現場に着く前に疲れちゃうよ。」
「…。」
「てぃなちゃん?」
「あっ、青島さん!?…あ、佐藤さんですか。どうしたんですか?」
「うーん。ちょっとショックかも。」
「す、すみません…。」
「いやいや。あんまり緊張しすぎは良くないよ?ティナちゃんの安全を守るために俺達がいるんだから。」
佐藤はそう言ってニカリと笑った。
「は、はい。ありがとうございます。」
セフェティナがつられて笑うと佐藤は再び満足そうに笑った。
731: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/31(日) 17:49 ID:kHqoVL5Q(73/111)調 AAS
一方青島は村田達と一緒に居た。
青島の小隊にとってこの作戦は天野がいない初めての任務であった。
小隊の実質的な中心であった天野の穴を埋められるのはベテランの村田だけだったのである。
「おう、どうした色男。」
村田は青島が視界に入ると同時にニヤリと笑った。
「…村田さん、その呼び方は止めてください…。」
「ははは、もうこの基地中の噂になっているぞ?」
「勘弁してくださいよ…それで話があるんですが…。」
「ああ、大丈夫だ聞かなくても分かる、まかせておけ。」
青島が話をしにきた時点で彼はすでにそれを了解しているようであった。
青島はそんな彼を頼もしく思った。
「この噂をもっと広めてくれって言うんだろ?」
しかしそれは彼の気のせいのようであった。
732: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/31(日) 17:50 ID:kHqoVL5Q(74/111)調 AAS
一方
「青島二尉。」
青島が話を終え一人で歩いていると声をかけてくる人物が居た。
青島が振り向くとそこにいたのは見慣れた顔であった。
「…結衣三尉?」
「……。」
しかし加藤は青島が話しかけても一向に喋ろうとせず、俯いていた。
「…どうしたんだ?」
「あ、あの噂っ、……いや…なんでもないわ…。」
「え?え?」
「なんでもないって言ってるでしょ!」
加藤はそう言うと顔を真っ赤にして青島に背を向け早足で歩いていってしまった。
「???」
青島は何故怒鳴られたのかも分からずただ頭に?マークを浮かべていた。
733: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/31(日) 17:50 ID:kHqoVL5Q(75/111)調 AAS
その次の日、佐世保基地は作戦に参加する隊員で一杯となった。
そしてその前に赤羽は作戦司令として立った。
「…この作戦は、非道極まる奴隷支配を受ける人々を解放するための作戦である。」
一方、三介島でもアーガスによる演説が行われようとしていた。
形式にこだわるアジェントでは異例中の異例である一兵士まで集めた、合計2014人に及ぶ大集会であった。
「まずは、集まってくれた皆に感謝の意を表したい。」
アーガスがそう切り出すと場は静寂に包まれた。
「知っての事とは思うが、この島に東の島の国、ニホン国が攻め込んでくる。
そして我々にはこれに抗するための戦力が無い。
よってこれから行う作戦は、我々の死を前提とした物となっている。」
この言葉に場は動揺が走った。急に騒がしくなった。
しかしアーガスは何も言わずに場が静まるまで待った。
「そこで、だ。」
また再び話し出すアーガスの言葉に兵士達はゴクリと唾を飲んだ。
「30分待つ。私とともに死んでくれる者だけここに残ってもらいたい。
当然出て行くものには船などを用意する。
ただし出て行ったものに関して言及することも詮索することも禁ずる。
ここで出て行ったとしてもアシェナの神の祝福を受けられることは私が保証しよう。」
再び場に動揺が走った。兵士達は皆まじまじとアーガスの顔を見る。
しかし彼はそれ以上何も言わずに部屋から出て行った。
そして30分後彼が部屋に戻った時、そこにいた兵は1420人であった。
「有難う。そしてすまない。」
相手は皆自分よりも遥かに身分の低い相手である、だがアーガスは深々と頭を下げた。
734: F猿 (BfxcIQ32) 2004/10/31(日) 17:51 ID:kHqoVL5Q(76/111)調 AAS
投下終?
投下完了。
ご意見、ご感想お待ちしております。
735: 名無し三等兵@F世界 2004/10/31(日) 22:30 ID:O2ey0WLg(1)調 AAS
最初の戦いから激戦になりそうですな。
736: 2004/10/31(日) 23:02 ID:ueWREwdY(1)調 AAS
>>ちなみにこの篭手を研究して分かったことは魔導の石アルジェクトがある程度ケイ素を含む、それだけであったらしい。
この地上にある程度ケイ素を含まない石などあるのだろうか。たぶん伏線のつもりなんだろうけど意味のない描写な気がする。
737: 2004/11/01(月) 03:01 ID:L6DX1V7c(1/2)調 AAS
> この地上にある程度ケイ素を含まない石などあるのだろうか
黄鉄鉱とか方鉛鉱とかマンガン団塊とか石炭とか石灰岩とか……
などと揚げ足とってしまったがたしかにケイ素を含まない石が多数派でないと不自然な書き方だな。
そう言えばキャプテンフューチャーで、
「カルシュウムを産出しないので現住生物の骨がケイ素化合物で出来てる星」つうのがあったな。
738: (zbg2XOTI) 2004/11/01(月) 19:54 ID:ByKSrRMw(1)調 AAS
>意味のない描写な気がする。
珪素を含むほかは未知の物質でできているって解釈でも良いかと。
また、ある程度珪素を含むってことはこの世界でも珪素を含む組成の石が大多数って事で、
物質の組成はこちらの世界とほぼ同じ、+その世界特有の物質が存在する、と推定することもできるかも。
739: 名無し三等兵@F世界 2004/11/01(月) 20:56 ID:WGHSizEU(1/2)調 AAS
アーガス、敵でありながらなかなかの好漢ですな。
彼のこの後の運命は戦死か?はたまた・・・?
740: 2004/11/01(月) 21:20 ID:L6DX1V7c(2/2)調 AAS
こういう人にはぜひ生き残ってほしいが、トミノ作品だと真っ先に死ぬんだよなぁ>アーガス
741: 名無し三等兵@F世界 2004/11/01(月) 21:54 ID:WGHSizEU(2/2)調 AAS
あの人はこう言いたいのかと『戦争ではいい奴から真っ先に死ぬ』
742: 2004/11/01(月) 22:42 ID:N2nov956(1)調 AAS
珪素と言っても半導体じゃ無いだろうな。
そうだったらイージス艦の強力なレーダー波を照射されたらぶっこわれて
ジファンは魔法を使えなくなっていただろうし。
743: 2004/11/03(水) 00:23 ID:zEAn4rm2(1)調 AAS
半導体といってもなぁ。電子部品が入っている訳じゃ
無いでしょう。単なる半導体なら大丈夫でしょうね。
744: 名無し三等兵@F世界 2004/11/04(木) 06:51 ID:OuDDfgtY(1)調 AAS
本家も香田さんの殺される画像が公開されてからほとんど動きがなくなってしまいました。
ここだけが頼りです、続編の投下を待ってます。
745: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/04(木) 18:46 ID:kHqoVL5Q(77/111)調 AAS
あれを見たものとしては戦争物を書いていいのかどうか…と考えていたもので。
少し恐ろしくなってしまいました。
746: S・F (7jLusqrY) 2004/11/04(木) 19:34 ID:MSZ8PKC.(22/23)調 AAS
戦争物と戦争に関連性は・・・あるとしたら書き手がそう考えた時だけです。
結局批判性の無いものなら無関係ですからね。あてこすりで書かなければ
問題はないと思いますよ。
ようはテーマの問題ですよ。やろうと思えば児童向け作品でも社会批判やら
物事についての意見は述べられるし、逆にいくら虐殺描写をしても全部が
ストレス解消に繋がるような作品もあります。
とまあ、基本的な事を偉そうに述べすぎてもアレなので、続編を期待します。
747: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/04(木) 22:23 ID:kHqoVL5Q(78/111)調 AAS
香田さんのご冥福を祈りつつ、
それでは、投下を開始します。
748: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/04(木) 22:24 ID:kHqoVL5Q(79/111)調 AAS
「こちらアルファ中隊、敵飛行兵器確認できず。」
「こちら哨戒任務中、敵船、敵飛行兵器確認できません、制空権及び制海権はこちらが完全に確保した物と思われます、以上。」
三介島から約60キロ沖、そこには今回の作戦参加艦艇が結集していた。
結集、と言っても島の南と東の二つに艦隊は分かれてはいたが。
島中央部にある敵拠点を中心として一つは比較的平野が広がっている南から本隊が、
そしてこの縦に細長い島の東から最短距離で拠点制圧を狙う部隊であった。
もはやこの位置まで来ればイージス艦であれば島中心部の拠点も把握できる。
「不自然だな…。」
輸送艦「おおすみ」艦長、伊藤は呟いた。
本来ならばこの状況にまで持ってくるまでに制海権奪取、制空権奪取が必要なのだが、
不自然なことに島周辺には一つの船も、一匹の竜すら存在しないのである。
「伊藤君、そろそろ揚陸の用意をさせてくれ。」
「了解しました。」
今、そんなことを考える必要は無い、必要なのはただ与えられた命令を遂行することのみ。
軍人となった時から上官の命令に対しては自分の頭は帽子掛けなのだから。
赤羽からの通信が入り伊藤は頭の中のモヤモヤを振り払った。
749: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/04(木) 22:26 ID:kHqoVL5Q(80/111)調 AAS
イージス艦「ちょうかい」
「こんごう」が尖閣諸島地域へと出払っている今、
赤羽はイージス艦を呉からわざわざ持って来なければならなかった。
そしてこのイージス艦の最新鋭のレーダーは、海にも空にも敵機が存在していないことを示していた。
もちろん赤羽「元」佐世保司令もこの不審さに気付かないわけはなかった。
というよりも彼は伊藤よりも遥かに早くこの事態に気付いていた。
それ故に航空部隊の護衛をつけて哨戒任務を行わせているのだ。
その報告を待っている時、艦橋に入ってくる人間があった。
「赤羽司令長官。」
「加藤か。」
「はい。」
普段艦橋にはありえない陸上自衛隊の制服。赤羽以外の人間は少し眉をひそめた。
しかしそれも気にせず加藤はツカツカと赤羽の傍へ近づいた。
「私に上から任務が下りました。」
「…。」
緊張した面持ちで赤羽を見る加藤に対し、赤羽は何も答えなかった。
「海自と陸自の『連絡役』とのことです。」
「私の監視か?」
「…。」
赤羽の言葉に加藤は黙った。
750: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/04(木) 22:27 ID:kHqoVL5Q(81/111)調 AAS
赤羽は薄く笑った。
「ふむ、向こうも私のような青二才は信用できないと見える。」
「っ、そんなこと―――」
加藤はそれ以上言う事はできなかった、実際若い赤羽への自衛隊内での反発は(特に陸自では)大きい、
しかし加藤は赤羽を青二才などと言うことは例え自虐の言葉でも我慢がならなかった。
「声が大きい。お前が思うかどうかではない、向こうがこちらをどう思っているかどうかの話だ。」
「…。」
加藤は再び口を閉ざした。赤羽はそれを見ると何事もなかったかのように言った。
「それでは任務に全力を尽くすように。」
「…了解しました。」
半ば、突き放すような形で会話を終えた赤羽に対し、加藤は何か言いたそうな眼差しをしたが、結局何も言わずに敬礼を返した。
「哨戒の結果、敵は島中心部の拠点と上陸地点のほぼ中間の平野に集結していることが分かりました。
上陸予定地点には敵の存在は確認できませんでした。それどころか敵拠点にも存在が確認できません。
兵力はおよそ4万。敵竜騎士も一部がそこに存在、残り大半は森などに隠れているようです。以上。」
そして哨戒機からの連絡が入り、艦橋はにわかに活気付いた。
751: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/04(木) 22:28 ID:kHqoVL5Q(82/111)調 AAS
「上陸際を叩かないのは余り海の戦闘を経験していないからですかな?」
「美学を求めた玉砕体制か?それとも…。」
しかし隊員の一人の呟いた気楽な一言とは逆に赤羽の表情は険しかった。
「上陸地点および敵拠点の爆撃を指示する。同時に東部艦隊は上陸用意、爆撃後拠点制圧に向かえ。」
そして意を決し彼は言った。
艦橋の人間誰もが赤羽を振り返る。
今の彼の言葉は警察予備隊時代から約50年にわたる自衛隊の歴史の中、
初めて、自ら積極的に相手を攻撃することを命令する物であったのだ。
しかし、艦橋の人間に対し、現場、空自の返答は落ち着き払った物だった。
「集合した敵歩兵にも爆撃を仕掛けられますが。」
至極当然のように返された言葉に赤羽は満足そうに口の端に笑みを浮かべた。
「いや、それは禁止する。敵兵の大半は地元民だ、なるべく殺傷は避けるように。
爆撃終了後は森林部に隠れている敵竜騎士をあぶり出して貰うが、その時はおって指示する。」
そう、これはあくまでも解放のための行動であって、戦争ではない。
解放する対象の現地民を傷つけるのならそれは戦争になってしまう――――
赤羽はその歯がゆさに頭の中で一人ぼやいた。
「了解。爆撃、三十分後に開始します。」
そして空自の隊員の明瞭な返答に赤羽は現実へと引き戻れた。
752: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/04(木) 22:28 ID:kHqoVL5Q(83/111)調 AAS
「―――島内協力者オザル氏から無線です。」
「よし。」
――赤羽殿ですか!?――
「はい。そちらの状況を教えてくださいませんか?」
――はい、今、我々は島内の森に潜伏しています。
けれども今日は毎日あるはずのレジスタンス討伐も無い上、敵全軍が島南の平野部に集結しとります。――
そんなことは知っている、これでは無線機を貸した意味が無い。
「敵はこちらの行動を事前に察知していたようですが、心当たりはありませんか?」
――いえ、ありません。――
「そちらのグループ内での裏切りの可能性は?」
――そんな訳ありません!我々はこの島の人間のために命をかけているのです!――
「…それは失礼。それでは我々は約2時間後に上陸を開始します。
上陸地点に展開が終了したら現地徴収兵と接触を取ってください。
約四万の大群ですから、紛れるのは簡単でしょう。」
「当然です、今の拠点は敵にばれておりませんし、敵集合地点にも近いですから。」
「期待しています。」
それに万一説得に失敗したとしても、敵が密集しているのならばこちらの兵器を持ってすれば殲滅することは容易い。
当然、最後の、そして禁断の手段ではあるが。
753: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/04(木) 22:30 ID:kHqoVL5Q(84/111)調 AAS
輸送艦「おおすみ」内。
青島達は南部からの上陸部隊としてそこに居た。
「俺達の任務は、セフェティナさんの護衛だ。
彼女の任務は魔法の感知、つまりかなり前線まで出ることになる。
多少危険ではある、だが、この任務を失敗することは許されない。」
青島は小隊の面々を前にして言った。
その表情にはいつもの大人しい、気弱そうな色は全くなく、
軍人として、指揮官としての厳しい顔がそこにあった。
部隊の面々もまた天野の居ない初めての任務に多少なりとも不安そうな表情を隠せないで居た。
「これに失敗するということはセフェティナさんを、日本の大切な協力者を失うと言うことだ。」
その他人行儀な彼の言葉にセフェティナは一瞬悲しそうな顔を見せる、
そのことに気付いたのか佐藤は青島に対し、不満そうな目を向けた。
そして青島はそれに全く気付いては居なかったが、その厳しい表情を和らげ、言った。
「そしてなにより、セフェティナは俺達の大切な仲間だ。
仲間は絶対に守る、それが俺達自衛隊の鉄則だ。各自の健闘に期待する!」
「おお!」
彼の言葉に面々も緊張が解けたのか、大きな叫び声を出した。
それを嬉しそうに見つめると青島はセフェティナに向かって笑いかけた。
「仲…間。」
セフェティナは呟くと青島の笑みに気付き、目一杯の笑顔を彼に向けた。
佐藤はそれを見て満足そうに笑った。
754: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/04(木) 22:32 ID:kHqoVL5Q(85/111)調 AAS
投下終了しました。
うーん、当初のプロットに無い章のせいか、少し読みにくい文章になっているかも。
要精進。
それではご意見、ご感想、お待ちしております。
755: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/04(木) 22:34 ID:kHqoVL5Q(86/111)調 AAS
追伸:S・Fさん、アドバイス有難うございました。
756: 名無し三等兵@F世界 2004/11/05(金) 02:36 ID:xZKpuiVw(1)調 AAS
ご苦労様でした。
さてさて敵がどんな策を考えてるのかが気になりますな。
757: 名無し三等兵@F世界 2004/11/05(金) 08:56 ID:xoXBFajg(1)調 AAS
敵の目的はゲリラ戦に持ち込むことか?
758: 名無し三等兵@F世界 2004/11/06(土) 00:36 ID:cA9rfCDo(1)調 AAS
F猿さんの心情読みました・・・・辛かったですね。
挫折しないで自分の信じた道を進んでください。
応援していますので。
759: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/06(土) 21:11 ID:kHqoVL5Q(87/111)調 AA×
![](/aas/shitaraba_movie_4152_1079384805_759_EFEFEF_000000_240.gif)
760: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/06(土) 21:26 ID:kHqoVL5Q(88/111)調 AAS
失敗、自分でこんな簡単な物を作ってみて、初めて普段目にしているAAの奥深さを知る…。
つたない図解を。
――――――――――――
|...........|・・ ◎…赤羽艦「ちょうかい」
|......木木木木.|・・ ○…自衛隊部隊
|...........|・・ ●…敵軍
|......▲....|・・ ■…敵拠点
|.....▲▲....|・←○ ▲…山 東北部にある三つ重なっているのは鉱山
|.木▲.■......|・←○ □…レジスタンス拠点
|.木木....木木木.|・・
|...●●●.木□木.|・・
|.......木木木.|・・
|....平..木木木.|・・
|.木木.野..木木..|・・
|.木木....木木木.|・・
|...........|・・
――――――――――――・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・↑↑↑・・・・・・
・・・・・・○・・・・・・・
・・・・・○◎○・・・・・・
761: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/06(土) 21:27 ID:kHqoVL5Q(89/111)調 AAS
・・・すいません、自分にはAAは無理だった様です。
762: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/06(土) 21:36 ID:kHqoVL5Q(90/111)調 AA×
![](/aas/shitaraba_movie_4152_1079384805_762_EFEFEF_000000_240.gif)
763: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/06(土) 21:36 ID:kHqoVL5Q(91/111)調 AAS
orz
764: 2004/11/06(土) 22:29 ID:KrRd5jb.(1)調 AAS
偵察機ではない哨戒機がどうやって地上の人数を調べたのだろう。
森林部に隠れている敵竜騎士はどうやって発見したのだろうか。
写真撮影したとして、台湾の半分に相当する膨大な面積を短時間で分析出来るものだろうか。
日本軍がジャングルに潜んで戦った南方で、米軍は、水汲み場、炊事・炊飯場、そしてトイレと思しき物を
空中写真で探して残存兵力の推定をしたそうだが、自衛隊にそんなノウハウはあるのだろうか。
765: 2004/11/07(日) 00:52 ID:BAvC//hM(1)調 AA×
![](/aas/shitaraba_movie_4152_1079384805_765_EFEFEF_000000_240.gif)
766: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/09(火) 21:01 ID:kHqoVL5Q(92/111)調 AAS
>764さん
哨戒機じゃなくて偵察機と訂正します・・・。
>765さん
おお!有難うございます!
はい、敵拠点と鉱山がもう少し右にずれますが大体こんな感じです。
それでは遅れましてスミマセン。投下を開始します
767: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/09(火) 21:01 ID:kHqoVL5Q(93/111)調 AAS
「聞いてくれーっ!」
カリヴァン軍陣地、多くの奴隷兵が宿営しているこの地を一人馬に乗って駆ける男がいた。
ほぼ強制的に徴用された奴隷兵の多くはこの戦争に勝てば待遇を良くすると言う言葉のみを信じてこの場所にいた。
彼らにはもはや解放と言う言葉はほとんど消えてなくなっていたのだった。
そんなもはや火の消えた炭のようになった彼らの間を男は走りながら叫んだ。
ある程度の人数がこちらに興味を示したことと、警備の目がこちらに来ていないことを確認する素振りを見せてから男は再び叫びだした。
「聞いてくれっ!俺達はもうすぐ解放されるぞ!自由になれるんだ!」
男はただ叫んだ。
聞いていた人間達の内一部が目を剥いた。その他は何を馬鹿な、という目で男を見ていたが。
「何を言っているんだ、そんなことを言っていたら捕まるぞ。」
兵の一人の忠告など何処吹く風、男はまだ叫び続けた。
「日本という島が俺達と同じように召還されたんだ!
その日本という国がアジェントと同じくらい強いらしくて、俺達を助けてくれるって言うんだ!」
「お前・・・レジスタンスか!それは本当なのか!?」
目を剥いたうち一人が身を乗り出して言う、最初は関心を示さなかった兵達も皆関心を示し始めていた。
「こんな嘘をつくわけ無いだろ!俺達は助かるんだ!」
どうやら嘘ではないらしい、そう判断したその場の兵達は歓声を上げた。
「おーっ!ならこれを他の奴らにも知らせてやらなきゃな!」
「ああ、そうしてくれ・・・。」
男はゼイゼイと息をつきながら答えた。
悲報にしろ朗報にしろ驚異的な報せと言う物はすぐに広まる、
この時も例外ではなくこの報せは兵達に瞬く間に広まった。奴隷兵達は浮付きだした。
カリヴァンの兵達に従うものか、という空気が流れ出したのである。
768: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/09(火) 21:01 ID:kHqoVL5Q(94/111)調 AAS
オザルは心が躍っていた。
昔、自分達は鉄を掘り出し、都に送り、鉄を掘り出し、都に船を出す。
そんな気楽な生活を送っていた。
しかし、そんな日々は4年前のあの日、一瞬にして破壊されたのだった。
急に水平線にぼんやりと見えていた本土は消え去り、代わりに巨大な船がやってきた。
船の主達は巨大な炎や氷、空を飛ぶ巨大なトカゲを使い、自分達を容易く支配した。
村の人間…子どもは奴隷として連れて行かれ、男は鉄山での厳しい強制労働をさせられたのである。
唯一幸いなのは向こうが騎士道などと言って女達に手を出さないことであったが、
しかしその女達も貧しさで幸せとはとても言えなかった。
その後自分は何人もの仲間を集め、支配に反抗する組織を作った。
しかし、それでは奴らを島から追い出すには力が全く足りなかったのだ。
そして毎日のようにあるレジスタンス掃討によって仲間は段々と減っていった。
もはやこれまで、そう思った時であった。
追い詰められて海に飛びこんだはずの仲間を連れ、空を飛ぶ鉄の箱に乗った救世主が現れたのは。
769: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/09(火) 21:02 ID:kHqoVL5Q(95/111)調 AAS
「我々は耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで来た。だが、それももう終わりだ。
さあ、後は無理やり兵士にさせられている同胞を説得しに行くだけだ!」
「おーっ!」
オザルが手を振り上げるとレジスタンスのメンバー達が一斉に腕を振り上げ、歓声を上げた。
メンバーには年老いた老人も、うら若い女性も、まだ若すぎる子供も多く混じっていた。
彼らに平和を味わってもらうためだからこそ、今日まで私は耐えてこれたのだろう。
「解放はもう、すぐそこだ!」
「おーっ!」
逸る心を抑え、私は剣を手にとった。
他のレジスタンスのメンバー達もそれに習う。後は一路西に向かい、向こうの士官の目を盗み、
同胞達に蜂起するよう説得するだけである。
元々圧倒的な人数差がある、それでも逆らえなかったのは相手アジェント本国の恐怖があったからだ、
しかし、今はアジェントの脅威から守ってくれる力がある。日本が居る。
「リーダー、早く行きましょう!」
「ああ!」
爛々と目を輝かせる仲間達を見て、私はもう一度剣を掲げた。
「さあ、いく――――――」
何故か、声が、出ない。眼前に居る仲間達が呆然とした目で私を見ていた。
手は剣を握っていられなくなり、剣はカランと乾いた音を立て床に落ちる。
そしてその剣が、私から噴き出す赤い液体で濡れていくのを見て、私はようやく状況を理 解―――。
770: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/09(火) 21:03 ID:kHqoVL5Q(96/111)調 AAS
「う、うわああああああ!」
私が次に見たのは今までの自分達のリーダーの血を浴びて、我先にと逃げていくレジスタンス達の姿であった。
醜い。いや、人間である以上、命の危険を感じれば逃げるのが普通なのかもしれない。
しかし、私の手はその背中を見せて懸命に走る人間達の生命を奪うことを全く躊躇しなかった。
篭手を纏った右掌の上に黒い石ころのような物体を大量に作り出す。
そして、それは私の意志一つでレジスタンスに飛んで行き、その身体を砕いた。
魔法で作られた黒い石ころはカリヴァンの騎士道を嘲笑う様に男も、女も、老人も、子供も、
分け隔てることなく平等にその頭を砕き、足を吹き飛ばし、胸をえぐり、その命を奪い取っていった。
「すまない…。」
そう呟き次の魔法を唱え始める。人を殺すことに何の躊躇いを抱かないわけではない。
ただ私にはそれ以上に優先すべきことがあった。
「まさか、お前達の拠点を我々が掴んでいないとでも思ったか?」
傍らでは返り血を浴びながらロンがそう冷たい声で言い放っていた。
魔法の腕ならば私を遥かに上回るこの男、この男に殺されたほうが私に殺されるより余程楽であろう。
この地獄絵図は、レジスタンスを皆殺しにするまで、数分ほど続いた。
771: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/09(火) 21:03 ID:kHqoVL5Q(97/111)調 AAS
「あ…あ…。」
ことが片付き、後ろにいる「裏切り者」に目をやる。
目先の欲につられ、レジスタンスを裏切った男、この男は今、目の前の光景が自分のせいで作られたことに、そのしたことの重大さに今ようやく気が付いているのだろう。
ただ、口を開け、ボロボロと涙を流しながら虚ろな目で震えるばかりであった。
「死にたいか?」
「・・・?」
私が言うと、男は虚ろな目でこちらを見た。そしてしばらく何かを言いたそうに口を動かす。
そしてそれも終えると、男はコクリと頷いた。
私はそれを見届けると剣を振り上げた。
私の鎧についた返り血のシミは、また一段と増えていた。
レジスタンス。彼らもまた、自分の守りたかった物を必死に守ろうとした人間だったのだろう。
そして私はそれを奇襲し、女子供問わず皆殺しにした。
「だが…これも私の騎士道だ。」
誰に聞かせるわけでもなく呟いて、私は鎧を外した。
772: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/09(火) 21:04 ID:kHqoVL5Q(98/111)調 AAS
先程まで散々叫んでいた男は、今、カリヴァンの兵たちに囲まれていた。
しかし、その待遇は反乱者としてではなく、
「おつかれだったな。」
「ああ・・・。」
彼らの同胞として、男は迎え入れられていた。
「だが・・・、あんな事を広めてよかったのか?今奴等は俺達に氾濫を起こさんばかりの状況だが…。」
「ああ。それがアーガス様の命令だからな。あの方の計画にミスは無いさ。さあ飲め、最期の酒だ。」
「ああ、有難うよ。」
レジスタンスの格好をした男と兵はお互いグラスを掲げた。
グラスからこぼれた濁った酒が兵舎の床の土を濡らした。
773: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/09(火) 21:08 ID:kHqoVL5Q(99/111)調 AAS
投下終っす。
座談会
青島「なんで最近この会が開かれてなかったんだ?」
加藤「どうもこの会、あなたが出ているかどうかで決められているみたいね、
あなたが余りにも存在感が無いと忘れられないために出される、と。」
青島「・・・ひどくないか、それ。主人公なんだからもっと本編で目立たせようとかさ・・・。」
加藤「私としてはもっと赤羽司令を目立たせて・・・。」
青島「あの人はもう十分目立ってるじゃないか・・・。」
アルクアイ「それで、私がここに出ることとなったわけだ。」
ファンナ「私はアルクアイと一緒にいられるなら何処でも良いもん。」
アルクアイ「・・・。」
774: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/09(火) 21:24 ID:kHqoVL5Q(100/111)調 AAS
本スレで世界設定用テンプレの話題が出たので、それを流用させて貰って作ってみました。
魔法はどのようなものか?
呪文を唱えれば誰でも使える。知力ベース。
身体的(遺伝的)素質による。ESPなど。精神力ベース。
魔法を使える人口は?
要求される知識により、多い/少ないが決定する。
魔法の仕組み
魔法を使えるための物理体系が存在する。魔法⊂物理
体系化可能か?
数学、論理学などを道具として体系化可能。
宗教の形態 (というより宗教はヨーロッパ中世〜のキリスト教と思ってくれて良いです)
唯一神教(他の神々の存在を認めない。イスラム、ユダヤ、キリスト教など)
宗教の性質
神の教えが絶対。それ以外の考えは間違い。(これで疑いを持つことも禁止されたらカルト宗教)
宗教VS科学
科学異端説(神の教えに背く説は異端審問にかけて排除)
宗教VS魔法
魔法と宗教は関係ない
宗教形態の移り変わり
拝一神教→他の神々の信者を駆逐→唯一神教
775: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/10(水) 20:58 ID:kHqoVL5Q(101/111)調 AAS
大分盛り上がってきて、嬉しいばかりです。
それでは勢いに乗って投下。
776: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/10(水) 20:59 ID:kHqoVL5Q(102/111)調 AAS
三介島、カリヴァン軍拠点上空。
そこには人類の知恵と技術の結晶である鉄の塊が風を砕き戦慄いていた。
自衛隊最強たる戦闘機、F−15。エンジン出力10万馬力、これは自衛隊の艦船でもそうは無い程の出力である。
これだけでも、戦闘機という物がどれほどの物であるかが分かるであろう。
「まさか実戦を経験することになるとはなぁっ!」
そのパイロットの一人春間は興奮を抑えきれないでいた。
風が、スピードが、全てが彼を酔わせていた。
アドレナリンが分泌されている、と言うのはこういう状態を言うのだろうか、
春間は段々と五感が覚醒していく感覚に陶酔し始めていた。
「落ち着け春間ぁっ!俺達の任務はF−1、F−2達の護衛だろうがっ!」
「分かってるよ隊長!」
二機編隊ではあるが隊長の梶野に春野は叫んだ。
「後三分で目標上空に着く!我々の任務は敵竜騎士の撃破だ!」
「ははは竜騎士っすか!前は味元の持ってるゲームを『こんなもん』で済ませてたくせに!」
「はん!実物が目の前にいる以上は仕方が無いだろう!」
春間は梶野に軽口を叩くとレーダーを見た。反応は、無い。
「・・・確か偵察では拠点に竜騎士はいなかったんだよな?ちっ・・・臆病もん共が。」
春野はまだ見ぬ敵を思って舌なめずりをした。
777: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/10(水) 20:59 ID:kHqoVL5Q(103/111)調 AAS
「爆撃、開始します。」
F−2の操縦士の無機質な言葉の後、バラバラと爆弾が地上に向かってばら撒かれる。
そしてそれらは地上に落ちるか落ちないか、炎の花を咲かせた。
偵察の報告ではここに兵力はいない、つまりこれはただ後の拠点制圧を楽にするためだけの任務である。
「つまんねえっ!」
春間は無線を塞いで言った。こんなことを梶野に聞かれれば八つ裂きでは済まない。
するとその春間の悪態を聞いたかのように下方レーダーが反応を示した。
「さすがF−15、下方レーダーには自信ありってか?思ったより役に立つじゃねえか。」
どんどん高度を上げている以上、相手は竜騎士である。
「春間ぁ!あんな垂直上昇が出来るのは竜騎士しかいない、気をつけろっ!」
「わかってらぁ!けっ、偵察の野郎共、いい加減な報告しやがって、だが…そう来なくっちゃなぁ!」
春間は身震いした。
相手竜騎士は5騎。たった五機で何をしようというのか、だが春間にとってそんなことは関係なかった。
「俺の機が一番近い・・・!よぉし、世界で一番最初に竜騎士と戦った男はこの俺だっ!」
「春間っ!」
春間は一気に高度を落とした、梶野も慌ててそれに合わせる。
その他の機も、竜騎士を確認し、急速に迎撃に向かった。
778: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/10(水) 20:59 ID:kHqoVL5Q(104/111)調 AAS
「くっ!異邦人共め!好き放題やってくれおって。」
この五機の竜騎士、元より勝てる見込みで隠れるのを止め離陸したのではない。
病人、怪我人、何も知らされていない、拠点で使用している奴隷など、
拠点に残らざるを得なかった人間達へのカリヴァン騎士としてのせめてもの誠意であった。
つまり、無駄死にを最初から予定された男達であった。
「一機でも多く、道連れにしてやろう!」
竜騎士は竜を飛び立たせた。
上空の鉄の鳥を見る。何故鉄が飛ぶのかは分からない。だが、彼に分かるのはそれが敵だと言うことだけであった。
そして彼は春間の乗る鉄の鳥に向け炎を吐かせ、自分もまた呪文を唱え始めた。
「ハハハハハハァっ!」
こんなもの相手にミサイルなど必要ない。俺は竜騎士に突進するかのように機体を動かした。
視認距離に入ると同時に竜から炎が放たれる、それを見て俺は何故か口許が歪んだ。
向こうはこちらよりも目が良い。炎もこちらの20mmバルカン砲よりは射程があるらしい、だが。
「そんなんマッハの速度相手に効くかよぉっ!」
バルカン砲の雨を浴びせかけながら急速に機体を曲げた。
竜も距離が遠かったせいか弾の雨をかわす。スピードはこちらの方が遥かに速い。
しかしどうやら小回りならばこちらと互角かそれ以上のものは持っているらしい。
と同時に「レーダーに映らない何か」がこちらに向かってきているのを感じ、俺は慌てて機体を傾けた。
黒い塊。機体を破壊する威力があるかどうかは分からないが受けないに越したことは無い。
避けきった直後別の竜がこちらに炎を浴びせかけてくる。
779: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/10(水) 21:00 ID:kHqoVL5Q(105/111)調 AAS
「どうせくるんなら同時に撃ちなっ!後ろを見てみろ!」
俺がそう言うと同時に竜は梶野のバルカンを真後ろから受け、吹き飛んだ。
レーダーが無いって言うのは不便なことだな、と同情する。
「春間ぁっ!油断せんことだな!」
「隊長!今のは計算済みの行動だっつの!」
今のを含めればもうすでに三機、こちらが向こうを屠っている。だが、まだ俺は撃墜ゼロ。
俺は迷わず先程の竜に狙いを定めた。向こうは小回りを生かしグニャグニャと飛行しながら炎と魔法を浴びせかけてくる。
「教導隊の鬼どもに比べればてめえらなんて屁でもねえんだよ!」
俺はそれを紙一重で避け、20ミリバルカン砲を叩き込んだ。
弾はワイバーンの頭と騎士を砕き、俺に勝利を確信させた。
「スプラアァッシュ!一機撃墜!」
春間は同時に次の獲物を求めレーダーを見た、しかしそれはもう敵機は存在しないことを示していた。
780: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/10(水) 21:00 ID:kHqoVL5Q(106/111)調 AAS
東部隊が上陸して送れること数時間、俺達南部上陸隊も上陸した。
なんでも空自を使った支援爆撃が行われたらしいが、詳しい状況は分からなかった。
まあ、こちら側に怪我人は出ていない、というのだから良いのだろう。
そして現在俺達は平野部の南部に陣を設営している。
なんと言ったら良いのか、近くの村の人々は俺達を出迎えるでもなく、敵意を見せるでもなく淡々としていたのだ。
もはや外から蹂躙されるのに慣れてしまったのかもしれない。
ともかく、村の人々の中に魔道士がいないかどうか(篭手を装備していないかどうか)を調べ、
その後すぐに陣地設営の片手間に食料の配給、怪我人の治療が始まった。
そもそも俺達自衛隊はそちらのほうが得意なのである。随分変わった軍隊だと我ながら思うが。
「村田さん。」
「どうした、隊長。」
それらを指揮していると、まだ若いうちの隊長がこちらに声をかけた。
「少し、会議があるようなので、こちらの指揮をお願いします。」
「ああ、わかった。」
我が隊長、青島二尉。若い、と言ったが彼はなかなかの男である。
最初はなよなよしているかとも思ったが、こちらの世界に来てからというもの、随分と風格が出てきたようにさえ見える。
クイ、クイ。
そんなことを考えていると誰かが服のすそを引っ張っていた。
見下ろすと、そこにはまだ6,7歳くらいの少女が居た。ボロボロの服を着ている、現地の子供だろう。
「ありがとお。」
たどたどしい言葉で彼女は礼を言い、頭をペコリと下げた。
どうやら召還された者同士でも言葉は通じるらしい。
「どういたしまして。」
俺はしゃがみ少女と目線を合わせると言って、飴玉を一個彼女にやった。
本当ならば頭の一つでも撫でてやりたい所であったが、どんな宗教があるか分からない、それは自粛した。
なんでも子供の頭の上には神が宿るとか考えている宗教もあるらしい、要人に越したことは無い。
彼女は最初は何か判らないようではあったが、飴玉を舐めるとニコリと笑い、再びペコリと頭を下げ、走っていった。
「…血に汚れちまったこの手でも、人を喜ばせることは出来るのかもナァ?真由美?」
俺はふと郷愁に駆られ、恋人の名を口にした。
781: F猿 (BfxcIQ32) 2004/11/10(水) 21:02 ID:kHqoVL5Q(107/111)調 AAS
連投スンマセン。投下終了!
777ゲトー!
多分こんな喧しい空自隊員は居ません。
それではご意見、ご感想、お待ちしております。
782: 名無し三等兵@F世界 2004/11/11(木) 05:10 ID:NpreS41c(1)調 AAS
もの凄くパイロットに違和感がありますが。
上官に暴言使ってるし・・・。
書き直したほうがいいんじゃないかと思ったりして。
783: 名無し三等兵@F世界 2004/11/11(木) 13:15 ID:iL.pSpSw(1)調 AAS
現実にはいないな。いたらすんごく嫌。いてもあんな言葉だったら修正されそうに一票
784: 2004/11/12(金) 20:10 ID:hGR56Y6g(1)調 AAS
悪いけどこれを連想した。
693 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 04/11/08 11:16:22 ID:???
米田といえば、立ち読みで「ほうしょう」をぱらぱらを眺めてたとき、中国軍機vs空自機の
空戦があまりにすごかった。無言で本を棚に戻したよ。
頭文字Dでの勝負での独白を、さらに恥ずかしい説明調として、しかもそれを台詞として
喚きながら数ページにわたりドグファイトをする、という感じだ。
あれを読んでから、彼に何かを期待するのは、止めた。
694 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 04/11/08 11:29:09 ID:???
>>693
まさか、アニメみたいに戦闘しながらしゃべりまくるのですか?
695 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 04/11/08 12:42:03 ID:???
>>694
そのまさかだ。自衛隊側には台詞がなかったと思う。
つまり中国人が一人でコクピットのなかで叫びながら(ry
うろ覚えのキーワードでぐぐったらヲチスレしかヒットしなかったが、こんなんだ。
>「見えた!」
>「フランカーのすごさだけじゃなく、俺のすごさ
>を見せてやるぜ」
>「<パワーフランカー>の名『海鷹−12』の鷹は
>空を支配する絶対不敗の鷹だ!」
>「サトゥルンエンジンの咆哮を聞け!世界最強
>の戦闘機エンジンはダテじゃねーんだよ!TV
>ノズルで姿勢制限もないぜ!」
>「それで勝てたと思うなよ!クルビットまでで
>きるスホーイ設計局のフライバイワイヤコントロ
>ールコードは最強だ!」
>「後ろに回ったところで負けはしない!<パワー
>フランカー>は後方にミサイルを発射できるん
>だ!後方警戒レーダーでどの方向にも攻撃でき
>る!」
785: 名無し三等兵@F世界 2004/11/13(土) 03:33 ID:Zkp4sR.w(1)調 AAS
本家でB-52の話が投下されたがこの世界にもあるのかと言ってみる
786(1): F猿(バカ) (BfxcIQ32) [sage マタネ('A`)] 2004/11/13(土) 18:21 ID:kHqoVL5Q(108/111)調 AAS
・・・書くのが楽なアニメ、マンガ調でやってみたんですが、どうもダメみたいですね。
というよりもそれじゃラノベ以下か。
それ以前に戦争モードになってからどんどんつまらなくなっているし、
戦記に手を出したのは軽はずみでした、スンマセン。
近代戦闘描写は難しい。初心者では
リアル思考でいけば淡々としてしまう、演出重視でいけば今のような惨状。
・・・回線切って吊って来ます。
787: 2004/11/13(土) 20:17 ID:hf0oTb5s(1)調 AAS
>>786
最初から上手い人など居ないので、
そう気を落とさずに。
788: 名無し三等兵@F世界 2004/11/13(土) 20:24 ID:/EGi1rQM(1)調 AAS
今回の事を教訓にして頑張って
789: 2004/11/14(日) 23:57 ID:hh.KWidg(1)調 AAS
リアルではそっけないセリフしか吐かなくても『心の声』ではDQNなセリフ飛ばしまくり、
というのは大いにありえるでは?
それとか春間一人だけやばくて、ほかはみんなまともで、当然ヤシが被撃墜第1号候補とか、
そういうのは常道だと思うが。
悪目立ちする奴が率先して墜ちるのはトミノ作品では常識だし(w
790(3): 2004/11/15(月) 00:34 ID:Wx09nn3A(1)調 AAS
その前にリアリティの欠片も無い描写を改善しないとな。
>俺はそれを紙一重で避け、20ミリバルカン砲を叩き込んだ。
>弾はワイバーンの頭と騎士を砕き、俺に勝利を確信させた。
音速の戦闘機が回避運動の直後に索敵照準発射命中確認するなんてありえんて。
散布界の広いバルカンの弾がワイバーンの頭と騎士に直撃なんて嘘臭いにも程がある。
なんにもわかっていない素人の脳内妄想の垂れ流しにしか見えん。
みんな気を遣って指摘していないけどな。だから感想のレスがつかない。
791: 2004/11/15(月) 22:52 ID:vy075B3U(1/2)調 AAS
なかなか辛辣な意見がでましたな。確かにリアリティな描写というのも必要でしょう。
もっともそれと物語とを両立させるとなると、ううむ。難しいですね。
F猿さん、めげずに頑張ってください。
792(2): F猿(バカ) (BfxcIQ32) 2004/11/17(水) 01:08 ID:kHqoVL5Q(109/111)調 AAS
>>790さん的確な意見有難うございます。
>なんにもわかっていない素人の脳内妄想の垂れ流しにしか見えん。
はい、その通りです。
私は何にも分かっていない素人というより、軍事の知識はゼロ。軍板住人ですらありませんから。
その状態で戦記というジャンルに手を出したのでこの有様になってしまったので・・・。
そして知識がほとんど無い以上、今後も最低限の戦闘描写すら恐らく自分には無理です。
さらに残念ながら軍事について一から学ぶほどの時間がありません。
そうなるとこれからの物は
・戦闘描写をなるべく避ける。(実際の戦闘は大幅カット。)
・F世界側からの描写のみにして、具体的な描写を避ける。
・一兵士のみにスポットを当て、感情描写を主にする。(大局的な戦闘は描かない。)
のどれかを選ばなければなりませんが、軍板スレの分家であるここにそんな物を書き込むのは失礼に当たるので・・・。
難しい。何にしろ物語を書くときに一番必要なのは教養であるという言葉が身に染みました。
793: 2004/11/17(水) 21:38 ID:RhjmNNZ.(1)調 AAS
外部リンク:www.warbirds.jp
ここなど参考資料になるとおもいます
794: 2004/11/17(水) 23:05 ID:QpUWFDMM(1)調 AAS
しかし、本職と違って学業や仕事の合間を縫って書いてるのだから知識が正確でなくても
しかたないと言えばしかたない。書きたい気持ちがあるうちに書くほうがよし。
795: いつかの228 2004/11/17(水) 23:17 ID:YTXs2fwM(1/2)調 AAS
>>792
めげずにがんがりましょう。自分もWW2の電撃戦の観念論をかじった程度で、あとは独学です。
自分で書いていて思うんですが、1人称で書くとある程度世界が限定されるのでごまかしはきき易い感じがします。
まあ、小松左京先生の作品のように異常に知識あふれる1人称もいますがねw
796: F猿(バカ) (BfxcIQ32) 2004/11/17(水) 23:37 ID:kHqoVL5Q(110/111)調 AAS
とりあえず2.5章打ち切って萌えSSスレで息抜き編の三章でも書こうかな・・・。
いや、萌えを表現できるのかと言われればそちら方面には疎いんですけれども。
797: S・F (7jLusqrY) 2004/11/17(水) 23:45 ID:MSZ8PKC.(23/23)調 AAS
>>792F猿氏も大変ですね。自分も恐ろしいまでに知識がなくて、もう書いていて
どうしようかと考えては、検索したり質問サイトに行ってみたりもしています。
少し思う事としては、戦術や戦略に付いて学ぶのがいいかもしれません。兵器の
名前やスペックは、あとから付いてくるのが大原則ですから。(当たり前か)
ああ、時間がどろどろ溶けていく・・・もっと時間が欲しい!勉強がー勉強がー
学業がおろそかになっても意味がないので、勉強が最優先でしかるべきですよね
(と自分に言い聞かせてみます)
798: いつかの228 2004/11/18(木) 00:49 ID:YTXs2fwM(2/2)調 AAS
同感!時間が欲しい!
外回りの仕事で顧客との約束の時間まで暇があれば営業車で文庫を読んだりしてます。
でも時間がないから集中できないんですよねw
学生の頃はそんな時間をアフォの様にファミコンしていたのがもったいないと感じるようになったです
まあ、そうめげないでお互いがんばりましょう
799: F猿(バカ) (BfxcIQ32) 2004/11/18(木) 23:29 ID:kHqoVL5Q(111/111)調 AAS
皆さん多謝です。
勉強最優先にすると何処までも時間が足りなくなって・・・。
と、愚痴を言うのもここまでにします、お騒がせしてスミマセンでした。
とりあえず、読者の方々が良いというのなら息抜き編の三章を書いてみたいのですが、
恐らく戦争の描写はほとんど無いラノベノリの物になると思いますが、それでも良いでしょうか。
800: 名無し三等兵@F世界 2004/11/19(金) 00:12 ID:hCNTOmLY(1)調 AAS
どうぞどうぞ、是非とも書いてください。
ビキニ鎧といったセックスアピールの高い女性衣装を着るセフェティナたんも見てみたいし。
停戦期の間のバルトの日本に対する動向、軽空母の艦載機の訓練風景などいろいろなシーンを期待してますので☆
801: 2004/11/20(土) 08:40 ID:vy075B3U(2/2)調 AAS
本編では省略されていましたけど、セフェティナ嬢が日本にやって来た時の
カルチャーショックの数々を(この際コメディータッチで)見てみたいような。
802: 2004/11/21(日) 22:35 ID:H/vI5FgI(1)調 AAS
アシェナ聖教が禁止している機械はどんな物を言うんだろうね。粉挽き水車とかも含むんだろうか。
アシェナ聖教の禁忌を犯してしまったセフェティナは神の庇護も失って、生きる道標を失ったわけだよ。
そこで「ああ、神の名を呼ぶことすら許されない私はこれからどう生きればいいのでしょう。」
あるいは「神の教えに背くことは出来ません!」
とかって、汎用性の高いラノベ級魔法を駆使してなんでも自分でやってしまうんだろうか。
ぬくぬくと機械の恩恵を受けて女神への信仰を維持できるほど図太い神経ではなさそうだし。
これも一種のカルチャーショックだよね。
神罰代行機関として教会の特別兵がいたけど、アシェナ聖教の禁忌を犯してしまったセフェティナを殺しに来ることはないのだろうか。
803: 2005/05/30(月) 21:45:05 ID:dT.GhyLM(1/6)調 AAS
鬱蒼と茂る森、俺はその大木の又にしゃがみ、茶のカモフラージュを付けた対人狙撃銃を構えた。
標的はたった一人の人間、それも馬に乗っているだけの。護衛も少数…こう言えば楽な仕事に見えるかもしれない。
だが、この仕事を困難なものにならしめているたった一つの問題、それは標的本人なのである。
トリド王国将軍マルサス=ヴァレンスタン、将軍にして魔道士。
別に珍しいことでもないが、この魔道士と呼ばれる人種、上級になるとそもそもの性能がこちらと根本的に違う。
「まぁ、どんなに弱音を吐いたところでやるしかないんだがな…。」
双眼鏡を使いもう一度獲物の場所を確認すると俺はスコープを覗いた。
「…標的900メートル、いや905メートル…。」
慎重に、しかし確実に「奴」のこめかみに狙いをつける。
俺がそのまま引き金を引こうとしたその時、男がピクリ、と体を振るわせた。
グルリ、スコープ越しに覗いていた「奴」がその眼球のみをこちらに向ける。
「…気づかれたっ!?」
小声でそう呟いた瞬間、幾筋もの緑黄色の光線が俺の居る場所を貫いた。
メキッ…、光線の一つが足場にしていた木の根元に当たったらしい、鈍い音がし、幹が揺れる。
「うっ…。」
慌てて隣の木の枝を掴み、そのままウンテイの要領でその木の裏側に周り「奴」の視界から逃れる。
「!」
赤い閃光が今度は俺の真上を貫く、首を動かさずに見ると、閃光は硬い大木の幹を半分近く抉り取っていた。
再び閃光が地面を焼く、その収束された「破壊」は今度は足元の草をきっちり一直線に焼き払っていた。
口から心臓が飛び出そうになるような緊張が体を走る。
「奴」の探知能力を考えれば物音一つ立てることは許されない。
「……。」
804: [age] 2005/05/30(月) 21:45:37 ID:dT.GhyLM(2/6)調 AAS
コウッ!
今度は隣の木の幹が吹き飛ぶ。
約一分間、悪夢のように長いその一分間で閃光の雨は止んだ。
もちろん、どこかに行ったわけではない。こちらの存在を探しているのだ。1キロ先から。
「一応カモフラージュはしてあるんだがな…。」
その距離故全く感じられないその存在感が逆に恐ろしい。一キロ程度「奴」にとってはなんでも無い距離なのだ。
「木の上では気づかれたか。索的距離を見誤ったな…。」
いい加減痺れてきた手を考え地面に下り、カモフラージュを付け替える。
ピリッ…。その途中に再び現れる強烈な存在感。
「…っ…まさか聞こえた…?」
必要最低限の音しかさせていないはずが、その音すら随分とお気に触るらしい、再び閃光が一本の木を貫いた。
メキメキっ…悲鳴を上げ、倒れたその木から何羽もの小鳥が飛び立つ、そして再び放たれた閃光はその小鳥のことごとくを貫いた
「…!」
俺は息を呑んだ。場合によっては俺は十秒後にでもああなっているのだ。
ボトッ…ボトボトッ…。鈍い、死骸が地面に落ちる音。
それに耳を傾けないようにして俺は地面に伏した。当然、踵まで地面につける、たとえ隊の中には居なかったとしても、基本は守る。
完全な狙撃姿勢になり、再び俺は奴の方へと銃を向けた。
先程の様な木の上と異なり、木、枝、葉、そのことごとくが弾の通路の邪魔をする。
気づいた時には上空では飛竜が飛び回っていた、モチロン探しているのだ、地上の俺を。
「木の上で意地でも勝負をつけておくべきだったか…。だがな」
索的能力、連射性、破壊力、弾数、機動性、あらゆる面で「奴」は近代兵士を上回る、持久戦になれば不利は明らかだった。
しかし。近代兵士の方が得意なものが一つある。
それは「精密性」
「とったぜ、ジェネラル。」
完全な優位というものはどんな相手にも慢心を与える。
たった一キロ程度の距離、奴の頭が見えるだけで十分だった。
一瞬の油断、奴はその姿を部下の影から覗かせた。
ダアンッ…。
俺の銃が一発の、乾いた銃声を響かせる。
それと同時に、「奴」はスコープ越しに砕けた頭を覗かせた。
805: 2005/05/30(月) 21:46:11 ID:dT.GhyLM(3/6)調 AAS
リド国、ヴァナン国の国境の自治都市ミンノ
仕事が終わり、俺は何時も通りその酒場に居た。
「よぅ、リョー。仕事はどうだったんだい?」
「失敗してたらここにはいない。」
「ハッハッハ、そりゃそうだ!」
店主は笑いながら安酒を…それでもこの店では一番上等な物だが、をジョッキに注ぎ、俺の前にやった。
「ありがとよ。」
「ハアッハッハ!いやいや、お前とお前のお客の「口止め料」のおかげで随分と助かってんだ。」
「まあ、少なくとも儲かっている様には見えんな。」
俺はグルリと店内を見回す、普通の店なら追い出されているようなごろつき、酔っ払い、浮浪者までがたむろしている。
召喚されてから3ヶ月。俺がここの店主とした契約は「仲介業務をする代わりに報酬の10%を支払う。」というものだったのだが…
こいつらがこの店に支払う金を合計して十倍したところで俺のこの店にもたらしてきた額を超えるとは思えない。
まぁ、そういう人間しかいないからこそ、俺としても仕事に使えるのだが。
カランカラン…。
酒に口をつけようとした時、扉が開く、眼をやるとそこにはこんな酒場には明らかに場違いな格好の男が立っていた。
「ここにクマガヤリョウ殿はおられるか?」
少し緊張した面持ち、口を開くとまた場違いな訛りの無い言葉が出てくる。
羽飾りのついた帽子の生地から見ても、貴族か何かだろう。それもトリド王国の。
「リョー、お前のお客さんみたいだな。」
「…やれやれ、昨日仕事をしたばかりなんだがな。」
十分後、俺は一枚の肖像画をペラペラと目の前に揺らしていた。
今度の標的はヴァナン王国魔術師副長シムン。
どうせ今回の件の報復ということだろう。
そんなことで殺されることとなるこの男に少しばかり同情しつつ、俺は安酒を飲み干した。
806: 2005/05/30(月) 23:23:13 ID:dT.GhyLM(4/6)調 AAS
思いついたネタをちょっと投下してみました。
807: 228◆st/L1FdKUk 2005/05/30(月) 23:49:18 ID:N8d3nhVU(1)調 AAS
乙です
空いてますんでお気に召すまま投下されてはどうでしょう
管理人氏もその辺は寛容みたいなんで
808: 2005/06/02(木) 00:17:55 ID:dT.GhyLM(5/6)調 AAS
そうですね、気が向いたらまた投下させて頂きます。
809: 2006/10/01(日) 16:41:59 ID:/eB3HxgQ(1)調 AAS
うーむ・・・。
過疎ってますね。ならばっ!
あげ。
810: 2006/10/01(日) 17:51:11 ID:rCa4llHc(1)調 AAS
もう死んだスレだろここ
811: 2006/10/02(月) 00:59:41 ID:ltqrOq2I(1/2)調 AAS
気が向いたらもなにもこれ以前どこかで投下されたssだろ。
本人?それとも・・・
812: 2006/10/03(火) 02:42:41 ID:dT.GhyLM(6/6)調 AAS
一応私本人が書いた物なのだが・・・、マモレンジャーの前に護国ライダーって案があってその原型w
813: 2006/10/03(火) 14:18:51 ID:ltqrOq2I(2/2)調 AAS
本人ならばばしばし続きを書いちゃってください
814: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き AAS
F世界逝き
815: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き AAS
F世界逝き
816: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き AAS
F世界逝き
817: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き AAS
F世界逝き
818: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き AAS
F世界逝き
819(1): 2010/03/28(日) 01:47:44 ID:BZqMD1oU(1)調 AAS
過疎ってるな
F世界猿さん戻ってこないかなあ・・・
>>790みたいな奴いなければいいのに
820: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き AAS
F世界逝き
821: 2010/06/08(火) 22:33:27 ID:gJ0s3Na6(1)調 AAS
>>819
>>790は行間に「再捕捉」の文字を見つけられなかったんだよ。
822: 2017/02/19(日) 19:10:09 ID:XiyVDv5E0(1)調 AAS
35:54
↓
10:40
動画リンク[YouTube]
![](http://i.ytimg.com/vi/WTdY7h129Mk/1.jpg)
動画リンク[YouTube]
![](http://i.ytimg.com/vi/8R0luOy8ce8/1.jpg)
823: 始末記 2017/07/09(日) 23:01:05 ID:7.L4Yce.O携(1/149)調 AAS
では、投下やってみます
824: 始末記 2017/07/09(日) 23:01:59 ID:7.L4Yce.O携(2/149)調 AAS
サミットより一ヶ月後
大陸北部天領ラゼント
トレス砦
帝国残党軍は、この放棄された砦を根拠地の一つとして抵抗活動を続けていた。
大森林に囲まれたトレス砦は、地球系多国籍軍との戦いからも破壊を免れた場所だった。
だが主力の兵員は近隣で大量発生したモンスターの退治に出撃しており、最低限の人員しか残っていなかった。
「ふわ~・・・、暑さもだいぶおさまったな。」
見張りの兵士が欠伸をしつつ警戒に当たっているが、首に矢を射られて倒れふした。
静粛性に優れたクロスボウによる狙撃だ。
同僚が倒れたのに驚いたもう一人も複数の矢に射ぬかれて息絶える。
矢の飛んで来た方角の森林から60名ほどの軽装だか仕立てのよい甲冑を来た騎士達が姿を現す。
「目標を探せ!!
抵抗する者は斬って棄てろ!!」
砦に突入した騎士達は抵抗する兵士達と斬り結び、実力を持って命を断っていく。
砦の中には兵士達の他に近隣の村から集められた職人や工員が無抵抗で床に伏せられている。
残党軍の兵士二人を斬り捨てたレディンは、砦の中を進んでいた。
「隊長、こちらです。」
部下達に案内され、隊長であるレディンは工場で生産された品が保管された倉庫に入る。
「ふむ、これがピョートル砲か。」
「はい、油断していたいえ、日本の護衛艦に一撃与えた砲であります。
ここが帝国残党軍の武器の密造工場であることは間違いなさそうです。」
帝国軍残党が造り上げた施条後装砲ピョートル砲。
射程が3キロにも及ぶ、大陸人が使える最新鋭の大砲である。
「まあ、成果は小さな穴を僅かに開けた程度らしいが。」
射程がバレたのならさらに安全距離を広めればいいだけなので、今となっては対して意味は無い。
ただ現状の王国軍のどの砲よりも高性能なのは間違いない。
王国はここにピョートル砲の現物と生産設備とそれを造る職人や工員を手に入れたのだ。
「本隊に連絡して、ここに駐留させる部隊を入城させろ。」
レディンは王都への連絡、接収した物資、人員の目録作り、近隣に配備した部隊による帝国残党への制圧作戦を指示して回る。
近衛騎士団第10大隊隊長のレディン自らが精鋭を率いての制圧任務だ。
約千名の第10大隊の隊員から選ばれた精鋭60名は、見事に犠牲者を出さずに任務を達成して満足感を得られていた。
だが部下に呼び止められて足を止める。
「隊長、よろしいでしょうか?
設計の為と思われる部屋を発見しました。
図面とおぼしき書類を多数発見しましたが、大陸の言語では無いらしく読むことが出来ません。」
そのうちの何枚かを渡されて目を通してみる。
紙は大陸で流通している羊皮紙でなく、各領土で雇われた日本人の内政顧問が生産を奨励している植物紙だ。
冬の間や手の空いた時間に小銭を稼げる手仕事として、農民の間で流行している。
また、安価な紙の普及により読み書きや数の数え方などの教育も行われているらしい。
他ならぬレディンの実家の領内でも行われており、ついつい手触りを実家の領内で造られている物と比べてしまう。
そして、実家のより手触りがよい植物紙に書かれた文字に目をやり眉を潜める。
「日本語では無いな、確か英語とかいう言語だ。
残念ながら私にも読めぬ。」
新京の大学で留学中に勉強したレディンだが、その際に見た書物に書かれていた文字に間違いなかった。
「何者かが残党軍に技術を流出させていたのか?
ふむ、結果として我々が知ってしまったの仕方がないよな、不可抗力である。」
だが技術流出の上前を跳ねるのは、王国にとっても都合がよかった。
文字は理解できないが図面だけでもわかることがある。
生き残った者達から尋問をして、技術流出者の情報も得ないといけない。
櫓まで移動して、駐留の為の兵士達が入城してくるのを視察する。
だが轟音とともに城壁が崩れて、隠し通路と思われる内部から肌の色が黒い大男が現れる。
迷彩柄の服装は大陸の者とは違う出で立ちた。
皮膚が黒い男は体が腐っているのか悪臭がひどい。
顔も腐り崩れていて判別しずらい。
兵士達に取り囲まれるが怯む様子は見えない。
「ガ・・・ガア・・・」
声にならない声をあげた男は、体にM134 ミニガンの給弾ベルトを巻いていた。
M134 ミニガンの銃弾から毎秒百発の銃弾が発砲されて、たちまち砦に入城してきた数十人の近衛騎士や近衛兵を射ち抜いていく。
通常の騎士達や兵士達よりは固い甲冑や盾を装備した彼等だが、自慢の甲冑や盾を切り裂かれ、凪ぎ払われていく。
壁や通路に逃げ惑う近衛兵達だが、石で造られた壁ごと粉砕されて血の海を造る。
「貴様!!」
近衛騎士の一人が斬りつけて、給弾ベルトを断ち切る。
そのまま残った弾丸で蜂の巣にされるが、M134 ミニガンの弾丸が無くなり空しく回るだけになった。
825: 始末記 2017/07/09(日) 23:07:20 ID:7.L4Yce.O携(3/149)調 AAS
続いて何人もの近衛騎士や近衛兵士が斬りつけ、刺し貫く。
「突き立てい!!」
とどめとばかりに槍を持った近衛兵五人が黒い大男の腹や胸に突き刺す。
「ガハッ・・・!!」
全身から腐った血を噴き出しながらもM134 ミニガンの銃身で近衛兵達を殴り倒す。
「砦の守護者か?
迂闊に近づくな、槍で突いて距離を取れ!!
銃士隊と弓矢隊が狙い射て!!」
だが駐留部隊の後列にいた銃士隊や弓隊は未だに大半が砦の外だ。
近衛騎士が装備している短銃を撃つが、アンデットナイトには効果が薄く怯む様子も見せない。
「レディン隊長、あれはアンデットナイトです!!」
櫓を移動しながら現場に向かうレディンに、従軍司祭である緑の司祭な服を纏った森と狩猟の司祭アルテナが進言してくる。
「そいつは普通のグールとどう違う!!」
「戦う『任務』を与えられ、武装しています!!」
「それは別にナイトと呼ばなくてもいいんじゃないか?
浄化しろ・・・」
アルテナが祈りの言葉を唱えるなると、緑の光が宿った矢を階段から放つ。
M134 ミニガンの銃身は、近衛騎士の固い鎧に何度も打ち据えられて、破損して役にたっていない。
アンデットナイトは倒した兵士の剣を奪って暴れまわるが、右手に矢が刺さり、傷口から緑の発光体が右腕を包む。
浄化の光で力が弱まったのか、右手は腐り落ちて剣を落としていた。
「やったか?」
「思ったより浄化の光が消えるのが早いです。
術者はかなりの遣い手です。
ですが、もう浄化の矢を3本ばかり当てれば・・・」
「待ってられんな。
撃ち方やめ、突っ込む!!」
レディンは動きが鈍くなったアンデットナイトを階段から飛び降り、盾で殴り飛ばす。
そのまま盾を放り投げ、両手で剣を持って、アンデットナイト首を跳ねた。
ようやく動きを止めたアンデットナイトを部下達に処理を任せ、被害を確認する。
「たった一体相手に24名死亡、69名負傷とはな。」
遺体も浄化せねばアンデット化してしまう。
負傷者には従軍司祭達が治癒魔法を掛けている。
だが重傷者が多く魔力が足りなくなりそうなので、優先順位に従い身分の高い者から治癒魔法が掛けられていく。
「肌が黒かったがダークエルフの一種か?」
「小型のオーガじゃないのか?」
「地球人じゃないか?
確か、様々な肌の色を持った人種が存在するというじゃないか。
それにあの銃の威力はまさにそれだろう。」
部下達が口々に敵の正体について話し合っている。
「レディン隊長、これを・・・」
アンデットナイトの首からぶら下げられた金属製のプレートのペンダントをアルテナが持ってくる。
何やら文字が刻印されているが、英語なのでさっぱり読めない。
「機会があれば日本人に見せてみよう。
何かわかるかも知れない。
だがあのアンデットナイトに『任務』を与えた術者がいるかと思うと、迂闊にここを離れられんな。」
さらに貴族の子弟で構成される近衛騎士団の近衛騎士に戦死者を出してしまったことで、責任を追及されるかもしれなかった。
戦死者を多数出せば、団員募集の集まりも少なくなる。
今は部隊の立て直しと、減った人員での王都へのピョートル砲の移送だけで頭が痛かった。
王都ソフィア
「と、言うわけで何て書いてるか、教えて欲しいのだが?」
レディンの邸宅に呼び出された石和黒駒一家の荒木は、豪華なテーブルで居心地が悪そうに座っていた。
レディンはバルディス子爵家の三男であり、本来は部屋住みの身であるが近衛騎士として立身出世したので王都のバルディス家屋敷を任せられていた。
広い邸宅をもて余していたが、来客を密かに呼ぶには便利だと思っていた。
レディンはトレス砦で見つけた金属板を日本人に検証させたかったが、いきなり公的機関に持ち込んでは問題が大きくなる可能性が高い。
まずは脛に傷持つ身の荒木に金属板を見せて、検証と反応を伺うことにしたのだ。
荒木は農民に紙を作る道具と初期費用の貸出しを行う仕事でレディンに知己を得ていた。
「これは認識票ですね。
将兵の遺体が原形を留めてなくてもこれがあれば認識を可能にします。
或いは遺体を持ち帰れない場合はこの認識票だけを持ち帰るとか聞いたことがあります。
私も軍属とかじゃないので詳しいことは知りませんよ。」
「それは興味深い。
だが書いてある文字は判るのだろう?」
荒木はメモ帳に書きながらブツブツと呟き始める。
「ジェイコブ・M・ノートン、B型。
『US MARINE』ということは米海兵隊か。
『USMC』は何だろうな?
数字は認識番号かな?
レディン殿、この認識票はどうしたのですか。
まさか、殺ったんじゃないですよね?
米軍は自衛隊ほど、甘い連中じゃないですよ。」
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
あと 155 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ
ぬこの手 ぬこTOP 0.051s