[過去ログ] 弐〇〇八年・夏  『百物語』  本スレ (338レス)
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(4): 2008/08/22(金) 21:00:48 ID:BCnPNgOH0(1)調 AAS
立たないから立てた
212: しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 2008/08/23(土) 02:34:18 ID:GdDf91KL0(4/31)調 AAS
第63話  ]]]]]]]]] 壁 [[[[[[[[[  1/2

ある倉庫に、妙に分厚い壁がある。
物理的に巨大なモノに圧迫感はつきものだが、それだけではなくザワつく感じがあった。
「ここ、人柱でも埋めたの?」と冗談めかして聞いた。
「人柱じゃないけどね。昔使ってた壁の上から壁作ったから。…話、聞きたい?」

ここの倉庫、拡張したの知ってるよな?
うん、昔から使っていたけど手狭になったから拡張工事、したんだよ。
で、そこの壁壊そうとしたら…壊れない。物理的に壊したら壊れるはず、なんだけど。
 羽田空港の大鳥居、将門の首塚。そう、あれと同じような現象が起きたんだってさ。
壊そうとすると、工事関係者が怪我したり亡くなったり。機材が横転して亡くなったり、
後日機械に巻き込まれて頭がミンチ状態になったり。
ああ、現場が弛(たる)んでいるのか、あるいは環境によるものって可能性は勿論、
捨て切れなかったけどね。
ま、その気になったら資料室の資料調べてくれればいいんだけどさ。
その資料自体、扱う担当者に怪異がおきまくった曰(いわ)くつきw
213: しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 2008/08/23(土) 02:35:05 ID:GdDf91KL0(5/31)調 AAS
2/2

で、困ったうちの社長が、かんしゃく起こして
「よっしゃ、お前の気合はよく判った!壊さないでやるが、うちも社員とその家族の生活と命預かってる!
 そのためにもこの倉庫の拡張は必要不可欠!よって、お前を礎(いしずえ)にして壁on壁を作る!」

ってタンカ切って、ついでに神主の首に縄つけてひきずってきてお祓いさせて、
それからはとりあえず工事は順調になった。
壊そうとしなければ、大丈夫だよ。壊そうとしなければね。
ただちょっと、なんとなくシットリヒンヤリして、モワモワした感じがするだけだし。
呼ばれなければ大丈夫さね。
ん?そこを居心地良く感じると、持っていかれるそうだよ。何をかは知らん。
何なら試してみるかい?

ああ、先日泥棒が忍び込んで悪さ仕掛けたらしいんだけど、朝、早出の人間が見つけたときには
骨、折れて暴れていたなあ。
何か言葉にならないような言葉でワメいてたけど、どうも壁壊そうとしたみたいだな。
ツルハシじゃ無理だよ。
壁はせいぜい欠けた位だったけど、色々ぶちまけてくれたおかげで後の片付け、
変なニオイがついて大変だったけどな。

ああ、そいつ?たぶんもう来れないんじゃないかな。
ウツボ船(ぶね)で海でも渡ってこない限りねw

[了]
214: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 02:35:55 ID:tgxRk/Dr0(16/30)調 AA×

215: ひまわり ◆jDMsnyaMW. 2008/08/23(土) 02:36:57 ID:Zzi4ubrJ0(1/2)調 AAS
第64話 『アオキガハラ』

1/2

樹海に「入った」ことあります?そう、アオキガハラです。
遊歩道ではなく、もちろん、奥地です。
もともと不可侵な場所ではあるけれど、そこに興味をひかれて
頻繁に訪れたことがあります。

樹海は不思議な場所、自殺名所、というイメージが皆さんにはあると思いますが
自分の中では、自殺体を見つけたいとか、霊を見たいとかなオカルト的要素よりも
探検というアウトドア趣味のほうが強いので、
遭難するかも、という怖さはあるものの、オカルト的な怖さはありませんでした。

ところが。。。

そんな私にも、ときどき理屈では説明できない出来事もあるのです。
216: ひまわり ◆jDMsnyaMW. 2008/08/23(土) 02:39:45 ID:Zzi4ubrJ0(2/2)調 AAS
2/2

たとえば、遊歩道を歩いていると、むしょうに入りたくなる(逸れたくなる)道があり、
そこを辿ってみると、そこには、遺留品やときには御遺体を見つけてしまうこともありました。

ときには、ある夜に通りかかると、かすかな何かの臭いがする。
翌朝、もういちど、確かめてみると、その道とは呼べない奥で、死後1年以上の白骨体。
このくらい月日がたってしまうと、さすがに、死臭などは発しないはずなのに
あの、臭いはいったい。。。

、、、ここにいるよ、、、というサインだったのでしょうか。

あるときは、事前にここで亡くなった方がいた情報を得て、
その場所を通りかかったときは、手を合わせながら、思わず同情している自分がいました。
その後、GPSロストを繰り返し、
2回ほどその方が亡くなった所にどうしても戻ってきてしまったときは、少し怖い感じもしたのですが・・・

なんとか帰還したその深夜、原因不明の発熱。
なぜか、直感的に感じました。「ツイテキタ」と。
ごめんなさい。私は何もしてあげることはできません。ついてこないでください。
朝まで、そう願いながらうなされていた自分がいました。

樹海は、大自然が素晴らしい場所だけれど、
自殺問題も切っても切り離せない場所なので
やはり、このような出来事もあるのでしょうね。

アウトドア志向の自分でも、ときどき、
いろいろと説明のつかない怖さを感じる、やはり不思議な場所です。

【完】
217: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 02:40:18 ID:tgxRk/Dr0(17/30)調 AA×

218: ◆100mD2jqic 2008/08/23(土) 02:42:10 ID:0E6uFjYC0(1/10)調 AAS
明美 ◆Yl50WwcdEE様 代理投稿
タイトル無し 1/2

私の職場にAという男がいました・・・
その男は社交的で明るい人間で、誰からも好かれていました。
ルックスもよく、仕事も出来るので社内の人気も高く、職場で一番の美人と付き合っていました。
いつもみんなの中心いるA・・・
そんなAに私は少しだけ惹かれていました・・・

ある日、私が廊下を歩いてるとAが隅でうずくまっていました。
体調でも悪いのかな?と思い、「どうしたの?」と声をかけ、Aがこちらを向いた瞬間、私は思わず叫んでしまいました。

なんとAの眼が真っ赤になっていたのです!
白目だけでなく瞳の色まで血のように赤くなっており、その顔はまさにホラー映画の悪魔のようでした。

Aは「絶対に喋るなよ!絶対に喋るなよ!」と必死の形相で叫ぶように言った後、どこかへ走っていってしまいました。
私は今見た光景が信じられず、その場から凍りついたように動くことができませんでした。

その日から翌日、何事もなかったかのようにAは普通に出勤し、仕事をこなしては時々ジョークを飛ばして周りを笑わせていました。
眼も普通の人間の目に戻っていました。
(多分最近疲れてるから見間違えたんだろうな。瞳が赤くなるだなんて、そんなことあるわけないじゃない。)
と、私は自分で自分を納得させていました。
しかしAをよく見るとどこかやつれた表情をしていました。
(きっと働きすぎで疲れてるんだろうな。かわいそうに。)
219: ◆100mD2jqic 2008/08/23(土) 02:43:06 ID:0E6uFjYC0(2/10)調 AAS
2/2
三日後の朝、私は携帯の着信音で眼が覚めました。
「こんな朝早くから誰〜?」と思いつつ電話にでました。話を聞いて、私は驚愕しました。

Aが殺された

Aが住んでいた部屋は血まみれになっていて物はひとつのこらず引き裂かれていた
Aの肉体はグチャグチャでミンチ状になっており、骨はめちゃくちゃに折られ、遺体は人間の原型を留めていなかった。
駆けつけた警察も「こんなにひどいものを見たのは初めてだ」と言っていたそうだ。
そしてその遺体には、、、、、、、、、、、、

大量の動物の毛が付着していた・・・・・・

Aは明るい人当たりの良い顔とは違う裏の顔を持っていた。
人気のない公園で野良猫の腹を生きたまま切り開き、そこに塩酸をかけて叫び苦しむ猫をいたぶって楽しむAの姿を近隣の住人が目撃している。
Aは小さいころから猫や犬、小動物を虐待していた。
Aの親はそれを知っていたが、特に注意をすることもしなかったそうだ。
この怖ろしい事件を何かの圧力が加わったのか、マスコミは報道しなかった。

この事件の一ヵ月後、Aの父親は会社が倒産し、莫大な借金を抱え、それを苦に自殺。
母親は寿命にしては早すぎる謎の突然死をとげた。
Aの恋人は会社をやめ、その後どうなったのかは誰も知らない。

Aを殺した犯人は未だにわかっていない・・・・・。


220: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 02:44:58 ID:tgxRk/Dr0(18/30)調 AA×

221: dai ◆fttv274lpQ 2008/08/23(土) 02:45:38 ID:DjzdQpvm0(1)調 AA×

222: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 02:48:27 ID:tgxRk/Dr0(19/30)調 AA×

223: 枯野 ◆BxZntdZHxQ 2008/08/23(土) 02:49:02 ID:4zKYlt9k0(1/3)調 AAS
「お前のじいちゃん」1/2

俺の従弟の智宏は、天然と言うか、ちょっと空気を読まない男だ。
ガンオタでゲ−オタのヤツが、いつもの様に友達の家に遊びに行った時の話。

少し時間は早かったが、住宅街のど真ん中で、
真夏の陽射しの下時間を潰すような場所もないので、智宏はさっさと門をくぐった。
勝手知ったるなんとやらで庭を横切り、
インターホンのチャイムが鳴るか鳴らないかのうちに玄関の戸を開けた。

…ら、そこに白髪に白い顎鬚をたくわえた、立派な老人が立っていた。
こりゃまずいとさすがの智宏も頭を下げて、「あ、おじゃまします。」とだけ言った。
黙って睨み付ける老人の横を抜けて階段を駆け上がると、
上がってすぐの友達の部屋に飛び込んだ。

「なあなあ!お前のじいちゃんカッコイイな!」
224: 枯野 ◆BxZntdZHxQ 2008/08/23(土) 02:50:33 ID:4zKYlt9k0(2/3)調 AAS
「お前のじいちゃん」2/2

友達にとっての、その日のヤツの第一声はそれだった。
怪訝な顔をする友達に、玄関で会った老人のことを興奮気味に話す。
「ねえねえ、あの軍服本物!?」
そこまで言って、友達は初めて口を開いた。
「…うち、じいちゃん家にいないんだけど。」

言われてみれば、広い家には友達と兄弟しかいない。何か事情があるのだろう。
しかもじいちゃん、多分旧日本軍の、結構偉い人の格好(原文のまま)。

「軍服って言ったらあの人かなぁ……」
友達に連れられて、智宏は普段入った事のない仏間に通された。
「あの人?」
指差されて見ると、長押の上にずらりと並んだ古い写真の中に、さっきの老人がいた。
「俺も良く分からんけど、曾じいちゃんの兄弟かなんかだよ。」
もちろん、とっくの昔に亡くなっている。
そう言われて、智宏は初めてゾッとしたと言う。

何だか昔の映画みたいに色褪せた感じの人だったなぁと後になって思ったそうだが、
そんな事はその場で気付いて欲しい。
日本軍コスの生きたおじいちゃんがいる家って言うのも、それはそれで怖いけど。

【完】
225: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 02:51:27 ID:tgxRk/Dr0(20/30)調 AA×

226: ◆100mD2jqic 2008/08/23(土) 02:52:41 ID:0E6uFjYC0(3/10)調 AAS
白狐火 様 代理投稿
『追って来る者』 1/2

 当時高校一年だった俺は、海辺の我が家から友人宅へ向かう
べく歩いていました。時刻は午後九時をまわっていたでしょう
か。 住宅地とはいえ街灯も疎らで薄暗い海岸近くの生活道路
に、俺以外の人影は全くありませんでした。 と、後ろから足
音が聞こえてきました。何気なく振り返ってみると、10メー
トル程後方に男がいます。一見して、それほど若くないことだ
けはわかりました。
 足音が早くなり、その男がどんどん近づいてきました。(追い
越すんだな)と思っていると、その足音は1メートルほど後方で
歩を緩め、俺にぴったりと追従する形になりました。 細い路
地ならともかく、そこは幅員5メートル程もある道です。明ら
かに意図的なその行動に、当時既に武道の有段者だった俺も、
相手の真意を質すことはおろか、振り向くことすらできなくな
っていました。 そのまま10メートルも歩いたでしょうか、
後ろの男が再び早足になると、息がかかるほどに密着してきま
した。
227: ◆100mD2jqic 2008/08/23(土) 02:53:37 ID:0E6uFjYC0(4/10)調 AAS
『追って来る者』 2/2 

 この後の事を書と予定調和臭くなるので気がひけるのですが、
事実なので書きます。

 密着されて俺の恐怖が最高潮に達した瞬間、角を曲がって1
台のバイクが近づいてきて、俺の前に止まりました。「よ〜お
、久しぶり。」それは中学時代の友人でした。 その時初めて
目前の異様な状況に気づいたその友人が「え?誰?何?どうし
たの?」と素っ頓狂な声を上げると同時に、男は不自然に顔を
背けると、海岸方向に走り去っていきました。

 横田めぐみさんが連れ去られたとされる場所から数キロ地点の海岸
線で、彼女が失踪してから数ヶ月後に体験した実話です。

【完】
228: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 02:55:24 ID:tgxRk/Dr0(21/30)調 AA×

229: 枯野 ◆BxZntdZHxQ 2008/08/23(土) 02:56:15 ID:4zKYlt9k0(3/3)調 AAS
「神隠し」

オタ友の松岡は京都の出身で、時々不思議な話を聞かせてくれる。
古い家の中の奇妙な現象、今でも晴明の逸話よろしく呪物が埋まっている場所、
深泥池の裏側に廻りこもうとすると、いつも雨が降り出して行かれない…、
ぱっと書き出してみても、そんなエピソードが思い出される。

そんな松岡がまだ小さかった頃、少し怖い事があったと言う。
真夏の夕方、一人川べりで遊んでいた松岡の所に、白っぽい着物の女性がやって来た。
女は白くてのっぺりした顔で、目が狐のように釣り上がっていた。
松岡は女に手を引かれて、バス通りへ歩いて行ったと言う。
通りへ出ると、松岡の良く知らない方角へと、女は歩を進める。
バス停より遠くへ行ってはいけないと言い聞かされていた松岡は、
急に怖くなって、その女の手を振り払って逃げたそうだ。

家に帰り着いて暫くは、女が追って来るような気がしてとても怖かった。
しかしやはり子供なので、一晩寝れば、怖かったことなどすっかり忘れてしまっていた。

だが実はその日、近所では松岡と同じ年頃の女の子が行方不明になっていた。

松岡が白い女に連れて行かれそうになってから3日後、
いなくなっていた女の子が見つかった。
少女は神社の境内、それも3日間、何度も探された場所にいた。

大きな石灯籠の、灯りを点すその空間に。
ぴったりと嵌め込まれた女の子は泣きもせず、ただぼんやりとそこにいたそうだ。

それだけ話した後、女と事件の関係は分からないが、もしも逃げ帰らなかったら、
そこにいたのは自分だったかもねぇ、と松岡は困ったような顔をした。

【完】
230: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 02:58:43 ID:tgxRk/Dr0(22/30)調 AA×

231: ◆ChC8N5VHp. 2008/08/23(土) 02:59:07 ID:36ZuMfwn0(3/6)調 AAS
1/4

 祖父が子供の頃の話。
 
 祖父は子供の頃、T県の山深い村落で暮らしていた。
村の住人のほとんどが林業を営んでおり、山は彼らの親と同じであった。
そんな村にも地主が存在しており、村の外れにある大きな屋敷に住んでいた。
地主は林業を営むわけでもなく、毎日をのんびりと暮らしていた。
まさしく牧歌的な暮らしの村であるが、村特有のルールも存在していた。
そのルールというのが

「毎月3日は髪取り師以外は地主の家に近づいてはならない」
「屋敷に来る客人に声をかけてはならない」

というものだった。
毎月3日の朝に村外から数名の人間が訪れては、夕方には帰っていく。
物心付く前からそのルールを教え込まれていた祖父は、何の疑問ももたずにルールを守り続けていた。
232: 2008/08/23(土) 03:00:31 ID:36ZuMfwn0(4/6)調 AAS
 
 2/4

 ある日、村の外から一人の男が流れ着いてきた。
その男をAとする。
男は村のはずれにある屋敷から、少し離れた場所に勝手に小屋を造り住み着いたそうだ。
村人たちは不審人物であるAに誰がこの村のルールを説明するのかを会議し、祖父の父親(B)がその役をする事になった。
Bは早速Aの小屋へ赴き、この村のルールを説明した。
このルールを破れば、大変な事になるので必ず守って欲しいと念をおした。
俺が不思議に思ったのが、なぜ村から追い出さなかったのかだが、祖父曰く

「村の人間の半数が流れ者なので、追い出すという考えがなかった」

だそうだ。
233: ◆ChC8N5VHp. 2008/08/23(土) 03:01:28 ID:36ZuMfwn0(5/6)調 AAS
 3/4

  話を戻す、AはBの説明を聞き、ルールを守る事を了解した。
そしてAが訪れてから最初の3日が訪れた。
この日も20代の男女と40代の男一人が村へとやってきた。
3日にやってくる者はみな、身なりもよく良家の出である品をもっていたそうだ。
この村に何故村外の者が訪れるのか。
その秘密は「髪寄りの法」にある。
この髪寄りの法とは、人間にかけられた呪いや付き物を落とす術であり、この村の地主がその術を代々受け継いでいたらしい。
術はその名の通り、髪の毛に邪念を寄せ取り除くというもの。
しかしその髪を取り出す場所は被術者の腹部から取り出される。
その髪を山へ封印にいくのが、地主から洗礼をうけた髪取り師である。
 
 その日もいつもと同じように時間が流れ、屋敷の裏口にそっと置かれた包み紙を髪取り師が持ち、山へと封印にいった。
だが、村に来て日の浅いAは村のルールは聞いていたがそれを無視し、屋敷の側の雑木林からその様子をうかがっていた。
Aは髪取り師が持ち去った包み紙に、何かいいものが入っているものだと考え髪取り師の後をつけた。
髪の封印場所は山の中腹に建てられた祠であり、この祠の管理も髪取り師の仕事であった。
Aは髪取り師が祠の中に包み紙を入れ、山を下りたのを確認すると祠のなかからそれを取り出した。
中を確認すると血で濡れた一束の髪の毛。Aはその髪を放り出し逃げ出した。
その次の日、Aの小屋が燃えた。
Aは小屋から逃げ出し無事であったが、不審に思った地主がAを呼び出した。
Aは昨日の事を話さなかったらしいが、地主にはAについているモノが見えていた。
地主は、死にたく無ければ、お前が髪取り師を受け継げ。
それを拒否すれば命はない。と。
Aにすごむが、Aはそれを拒否。その日の内にAは村から追放された。
234: ◆ChC8N5VHp. 2008/08/23(土) 03:02:13 ID:36ZuMfwn0(6/6)調 AAS
 4/4

 それから数日後、地主の屋敷が全焼し一家が死亡した。
その焼け跡からはAと見られる遺体も発見された。
村人はAが放火し、そのまま逃げ遅れたのだろうという結論になった。
さらに数日後、髪取り師が祠に行くと、祠は完全に破壊され中にあった髪もすべて持ち去られていた。
真相は不明だが、村人たちの話ではAは祠を破壊し、髪をもって屋敷にいった。
髪の呪いや邪念が一気にたかまり、屋敷炎上を引き起こしたんじゃないかという事になった。
地主がいなくなってからは、村外の者からの収益もなく次第に村がさびれていきやがて捨て村となっていった。

 それ以来、祖父は髪の毛に対し強い恐怖を覚えるようになったとツルツルの頭を撫でながら話してくれた。

 【了】
235: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 03:02:32 ID:tgxRk/Dr0(23/30)調 AA×

236: ◆100mD2jqic 2008/08/23(土) 03:04:46 ID:0E6uFjYC0(5/10)調 AAS
白比丘尼 様 代理投稿
『雨夜の出来事』 1/2

母子家族で母と二人きりで暮らしていた17歳の雨の夜の話です。
夜中の3時ぐらいに「ピーー」と玄関のチャイムが鳴りました。
母と話していた私は「こんな遅くに誰だろね」なんて言いつつ、インターフォンをとると女性の声で
「あの…あの…突然すみません…。今晩、あの…泊めて頂けませんか」と言われました。
いきなりの事に「え?」と聞き返すと
「…あの…私近所のマンションに住んでまして
あの…私会社をクビになって…あの…もう住む所がなくて…だから泊めて頂きたいと…」
母が私に代わってインターフォンで話はじめてくれたので、玄関の窓越しに訪問者を見てみると女性が一人立っています。
顔はもうどうみても50代なのに金髪の長髪。
白い帽子をかぶっていて、明るい緑のブラウスに赤地に白の水玉のふわっとしたスカート。
右手にはたくさんの物が入った紙袋を持っていました。
その様子をみた私は母に「玄関に来てる人、絶対変!怖いからもうやめよう!
相手にしないで『駄目です』っていって断ろう!」とまくし立てました。
そしたら母は「ははははは」と笑って
「この雨の中、傘もなく歩いてきたんだって。傘だけでも貸してあげよう」
と言うじゃありませんか。
私はもうその人の外見をみてるので泣きたくなって、こういう事にだけは度胸がある母をうらみました。
私はリビングで玄関の様子を伺っていたんですがしばらくすると
「家には入れられません!帰ってください!」
と母の怒鳴り声が聞こえました。
玄関ではガチャガチャガチャガチャ!!とチェーンの付いた扉を無理やり開けようとする音と、閉めようとする母が
出す音が大きく響き渡り、17歳の私を泣かせるだけの迫力がありました。
237: ◆100mD2jqic 2008/08/23(土) 03:05:49 ID:0E6uFjYC0(6/10)調 AAS
『雨夜の出来事』 2/2

やっとバタン!と玄関が閉まる音がして、母がふぅふぅ言いながら部屋に帰ってきました。
「あの人、やっぱり○○(私の事)の言うとおりだね。頭おかしいみたい。怖かったでしょう、ごめんね。」
と母が言うので、
「なんかされたの?大丈夫??」
と聞き返しました。
すると母はまた笑って
「いやいや、全然大丈夫。今日はもう寝なさい」と。
しかし、この話をしている最中にまた玄関のチャイムが「ピーーピーーピーーピーーー」と物凄い勢いで鳴り始め、今度は玄関のドアがドンドンドンドン!!と叩かれました。
玄関の音は30分ぐらいで止みましたが、それ以来しばらくは夜中のお客さんは怖くて怖くて仕方ありませんでした。
その夜の出来事から5年後、私は一人暮らしを始める事になりました。
明日から新しい部屋で暮らす事になった晩に母と話をしていて
「そういえば、あんな事があったね〜私怖くて怖くてめっちゃ泣いた記憶がある(笑」
と話したら、母が
「う〜ん、あれだけで怖がってるようじゃ大丈夫かしらね、一人暮らし。」
というので、「あれだけで?」と聞いたら母が言うには。
私ね、あの時あなたが物凄い怖がってたから、言わなかったけど、まずあの人ね、雨が降ってる中歩いてきたっていったのに、全然雨にぬれてなかったのよ。
で、左手にバットを持ってたの。しかも、あの人、男の人だったよ。
私が腰を抜かしたのは言うまでもありません。
「なんで警察呼ばないの〜!!!」と言ったら「なんだか逆恨みされそうじゃない、家はもう知られてるし」と。
みなさんも夜中の来客にはお気をつけください。
「 完 」
238: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 03:07:13 ID:tgxRk/Dr0(24/30)調 AA×

239: ◆qYEA7rCfag 2008/08/23(土) 03:07:29 ID:1SP26gEK0(4/4)調 AAS
【タブー】

あなたの後ろには誰も居ません。
それを信じて疑わないようにして下さい。

怪談とは不思議なものです。
意識しなければ怖くないと知っていても、何故か意識してしまうのです。

逆に、意識してしまった怪談は、もうそこに存在すると言えます。
怪談とは言わば恐怖心の塊であって、心霊現象とは関係の浅いものも多くあります。

髪を洗っているときに背後に女性が立ちませんか?
廊下を歩いている時、恐ろしい形相をした男性が肩を掴むイメージは?
夜の帳が下りた今、窓から何者かが覗いていませんか? ドアの隙間は? 襖は?
台所の暗がり、そう……天上付近からあなたを凝視している目はありませんか?
あなたの足元に誰か潜んでいませんか? 段差ごとの死角から、何か見えませんか?
何かが立てた物音を聞いて「もしかして誰か居る……?」と思ったことはありませんか?

怪談話においてのタブー。
それは、決して想像してはいけないということです。
先の例としても想像してはいけないのです。
想像は創造に転じ、それは呼び寄せる口実にも成り得ます。

だから今、あなたの背後から視線を感じても、決して振り返ってはいけないのです。

【完】
240: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 03:09:06 ID:tgxRk/Dr0(25/30)調 AA×

241: 石原 ◆qW/OVfUbJo 2008/08/23(土) 03:09:53 ID:HORRnlRD0(1/4)調 AAS
鬱男と気狂い女 1/4

大学に通っていた頃の話。

キャンパスライフっていうとすげー明るい話みたいに聞こえるが
オレにとって大学生時代は地獄だった。

ようするにマジメ学生だったんだな。
友達を一人も作ろうせず、サークルの変に明るい雰囲気も敬遠していた。
毎日、家とキャンパスを往復するだけの日々。
都会の一人暮らしも手伝って、日に日に性格は暗くなり
あまりにも人としゃべらないので口が開かなることもままあった。

そんなオレが唯一、交流したと言える存在がいた。
そいつは、安アパートを出た所にある長い昇り坂によく出た。
乳母車を引いた髪の長い女で、婆さんみたいに乳母車を押しながら
坂の上から降りてくる。
オレが坂を登って行ってすれ違う時になると、
女は急にこちらの顔を覗き込んで
「見てください。かわいい赤ちゃんでしょう?」
と声をかけてくる。
で、その乳母車を見ると・・・何も無いんだわ。
汚い毛布が敷いてあるだけで、赤ちゃんの姿は見当たらない。
こっちがビックリして無言でいると、女は「ね?」と笑って
そのまま通り過ぎていく。
その微笑んだ時の釣り上がり焦点の合わない目、動物のように出した舌は
どう見ても正常な人間のものには見えなかった。
つまり、そういう人なんだな、と。
何か悲劇があって、頭の回路がおかしくなった人なんだなとこっちは勝手に解釈していた。
242: 石原 ◆qW/OVfUbJo 2008/08/23(土) 03:10:39 ID:HORRnlRD0(2/4)調 AAS
鬱男と気狂い女 2/4

その日も、オレは陰鬱な気持ちで家を出た。
いっこうに友達はできず、授業もつまらない。その時はネットやる金もなくて本ばかり読んでいた。
「クソ・・・死ね・・・クソ・・・死ね」
そう口ずさんで歩くのが日課だった。世界のみんながオレを憎んでいるような気がした。

そんな精神状態の折り、例の女がやってきた。
坂ですれ違う。女は言う。「見てください。かわいい赤ちゃんでしょう?」
オレはその時、どうにでもなれ!って感じだったので強く言ってやった。
「赤ちゃん?そんなのいませんよ。狂いそうなのはあんただけじゃないんですよ」
女はひどく驚いたようでそわそわしだしたが、最後には今にも襲いかかってきそうな剣幕に変わっていた。
しばらく睨み合った後、女はそのまま坂をくだって行ってしまった。

オレは思った。
「狂人でも幽霊でもいい。殺れるもんならなら殺ってみろ」
頭がおかしくなっていたのは女だけじゃなかった。

それからオレと女のバトルは始まった。
なんと女は次の日、ちゃんと乳母車に赤ちゃんを乗せてきた。
薄汚い毛布の上にチョコンと乗った小さな幼虫の死体。
女はフフフと笑ってこっちに迫ってきた。「かわいいでしょう?」
オレはヒヒヒと笑って返してやった。「つまらない冗談ですね」
それが悔しかったのか女の行動は日に日にエスカレートしていった。
幼虫からミミズ、ミミズからゴキブリ。ゴキブリからネズミの死体。
カラスの死体を乗せてきた時には、さすがに遠くからでも臭いが漂ってきて鼻が曲がりそうだった。
でもオレは負けるつもりはしなかった。
化け物に負けてたまるかというわけのわからない反骨心もあったが
実は頭のおかしい女と出会うのが何よりのたのしみに変わっていったのだった。
243: 石原 ◆qW/OVfUbJo 2008/08/23(土) 03:12:39 ID:HORRnlRD0(3/4)調 AAS
鬱男と気狂い女 3/4

恋・・・だったのかもしれない。
正直、その時の自分が何を考えていたのか思い出すことができない。
ただ何日も何日も誰とも話さず、安アパートの中でじっと本を読むしかなかった日々の中で
唯一会話のできる女とのやり取りは、あまりにも刺激的だったんだと思う。
例え両目が釣り上がり、髪がボサボサで、口のひんまがった不気味な化け物だったとしても
この世にたった一人の「女」ならば、オレにとっては特別な存在だった。

ただ心配事もあった。
死体のことだ。最初は虫の死体だったが、だんだんと形が大きくなっていき、
今では小動物の死体にまでエスカレートしていた。
「このままじゃ、いつか本当に赤ん坊の死体を連れてくるんじゃないか」

翌日、オレがいつものように坂を登っていくと、やはり向こうから女が降りてきた。
長い黒髪を振り乱し顔を痙攣させながら乳母車をキコキコ押してくる。
オレはさすがに怖くなって逃げようと思ったが、意を決して敵と相対した。
女は言う。「見てください。かわいい赤ちゃんでしょう?」
オレは恐る恐る乳母車の中を除き・・・・・・それから安堵した。
乳母車の中には、赤ん坊の人形が置かれていた。
さすがに本物の死体を持ってくることはできず、偽物を取り繕うしかなかったようだ。
女はオレに馬鹿にされるのかと思ったのか静かにうつむいていた。
しかしこの時、オレはこう言おうとしていた。「付き合って下さい」
今から考えると気味の悪い話だ。
いくら孤独で死にそうだからといって、どこの誰とも知れない、
狂人か幽霊かもわからないようなものに告白するなんて・・・。
244: 石原 ◆qW/OVfUbJo 2008/08/23(土) 03:13:27 ID:HORRnlRD0(4/4)調 AAS
鬱男と気狂い女 4/4

だが、この告白は失敗に終わった。
「あの・・・付き」
まで言いかけた後、女の背後から子供が顔を出し「キャッキャッ」と笑ったのだ。
青白い肌をした妙な雰囲気の子供だったが、母親がこれなのだから遺伝だろう。
「子持ちだったのか・・・」
オレはげんなりしてその場に立ちつくしてしまった。
何も言えず呆然としていると、女は気まずそうにして前に進みだした。
はっとしたオレはあきらめきれず、背後から女に声をかけた。
「なんだ。お子さんいるんじゃないですか。今までスミマセンでした」
「え?」
その時、振り返った女の普通に驚いた顔が今でも記憶に焼きついている。

それからオレは彼女と会うことはなかった。
ただ安アパートから出る時、大家さんから
アパート周辺を徘徊していた女が狂気のあまり自殺した、という話を聞いた。
昔、男に騙され無理やり子供を堕ろされたために、気が触れてしまったということだ。
これが彼女だったとしたら、あの青白い子供はいったい誰の子だったんだろうか・・・。


245: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 03:21:47 ID:tgxRk/Dr0(26/30)調 AA×

246: しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 2008/08/23(土) 03:22:42 ID:GdDf91KL0(6/31)調 AAS
73話 [ 金縛り ]  1/1

「出張での話だけど。そこは昔の激戦区で、当然兵士の幽霊の目撃談とかもあるわけだ。
 ちょうどシーズンで、同僚と二人、ツインルームになったんで、
 仕事→接待→爆睡、というお約束コースを辿ったんだ。
 そうしたらさ。真夜中に暑くて目が覚めた。
 そんな筈はないんだよ。クーラーガンガンに掛けて寝てるんだから。
 クーラーが壊れたか?と思って起き上がろうとしたら起き上がれない。
 あー、脳みそだけ起きてるな、って思ったさ。何か人の気配もしたけど、脳みその錯覚だと思った。
 その気配が、俺の顔を覗き込んだ。人の顔じゃない。
 土佐衛門を初めとして、色んな死体を仕事で今までに見てきた。
 でも、そういったモノじゃない。

 膨らみきった水ヨーヨー一杯に血走った目が広がったような顔持った、日野日出志の漫画に
 出てきそうな感じの奴が、生臭い匂いとともに近づいたと思ったら壁に思いっきり引きずられた。
 必死で抵抗しようにも、体は動かない。
 おかしいだろ?臭いがするんだぞ。壁に体がめり込んだ感触がして。
 同僚は起きる気配もしなかった。

 ああ、俺は、もう駄目だ。フラグなんざ立ててないのに畜生。
 と思ったら、

 「 ぼ ひ ッ 。」とコマンド「big/ blue」辺りで指定したい位の大きさのマヌケな音がして、
 俺は解放された。

 正体?屁だよ、屁。同僚の屁。音もすごかったが、その後、な。
 さんざん飲んで食った後だったから、臭いがすごすぎて、どっちみちしばらく寝られんかったよ。
 人類からそんな屁が創造されるなんて、怖すぎるだろ?」

[終]
247: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 03:25:06 ID:tgxRk/Dr0(27/30)調 AA×

248: ASIAN ◆cnH487U/EY 2008/08/23(土) 03:28:00 ID:Kciij6DJO携(8/13)調 AAS
【指】1/2

指が落ちてた。細くて色白の、指が道端に落ちていた。

拾って、ポケットに閉まった。

家に帰って引き出しに入れた。飯を食って、風呂に入って、ベッドに入って、考えた。

あれはどんな人の指なんだろうか。

男だろうか?いや違う、あの細さと肌の色は女のものだ。美人だろうか。多分、美人だろう。

爪にマニキュアは塗って無かったから、きっと化粧っ気の無い人なんだろう。素朴な感じの着物が似合う大和撫子だろうか。

そう考えたら、頬がにやついてきた。

それと同時に、なんだか虚しくなった。
だって、あの指、どう見てもプラスチックだったんだもの。

いや、待て、別にオレはネクロフィリアでもないし無論吉良でも無い。ちゃんと死体以外の穴に突っ込んで童貞は捨てた。クイーンはマジでリスペクトしてるけどね。

明日同僚を脅かしてやろうと思って、拾っただけだよ。

まぁ、そんな計画も同僚の気のない返事でおしゃかよおしゃか。

ふーん。いい大人がどこのデパートのマネキンをぶっかいてきたのかな?だってさ。

うっせーマジで拾ったんだよバーカ。もうお前には見せてやんねー。見たいっつっても見せてやんねー。
249: ASIAN ◆cnH487U/EY 2008/08/23(土) 03:29:06 ID:Kciij6DJO携(9/13)調 AAS
2/2

そんな出来事があったのが一年前。

こないだ、郵便受けを見たら妙なチラシが入ってた。

ゆびをはやくかえしてくださいはやくゆびかえしてゆびかえしてはやくゆび

全部ひらがな。ミミズののたくったような字。デパートのチラシの裏に書き殴られた差出人不明のメッセージ。

最近、ドアチェーンに鋸かなんかでつけられたっぽい傷があるのを見つけた。

もうちょっとで、千切れそう。

早いとこ新しいのに変えないと、なんかマズそうな気がするんだが。大丈夫だよな。
250: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 03:29:38 ID:tgxRk/Dr0(28/30)調 AA×

251: テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU 2008/08/23(土) 03:31:08 ID:jBtZnPJd0(3/3)調 AAS
【い も う と】

 俺には2つ下の小学生の妹がいる。別に仲が悪いわけでは無い普通の兄妹だ。
 妹が小学生の頃の、ある嵐の晩の話。俺は部屋でネットを見ていた。風が強いな、そう思っていると、ついに停電が起こり、家中が真っ暗になってしまった。

 ブレーカーを確認するが、落ちていない。どうやら、配電線がどこかで切れたようだ。
 そうこうしているうちに、誰かが泣きながら俺のそばにやってきた。
 暗闇でよくわからなかったが、どうやら妹のようだった。怖くなって俺の近くに来たのだろう。
 俺はそんな妹を、多少バカにしたものの、暗闇の中ですすり泣く妹を見ているうちに、いたたまれなくなってきた。
 仕方がないので、妹を部屋へ連れて行き、寝かしつける事にした。

 安心したのか、妹はわりとすぐに眠ってしまったようだ。それを確認すると、起こさないように気をつけながら、部屋へ戻った。

 翌朝、電力が回復しているのを確認すると、妹の様子を見に部屋へと行った。
 …妹がいない。

 …そうだ。よく考えてみれば、妹は2日前から、修学旅行に行っていたんだった。

 …じゃあ、俺のそばにやってきたのは誰だ…?

「完」
252: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 03:33:05 ID:tgxRk/Dr0(29/30)調 AA×

253: ◆100mD2jqic 2008/08/23(土) 03:34:41 ID:0E6uFjYC0(7/10)調 AAS
彼岸花 様 代理投稿
『蛇の祟り』

あれは今から5年ほど前の秋,たしか10月頃だったと思います。私
は和歌山県中部の某村のある池の埋立工事に仲間たち10人ほどで出向くこと
になりました。この池のある場所は奥深い山中でしたが,それでも近くにはい
くつかの小さな集落がありました。実は,この工事はいわく付きでした。地元

の村人たちが反対しているにもかかわらず,ゼネコンが強行に埋立を推し進め
ようとしていたのです。このゼネコンは私が所属する会社の親会社であり,や
っかいな仕事を私たちに押しつけて来たのでした。

 村人の話によるとこの池は「蛇池」と呼ばれ,昔から不思議な言い伝えがあ
るということでした。その伝承の内容はこうです。昔,池には人間の数倍もあ
る大蛇が住んでいたそうです。ある年,村が飢饉におそわれたときに,村の若

い娘が「私はどうなってもいい。どうか村を救ってください。」と蛇神様に祈
りながら,入水したのでした。すると,みるみる池の一部が干上がり、あたり
を跳ねまわる魚を捕まえて食べることで,村人は何とか飢えをしのぐことが出
来たのでした。そしてその後はこの辺りでは日照りというものが起きたためし

が無いのだと言います。ですから,今でも村の住民は池を埋め立てると必ず祟
りが起きると信じているようでした。

 私はその噂を恐れながらも仲間達と作業を進めました。数日経って一人の従
業員が体調を崩したので,大阪府下の自宅へ帰しました。さらに数日後,私が
工事の報告のために久しぶりに大阪府下南部の本社を訪れたとき、妙な話を耳
にしました。この前に帰った作業員が病院に行ったところ、彼の胸や腹,さら
に背中や腕にはまるで蛇に締め付けられたような痕があったのだそうです。

「完」
254: az ◆CdcNSgwAiM 2008/08/23(土) 03:35:39 ID:tgxRk/Dr0(30/30)調 AA×

255: ◆100mD2jqic 2008/08/23(土) 03:44:06 ID:0E6uFjYC0(8/10)調 AAS
第七十七話
ゆい ◆HgP/Cz.fFY 氏  お願いします…
256: ゆい ◆HgP/Cz.fFY 2008/08/23(土) 03:45:00 ID:9BwJHflr0(1/2)調 AAS
あまりにも胡散臭い話だとは、自分でも思うのですが……小さい頃の話です。

その女の子に会ったのは、幼稚園に上がる前だったと思うので3〜4歳の頃。
白い着物に赤い帯を締めた、サラサラの髪のとても綺麗なお姉さんだった。15歳くらいだったんじゃないかなと、後で思った。
一人で庭で遊んでいたら、そのお姉さんがどこからかやってきて(←3歳の頃の記憶なのではっきり覚えていない)
「一緒に行こう、すてきな所へ連れて行ってあげる」とかそんなようなことを言われて、ほこほことついていってしまった。
親は私が、いなくなったと血相変えて探しまわったらしい。
夕暮れ時に半泣きの母親が走ってきて、ものすごく怒られたのは覚えている。
さすがにうろ覚えなので後で聞いた話だが、母が私を見つけたのはかなり遠くの空き地で
とても3歳児が歩いていけるような距離ではなかったらしい。(何か乗り物に乗った覚えは無い)
私はずっとお姉さんといっしょにいたような記憶があるのだが、私は一人で、けろっとして遊んでいたそうだ。
正月でもないのに着物姿の女の子なんか滅多にいるものじゃないと思うのだが、母はそんな女の子は見ていないと言う。

その後、県を移動する距離の引越しをした。
小学校2年生くらいの頃、学校から帰ってくる途中、またあの時のお姉さんに会った。
3歳の時たった一度会っただけの人だけど、何しろ綺麗な子だったし、あの時と同じ白い着物と赤い帯という姿だった。
その時は少し立ち話をしただけで、さよならをした。
お姉さんとは会ったのは、その2回きり。
257: ゆい ◆HgP/Cz.fFY 2008/08/23(土) 03:45:45 ID:9BwJHflr0(2/2)調 AAS
で、それからさらに数年たって高校生になった私は、ある少女漫画を友達から借りた。
白い着物に赤い帯をした美少女吸血鬼が主人公の、オカルト?ホラー?系の漫画だった。
漫画なので主人公はちょっと個性的な髪型で、衣装は着物を洋服っぽくにアレンジしたようなデザインだったし
「お姉さん」が着ていたのは普通の着物だった(はず)なので、共通しているのは
白い着物に赤い帯というアイテムだけなのだけど、その漫画を見た瞬間、あのお姉さんを思い出した。
「小さい頃、こんな女の子に会ったことがあってねー」と、漫画を貸してくれた友達に話したところ
彼女は何だか妙な顔をして、翌日今度はアニメの雑誌を持って来てくれた。
そのマンガは当時アニメになっていて、出演したある声優に曰く
「○○(主人公の名前)って本当にいるんですって。私の友達が会ったって言ってた」……とのこと。
その話を聞いた監督だか脚本家だかは「あれは創作! ○○が実在したりしたら、僕は気絶するよ」と言ったらしい。

さすがにもう顔もおぼろげになってしまったけど、私の記憶にあるのは「ものすごく綺麗な、白い着物姿の女の子」。
声優の友人が、どんなモノに会って「○○」と思ったかは書かれていなかった。
都市伝説や現代怪談系の話を少し調べてみたけど「白い着物と赤い帯の少女」のそれらしい話はまだ見つけられない。
もしかして幽霊?とも思ったけど、ベタなイメージのそれにしては帯がやたら鮮やかに赤かった気がする。(派手な幽霊がいたっていいけど)
ただ、もし本当に声優の友人が会ったのがあのお姉さんで、もしそれが本当に○○のような存在だったとしたら
彼女は、3歳の私をどうするつもりだったのかと。
あの日、もし母が私を見つけていなかったら私は一体どうなっていたのだろうと。
でも、頭を撫でてくれて手をつないで歩いてくれたお姉さんは、とても優しかったし。
そういえば、あの手が温かかったか冷たかったかも、もう覚えていないな……と、今気が付いた。

【完】

もし、そんな女の子に会ったことがあるという方いらっしゃったらどこかのスレにでも投下してくださると大変嬉しいです。
258: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 03:47:51 ID:GdDf91KL0(7/31)調 AA×

259: 毒苺 ◆m4FfOBrUGg 2008/08/23(土) 03:48:42 ID:RRoSgXR50(2/2)調 AAS
「無題」

ある日、友人数人で呑んでいるときに
酒の肴がほしいよね、ってことで某投稿系の映像集を見ていた

「この映像を見た方は何かが起こる可能性があります」

そんなテロップが流れたが怖いもの見たさが先行しもちろん直視。
友人と「みた?」なんて笑いながら楽しんでいた。
「怖くてみれないよ」と言ってる友人にこんな感じだったよと脅かしながら。

数年後、その時にいた友人にふと思い出したかのように言われてゾッとした。

「あのあと事故おこしたよね?あの映像見た後だから怖かったのよ
しかも映像見たって言ってた二人だけが事故起こしてたし…」

そういや、私は交通量の多い交差点で右折車に思いっきり突っ込まれ3週間通院。
友人は山道を走っていたらカーブを曲がりきれずガードレールに突っ込んで入院したな。

みなさんも気をつけてください。興味津々で怖い物に近づくと同じ目にあうかもしれませんよ

【完】
260: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 03:49:19 ID:GdDf91KL0(8/31)調 AA×

261: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 03:52:16 ID:GdDf91KL0(9/31)調 AAS
第七十九話
蕨 ◆grZCWCboXg氏  お願いします…
262: ◆grZCWCboXg 2008/08/23(土) 03:54:25 ID:/76O1pUN0(1/7)調 AAS
「そのままの家」1/2

高校の頃、仲間内で神秘・心霊スポット巡りが流行った事があった。
市内の山にある神社や、もう使われていない修験場で写真を撮ったり
霊が出るという墓地を夕方歩いたりした。
だが特に霊感が強い人間が居る訳でも無いのに
そう簡単に不思議なものを見たりそれらしい写真が撮れる訳もなく
いつも心霊ツアーは只の遠足のような物で終わっていたのだ。

そんな時仲間の一人が、家族から古い事件を聞きつけてきた。
曰く「あの山に、一家心中があった家がそのまま残っているらしい」
という事だった。
そこは古い神社や墓地があるような山とはいえ、市街地に近いため
市営住宅やアパート、果ては私立校の校舎があるような環境なので
そういう家があったとしても、言われなければ判らない。
「それらしい」ポイントを巡っても何も無かった事だし
怖いもの知らずな年頃でもあり、早速行ってみようという話になった。

学校を終えてその場所に着くと、丁度夕方の薄暗い時間。
住宅街から少し離れた、見晴らしの良い場所にその家はあったが
事件の事を知らなくても、そこは異様に感じられた。
暗いとか、おどろおどろしいとか、家が朽ちかけているとかいう訳ではない。
むしろ平屋だが広く、大きなガラス窓は日当たりが良く、住みやすそうで
広めの庭の芝が生え放題になっている以外に、荒れたという印象は無い。

異様なのはただ一つ、硬く閉じられた鉄門に
過剰なまでにぐるぐると巻きつけられた有刺鉄線だった。
壁の上にも有刺鉄線が張り巡らされ、まるで昔のドラマの刑務所のよう。
その門のこちら側から覗き込むと、家庭用の小さなブランコと
幼児用の自動車型の乗り物が、まるで住人がちょっと旅行に行っているだけの様に
そっくりそのまま放置してあった。
263: ◆grZCWCboXg 2008/08/23(土) 03:56:29 ID:/76O1pUN0(2/7)調 AAS
2/2

自分は怖気づいたが、肝の太い仲間の一人が
唯一有刺鉄線の無い生垣から中に進入を試み、ブランコの横をすり抜け入っていく。
そしてそろそろと玄関に近づき、無謀にも鍵穴から中を覗き込むと
一転して真っ青な顔をして戻ってきた。
何か出たのかと聞く自分達に、彼は青い顔でこう答えた。
「玄関に靴があったんだ。男物と女物と子供靴。多分住んでた人のがそのまま並んでた」
後に調べた所、やはり心中したのは両親と幼い子供で
今あの家は親戚が管理しているらしい。
家を壊すのもお金がかかるし、事件が事件だけに買い手もつかない為
進入禁止にだけして、そのままにしてあるのだろう。

あんな明るい家に住んでいた一家が何故自殺したのかは判らないし
きちんと祀られているのか居ないのかも判らない。
霊を見た訳でも、変な音がした訳でも、死体を見たわけでも無い。
だが、未だにたまにあの時の光景を思い出す事がある。
朽ちるか、壊されるかするまで、あの家の日常は
あそこに写真のように切り取られたまま、あそこに在り続けるのだろうか。
引っ越してしまった今、あの家がどうなったのか確認する術は無い。

【完】
264: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 03:57:15 ID:GdDf91KL0(10/31)調 AA×

265: 朦朧 ◆sZMOg20d0E 2008/08/23(土) 03:58:36 ID:Drt3xPJz0(1)調 AAS
【足跡】

高校三年の時の話です
自分は剣道部に所属していて、電車通学ということもありよく道場で時間を潰していました
仲間との雑談に花が咲きいつも帰る電車を逃してしまった。
次の電車を待つために最低限の灯りだけをつけて時間を潰していました
道場全ての電気をつけていると用務員がその灯りに気づき来ることがあるため
電気は男子更衣室のみつけていました
仲間と挨拶を交わしてから数十分後、
突然『ミシッ』という音が道場の奥−柔道用の畳が敷かれている所から聞こえてきました
誰かいるのか?と思いすぐに配電盤に近づき電気をつけました。
が当然誰もいません。不思議に思いましたが古い道場だ、風で軋んだのかもしれない。
そう思って道場の電気を消しました。数分後また『ミシリ』と篭もっていますがはっきりとした音が聞こえました。
ですが自分はまだ違うかもしれないと思い電気をつけませんでした
しかし段々とその足跡は自分に向かってくるように音が大きくなってきました。
畳を踏むような篭もった足音『ミシリ、ミシリ、ミシリ、ミシィ』
柔道用の畳と剣道用の木板の区切りまで足音が来たのが感覚的にわかりました。そして『ギィ』と木の板を踏む音
自分は何を思ったか背後まで来るのを待ってやると思いました。
『ギィ、ギィ、ギィ、ギィ、ギィ、ギィ』
その足音が聞こえるたびに鳥肌がたってきます。足音はもう自分の2m近くまで来ていました
鳥肌どころか体中が泡立ち、もうダメだ!!と思い配電盤までパッと動き電気をつけました
電気がつき足音が聞こえた所を見ましたが何もいません
これ以上いる気にはならなくすぐに荷物を整え道場から出ました
後日この話を同じく電車通学をしている同期に話しましたら、そいつは昼その足音に遭遇したと話してきました

【完】
266: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 03:59:46 ID:GdDf91KL0(11/31)調 AA×

267: スノーフのお嬢さん ◆AOGu5v68Us 2008/08/23(土) 04:00:08 ID:uLinYK8f0(1/2)調 AAS
「百物語」1/2

子供の頃の出来事。
俺と兄貴は昔から、怖い話が大好きだった。
ある年の夏、百物語の本を買って貰い喜んだ俺たちは、実際に二人でやってみようと思い立った。

勿論大人は参加してくれないし、夜中に友達を招く訳にもいかないので、二人で交互に本を読むことにした。
蝋燭は親に頼んでみると、案外あっさり買って貰えた。
場所は家の隣の作業小屋。家の仕事で使っている場所なので、広さはかなりある。

で、いざ挑戦!と、二人で蝋燭を立て始めたまでは良かったが、
いかんせん蝋燭が小さ過ぎ、百本どころか半分立て終える頃には、初めの一本が燃え尽きる始末www
あまりにお粗末な展開に笑うしかなく、この話はその後も機会があるごとに、笑い話として披露していた。
268: スノーフのお嬢さん ◆AOGu5v68Us 2008/08/23(土) 04:00:53 ID:uLinYK8f0(2/2)調 AAS
2/2

それから十年ほど経った頃。

この話を二人でするのは初めてではないのだが、この時に限って、話している内に段々と、お互い首を傾げることになった。

小さな蝋燭はあっという間に燃え尽きた。
記憶の光景に間違いがなければ、最後辺りに点けた蝋燭は、ほんの数秒しか持たなかった。
いくら小さいといっても、十秒も持たないなんてことがあるだろうか。
しかし、当時の俺達は見る間に燃え尽きる蝋燭に、大喜びしていただけだった。

なぜおかしいと思わなかったのか。
なぜその後何年も疑問を抱かなかったのか。
今になって、とても不思議に思う。
269: スノーフのお嬢さん ◆AOGu5v68Us 2008/08/23(土) 04:06:16 ID:0KyHG90G0(1)調 AAS
-完-
270: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 04:07:00 ID:GdDf91KL0(12/31)調 AA×

271: テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU 2008/08/23(土) 04:08:16 ID:gF/0yAsn0(1)調 AAS
【窓ガラスの人影】

 友人宅に泊まりに行った時の話。
 その日は、その家の友人を含め、4人で過ごしていました。
 夜9時頃。友人宅のすぐそばにある大学へ遊びに行こう、という話になり、全員で行く事にしました。

 その大学は、敷地そのものは夜間も開放してある為、敷地内へ入るのは容易でした。
 私達は構内の自動販売機で飲み物を買い、周辺を少し散歩しました。
 建物のガラスに自分達の姿が映っているのが見えた私達は、そのガラスに向かって、変な踊りをしたりしてげらげら笑っていました。

 …突然、背後に男性が現れました。何の前触れもなく、本当に突然。
 驚いて背後を見ても、誰もいません。でも確かに、ガラスには私達以外の男性が映っていました。

 …いや…。

 …その男性は、背後ではなく、実はガラスの向こうにいたのでした。
 …全身が半透明の姿で…。明らかにこの世の者ではないと、すぐに分かりました。

 そうしているといきなり
 「ううぅう゛ぅおおぉおぉおお゛お゛…」
 不気味なうめき声を上げながら、そいつがこちらに寄ってきたのです。私達は一目散に逃げました。

 …200m程走って振り返ると、そこには誰もいませんでした。

 その大学で過去に何かがあったという話は聞いた事がありません。
 男性が何者だったのかは、今でも謎のままです。 

「完」
272: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 04:08:28 ID:GdDf91KL0(13/31)調 AA×

273: バイブ1993 ◆TTtxpqNzhE 2008/08/23(土) 04:27:48 ID:3pxT6F3W0(1)調 AAS
昔、田舎の曾祖父の家に泊まりに行った
そこは綺麗ではないが田舎のわりには広く大きな家だった
とにかく部屋の数が多いその家はその分いわくつきの部屋も多数あった
その中の一つにドアを開けたらすぐ目の前に壁がありそれ以上進めない部屋があった
まああまり不思議に思わなかったが曾祖父に「夜は絶対あの部屋に近づくな」と言われていたので少し興味があった
子供のした事だし許してくれるだろうと思い俺は夜あの部屋に近づいた
それが間違いだった
俺はその部屋を何のためらいもなく開けた
やっぱり壁か・・・と思い振り向いてもう寝ようと思ったとき「奴等」はいた
「奴等」は笑っていた
俺は朝まで気を失っていた
何をされたかも覚えていない
ただ一つ覚えているのはやけただれた皮膚、おぞましい顔で俺の方に迫ってくる「奴等」だけだ

                 完
274: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 04:28:19 ID:GdDf91KL0(14/31)調 AA×

275: ららら 2008/08/23(土) 04:29:15 ID:c6BOe6xy0(1)調 AAS
私が風俗嬢をやり始めてから、ちょうど半年くらいの時でした。
その日は用事があって、いつもより少し遅い夜9時から出勤。その日は珍しくお店に入って即指名が入ったんです。

慌てて控え室から部屋へ向かうと一人の男性がいました。
どうやら見た事のない初めてのお客さん。見た感じ歳は30歳手前くらいの若い感じの人。
忘れ物をしたので、「ごめんなさい!すぐ戻ります!」とお客さんに伝えて控え室に戻り、忘れ物を取り部屋に戻ったら、さっきとは違う男の人が・・・いつも指名してくれる常連さんでした。

「えっ・・・」

「あれ?さっきの人は?」と聞いてみると?

「さっきの人?今日は俺が始めてじゃないの?」

・・・とまったくわからない様子。事情を説明すると、その常連さんが部屋に入った時には誰もいなかったというんです。
全身が凍ったように寒くなってプレイも集中できませんでした…。
276: ASIAN ◆cnH487U/EY 2008/08/23(土) 04:30:59 ID:Kciij6DJO携(10/13)調 AAS
【ヤンデレ】1/4

みんなはヤンデレ好き?

そうか、大好きか。

オレもだぁい好き。ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD、誰か貸してくれねぇかな。いやマジで。

なんて言ってられるのは、多分、直にヤンデレを体験した事が無いからだと思うんだ。
オレの人生の師であり数々の女を転々としてきて人生経験豊富なJ先輩の友達のA先輩が、こんな話をしてくれたんで紹介したいと思う。

東京に住んでた頃。若さにかまけてキャバ嬢に手を出したんだって。おぉいちょっと待ってよ。そっからもうバッドエンドフラグビンビンじゃん。ビッグマグナムビンビンじゃん。
ちょっとは考えろよA先輩。とか突っ込んだわけ。

仕方ないだろ。だって東京だぜ。トキオだぜ?空飛ぶんだぜ?若かったんだぜ?赤い彗星だぜ?アズナブルだぜ?
そりゃあ過ちぐらい犯すよ。アナルも犯すよ。

先輩は、大真面目な顔でウィスキーを煽ったっけ。
277: ASIAN ◆cnH487U/EY 2008/08/23(土) 04:32:17 ID:Kciij6DJO携(11/13)調 AAS
2/4

んで、話の続き何だけど。

ある日、そのキャバ嬢が浮気してるっぽいって噂を同僚から聞いたんだって。

ちなみにA先輩、ドナルドの下で働いてんたってのはここだけの話。

んでま、当のA先輩は、相手を束縛したくないのが僕の愛。来る者拒まず去る者追わずさ……。なんてエセニヒル気取ってたんだそうな。きめぇ。

でも、その噂がA先輩の耳に入っちゃったってのが、キャバ嬢には何故か分かっちゃったんだ。女のかんとか第六感とか、車輪眼とか使ったんか知らんけど。

謝ってきたそうな。むっちゃ謝ってきたそうな。ラブホの回転ベッドの上で、土下座でがん謝りだったそうな。ティッシュの山の中でむちゃくちゃ謝ってきたそうな。

私、もう絶対に浮気なんかしないから許して。お願い、私を一人にしないで云々。

あっ君(A先輩)が居なかったら私生きていけない。あっ君に捨てられるなら死んだ方がまし云々。

あっ君は許した。エセニヒル気取って、醜い本音はハートのジッパーで隠してキャバ嬢を許したんだそうな。
278: ASIAN ◆cnH487U/EY 2008/08/23(土) 04:33:43 ID:Kciij6DJO携(12/13)調 AAS
3/4

でも、キャバ嬢は納得しない。

嘘、そんな簡単に許される事じゃない。なんて言い出したかと思いきや、いきなり自分の手首に噛み付いた。

これには流石のあっ君も驚きを隠せない。慌てて引き剥がして、なんとか宥めて服着せて。

キャバ嬢曰く、あっ君が罰を与えないなら私が自分を罰するとか。

あぁ、なんと健気な子か……そんなんじゃ済まされない。

それからもキャバ嬢は浮気を繰り返す。繰り返す度に、自分の体を傷つける。

A先輩も余りに目に余るキャバ嬢の行動に、頬の一つ二つぶってやったんだが、それじゃまだ足りないとかぬかして最終的には包丁まで取り出したそうな。

浮気と自傷行為以外が無ければまともな子だった、とA先輩は語る。

それでも浮気の頻度は増え続け、その度にキャバ嬢の生傷も増えていく。

耐えきれなくなって、別れを告げようと思ったそんなある日、A先輩の携帯に一通の着信。メール。キャバ嬢からのメールだ。

ごめんなさい、また私浮気しちゃいました。今度こそは許してくれませんよね?
279: ASIAN ◆cnH487U/EY 2008/08/23(土) 04:35:06 ID:Kciij6DJO携(13/13)調 AAS
4/4

何と返信をしていいか困ったそうな。

別れたい。けど、そんな事言ったら自殺するんじゃないか。

悶々としたまま、その日は家に帰った。

家に帰って、ビール飲んで、オナニーしながらテレビつけたらしい。

飛び降り自殺があったとか、テレビがほざいてる。

まさか。と思ったそうな。でも違った。男だった。

なんだよビビらせんなバーロー。悪態をついた瞬間、メール着信。キャバ嬢から。

そっか、そうだよね、私が悪いんじゃないよね。あっ君の言うとおり、私を誘惑したあいつが悪いんだよね。きっと私とあっ君の仲を裂こうとする性根のねじ曲がった奴なんだよね。そういう奴は死んだ方がいいよね。死んだ方がいいよね。死んだ方がいいよね。

句読点、漢字変換、字面の上では理性的なメールに心底恐怖した。

返信なんて送ってないぞ、と。あっ君の言うとおりって何だ、と。死んだ方がいいってちょ、おまっ。

何が何だかわからなくなって、頭が混乱して、その日の内に荷物まとめて不動産屋へゴートゥーヘブン。

アドレスも変えてマンションも変えて。それ以来そのキャバ嬢とは会ってないそうな。
280: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 04:41:12 ID:GdDf91KL0(15/31)調 AA×

281: zar ◆zJYORZSm4M 2008/08/23(土) 04:42:06 ID:K+MstECH0(1/4)調 AAS
第85話 「永遠に続く死の鎖」 1/4

さて、僕自身も怖いし、本当は余り語りたくない話なんだけど、去年も参加したので(81話)今年も話してしまおう。
僕が聞いた断片的な話を時系列で追ってみたいと思います。これも本当の話です。少し長くなるけど聞いて下さい。

話は今から50年くらい前から続いている。僕の良く知っている、ある人の父親をAとする。
Aの実家では奇妙な事に、精神疾患を遺伝的に持つ人間が稀に生まれてくる家柄で、
実家の離れに納屋があるのだが、その「二階」にあたる部分になぜか狭い和室が存在した。
そこに精神疾患を持つ「Aの叔父」にあたる人間が隠されるように、閉じ込められるように生活していた。
そしてこの「Aの叔父」にあたる人間が最終的に癌に侵され、自殺したと聞いたのは随分後の話である。
「Aの叔父」にも家庭はあったらしいが、晩年は完全に一人きりになり、死んだ後の納骨さえ拒否されたらしい。
この辺の事情は知らないが、随分嫌われていたようだ。この頃Aの父親の体の一部に奇妙なできものが出来る。
それは握りこぶし程に大きくなり、目も覆いたくなるような異形のものになってしまった。
実際僕も写真でみたことがあるが、生まれつきでなければかなり奇妙なものだった。

今から40年程前。中学生頃にAはある事件を起こす。
Aの村では大騒ぎになったと聞いているが、なにをしたのかは具体的には知らない。
Aは訳もわからないことを言っていたらしい。思えば彼の心も既に病に侵されていたのかもしれない。
そしてAの行動パターンが次第に「Aの叔父」に似ていく。

そして今から10年程前。
Aは酷いアルコール中毒だったりもしたので、実家に帰っても煙たがられていた。
Aもいい年だったので家庭は持っていたが、そんな人間だったのでまもなく妻と子供は出て行った。
彼の娘は精神的な病を患っていたので、息子(当時17位)だけが彼の元に残った。
それからまもなくAの父親は死去する。Aの父親の奇妙なできものは巧妙に隠され、遺体には見当たらなかった。
そのことについては誰も触れなかった。その後Aの母親が入院することになる。
入れ替わるようにAの背中の部分に奇妙なピンポン玉位のこぶが浮き出てくる。
そしてそれから二年程時間は流れていく。
282: zar ◆zJYORZSm4M 2008/08/23(土) 04:43:32 ID:K+MstECH0(2/4)調 AAS
2/4
8年程前。ある日Aの息子はそれまで何年も寄り付かなかった「Aの母親」の病院にほんの気まぐれで
見舞いに行くことにする。住んでいた所からは随分距離があったので、いい時間になってから病院に着いた。
そしてAの息子はそこで祖母が癌に侵されていることを知らされる。着いた時には意識不明で、
足はまるで木の棒のようにパンパンに膨れ上がってうなされていたという。
その場にいた叔母(Aの姉妹)に、「Aの事を宜しくねっておばあちゃんがいってたわよ」と聞かされるが、
正直Aの息子はAを嫌っていたのでどうでもいいと思いながら聞いていた。
そして事件は起こる。Aの母親が突然苦しみだし、そしてそのまま他界してしまったのである。
Aの息子は呆然とし、「あんたが来たから死んだ!!」などと叔母などに激しく罵られる事になる。
Aは冗談じゃない、俺のせいじゃないと怒り、そのまま帰ってきて葬式にも出なかった。
実際彼はほんの気まぐれで行っただけであり、それを責任問題にされてはたまらなかったのだろう。
Aは喪主を務め、その後すぐ仕事をなくす。
Aはそのまま家に寄り付かなくなり、そのまま姿をくらます。
Aの息子は受験を控えていたが、突如住む家と、全財産を失いホームレスになる。

6年前。Aの息子はその後日払いの仕事や、バイトなどでなんとか金を稼ぎ、
風呂なしのアパートを借りてギリギリの生活をしていた。
彼は頭のいい人間で国立医大などに合格していたが、Aが恐らくブラックになっていたのか、
教育ローンなども組めずにそのまま夢を断念することになる。
Aに関しては死んでいても構わないとさえ思っていた。
ある日彼が眠っていると突如息が出来ないほど胸が苦しくなった。
目を開けると死んだはずの祖母が彼の胸を押さえつけて凄まじい形相で
「Aを頼むと言ったじゃないか!!!!」
と怒鳴った。何度も何度も胸を押さえつけられ、Aの息子が
「わかった、わかったから!!!!」
と言うと気配がさっと消えた。
それから随分後になって、その頃ホームレスになったAの父親が誰も住んでいない実家に帰り、
実家を放火して全焼させ、刑務所に入っているらしい事を人から聞くことになる。
283: zar ◆zJYORZSm4M 2008/08/23(土) 04:44:23 ID:K+MstECH0(3/4)調 AAS
3/4
3年程前。Aの息子はまだ貧乏なまま、ギリギリの生活を続けていた。
出所したAが彼の家を訪ねてくる。彼はドアも開けずにAを追い払った。
その後何度もAは訪ねてきたがその度に冷たく追い払い続ける。
彼は自分の未来と、家族を奪ったAを生涯許すつもりはなかった。
その後Aは生活保護を申し出たらしくその件で福祉事務所から連絡がきたが、それも無視した。

そして二年程前。
Aの息子は自分の生活に限界を感じ始め、酒の量が増えていった。彼は人に迷惑をかけるような飲み方はしないが、
もともと頭の非常にいい人間だったので、見ていて痛々しい程に追い詰められていた。
彼に少し話を聞く機会があって、上記のような話を断片的に聞きだした。
今はどうなのか、と聞くと、最近変なんだと言った。
「誰かに何時も見張られているような気がするんだ。そしてそれは自分に死が訪れるまで付きまとうんじゃないか。」
と彼はいった。しばらくして、彼の体には突如湿疹が出始めた。
そしてその後彼の両腕が丸太のように突然パンパンに膨れ上がり曲がらなくなってしまった。
病院で検査を行うも異常はなし。その腫れは直ぐに直ったが、湿疹は広がっていた。

一年程前。
その湿疹の後を見せてもらった。酷いなこれは・・・と思ったが、それよりも気になったのは彼の
右肩の部分に奇妙なできものが出来ていることだった。
Aの事を聞いてみた。最近は彼のことはまったくなにも知らないらしい。死んだんじゃないか。
と彼は言いながらふと窓を見た。僕も釣られてそっちを見てしまった。
少しだけ開いた窓の隙間から白っぽい人間の様なものの目がこちらをじっと見ていた。
Aは無表情のままこちらを見て、諦めたように首を振って笑った。そして僕は最悪の展開を悟った。
恐らくこの「できもの」は次のターゲットの証なんだ。
その人物が不幸な死を遂げるまで付きまとうんだ。
そしてそれは連鎖的に、人から人へ永遠に付きまとう死の鎖なんだ。
今それが彼についているんだ。
僕はその事実を伝えられなかった。そして彼は会社を辞めて何処かへ行ってしまった。
284: zar ◆zJYORZSm4M 2008/08/23(土) 04:45:15 ID:K+MstECH0(4/4)調 AAS
4/4
今彼がどうしているのかわからない。
生きているのか、死んでいるのか。伝えればよかったのか、伝えなくてよかったのか。
もうこんな事は忘れよう、と僕は思った。
僕の勘ではあの「死の鎖」は恐らく彼の叔父に端を発している。そして、彼の親族、あるいは
血縁関係にあるものにしか伝染しない。だからもう僕には関係ないし忘れよう。

と思っていた。今この長くなった文章をまとめてる最中にふと気付いた。
僕の左手の薬指の外側に変なイボが出来てるな。タコってこんな所に出来ないよね。
って書いていたら外で誰かが階段を登ってきた。隣の部屋に入ったな。
隣は空き部屋なんだけど。(午前3:23分)
あれ、出て行った。(午前3:27分)
なんか変な笑い声聞こえるんだけど。夏休みだから?(午前3:49)
なんだろう、本当はもうちょと続くんだけど、背中の寒気が止まらないのでこれちょっと書くの止めます。
ごめんなさい。

[完]
285: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 04:46:20 ID:GdDf91KL0(16/31)調 AA×

286: ゼロ ◆naWRBNLE6s 2008/08/23(土) 04:54:03 ID:kgzb8S7sO携(1/7)調 AAS
第86話「人魚?の影」
1/3
今から20年程前、熱海某所に家族旅行に行った時の話。
実家から三時間程掛けて熱海に到着し、宿泊予定の某有名ホテルに着いた。
宿泊先のホテルに着くと、まずはそのホテルにある大浴場に行くのが我が家のルール。
荷物を部屋に置いてすぐ、親父と弟の三人で大浴場へと向かった。
287: ゼロ ◆naWRBNLE6s 2008/08/23(土) 04:56:00 ID:kgzb8S7sO携(2/7)調 AAS
2/3
そのホテルの大浴場は最上階にあり、眼下には海が見えるという大浴場。
ちょうど誰も居なかったので、弟と二人で浴槽を泳ぐ。
親父は身体を洗いに行った。

一頻り泳ぎ少し疲れた俺は、浴槽の縁に座って休んでいた。
弟は相変わらず泳ぎ、親父は身体を洗ってる。
その時、何故か出入口のドアの方に視線が行ったんだよね。
ただ、ふっ、と。何か感じたとかじゃなくただ、ふっ、と。
出入口のドアは化粧ガラスっていうの?片面が薄く白く塗装されててるあれ。

あそこに、何かの影が通り過ぎていったのを、見た。
288: ゼロ ◆naWRBNLE6s 2008/08/23(土) 04:59:19 ID:kgzb8S7sO携(3/7)調 AAS
3/3
多分ドアの奥、つまり脱衣場に居た何かの影が映ったんだろう。

その形容しがたい、やたら上半身がでかくて
足が二本生えた形の影が何なのか、その時は解らなかったんだけどさ…

数年後。
俺はUMAの類いが好きだから、それ系の本は見掛けたら必ず目を通すんだけど。
ある時見た写真にその影の正体がいた。

人魚っているよね?
上半身が人間で、下半身が魚のアレ。
それの逆バージョンの写真があるんだけどさ。
その逆バージョンがまさにその影そのまんま!
その写真自体コラだ偽物だ言われてるけど、
あの時見た影は正しくそれだった。

【完】
289: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 04:59:42 ID:GdDf91KL0(17/31)調 AA×

290: 妖刀 ◆WslPJpzlnU 2008/08/23(土) 05:02:01 ID:LpkJzKar0(1/3)調 AAS
【斬る】 1/2

俺の友人に見える奴が居る、祓い等もできる奴だ。
そいつに教わって物に気を溜める方法を教わった。
どうも俺が作り易いのは殺気であるらしく、
そいつを数千円で買った小太刀の模擬刀に込める作業(傍から見たら目を閉じて刀持ってる危険人物)をよくしていた。

そんなある日、俺の自室に変な気配があった。
まぁ俺は見える奴じゃないので別段気に留めて居なかったが、
その日を境に眠ってるときに変な圧迫感があったりして、
その内金縛りに変わって不眠の日々が続きました。
291: 妖刀 ◆WslPJpzlnU 2008/08/23(土) 05:02:56 ID:LpkJzKar0(2/3)調 AAS
2/2

取り敢えず自分じゃ良く解らんのでその友人に相談してみた。
友人曰く「実際にその場で見ないと解らないから、3〜4日後くらいに見に行く」とのこと。
で、そいつが来る前日の晩に異変が進行した、というか詰めに入ったんだろう。
いつもは動けないだけか+気配(目は開くけど相手は見えない)何だがその日は首絞めてきやがった。
流石にこれには俺も焦った。だが体は動かないからどうしようもない。
それでも必死に動こうとしたら右手が僅かに動いて上記の刀に当たった。
もうその後はとにかく必死で刀を掴もうとして何とか掴めたので、鞘ごと見えないそいつを殴りつけた。
そいつの気配が少し離れると同時に体に自由が戻ったが如何せん興奮状態だった為だろうか、
咳き込みながらも鞘から抜いてその気配のする所を一薙ぎしてやった。
何かを斬った手応えを感じた。
その後、友人が来るまで刀を握ったまま夜通し座ってた。

翌日友人が来て昨夜のことを話したら何か一人で納得してやがった。
どうも俺の部屋、しかも昨日俺が気配を感じた所に真っ二つに切断された女の生霊が死んで(状態的には死が適切だと言われた)たらしい。
それで一連のことは元凶が無くなった為始末がついたらしかった。
もう相手は生霊を飛ばしてなくて、残りカスが暴れてただけだったんだと。
そして死体は放っておけば自然に消えるとも言われた。
因みに、友人曰く刀は半分憑喪神状態になってて、高位の護身刀らしい。
今も傍らに居てもらっています。

                                  [完]
292: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 05:03:21 ID:GdDf91KL0(18/31)調 AA×

293: ◆grZCWCboXg 2008/08/23(土) 05:05:39 ID:/76O1pUN0(3/7)調 AAS
「落ち着く先」1/3

先年、祖母が亡くなった後の話です。

100歳近かった祖母は、大腸癌だったが高齢にも関わらず奇跡的に手術でき
手術の後家に戻り、結局自室の介護ベッドの上で亡くなった。
医師の話によると、癌というよりは全体的な老衰死で
最後はゆっくりと心臓が止まって亡くなったそうだ。
確かに苦しんだ形相はして居なかったが、むしろ亡くなる前後より
癌の手術後どんどん動けなくなり、脳の機能も一気に低下していき
記憶も人格もあやふやになり、狂気と正気の時間を行き来していた時期のほうが
本人も周囲も苦しんでいたように思う。

自分は、母と二人で祖母の面倒を昼夜交代で見ていたので
祖母が死んでしばらくは、ふとした瞬間に呼ばれてる気がしたり
寝ていると祖母が出てくる夢を良く見た。
夢に出てくる祖母は、自分に謝っていたり、母の体調を気遣っていたが
何故かいつも遺体と同じ顔色をしていた。
身内が死ぬのは初めてだった為に、その印象が強烈に焼きついたのかもしれない。
294: ◆grZCWCboXg 2008/08/23(土) 05:07:28 ID:/76O1pUN0(4/7)調 AAS
2/3

そしてある時、また夢を見た。四十九日が終わって、しばらくしての事だ。

寝ていた自分は、いつもの様に祖母に呼ばれた。
祖母は生前のように介護ベッドに寝ていたが、何故かベッドごと半透明だった。
そして「寂しいんだ」と言った。

「寂しいって、なんで?」
「誰も来なくなって寂しいんだ」

確かに、四十九日に祖母の部屋にあった祭壇を片付けた後は
位牌は茶の間の仏壇に収められ、以前のように家人や親戚が出入りする事も無かったし
祖母は寂しがりで、寝たきりになってからは用がなくても
昼夜問わず自分や母を呼ぶ事が多かった。
夢の中の自分は何故か、祖母が亡くなっている事を理解しており
「寂しいっていったって、いつまでもそこで寝てる訳にも行かないでしょう?」
 もう祭壇も片付けちゃったから、もう誰も来ないよ。
 位牌もあるんだから、そっちに行かなきゃ駄目だよ」と答えた。

「おれは脚が悪いから動けないし、起きられないんだ」
「死んだんだから、もう動けないってことないでしょ?
 ほら、連れてってあげるから向こういこうよ」
295: ◆grZCWCboXg 2008/08/23(土) 05:09:54 ID:/76O1pUN0(5/7)調 AAS
祖母は以前から足が悪く、一人では起きも歩きも出来ず
手術後は自分で寝返りを打つことすら出来なくなっていた。
それにしても、夢の中にしろなんで死んだ後は動けると言ったのか、自分でも判らない。
生前のように起き上がらせてやり、手を引っ張ると祖母は起き上がった。

「ああ、動けるなぁ」
「そうでしょ?動けないって思ってただけだよ」

自分は祖母に肩を貸し、茶の間に連れて行った。
何故茶の間に連れて行けばいいと思ったのかも判らない。
母が「四十九日過ぎたら仏は位牌に入るんだよ」と言ったせいかもしれない。
茶の間の障子を開けると、母が座ってTVを見ていたが
こちらには気付かないようだった。
「ほら、ここだよ」と言って仏壇を指し示すと、肩に縋っていた祖母はすうっと消え
そこで自分も目が覚めた。

後に聞くと、母はその時間茶の間でTVを見ていたそうだ。
そして、その後あれほど立て続けに見ていた祖母の夢をぱったり見なくなった。
本当に自分が祖母を収まる先に連れて行けたのか、只の夢かは判らないが
少なくともあれ以来、自分の中の祖母は落ち着く先に落ち着いたんだと思う。

【完】
296: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 05:10:11 ID:GdDf91KL0(19/31)調 AA×

297: S.S ◆qF.oPZJZ2. 2008/08/23(土) 05:11:59 ID:UX7eJihqO携(1)調 AAS
第八十九話「写真」

中学二年生の頃、山梨県に自然教室に行ったときのことです。山中のコテージに、各クラス男女に別れて10人程が泊まりました。

最終日の夕食前。私は友人の悪ガキと遊んでいましたが、少し奥に行くと井戸を発見しました。その井戸にはフタがしてあり、赤い字で何か書いてありました。

「登るな。危険!」

異様な不気味さとリングが流行っていたこともあり、友人と騒ぎました。子供だった私たちはフタの隙間から石を投げ入れたり、心霊写真を取ったりしていました。

その日の深夜2時。最終日ということでほとんどの人が寝てしまっていました。私は3人の友人と話に夢中になっていたのですが、あることに気付きました。

コテージが揺れているのです。ガタガタ…ガタガタ…怖くなった私たちは布団にくるまっていました。

深夜3時を周り、揺れが治まりました。安心した私たちは布団を剥ぎました。その瞬間!

ガラガラ!!

コテージのドアが開いたのです。

翌日、見回りしていた先生に聞いても誰もいなかったとのこと。しばらくしてから担任の先生に、実はコテージの近くの井戸で昔自殺した人がいたという話を聞きました。男性だったそうです。

性別は聞く前からわかっていましたけどね。

何故かって?

写真の友達の横に写っている顔は明らかに男性でしたから。

[完]
298: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 05:12:44 ID:GdDf91KL0(20/31)調 AA×

299: 2008/08/23(土) 05:23:33 ID:/JjocwOH0(1)調 AAS
そんな伝説持ちだったとはwww
ラストに話と芸風合ってるじゃまいかwww
300: ゼロ ◆ZMEH0UITvg 2008/08/23(土) 05:34:15 ID:kgzb8S7sO携(4/7)調 AAS
第90話「飼い猫が来た」
1/4
二年前の話。
俺は、東京生まれ東京育ち、言わば江戸っ子である。
東京から出ず、そのまま一生を東京で過ごすんだろうと思っていた。
が、とある事情で三年ほど前から関西の某県で暮らしている。
ついこの間、菓子博があった県。
とある事情は話に関係ないから省くが。

三年前の2月1日、今住んでいる場所に着いて早々、母からメールが来た。
実家で飼っていた猫が、亡くなったとの事。
俺の実家は俺が出た時点で四匹の猫を飼っていたんだけど、
亡くなったのは一番長く飼っていた、俺が可愛がっていた猫。
名前は「みーちゃん」と言う。
301: 2008/08/23(土) 05:34:37 ID:YwUdmSF20(1)調 AAS
大丈夫かこっち?あげ
302: ゼロ ◆ZMEH0UITvg 2008/08/23(土) 05:44:40 ID:kgzb8S7sO携(5/7)調 AAS
2/4
みーちゃんは、茶虎の至って普通の猫で。
一緒に寝ようとしても、抱っこしようとしても
すぐに嫌がって逃げてしまう、そんな猫。
けど、意思の疎通?が出来た。
例えば。
俺が外から帰ってきて廊下を歩いていると、みーちゃんが脱衣場のドアの前にいる。
何か言いたげに上目遣いでこちらを見る。
そんな時、俺は
「みーちゃん、こっち行きたいの?」
と聞く。
するとみーちゃんはにゃあ、と鳴く。
ドアを開けるとみーちゃんは、一目散に脱衣場にある洗面器に飛び乗り、
また上目遣いでこちらを見るから、俺も
「みーちゃん、水飲みたいの?」
と聞くとにゃあ、とまた鳴くから、蛇口を捻り水を出してあげる。
そんな事がしょっちゅうあった。

とても可愛がっていた猫の死を聞いて、素直に泣いた。
死因は多分老衰?だったと聞いたが、俺が地元出る日も、変わらず水をあげていたのに。
きっと、俺が出ていくまで頑張ってくれていたんだと思う。
後日、火葬する際遺体から採取した毛を送ってもらい、
地元出る時に買っていたお守りに挟んで、それからの日々を送った。
303: ゼロ ◆ZMEH0UITvg 2008/08/23(土) 05:55:48 ID:kgzb8S7sO携(6/7)調 AAS
3/4
必死に仕事して私生活も徐々に安定してきた、
来て丁度一年後の2月1日、深夜の事だった。
その頃仕事内容が少し変わって、覚える事やる事が多くなり
職場と家の往復のみ、常にヘトヘトな毎日を送っていたから、
前日も帰ってきて夕飯を済ませ、軽く呑んですぐに床に着いた。
明日もまたハードな1日が待っている、そう思うと
気持ちが興奮してしまい、身体はとても疲れているのに、眠れなくなってしまった。
気が付けば既に日を跨いでいる。
もう少しお酒呑もうか?等と考えていると、
突然金縛りにあった。
金縛りってのは何回やっても怖いもので。
身体的な原因でなるものも、霊的な要因でなるものも
何回やっても怖い。
なってすぐ、今回はどっちだろうと考えながら、身体に力を込めて
いつも通りに金縛りを解除しようとした。
が、何故かその時は金縛りが解けなかった。
冷や汗が出る
304: ゼロ ◆ZMEH0UITvg 2008/08/23(土) 06:08:57 ID:kgzb8S7sO携(7/7)調 AAS
4/4
すると案の定、布団の上に何かがポトン、と音を立てて乗っかった。
位置は右足付近。
何かが覆い被さる(何故か老婆が多い)のは何回かあったけど、
今まで体験した事のない現象にかなりの恐怖を感じ…なかった。
初めての現象なのに、何故か恐怖を感じない。
逆に懐かしい感触だな、と思っていた。金縛り中に暢気な事だが。
布団の上に乗っかったそれは、人が金縛り中なのをいいことに、
布団の上をポンポンポンポン跳び跳ねる。
まるで自分の存在を気付かせる様な。
自分が来てやったんだ、みたいな。
金縛り中だから跳び跳ねるそれの姿を確認する事は出来ない。
身体は相変わらず動かないけど、辛うじて声は掠れながらも出る。
だから、泣きながら必死になって、
なるべく穏やかに、昔呼んでた様に一言だけ、呼んであげた。
「みーちゃん」

「にゃあ」
いつもの愛らしい鳴き声を残して、それの気配は消えた。

みーちゃんの、一周忌の日の話
305: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 06:10:08 ID:GdDf91KL0(21/31)調 AA×

306: ◆100mD2jqic 2008/08/23(土) 06:10:36 ID:0E6uFjYC0(9/10)調 AAS
『赤いワンピース』 1/2

もう10年以上前、バイトの同僚(当時30代)から聞いた話です。

彼女はその日友人と2人で、札幌近郊のとある山へ行っていたそうです。
山といっても小さな、一般人が気軽に山菜など採りに入れるような山ですが
短い夏を一斉に謳歌する北海道の植物達、その生命力をなめてはいけません。
ワッサワッサと生い茂る草を、木の枝葉を、避けながら引っ掛かりながら
山道をひぃこら進んでいた時のこと。

「?」
何か音が聞こえた気がした。
人の声のようにも思えたが、もしもヒグマの唸り声だったら…!
少々焦りながらそちらの方角を見遣ると、チラッと一瞬赤いものが見えた。
髪の長い女性のようだった気がする。赤いワンピースか何かを着た。
それにしてもすごい声だったな。あんな格好だし足もハイヒールみたいな、
山歩きには適さない靴だったのかもしれない。それでコケたのかも。
「ねぇねぇ、今の聞こえた?」友人に尋ねてみる。
「あーなんか聞こえたねー」
「見た?赤い服着た女の人っぽくなかった?」
「えー、何も見てないよー。女の人だったの?」
残念。あの派手な格好を話題にしようと思ったのに。
307: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 06:11:08 ID:GdDf91KL0(22/31)調 AA×

308: ◆100mD2jqic 2008/08/23(土) 06:11:25 ID:0E6uFjYC0(10/10)調 AAS
『赤いワンピース』 2/2

その後、他の人間の声を聞くことも、姿を見ることもなく、もちろん
ヒグマに出遭うこともなく、2人は無事何事もなく山を下りたそうです。

翌日。
朝のニュースを見ていた彼女は驚きました。
昨日行ったあの山で女性の焼死体が見付かった、と報じられているのです。

そういえばあの声は、最初ヒグマかと思ったほどすごい声だった。
ワンピースか何かだと思ったあの「赤い服」は本当に服だったか?
実はあの方角は崖などになっていて、だから声も姿も一瞬だったのでは?
いや、もしかしたらあの時あの女性は既に死んでいたのかもしれない。
だから友人には見えなかった−霊だったのではないだろうか。

「真相はわからないけどねー。今思い出してもゾワッとするよあの声」
そう語ってくれた彼女。

ですが私は、ちょっと怖い点に気付きました。
ニュース報道はあくまで『焼死体が発見された』と報じられていただけで
『焼身自殺の可能性』には触れていなかったのです。

もし、彼女の見た女性が、今まさに死んでいこうとしている瞬間だったなら。
その女性に火を放った人間が、同じ時間、同じ山の中…いや、それどころか
彼女達2人のすぐ近くにいた可能性が…。

【完】
309: マイペット 2008/08/23(土) 06:11:59 ID:w+kqgFi/0(1)調 AAS
「黒い物」

つい最近、祖母の家で母が金縛りにあったと言ってきた。
その金縛りというのは、体が動かなくなり、しばらくすると
お腹の上に黒い物が。のしかかってきて顔の中に、吸い込まれるように
入っていくというものだったといいます。

そして、次の日の朝母の顔が、殴られたようになっていました。
そして今までの事を、祖母に言うと、祖母もまったく同じ体験をしたこと
があるというのです。

どうしてこんな事が起こるのだろうと考えていたとき祖父の言っていた
言葉を思い出してゾッとしました。祖母の家の土地は、
むかいにある、お寺の土地の一部がはいっているのです。

母と祖母が体験した事は、お寺の祟りなのでしょうか?
それとも別の何かなのでしょうか?

深追いするのは怖いので本日はここで終わりにします。

【完】
310: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 06:14:13 ID:GdDf91KL0(23/31)調 AA×

311: 妖刀 ◆WslPJpzlnU 2008/08/23(土) 06:15:03 ID:LpkJzKar0(3/3)調 AAS
【ヒトダマ】

これは俺の爺さんが国民学校生だった頃に体験した話。

爺さんが子供の頃、俺が住んでいる所は藪と田んぼの田舎だったらしい。
そんで、爺さんが行ってた学校と自宅の間には墓があって、
爺さんその横を通って行き帰りしてたらしい。

そんなある日の夕暮れ、何時もの様に下校して墓の横を通った時、
墓石の上で何かがフワフワしていたらしいんだ。
「なんぞ?」と思ってじっと目を凝らして見るとどうやら何かが燃えている。
爺さん曰く「あれは間違いなく火の玉だった!」と。
で、ガキだった爺さんビビっちまって凝視したまま固まってた。
そしたらいきなり『ビュッッッーーーーーーーーーーーッッ』っと
空高く一直線にそれはもう刹那の速さで上昇していったそうだ。
それと同時に爺さん緊張が解けたのか全速力でヤブ道抜けて家まで帰ったらしい。

この話を話した後、
「いやぁ、アレには驚いた。
  多分、”ジン(字は解らない、だがリンではない)”が燃えてたんだろうな。
  今じゃ火葬ん時に一緒に燃えるが、昔は土葬やったからなぁ〜。」
ってのたまっておられましたよ。

                            [完]
312: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 06:16:15 ID:GdDf91KL0(24/31)調 AA×

313: テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU 2008/08/23(土) 06:16:25 ID:GW0lqxDt0(1)調 AAS
【聲(こえ)】

 私が高校生の頃の話。

 部室で、私の友人、後輩、いつも集まるメンバーで語り合っていました。

 私が帰り支度を始めた頃。後輩の一人が、携帯に留守番電話が入っている事に気付きました。
 何だろうと思いながら留守電を聞く後輩。すると突然
 「うおぉ怖えぇぇ!」
 そう言いながら、あわてて携帯を耳から話しました。

 「おい、どうした(笑)」
 私が聞くと、「先輩、怖いですよ(笑)!」そう言いながら、私に携帯を差し出してきました。

 私もその留守電を聞きました。留守電には…

 数秒の無音の後、子供の、小さな声で、
 「……おかぁさぁん……」

 ゾッとしました。

 悪戯か間違い電話だと、そう信じています…。

「完」
314: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 06:17:28 ID:GdDf91KL0(25/31)調 AA×

315: ◆grZCWCboXg 2008/08/23(土) 06:21:08 ID:/76O1pUN0(6/7)調 AAS
「磨りガラスに映る何か」1/2

父方の親戚の話です。

そこは、自分からすると判らない、祖母の妹の夫の母の…みたいな遠い親戚も
田舎独特のコミュニティに含まれているような土地柄。
昔ながらの山間の農村そのもので、幼い頃一度しか行った事は無いけれど
道端にある古い幟の立った祠を見て「八つ墓村みたいだなぁ」と思ったのは憶えている。
そんな中、70そこそこの女性の親戚(仮にAさん)が闘病の末に亡くなった。
良くある話だがその人は長男の嫁と折り合いが悪く、かなりやり合っていた事は
あまり近くない親戚の自分にも聞えてくる程だった。
亡くなる原因の病は胃の病で、死ぬ直前は殆ど何も食べられなかったらしい。

Aさんの通夜が終わり、葬式が済み、客が帰った後。
田舎の葬式だけに、やたらと人が多く来るので終わった後はぽっかりと
空洞のようにひっそりとするらしい。
山間だけに、夜中も街灯で明るいという事はなく
一歩家を出ると、都会暮らしには想像がつかないほど異様に暗い。

昔の家なので基本的に和室に障子で、家中の障子が
真ん中にグラデーション状の磨りガラスをはめ込んだ戸になっている。
茶の間と、昔ながらの板の間の台所は隣接していて
茶の間からガラス越しに台所が見えるそうだ。
316: 2008/08/23(土) 06:26:11 ID:/76O1pUN0(7/7)調 AAS
2/2

葬式というものは意外と家族はする事がなく、手持ち無沙汰になるものだが
そのお嫁さんも、夜に茶の間でぼーっとしていた。
すると、亡くなったAさんの部屋の方から、スーッ…スーッ…という
足袋の擦るような足音が聞えてきた。
嫁さんが台所の方を見ると、磨りガラス越しに髪を振り乱したAさんが
おひつの中から手掴みでご飯を食べている姿がおぼろげに見えたそうだ。
これは、一緒に居た親戚のおばさんにも同じものが見えたらしい。

周囲から聞く話だと、若い頃に散々Aさんと揉めていたお嫁さんは
Aさんが病を得て寝込んだ後に、その鬱憤を晴らすような行動をしていたらしい。
食べたくても食べられないAさんの前で、わざとご飯を食べる、といったような。
お嫁さんが見たAさんが本物だとして、お嫁さんに祟るより
台所のご飯を無心に食べていた、という行動が、何故か自分には非常に哀しく感じた。

【完】
317: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 06:27:32 ID:GdDf91KL0(26/31)調 AA×

318: グレゴリー ◆yNuURBcNkQ 2008/08/23(土) 06:27:52 ID:Dm5O7tk80(3/3)調 AAS
5階

友達の話なんだけど、そいつが住んでるのは4階建てのマンションの、405号室なんだ。
エレベータがないマンションで、部屋に帰るには階段を昇らなきゃならない。
一番上の階だから、そいつはいつも階段が終わるのを目印にして昇ってたんだって。
その日もいつもと同じように、階段を昇ってたんだそうだ。
階段が終わって、廊下を進んで、5番目の部屋の前について鍵を差し込んだ。
ところが、鍵が回らなかったんだそうだ。
確かに一番上まで昇ったはずなのに、おかしいなと思って部屋番号を確認したら、
505って書いてある。
そのマンションに5階なんてないのに。
怖いというより、妙な気分になって、何度も鍵を回そうとしたけどやっぱり回らない。
仕方がないから、階段を一階分だけ降りて、今度はちゃんと405号室の前に来た。
鍵を差して、まわすと、かちっと鍵の空く音がしたんだって。
ちゃんとドアも開いて、自分の部屋だった。
変だなって思ったけど、どうしようもないから、その日はそれで部屋に戻ったんだ。
次の日、仕事にいく前に階段を確認すると、階段は4階でちゃんと終わってたんだって。
5階に行ったのはそれっきりだそうだ。


319: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 06:28:42 ID:GdDf91KL0(27/31)調 AA×

320: 万夜 ◆NMnaoT1HrA 2008/08/23(土) 06:29:27 ID:Y5r+kRqz0(1/3)調 AAS
【ピンポンダッシュ】 1/3

ある夏休み、夜中にパソコンをしていて時計を見るとちょうど1時。
さあ寝るかと思い、立ち上がった瞬間『ピンポーン』とチャイムが鳴った。
背筋がゾクっとした。誰だってこんな深夜にチャイムが鳴ったら驚くだろう。
慌てて暖かい布団に頭から潜り込んだ。
しかし『ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン』となおもチャイムは鳴り響く。
最初は布団に篭りながら無視していたが、だんだん恐怖よりも怒りの感情のほうが大きくなっていった。
(うるせえよ) 心の中でそう呟きながらチャイムを鳴らしてる奴の顔を確認するため
居間の壁についている玄関モニターの前に行った。
このモニターは玄関付近から突き当たりのエレベーターまでを映すことができる。
(どんな奴なんだろ) モニターのスイッチを押すとエレベーターまでの廊下を含めた玄関付近が映し出された。

チャイムはまだ鳴り響いている。

だが玄関付近には誰もいない。

(え、なんで!?)と思ったのもつかの間、突如チャイムが鳴り止んだ。

静寂がモニターの前に立ち尽くす俺を包み込む。

数十秒ほどボーっとモニターの画面を見ていたその時、画面の中で変化が起きた。

俺の部屋(706号室)よりエレベーターよりの隣の部屋(705号室)のドアが勢いよく開けられたかと思うと
住人のおじさんが何か叫びながら出てきたのだ。そしてしばらくして不思議そうに辺りを見渡すとまた部屋に戻っていった。
この異様な光景を目の当たりにした俺は不思議に思いながらも結局睡魔には勝てず布団に戻り眠ってしまった。
321: 万夜 ◆NMnaoT1HrA 2008/08/23(土) 06:30:12 ID:Y5r+kRqz0(2/3)調 AAS
2/3

次の日、1階のエントランスホールで
昨夜モニター内で不審な様子を見せていた705号室のおじさんと管理人さんが深刻そうな顔で話しているのを見かけた。

「どうかしたんですか?」と事情を尋ねると、

おじさんは疲れた顔をしながら
「いやそれがな。 昨日夜1時ごろやったかな、寝ようと思ったんや。
そしたらチャイムが『ピンポンピンポンピンポンピンポン』うるさくてな。布団入っても寝られへんのや。
だから止めさせようと思って「誰じゃ五月蝿いわ!!」って叫んで玄関のドア開けたんや。
そしたらな誰もおらへんのや。辺り見回しても誰もおらへんからあれ?おかしいなーって思ってんけど。

その時、低い男の声でな。

『ゴンニヂハ』

って聞こえたと思うとすぐにエレベーターのほうに向かって
『ダダダダダダダダダダッ』って勢いよく走っていく足音が聞こえてん…。」

おじさんは誰もいないことを不思議に思いながらも、チャイムが止んだので布団で眠ってしまったのだが
今日になってだんだんと怖くなり管理人さんに相談したのだという。

「イタズラじゃないんですか?実は…」と俺も昨夜体験したことを話そうとすると

管理人さんはそれを遮り困ったような顔でこう言った。
322: 万夜 ◆NMnaoT1HrA 2008/08/23(土) 06:31:42 ID:Y5r+kRqz0(3/3)調 AAS
3/3

「実はねえ…昨夜の件だけど…苦情があったのは今Sさん(705号室のおじさん)が話してくれた1つだけじゃないんだよ」

(…え?)ドキっとした。

管理人さんは続けて言う。
「今朝方のことなんだけどこのマンションの1階から11階まで各階の住民達から苦情があったんだ。
チャイムが五月蝿い、変な声が聞こえる、どうにかしろってね。しかもどれも時刻は深夜1時前後…。」

事が起こったのは深夜1時前後らしい。ほとんどの住民は寝てる時間だ。
だけど偶然起きてる住民もいないことはないだろう。
現に俺だって起きていたんだから。
でも偶然起きているそれらの住民の部屋で偶然チャイムが鳴らされることなんていうことがあるのだろうか。
仮にもここはマンションだ。廊下からは部屋の中は判断しづらい。
だが起きていた住民達がチャイムを聞いていたということは…。

俺は心の中で結論付けた。

あの夜、1階から11階まで全ての部屋のチャイムが鳴らされたのだ。しかも深夜1時前後という僅かな間で。
姿が見えない何かの手によって。

おそらくあの晩、俺も勇気を出して玄関のドアを開けていたら聞いていたのだろう。

『ゴンニヂハ』という声を――。

―完―
323: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 06:32:24 ID:GdDf91KL0(28/31)調 AA×

324: ◆Nz6ToYHZIo 2008/08/23(土) 06:33:55 ID:DCy9E+TA0(1/4)調 AAS
第九十八話「鳩の話」1/4

友人が近所で聞いた話。

近所の公園の近くにある夫婦が住んでいた。

旦那は動物が好きだった。
公園にいる鳩に餌をあげることを日々、日課としていた。
妻は動物が嫌いだった。
旦那が公園にいる鳩に餌をあげることをあまりよく思ってなかった。

ある時、旦那が出張で一週間ほど家を空ける事になった。
仕方なく旦那は妻に公園の鳩に代わりに餌をやってくれるよう頼んだ。

妻は心の中では嫌だったが、旦那の頼みなので仕方なく引き受けた。
325: ◆Nz6ToYHZIo 2008/08/23(土) 06:34:41 ID:DCy9E+TA0(2/4)調 AAS
2/4

旦那が出張に行った初日、妻は群がる鳩に怖がりながらもきちんと餌をやった。
「ぽっぽー」と鳩は喜んだ。

次の日、動物嫌いと面倒臭さも手伝って妻は鳩に餌をやらなかった。
「ぽっぽー」と公園から聞こえたがあまり気にしなかった。

また次の日、餌をやっている人は他にもいるだろうと思い、妻は餌をやらなかった。
「ぽっぽー」と公園から聞こえ、悪いなとも思ったがすぐ忘れた。

また次の日、餌をやらなかった。
泣き声は聞こえなかった。その事も手伝って妻はすっかり気にも止めなかった。
326: ◆Nz6ToYHZIo 2008/08/23(土) 06:35:29 ID:DCy9E+TA0(3/4)調 AAS
3/4

また次の日、餌をやらなかった。
夜寝ている時に窓の外から「ぽっぽー」と聞こえた。
妻は寝ぼけながらも、まあいいやと思った。

旦那が戻る前の日、やはり餌をやらなかった。
妻が夜寝ている時にどこからか「ぽっぽー」と聞こえた。
妻はまた、まあいいやと思ったが、もう一度「ぽっぽー」と聞こえた。
自分の寝ている部屋の中からだった。足元のほう。

また「ぽっぽー」と聞こえた。妻の足に何か乗った。

また「ぽっぽー」と聞こえた。妻のふとももを何かが上ってきた。
自分が餌をやらなかったから鳩が仕返しにきたと思った。

また「ぽっぽー」と聞こえた。妻の下腹部に何かが上ってきた。
自分が餌をやらなかったから死んだ鳩が仕返しにきたと考え始めた。段々怖くなってきた。
327: ◆Nz6ToYHZIo 2008/08/23(土) 06:36:54 ID:DCy9E+TA0(4/4)調 AAS
4/4

また「ぽっぽー」と聞こえた。妻の腹部になにかが更に上ってきた。もう怖くて目をきつく閉じ開けられなかった。

また「ぽっぽー」と聞こえた。妻の胸に重みがかかった。やはり目を開けられなかった。

何かは更に上ってこようとしたので、妻は意を決して目をあけてみる事にした。
もう一度「ぽっぽー」と聞こえた瞬間勇気を振り絞って目を開けてみた。

すると、
そこには知らない男の頭部だけが自分をまじまじと見つめていた。

[完]
328: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 06:37:08 ID:GdDf91KL0(29/31)調 AA×

329: あさぎ ◆/OMy2/7irg 2008/08/23(土) 06:39:29 ID:v2yC3azOO携(1/3)調 AAS
第九十九話【かくれ鬼】
1/3
 
私がまだ小学校に上がったばかりの頃の話です。
その頃に住んでいたのは、漁村と農村が一緒になったような田舎でした。
今みたいにゲームとかネットとかもろくにない時代。
子供たちは自然の中で遊び回るのが普通でした。
ちょうど今頃の季節。
夏の終わりが近付いて、夕立の多い時期の事。
その日も私は二人の同世代の友達A・Bと一緒に、海辺の松林で戯れていました。
木登りをしたり、追い掛けっこをしたり、他愛もないお喋りをしたり…
その辺りは殆ど人の来ない、私たちだけの秘密基地みたいな場所。
だから、見慣れない女の子が松林の間から、じーっとこっちを窺っている事に気付いた時には、少し驚きました。
その子は同い年くらいで、大人しそうな雰囲気。
長いおさげ髪を結んでいたピンクのリボンが可愛いかったのを覚えています。
彼女は『マナ』と名乗り、夏休みで祖父の住むこの町に来たと言いました。
大人しいながらも気さくな少女で、歳も近かった私たちはすぐに仲良くなれました。
 
やがて話にも飽き、一緒に遊ぼうという流れに。
Bの提案で、かくれ鬼をする事になりました。
かくれ鬼というのは、かくれんぼに鬼ごっこが組み合わさったようなものです。
鬼が100数える間に他の参加者は隠れ、鬼がみんなを捜す。
かくれんぼは見付かった時点で負けになるが、かくれ鬼では見付けられた者が走って逃げる。
鬼がそれを追い掛けて、隠れていた者が鬼にタッチされたら負け。
今度は負けた者が次の鬼になり100を数え、鬼だった子は隠れる側に回る…そんな遊びです。
330: あさぎ ◆/OMy2/7irg 2008/08/23(土) 06:41:15 ID:v2yC3azOO携(2/3)調 AAS
2/3

まずジャンケンで負けたAが最初の鬼になり、かくれ鬼が始まりました。
でも、何度繰り返してもマナだけ見付かりません。
段々おかしいと思い始め、私とAとBは遊びを中断してマナを捜し始めました。
三人掛かりで捜すのだから、マナもすぐに見付かるはず。
…でも、いくら捜してもマナは見付からなかりませんでした。
あらかじめ決めてあった隠れる範囲を超えて捜しても、マナはいない。
軽く二時間は捜したと思います。
そうこうしているうちに雲行きが怪しくなり、激しい雷鳴と共に大粒の雨が降り出しました。
仕方なく私たちはマナに聞こえるように大声で叫びました。
「マナ、かくれ鬼おしまいだよ!雨降ってきたから私たち帰るよ!マナも早く帰りなー!」
二、三回繰り返しましたが、返事はありませんでした。
後ろ髪を引かれる気持ちはありましたが、私たちは帰宅する事に。
とはいえ慣れない土地で迷子になっているかも知れないマナを放ってはおけず、私たちはそれぞれの親にいきさつを話しました。
親たちはすぐに町内会の連絡網でマナがどこの家の子かを調べつつ、一方で現地の捜索に当たったようでした。
 
でも…マナは見付かりませんでした。
迷子のままという話ではなく、マナという子がどこの子なのかも不明だったのです…
 
4日後、私とAとBは親から『マナちゃんは帰ったよ』と伝えられました。
あの日はかくれ鬼の最中に雨が降り、みんな帰ったと思って帰宅した。
そして昨日、別の県にある自宅へ帰った、という話でした。
子供心にも何か腑に落ちない気はしたが、その件はそれで片付けられてしまいました。
もちろん、それは子供向けの方便。
実際にはマナは見付かっておらず、マナという子に心当たりのある人すら見付かっていなかったそうです。
親族などからの届出もなく、警察も通り一遍の捜索をしたのみ。
最終的には、私たちの狂言だったのではないかという話で片付けられてしまったそうです。
まぁ、そういう真相はかなり大人になってから母から聞いたのですが。
 
『マナ』とは、一体何者だったのでしょうか?
331: あさぎ ◆/OMy2/7irg 2008/08/23(土) 06:42:25 ID:v2yC3azOO携(3/3)調 AAS
3/3
 
時は流れて私は故郷を離れ、就職も無事済ませました。
すでにマナの事は記憶の彼方で埋もれてしまっていた…そんな頃。
GWに小学校の同窓会があるというので帰省した私は、その席で久々にAとBとの再開を果たしました。
そこで偶然マナの話題が出たのですが、Bが怯えたような顔になり、急に「この話やめようよ」と言い出したのです。
理由が分からず、私とAはどういう事かとBを問い詰めました。
渋々ながら話し始めたBが言うには、『マナが来た』らしいのです。
 
Bが高校生の頃、あの日と同じような夕立の午後に部屋でうたた寝をしていたところ、金縛りに。
すると、ぴちゃぴちゃという足音が段々近付いてきて、ひどく冷たい小さな子供の手がBの肩を掴んだそうです。
薄目を開けると、そこにはあの日のマナがBの顔を覗き込んでいて、
「 B ち ゃ ん 見 ぃ 付 け た 」
と言った、と…。
「悪い冗談やめてよー」と笑い飛ばしたAに、Bは真剣な顔で首を振りました。
「本当の話だよ。それに…次はAちゃん、って言ってたんだから」
これにはさすがのAも顔をこわばらせました。
Bはそれから私に向き直り、「その次は多分あんただよ」と言い放ちました。
固まる私の肩をぽんぽんと叩きつつ、Aは無理矢理に笑い飛ばしながら否定の言葉を探しました。
「でもさぁ、かくれ鬼はタッチされた人が次の鬼になるルールじゃん。マナが次も鬼って変じゃない?だからないよ、私んとことか来ないって!」
でも…かくれ鬼のルールとか関係なく、マナはただかくれ鬼の形式を使って私たちの所へ来ようとしているだけなんじゃないだろうか…
多分、三人とも同じ事を考えていたと思います。
でも、その場は「そうだよねー」などと無理矢理笑い飛ばしました。
深刻に考えれば考えるほど怖かったから。
 
その年の夏の終わりに、Aからメールが来ました。
「マナが来た。Bの話は本当だった。」
ピンクのリボンを飾ったおさげ髪の少女は、次に私の所へ来ると言ったそうです。
あれから二年が経ちますが、マナはまだ私の所へは来ていません。
この時期、夕立が降るたびに私は怯えているのです…   【完】
332: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 06:43:37 ID:GdDf91KL0(30/31)調 AA×

333: ジジイ ◆c7mNR5EDjs 2008/08/23(土) 06:44:51 ID:Y1DvZzAH0(1/4)調 AAS
1/4

第百話 「 家 」

あまり大きな声では言えないことですが、私の実家の下は墓場でした。
墓場と言ってもみなさんが思う墓場ではなく、古墳でした。
家を建てる時に、土台を作るために掘り起こし気づいたのですが、
勾玉や鏃(ヤジリ)、土偶などたくさんの古代の物品が掘り出されました。
通常、古墳などが出土してしまった場合は、市や県などにその旨を伝え
研究的な事柄も含めて、しっかり調査などされた後に家を建てられる、
もしくは、重要なものであれば代替の土地へ移動させられる…ということらしいのですが
うちの両親は、そんなことしていたらいつまで経っても家が建たない!ということで
出土した物はとりあえず自分たちで保管して、出てきた古墳は埋め立て
そのまま家を建ててしまいました…。

そんな事もあり多少の遅れはありましたが工事も無事に終わり家が建ちました。
そして、私たち家族はその家へ引越し住むことになりました。
334: ジジイ ◆c7mNR5EDjs 2008/08/23(土) 06:46:34 ID:Y1DvZzAH0(2/4)調 AAS
2/4

やはり新築の家はとても快適でした。
私にも念願の自分の部屋ができ、当時中学生だった私は本当に上機嫌でした。
長男だった私は、6畳出窓付きの二階角部屋クローゼット有りという家の中でも
一番いい場所を自分の部屋として使うことを許され、当時本当に喜びました。

しかし、住み始めてすぐ私は毎夜金縛りに合う様になりました。
金縛りという現象はしっていましたが、聞くと体験するでは大違いです。
姿は見えない誰かが、いつも自分の寝ているベッドの周りで苦しそうな咳払いをし、
うめいているのです。
うぅうぅぅぅ…うぅうぅぅぅ…。ゴホゴホッ!うぅうぅぅぅ…うぅうぅぅぅ……。

数日我慢してはみたものの怖くて堪らなくなった私は思い切って
両親にそのことを話しました。
しかし、両親はそんなこと歯牙にもかけず、寝ぼけて夢をみたんだろ?の一点張りでした。
私の訴えはあっさり流され、私はその夜も自分の部屋に寝なければならない…と
思うと怖くて怖くて、本当にイヤだと訴えました。
すると、父が「なら、一階の客間に布団をしいて勝手に寝ろ」という案を出してくれたので
私はもう渡りに舟でその案に飛びつきました。
そしてその夜は和室の客間に布団を敷いて寝ることになったのです。
まさかその部屋で起こることの方がより恐怖であるとは、その時はまったく思いもせずに…。
335: ジジイ ◆c7mNR5EDjs 2008/08/23(土) 06:47:27 ID:Y1DvZzAH0(3/4)調 AAS
3/4

和室の客間は十数畳という広さで、そこに布団を敷いて一人で寝てみると
さすがにちょっと怖い感じはしましたが、あんな化け物が出る部屋で寝るよりは
全然マシ!と私は一人そこに寝ました。

夜…。私はふいにガタガタいう物音で目が覚めました。
もう目が覚めた瞬間にわかりました。
また金縛りです。
そして、私が寝ているすぐ横2メートルくらいにある襖(ふすま)が中からガタガタ揺れているのです。
「あぁぁぁぁぁ…」と思いましたが、動くことも出来ず、目を背けることも出来ず
私はその襖をただ目を見開いてみていました。
すると、襖は激しくガタガタガタガタ言いながら少しずつ開いていきます。
そして、襖が半分くらい開いた時でしょうか…。
中から、にゅっと指が出てきて開いている襖の端を掴みました。
そしてその手はゆっくりと襖を開いていきます。
襖からその襖を開けている何かの顔が少しずつ覗いてきます。
バサバサの髪の毛、頭、片目、鼻…。
私はあまりの恐怖に本気でジタバタして、「うわああああああああ」と叫びました。
声が出ました。
と、同時に金縛りも解けて私は布団から跳ね起きました。
私が自分の布団の上で呆然と立ち尽くしてると、
私の声を聞いた家族が私の寝ている客間へ殺到しました。
私は今見たありのままを話しました。
ですが、もちろん信じてもらえませんでした…。
336: ジジイ ◆c7mNR5EDjs 2008/08/23(土) 06:48:28 ID:Y1DvZzAH0(4/4)調 AAS
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次の日から私は歩いて500メートルくらいの距離にある祖父母の家に泊まる事になりました。

すると、詳細は省きますが、私が祖父母の家に泊まりだして一週間もしないうちに
家族全員が奇怪な体験をし、しっかりとしたお払いを受ける事になりました。
家族、家、土地をお払いをし、庭にお社みたいな物を作り、
私たちは私たちの前にその土地に眠っていた何かを祀りました。
そして…それ以降、目立った奇怪な出来事は一切起こっていません…。

…ですが、今でも雨が降ると玄関から二階の私の部屋の前まで
びしょびしょに濡れた何かが歩いて来た様な水が滴り続けています。
家族は誰も、何も、言いません。
ですが、確かに今でも何かが家にいるのです。

【…完?】
337: 暫定まとめ人 ◆eR7epxUUIM 2008/08/23(土) 06:49:25 ID:GdDf91KL0(31/31)調 AA×

338: 2008/08/27(水) 00:07:13 ID:fp8ggam80(1)調 AAS
みんなおつかれ〜
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スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ

ぬこの手 ぬこTOP 0.351s*