[過去ログ] 興行収入を見守るスレ6025 (1002レス)
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462: (福岡県) (ワッチョイ 6917-D0vN [124.159.147.146]) 2023/02/12(日) 22:03:25.62 ID:QIHSKdzd0(59/198)調 AAS
 僕は麻里亜の背中を拳で小さく叩いた。

「何で? 父上は? どうして、父上は僕を助けに来ないんだ!?」

 僕は大声を出したせいで息が乱れた。

 いつもそうだ。

 父上は仕事で忙しく、いつも家にいない。

 たまに父上が家に帰ったと思ったら、すぐに仕事で家を出る。

 麻里亜が僕の面倒を見てくれていた。

 麻里亜に父上の仕事を訊いても答えてくれなかった。

 父上に会いたい。

 僕は動揺して目がさざ波の様に揺れている。

 麻里亜は僕を背負い直した。

「リアン様は、他の任務に就いております。ここに閉じ込められている人たちは、リアン様が救出します。安心してください」

 麻里亜は何事も無かったように歩き出す。
463: (福岡県) (ワッチョイ 6917-D0vN [124.159.147.146]) 2023/02/12(日) 22:03:40.18 ID:QIHSKdzd0(60/198)調 AAS
 僕は麻里亜に呆れてため息を零す。

「麻里亜なら、僕をわかってくれると思ってた。もういいよ。僕一人で閉じ込められてる子を助ける。僕を下ろしてよ」

 僕は必死に両手でぽかぽかと麻里亜の背中を叩いた。

 その時、階段から手りゅう弾がゴロゴロと転がり落ちてきた。

 麻里亜は咄嗟にすぐ側の階段手前の音がした鉄扉を蹴破り、中に駆け込んだ。

 次の瞬間、手りゅう弾が爆発。僕たちが逃げ込んだ監禁室に爆風が舞い込む。

 麻里亜の身体が爆風で浮き上がり、麻里亜の身体が反って爆風で吹っ飛ぶ。

 僕は怖くなって、思わず目を瞑る。

 爆風で振り落とされないように、僕は両手で麻里亜の背中を握り締める。
464: (福岡県) (ワッチョイ 6917-D0vN [124.159.147.146]) 2023/02/12(日) 22:03:50.40 ID:QIHSKdzd0(61/198)調 AAS
 僕の鼓動が高まり、緊張で息が荒くなる。

 僕はそっと眼を開け、部屋をゆっくりと見回す。

 部屋は壁際にベッドが置いてあるだけの殺風景な部屋だった。

 確かにこの部屋から音がしたんだけど、何故か誰もいない。

 変だな。僕は不思議に思い首を傾げる。

 でも、今は麻里亜が心配だ。

 麻里亜の左肩越しを覗くと、麻里亜の左手が伸び、麻里亜は壁に左手の掌を突いていた。

 麻里亜の掌の周りに、蜘蛛の巣の様に罅割れている。爆風の凄まじさを物語る。

 僕は恐る恐る麻里亜の横顔を覗くと、麻里亜は無表情で紅い眼を見開いている。

 僕は麻里亜が心配で生唾を飲み込み喉を鳴らす。

「麻里亜、大丈夫?」

 僕は麻里亜の無表情の横顔に声を掛けてみた。
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