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797: 2015/10/29(木) 13:16:05.23 ID:fMzjmdyB0(1/20)調 AAS
総員戦闘配置!戦闘配置!
これより波状攻撃を本スレに開始する!
第一波飛行隊爆撃開始!
波状攻撃開始後艦砲射撃援護の元上陸開始!
突然見知らぬ学友に話しかけられ、今度は冬馬が泡を食う。
「え、ええ?」
かまわず千晶は続ける。
「ひょっとして、今の舞台見ていた? ごめんごめん、全然気付かなかった」
そういう千晶の顔は悪戯を見つけられた少年のものだった。だが、その目はひそかにかずさの反応を注意深く見ている。
「あ、いや、今日は別件で…」
その答えを聞き、千晶は軽い舌うちとともにぼやいた。
「やっぱりか…、ちぇ。春希も雪菜もチケット渡したのに見に来なかったし…」
そのつぶやきは誰にも聞きとれないほど小さかった。しかし、ピアニストであるかずさの耳にははっきりと聞こえた。
798: 2015/10/29(木) 13:24:41.29 ID:fMzjmdyB0(2/20)調 AAS
「パパっ!」
俺とかずさの家が見えなくなって雪菜を振り切るように歩きかけたその時に、その声は聞こえた。
同時に、胸元へとドンっとぶつかる音と衝撃。
「パパッ!」
おいおい、俺がパパって。俺は、神様に親になる事が許されなかった人間だっていうのに。
抱きしめ、涙すら流している目の前の少女。
そこには、栗色と黒の中間という欧州では珍しい髪の色。
目の前の少女には悪いけど、きちんと親の元に帰さないと。
ぐいっと、引き離して女の子の顔を見る。
顔立ちはやはりこちらでは珍しいアジア系の顔。それも、顔立ちと服装から日本人の子供。
俺から離れるのがよほど嫌なのか、イヤイヤと首を振って力いっぱい近づいてくる女の子。
顔立ちは、誰だろう。何故だか、嫌な予感が止まらない。あぁ、そうだ、そうだ。雪菜の家で見た、小さいころの雪菜に、よく…………似ている。
「私の、子供だよ」
何時の間に泣き止んだのか。いつのまに降りてきたのか。後ろの方で赤い眼をしてそう断言する雪菜の顔がよく見えない。
馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な!
「私と、春希君の子供、だよ」
目の前の子供は十歳ぐらい。確かに、それなら辻褄が合う。かずさの手を取るまでは当たり前のように体を重ね合っていた。安全日も考えてはいたが、その日は付けていなかった。
「あ゛ぁあ゛あ」
声が出ない。
そうか。そうか、そうか。そうかっ! そういう事かよ、神様。俺とかずさの子が出来なかったのは、俺に、雪菜との子供がいるから!
799: 2015/10/29(木) 13:31:47.85 ID:fMzjmdyB0(3/20)調 AA×
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800: 2015/10/29(木) 13:36:37.41 ID:fMzjmdyB0(4/20)調 AAS
そんなこんなのうちに一週間はみるみる過ぎ、六日目。午後六時。
俺たちの前には、いつもより余裕をもって完成した楽譜があった。
春希「本番前日に完成して『余裕をもって』って……」
かずさ「お前がなかなか歌詞を作らないからだろ馬鹿」
春希「う……、ぐう」
かずさ「ぐうの音は出すな!」
雪菜「でもやっぱりすごいよねぇっ。これで何曲目だっけ? メロディが思い浮かばなくなることとかないの?」
かずさ「ま、まぁ、あたしくらいになると言葉を見ながらピアノに触れてるとさ、湧いてくるんだよ」
雪菜「へぇ〜! かずさかっこいい!」
かずさ「そ、そう、かな。別にそんな、難しいことじゃない……」
雪菜「仮に難しいことじゃないとしても、それを何度も何度もやってこんなにいいもの創れるのは才能だよ!」
かずさ「そ……そ、かな」
春希「素人に褒められてテレるなよ、プロ」
かずさ「……。雪菜、ごめん。春希には特別コースを受けてもらうことになったから。
明日以降、春希が廃人になっても恨まないで」
雪菜「ううん、びしばししごいてあげて。わたしはたとえ春希くんが廃人になっても、ずっと愛してるから。
だから安心してね、春希くん」
春希「もっと別の状況で聞きたかったよ、その言葉」
今生の別れのように正面から抱きついてくる雪菜。
俺はその柔らかい肢体をしっかりと受け止める。両手を彼女の腰に回し、至近距離から見つめ合う。
雪菜が蟲惑的な双丘を押し付けてくる。ふわっとほんのり甘い匂いが鼻腔をくすぐった。
かずさ「んんっ、ごほん」
雪菜が上目遣いで見上げてきて、甘えるように微笑した。そして瞼が伏せられ、顔が斜め上に向けられる。
俺はゆっくりと唇を近づけ、躊躇うことなく雪菜の心に触れた。
雪菜「んっ……ふ、ぅ……んぅ……ちゅ、ちゅ……」
優しく表面をすくうように。
時間にして数秒。俺が何かに―ーいや、かずさに遠慮して唇を離すと、雪菜は俺の胸に顔を埋めた。
雪菜「いってらっしゃい、春希くん」
春希「……どこにだよ。同じ部屋で練習するんだろ」
雪菜「すぐそこにある戦場に、だよ」
雪菜が顔を埋めたまま腕だけで示す。その先には、少し顔を赤くしたかずさが鬼の形相で立っていた。
◆◆
801: 2015/10/29(木) 13:40:36.84 ID:fMzjmdyB0(5/20)調 AA×
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802: 2015/10/29(木) 13:56:29.96 ID:fMzjmdyB0(6/20)調 AA×
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803: 2015/10/29(木) 14:03:18.20 ID:fMzjmdyB0(7/20)調 AAS
そんなこんなのうちに一週間はみるみる過ぎ、六日目。午後六時。
俺たちの前には、いつもより余裕をもって完成した楽譜があった。
春希「本番前日に完成して『余裕をもって』って……」
かずさ「お前がなかなか歌詞を作らないからだろ馬鹿」
春希「う……、ぐう」
かずさ「ぐうの音は出すな!」
雪菜「でもやっぱりすごいよねぇっ。これで何曲目だっけ? メロディが思い浮かばなくなることとかないの?」
かずさ「ま、まぁ、あたしくらいになると言葉を見ながらピアノに触れてるとさ、湧いてくるんだよ」
雪菜「へぇ〜! かずさかっこいい!」
かずさ「そ、そう、かな。別にそんな、難しいことじゃない……」
雪菜「仮に難しいことじゃないとしても、それを何度も何度もやってこんなにいいもの創れるのは才能だよ!」
かずさ「そ……そ、かな」
春希「素人に褒められてテレるなよ、プロ」
かずさ「……。雪菜、ごめん。春希には特別コースを受けてもらうことになったから。
明日以降、春希が廃人になっても恨まないで」
雪菜「ううん、びしばししごいてあげて。わたしはたとえ春希くんが廃人になっても、ずっと愛してるから。
だから安心してね、春希くん」
春希「もっと別の状況で聞きたかったよ、その言葉」
今生の別れのように正面から抱きついてくる雪菜。
俺はその柔らかい肢体をしっかりと受け止める。両手を彼女の腰に回し、至近距離から見つめ合う。
雪菜が蟲惑的な双丘を押し付けてくる。ふわっとほんのり甘い匂いが鼻腔をくすぐった。
かずさ「んんっ、ごほん」
雪菜が上目遣いで見上げてきて、甘えるように微笑した。そして瞼が伏せられ、顔が斜め上に向けられる。
俺はゆっくりと唇を近づけ、躊躇うことなく雪菜の心に触れた。
804: 2015/10/29(木) 14:08:30.95 ID:fMzjmdyB0(8/20)調 AAS
「お疲れさまでした」
夏公演に向けての舞台練習も佳境に入った劇団ウァトス。
その日も長時間の練習を終えて、ようやく解散の挨拶がホールに響いた。
外気温より暑い練習ホールを我先に抜けようと劇団員達が素早く身支度を整える。
「おつかれー、おつかれー」
結局、冬公演は当初予定していたラブストーリーの内容を変更して行われた。
突然の変更にもかかわらず観客からは一定の評価を得て、ウァトスの名声は更に高まる事となった。
しかしそれ以上に高まったのが脚本兼主演女優・瀬之内晶の内外からの評価であった。
今まで乏しいとも言われていた愛情表現が脚本、演技ともに緻密で繊細となり、より多くの人を魅了していた。
「姫、ちょっといいか」
そんな瀬之内晶こと和泉千晶に帰り際、団長が声をかける。
「何、私も早くここから出たいんだけど」
「いや、前にも言ったんだがやっぱ冬に書いてた本はまだ表に出せないのか」
「それこそ前にもいったじゃん、あれは未完だって」
その内容は冬に本来公演するはずだった作品のこと。
千晶は構わず帰る準備をしながら不機嫌そうに答えるが、団長も食い下がる。
「そうは言うけどあんなに熱心に取り組んでいたのに今は目も向けないだろ」
「この糞暑いなか冬の物語なんて書けるわけないじゃん。また寒くなったら取り組むよ」
「もちろん今やっているものが悪いっていうわけじゃないんだ。冬に公演したものも好評だったし、間違いなく成長している」
「…」
「ただ俺は姫の一番のファンだと自負している。だからこそあんな無茶な役作りまでしたあの作品がこのまま陽の目を見ないっていうのは…」
「それ以上言わないで。これ以上言うと私、降りるよ」
不機嫌を越えて怒りの表情まで出す千晶。
805: 2015/10/29(木) 14:11:31.01 ID:fMzjmdyB0(9/20)調 AAS
「…雪菜って意外と意地が悪いね」
「やっぱりそうだったんだ。間違ってたらどうしようかと思った」
「…おまけに役者だ」
おどけて返す雪菜に、参ったとばかりに質問を投げ返す。
「どうやって私のことを知った?」
「…春希君が全部教えてくれた。千晶さんのことも、二人の間であったことも全部」
「相変わらず度を越す真面目だな、春希は」
「私、以前から千晶さんのこと知ってたんだ。春希君のそばにいつもいる女性、いることができる女性。それが凄く羨ましくて、眩しくて、はっきり目を向けることができなかった。
だからコンパで会ってからも気づかなかった。でも春希君に全部打ち明けられてた時にはすぐわかったよ。晶子さんが千晶さんだって」
「で、どうするの。ひっぱたく?よくも騙したわねって。それとも勝ち誇りに来たの?あなたが寝取った男は自分の元に帰ってきたって」
「ううん、まさか。さっきも言ったけど春希君を立ち直らしてくれたのは千晶さんだもん。千晶さんがいなければ今の関係だって築けなかった。
むしろ感謝しているぐらいだよ」
笑顔でそう答える雪菜に器の違いを見せつけられたようで千晶はカチンとくる。
「ふーん、そこまでいうなら教えてあげる。どうして私が春希や雪菜に近づいたか。何もかも全部」
そして今度は私の番とばかりにすべてを話す、少し自分を悪女に脚色して。
「そっか、私たちの劇を…」
「どう、怒った?むかついた?でもこれが本当の私。演劇のためならなんだって犠牲にできる」
興奮気味に語る千晶だったが、雪菜は平静に受け止めていた。
「ふーん、でも結局どうしてその劇をやらなかったの。私を騙して春希君を騙して作ったその劇を」
「…それは、それはまだ完成していないから。何年の準備してきたのに、中途半端な形では世にだせない」
「でも完成の見通しがたったから春希君から離れたんじゃないの。もし不完全だったならまた私達の前に姿を見せればよかったのに。
完成には私たちが必要でしょ。少なくとも春希君はさっきの話を全く知らないわけだし、暖かく迎えてくれたと思うよ」
あなたならわかるでしょとばかりに雪菜は話す。
「私が思うに実は完成してるんじゃないかな。でも演じるわけにはいかなかった。なぜなら幕が引くと同時に終わってしまうから。
千晶さんが傾けてきた情熱が、想いが、そして春希君との関係が」
「さっき聞いた話だけでわかる、千晶さんが私たちのことをどれだけ気にかけてきたか。そして春希くんのことをどれだけ愛しているか。
そばにいるために春希くんが求めている女性を演じた?傷ついて帰ってきたから優しく癒してあげた?春希くんの周りは振り回して傷つけるばかりだったものね。
劇のために抱かれた?主役を愛する女を演じるために?悪いけど私は春希くんに抱かれたことはないよ。それでも私を演じることができるの?」
「あなたは劇の終幕より春希君との絆を選んだんだよ。劇が終わったのに、そのモチーフを想いつづけるなんてあなたにとってはおかしいから。
演じ終わらない限りあなたは春希君のことを想い続けられる。すべては春希くんの…」
「やめて!もういい!」
806: 2015/10/29(木) 14:14:36.45 ID:fMzjmdyB0(10/20)調 AA×
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807: 2015/10/29(木) 14:18:07.42 ID:fMzjmdyB0(11/20)調 AA×
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808: 2015/10/29(木) 14:21:19.92 ID:fMzjmdyB0(12/20)調 AA×
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809: 2015/10/29(木) 14:23:33.71 ID:fMzjmdyB0(13/20)調 AAS
「雪菜」
「おかあさん・・・あ、ドア開けないで・・・」
「手紙ね、持ってきてあげたわ・・・ドアの前に置いておくからね」
「うん、わかった、おかあさん・・・ありがとう・・・」
「母さん、姉ちゃん甘やかせすぎだよ、そのぉ・・弟の方も甘やかして欲しいんだけど・・・ できればギター買ってくれると・・・嬉しいかなっ?・・・」
『雪菜・・・また泣いてるのね・・・・・・』
「母さん聞いてる??」
雪菜は嗚咽を納めて、そっと部屋の扉を開き、不安ながらかずさの手紙を開く。
封筒の裏には、小さめだけど同じ大きさのきっちりとした文字で「冬馬かずさ」と差出人の名前・・・
中には、数枚の手紙とボイスレコーダーと「冬馬かずさリサイタル」のチケットが入っていた。
雪菜、久しぶり。
手紙を雪菜に書くのは初めてだよな
本当は、会って話しをしなくてはいけない事だけど
雪菜に会うわけにはいかないからこうして手紙で失礼する。
雪菜に悪いとは思ってる、密着取材で春希をずっと借りている、
と言うか、借りてた。
でも、今度のコンサートがが終わったら、春希を雪菜に返すから・・・
すごく自分勝手で、我が儘な言いぐさって事はわかってる。
その間、雪菜を苦しめて辛い思いをさせてしまった事も、その間、春希を苦しめてたこともわかっている。
5年前にあたしは春希をあきらめて、雪菜に譲った
そして、日本から離れた・・・
それが3人のために一番いい方法だって思ったからそうした。
その間、二人の辛く苦しい想いをして乗り越えた3年間こと、その後の2年間の事、
雪菜と春希との間に何があって、どんなに愛し合ってたかって事も春希から聞いた。
この話は、同封のボイスレコーダーに録音してあるから聞いて欲しい。
これは、取材中のあたしから逆取材で、春希に語らせた。
春希の雪菜に対する気持ちが、込められてる。
本当は、悔しくって雪菜に聞かせたくはなかったんだけどな。
あたしは、その話を聞きながら二人の想いの深さを知った、でもその二人の想いがわか ればわかる程、正直、雪菜を妬んだ。
だって、あたしにはその5年間、春希の思い出しかなかった、その思い出だけを拠り所にするしかなかったから、
雪菜が辛く苦しい思いをしてたとはいえ、春希との歴史を紡いでいた事が本当に羨ましくて、悔しくて、妬ましかった。
あたしにとって偶然とは言え、クリスマスイブの夜、ストラスブールで春希と再会した事、
ううん、偶然じゃないな・・・・
あたしの知らないところでの、母、曜子の策略なんだけどな。
でも、あの時、あたしは春希を見つけて嬉しかった、心が震えた・・・
思い出だけだった春希が、目の前にいる、声が聞ける、あたしの手の届くところにいる 。
声をかけてはいけないと思いながらも、つい嬉しくて春希の名前を呼んでしまった。
春希は、あたしのことを「冬馬」と名前ではなく名字で呼んだ。
それで雪菜と一緒にストラスブールにいるんだってわかってしまった。
あの時、春希は、あたしと決別をしてたんだってわかってしまった。
そのあたりの事は春希から聞いてると思うから詳しくは書かないけど、
今に思えば、あの時声をかけなければよかった。もしくは、あたしが雪菜に会いたいと言えば、
今の雪菜の苦しみは無かったと思う、本当にごめん。
その後、日本公演も決まりあたしは日本に来てしまった。
わたしは、今回のリサイタルの演奏を、春希と雪菜に聴かせて、春希のことを吹っ切り
二人を祝福し、日本を最後とするつもりだったんだけどな。
でも、これも曜子の策略もあり、結果、密着取材と言う名を借りて春希を拘束してしまった。
810: 2015/10/29(木) 14:26:47.03 ID:fMzjmdyB0(14/20)調 AA×
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811: 2015/10/29(木) 14:35:45.35 ID:fMzjmdyB0(15/20)調 AAS
さてここで問題自分は誰の信者でしょう少なくともWA2のファンだよ
小春 麻里 千晶 かずさ 亜子 小百合 矢田 友近 依緒 朋
答えはwebで
それくらい、いいよね?
それくらいは、ご褒美で、いいよね?
お願いだよ…。
だって、わたしはこれから、強くならなくちゃ。
あなたよりもずっと強く、ならなくちゃ。
あなたの、いないところで。
あの子のいないところで。
あなたたちと一緒にいさせてもらうために。
…あなたたちを許すために。
大変なんだよ?あなたたちよりもずっと、大変なんだよ?
わたしの周りには、大切なものがたくさんあるけど。
でも、やっぱりあなたたちには、敵わないんだから。
…われながら、酷いこといってると思うけど。
でも、やっぱりそれは、ほんとうのことだから。
だから、血を吐く覚悟で。
この、動かない足をひっぱたいて。
この、流れる涙を飲み込んで、消化して。
いつかまた、邪魔してあげる。
あなたたちの世界を、掻き乱してあげる。
そして、できることなら、それが必要なことなら。
悲しみを取り払ってあげる。
だから
だから―――許して。
私の知らない、世界で一番、ひどいひと。
私の愛する、不倶戴天の、恋敵。
812: 2015/10/29(木) 14:36:56.62 ID:fMzjmdyB0(16/20)調 AA×
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813: 2015/10/29(木) 14:38:01.48 ID:fMzjmdyB0(17/20)調 AAS
「…原!北原!」
「あ、来た。麻理さん~!」
「はぁ、はぁ、…は、ふぅ、はぁ…遅くなって、その、はぁ…は、悪かった!」
「いやそんなのいいですよ。まずは息整えてください」
「本当に、久しぶりなのに、どうしてもやっておかないと、駄目な仕事が、できてしまって。ふぅぅ…」
出版社からここまで走ってきたのか。見られたくないからって結構離れた場所で会ってるのに。…ヒールなのに
携帯で連絡すればいいのに。…そこまで思い付かないのが麻理さんらしいような、らしくないような
「そんなに急がなくてもよかったのに…」
「だって…会いたかったよ。…少しでも早く。北原は、違うのか?」
「そんなわけないじゃないですか。俺も会いたかったですよ、麻理さん」
「北原ぁ…本当に、遅くなってごめんな?」
本当、可愛いな、この人は
「大丈夫ですってば。あんまり気にしないでください。…時間の方は」
だから、つい意地悪したくなるんだ。
「時間の方は、って?…あ」
「約束、しましたよね」
「いや、でもここアメリカじゃないし…。苗字で呼ぶのが普通だし…誰かに聞かれたら、その、恥ずかしいじゃないか」
「麻理さん」
「う…」
「約束、しましたよね」
「分かった、分かったよ!………春希」
「はい、よくできました」
「うぅぅ、仕事場で名前呼んでしまったらどうするんだ…」
ここまで漕ぎ着けるのに本当に苦労したんだ。思い出すだけでも赤面しちゃうような歯の浮くような台詞の数々…
もう一度やれと言ったら絶対無理だ。その分二人の時くらいはいつでも呼んでもらわないと
後麻理さん、名前で呼ぼうが苗字で呼ぼうが佐和子さん経由で少なくとも鈴木さんにはバレてますよ、もう
「こほん!とにかく、久しぶりに会ったんだ。…二人きりで、ゆっくり過ごしたいよ」
「はい…麻理さん」
814: 2015/10/29(木) 14:40:35.20 ID:fMzjmdyB0(18/20)調 AAS
□ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇
11月31日――――
千晶 「……………………………」
春希 「?おい、千晶、どうしたんだよ」
春希が怪訝そうに見つめてくる。…こいつは、今の発言を自分で理解しないのかなあ。…してないんだろうなあ、春希だし。
春希 「?なんかよくわからん反応だなあ。とにかく、12月17日からヨーロッパに出張することになったから。ちゃんと、自分の世話は自分でみろよ?」
千晶 「……………………………そう。」
春希 「…なんだよ。急にテンション落として。…イブに一緒にいられないのは、本当に悪かったよ。でも、それにこだわるお前でもないだろ?
滞在も一週間くらいだし」
千晶 「…その認識も、すっっごく間違えてるけど…。…いいや。これから、少なくとも数時間は話しかけないで。もう寝てていいから」
春希 「…なんだよ…。…いや、ま、いいけど。お前のきまぐれには慣れてるし、今回は俺が悪いしな。…帰ってきたら、どっか旅行にでも、いこうな」
あたしは、ベッドの上で、春希に背を向ける。
春樹の昼行灯ぶりに、本気でイライラしたけど。
今はそんな感情は不要だった。
―さあ、「入ろう」か。普段は「切り替える」だけだけど、今回は、それじゃ足りない。
プロのオーディションなんか目じゃないくらいの、今生の舞台をやるくらいの心境で。
…考えすぎと思わないでもないけど。
でも、「運命の綾」がもしあれば。
しかも、多分そんなたいした「運命の綾」でなくていい。
815: 2015/10/29(木) 14:44:37.57 ID:fMzjmdyB0(19/20)調 AAS
誰の信者か当てるまで頑張ってくれ
そろそろ第一波攻撃を終了する
第二波攻撃準備開始!
以下第二波攻撃はSS製作者並びに愉快犯コピペ人に任せた
健闘を祈る!
816: 2015/10/29(木) 14:47:58.22 ID:fMzjmdyB0(20/20)調 AAS
では最後に艦上攻撃
「まぁ、それはともかくだな。場所は地中海クルーズの豪華客船の中での演奏だ。10日間で3回。仕事が終わったら、二人でバカンスを過ごそう?」
俺だって、せっかくのバカンスの時期に仕事「だけ」を考えているわけじゃない。狙える時は一石で二鳥も三鳥も取ってやる。
ああ、バイト先の出版社で みっちり仕込まれたんだもんな・・・NYに居る麻理師匠は元気でやっているだろうか。
「船の上ぇ〜!?」
かずさにしては珍しく 素っ頓狂な声を上げたので、ちょっとずっこけた。
「やっ、やだよ、船の上なんて。ピアノだってロクなものが置いてあるわけないだろ?
よっ、よくも そんなピアノをあたしに弾かせようとするな。おまえにとって、あたしのピアノはそんなものだったのか…?」
「どうした?そんなに興奮しなくても・・・」
事務所に送られてきた、この仕事の企画書に添付されていた 船の設備やらを思い出しながら話をする。
「ピアノは悪くないんじゃないかな?何かベーゼルなんとかっていうメーカーのピアノがあるって言ってる。ちゃんと調律師も同乗してるし、エアコン付のピアノ保管庫もあるって話だぞ?」
かずさのピアノの為には、そこは妥協できないもんな。
「たしか、ここウィーンのピアノメーカーって言ってなかったか?かずさは嫌いな音じゃないって…」
昔、ピアノと楽しそうに戯れるかずさが 世界のピアノメーカーや音の特徴について 話してくれたことがあったっけ。
「もちろん、船の上だからな。そんなに大きいホールじゃ無いけど、オペラハウス風の造りになっているらしい。クルーズ中のコンサートとかオペラとかを売りにしている運営会社らしく、観客は芸術にうるさいお金持ちだ。」
かずさの頭を押さえ、驚きを唇で覆い隠し。
かずさ 「んんんんん〜っ、ん…あ、ん、んく…ん、ん〜っ!」
唇を舌でなめまわし、割り開く。…かずさの動揺なんて、まるで意に介しないまま。
かずさ 「ふむぅっ?ん、んぅ…ん、んぅぅぅぅっ」
歯の裏を、上あごを、舌の届くありとあらゆる場所を舐めまわし、かずさの舌を絡めとる。
俺の唾液を、血を、かずさの中に流し込む。飲み込ませる。
かずさ 「んんぅ、ちゅぷ、ん…んぅ、はぁぁ、あむ」
…そんな、一方的で、一歩も引かない、傲慢で、いやらしい、キスをした
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