[過去ログ] お姫様でエロなスレ14 (382レス)
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41: ユゥとメイリン6 3/8 2012/01/09(月) 20:08:09.49 ID:ES51RIp4(4/10)調 AAS
「言ってみなよ。」
鄭おばさんは、軽い口調で言った。
「おばさんは、僕が姫様に対して邪まな感情を抱くのは、いけないことだと思わないの。
ユイウ様なら、いつもそう言うよ。『勘違いするな』『身分を弁えろ』って。」
「長公子様は、奥様に似て厳格な方だからね。
だけどあたしとしては、あんなに可憐で気立てが良い姫様に何も言わずに、自分だけで抱え込んだ末に
姫様を泣かせて何かを解決した気になる方が、よっぽどいけないことだと思うよ。
あんたは、そんなに人と上手くやっていくのが苦手な子だったかね? あたしを含めてみんな、あんたの
ことをもっと心根の真っ直ぐな子だと思ってたけどね。」
「……ごめんなさい。」
僕はなんとなく、桂花の民としての振る舞いを避難された気がして、素直に謝った。
「謝るなら、姫様に謝りな。
それに、この邸で最終的に物事をお決めになるのは、旦那様だ。旦那様は、弱い立場のあたし達を
ことさらに苛めたりはなさらない。きっとあんたにも、何かいいようにして下さる。」
敵には容赦がないけどねえ、とおばさんはぼそりと小声で零した。
何かいいようにして下さる、の内容が、他の女を見つけてくれるとかだったら絶対に願い下げなんだけど、
と密かに思う。何をどうしたら好転するというんだろう。
「それに多分、姫様は、今あんたが言ったようなことをお聞かせしたら、喜ばれるだろうね。」
メイリンが喜ぶ──
それを聞いた瞬間、メイリンの花のような笑顔を思い出して、心がぽわっと浮き立つ。
「そんなはず、ないよ。」
きっとあれだ、奴隷の忠誠を喜ぶとか、そういう意味だ。本気で好きとか言っても、困らせるだけだ。
……と必死に否定しても、心がなんだか浮かれていくのを止められない。本当にどうかしてる。
「あんたみたいな若造と、あたしみたいな熟女では、どっちが女心が分かるだろうね?」
自信ありげなおばさんを前にして、僕だって短い期間だけど、この邸に来てからは誰よりも長い時間を
共にしてるんだから! と無駄に張り合いそうになる。
「と、に、か、く!! 体をしっかり直すことと、姫様が帰ってきたら、御満足頂けるまで謝ること!
このふたつは、このあたしの年季にかけて、守ってもらうよ!」
鄭おばさんは、この邸での年季は多分一、二を争うくらいなんじゃないだろうか。
僕はこの自称熟女のおばさんにそれ以上逆らっても無駄な気がして、まずは大人しく養生することにした。

     *     *

僕の肺炎が跡形もなく治る頃になっても、メイリンたちは──ユイウ様、スゥフォン様、それから旦那様も含めて、
なかなか帰ってこなかった。
この邸の主人格の人間は、学院があるからと残された末子のシゥウェン様と、時々帰っているという奥様のみ。
ただし、僕はひきつづき奥様の気配すら感じることはなく、主人の気配の希薄なこの邸は、ひどく静かで
寂しそうにさえ見えた。

シゥウェン様は、時々兄上から言付かったという『宿題』を渡しに来た。彼はいつも無口で、必要最低限
しか口を開こうとはしなかった。
僕が彼とまともに口を利いたのは、彼の大切な姉の話をしたときだけだ。

「……出て行けばいいのに。」
僕と比べても少し背の低い少年は、ぽつりとそう言った。
兄上達と比べて、まだ体つきは随分と華奢で、女の子のようですらあった。
「は?」
「メイリンを、泣かせたそうじゃないか。気に入らないことがあるなら、出て行けばいいのに。
今なら誰も、おまえを止めはしない。出て行って、家族の元にでもどこにでも行けよ。」
彼は吐き捨てるように言った。

ここを出て、桂花の民の元に帰る? この邸を抜け出して?
この邸に来たばかりの頃は、想像もつかなかった。だけど今は、地理も分かるし、地図さえ持っている。
関所を通るのは難しいけれど、抜け道があるのも知っている。お金は持っていないけど、その辺で日雇いで
働けばなんとかなるし、出来ないことではなかった。
それでも、僕はかぶりを振る。
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