パワポケでエロパロ16

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104: 投下します [sage] 2010/07/29(木) 03:06:56 ID:RqWqhFHb

皆さん、さきほどはアドバイスをしていただきありがとうございます。
アドバイスにもあった通りWikiも考えましたがやはりこの流れだからこそここに投下するのに意味があるのではないかと考えました。
投下ごとに思うのですがみなさんのレスを頂けることは嬉しく、ありがたい限りです。
いろいろ嫌なことや大変なことはあるかもしれませんが、どうかそんなことで負けないでほしいです。
今回は先ほどの予告通り、中編のみですが読んでいただけたら幸いです。前回と引き続き独自解釈など捏造設定ですので注意されたし。

さて前回を読んでいただいたら御存じだと思いますが、この物語では勇者が主人公ではなくユイに替わっています。
なぜユイは魔女から勇者に転職したのか？などいろいろ考えながら読んでいただくと拙い作品がすこしは面白くなるやもしれません。
ではここで問題です。主人公はどこへ行ったのでしょう？正解者の中にはのりかと付き合う権利を（ｒｙ

①既に死亡しているよ
②元いた世界に戻った、あるいは別の世界に飛ばされたよ
③結婚もしくは怪我を理由に勇者を引退しているよ
④前作（ユグドラシルは～、森のキノコに～）同様、王国を離れて冒険しているよ
⑤ユイ、暴力はいいぞ！（悪の道へ）
⑥俺は人間をやめるぞ、ユイーッ！！

「では作戦会議に入る。まず今我々が置かれている状況を説明すると・・・」
ユイ達勇者一行とアズマ率いるハナマル小隊は合流後近くの宿屋に向かった。本来ならこの宿屋もこの時期になると観光客で活気にあふれるところなのだが、
今はユイやハルカ達十数人がいる大部屋以外の空き部屋は真夏の暑さの中静寂に包まれている。
大部屋では気まぐれに海風がそよいでくる他は涼というものはなく、みな額に汗水を流しながらそれでもなお作戦に聞き入っている。

「―――普段クラッケンは、日中は海中深くに潜っているが、夜間になると主食であるタコダスを求めて海面近くまで上ってくる。
だから我々小隊は船で奴の住処の周辺に接近、事前に用意したタコダスの肉を奴が活動を始める夕の刻に投下しておびき寄せる。
そして奴を浜辺まで誘導してユイ殿やアカサカにクラッケン退治を任せる、というのが今回の作戦の大まかな流れだ」

「アズマ隊長、タコダスを主食にするってことはそのまま放置してタコダスを喰い尽してからクラッケンを倒した方がいいと思います。
そうすればボーゼル島に魔物がすべていなくなり一石二鳥ですよ？」

良いことを思いついたとハルカは大粒の汗がついた顔をにやけさせた。しかし彼女の期待とは裏腹にハルカの進言に対してアズマは首を横に振った。

「いや、それはかえってまずい。タコダスは魔物とはいえボーゼル島はおろかキングダム王国の貴重な収入源であるオクトビアを生む資源でもあるんだ。
今回の任務の目的は観光地の安全確保よりも経済資源保護という意味合いが強い。クラッケンを倒したとしてもタコダスが全滅したら元も子もない」

「それにクラッケンはタコダスを食べる度に体力を蓄え、自身を強化するといわれています。
クラッケンが手に負えなくなる前に不意を突き短期決戦で収められるかが勝利のカギと言えそうです」

「その通りだ、アスカさん。だからこそ奴をこちらが有利な陸上に持ち込んでいきたい。奴の弱点とか有効な攻撃方法とかわかるかい？」

「そうですね、クラッケンは形は違えどタコダスと同じくタコ型モンスターです。ただ柔らかい本体を守るために頑丈な殻で覆われています。
まずはその外殻を爆弾などの衝撃で破壊するのが良いかと・・・あと触手対策になりますが、
日中の行動を嫌うことから光に弱いと考えられますので光系魔法や閃光弾で目をつぶすのが効果的と思います。」

アズマの質問に止む間も待たずにアスカがアンサーを返す。せっかくの進言があっさりと却下されてしまったのと、
自分と同じぐらいの年のアスカの言葉の方がアズマの反応がいいということにハルカは口をへの字に曲げた。
彼女は到底その肌の色白さやおっとりした声からとても戦いに向いているとは言えないが、
今まで自分とは比べようもない知識量や頭の良さを生かして立ち回ってきたのだろう。
そう思うと自分は一番先輩を知っているはずなのに先輩の役に立っているのかどうか疑問符が付き、なんだか面白くない。それに・・・

http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1280230044/104

105: 「剣と魔法　最後の夏の日」 [sage] 2010/07/29(木) 03:08:49 ID:RqWqhFHb

「ユイ殿、ターゲットの撃破は可能ですか？」

「―――大丈夫です、魔力も十分ですし爆弾のストックはこちらでも用意しています。
必ずクラッケンを仕留めますので私たちに任せてください。
アズマさん達こそターゲットに接近する一番危険な任務なんですから気をつけてください」

「お気遣いありがとうございます・・・噂の通りユイ殿は強さだけでなく、美しさと優しさを兼ね備えた可憐なお方だ」

「えっ！や、やだ何をいきなり言うんですか！そんなことないですって！
・・・でもそう言ってもらえて・・・嬉しいです」

アズマ自身に下心は無いのだが、彼のそばで作戦を聞いていたユイは急に身体が小さくなり恥ずかしさのあまり俯いてしまった。
しかし蚊の泣くような声ながらアズマに向けた笑みは彼女がまだ少女と呼ばれる齢であることを思い出させる。
このむさ苦しい男どもが群がる中、なんだかいい雰囲気になってやがる、面白くないし、妬ましい。

「せ、先輩！あっ、いや隊長！やはり勇者の方々だけに任せるだけではなく、我々も戦闘に参加するべきです！」

「またか、ハルカ。アズマ隊長を困らせるのはやめとけよ」
「し、しかしです！隊長！本来誘導は少人数の陽動行為でありますし、人数が多すぎると逆に敵に警戒されてしまうのでないでしょうか！？」
「だからいい加減に」

「いや、待て。たしかにハルカの言うことも一理あるな・・・」

意外にもハルカがとっさに返した反論にアズマが反応した。やったこれで私と先輩の雄姿が・・・

「・・・わかった。じゃあハルカは誘導班にも戦闘にも参加せずにユイ殿と一緒に待機してくれ。
いいかい、クラッケンが上陸したらユイ殿の邪魔にならないよう安全な場所に避難するんだよ？」

「おっ、しゃあっ、その言葉を待ってましたぁ！了解です！キングダム王国兵士団ハナマル小隊隊員クラミ・ハルカ、
アズマ隊長の名にかけてたとえ空からグングニルやレーヴァテインが降ろうとも全力全壊で邪魔にならないよう待機に専念いたしますっ！
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え？」

ザザア―――・・・、ザザア―――・・・

沈みはじめた太陽で浜辺一体の景色はオレンジ色に染まっていった。
結局ハルカの他、小隊の数人は一般人が入らないように海岸周辺の警備に配置され、さきほどアズマはアカサカと共に船で
クラッケンの住処と思われる沖合に出発したところである。そして当のハルカはいうと―――

http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1280230044/105

106: 「剣と魔法　最後の夏の日」 [sage] 2010/07/29(木) 03:11:25 ID:RqWqhFHb

「それでね師匠！私、師匠が吸血鬼軍団を退治している留守の間にアグニシャインを唱えることができたんですよ！」

「アグニシャインって上級魔法の？すごいじゃないアスカ！あーあ、その時にアスカがいてくれたらヴァンパイアも楽に倒せたのにね、
ふふ、アスカの飲み込みの早さにはいつも驚かされるわ」

今彼女は平和に談笑を楽しんでいるユイとアスカの師弟コンビと共にアズマ達の帰り、もといクラッケンの来襲を待っている。
さきほどアズマやアカサカから聞くところによると、アスカは王国とは別の国の出であり両親はモンスターに襲われておらず、
ユイがツツミ博士からヤタガラスの肉を手に入れるという依頼を受けていた時に出会いそのまま彼女に弟子入りしたそうだ。
実はそのヤタガラスこそアスカの両親を亡きものにしたモンスターなのだが、
アスカの住んでいた村ではヤタガラスは神として崇拝されており殺すことを禁じられていたらしい。
そのためヤタガラス退治に加担した彼女はもう村で暮らすことが出来なくなったところをユイが一緒に来ないかと誘ったそうだ。
彼女の境遇を聞き、ハルカは同い年の彼女に同情と共に親近感を感じ始めていた。
けれど、それでもハルカは勇者のユイとは打ち解けるには至らず、ほんのすこし敵意をもったまなざしでユイに視線を送り続けていた。
アズマの古い友人のアカサカから「ユイは魔法使いから勇者になってまだ日が浅いが、お前が強くなりたいなら、これ以上ない人物だ。
特訓につき合ってもらうもよし、これまでの冒険譚を語ってもらって参考にするもよしだ」と笑いながらアドバイスされていたが・・・

「そういえばハルカちゃんは兵士団に入って2年目らしいね？」

「ん？え・・・はい、そうですけど・・・何故それを？」

急にユイに話しかけられて、ハルカはすぐに返答することが出来なかった。
そんな怪訝な表情の彼女をユイは微笑みながら見つめている。その瞳はどこか穏やかで彼女の純真さを表していた。

「さっきアズマさんやアカサカ君からあなたのことを聞いたの。うふふ、なんでも私と勝負するんだー、って張り切っているんでしょ？」

「むっ！そ、そうです！勇者ユイ、私と互いの存在を賭けて、そしてどちらが強いかを証明するために今ここで尋常に真剣に勝負を受けなさい！」

そのハルカの言葉にそれまで温厚でおとなしかったアスカが目を見開いた。
「ち、ちょっと！今はクラッケン退治の途中なんですよ！？それに真剣勝負なんて・・・たぶん、いや絶対に師匠に勝てる見込みはゼロですよ？」

「うるさいです！大体あなたたち、魔法が使えるなんてそれこそチートなんですよ！女はコブシで勝負せんかぁい！！」

いきり立つハルカに対し、ユイは黙って彼女の挑戦状を聞いていた。
と、急に噴き出したと思うと（ハルカはバカにされたと思ったが）、すこし困った笑いを浮かべながらほほを掻きながら言葉を口にした。

「あはは・・・いや、笑ってごめんね。たしかにまだまだ魔法に頼りきっているところがあるから痛い指摘だわ。
最近やっと剣の使い方がわかってきたところだし・・・でもねハルカちゃん、ハルカちゃんが思っているほど魔法は万能でもないのよ。
マナ、魔力の源になるものなんだけどね、それが不足していたら魔法は発動できないし、一部の魔物には無効なことも結構多いし・・・
私は魔法には自信はあるけど過信はしていないの。だからあらゆる状況を想定して爆弾や薬草を用意してる、ほら、こんな感じにね」

そう言うと彼女はマントを翻してみせた。マントの裏には大きく魔法陣が描かれており、中には七色の液体が入った小瓶や用途不明の魔具のほかに
兵士団でも採用されているツツミ研究所謹製の爆弾や一般にも販売される薬草が装備されていた。
その膨大な量のアイテム群にハルカは思わず魅入ってしまっていた。

http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1280230044/106

107: 「剣と魔法　最後の夏の日」 [sage] 2010/07/29(木) 03:12:45 ID:RqWqhFHb

「す、すごい・・・でもそんなに必要なんですか？さっきの話を聞いて、なんですが、魔法で代用が利くんじゃ・・・」

「あ～、それは恥ずかしいけどある失敗がきっかけでね、昔ある人の仲間として初めて冒険というものをした時のことなんだけど、
その人はある事件にまつわる任務の最中で、私は事件の黒幕の一味の術師を見つけることに成功したの。
だけどその時に見事に返り討ちにあってね・・・」

「返り討ちって・・・百戦錬磨の師匠がですか？その術師が師匠よりも強い魔力をもっていたということかしら？」

弟子のアスカが驚きの色を込めた声を上げるとユイはまたさらに苦笑いを深めてその問いにあっさり答えた。

「ううん、相手の魔法攻撃を先読みして魔法を無効化する呪文を唱えたけど、
ファイヤーボール撃つふりして爆弾投げてきたのよね、あいつ。そいつに実戦経験が不足しているって言われて・・・
たしかにその時の私は命知らずで単独行動が多くて、自分の魔法に対して自惚れていたところがあったから、今じゃ苦いけど良い教訓よ」

「むう、なんて卑怯な魔術師なんですか！なるほど・・・ちょっとお聞きしていいでしょうか」
「なあに？」

どこか不機嫌だったハルカが話を聞いてくれることに内心嬉しいユイだが、ハルカの次の一言に―――

「ユイさんを冒険に誘った、その人って誰なんですか？」

そのなにげない言葉にユイは聞き取れないぐらいだが、「えっ」と漏らし顔の眉毛がぴくりと動くほどの戸惑いを見せた。
しかしその間はほんのわずかでありまたもとの穏やかな笑顔に戻りハルカに語りかける。

「・・・そうねえ、まずそれに答える前にハルカちゃんに聞きたいことがあるの。ハルカちゃんはなんで兵士団に入隊したの？好きな人とか憧れの人がいたのかな？」

「し、質問を質問で返さないでくれませんか！？学校とかで習わなかったんですかぁ！？・・・え、えーとすいません
・・・はい・・・周りのみんなには国の為クラミ家の名誉の為だとは言ってはいるんですが、御察しの通り、
昔から憧れていた人が兵士団にいたからというのが本当の理由です・・・正直なところ不純な理由ですよね・・・」

「そんなことはないわよ、ハルカちゃん。私もその人の仲間になったのも８０００Ｇの契約金目当てだったのよ。
うふ、ハルカちゃんが不純なら、私は不浄ってところね・・・みんな最初の動機なんてそうしたすごく単純なものじゃないのかな？
でもね、私が最初の冒険で手に入れたのはお金だけじゃなかった、魔女のしきたりを守るだけじゃ得られない知識やマジックアイテム、
様々な人生を歩んできた仲間や人たちと出会えたことは私にとってとても大きいものだった
・・・でもその中でも何ものにも代え難かったのは、パートナーの存在なの」

「パー・・・トナー」
彼女の言葉の後にアスカとハルカが重ねてその単語を口ずさむ。浜辺は黄昏から闇の世界に入ろうとしていた。

「その人はお金に関しては無頓着で、不潔で、地味で、出世欲がなくて、ギャンブルは大好きで、
いつも貧乏くじを引くようなお人好しだったわ。それでも任務が終わってからも私を冒険に誘ってくれてね、
困っている人がいればたとえ割に合わなくても快く引き受けて、たとえ自分が大変な目に遭っても決して諦めない、
たとえ自分を犠牲にしてでも皆を、そして私を守ってくれる力だけでなく意志の強い人でもあったの。
そんな彼と共に冒険を重ねるうちに、自分もこの人のようにありたい、この人を支えて共に歩んでいきたいと思うようになった・・・
今のハルカちゃんと同じで、尊敬する憧れの人がいるからって理由と似た感じで私も勇者になろうと思った、
魔女だった私をそうさせるようにしたのが『その人』だった、と言えばいいのかな？・・・
ふふ、そういえばあの人は、魔法は全然使えなかったけど私に
「俺は剣と薬草とコレでなんとかするから他は君に任せる」っていつも言っていたっけ・・・」

そういうとユイはおもむろにマントの中を右手で探り始め黒く光沢のある爆弾をハルカ達の目の前で投げるモーションを見せた。

http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1280230044/107

108: 「剣と魔法　最後の夏の日」 [sage] 2010/07/29(木) 03:15:13 ID:RqWqhFHb

「そうだったんですか・・・」

ハルカは途中からユイの瞳から目をそらさずに一言ももらすまいとユイの話に聞き入っていた。
ユイは昔を懐かしむような潤んだ目で遠くを見ているようでもあり、そして口元は口角をわずかに上げて微笑んでいるはずなのだが、
どこか物悲しさを帯びていることを彼女は読み取っていた。ひょっとするとその人はもう・・・

「あの・・・師匠。その人ってもしかして先代の・・・」

アスカがユイに「その人」の核心に触れようと尋ねようとしたその刹那、遠くから大声が聞こえてきた。
3人がほぼ同時に声のする方角に目を向けると、ヤマダたちと兵士が駆け足でこちらに向かっていた。

「どうしたの！？」
「大変でやんす！大変でやんす！アズマ隊長たちの乗った船がクラッケンに襲われて大破したでやんす！」
「なんですって！？先輩たちの船が！どうして？」

その知らせを聞いて瞬間ハルカは叫びに近い声を上げ、見る見るうちに顔が青ざめていく。

「予想以上に奴のスピードが速かったのとすでに興奮状態になって攻撃を開始してきたらしい！今救援部隊の船を駆り出しているところだ」

「船は完全に沈んでる状態ですか？あと救援の船が現場に到着するまでどのぐらいかかりますか？」

ユイはアカサカも乗っている船大破の知らせを受けても冷静さに保とうと情報を整理しようとしている。
その顔はさきほどの穏やかさも物悲しさは一切なく瞳にはこれから起こる戦いへの闘志の炎が燃え始めていた。

「いえ！完全に沈没されているわけではありませんが長くても１０分しか持たないでしょう。
救援班の現場への到着は目測および双眼鏡からここからおよそ１５分、あと３分で出発準備完了になります」

「待ってください！それじゃあ船が来る前に先輩の船が沈んでしまうじゃないですか！？
このままじゃ先輩たちが魔物に食べられてしまうのを黙って見ているだけなんですか！？」

現実的で絶望的な数字を聞かされては取り乱してしまいハルカ同僚の兵士に掴みかかった。もう顔は涙でくしゃくしゃとなっている。

「仕方ないだろう！？隊長たちの船は沖合近くで襲われたんだ！それに俺だって隊長がこのまま死んでしまうなんて考えたくないよ！？」

http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1280230044/108

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