[過去ログ] 【四号機】 新世紀エヴァンゲリオン 【消滅!】 (1001レス)
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14: Time after Time 2010/06/21(月) 23:10:40 ID:4iGnkrg+(1)調 AAS
「アスカ…これっていったい…式波って…アスカッ…!?」
「…あんた、あのシンジなの!?
2008年に、ドイツの私の家に来た、あのシンジなの!?」
「じゃ、あれは夢なんかじゃ…。」
「シンジッ!」
僕は次の瞬間、アスカにぎゅっと抱きしめられていた。
Tシャツごしに伝わってくるアスカの体温が、アスカの身体の柔らかい感触が、心地よかった。
「シンジ…ずっと会いたかった…7年待ったのよ…ずっと待ってたの…いきなり消えちゃうから…シンジッ!」
「アスカ…。」
僕は、アスカの背中に自分もギュッと腕を回して、アスカを抱きしめた。
このアスカは、今僕の目の前にいるアスカは、まぎれもなく僕の知っているアスカだった。
震える小さな肩は、僕のよく知っているアスカのそれだった。
アスカは、泣きじゃくりながら、少しずつあの後のことを話してくれた。
僕は、あの次の日の朝には、もうアスカの家から姿を消していたということ。
アスカの努力にも関わらず、アスカのお母さんはやっぱり死んでしまったこと。
その死に方も、僕らが知っているそれとは違っていたこと。
その後、アスカのお父さんは、前の歴史の流れとは違い、再婚したということ。
それで、苗字が変わったこと。
使徒の姿が、少しずつ僕たちの知っているそれとは、違っていたということ。
この時間軸上の僕とアスカの出会いも、僕らの知っていたはずのそれとは、少し違っていたということ。
この2015年で再会した『僕』には、あの時間軸上の記憶がなくて、ずっと寂しかったということ。
「私は、結局ママを助けられなかった…でも、『バタフライ・エフェクト』のせいか、いろんなものが変わってしまったの。」
「バタフライ…エフェクト?」
「北京で蝶が羽ばたいたら、テキサスで嵐が起きる、といった、ほんの小さなひずみから起きる予想外の大きな変化を指す、カオス理論の一つよ。」
「…そっか、アスカ、大学でそういう勉強をしてたんだっけ。」
「『前の』2015年では、そうね。
でも『この』2015年では、私は大学に行かず、ユーロ軍にスカウトされたの。
EVAのパイロットとして…いま『大尉』なのよ、私。」
「でも、そもそもなんで僕がタイムスリップしたり、アスカの精神だけが2008年に戻ったりしたんだろう?」
僕には、それが全く納得行かなかった。
この一連の現象には、きっと何か原因がある。
それが…気がかりだった。
「…これは可能性に過ぎないんだけど、誰かが故意に歴史を変えようとしているのかもしれない。
私たちだけが過去に戻ったというだけで、こんなに歴史が変わるなんておかしいもの。
誰かの意思によって、私たちは同じ出来事を繰り返して、記憶が残っているから違う行動を取って、歴史が変わった。
私には、なんだかそんな気がするの。」
「誰かの、意思…。」
僕には、何がなんだか皆目わからなかった。
けれど、何故か僕の脳裏には、胸をはだけたままぴくりとも動かないアスカを前に、自慰をしている自分の姿がクリアに浮かび上がっていた。
そして何故か、初号機のエントリープラグの中から、信じられないくらい大きな、EVAよりもずっと大きな綾波を見ている、そんな自分の姿が、うっすらと浮かび上がっていた。
走馬灯のような、脳裏に浮かび上がる情景に襲われながら、僕は何もできずに立ち尽くしていた。
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