あずまんが大王のエロいのないんかねぇ-13-

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485: 単発・エロなし・人死に注意 2010/03/20(土) 08:24:59 ID:8KOExPez(1)調 AA×

485: 単発・エロなし・人死に注意 [sage] 2010/03/20(土) 08:24:59 ID:8KOExPez

あいつが死んでから、春が来るのはこれで三度目だった。
あいつが命と引き換えに助けたあの猫―今はうちの飼い猫だ―の写真を片手に、もう片方の手には花束を持って、
大学名の入ったジャージ姿で私はあいつが眠る町外れの霊園で風に吹かれていた。

大型トラックに跳ね飛ばされたというあいつの、お棺の中での意外に整った死に顔―もっとも、「死に化粧」というものが
施されていたのだろうが―が、今でも私の瞼には焼き付いている。
留学先から慌てて駆けつけたあの子の、いつも冷静だったはずのあの子の、馬鹿ばかり言っていたあの子の、
宇宙人みたいに何を考えているのか今でもさっぱりわからないあの子の、そしてあいつに「特別」な感情を持っていた
だろうあの子の、そのみんなのぐしゃぐしゃな泣き顔が、今でもありありと思い出せる。
先生の眉間にできた深い悲しみの皺も、はっきり覚えている。

私たちは、ずっと一緒のはずだった。
高校を卒業してそれぞれ別々の道を歩み始めていても、私たちの関係は何も変わらない、そのはずだった。

私とあいつは、ライバルだった。
いや、私の一方的な片思いだったかもしれないけれど、私だってあいつに「特別」な感情を持っていたのだ。

弁当の早食い競争を仕掛けても、「消化に悪い」と言って乗ってこなかったあいつ。
登校中に猫を見つけては、信じられないくらい優しい顔で近寄っていって、それでいつも噛まれていたあいつ。

ただの、「友達」なんかじゃない。
きっと私は、あの子と同じように、思春期特有のどこか同性愛にも似た感情を、あいつに持っていたんだ。
きっと、そうだ。

あいつは、もうどこにもいない。
私たちの思い出の中にしか、もうあいつはいない。
それが、悲しかった。
やり場のない思いが、いつしか花束を握る手の振るえとして私を苛んでいた。

私は花束と写真を墓石の前に置くと、目を閉じて合掌した。
墓石の文字が、まだ新しいあいつの名前が、一瞬キラリと光ったような気がした。

人は、どこからきてどこへ行くのだろう。
私も、何年後かわからないけれど、あいつのところにいずれは行くのだろう。
誰しもが、そうだろう。

だから、待っててくれよな。
あの世で、もうひと勝負といこうぜ、榊。

＜完＞

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