[過去ログ] 【友達≦】幼馴染み萌えスレ16章【<恋人】 (730レス)
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(1): 『ウェザーリポート』 ◆uC4PiS7dQ6 2009/01/02(金) 01:23:33 ID:UcunR8EI(3/4)調 AAS
「みつるちゃん、怒ってる?」
「怒ってないよ」
 手を伸ばし、ブレザーを掴む。これは、見せられない。もう、形すら止めていない筈だから。見つからない様に、後で捨てよう。
「みつるちゃん、それ何?」
「何でもない」
 反射的に後ろへとブレザーを隠す。普段はぼーっとしているのに、こう言う事には気付くんだから。
「うそ。雨降ってるに、わざわざ薄着になる人なんていないよ」
 本当に……
「ケーキ、買ったんだ。甘い物を食べたくなったから」
「また嘘。私に、買って来てくれたんだよね?」
 何もかも見抜かれているんだな。
「ずいぶん、自惚れてますね?」
 ひどい事を言っているのに、それでも笑顔で……
「だってみつるちゃん、私にホレてるでしょ? 今日は私の誕生日だし」
 この人の前じゃ、僕のプライドも空かされてしまうんだ。けれど、それが気持ち良いから、僕は……
「見せて」
「きっと、ぐちゃぐちゃになってるよ?」
 負けを認め、ブレザーを解く。
「それでも良いから」
 そして、すっかりふやけた蓋を開ける。
「ほら、ね?」
 予想通り、ぐちゃぐちゃだった。綺麗にデコレートされていたケーキも、影を無くしている。
「あっ、何か字が描かれてる。これ……く?」
 チョコで描かれた字も、大半が消えていた。
「これからもよろしく」
「えっ?」

「そう、描いてあったんだよ」
 既に、意味を成さなくなってしまったけど。
「そっ、か……じゃあ、食べよ?」
「だめだよ。汚い」
 こんな物を食べたって、お腹を壊すだけだ。
「うーん、えいっ♪」
 それは分かってる筈なのに、指で表面のクリームをすくうと、自らの口へと入れた。
「やっぱり甘いよ。ほら、みつるちゃんも」
 そう言うと、同じ指でクリームをすくい、今度は僕の口前に持って来た。
「食べて……」
 こう言われて断る術を、僕は知らない。
「んっ」
 指を口に入れる。
「甘いね」
「でしょ?」
 本当は雨に当たり過ぎたせいで、感覚等無くなっていたのだが、言わないで置いた。
「それじゃあ、風邪を引く前に帰ろ?」
「どいてくれないと、立てないんですけど」
 言うと、慌てて僕の上から飛び退き、「はいっ」と手を差し伸べて来た。
「僕は良いですから、早く傘を差して下さい」
 僕がそう言っても、差し伸べる事を止めない。
「ううん。一緒に濡れて帰ろう」
 やっぱり勝てない。しかたなく手を取り、立ち上がる。
「一緒にお風呂入って、温まろうねー」
 ――ッ!!?
「くっ、ははっ」
 笑いがこみ上げる。やっぱり、勝てないなー。
「あっ、やっと笑ってくれたね、みつるちゃん!」
 そんな無邪気な笑顔をされたら、嫌でも、この人に惚れてると確認させられてしまう。
「あーあ、真奈美さんと一緒にお風呂入るの楽しみだなー」
「わっ、冗談だよー」
 雨は未だ止まらない。でも、今日の雨は好きになれるかも知れないと、そう思えた。
653: ◆POBrm2R/G2 2009/01/02(金) 02:14:26 ID:KkqIjKfZ(1/8)調 AAS
>>642-645 といい、>>649-650 といい、それぞれ色の違う作品いいですね。
個人的には後者はツボです!

こんな良作の後にワタクシの駄作を投下。
辰則と美紀のクリスマス完結編「その後」を投下します。
前編:>>527-528
中編:>>567-571
後編:>>604-613

NGワードは「◆POBrm2R/G2」「辰則と美紀のクリスマス」6レス消費予定。
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