[過去ログ] 気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第9章 (734レス)
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518: 2009/08/19(水) 19:46:55 ID:wDsEp1mb(1)調 AAS
age
519: 2009/08/22(土) 02:24:39 ID:4tVjlks3(1)調 AAS
ほしゆ
520: 2009/08/25(火) 16:01:31 ID:zLry3ANI(1)調 AAS
ほしゅあげ
521: 2009/08/27(木) 00:46:51 ID:Jirx83Sl(1)調 AAS
ほ
522: 2009/08/27(木) 15:35:58 ID:7jKn+41P(1/8)調 AAS
投下します
523: ナイト・ホークス 4 2009/08/27(木) 15:36:52 ID:7jKn+41P(2/8)調 AAS
部屋は薄暗い。
遠くの公園にぽつりと孤独な街灯が佇んでいる。その弱弱しい光が窓から差し込んでいる。
これもまた、夢なのだろうか。
両腕を動かすとかすかに痛みがした。見てみると・・・・どうやらずいぶん大きな注射針をうたれたらしい。
今俺は自室にいるところと、注射をうたれたところをみると・・・・あの後綾子ちゃんが救急車を呼んでくれたのだろうか。では何で俺は自室にいるんだろう。
俺が意識を失った後のことを考えようとしたが眠さで頭が働かなかった。
このひどい倦怠感から言って、かなり長い間眠っていたのだろう。
だが、それでもなお眠かった。しかもその眠さは限りなく有害なものであるということもわかった。
・・・でも、いいか。まぶたを閉じた。
人は長い間寝続けると脳細胞が死んでいくという。
だが俺はもうなにもしたくない。何もほしくない。
だから俺になにも期待してほしくなかった。
呼吸の音がほんのかすかに聞こえた気がした。
見ると久美が静かに佇んでいる。俺は声を出そうとして、息をすることさえ忘れた。
彼女の、ほのかな光に照らされたその美しさは、同じ人間とは思えないほどだったから・・・。
俺は時々、彼女のあまりの美しさにひどく惨めな気持ちになる。ちょうど今感じているような感慨だ。
「テスト、どうだった。返ってきたんだろう。」
気付くと、かすれた声が頭の中で響いた。
癪に障る声だ。
自分で言ってあきれる。
「・・・・返ってきてない」
ほとんど聞こえないようなか細い声で、めをそらした。
「うそだ。かえってきたさ。」
久美は答えない。
「やっぱり、久美は一位だったのか。」
「・・・・」
久美は答えない
俺は知っている。
久美には、テストの点なんてどうだっていいことなのだ。
そういう俗的なものを超越している。
俺は惨めに『そういう俗的なもの』にしがみついたままだ。
むなしい。
「そういうわけにもいかないんだな」
「・・・私には、秀明が体を壊してまでなにをしたかったのかわからない。」
「わかんなくていい。くだらないことだから」
524: ナイト・ホークス 4 2009/08/27(木) 15:37:56 ID:7jKn+41P(3/8)調 AAS
おれにはしたいことがあった
そのために愚かな振る舞いで久美も卓也も傷つけた。
俺は久美や卓也とは違うのだろうかと思ったのがきっかけだった。
人間、とくに自分が美しいとか優れているとか意識し始める思春期は特に、見られているというぎこちなさが生まれる。
注意深く見ても見なくても、うちのクラスにもそういう類のは何人もいる。つまり自分を演じているわけだ。
久美や卓也にはそれがない。鼻にもかけない。他人の評価に左右されない。自分と自分が一致している。自由である。
俺はどうか。自分を演じた挙句、この有様だった。
久美の父は言う。「お前ぐらいのがきんちょが自分を見積もってどうする。おぬしは老けすぎている。
十代というのはな、可能性がある。責任がない。無条件で幸せでいられるし、そうでなくてはならんのだ。」
それは俺がつまり根暗であるということを言いたいのだろうと思った。しかしそうではないようだった。
「じゃあ秀明は、なにがしたかったの。あなたはまるで、何かにおびえていた。」
長い沈黙と暗闇のむこうから声がした。
俺は答えない。こたえあぐねる。
ちいさいプライドのために、ずっと隠し通してきた劣等感だ。
いやしかし、と思い直す。
もうすべて終わったことだ。
「俺は証明がしたい。証明がしたかった。めずらしく俺はやる気になったのだ。久美や卓也と俺が同じ人間であるということを証明したかった。」
ちがう生物間で愛情は発生しない。もし久美が俺を好いてくれるんだったらそれは飼い主がペットに注ぐ愛情で、俺が今抱いてる感情は崇拝に近いなにかである。
「違ういきもの同士に愛はうまれない。」
俺はそれが怖くて否定し続けただけだ。
だけど証明を始める前にはもうこの題意は成立しないことをわかっていた。
それを言う必要はない。
525: ナイト・ホークス 4 2009/08/27(木) 15:38:21 ID:7jKn+41P(4/8)調 AAS
見ると久美のほほに一筋光が走っていた。久美の泣き顔なんて想像すらできなかったけど
綺麗だなあ。
彼女はなぜ、泣いているんだろう。俺に、同情しているのか。
おれはこのまま惨めさに埋もれて死んでしまいたかった。
ここで告白したらどうだろう。
いまさっき力説していた俺の人間観とはまったく相反する。
当然勝算があるわけない。だが自棄になったわけでもない。
変わるのはせいぜい悪いのが最悪になるくらいで、
これはあくまで事後処理の一環だ。卓也との約束の事後処理と、もうひとつ。
「じゃあ、愛ができるかどうか試してみないの。」
俺が勝算のない事後処理にでるかどうか悩んでいるとき久美がそっと言った。
俺ははじめ久美が冗談を言ってるのかと思った。
「もう6年以上も一緒にいて、なにもできてないんじゃあこれ以上何ができるんだよ」
沈黙が部屋を包んだ。
のどがからからに渇いていることに俺は気づく。
べつに、たいしたことはない。
人間、成長するたびあきらめなくてはならないものが増える。
俺の場合、そのなかのひとつに、久美がいただけだ。
そう、久美が・・・・
窓の外の、藍色がほんのり淡くなった見慣れた空をみつめた。
久美だけは、そこにあってほしくなかった――――
俺はそのとき初めて悲しみというものを覚えた。
死んでも泣くか、と思った。直後滝のように涙があふれる。
俺は、もう、惨めで、惨めで、惨めで・・・・
「あの、あ、あたしは、その、」
頭の後ろで声がした。
俺は窓のほうを向いたまま固まる。
「あ、愛とか、えー、あるんだけど。」
俺は次に久美が冗談を言っているのだと思った
526(1): ナイト・ホークス 4 2009/08/27(木) 15:38:52 ID:7jKn+41P(5/8)調 AAS
下に降りてみると、テーブルの上には朝食とは思えないような料理の品々がずらりと並んでいた。
「あの、なに?これ。」
何事かと思い台所であくせく働いている久美に聞いてみる
「朝食。」
「いや、意味がわからないんだけど、今日普通に学校だろ」
「あんた丸二日ものまず食わずだったんだから、当然これくらいは食べられるわよね。」
「はあ・・・。」
それにしてもこの量は異常である。これから宴会でもひらくつもりだろうか。
「はい、これスパゲティ。伸びないうちに食べなさいね。」
俺は、朝からスパゲティ作ってんじゃねーよ!と叫びたかったが何を言っても無駄なきがしたので半ばやけくそになってフォーク片手に食べ始める。
がつがつ食べてると料理を終えた久美が正面の椅子に座った。
俺が食べるのをニヤニヤしながら見られる。
「暇ならこれの処理手伝ってくれない?」
「なにが処理よ」
といいつつも箸で厚巻き卵をはさんであーん、とかしてくる。
やってらんねーよと思いつつも何を言っても無駄な気がしたので半ばやけくそ気味にくいついた。
憂鬱な月曜の登校風景だが、それがなぜだかずいぶん懐かしく思えた。
「ねえ、秀明。」
久美が言う
「なに」
「卓也はもう引越したの?」
「さあ、わからん。」
「そう」
結局卓也には出発日も、引越し先も教えてもらえなかった。
前を歩く久美の長い髪が、夏の朝の生暖かい風になびいている。
そういえば、卓也との約束守れなかったな、女の子に告白させるなんてなにやってるんだろうなあ、とうららかな光を受けながら思った。
自席に座る。クラスの喧騒もなぜか懐かしい。どうしたんだろう、たった二日寝ていただけなのに。妙に年老いた気分になった。
「おいひで、さっき4組のやつから聞いたんだが、今日もう中間返されるらしいぞ。先生たち張り切りすぎだろ」
となりの山田に言われた。中学からのつきあいで気の置けない友である。
「え、まだ返ってきてなかったんだっけ?」
「何言ってんだよ、先週受けたばっかだろ。ぼけるのはまだはえーぞ。」
頭を叩かれる。・・・そうか、今日は月曜日か。俺はもうだめかもしれない。
527: ナイト・ホークス 4 2009/08/27(木) 15:40:01 ID:7jKn+41P(6/8)調 AAS
本日最後の地理の眠い授業が終わりを告げた。
休日に寝続けても、眠いものは眠いのだ。自分でも不思議である。今まで眠りたくとも眠れなかったのに。テストの緊張が解けたからかもしれない
「今日結局テスト返されなかったなー、あと一週間くらい返されなければいいのになあ。」
山田が机にへばりつきながら言う。こいつの授業が終わったとたんに目が覚めるというのはなかなかまねできない芸当である。
「おーし、中間返すぞー」
すると担任が、間の伸びた声をあげながらクラスに前の扉からはいる。隣は、やっぱかえすんかよぉーちくしょーと不満げな声を上げていた。
その一方、今度は俺が机にへばりついていた。手に汗がたまる。苦しいほど鼓動が早まった。
「はい順番に並んでー」
若番からどんどん消化されていく。・・・今久美が返された。久美のほうを決して見ないようにしながら、俺は死刑直前の囚人のような心持だった。
「ああああー・・・・まあ、思ったとおりですけどね。おい、ひではどうだったんだよ。ん?
・・・って、お、おい、なにも泣くことないだろう、気にするなよ、俺のほうがよっぽど悪いって。」
「なんでもない。ちょっと疲れただけ」
テスト結果をかばんにしまう。俺は目を閉じて、ただその虚脱感に身を任せた。
テスト結果の学年順位には、1と記してあった。
なんで・・・・・これじゃ秀明は報われない・・・。あんなに努力したのに・・・
恐る恐るみると、秀明は机に突っ伏していた。
テストでわざと間違えればよかったのだろうか・・・。
いや。
秀明は、あたしを超えるために努力していた。その努力を侮辱するようなことは、あたしにはできない。
秀明の努力に負けないように、あたしはがんばった。心の奥底で、秀明があたしを越すことを期待しながら。
528: ナイト・ホークス 4 2009/08/27(木) 15:40:23 ID:7jKn+41P(7/8)調 AAS
あいつは、玄関で靴を履き替えていた。
「あ・・・秀明・・・。」
「ん?」
「・・・いっしょにかえろ。」
「うん」
前の秀明が作る長い影を眺めていた。
どうあいつに接すればいいかわからない。気まずい沈黙があった。
・・・ん?そういえば、あいつが前を歩くなんて・・・
「なあ、久美。テストの順位どうだった。」
びくっとして立ち止まる。のどから自分のじゃないような声が出てきた。
「・・・あたし、・・・秀明は、がんばったよ。順位なんてどうでもいいよ。だから・・・だって・・・」
あたしは何を言ってるんだろう。なんで泣いてるんだろう。本当は秀明が泣きたいはずなのに。
「久美・・・。」
あたしは俯いたまま。
「俺、末路は難かったけど、ちゃんと百里歩ききったよ。」
「?・・・」
秀明の言う意味がわからない。顔をあげると秀明が微笑んでいた。秀明のこんな自然な笑みは本当に、ほんとに久しぶりに思う。
そして、あたしは突然理解した。
「秀明、一位なの・・・?」
「うん」
そういえば、秀明は私と帰るとき、いつもあたしの後ろについていた。今日は私の前にいる。
あたしは駆け寄って秀明にしがみついた。
「この、ばか、あほ、早く言えよぉ・・・」
秀明はごめん、とつぶやいた。
あたしは、ばか、こういうときは抱きしめ返すのこのバカというと、おずおずと手を背に回してきた。
あたしはその甲斐性ない態度にむかついて、それからなんだかおかしくなって、胸に顔をうずめて人の目も気にせず道端でわんわん泣いた。
529: 2009/08/27(木) 15:43:04 ID:7jKn+41P(8/8)調 AAS
投下終了。
保守代わりになれたら幸いです
530: 2009/08/27(木) 16:00:04 ID:tMzcDV2J(1)調 AAS
GJGJ
つ、続きは、期待してもいいですか?
可能であればお願いしたい
531: 2009/08/28(金) 20:48:59 ID:jW8NnJTL(1)調 AAS
GJですた。
>>526
>厚巻き卵をはさんであーん、とかしてくる。 (中略)半ばやけくそ気味にくいついた。
なんというバカップルw
この体たらくで付き合ってない(少なくともこの時点では)とかふざけてるの?
秀明を蹴っ飛ばしたくなったw
532(1): 2009/08/28(金) 20:57:05 ID:burtmtjx(1)調 AAS
GJ!
なるほど、同率一位か。
533: 2009/08/28(金) 23:10:03 ID:t2YKC6t3(1)調 AAS
GJ!!
>>532
なるほど
ゲームと学問に血眼になってて単細胞になってて気が付かなかった
534: 名無しさん@そうだ選挙に行こう 2009/08/30(日) 07:03:09 ID:VVz8mLM2(1)調 AAS
なんか、もう…感動してしまった
こんなに自信のない主人公は珍しくてつい感情移入してしまった
すごく良かった。お疲れ様でした!幸せになった後のお話も読んでみたいなぁ
535: 2009/08/31(月) 15:08:13 ID:foqGDr0h(1)調 AAS
才能あるな
536: 2009/09/01(火) 05:35:56 ID:A1EpAb9r(1)調 AAS
いや、才能はない
537: 2009/09/05(土) 00:00:59 ID:MsfEh01U(1)調 AAS
あるのは努力
そして度胸だ
538: 2009/09/07(月) 03:56:29 ID:F53N9g4Q(1)調 AAS
そういえばツンデレスレ落ちたままか
539: 2009/09/07(月) 18:39:52 ID:rFQYO5tQ(1)調 AAS
ツンデレものを何か一本書いて8スレ目を復活させてやるっ!!
……そんな妄想に取りつかれていた時期もありました
まだ諦めちゃいないけどな!
540: 2009/09/07(月) 19:59:33 ID:QDderF6/(1)調 AAS
さぁ、今すぐ仕上げにかかるんだ
541: 2009/09/08(火) 20:44:57 ID:LKpVQysP(1)調 AAS
まだ1レスにもならないんだお……
542: 2009/09/14(月) 22:28:43 ID:z15p5TAA(1)調 AAS
ほ
543: 2009/09/19(土) 13:26:16 ID:U2VZo+hZ(1)調 AAS
期待。
544: 2009/09/22(火) 00:05:45 ID:snPvXHoL(1/5)調 AAS
保守
545: 2009/09/22(火) 23:59:06 ID:snPvXHoL(2/5)調 AAS
保守代わり
546: 値万金の居眠り 2009/09/23(水) 00:00:42 ID:snPvXHoL(3/5)調 AAS
「わたしがやっていいかな?」
そう言うと直美は懸垂の要領ですいすいと上って戻ってきた。
「あなたは別だけど、最近の子って怖がりだし鈍いんだよね。」
余裕で言う直美が電灯を点けた。
直美はもう50に手が届く歳のはずだが、若々しい。肌荒れも無いわ
けではないし皺もある。あるのだが、美しい。そして人を朗らかにする
不思議な力があった。アルバイトとしてこの職場に入ってまだ短いのだ
が、その快活で誠実な仕事振りは正社員で無い事で上司達を惜しませて
いた。
「どうしたの」
先ほどの直美の流れる様な身のこなしに銀二は見とれていた。
「いや何でも。少し考え事を」
「銀二君は時間を無駄にしないんだねえ。いい心がけだこと」
そう言って直美は微笑した。
(やっぱり見透かされてるのかな)
直美に次いで銀二も歩き出した。
(それにしても)
直美は後姿も美しかった。その体は数々の肉体労働で鍛錬され、モ
デル並みの体型になっていた。そして力もあった。
「じゃあちゃんと持った?いくよ」
銀二と直美は机を抱えて立ち上がった。元々ここへは机を取りに来た
のだった。この机は軽くない。大人の男二人でちょうど安全に運べる程
度の机だった。
「お疲れ様」
「ありがとうございました」
「それより、正社員の給料分は頑張ってね」
直美はいたずらする様に軽く笑った。
「こうした方が速いんじゃないかな」
直美が新入社員の数え方に注文をつけていた。
「そうそう。速くなったでしょ。しかめっ面して無駄に時間使っても
意味無いからね」
直美が新入社員に笑いかけた。新入社員はにやけて答えている。当然だ
ろう。世間知らずな彼に直美は刺激が強すぎる。
「銀二君も手を抜かない方がいいよ」
銀二もまた、にやけて答えた。
547: 値万金の居眠り 2009/09/23(水) 00:01:39 ID:snPvXHoL(4/5)調 AAS
机の上に置かれたメモを確認して帰ろうとした時気がついた。直美のメ
モには裏にも何か書かれてあった。裏返して、銀二はつばを飲んだ。
直美が場所を指定して会いたがっている。
銀二は気取られぬ様に退勤した。
「用って何でしょう」
直美が待っていたのは最寄り駅から離れた目立たないタクシー乗り場だった。
(なにか、お説教かな)
「ここじゃ話し辛いから、一緒に乗って」
二人はタクシーを降りて何分か歩いた。銀二が普段訪れた事が無い方面
だった。何があるかわからない方面だった。全くどこに行くのか想像がつ
かない。
「銀二君、悪いけど、目をつぶっていてくれるかな」
「はい」
直美に手を引かれてたどり着いたのは、ホテルだった。それもラブホテル。
「ちょっと待って下さい。あの…」
「銀二君、好きな人いる?」
「いますけど…」
直美は暗くなった。あの顔に陰りが出る所など悪夢にも思わなかった。
「わたし、子供も家を出て旦那も死んで、寂しいの。もう、誰も寂しさを
忘れさせてくれるような人がいないの。銀二君…」
直美の目はまっすぐに銀二をみつめていた。
「ごめんなさいね。こんな、わたしどうかしてました」
「直美さん…、あなたなら…」
「ダメ!!やっぱりダメよ!!」
直美がそう言ってから沈黙が束の間流れた。それを直美が口を開いて破った。
「でも少しくらいなら、いいかも」
548: 値万金の居眠り(終) 2009/09/23(水) 00:02:05 ID:snPvXHoL(5/5)調 AAS
直美は裸体もまた美しかった。まさに絵に描いたような理想の肉体だった。
「は、恥ずかしいな。そんなじろじろ見られちゃうと」
直美はゆっくりと銀二に近づいた。
「触っちゃっていいんですよね」
「うん。あ、いや触っていいよ」
銀二がやや小ぶりな胸を包むように揉む。甘美な息が口から湧き
上がった。
「ああ…銀二君…」
「直美さん、凄い」
直美の体は見た目だけではなかった。その引き締まった腰も脚も、
完璧な美しさを湛えていた。接していて飽きそうになかった。
「ああ…」
体中を這い回る銀二の手に直美は酔っていた。
「大変…クセになりそう…」
「直美さん僕も」
銀二もまた酔っていた。深くなりそうな酔いだった。二人は深い口
付けをした。お互いの手が硬く二人を抱きしめた。
「赤ちゃんができちゃうのだけは、無しね」
「はい」
二人は唇を貪りながら乱れた。直美の美しい老いた体が蛍光灯に照ら
されて光を放っていた。その体を玉の汗が滑った。
「大丈夫ですか?」
新入社員が後ろから声を掛けていた。全て夢幻だった。考えてみればそうだ。
直美の旦那さんは元気そのものだった。子供も成人したとはいえまだ家に
いる。直美も旦那さんも、相手が不倫などしたら刑務所に入るつもりだと
言うほどの熱々の夫婦だ。
銀二は予定の5分遅れで退勤した。直美のメモは裏面に何も書いてなかった。
(終わり)
549: 2009/09/23(水) 00:03:08 ID:8L+N7ge5(1)調 AAS
綺麗なおばさんが多い職場だったもんで
550: 2009/09/23(水) 06:11:14 ID:kZB6wpLA(1)調 AAS
GJ!
熟女だったので脳内で25歳引き算しちゃったよ。
551: 2009/09/28(月) 07:28:54 ID:39hfujxx(1)調 AAS
ほ
552: 2009/09/28(月) 22:20:55 ID:RITLN4I4(1)調 AAS
っしお
553: 2009/10/04(日) 21:48:07 ID:eqbrRzu9(1)調 AAS
☆ゅ
554: 2009/10/09(金) 23:10:55 ID:DoPmJavt(1)調 AAS
「――ハッ! ……きゃー!? 遅刻遅刻!!」
私は目覚まし時計を見るや否や、ベットから慌てて飛び起きる。時計はすでに八時を示していた。
「どうして目覚ましが鳴らないのよ!」
しかし今は原因を追及している場合ではない。パジャマを脱ぎ捨てながら姿見の前に。――ああ、なんつー髪型。
こんな日に限ってすごい寝ぐせがついているのはなぜなのだろう。
「あーもう! 全然髪がまとまらないじゃない!」
しばらく櫛で梳いてたが、イライラしているのと慌てているので上手くいかない。私は髪のセットを諦め、とりあえず最低限寝ぐせだけは直す。
バタバタとようやく身だしなみを終えて、一階のリビングに降りて行くと母が朝食の準備をしていた。
「もう! お母さん! 何で起こしてくれないの!」
そんな母にやつあたりだと分かっていながらも、ついつい強く当たってしまう私。
「そんなこと言ってもあなた。母さんは声は掛けたわよ」
「初日から遅刻だなんて……。ああー! 行ってきます!」
自分から突っかかって置きながら無視を決め込む。
重ね重ね言うが私には時間が無いワケ。返事している場合じゃないの。……ゴマカシテナイヨ?
「朝ごはんはー?」
「食べながら行くー!」
私は食卓にあった食パンを口に咥えて家を飛び出して行った。
私は道路を全速力で走る。ああもう、信号待ちがうっとおしい! でも、確かここから先に信号はなかったはず。
時間をちらと見ると、予想よりも早く進めてるようだ。――もしかしたら間に合うかも……
ようやく信号が青に変わる。
「いっくわよー!」
掛け声と共に発進。このまま直進、そしてそこの角を曲がれば――
ドカーン!
そんな轟音と共に私は強い衝撃を受ける。首がしなってむち打ちみたいになってしまった。とても痛い。
――何かにぶつかったみたいだ。
クラクラする頭を上げてで前を見る。男の人が駆け寄ってきた。
「――って、どこ見てんのよ!」
私がそう叫ぶとそいつは悪びれもせず、
「俺の車見てんだよ! ああ……こんなにでかい傷が……」
「ちょっと! それおかしいでしょ!」
私は車から降りるとそいつに詰め寄って行く。あ、私の車もへこんでる……修理代結構かかりそう……
「うるせー! 大体確認もせずこんな狭い道で急に曲がってくるそっちが悪いだろ!」
「うっ……。そ、それはそうだけど……私が悪いかもだけど……。だからと言って一番に自分の車の心配する!?
まずは相手の心配する方が先じゃない!?」
「い、いや……。その……それは悪かったけど――って何で俺が下手に出なきゃならないんだ!」
最悪も最悪。出会いがしらの交通事故、それが私と彼の出会いだった。
つづかない
555: 2009/10/09(金) 23:57:45 ID:ZbgElbFJ(1)調 AAS
ベタすぎる展開....
とおもいきや交通事故かww
556: 2009/10/10(土) 15:25:20 ID:6+m3cS6p(1)調 AAS
マンガやアニメにはよくあること
557: 2009/10/14(水) 13:15:05 ID:/3toAgkD(1)調 AAS
クリームがやってたベタドラマを思い出した
558: 2009/10/15(木) 01:34:33 ID:V9Zef97n(1)調 AAS
あげ
559: 2009/10/20(火) 18:21:29 ID:Ge+5Vohp(1)調 AAS
ウルトラスーパー亀だけど不器用な彼女一気に読んで泣いた
560: 2009/10/31(土) 18:16:25 ID:Wt0kkEzV(1)調 AAS
保守あげ
561: 2009/11/10(火) 21:10:12 ID:gCj3+8z7(1)調 AAS
☆
562: 2009/11/20(金) 05:01:05 ID:YRQGowxL(1)調 AAS
「……ねえ」
「なんですか?」
「どうしてここには誰もいないの?」
「去る者は日々に疎し。過去のブームではありましたが、きっと今では飽きられてしまったんでしょう」
「……」
「流行り廃れは世の常です。取り残された者達にしてみれば寂しいことこの上ないですがね」
「寂しくなんて……」
「まあ、いつか帰ってくる人もいるかもしれませんしね。人も物も、存在すること自体に価値があるんですよ」
「そうかしら……」
「きっと、そうですよ」
暖かい声でそう言うと、少年は廃墟に『保守』と書きつけた。
563: 2009/11/20(金) 18:10:05 ID:Q/Xbi9X1(1)調 AAS
やくざ娘みたいなリレーでもするか?
564: 2009/11/20(金) 18:16:21 ID:YT49UZK8(1)調 AAS
何人か居れば良いけどな
565: 2009/11/21(土) 01:18:40 ID:biaO03lV(1)調 AAS
「何人かいればいいけどな」
気恥ずかしさを隠すように言った。もちろん隠せてはいない。
彼女は何かをごまかすとき、突然男のような口調になる。
そんな事は百も承知の幼なじみからにやけ顔をされ、
やや後に意味を解して彼女は少し赤くなった。
「人前では強がりを言うくせに、一人になると寂しがる。今は恥ずかしがる。
なるほど、少女だけに強ガール寂しガール恥ずかしガール、か」
つまらない話にさえ反応して赤くなる様子をニヤニヤと見つめられていた。
566(1): 2009/11/22(日) 22:46:12 ID:Ag22ZBIF(1)調 AAS
「どうしてだれも来ないのよ!」
少女は駅前で待っていた。
彼女はクラスの中でもとびきりの美少女であったが、いかんせん気が強かった。
そんな彼女は女子の内部でも好き嫌いがはっきりと分かれていたのだ。グループの何人かは嫌っていた。
そしてグループでクリスマスパーティを開くことになり、彼女の家に集まることにしたのだ。
何人かの策略によって中止が伝えられていたが彼女は携帯電話を持っておらず、確認できなかった。
そうして待っていること一時間。雪が降り、辺りが暗くなってきたその時、一人のクラスメイトと出会った。
「これ、着なよ。俺のだから少しデカイかもしれないけど。」
小刻みに震えている彼女の肩の雪を払うと彼は学校制定コートをかける。
彼としては駅から出たらクラスの女の子が震えていたから掛けてあげただけなのだが…
彼女は冷えて赤くなった顔をさらに赤くして普段のように振る舞おうとしたが口から出た言葉は裏切った。
「アンタ、私の家に来ない?お茶くらいなら出すわ。」
そこには強気な彼女は無く、弱々しい泣きそうな彼女がいた。彼は声色を聞くとこう不器用な笑顔で言った。
お言葉に甘えて…と。そして二人は雪道を歩きだした。
567: 2009/11/27(金) 02:33:57 ID:YcVYoEYJ(1)調 AAS
過疎りすぎ保守
568: 2009/11/28(土) 18:00:55 ID:TU/rjU7d(1)調 AAS
>>566
早く続き書いてくれないと凍死する
569: 2009/11/29(日) 02:11:21 ID:KXXfTvmk(1)調 AAS
俺も
570: 2009/12/05(土) 07:32:57 ID:mDosIk1n(1)調 AAS
過疎やばいね
571: 2009/12/05(土) 07:57:21 ID:ITZD9GNi(1)調 AAS
過疎りすぎだろ
572: 2009/12/13(日) 10:48:25 ID:n+w5Z3m7(1)調 AAS
保守
573: 2009/12/17(木) 08:26:37 ID:fbls/Zys(1)調 AAS
期待age
574: 2009/12/21(月) 04:24:01 ID:4lRv1ehT(1)調 AAS
保守的
575(1): 過疎化保守ネタ 2009/12/27(日) 14:51:47 ID:5IM7JWWn(1)調 AAS
「とうとう、あいつまで出てっちゃったね…。」
右隣に座る女の子に話しかける。
今は夕暮れ時。僕らは村全体を見下ろす丘に腰掛け、二人してぼんやりと夕日を眺めている。
「あんな薄情者、東京でもなんでも行っちゃえばいいのよ。…むしろいなくなって清々したくらい。」
口ではそういうが、夕焼け色に染まる彼女の横顔は、どこか暗い。
ここは過疎の山村。今日の午前中の電車で、幼い頃からの友人がまた一人、村を出て行った。
村に残る若者は、もう僕らしかいない。
「東京のどこがいいってのよ…。あんなとこ、ただ人とゴミが多いってだけじゃない。」
と毒づくその口振りにも、やはりどこか覇気がない。
彼女は小学生の頃に、東京からこの村に引っ越してきた。
後で彼女の母親に聞いた話では、彼女は東京でいじめられていたそうで、
母親の実家があるこの村に越してきたということだった。
一度彼女が、その時のことを少しだけ語ったことがある。
「私は、あの街に合わなかったのよ、きっと。でもこの村に来れて、本当によかった。本当の自分を思い出せたから…。」
そう語る表情は、非常に照れくさそうだった。
その後、「今じゃ、村でダントツに勝ち気で逞しいもんね」とからかうと、顔を真っ赤にしながら追いかけ回されたが。
実際、この村に越してきてからの彼女は元気一杯で、その溢れんばかりの行動力で、
僕らを含めた村の子どもたちを引っ張り回していた。
そしてそんな彼女を、僕はその頃から憎からず思っていた。
…彼女はきっと、僕以上に村を愛している。
だからきっと、僕以上に寂しいんだろう。
村を否定し、村を出て行く友人たちを見送るのが、悲しいんだろう。
「ねぇ…」
彼女の横顔を見ながらそんなことを考えていたら、彼女が前を見据えたまま話しかけてきた。
「あんたも、いつか出て行くつもりなの?」
僅かに震えた声で僕に問う彼女の横顔は、いつもの強気で、
自信に充ち満ちたそれからは考えられないぐらい、弱々しいものだった。
傾きかけた日が作り出す陰翳と相まって、その姿は神秘的なまでの儚さで…。
僕は不謹慎にも、それを美しい、と思ってしまった。
と。いつまでも見とれている訳にはいかない。
しおらしい彼女もたまにはいいけれど、彼女を不安と寂しさのただ中にいつまでも置いておくのは、僕の本意ではない。
それに、僕の答えは、考えるまでもなく、とうに決まっていたから。
僕は彼女の横顔を見つめながら答える。
「…たぶん僕は、君が思っている以上に、この村のことが好きだよ。僕がいて、君がいるこの村が。」
「っ!」
最後の部分を特に強めて言うと、彼女が何か言おうとこちらを振り返ってきた。
当然、さっきから彼女の方を見ていた僕と思い切り目が合って、正面から見つめ合う形になる。
彼女は一瞬ビクッとして、開きかけた口はそのまま止まってしまう。
そんな彼女の手を取って、少しだけ強く握ってみる。
はっと息を呑んだ彼女だったが、それ以上の言葉は出てこなかった。
僕は彼女の瞳を見ながら、自分の気持ちを伝える。
この強くてか弱い、僕の大切な人に。
「僕は離れないよ。絶対に。この村からも、君からも。」
彼女はそれを聞くと、驚いた様に目を見開いて、その後少しの間俯いた。
さらに、僕が声をかけようとした途端、ぷいっと顔を背けてしまった。
彼女はその後しばらく顔を背けたまま、何も言わなかった。
だけど、むこうを向いた彼女の頬と首筋が真っ赤だったのは、夕日のせいだけではなかっただろう。
そして、彼女の肩がほんの少し震えていたのも、彼女が僕の手を強く握りかえしてきたのも…。
きっと僕の気のせいではなかっただろう。
僕らは手をつなぎあったまま、夕日が沈んでもその場に座り続けていた。
「…絶っ、対…、絶対、一生、離してやんないから…。」
彼女がしゃくり上げながらそう言って、僕に抱きついてきたのは、日もとっぷり暮れた後のことだった。
576: 2009/12/28(月) 11:25:15 ID:KsgrX3Pd(1)調 AAS
GJ!
577: 2009/12/29(火) 02:03:00 ID:Su7v68bh(1)調 AAS
取り上げてる題材が深刻すぎて素直にGJといいがたいがとりあえずGJといわざるを得ない
578: 2009/12/29(火) 02:38:15 ID:K8RhpEGt(1)調 AAS
GJです
579: 2010/01/04(月) 12:34:28 ID:JF7U3L7B(1)調 AAS
GJ そして過疎
580: 2010/01/04(月) 23:41:11 ID:ZtAQq8x1(1)調 AAS
>>575
いい話だな
581: 2010/01/07(木) 00:58:08 ID:4nBFuoCw(1)調 AAS
今日も元気に保守
582: 2010/01/07(木) 10:27:08 ID:OVTuQ84r(1)調 AAS
ベッドでは敏感過ぎる勝気少女
583: ◆/pDb2FqpBw 2010/01/07(木) 19:21:05 ID:hIxFE99Q(1/10)調 AAS
バス停から
-*-*
「や、やり方・・・ってそ、そんなの知ってるに決まってるでしょう!」
江見さんが紺色の制服のスカートの裾を翻しながら物凄く不機嫌そうに言う。
「じゃあ、どうやるの」
そう言うと江見さんは黙った。ぐぐうっと小さな手が握り締められている。
最近判ってきた。これは言うのが恥ずかしいとか、言いづらくてといった理由じゃない。
知らないのだ。
「知らないんでしょ。」
「知ってる!知ってます!」
「知らないなら知らないって言えば良いのに。」
「知ってるもの!知ってて言わないだけっ!」
はあ、と溜息を吐く。
瞬間、江見さんの額にビキビキと音を立てるかのように血管が浮く。
あー怒っている怒っている。
国内一の企業体の創立者をおじいさんに持ち、
県下一の大きな家に住んでいる一人娘で、
市内で一番ランクの高いこの学校の生徒で、学内一に可愛くて、学年一の秀才である江見桜さんは「知らない」と云う事が大嫌いだ。
負けず嫌いというよりもどちらかというとそういう生き方だと言っても良いくらいに江見さんは知らないと云う事が嫌いだ。
知らない事を知らないとは決して言わず、次の日には徹底的に調べ尽して来る。
つまりは気位が高いという事なのかも知れないけれど、江見さんは我侭ではないのでつまり何だかその行動はやたらと可愛い。
「君、私の事馬鹿にしてるでしょう。」
フランス人形のように自然な栗色の髪と色素の薄い、艶やかな白い肌がわなわなと震えている。
すっと伸びた眦を向けてきっとこちらを睨んでいる。
584: ◆/pDb2FqpBw 2010/01/07(木) 19:21:38 ID:hIxFE99Q(2/10)調 AAS
「してないよ。知らないでしょって言ってるだけ。」
「知ってる!」
「いや、多分知らないはずだよ。」
いや、多分じゃなくて絶対知らない。でなければこんな事は言わない筈だからだ。
4分前、江見さんは商店街のアーケードを帰る道すがら、僕に向かってこう言ったのだ。
「ねえ、私もそろそろフェラチオ位は君にした方が良いのかな。」
満面の笑みで。
江見さんの声は涼やかで生徒会仕込みの凛とした口調は非常に聞き取りやすく、つまりは良く通る。
向かって左側にいた八百善のオジさんはぎょっとした顔でこちらを見、右側にいたブティック山口の店先にいたおばさんは怪訝な顔をしながら振り向いた。
眼の前を歩いていたカップルの髭面の少し怖そうな男の人は振り向いた後に皆がするように江見さんの顔と制服姿を舐め回すように見て隣の彼女に抓られていたし、
斜め前を歩いていた禿頭のおじさんは振り向きこそしなかったけれど「ん!?」と声を上げ、明らかに背中をビクンとさせた。
因みに僕は口に含んでいた飲みかけのコーラを思い切り噴いた。
時計を見る。ここは田舎だからこの時間にはバスは30分に一本位しか来ない。
バスが来るまではあと15分位はあった。
夕暮れがかった日の光が柔らかく斜めに射してきていて、バス停の影が長く延びている。
最初に江見さんと帰ったのは確か、7月位だった。
僕が生徒会に入って2ヶ月位。その頃の僕には江見さんは一つ年上の、手に届かない位に凄い女の人だった。
大人っぽくて一つ一つの仕草が艶やかでカッコよくて、凛としている。
今よりもずっと日は長かったけれど、でもその日もこの位の夕焼けだった。
このバス停で立っていた江見さんを見て、挨拶するべきかしないべきかで固まっていた僕の顔を見て、
「君も、このバス停使ってるんだね。」と江見さんはそう言ったのだ。
585: ◆/pDb2FqpBw 2010/01/07(木) 19:22:38 ID:hIxFE99Q(3/10)調 AAS
@@
もしかしたら江見さんなりの好意の示し方なのかもしれない。と思ったのはそれから1ヶ月後だった。
1ヶ月連続で帰り道のバス停で江見さんと会い、
「君も、このバス停使ってるんだね。」と聞かれ続けたからだ。
僕は1ヶ月の間、毎回「そうです。」と答え続け、事の次第を今までの人生の中で一番深く慎重に考えた後に、
競馬をやった事はないけれど恐らく万馬券に全財産を掛けるのと同じような気持ちで
「明日は何時に帰るんですか?」と聞いた。
そして続けて、もし良かったら家の方向も一緒ですし、学校から一緒に帰りませんか。とそう言った。
江見さんが小首を傾げて、暫く考えるような素振りをしたから僕は焦った。
やってしまったかと思ったのだ。
江見さんのその仕草がこれといって冴えた部分のないただの偶々バス停で頻繁に会うというだけの後輩に何だかとても場違いな提案をされたといったように見えたからだ。
江見さんは暫く考えてから僕の顔を見て、
「校門にする?それとも下駄箱にしようか?
下駄箱にする位ならクラスまで迎えに行った方がいいかな?待ち合わせはどれが良いと思う?」
と、そう言ってきた。
「下駄箱やクラスは恥ずかしいので校門で待ち合わせが良いです。」
とそう言うと、江見さんはむっといつもリップクリームを塗りたてのようにつやつやとした唇を突き出して、
「そんな事は判ってる。じゃあ校門にしよう。」
と言った。
そして次の日、校門からの道すがら、江見さんはクラスや下駄箱で待ち合わせをした場合にいかに男の子が恥ずかしいと考えるかと云う事を小説や映画なんかを引き合いに出しながら滔々と熱く語り、その勢いはバス停でもバスの中でも留まる事を知らず、
最後に江見さんはバスを降りる僕に向かって
「・・・という事を私はちゃんと知っているからね。じゃあまた明日。」
と締め括った。
586: ◆/pDb2FqpBw 2010/01/07(木) 19:23:25 ID:hIxFE99Q(4/10)調 AAS
@@
僕と江見さんが付き合っているのか。というとこれは難しい。
はっきりと付き合っているとは言い切れない。
つまり僕は江見さんの事がとても好きだけれども好きだと言った事はなく。
江見さんが僕の事をどう思っているのかもはっきりと聞いた事はない。
でも毎日一緒に帰るし、たまに電話もするし、休日に遊んだりもする。
そして一度だけキスをした事もある。
つい最近の事だ。1週間前、土曜日に一緒に遊園地に行った時に
最後に乗った観覧車の一番てっぺんで、外を見ている江見さんの横顔が本当に綺麗で、
思わず僕からそうしてしまったのだ。
ゆっくりと顔を近づけたから、避けようと思えば避けれたと思う。
でも僕の顔が江見さんに近づいていって、ついにはちょん、と唇同士がくっつくまで江見さんは僕の顔を見つめ続け、
そしてちょん、と一瞬だけ唇がくっ付いた後、僕は恥ずかしさで俯いてしまったから江見さんがどうしていたかは判らない。
でも帰り道で江見さんはひたすら僕に恋愛映画とキスとその結果としての結末の関連性を説き、
名作ほど最初にキスをした相手と結ばれる可能性が高いと言った。
僕はそれが江見さんなりの照れ隠しのように思った。
そして何故江見さんがそんな事を知っているのかどうかについては深く考えると顔がにやけてしまいそうなので考えない事にした。
587: ◆/pDb2FqpBw 2010/01/07(木) 19:23:53 ID:hIxFE99Q(5/10)調 AAS
@@
「じゃあ、今ここでしてくれる?」
夕暮れのバス停で僕の隣に立つ江見さんにそう言うと、
江見さんは顔を真っ赤にさせて眦を上げてきっと僕を見上げてからぷいと顔を逸らした。
「君が意地悪を言うから今日はしない。でも明日ならしてあげてもいいけどね。」
つんと顎を上げる。背筋がぴっと伸びているからそうは見えないけれど、
こうして並ぶと江見さんは僕の顎の辺りまでしか身長がない。
多分150Cmかそれ位だ。
「そっか、でも寝転がったり座ったりする場所がないと難しくないかな。」
そう言うと江見さんはひゅんと音を立てるように僕の方に顔を回してきた。
目が猫みたいに爛々と光っている。
江見さんは学校では表情をあまり出さない方だけれど実はよくよく見ると結構表情豊かだ。
今のこれは引っかかったな。という顔だ。
「それは・・・あそこですればいいよ。」
と言ってバス停横のベンチを指差す。このバス停は大通りから一本逸れた所にあるのだけれど、ベンチは人通りの多い大通りの方を向いている。
田舎とはいってもこの時間帯なら人通りは途絶えない。
「寝てするよりも座ってする方が私は得意。」
江見さんはうんうんと頷きながらそう言う。
588: ◆/pDb2FqpBw 2010/01/07(木) 19:24:15 ID:hIxFE99Q(6/10)調 AAS
「でも、少し恥ずかしくないかな。」
きゅん、と音を立てるように江見さんの視線が僕を射す。
長くて綺麗な睫の奥で虹彩の綺麗な瞳がくるんと回って江見さんの口が開く
「確かに少し恥ずかしいかもしれないけど。でも・・・」
一拍置かれる。
考えてる考えてる。
恐らく今江見さんの頭の中では僕と一緒に学校から帰り始めた頃の事が回っているに違いない。
多分僕がクラスまで迎えに行くのが恥ずかしい、と言った件について。
「・・・私はそんなに恥ずかしいと思わないから。」
「そ、そうなんだ。」
「・・・いや、恥ずかしいのは恥ずかしいけど。そんなに気にする必要はないと思う。」
「そっかあ。」
と僕は答える。
アスファルトの向こうからバスがゆっくりとやってきて、タイヤの音を鳴らしながら僕達の前に止まる。
プシュー、と空気の漏れる音を出しながらバスのドアが開く。
僕と江見さんはバスに乗る。
589: ◆/pDb2FqpBw 2010/01/07(木) 19:24:38 ID:hIxFE99Q(7/10)調 AAS
@@
5人しか乗っていない、がらんとしたバスの中で江見さんが窓側、僕が通路側に隣り合って座る。
このバスだと僕の方が早く降りる。
ちなみに江見さんは1年生の時は車で送り迎えをして貰っていたそうで、
バス通学に変えたのは今年の7月からだそうだ。
江見さんの耳元に口を寄せる。江見さんがん?と言う感じに顔を寄せてくる。
「・・・さっきのだけど、僕もした方が良いかな。」
江見さんの瞳がくるんくるんと回る。
つん、と細い顎を突き出すようにして、そこに左手の人差し指を縦にして当てる。
ただ今考えてますのポーズだ。
それから、江見さんは江見さんにしては珍しく、少しだけ首元と頬を紅くして言いよどんだ。
「まずは私の方からしてあげたいんだ。この前は、君からだったし。」
だから、今度して貰っても良いけど明日は私から。と江見さんは言った。
僕はとても嬉しかった。江見さんのこの前は、が差すものが何だか判ったからだ。
「でもやっぱり外だと、恥ずかしいかもね。」
ヒントに近いかもしれない。やりすぎかも。
江見さんがん?といった感じで今考えてますのポーズに戻る。
江見さんの向こうの窓の外で景色が後ろに向かって飛んでいく。
夕日が江見さんの綺麗な長い髪の毛の上で光る。
590: ◆/pDb2FqpBw 2010/01/07(木) 19:25:23 ID:hIxFE99Q(8/10)調 AAS
「・・・じゃあ、・・・」
言いかけてつっかえる江見さんに
「僕も良く判らないけど部屋、とか。」
そう言うと、僕の顔をちら、と見てくる。
「落ち着いた所の方が良いと思う。」
たっぷり5秒は間を置いてから江見さんはいかにも私の考えていたとおり、といった感じで頷いた。
「そうだね。焦ってするものではないし、私も部屋の中の方が良いかもとは思ってたんだ。」
江見さんは何度も頷く。
そして、じゃあ明日、夕食を食べにくれば良い。と僕に向かって言った。
江見さんの信じられない位に大きな家には一度行った事がある。
本当にいるかどうかは判らないけれど執事がいるような家だ。
ちなみに近くに牧場があってそこには羊がいる。牛もいる。
江見さんのお父さんはいかにも大人物、という貫禄たっぷりの人で、
しかしやっぱり江見さんのお父さんでその表情から僕に対する隠そうとしても隠し切れないとてつもない警戒心が丸見えで
(「お友達。そうか、そうか。お友達。そうか。いや、桜が男の子を連れてくるなんて初めてで、私は嬉しいんだよははははは。」)、
僕は江見さんと同じようにそのお父さんの事も一発で好きになった。
591: ◆/pDb2FqpBw 2010/01/07(木) 19:26:18 ID:hIxFE99Q(9/10)調 AAS
僕の降りるバス停に向かってバスが減速する。
江見さんの方を見るとつい、と視線を逸らす。
いつも江見さんは別れ際に寂しそうな顔をしてくれる。
そしてそれを見せないように顔を背けて、座ったまま「じゃあね。」と言う。
でも今日は違った。江見さんは僕と一緒に立ち上がった。
そして降り口の所まで一緒に来て、そっと僕の耳に口を寄せてきた。
「フェラチオ、楽しみにしてていいからね。」
シルバーシートに座っている90歳位のおじいさんが不思議そうに僕達を見た。
おっと、と江見さんが口を抑える。
嬉しそうに笑う。
ばいばい、と手を振ってくる。
地面に降りてから僕はバスに向かって向き直る。
僕も凄く楽しみにしてるよ。という風に笑って頷く。
そして今日の夜は絶対に江見さんからの電話には出ない事を心に決めてから、
僕は動き出したバスの中で勝ち誇った表情で僕を見ている江見さんに向かって手を振った。
電話で言い訳も出来ずに困り果てた明日の江見さんの表情が楽しみだ。と考えながら僕は家に帰る。
僕には少し計画があって、さんざんからかった後で、僕は江見さんの事を桜さんと呼びたいと考えている事を伝えるつもりだ。
僕の計算なら江見さんは小首を傾げるかもしれないけれど、今考えてますのポーズはしないでくれると思う。
きっと思い切りもったいぶった後で許してくれるんじゃないかなと思っている。
了
592(1): ◆/pDb2FqpBw 2010/01/07(木) 19:32:54 ID:hIxFE99Q(10/10)調 AAS
-*-*
以上です。
では。
593: 2010/01/07(木) 21:10:39 ID:VFapGP4X(1)調 AAS
一番槍GJ!
なかなか無いタイプの展開ですね
続きはあるのでしょうか
594: 2010/01/07(木) 21:25:07 ID:MKdUDWDO(1)調 AAS
GJ!
続きまってる
595: 2010/01/08(金) 12:51:54 ID:t01YhPx+(1)調 AAS
>>592
是非!続編をお願いしますね
とっても良かったです
596: 2010/01/09(土) 07:20:50 ID:8xd/jhq0(1)調 AAS
>>583-592いいねー
597: 2010/01/10(日) 13:48:52 ID:mJWr4FlV(1)調 AAS
亀レスだが
>>272
泣かせてもらった。っていうかどっぷり読み浸かっちまったじゃねーか
課題やる時間を返せw
598: ええと 2010/01/12(火) 00:57:05 ID:uMWNxo2Z(1)調 AAS
昔読んだエロ漫画の脳内再現ssでもいいですか?
599: 2010/01/13(水) 23:14:27 ID:g5tITIlN(1)調 AAS
無問題
600: ええと 2010/01/14(木) 23:45:52 ID:uhbt643f(1/3)調 AAS
>599
ありがとうございます。
601: ええと 2010/01/14(木) 23:54:47 ID:uhbt643f(2/3)調 AAS
いつからか、気づけばそのドラゴンは国の脅威となっていた。
体長は南の山をはるかに超え、吹く炎は北の湖を干上がらせる。
気まぐれで動かす体に、国民の誰彼ともなく犠牲になる。
このままでは国が滅びるのも時間の問題だった。
「どこから来たのだ……あの忌まわしい魔物は」
王の苦悩は深く、もはや取るべき手段は一つしかなかった。
「お触れを……出せ」
王はついにそれを決意する。
出来れば選びたくなかった道。
たった一つの宝物を手放す決断。
「国を滅びすドラゴンを、倒したものに――」
けれそその瞳はもう迷ってはいない。
「姫を与える、と――」
602: ええと2 2010/01/15(金) 00:01:26 ID:uhbt643f(3/3)調 AAS
姫の齢は15。
幼少のころより、その美貌が際立っていた。
麗しいブロンドに、整った顔立ち。
若くして亡くなったお妃と瓜二つとの評判だ。
数少ない国中の猛者はすぐにその気になった。
我こそはと、ドラゴンに立ち向かう。
けれど結果は思わしくなかった。
あるものはその炎に焼かれ、あるものは胃の腑に収められる。
姫をその手に入れられるものは、なかなか現れることはない。
王は、半ば喜び落胆し、姫は無表情に城下を眺める。
そこにはかつてののどかな風景はなかった。荒れ果てた土地。
ただそれだけが広がる。
603: ええと2 2010/01/15(金) 00:06:40 ID:k4AWO0/F(1/5)調 AAS
けれどついに現れた。
憎きドラゴンを倒す猛者が。
「王様、約束通りおいらに姫を与えてください」
どこの馬の骨かとわからない猛者は、体など一度も洗ったことのない不潔な男だった。
姫はその男を一目見るなり絶望し、病に伏す。
王は、そんな姫を愛しく思うが、一度出したお触れをなかったことには出来ない。
仕方なく、姫は男と城を出る。
――それが忌まわしい運命の始まり。
604: ええと3 2010/01/15(金) 00:13:41 ID:k4AWO0/F(2/5)調 AAS
「さあ、姫様、これで今日からおまえさんはおいらのものだ」
最初の夜、姫が連れて行かれたのは、隣の国との境目の、藪の中だった。
「こちとら、何年もドラゴンを追ってたんだ」
男はにやりといやらしい表情を浮かべる。
「この日のためにな……」
そして小さくつぶやく。
「容赦はしないぜ」
運命に逆らうつもりのなかった姫は、そこで初めて小さく悲鳴を上げた。
「ほら、どうした?」
――小一時間後、男は満足そうに笑う。
「姫さん?」
そこは先ほどと変わらぬ藪の中。
ただし、姫は、すでに破瓜の痛みを味わっていた。
「どんな高貴なお姫様も、酒場の女とおんなじだな」
男は満足げに笑う。
「たいしていい味ではないわ。これなら酒場の安女のほうが扱いやすい分、ずっといい」
605: ええと3 2010/01/15(金) 00:18:53 ID:k4AWO0/F(3/5)調 AAS
「ふ、ふざけるな」
姫は初めて言葉を漏らした。
一糸まとわぬ裸で。
その胸は、まだふくらみが足らず、恥部の毛も生えそろってはないかと思う未成熟な体。
先ほど、生まれて初めて男を受け入れたとは思えぬ、初々しさがあふれている。
姫は、気丈な表情を変えずに言う。
男はひゅう、と口笛を吹く。
姫は男に向かってこう言った。
「わらわは、誰ぞ?」
男の股間は再び盛り上がる。
「わらわは、姫ぞ。その辺の女と一緒にするでない」
男は笑った。
「姫さん、あんた、わかっていないよ」
606: ええと4 2010/01/15(金) 00:20:22 ID:k4AWO0/F(4/5)調 AAS
「姫でもだれでも、濡れる場所は一緒だ」
「一緒?」
607: 春菜5 2010/01/15(金) 01:38:21 ID:k4AWO0/F(5/5)調 AAS
男は姫の未成熟な胸をわしづかみにした。
「痛……」
姫の、小さな悲鳴が漏れる。今までそんな使いは受けたことがないのだから無理はない。
「ふん」
男は、垢のたまった爪で姫の乳首をいじりだす。
「え……や……や」
姫は、電流に似た快感を初めて味わう。
「ほう、感じるのか」
両手でもみしだく。
「く……」
わずかながら腰をくねらせた。
「これは見込みがあるのかも知れなないな」
男は不敵に笑った。
つぎの日、男は藪の中の木に姫の手足を縛ったまま、出かけた。
「ど、どうする気だ?」
初めて姫が不安げな瞳を見せた。
「どうもしない。このまま放っておくだけだ」
姫は昨日から服を着せてもらっていない。一糸まとわぬまぶしい裸体を藪の中で晒している。
「でも、もしかして、魔物や獣が来たら……」
「そのときは、姫さん、あんたの寿命が尽きたと思って諦めな」
「そんな……」
「おまえさんは、商品として、オイらに与えられたんだ。どうしようとおいらの勝手だ」
そう言い捨てて、男は立ち去った。残された姫は、両手両足を、開いたままの恰好で、藪に捨てられた。
――乳房と股間にたっぷりと蜜を塗られて。
「や……やめて」
初めに来たのは、狸の親子だった。
姫に気づき、はじめはおびえる様子を見せたが蜜の匂いに気づき、近づいてきた。
姫の手足は厳重に縛られている。
「や……あ、はう……く、ふう」
秘所に下を這わせる小動物に姫の声は漏れる。
「や、やめて…」
ちろちろ……子たぬきの下は止まらない。
乳首は右のほうが敏感なようだ。こしが、びく、びく、と動く。
「…あああああああ」
突然、絶頂に達したのか、背中をのけぞらして、姫がぐったりとする。と、そこへ、どこから見ていたのか、男がにやにやした顔で現れる。
「姫さん」
「……おまえ、見ていたのか……まさか」
「姫さん、あんな獣に、いっちまいましたね。ははっ。これはお笑いだ。高貴な生まれの姫様が、あんな獣に」
「……」
羞恥で黙りこむ姫に男は、さらに蜜を塗る。
「ひゃ……な、何を?」
「心配しなさんな。乳首はまだ立ってますね……おや、ここも濡れてる。ものたりないんじゃないですか」
608: 2010/01/15(金) 15:06:39 ID:WB4m6p1E(1)調 AAS
紫炎
609: 2010/01/16(土) 13:26:57 ID:PF8QVDcO(1)調 AAS
お
610: 2010/01/16(土) 19:54:48 ID:TfTXqQgI(1)調 AAS
っ
611(1): ええと 2010/01/16(土) 20:25:56 ID:VREnrREU(1)調 AAS
あれ。
反応あり、なのかな?
必要なら続き書きますけど、初ssなんであまりエロくないかと。
希望のシチュあればどうぞ。
612: 2010/01/17(日) 01:30:23 ID:c8e2NGRq(1)調 AAS
>>611
書きたいように書いてくれ。
613: 2010/01/20(水) 22:53:44 ID:Z7bwhNPy(1)調 AAS
burn
紫炎
614: ええと6 2010/01/24(日) 01:49:52 ID:AbKWKTeB(1/2)調 AAS
「な、なにをするのじゃ……」
姫の目はすでに涙で濡れている。
「濡らす場所が違いますよ」
男は容赦なく笑い、蜂蜜を体中に塗りたくる。その間、問わず語りに語る。
「初めての男がわしのような不潔な男で、初めていかされたのがあんな獣で」
「……」
「それでも姫さんはまだ自分の事を他の女と違うといいますか」
返事は早かった。反射的に姫はうなずいた。そういう教育しか受けてこなかったのだ。
「……そうですか」
男の眼が暗く染まる。
「なら」
立ち上がったその手には見慣れない道具が握られていた。
「わしも本気を出しますぞい」
縄になど縛られたことのない、姫の手首には生傷が既にできていた。痛みにいまでも涙が出る。
でも、それすらまだ、ましだと思える――地獄の初まりだった。
615: ええと7 2010/01/24(日) 02:22:17 ID:AbKWKTeB(2/2)調 AAS
「姫さん」
男は箱のようなものから、黒い塊を取り出した。
「わしのような中年の男が、なんでドラゴンを倒せたと思う?」
「え?」
姫は嫌な予感がして目をあける。
「こいつの……おかげさ」
黒塊はねちゃねちゃとした「何か」に形を変えていた。男はそれを姫の体の上に乗せる。
「……いや」
初めてそんな声が出た。
「おや、杯めて弱音を吐きましたね」
「……」
「またダンマリですか? 泣いて、やめて下さいと言えば、こいつは箱に戻りますよ」
ぬちゃ。
姫の腹の上で、そいつはどこに進もうか悩んでる。
丸い蛇。
おかしな言い方だが、それがぴったりくる。
黒くて、丸い蛇。
それも、形を自由自在に変えられる。
「……ひ!」
「時間切れだ」
姫が懇願する前に、それは姫の乳房に狙いを定めた。ロープのように細長く形を変えて、両の乳房をギリギリと締め付ける。
「痛い……」
涙声でつぶやいた。
「良くなりますよ」
男は少し離れた所から見守っている。片手で自分自身のそれをしごきながら。
「お願い……許して」
「いやですよ」
そっけなく断られて、姫はついに頬に涙を流す。
「痛い……」
「痛いだけじゃないです」
男の息遣いは荒い。
「腰を浮かせてみなさい。もう少し楽になりますぜ」
姫は素直に従う。黒い蛇はすかさず陰部へ移動した。
姫の秘所に狙いを定めてつつきだす。あらかじめ塗ってあった蜂蜜が甘く粘る。
616: 2010/01/24(日) 16:32:21 ID:/3W4Up+y(1)調 AAS
書いてくれるのは嬉しいが
ある程度書きためて投下の前後に挨拶(投下します、以上etc)してくれるといいかも
617: 2010/02/01(月) 18:00:08 ID:EZc6IDWd(1)調 AAS
マダァー? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
618: 2010/02/12(金) 22:01:20 ID:yit0uyVk(1)調 AAS
ageないけどほす
619: 2010/02/18(木) 08:13:27 ID:1SXNXFMV(1)調 AAS
待ち。
620: 2010/02/23(火) 03:24:11 ID:qDGixq3u(1)調 AAS
保守あげ
621: 2010/03/01(月) 15:36:13 ID:PC30MYRl(1)調 AAS
保守
622: 2010/03/08(月) 06:54:02 ID:eyZdMuEQ(1)調 AAS
まだ待ち。
623: 2010/03/20(土) 17:50:57 ID:ROaSybg5(1)調 AAS
保守
624: 2010/03/31(水) 16:04:31 ID:5WvgfM4t(1)調 AAS
保守
625: 2010/04/09(金) 22:27:13 ID:4Z9IqbCx(1)調 AAS
捕手
626: 2010/04/16(金) 02:07:36 ID:B23PwTjO(1)調 AAS
不器用な彼女の生還ルートを希望しつつ保守
627: 2010/04/18(日) 13:28:18 ID:EtgM7mEl(1)調 AAS
それは俺も読みたい
628: 2010/04/29(木) 01:30:22 ID:gJH+q6OE(1)調 AAS
頭を撫でるのがスイッチな強気っ子
629: 2010/05/04(火) 23:23:10 ID:lRcF2Jez(1)調 AAS
いいと思います
630: 2010/05/20(木) 10:01:25 ID:G63QVM7K(1/13)調 AAS
保守ついでに投下させていただきますね。
631: おとなりのお嬢様 2010/05/20(木) 10:03:45 ID:G63QVM7K(2/13)調 AAS
「小玉ヶ丘高等学校から来た神尾凛と申します。よろしくお願い致しますわ」
クラスの大半の男はその姿に見惚れ、
クラスの大半の女はその姿に憧れと嫉妬の眼差しを向けている。
担任の岡田の話によると、この転校生はとある会社の社長令嬢らしい。
よく漫画やアニメで同じような場面を見て"こんな展開あるわけねえだろ"などと思ったことがあるが、
実際ありえない話でもなかったんだな……。
そんな風に思いながら俺は再び転校生を見る。
ストレートのロングヘアー、前髪は程よく整っている。
髪の色は黒。まあ日本人なのだから当たり前といえば当たり前か。
ちょっとつり気味の凛々しい目、シミ一つない白い肌。引き締まった唇。
なるほど、野郎共の瞳がハートマークになるのも頷ける。
点数を付けるなら満点をくれてやってもいい。
「えーと、席は……確かそこは空席だったよな?」
そう言って岡田が俺の隣の席を指す。
「ああはい、そうです」
俺が返事をすると、岡田は転校生に隣の席に座るよう指示をした。
転校生のお嬢様は、隣の席までゆっくりと歩きそのまま椅子を引いて座った。
晴れてお嬢様の隣同士となった俺に、クラス中の男子からの視線が突き刺さる。
"呪われろ"、"クソ虫野郎"、"ゴミクズ"、挙句の果てには"死にさらせ"という呟きまで聞こえた。
俺がお前らに何をしたというんだ。
まあ、あんな嫉妬丸出しの呟きなんて気にしない。
俺は隣のお嬢様に声を掛ける。
632: おとなりのお嬢様 2010/05/20(木) 10:05:23 ID:G63QVM7K(3/13)調 AAS
「あ、俺は野上雅也っていうんだ、よろしく」
一応、今日から同じクラスとなるんだ。
仲良くしておいて損はない。
しかし、お嬢様はそんな俺をチラリと見てすぐに前を向いた。
シカトですか、そうですか。
お嬢様にとって俺は道に転がってる石のような存在なんでしょうね。
転向早々この俺に喧嘩を売ってるわけですね。ちくしょうめ。
辺りから"プギャー!"とか"ざまぁwww"といった俺をあざ笑う声が聞こえてくる。
空中に吊るしてやろうか。
―キーンコーンカーンコーン―
お決まりのチャイムが鳴り、1時限目の授業が始まる。
担当の教師が来て、教科書を開くよう指示をする。
―いかんいかん。
こんな高飛車な女やバカ丸出しの罵倒に構ってる場合じゃない。
俺は机から教科書を取り出し、指示されたページを開く。
頬杖をつきながら教科書を見ていると、何やら隣から声が聞こえてきた。
「ちょっとあなた。私この学校の教科書を持ってないの、見せていただけないかしら?」
うん、きっと気のせいだ。
俺の隣の席には誰も居ない。だって空席だもの。
断固無視。
「ちょっと、聞いてるんですの!?」
はいはい無視。ハナクソほじっちゃお。
633: おとなりのお嬢様 2010/05/20(木) 10:06:36 ID:G63QVM7K(4/13)調 AAS
「……あなた、もしかして耳が遠いのかしら?」
まったく、うるさい女だ。自分からシカトしてきた癖に、自分がされるとこれか。
さっきのシカトされた恨みを込めながら、俺は思いっきり皮肉を込めて言ってやった。
「おや? 私の名前は"あなた"じゃありませんよ。さっき自己紹介しませんでしたっけ?」
語尾に(笑)を付けるかの如く馬鹿にした口調で、さらに続けてやった。
「IQのお高いお嬢様は、自己紹介してきたお相手のお名前も覚えられないのでございますか?
それとも、お耳がお遠くなっているのでございましょうか? それならば、良い耳鼻科をご案内致しますよ」
と一気に捲くし立てて、俺は視線を教科書に戻した。
確認したわけじゃないが、きっと顔を真っ赤にして震えてるに違いない。
ああいい気分だ。爽快だ。人をコケにするからこうなるんだ。因果応報ってやつだ。
「……それは大変失礼致しましたわ。では改めて野上さん、教科書を見せていただけませんこと?」
若干声が上ずっているように聞こえた。オホホホホ。くやしいのうくやしいのう。
まあ、あまり虐めて泣かれでもしたら厄介だ。これくらいにしてやろう。
俺は教科書をお嬢様の見える位置に移動させた。
「どうも」
そう言ってお嬢様は俺の教科書を覗き込んだ。
そして俺の教科書を見た瞬間、お嬢様は"ぷっ"と笑いを堪えるような声を上げる。
一体どうしたというのだろうか。俺は教科書を隅から隅まで見回した。
ふと歴史の人物画を見ると見事にラクガキされた跡があった。
「……あなた、こんなものを教科書に書いてて恥ずかしくないんですの?」
お嬢様は明らかに見下した目で俺を見ている。
さっきの笑い声はラクガキに笑ったんじゃなく、ラクガキをした俺を笑ったに違いない。
しかしこれは誤解だ。これは俺がやったのではない。
いくら俺でも高校生にもなって教科書の人物画にラクガキする程子供じゃない。
おそらく、弟が俺の教科書を勝手に覗いてラクガキしたんだろう。
しかし、"これは弟がやったんだ"なんて言っても言い訳がましい。
ああああ、どうしたものか。俺顔真っ赤。
634: おとなりのお嬢様 2010/05/20(木) 10:07:31 ID:G63QVM7K(5/13)調 AAS
「あら、ここにも落書きがありますわね。貴方の知能指数の低さが伺えますわ」
と言いながら鼻で息をしながら俺を見下した表情で見つめてきた。
コノ・ペチャパイ・ヤロウ。ドウシテ・クレ・ヨウカン。
今まで殴りたくなった男や実際殴った男は何人もいたが、殴りたくなった女はコイツが始めてだ。
もしこいつが男だったら、今頃マウントポジションでフルボッコにしているだろう。
しかし、悲しいことにこいつは女なのだ。
さすがに女をフルボッコにしたら、クラス中から非難を浴びるだろう。
そして、変態リョナDV男とか卒業するまで言われ続け、俺の学園生活は終了を迎えることになる。
ここは男らしくグっと堪えなければ。
「実は俺、こういう人物像とか人物画を見ると、つい落書きしちゃう病気でね。仕方がないんだよ、うん」
「あらまあ、そうでしたの? あなたに相応しい病気ですわね。早く治るといいですわねぇ」
「ははは、なるべく早く治るように頑張るよ!」
ちなみに脳内では既に1000回くらいこの女を殴っている。
『もういいよ、現実でも殴っちまえ。』
そう囁くのは本能むき出しの俺。
『女を殴るのはやばいだろ、常識的に考えて……。脳内だけにしておけ、な?』
そう囁くのは冷静沈着な俺。
『ここは放課後に弁当の食べ残しとゴミを、こいつの机の中に入れて復讐するというのはどうか』
そう囁くのはどこか逝っちゃってる俺。
まあコイツの意見を選ぶと大抵ロクな結果にならんので無視する。
とりあえず今は冷静沈着な俺の意見に従っておこう。うんそうだ、それがいい。
「治療の方頑張ってくださいませ。悪化したら大変ですわ」
ははは、殴りてぇ……。
しかし、待て俺。まあ待て。
635: おとなりのお嬢様 2010/05/20(木) 10:08:33 ID:G63QVM7K(6/13)調 AAS
よくよく考えればこういうお嬢様タイプと仲良くなって損はない。
金持ちは傲慢で嫌味な分、心が広いところがある。
事実、小学生の頃に金田というボンボンがいたが、そいつは嫌味こそ多かったが心は広かった。
奴の家に行けば高級な菓子などが食べられたし、古くなったオモチャをくれることもあったし、
奴のオモチャを壊してしまった時は「どうせ新しいオモチャ貰えるからいいよ」とあっさり許してもらった。
このお嬢さんもきっとこういうタイプに違いない。
ならば傲慢な態度など気にせずに仲良くなっておくべきだろう。
うまくすれば金目の物を貰えるかもしれない。
「おい野上! 聞いているのか!」
「……うぇあ!? な、なんすか先生」
脳内世界から、急に現実世界に戻された俺は間抜けな返事をしてしまう。
どうやら先生が俺に何か問題を出していたようだが、全く聞いていなかった。
やばい、どうしよう。俺赤っ恥。
「先生、私が代わりにお答え致しますわ」
お嬢様はそう言って席を立ち、俺の代わりに先生の問題に答えた。
まるで教科書に載っている模範解答のような完璧な答えを出し、先生を唖然とさせていた。
お見事でございますなぁ、お嬢様。
更にクラスメイトの好感度が上がったようでございますなぁ。
ただ、俺の好感度は急落しているようですなぁ。俺涙目ですなぁ。
"かっこわるw"とか"あいつダサくない?w"とか俺を失笑する声が聞こえてくるのは気のせいと思いたいですなぁ。
「あの、先生……。俺ちょっとお腹が痛いんで便所いってきます……」
そう言って俺は便所に行くふりをして屋上へ向かった。
636: おとなりのお嬢様 2010/05/20(木) 10:09:26 ID:G63QVM7K(7/13)調 AAS
「うおー!うがー!ぬあー!!」
屋上のど真ん中で一人、頭を抱えてゴロゴロして悶える俺。
傍から見ればキモイことこの上ないだろう。
人生でこんなに腹が立ったのは生まれて初めてだ。屈辱だ。ちくしょう。
ストレス発散に屋上の柵をガンガン蹴って殴る。脚と拳が痛くなるだけだった。ちくしょう。
たまたま見回りをしていた先生に見つかって、こっぴどく叱られた。ちくしょう。
たった一日で、ただでさえ低かった俺の評価がさらに下がってしまった。俺さらに涙目。
5時限目の授業終わり、HRの前の休み時間では、お嬢様の周りにすっかり人だかりができていた。
無論、隣の席に座っている俺は、石ころのように無視されている。
たった一人、デブスの女が話しかけてきたが、"邪魔だから消えろ"みたいなことを言ってきた。
全力で殴りたかったが、こいつも一応女だったので我慢し、
デブスの席の椅子と机を接着剤で固定するという地味な復讐をして鬱憤を晴らした。
ついでに机の中に食べ残しが入ったコンビニ弁当を入れておいた。
―キーンコーンカーンコーン―
そして放課後。俺にとって悪夢のような1日は終わりを告げた。
もう今日は何もしたくない気分であった。
早く帰ろう。おうちに帰ろう。おいしいおやつを食べて、
ホカホカご飯を食べて、暖かい布団で眠ろう。そして悪夢のような1日にバイバイしよう。
颯爽と昇降口を出て、校門へと足を運んだ。
そして、校門を通過したところで、何者かとぶつかった。
「きゃ!」
幸い、体格が良い俺は怪我ひとつせずにすんだが、
代わりにぶつかった相手が転倒して尻餅をついたようだ。
まあ別にどうでもいい。適当に謝って早く帰ろう。
「ごめん、すまん、失礼。それじゃ!」
あれ、さっきの人、どこかで見た気がするなぁ?
いや、きっと気のせいだ。さあ早く帰ろう。
637: おとなりのお嬢様 2010/05/20(木) 10:10:36 ID:G63QVM7K(8/13)調 AAS
「ちょっとお待ちなさい! それで謝ったつもりですの!?」
しかし、手を掴まれて強引に静止させられた。
気のせいと思いたかったが、やはり相手はあのお嬢様だった。
何この少女漫画みたいな展開。ねーよ。
「……あら、あなたでしたの。凄い偶然ですわね」
お嬢様が"お前、わざとぶつかっただろ"と言いたげな視線を送ってきた。
本当に偶然ぶつかったのだが、信じてもらえそうにもない。
何とか上手くやり過ごそうと考えていると、
お嬢様のスカートで何かがもぞもぞと動いているのを発見する。
「……お前、スカートになんかついてるぞ」
「あら、一体何がついていると言うのかしら?」
お嬢様は鼻で笑い、スカートを見ようともしなかった。
「いやいや見ろよマジで。イモ虫みたいのがついてんだけど」
「む……し……?」
ピクリと反応させると、お嬢様はおそるおそる自分のスカートを見た。
そして小さな尺取虫がついてるのを確認すると、ピタリと動きを停止させた。
お嬢様の顔が青ざめていく。
「ひっ……」
そして体をプルプルと小刻みに震わせて、大きな悲鳴を上げた。
「い、いやぁぁあああああ!」
「ちょ、どうし」
「虫! 虫嫌い! 取って、取ってぇぇぇえええ!」
尋常じゃない取り乱し方に、俺は思わず後ずさりする。
お嬢様は思い切り体を動かしているが、尺取虫はうんともすんとも言わない様子で
よっこらせっくすとスカートの道をよじ登っていた。
638: おとなりのお嬢様 2010/05/20(木) 10:12:27 ID:G63QVM7K(9/13)調 AAS
「な、何をしてるんですの! 早く、早く取って下さい! お願い! やぁああ!」
半ば懇願するように俺の手を取ってスカートまで持っていく。
「ちょ、おま! 落ち着けって!」
「やぁああ! 早く! 早く取って! お願い、取ってぇ!」
お嬢様は、俺の手を取りながらスカートを捲り上げた。
パンチラとかそういうレベルではない。丸見えだった。
ていうか何をしてくださってるんですかこの人。
「いやいやいや! 取るから落ち着け! お前自分が何してるかわかって」
「お、お願い……早くして……早くぅ……」
だめだこいつ……。早いところこの尺取虫を取っ払おう。
スカートの端にくっついていた尺取虫をつまんで、草むらに捨てる。
たったこれだけのことで、スカート捲り上げるか? おかしいだろ……。
「おい、虫取れたぞ。早くスカートを元に戻せよ!」
さすがにお嬢様のパンツをいつまでも見ているわけにもいかずに、
視線を微妙に逸らしながら言った。
しかし、このシーンを客観的に見るとスカートを捲り上げている
パンツ丸見えのお嬢様を俺がセクハラしているようにしか見えないだろう。
「おい! 一体どうし……た……」
そして、お嬢様の悲鳴を聞いて駆けつけた教師に都合よく今のシーンを目撃される。
俺、どうみても変態です。本当にありがとうございました。
「……さて、野上。先生と一緒に生徒指導室まで行こうか?」
「全力でお断りします」
キリっとした瞳で断る。俺は何も悪くない。
639: おとなりのお嬢様 2010/05/20(木) 10:13:32 ID:G63QVM7K(10/13)調 AAS
「なぁに、遠慮するな! 夜まで徹底的に話し合おう! お前の父さん母さんを交えて!」
「トウサンとカアサン、旅行で出かけているヨ」
「はっはっは!嘘はいかんなぁ! さあ、行こうか! ご両親に迷惑かけちゃいかんぞぉ!」
「嫌だぁぁあああー―――! 行きたくないー――――ッ!!」
ずるずると教師に引きずられ、そのまま校舎の方へ強制的に移動させられる。
お嬢様の周りには人だかりが出来ていた。何やら慰めと怒りの声が聞こえてきた。
どうやら俺は変態のレッテルが貼られることになるようだ。
ああ、終わった。俺の高校生活終わった。ていうか俺何もしてないんですが。
意気消沈しながら、地獄の裁判所へ送られようとしている所に、救いの手が伸びた。
「ま、待って下さい先生!野上さんは、その……」
人ゴミを掻き分けて、お嬢様が駆け寄ってくる。
「ん、どうした?」
「あ、あの、野上さんはただ……」
お嬢様は説明しにくそうにオロオロしていた。
自分からパンツ見せたんだから、説明しにくいのだろう。
ていうか、説明なんてどうでもいいから、早いところ誤解をといてくれ。
「わ、わたしのスカートについてた虫を取ろうとしただけで、やましいことは、何も……」
「そ、そうなのか?」
「は、はい……」
お嬢様は顔を赤らめながら、返事をした。
そんな風にもじもじするくらいなら、最初から誤解を招くようなことするな……。
「そうか、俺はてっきりこいつがセクハラでもしたのかと思ってな!」
「先生、疑いが晴れたんなら、解放ほしいんですが」
「おっとっと!いやあ、誤解してすまなかったな!」
640: おとなりのお嬢様 2010/05/20(木) 10:14:55 ID:G63QVM7K(11/13)調 AAS
すまなかったじゃねーよ、人の話を聞かずに変態扱いしやがって。
このことはいつかPTAにチクってやるからな、ダメ教師め。
教師は満足そうに校舎へと戻り、周りでヒソヒソ話をしていた奴らは、
バツが悪そうにその場を離れていった。この野次馬共め。
「あ、あの……大丈夫かしら?」
「大丈夫じゃねーよ! お前のせいで俺の評価はズタボロだ! どうしてくれる!」
そう、いくらこいつが誤解を解いたからといって、俺の評価が良くなるわけじゃない。
もはや全校生徒にとって、俺=変態というのは公式設定になっているだろう。
彼女ができないのは当然、友達も離れていくかもしれない。
「う……。も、申し訳ありませんでしたわ……」
「謝ってすむ問題か、ちくしょう!」
「むぅ……じゃ、じゃあどうすればいいんですの?」
「責任をとれ、責任を! 慰謝料とか、金とか、あるだろ、ほら! 損害賠償とか!」
金持ちから金を要求する。これは当然の権利だ。さあよこせ。
「……弱みに付け込んで、金を要求するなんて最低ですわ」
「うっ!」
あ、あれ? 俺別に悪いこと言ってないよね?
なのになんでコイツの言ってることが正しく聞こえるんだろう。
「じゃあ、何もないっていうわけ!? 俺はもはや、彼女はおろか、友達すら……」
「ああもう! それじゃあ私があなたの恋人になりますわ!」
641: おとなりのお嬢様 2010/05/20(木) 10:17:21 ID:G63QVM7K(12/13)調 AAS
……はい? あれ、ちょ、何言ってるのこの人、大丈夫?
「ちょ、ちょっと待て! 何でそうなる!」
「せ、責任を取れと言ったのはあなたでしょう?」
確かに責任取れとは言ったが、彼女になれなんて一言も言ってないのですが。
ていうか、責任を取る=恋人になるって、お前……。
「その理屈はおかしいだろ……」
「そ、それにあなただって……わ、わたしのパン……うぅ……」
なんかスカートの前に手を置いてもじもじしている。
パンティーがどうした。あれはお前が勝手に見せたんだ。
俺が見せてくれと、どこかの変態ばりに頼み込んだんじゃない。
「とにかく、あなただって私の下着を見たのですから、責任はとってもらいますわ!」
「だからあれはお前がみせたんだよ! ていうか、何の責任だ何の!」
思い切り反論したが、そのままそそくさと行ってしまった。
なんだか凄い面倒なことになってしまった……。どうしよう。
ちなみに校門で口論していたため、思い切り注目の的になっていたのは言うまでもない。
周りからは、パンツがどうとか下着がどうとかいうヒソヒソ話が聞こえてきた。
もう、なんていうか、俺=変態でいいです……。
ちなみにこの一件で俺の周りには友達はおろか知人的ポジションすら失ったのは言うまでもない。
642(2): 2010/05/20(木) 10:20:28 ID:G63QVM7K(13/13)調 AAS
以上です。
何かお嬢様的なものを書きたくなったら
いつの間にか長くなっていたでござるの巻でした。
お粗末様でした。
643: 2010/05/20(木) 13:15:17 ID:jtuBgsa+(1)調 AAS
>>642
乙
644: 2010/05/20(木) 18:06:35 ID:JV0USMDb(1)調 AAS
GJ
続きに期待だ
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