[過去ログ] セーラームーン総合スレッド5 (984レス)
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(1): 新参 ◆DTDSamiQ9U 2008/08/03(日) 00:05:08 ID:lVnG3Qj+(1/3)調 AAS
はじめまして。

マーキュリーのSS書いてみます。
249: 新参 ◆DTDSamiQ9U 2008/08/03(日) 00:06:02 ID:lVnG3Qj+(2/3)調 AAS
「うそ…」

そう呆然と呟きながら、ビデオの画面を見つめる亜美の顔は蒼白だった。

『マーキュリー・スター・パワー、メーイク、アーップ!』

画面の中で変身ペンを掲げて叫んだのは、他ならない亜美自身だったのだから。

制服姿が、何もないはずの空間から突如現れた水に包まれたのも一瞬、その中から水星を守護に持つ知性の戦士が誕生する。

それこそが彼女のもう一つの姿―――セーラーマーキュリー。

『夢に向かってお勉強を頑張ってる受験生を襲うなんて!
水でもかぶって、反省しなさい!』

スピーカーから流れる声がそう勇ましく啖呵をきった画面には、マーキュリーだけではなく、彼女を囲むように立つ異形の者どもの姿も映っていた。
人間と同じ二本の手足に胴体と頭を備えてはいるが、腐肉のように汚らわしいその色の肌は決して人間のものではありえない。
奇形じみてさえいるその筋肉隆々の体躯と言い、その容姿はまさに怪物だった。

異形の怪物どもと、美しき少女の戦士ただ一人。
体格差から言っても、普通ならば勝負にさえならない状況。

だが―――

少女に飛び掛ろうとした前屈みの姿勢のまま、そいつらの動きは止まった。
狼狽と恐怖の空気が流れる。
そいつらは本能で悟ったのだ。
華奢な少女の姿をしたこの戦士の戦闘能力が、実は自分達を遥かに凌駕していると。
しかし、その膠着も束の間だった。

『キエエェェ!』

突如、奇怪な絶叫を上げて異形どもの一匹が飛びかかる。
マーキュリーの背後にいた奴だ。
真っ向からやり合って勝てないなら背後からの奇襲に賭ける、それも先手必勝というわけだ。
この機を逃すまいと、残りの連中も雪崩を打ってそれに続いた。
250: 新参 ◆DTDSamiQ9U 2008/08/03(日) 00:07:26 ID:lVnG3Qj+(3/3)調 AAS
生物の体の一部とは思えない、金属の光沢をもつ鋭い爪が前後左右からマーキュリーに迫る。華奢な身体が、ひとたまりもなく八つ裂きにされるかと思われた、その刹那。

『シャイン・アクア・イリュージョーン!』

凛とした声で、技のスペルが響く。

マーキュリーを中心に生じた、破邪の水のきらめきが怪物たちを呑み込んだ。
聖なる浄化の水流の中で、苦悶に悶えながら絶叫する怪物たちの体はたちまちのうちに溶け崩れていく。

怪物たちの断末魔が途絶え、全て終わったとき、夜の路上は何事もなかったような静けさを取り戻した。
激昂の薄明かりが照らすアスファルトに立っているのは、もうセーラーマーキュリー一人だけ。
小さく溜め息をついてから周囲を見回して、マーキュリーは変身を解くため手近なビルの陰に消えた。
程なく、制服姿に戻った亜美が出てくる。さっきのように周囲を警戒してから歩み去る、彼女の背中を収めたのを最後に、ビデオはそこで終わっていた。

ノイズに変わった画面を前に、亜美は無言のまま固まっていた。
これが特撮やCGでないことは、自分が一番よく知っている。
ビデオに映っている映像は全て、昨日の夜に遭遇した事実、本物なのだ。

近頃、近所で学生が突如通り魔に襲われる事件が相次ぎ、毎日のニュースを賑わせていたのである。
物盗りでもなければ、レイプ目的の暴行でもなく、警察も犯人像絞込みに苦心していた。
襲われた学生の共通点は、受験を控えた成績優秀な中学生と言う事だけ。
その奇怪さに妖魔の関与を疑った亜美は真実を知るため、囮としてわざと遅い時間まで単独行動を取っていたのだ。
仲間達に同意をもらったわけではなく、亜美の独断的な判断だったが、結果的にその判断は的中した。

塾の帰りにあの怪物たちに囲まれた亜美は、やむなく変身して反撃した。変身前に周りはいちおう確認したのだし、誰にも見られてはいないはずだった。

それなのに、今朝登校した学校で亜美の下駄箱にこのビデオテープは入っていた。
裏に『セーラーマーキュリー様へ』とだけ書かれた、一枚の地図と一緒に。
すなわち、亜美の通う学校と、亜美個人までも特定されてしまった事になる。
それは、セーラーマーキュリーの正体が露呈したことを意味していた。
251: 新参 ◆DTDSamiQ9U 2008/08/03(日) 00:08:52 ID:Po1Vcaeq(1/3)調 AAS
(いったい誰? 何のつもりなの?)

いくら考えても、情報不足のこの状況では答えなど得られる筈もない。

(うさぎちゃん達に相談を…)

一瞬そう思ったが、それは愚の骨頂だと気付く。
学校の下駄箱にビデオテープが入っていたところから見ても、敵は亜美のすぐ身近にいる可能性が高い。亜美の行動を逐一監視していることも考えられる。
そんな状況で仲間たちに相談を求めれば、芋づる式に戦士達の正体が露呈する恐れがある。
マーキュリーの正体が割れたからと言って、他の戦士の正体まで敵が把握しているとは限らないのだ。
まずは自分一人で撮影者本人に会い、直接問い詰めるのも一つの選択だろう。

では、どうしたら会えるのか?
幸いと言うべきか、その手がかりはテープと一緒にあった。
同封の地図上の一点に、赤ペンでマークが付けてあったのだ。
ただの丸印で説明書きなどはなかったが、ここに来いという意味なのだろう。
ポケットの変身ペンを決意も固く握り締めた亜美に、誘いを断る理由など無かった。
252: 新参 ◆DTDSamiQ9U 2008/08/03(日) 00:09:25 ID:Po1Vcaeq(2/3)調 AAS
電車を乗り継いで到着した地図のマークの場所は、都心の喧騒とは縁遠い郊外に立つ、和風建築の豪邸だった。
一目で持ち主は相当な資産家と知れるが、少し妙だったのは、ここがいわゆる高級住宅地の真っ只中ではないことだ。周囲に見えるのは薄汚れてさび付いた、廃墟としか思えない工場や何かのプラントだけ。
その豪邸は、さびれた工業地区の真っ只中に構えていたのだ。
地図を見直すが、マークは間違いなくこの豪邸に付いていた。

門は開いているが、門番らしき姿は見えない。
門には表札も付いておらず、住人の名前はわからない。
取り次いでくれる人間が居ない以上、自分で屋敷の中に入っていくしかないだろう。
不測の事態に備え、セーラー戦士の姿に変身済みである。

こぶしを握り締めながら、セーラーマーキュリーは門をくぐった。
253: 新参 ◆DTDSamiQ9U 2008/08/03(日) 00:13:35 ID:Po1Vcaeq(3/3)調 AAS
すいませんが、今日はここまで。

たぶん、鬼畜っぽい話にすると思います。黒幕は妖魔とかじゃなく人間になるかも。
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