セーラームーン総合スレッド5

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479: 名無しさん＠ピンキー [sage] 2009/04/06(月) 23:40:59 ID:o2oJHKX7

それなのに、今朝登校した学校で亜美の下駄箱にこのビデオテープは入っていた。
裏に『セーラーマーキュリー様へ』とだけ書かれた、一枚の地図と一緒に。
すなわち、亜美の通う学校と、亜美個人までも特定されてしまった事になる。
それは、セーラーマーキュリーの正体が露呈したことを意味していた。

（いったい誰？　何のつもりなの？）

いくら考えても、情報不足のこの状況では答えなど得られる筈もない。

（うさぎちゃん達に相談を…）

一瞬そう思ったが、それは愚の骨頂だと気付く。
学校の下駄箱にビデオテープが入っていたところから見ても、敵は亜美のすぐ身近にいる可能性が高い。亜美の行動を逐一監視していることも考えられる。
そんな状況で仲間たちに相談を求めれば、芋づる式に戦士達の正体が露呈する恐れがある。
マーキュリーの正体が割れたからと言って、他の戦士の正体まで敵が把握しているとは限らないのだ。
まずは自分一人で撮影者本人に会い、直接問い詰めるのも一つの選択だろう。

では、どうしたら会えるのか？
幸いと言うべきか、その手がかりはテープと一緒にあった。
同封の地図上の一点に、赤ペンでマークが付けてある。
ただの丸印で説明書きなどはなかったが、ここに来いという意味なのだろう。
ポケットの変身ペンを決意も固く握り締めた亜美に、誘いを断る理由など無かった。

電車を乗り継いで到着した地図のマークの場所は、都心の喧騒とは縁遠い郊外に立つ、和風建築の豪邸だった。
一目で持ち主は相当な資産家と知れるが、少し妙だったのは、ここがいわゆる高級住宅地の真っ只中ではないことだ。
周囲に見えるのは薄汚れてさび付いた、廃墟としか思えない工場や何かのプラントだけ。
その豪邸は、さびれた工業地区の真っ只中に構えていたのだ。
地図を見直すが、マークは間違いなくこの豪邸に付いていた。

門は開いているが、門番らしき姿は見えない。
門には表札も付いておらず、住人の名前はわからない。
取り次いでくれる人間が居ない以上、自分で屋敷の中に入っていくしかないだろう。
不測の事態に備え、セーラー戦士の姿に変身済みである。

こぶしを握り締めながら、セーラーマーキュリーは門をくぐった。

http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199144028/479

483: 名無しさん＠ピンキー [sage] 2009/04/06(月) 23:44:27 ID:o2oJHKX7

マーキュリーが通された先は、母屋の地下だった。
進んだ廊下の先の立派なドアが開けられ、背広のどちらかに背中を突き飛ばされてよろめきながら室内に入るマーキュリー。
和風建築に地下室があること自体珍しく、驚きだったが、室内の調度類を見てさらに驚く。
純和風の母屋にはあまりに不釣合いな、中世ヨーロッパの宮殿を思わせる純西洋風の豪奢絢爛な寝室が目の前に広がっていた。
寝室だとわかったのは、足が埋まりそうな分厚いカ―ペットの床に、帳つきのダブルベッドが鎮座していたからだ。
亜美の家も、母が医者ということもあって経済的に不自由は無く、世間一般の感覚で言えばずいぶん裕福な部類だが、
それでもかつて王侯貴族が暮らした宮殿の一室を再現したかのようなこの部屋を見れば驚かずにはいられない。

言葉も無く見回すマーキュリーに、理事長が振り返って愉快そうに話しかける。

「どうだね。気に入ったかね。これから私と君との愛の巣になるベッドルームは。」

「え！？」

愛の巣と言う単語に、マーキュリーは弾かれたように理事長を振り返る。
とんでもなくいやな予感がした。
その予感の正しさを保障するかのように、いやらしい笑いを貼り付けた顔で理事長は言葉を続ける。

「君を私の妾にしてあげようと言ってるんだよ、セーラーマーキュリー。
いや……水野亜美君と呼ぶべきかな。」

人間業とは思えない敏捷さで、マーキュリーは飛び退った。
一気に３メートルほど飛んで、理事長や背広の護衛たちとの距離を確保する。
戦士の姿に変身しているのだからこのくらい当然の体術なのだが、マーキュリーの顔に余裕は全然無かった。

「な、何を言ってるんです理事長先生！？
水野亜美なんて人、私知りません！　私、そんな名前じゃありませんっ！」

興奮気味に否定するマーキュリーだが、背中に冷たい汗が流れるのを自覚せずにいられない。
汗で戦士のコスチュームが背中にへばりつく感覚が感じられた。

―――理事長先生、私の正体を知っている！

すんなり水野亜美だと認めるわけにはいかないし、別人だと嘘を通すしかないのだが、
どこまで嘘を通せるのか、マーキュリーの自信は揺らぎ始めていた。

「ふ……無理はしなくてもいいのだよ水野君。」

http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199144028/483

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