[過去ログ] ●●寝取り・寝取られ総合スレ5●● (769レス)
1-

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
359: [age] 2007/08/16(木) 10:44:17 ID:rCSukg3k(3/4)調 AAS
640 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 15:37:35 ID:pF+Mp4m/
>>624-625
おいおい、草は資料も歴史の勉強もいらないだろ。ちゃんと読んでるのか?歴史モノでもなんでもなくて、ただのファンタジー。
別に史実と関係があるわけでもないし、適当な横文字の名前を並べて、行き当たりばったりで戦争がどうの、魔法がどうのやってるだけ。
一山いくらで捨ててあるような設定継ぎ接ぎした草なんかと歴史モノをいっしょくたにしたら真面目に資料漁って歴史モノ書いてる人が怒るぞw
つか、資料どころかなんの専門知識もいらんわこんなもん。

643 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 15:58:35 ID:pF+Mp4m/
>>641
草作者発狂w
もう投下しなくていいからね。長いわつまらないわで見るに耐えないよ。
>>642
つまらないだけなら無視すりゃいいけど草連投のおかげで他の職人引っ込んじゃったから、百害あって一利なしだわ

640 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 15:37:35 ID:pF+Mp4m/
>>624-625
おいおい、草は資料も歴史の勉強もいらないだろ。ちゃんと読んでるのか?歴史モノでもなんでもなくて、ただのファンタジー。
別に史実と関係があるわけでもないし、適当な横文字の名前を並べて、行き当たりばったりで戦争がどうの、魔法がどうのやってるだけ。
一山いくらで捨ててあるような設定継ぎ接ぎした草なんかと歴史モノをいっしょくたにしたら真面目に資料漁って歴史モノ書いてる人が怒るぞw
つか、資料どころかなんの専門知識もいらんわこんなもん。

643 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 15:58:35 ID:pF+Mp4m/
>>641
草作者発狂w
もう投下しなくていいからね。長いわつまらないわで見るに耐えないよ。
>>642
つまらないだけなら無視すりゃいいけど草連投のおかげで他の職人引っ込んじゃったから、百害あって一利なしだわ
360: 2007/08/16(木) 10:45:23 ID:rCSukg3k(4/4)調 AA×

361: 2007/08/16(木) 10:47:45 ID:jmriuC2V(1/6)調 AAS
674 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 19:55:03 ID:MyLkYs3c
最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…! 「草」第1巻は、発売未定です。 ◆yNwN3e7UGA

サンドロ「ウオオオオオオ!くらえエイブル!究極魔法読心!」
エイブル「さあ来いサンドロオオ!ワシは実はただの孫溺愛ジジイで強くないぞオオ!」
(ザン)
エイブル「グアアアア!こ この英雄大将軍と呼ばれるリザニア国のエイブルが…こんな小僧に…バ…バカなアアアア」
(ドドドドド)
エイブル「グアアアア」
将軍A「エイブルがやられたようだな…」
将軍B「ククク…奴はリザニア国の中でも最弱…」
将軍C「元部下ごときに負けるとはリザニアの面汚しよ…」
サンドロ「くらえええ!」
(ズサ)
将軍A、B、C「グアアアアアアア」
サンドロ「やった…ついに四将軍を倒したぞ…これでリザニア王のいるラザニア城の扉が開かれる!!」
リザニア王「よく来たなサンドロ…待っていたぞ…」
(ギイイイイイイ)
サンドロ「こ…ここがラザニア城だったのか…!感じる…リザニア王の魔力を…」
リザニア王「サンドロよ…戦う前に一つ言っておくことがある お前は私を倒すのに『リザニアと張り合えるだけの国』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」
サンドロ「な 何だって!?」
リザニア王「そして裏切り者のリィス隊長とアリアベル、ついでにユエはやせてきたので最寄りの町へ解放しておいた あとは私を倒すだけだなクックック…」
(ゴゴゴゴ)
サンドロ「フ…上等だ…オレも一つ言っておくことがある 年端もいかないユエを調教したこのオレはロリコンであるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」
リザニア王「そうか」
サンドロ「ウオオオいくぞオオオ!」
リザニア王「さあ来いサンドロ!」
サンドロの勇気が世界を統一すると信じて…! ご愛読ありがとうございました!
362: 2007/08/16(木) 10:48:35 ID:jmriuC2V(2/6)調 AAS
677 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 20:23:26 ID:MyLkYs3c
>>675
黙れ。糞(草)作者は内容より連投で叩かれてるってわかんないのか?
あれだけ連投うざい言われてるのにこのペースは何だよ。スレの私物化はよくないとかほざいて口だけか。
>>594の投下から一日も経ってねえ。一日くらい待てないの?全員が糞を楽しみにしてるとでも思ってる?専用スレ立てろ出ていけ氏ね。

>>676
コピペにマジレスとはさすがだな。

681 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 20:28:21 ID:MyLkYs3c
他が投下したら一日くらい投下控えるのが常識。長文なら余計に。
一時的に過疎だったが、更に過疎が進行して糞以外いなくなりつつあるのは明らかに連投のせい。
糞が投下して時間がたって、他の職人が投下しようかなと思ったらまた続けて糞が投下。
嫌がらせか。ばっかじゃねえの。

683 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 20:31:50 ID:+NfeLfTL
ID:MyLkYs3cの文章力は小学生並みだ
どこのお坊ちゃまですかぁ?wwww

687 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 20:35:14 ID:al/YFdtR
少なくとも現時点で場を荒らしてるのはID:MyLkYs3cだもんな
こいつのレスこそ嫌がらせ

688 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 20:42:56 ID:MyLkYs3c
ここまで言ってもまだ草書いた奴が連投するなら終わるまで粘着するからよろしく。

>>685
どうせ草作者と信者の自演で以下のようなレスがついて水泡に帰すだろうから言うだけ無駄。嫌がらせには嫌がらせ。
「テンプレに連投禁止加えようとしてるのは荒らし!」
「早く読めて嬉しいから連投はいくらしても構わない!」
「ここは草の連載で持ってるスレですから、ペース落ちたら寂れます!」

690 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 20:48:33 ID:MyLkYs3c
>「ここは草の連載で持ってるスレですから、ペース落ちたら寂れます!」
そういえば、これは実際に言ってる馬鹿見たことある。連投で投下タイミングないだけなのに、笑えるわ。

696 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 20:53:48 ID:MyLkYs3c
でも一応言っとくか。24時間連投禁止、テンプレに加える気ある?
あるならもう別に言うことないんで、くだらないことしてないで撤収するけど。

>>692
スレの私物化云々は草作者が自分で言ったことだが?
わかっててわざとやってるんだよ。

698 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 20:55:08 ID:AKmJLjb8
撤収してくれや
そして2度と来るな ID:MyLkYs3cこと腐れSS作者が

700 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 20:57:10 ID:MyLkYs3c
自分で迷惑かもと言っておいて全然気にしないのって厚顔無恥もいいとこだよな。荒らしと一緒。

>>698
だったらテンプレに連投禁止載せろ。禁止と明示しなくても、時間を空けての投下推奨って書け。
363: 2007/08/16(木) 10:49:15 ID:jmriuC2V(3/6)調 AAS
701 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 20:59:41 ID:MyLkYs3c
>>699
他の作者の最終レス(荒らしや1レスネタなど除く)から24時間は投下禁止。
ただこれだけのこと。連載一回のレス数は問わない。一日に一回は投下がある計算になるんだから、過疎にはならない。

704 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:02:03 ID:MyLkYs3c
24時間経ってないのに同じ作者が連投とか、色々な人間が投下するスレとしてまずいと思わないのか?
思わないなら勝手にやってろ。草が終了した時がこのスレが終わるときだ。

705 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:02:08 ID:mjfJs0Ua
そんなに自分の書いたのを評価して欲しかったのか?
どれ書いたか言ってみなさい。今ならみんな怒らないから。 ID:MyLkYs3c

708 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:05:03 ID:MyLkYs3c
スターになりたがってるのは他の書き手のことなんか考えないで馬鹿みたいに続けて投下してる草作者の方だろうが。

709 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:05:06 ID:al/YFdtR
まあ、ID:MyLkYs3cとしてはこういう流れに持って行きたいんだろうな
仮に24時間以内に連投禁止が受け入れられれば万々歳
受け入れられずに叩かれても「草」の作者に対する嫌がらせには充分
自分自身はなんら回りに貢献しないけど周りのやる気を殺ぐ
AIDSウイルスみたいなもんだな
俺としては作品が早く読めるのは大歓迎だけど

711 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:09:08 ID:MyLkYs3c
>>709
24時間連投禁止のどこがまずいのか具体的に言ってみ?
今みたいに特定の作者に偏らなくなっていいじゃないか。

712 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:09:11 ID:De83o8NE
ID:MyLkYs3cの呼称は以後、連投君で

713 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:11:07 ID:otI+g/JM
普通に読み手としてはどの作品も早く読めれば読めるほど嬉しいのに
正直1日1回とか制限すんのワケわかめ
つか誰かID:MyLkYs3c以外の人に教えてほしいんだけど
「連投で投下タイミングない」
今回の投下5分ぐらいしか掛ってないけど
何か他の人投下した後投下しちゃダメとかってルールあるの?

714 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:11:38 ID:MyLkYs3c
連投禁止反対派は何一つまともな反論ができないのな。
なんにも意見言わないで、荒らしはスルーで片付ける。
草嫌いなものからすれば連投で他の投下を邪魔する草こそ荒らしなのに。
364: [age] 2007/08/16(木) 10:50:12 ID:jmriuC2V(4/6)調 AAS
715 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:11:43 ID:mjfJs0Ua
嫉妬って怖いなと思うね。こういう時は特にそう思う。

完全に男の思考法。相手にかなわないと思うからこう言うやり方をする。
そこらへん女のほうがかわし方が上手なんだよ。知ってる?

男性は相手に負けたと思えば完全屈服だけど、
女性は相手の凄さを認めても自分にはこう言う良さがあるって思う。

ID:MyLkYs3cの嫉妬は男性的な嫉妬だよ。見苦しいったらありゃしない。

720 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:15:06 ID:MyLkYs3c
>>713
以外と書いてあるがあえて答える。
書き手は大体気を使ってるよ。書きあがってても投下遅らせたりする。
誰だって自分が書いた直後に被せるように投下されたらいい気はしないから。
それをわかってる(自分で言ってる)癖に全然気にしないで他に被せてくるのが厚顔無恥な草作者。

724 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:17:30 ID:MyLkYs3c
ルールにするまでもないことなんだよ。
法律で禁止されてなければ何をやっても許されるって考え方の人ですか?

726 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:19:31 ID:JO1vNVqr
NGID
ID:MyLkYs3c
ID:tUP49KFS
ID:pF+Mp4m/
ID:Zy4tSDM3
ID:iYNcnzGn
ID:9VlJrnR8
ID:F12QaXSk
ID:ff8y+dgu
ID:ofC49GSW
ID:AKmJLjb8
ID:IkcukJ5C
ID:mjfJs0Ua
ID:al/YFdtR
ID:otI+g/JM
ID:De83o8NE

730 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:21:32 ID:mjfJs0Ua
すべては嫉妬のなせる業ってことね。 ID:MyLkYs3cがたいした事ない書き手なのはわかった。じゃ。

731 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:22:35 ID:MyLkYs3c
別に>>727が下手だからとかじゃないと思う。基本的に、スレへの投下は被せたもの勝ち。
よっぽどレベルが違えば別だけど、>>727がレス貰えないのは、面の皮の厚い作者に即投下で潰されたからだよ。

734 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:25:40 ID:MyLkYs3c
ルールなんかにしなくても投下するものならして当然の気遣いだって何度言わせる。

741 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:30:11 ID:MyLkYs3c
むしろルールに明記しなきゃわからない作者(草作者)がいたことの方が衝撃的。
バスに「シルバーシートでは高齢者の方に席をお譲りください」ってでかでかと広告打つくらいモラルハザード。
でもこうやって因縁つけられて、草作者も自分が他人にやってきたこと少しは自覚したんじゃない?

>>737
他のスレちょっと覗けばいくらでも見つかる。
気を使わない奴もいたりするが、草みたいに長編でひどい連投はしないから大体スルーされる。
365: 2007/08/16(木) 10:50:56 ID:jmriuC2V(5/6)調 AAS
746 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:38:03 ID:sSEE9EPB
荒してるID:MyLkYs3cも粘着してるID:De83o8NEも自重しろ

751 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:42:25 ID:MyLkYs3c
スレを円滑に進めるための常識なんだから、いちいち明文化しないで、書き手のマナーに任せてるだけ。
言わないとわかりません、人が嫌な気分でいるかもしれないけど知りません、そんなのあるか。そんな奴は書き手なんてやるな。
生みの苦しみは、書き手が一番わかるだろうが?

>>747
他の作者の最終レスから24時間以内の投下を草作者がしなければ問題ない。それだけ。
誰も投下するななんて言ってない。連 投 を 止 め ろ と言っている。

753 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:44:16 ID:MyLkYs3c
それとも何か、お前らの大好きな草作者は、そんな決め事も守れない低脳なのか?
自分の投下したい時が投下する時で、他なんて知ったこっちゃないって言うのか?

756 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:46:39 ID:otI+g/JM
ID:MyLkYs3cの発言には作品を早く読みたいという読み手なんか知ったこっちゃない観が溢れてますね

761 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:50:55 ID:MyLkYs3c
>>754
主張は本音だが、連投は草作者への皮肉だよ。草作者の投下直後に燃料入れてログ流す。
これで草作者も自分がどういうことやってるか体感できたんじゃないの?
これに懲りたら投下間隔には気を使ってほしいね。

>>756
そんなに草作者一人にスレを埋めさせたいの?それこそ避難所でも行けば?
賞賛レスが自演じゃなければ、漏れなく信者もついてくるんじゃない。

763 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 21:53:23 ID:iR5WKfC8
どれかひとつをID:MyLkYs3cの理想郷としてつかってもらおうw

769 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 22:01:13 ID:MyLkYs3c
言いたい事は全部言ったからもういいや。
それに、野次馬に何言ったってしょうがない。
草作者もここ見てるだろうから、最後に作者に向けて言っておく。
次からの投下では、他の書き手を潰すような真似はしないでくださいね。
自覚があるのかないのかしらないけど、非常識な連投のせいで、今草作者が感じてるような嫌な気分を、他の人間にもさせてるんですよ。
それさえ守れれば二度と口出ししませんから。

804 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 22:52:20 ID:MyLkYs3c
366: [age] 2007/08/16(木) 10:52:31 ID:jmriuC2V(6/6)調 AA×

ID:u6oGn10a
外部リンク:l
367: 2007/08/16(木) 12:08:23 ID:y6mFpd7I(1)調 AAS
とりあえず通報した。
368: 2007/08/16(木) 13:35:25 ID:qLHXH4s/(1)調 AAS
以前嫉妬スレでも暴れてた、ただかき回したいだけのアホオナニー野郎です
スルーしたって下さい
369: 2007/08/16(木) 21:39:57 ID:4dnBCPIJ(1)調 AAS
荒らされてもスレが寝取られちゃったぜ・・・と悔しさを感じつつも
興奮してきたぜ!

ROCOさんの好きなんだよな〜
このスレでも書いてくれないかな…
370: 2007/08/16(木) 22:44:21 ID:+xalwbBf(1)調 AAS
そういやかきや〜さんはどうしたんだろうな。
忘れてたころに、藍蘭島のアニメ始まって一回復活してまた消えちゃったけど。
371: 2007/08/16(木) 22:56:04 ID:7zwzzhOh(1)調 AAS
本当に一瞬の復活だったなw
一時は死亡説も出てたから、健在が解っただけでも良かったが・・・。
ROCO氏もかきや〜氏も、おれにとって神職人なので新作切望だ。
372: 2007/08/16(木) 22:58:45 ID:T8fzgIfk(1)調 AAS
ROCO様とかきや〜様は神。というか文章屋さんなキガス。
373: 2007/08/16(木) 23:01:29 ID:M/rlwbaQ(1)調 AAS
藍蘭島も大作戦も寝取られ描写から、物語を展開する必要のある
シーンにさしかかってるから、詰まっちゃってるんじゃないかね〜
374
(2): 長文失礼します 2007/08/17(金) 00:23:45 ID:w23UPeXV(1/16)調 AAS
久しぶりにここ来たけど、俺はどっちかっつーと
書き手の連投を抑制するのは、良い事だと思うな。
ガンダムスレがもうずっと前から一人の職人だけマンセーされてて
他の職人さんは、投下前から拒否されたりしてたから。
最近はもう大分その辺も落ち着いてきたみたいだけど、
他の職人さんが投下しにくい雰囲気は防ぐべきだと、俺も思う。
氏家ト全のスレだって、一時それが問題で投下しにくい時期があったし。

まぁ、俺は話題に上がってるスレそのものを知らないから、
事情も何も詳しくはわからないんだけどね。

>>351
実話が元なだけあって、さすがに心にぐっとくるものがあります。
読んでて切なくなってくる、良い意味で痛々しくなってくる部分もあり、
「GJ」とか「楽しく読ませて頂いてる」という言葉が的確なのかは
わかりませんが、続きを楽しみにしています。
……「楽しみにしている」と言うと、また失礼なのかもしれませんが。
375
(1): 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:29:47 ID:w23UPeXV(2/16)調 AAS
長文のお詫びと言っては何だけど
俺もこれから拙文を投下させてもらいたいと思う。
二者以上の連載が重なると、読み手の側が
混乱したり混同したりで、実は迷惑なのかもしれないなぁと思いつつ。

今回はエロシーン無し、単なるキャラの顔見せ程度なので
あまり深く読まずに、さらっと流し読みしてくれれば幸い。
376: 2007/08/17(金) 00:30:34 ID:w23UPeXV(3/16)調 AAS
第一印象は、あまり良く無かった。
俺と彼女の出会いは、俺のバイト先の書店でだった。

『ブライト・ノア』という趣味の悪いその店名は
その店が元々は喫茶店だった頃の名残だ。
十年程前、店の近くに大学が移転してくる事を知った経営者夫婦が
喫茶店経営から書店経営に鞍替えすれば成功すると踏んだ。
結果は大当たりで、学生達が授業で使う専門のテキストや
普通の書店には無い程の豊富な専門書の品揃えで
この店は開店してすぐに、回転率の高い黒字体質の店となった。
俺はというと、件の大学『白城大学』の学生で、当時一年生だった。
とは言っても時期は三月、もうそろそろ二年生になる頃だ。
入学してからこっち、ずっとこの書店でバイトをやっていた。
この店は、教材に使うテキストを多く仕入れてはくれるのだが、
仕入れ数以上に、それを欲する学生の方が多い。
当然売り切れは続出するし、一週間もあれば再入荷するのだが
それを待っていては授業に遅れを生じさせてしまう。
入荷してすぐに確実に入手するためには、自分が店員になるのが手っ取り早かった。
そんなわけで俺は、都合一年近く、この店でバイトをしていた。
そこへある日、現れたのだ。
安室怜は。
377: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:31:22 ID:w23UPeXV(4/16)調 AAS
「あ、あの……バイト募集の張り紙を見て来たん……ですけど……」
肉食動物にお伺いを立てる獲物のような怯えた目で、
怜ちゃんはレジに立っていた俺に声をかけてきた。
確かに当時、卒業の関係でバイトが一人辞めるため、
人手不足からバイトを募集してはいた。
しかし、そこにはハッキリと『明るく元気な方歓迎』と書いておいた筈だ。
明るくも、元気でもなさそうな女は、お呼びではない。
それでも一応、緊張しているだけかとも思い、俺は店長達……
つまりは経営者夫婦に、その件を引き継いだ。
数日後、店長が俺に言い渡した面接結果は、意外にも合格、との事だった。
採用理由は、単に彼女が女の子だから、といったものらしい。
別にやましい心があるわけではなく、店舗運営とはそういうものなのだ。
客の側からすれば、店内に女性店員が一人いるかいないかだけでも、
大分店への足の踏み入れやすさが違う。
そして当時、確かにうちには女性店員が少なかった。
経営者夫婦の妻の方を除けば、他には女性は一人もいなかった程だ。
もっとも店の規模がそもそも大きくないので、当時の従業員など
その夫婦以外には俺一人だけだったのだが。
「と言うわけでだ、お前ももうそろそろここに来て一年なんだし、
 新入りのあの子の教育は、お前に一任しようかと思ってる」
突然そんな事を言いつけられた時は、正直参ってしまった。
あんな、いかにも会話しにくそうな、根暗そうな子に
よりにもよって、俺が仕事を教えてやらねばならないとは。
単に店長達が面倒くさがっているだけだと、俺にはわかった。
「土門店長。いきなりそんな事言われても、心積もりが……」
「だから、心積もりなら今からすれば良いじゃないか。
 あの子が正式に働くのは、今日の午後からだから。
 まだ十分時間は……」
「今日の午後ぉ!?」
時刻は、午前十一時を回っていた。
378: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:32:09 ID:w23UPeXV(5/16)調 AAS
最初はかなり難航したのを覚えている。
「初めまして、吉良大和です。
 白城大学の現一年生……まぁ、安室さんが入学する時には
 もう二年生になってるけど、とりあえずよろしく」
面接の内容を店長から聞いていた俺は、
彼女が俺と同じ大学に春から入学してくる新入生だと、知っていた。
「えと、初めまして……安室怜、です」
簡素な自己紹介だった。
よろしくお願いします、と続けるのが常識だとさえ、知らないらしい。
恐らく高校時代はバイトをした事が無いのだろうが、
それにしたって世間知らず過ぎる気がする。
こんな子を教育して、一人前にするなど、
果たして出来るのだろうかと、いきなり先行きが不安になったものだ。
幸い学生達は春季休講の時期、客は滅多に来ない。
簡単なレジ打ちから始まって、徐々にこの職場の空気に慣れてもらおう。
そんな風に考えながら、俺はリードしていった。
店長達夫婦は、店の事は俺に任せて、昼から出かけていた。
夕方になれば帰ってくると言いながら、結局彼らが帰ってきたのは
怜の勤務時間が終わる、ちょうど五分程前だった。
その日俺は、オタオタする怜にフラストレーションを感じながら
店の営業と彼女の面倒の、両方を見る事になってしまったのだった。
「安室さんは、どの辺に住んでるの?」
「あ、えっとぉ……江羽後2丁目……だったかな?
 そこに下宿を始めてます……」
緊張を解すための世間話のつもりだったのだが、意外な答えが返ってきた。
下宿を始めているだと?
この、ブレーカーが落ちただけでもパニックになりそうな少女が?
と言うかこの子、洗濯とか炊事とか、自分で出来るのか?
失礼だとは思ったが、彼女に対する様々な偏見と不安が、俺の中を駆け巡った。
何しろ真っ黒な長い髪に、引っ込み思案そうな怯えた目に、貧相な体に、
洒落っ気の欠片も無い灰色のパーカーに、シンプルなジーンズに、スニーカー。
彼女のそんな外見は、実はヒキコモリなんだと言われれば
信じてしまいそうな雰囲気さえ、俺には感じられたのだから。

そんな彼女が、ファッションに気を遣い始めるようになるのに、
然程の時間はかからなかった。
やはり制服で過ごす事が多かった高校時代までと違って、
大学では常に私服でいる事が当たり前だ。
毎日の服装のパターンを考えるだけでも面倒だし、
小物やアクセサリーなど、アクセントになるものにも注意を払うようになる。
周りのお洒落な学生達の影響も、少なからず受けているのだろう。
夏休み明けに突然ヤンキー化してしまった元優等生……とまでは言わないが
彼女はいつしか、少しずつお洒落な服装を着こなすようになっていた。
例えば今日などは、薄いパールグリーンのワンピースに、
控えめな細い、十字架をあしらったチョーカー。長い黒髪も、くくって纏めてある。
ジーンズとスニーカーは相変わらずだったが、まぁこの程度なら及第点だ。
後は髪をモカブラウン系の色でほんのり染めてみるのも似合う気がするが、
いきなりそこまで垢抜ける必要も無いかもしれない。
「お早う、怜ちゃん。今日は可愛い洋服だね」
「あ、え……ありがとう、ございます……」
少し暗めの声質は相変わらずだが、照れたように少しだけ笑う彼女は、
その瞬間だけ、思いのほか美少女に思えた。
案外素材は良いのかもしれないと、その時俺は思った。
379
(1): 2007/08/17(金) 00:32:42 ID:0hvkEGUB(1)調 AAS
>>374
このスレには関係なくない?
それても>>351さんが連投しすぎだと文句言ってるの?
まぁ確かに完結するまでは他の職人さんが投下しにくい雰囲気ではあるが
>すごく遅筆になっちゃいます(汗
なんて言ってるから時間掛かると思うよ?

あまり読んでないから何とも言えないけどね…

ROCOさんとかきや〜さんのが見たいなぁ
380: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:33:36 ID:w23UPeXV(6/16)調 AAS
ある日の大学、そのキャンパス。
俺は午後の四限目に、社会学の講義を控えていた。
俺はその日は三限目に授業が無いので、二限目の後の昼休みに昼食をとると
その後は二時間近く退屈になるのだった。
友人達は別の講義に出席していて、暇なら一緒に来れば良いのに、と言う。
しかしいくら暇でも、自分の履修していない講義にまで出てやろうとは、俺は思わない。
さりとて暇には違いないので、どうにかして時間を潰せないかと思案しながら
携帯電話を弄っていると、メモリダイヤルに怜の名を見つけた。
「あぁ、そう言えばあの子もこの時間は、講義履修してなかったような……」
試しにと思い、俺は彼女に電話してみた。
思った通り、彼女は一人で暇を持て余しているようだった。
根暗とは言え、彼女にももう何人か友人はいる。
しかし俺と同じで、その日その時間はたまたま一人になるらしかった。
俺は学生食堂で彼女と待ち合わせた。
「や、怜ちゃん。こっちこっち」
「あ……こんにちわ、吉良先輩」
知り合ってそろそろ一ヶ月。
もう結構打ち解けてきて、俺は彼女の事をファーストネームで呼んでいたのだけれど
彼女の方はまだガードが固いのか、俺の事は相変わらず苗字で呼んでいた。
思えば、彼女とゆっくり話すのはこれが初めてだ。
ガードが下がりきらないのも当然と言えば当然だろう。
別に彼女に好意を抱いているわけではないが、
必要以上に距離をとられるのは面白くない。
時間はたっぷりある。
俺は二時間フルに使って、彼女の趣味や、好きな音楽など、聞き出していった。
やがて、二人とも同じアーティストを好む事が判明したり、
二人とも和食が苦手だとか、二人とも読書が好きだといったような事も
次第にわかっていった。
同じ趣味を持つ同士は、話も弾み易い。
「へぇ、怜ちゃんも村上春樹とか読むんだ? ちょっと意外だなぁ」
「そ、そうですか……? 椎名誠とかも、結構好きなんですけど……」
今度お互いに小説を貸し合おうとか、お勧めの楽曲を聴かせ合おうとか
そういった事を、俺達は話した。
もうそろそろ社会学の講義に向かう時間という頃、
俺達の間に横たわっていた距離感は、大分縮まった感触があった。
思いがけない程急速に、壁は取り払われていった。
381: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:35:59 ID:w23UPeXV(7/16)調 AAS
>>379
ごめん、そんなつもりじゃなかったんだ。
事実>>351氏は、日を置いて連載して下さってるから、
連投でも何でもないし、スレの空気も悪くないし。
ただ、件のスレが何なのか俺は知らないし、場所もわからないから
私見を述べるとしたら、ここしか無かったんだ。
誤解を招くような書き方をしてしまったのは謝る。
382: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:37:15 ID:w23UPeXV(8/16)調 AAS
彼女も社会学を受講しているので、その日は二人で並んで席に座った。
合流した俺の友人達も、怜ちゃんの友人達も、不思議そうな目で俺達を見ていた。
「おい吉良、その子お前のカノジョか?」
「違うよ、慎。俺のバイト先の後輩だって」
広い教室の中で、俺達は小声で会話を続けた。
やがて、年下の女の子と親密になりたがる俺の友人達と、
年上の男性と仲良くなりたい怜ちゃんの友人達が、
まるで合コンのように互いに自己紹介を始めた。
「初めまして。俺、飛鳥慎っての。履修登録の事とか、
 わからない事あったら何でも聞いてくれよ」
「こちらこそよろしくお願いしますぅ。嘉狩明日葉で〜す」
「ちょっと、アンタいくら何でもブリっ子過ぎでしょ……
 あ、アタシ村雨四乃です。よろしく」
「僕は海本。一応学友会所属なんで、意見があったら聞くよ」
真面目にノートをとり続ける俺と怜ちゃんをあっさり無視して、
友人達は下心満載で仲良くし始めた。
どうせ、今真面目にノートをとらなかった事を、試験の時期に後悔しだして
「ノートを写させてくれ」と俺に縋り付いてくるのは、目に見えていた。
俺と怜ちゃんは顔を見合わせ、こっそりとクスクス笑いあった。
思えば、彼女がナチュラルに笑うのを見たのは、この時が初めてかもしれなかった。
いつものぎこちない笑顔ではなく、控えめだけれど、素直な笑顔。
その時少し心が弾んだのを、俺は今でもよく覚えている。
彼女に対する第一印象は、俺の中で密かに書き換えられていった。
最初は、単なる引き篭もりか、登校拒否児童のような印象だったのが
いつしか奥手で控え目な、大人しい女の子……という風に
ポジティブな観点でもって受け入れられるようになっていた。
彼女の笑顔を、もっと引き出したいと思うようになっていた。
彼女の笑顔を見たいという感情が、いつしか彼女の笑顔を独り占めしたい
という独占欲に成長するまでに、然程の時間はかからなかった。

そうなると、気になる事も出てくる。
即ち、怜ちゃんには今現在付き合っている男はいるのか、いないのか、という事だ。
こう言っては何だが、彼女はかなり地味な子なので、
あまり誰かと付き合っている風には見えない。
とは言え、入学してからほんの数日で、彼女が服装に気を遣うようになったのも事実だ。
それが、ただ単に周囲のお洒落な友人達の影響によるものか。
或いは大学生になったという事で、多少気の持ち方が変わっただけなのか。
それとも……好きな男にアピールするために、多少なりとも着飾っているのか。
もしそうだとするならば、それは彼女の片思いなのか、両思いなのか。
それとも、全て俺の考え過ぎでしかないのか。
その時点ではまだ、答えはわからなかった。
383: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:38:23 ID:w23UPeXV(9/16)調 AAS
「それにしても安室さん、変わったわねぇ」
ある日のバイト中、店長夫人が出し抜けにそう言った。
怜ちゃんがここでバイトをするようになって、もうそろそろ二ヶ月だ。
まだ接客は明るくないし、声も小さくて聞き取りづらい時があるが
入ってきたばかりの頃に比べれば随分良くなった。
そして何より、俺が気付いていたのと同様、店長達も
彼女のファッションの変化に気付いていた。
やはり見た目が変わると印象も変わるものだ。
そしてそれは、概ね好印象だった。
「え、その……私、そんなに変わりましたか……?」
「あーもう変わった変わった。
 最近垢抜けてきたし、何だか前より可愛くなってきたしねぇ。
 良い人でも出来たかしら?」
「そ、そんな事……っ」
否定しきれない中途半端な答えを、彼女の口は漏らした。
願わくば、彼女の好きな男が実は俺だったら……などと愚かな事を考えつつ
平然とした振りで俺はレジの中の在高を計上していた。
その時である。
小刻みで小さな振動音が、彼女の鞄の中から聞こえてきた。
それはピンクローター……ではなく、携帯電話のバイブレーション機能だった。
どうやらメールを受信したようで、画面に『You Got a Mail』と表示されている。
送信者の名称は『日色 唯』となっていた。
「友達?」
唯というファーストネームから、それは彼女の女友達なのだろうと、俺は判断した。
しかし、そんな俺の読みは外れた。少なくとも、男性であるらしかった。
「い、いえ、その、えっと……お兄ちゃん……そう、お兄ちゃんですっ」
慌てて画面を隠す彼女の様子は、いかにも怪しかった。
そもそも兄からのメールだと言うのならば、何故苗字が違う?
彼女は安室で、メールの送信者は日色という名だった。
「ふぅん……ま、良いけど。返信するのは、バイト終わってからにしなよ?」
「はい、それは勿論……」
隠すように、彼女は携帯電話を鞄の中ではなく、自分のジーンズのポケットに仕舞い込んだ。
そんなに画面を見られるのが恥ずかしいのだろうか?
まぁ、モノが携帯電話なのだから、分からないでもないが……。
俺は当然のように、その唯という名の男の事が気になり始めた。
それは彼女にとって、どういう立場の人間なのだろうか?
384: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:39:11 ID:w23UPeXV(10/16)調 AAS
意外にも、その男との顔合わせの機会は、すぐにやってきた。
その日も俺は、一人で暇を持て余していた。
今日は例の、社会学を受講する予定の曜日だ。
昼食を摂り終えたばかりで、友人達は各々講義に向かった。
二時間近くを一人で過ごすのが嫌だった俺は、先週と同じく、怜を呼ぶ事にした。
先週二人で過ごした時間が、予想以上に楽しかったし、
彼女もまた楽しんでくれていたように、俺には思えていた。
都合の良い思い込みと言われればそうかもしれないが、好感触ではあったのだ。
だからまさか、今週は呼び出しを断られるとは、思ってもいなかった。
「あぁ怜ちゃん? 社会学の時間まで一緒に時間潰さない?」
「あー、えっとぉ……ごめんなさい、今は他の人と一緒にいるから……」
「他の人? こないだの友達とか?」
「いえ、それとはまた別の人なんですけど……」
ただでさえ彼女の声のボリュームは小さい。
受話器越しだと、尚更聞き取りづらかった。
しかしどうやら、受話器の向こうからは男の声が聞こえてくるようだった。
「怜、さっさと行こうぜ」
かすかに、そんな声が通話口から漏れてきた。
「あ、うん……わかった。
 それじゃ、吉良先輩。また後で……」
「あ、あぁ」
仕方が無いので、俺は一人で学校を抜け出し、近くのゲーセンに向かった。
最近入荷したばかりの新作のゲームを、プレイしようと思ったのだ。
まぁ、最近殆ど常に、男友達なり怜ちゃんなり、誰かと一緒にいたからなぁ。
たまには一人で時間を潰すのも悪くないか。
そんな風に考えていたのだが、それもまた予想外の展開に裏切られた。
「あれ……怜ちゃん?」
「あ、き、吉良先輩……」
何と、まさかゲーセンで彼女を見つける事になるとは思わなかった。
およそテレビゲームなどとは縁の無さそうなイメージだっただけに、
けたたましい効果音とBGMの鳴り響くこの店内に、彼女は不似合いだった。
「意外だなぁ、まさかこんな所に怜ちゃんが来るなんて」
「いえ、私がゲーム好きってワケでは、なくて……」
彼女は振り返って、傍の両替機で千円札を小銭に両替している男を見た。
「……あん? 何だ、怜の知り合い?
 ハジメマシテ、日色唯でっす」
その名を聞いた瞬間、俺の中にちょっとした敵愾心と
不快感のようなものが走った。
この男が、怜ちゃんの『お兄ちゃん』……。
385: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:40:02 ID:w23UPeXV(11/16)調 AAS
日色唯は、いかにも軽薄そうな男だった。
怜ちゃんと違って、明るそうな第一印象。
けれど同時に、まるで信用のおけなさそうな雰囲気を、醸し出してもいる。
明るく発色した茶髪をワックスで無造作にセットしており、シャツは薄いピンク色。
所々破れたジーンズに、シンプルだが洒落たローファー。
首からは怜ちゃんとお揃いのデザインの、クロスのチョーカーが下げられている。
細身だが凝ったデザインの指輪を左手の人差し指に嵌め、
アラビア数字の文字盤の腕時計を身につけて、装飾にも余念が無い事を伺わせる。
薄く色の入ったレンズの眼鏡をかけているが、
逆ナイロールと呼ばれるそのフレーム形状から見ても、
度が入っているのかどうかさえ疑わしく思える。
その薄青いレンズの向こう側から、観察されているような錯覚さえ覚える。
とりあえずここでは周りが煩くて会話出来ないので、
外に出て、オープンカフェでゆっくりと話す事になった。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
尋ねてくるウェイトレスに、それぞれ飲み物を頼む。
俺はアイスコーヒー、怜ちゃんはミルクティー、唯という男はレモンティーだった。
喫茶店でレモンティーを注文する男は、いないわけではないが、珍しい方だ。
こういう所も、妙に気取っているように見えて気に食わない。
しかも彼は、グラスに添えられて出てきたレモン果汁を、紅茶の中に混ぜなかった。
紅茶の中に滴らせはしたものの、ストローで混ぜたりしなかったのである。
これではつまり、飲む時に風味にムラが出来る事になる。
「これが本場の飲み方なんだよ。
 味わいが均一でない事をこそ、楽しむってワケ」
通ぶったその口調も知識も、殊更に神経を逆撫でする。
どうやらこの男と自分は、まるで相性がよろしくないようだった。
「改めて自己紹介するよ。俺は日色唯。
 苗字はあまり気にいってないんで、まぁ唯って呼んでくれよ」
「俺は吉良大和。こちらこそよろしく」
唯の表情は、ニコニコと言うよりも、ヘラヘラと言った方が正しかった。
何でこんな男が、怜ちゃんと知り合いなんだろう?
何で怜ちゃんと、お揃いのチョーカーをしているのだろう?
考えれば考える程、不愉快な気持ちにさせられた。
よりにもよって、怜ちゃんが俺ではなく、彼の隣に着席している事も
俺の機嫌を悪くしている要因の一つだった。
彼女からしてみれば、当初の随行者は唯なのだから
彼の隣に座るのは、自然な流れだったのだろうけれど。
386: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:41:57 ID:w23UPeXV(12/16)調 AAS
とりあえず社交辞令程度に会話を進めていく中で、
いろいろな事が分かってきた。
唯は、俺達と同じ大学の学生であるらしい事。
学年は俺と同じだけれど、誕生日が四月なので、現時点では俺より一つ年上らしい事。
そして、怜ちゃんに白城大学を勧めた、張本人であるらしい事。
しかし、彼ら二人がどんな関係なのかは、よくわからなかった。
気のせいかもしれないが、怜ちゃんは意図的に
その辺りをはぐらかしているようにも見える。
唯と自分が恋人同士であるという風に振舞う事も、また逆に、
何ら親密な関係を持たない赤の他人であるようにも、振舞わない。
どっちつかずの中途半端な態度を、俺に対しては見せているようだった。
悟らせないように、いつも以上に口数を少なくしている感じだ。
俺は、思い切って聞いてみる事にした。
とは言っても、表面上ただの友達っぽく振舞っている人間に、
ストレートに「二人の関係は?」と聞くのも悪い気がする。
遠まわしに「二人はいつ知り合ったの?」と聞いてみた。
すると、意外な答えが返ってきた。
「……これ、教えて良いの?」
「良いんじゃね? 俺は別に恥ずかしくも何ともないし」
どうやら人には言いにくい話であるらしく、
差し支えるようであれば答える必要は無いと、俺は言いかけた。
しかし、それより早く、唯はスラスラと真実を答えた。
「俺、ブログやってんのよ。ブログ。
 怜は数ヶ月前からそこによくコメント書き込んでた、常連さんってワケ」
俺は一瞬、彼の言っている言葉の意味がよくわからなかった。
ブログ?
聞いた事のある単語だ。
確かグラビアアイドルに一人か二人、そんな事をやっている人がいた気がする。
管理人は日記形式で記事を書き、他の人間が思い思いの感想を書き込む。
そんな文化が徐々に流行しつつあるという話は、聞いた事があった。
しかしそれよりも、怜ちゃんが唯に対してはタメ口である事の方が、
俺にとっては驚きだった。
387: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:42:49 ID:w23UPeXV(13/16)調 AAS
こうしていざ唯と知り合ってみると、俺と彼は
意外と同じ講義を受講している時間が多い事が、わかった。
彼と知り合ってから、今日で三日。今まで行く先々の教室で、彼を見かけてきた。
まだ専門コースに分化する前の段階だし、学部も同じなので
それも当たり前と言えば当たり前だった。
そして彼の授業態度はと言うと……お世辞にも、真面目とは思えなかった。
しょっちゅう煙草とライターを片手に教室を抜け出したり、
平気で机の上に突っ伏して眠ったり、机に落書きしたりしている。
俺は、そんな彼に関わって自分まで授業に身が入らないのは願い下げだったので
自分から彼に声をかける事も、いちいち仲良さげに近くの席に座りに行く事も無かった。
見た目の印象だけで言えば、いかにもチャラチャラした遊び人でしかない。
そんな男が、ブログなどという少しオタクじみた事柄に
熱中しているとは、人は見かけによらないものだ。
そういう意味では、怜ちゃんがブログの常連であるという事の方が、まだ納得出来る。
こう言っては何だが、彼女にはそう納得出来るだけの『暗さ』さがあったからだ。
全国のネット住人達には申し訳ないが、俺の中には未だにそんな偏見があった。
だからこそ、尚更この二人が仲が良い事が、よくわからなかった。
正反対で、相性もそんなに良くなさそうな組み合わせなのに。
「私も、あいつとは相性良くないと思いますよ。
 趣味も全然合わないし……あいつと一緒にいると、ちょっと疲れるし」
余程日ごろから唯のあの軽妙な振る舞いに振り回されているのか、
怜ちゃんは少し溜息をこぼしつつ俺に答えた。
それは彼氏への愚痴というよりも、駄目兄貴に対する疲労感のような感じだった。
「でもそれにしては、何でペアのチョーカーなんかつけてるんだい?
 普通そういうのって、恋人同士がするものじゃ……」
「ちっ、違いますよ! あんなの別に好きじゃないし!」
怜ちゃんは、躍起になって否定した。
やはり彼の話になると、怜ちゃんはムキになる癖があるようだ。
「このチョーカーだって、たまたまあいつと一緒に遊んでる時に
 露店で見かけて……買おうと思ったら店員さんが
 『これはペアでないと販売出来ないタイプだから』って言って、それで……」
「なるほど、単なる成り行きって事か」
心の中で、密かにガッツポーズをとる自分がいた。
いつの間に俺は、彼女にそこまで本気になっていたのだろうかと、自分で驚いた。
388: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:43:37 ID:w23UPeXV(14/16)調 AAS
その時はバイト中だったけれど、客はあまり来なかったし
店長達も俺達に店を任せて、夕食をとっている最中だったので
しばらく二人で話し込んだ。
唯と違って、俺は怜ちゃんと音楽や小説の趣味が結構合うので
やはりこの間の学食の時と同様、話はすぐに弾んだ。
二人で楽しく話していると、就業時間が経過していくのが凄く早く感じられた。
バイトが終わってもまだ、俺達は互いに話し足りない感覚を抱えていた。
と言うより、このまま別れるのが寂しいような気さえしてくる。
そう思っていたのは俺だけかもしれないが、試しに食事に誘ってみると
怜ちゃんは快諾してくれたので、彼女も同じ気持ちだったのかもしれない。
「でね、嘉狩は『orb』ってバンドの『暁』って曲が最高だって言って、
 頼んでもないのに無理矢理聴かせてくるんですよ。
 勝手に私の耳にイヤフォン突っ込んで……」
「あぁ、オーブかぁ。俺はどっちかって言うと洋楽のが好きだなぁ。
 クリスチーナ・マッケンジーとかさ」
「あ、私もクリス好きです。あの柔らかい歌声と歌詞が……」
「本当? いやぁ、怜ちゃんとは気が合うなぁ」
会話する時間が長引くにつれて、俺の声はどんどん弾んでいった。
どうやら唯はメタル系の曲が好きらしく、怜ちゃんとはまるで話が合う事が無いのだそうだ。
滅多に出会えない同好の士……つまり、俺との会話が楽しいのか
怜ちゃんはいつになく多弁で、実に多くの事を俺に話してくれた。
最初の頃こそ、暗くてとっつきにくい印象があったけれど
少し打ち解けてしまうと、そこからは一言話す毎に、驚きの速さで距離感が埋まっていく。
こういうのをこそ、相性が良いと、世間では評するのかもしれない。
「次シフトが重なるのは、一週間後だったっけ?
 ……じゃなかった、一週間後でしたっけ?」
気が軽くなっているのか、徐々に彼女は敬語を使わなくなってきた。
それだけガードを下げてくれているという事だろう。俺は怒るよりむしろ、嬉しくなった。
何となく、唯の鼻を明かしてやったような気になれたからだ。
「一週間後かぁ……結構時間あるね。
 まぁ、でも学校でだって会えるしさ」
「そうですね……」
時刻はいつの間にか、0時に近くなっていた。
ドリンクバーばかり何杯もお替りする俺達を、そろそろ店員も疎ましい目で見てくる。
会話に夢中になっていて、時間が経っている事にまるで頓着していなかった。
「帰ろうか。下宿まで送るよ」
「ありがとうございます。それじゃ、お言葉に甘えて……」
389
(1): 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/17(金) 00:44:32 ID:w23UPeXV(15/16)調 AAS
その日は、二人で並んで帰った。
彼女の隣は、心地よかった。
この子となら、俺は、ただ並んでベンチにでも座り込んで、
話しているだけでも楽しいだろうなと思った。
いつしか頭の中は、いつ彼女に告白しようかという事ばかり、考えるようになっていた。
もはや彼女の事を、素材が良いだとか、笑うと可愛いだとか、そんな次元で見てはいない。
今はただ、唯に先を越される前に、彼女を自分のものにしたい。そう考えていた。
「それじゃ、怜ちゃん。またね」
「はい。今日は有難う御座いました。凄く楽しかったです」
「こちらこそ、楽しかったよ。
 あぁ、それと……」
少し首を傾げる彼女に、俺は少し照れながら言った。
「次からは、わざわざ敬語使わなくても良いから。
 怜ちゃんに敬語使われると、何て言うか俺……寂しくなっちゃうし」
俺の顔も赤かったけれど、彼女の顔も林檎のように赤くなっていた。
薄明い街灯の下で、俺達は付き合い始めのカップルのように、恥じらいあっていた。
いや、まだ気は早い。
付き合った気になるのは、せめて告白が成功してからだ。
今はまだ、その度胸は無い。
一週間あるのだから、きっちりと覚悟を決めてから、告白しよう。
情けないけれど、玉砕する覚悟は、今はまだ決められない。
もっとも、玉砕するとは微塵も思っちゃいないけれど。
しばらく二人とも無言のまま、時間だけが過ぎていった。
とは言っても、ほんの数秒だったかもしれない。俺には、時間の感覚が消えていた。
「それじゃ、また……」
「……うん」
怜ちゃんは『はい』ではなく『うん』と答えてくれた。
俺にはそれが、たまらなく嬉しかった。

だからまさか、一週間後に。
告白を拒絶されるとは、夢にも思っていなかった。
390: 2007/08/17(金) 00:46:14 ID:w23UPeXV(16/16)調 AAS
今回はとりあえずここまで。
オリジナルのキャラ名が思いつかなかったので
ガンダムのキャラから適当にパクってきました。
ガノタ以外には寒いだけの洒落ですので、
その辺は適当に無視して下さい。
391: 2007/08/17(金) 02:14:48 ID:tR3o8ihR(1)調 AAS
なんか面白くなってきた
392
(1): NTRタト思タラNTテタ 2007/08/17(金) 05:24:10 ID:/Z8EEVQK(1/10)調 AAS
おお、おつかれさまです。
職人様が来てくださると嬉しい限りです。
ひょっとして俺のせいで投下が来なくなっちゃったのか、なんて…。

えっと、ってことは俺は投下は少し待ったほうがいいのでしょうかね?
393: 2007/08/17(金) 05:43:28 ID:TA/hCS8H(1/2)調 AAS
いや、互いに遠慮する必要は無いでしょ。
394: NTRタト思タラNTテタ [sage 了解です] 2007/08/17(金) 06:02:33 ID:/Z8EEVQK(2/10)調 AAS
週明け、いきなり朝からめぐが迎えにきた。
と言ってもこうやって不意にやってくるのは滅多にある事でもなく、記憶に残る限りは数回程度?
とにかく珍しいのだが、それよりも週末の事がどうしても気になる。
正直、心に響くものが無いわけじゃない。
揺らぐ心が無いわけじゃない。

めぐに、……キスをされた。
俺はほんとに避けれなかったのだろうか?ほんとに避けたかったのだろうか?それとも?

取りとめの無いような疑念を振り払う。何考えてるんだ、俺。
すぐさま、俺の事より、めぐ自身の事に思考を切り替える。どういうつもりなのだろう、あいつ。
もう昔のように俺の知っている、いや、違う、昔っから俺はそんなにめぐを知らない。
知っているつもりでいて、打ちのめされた。
それでも、嫌いになれなかっただけ、憎みきれなかっただけなんだが、それでもある程度はめぐは俺にめぐ自身を見せていてくれた部分はあったと思う。
でも最近は、ちっとも知らない、踏み込めば分かるかもしれないが、踏み込む事は出来ない、もう痛い思いなんてしたくもない。
だから、正直、今のめぐの心や俺の知らない付き合いの範囲、見ようとすら、しなかったけど・・・。
少なくとも、今のめぐはいわゆる遊び人の女、ではあり得ないと思う。
しゅうちゃんが傍にいる以上、それは考えなくってもいいだろう。

で、さりげなく歩きながらに週末の夜の話題になって。
歩きながら、ずっこけそうになったのを堪えた俺は、手放しで褒めて貰っていいと思う。
それだけの価値はあると思う。
あれだけ、あれだけ悩ませておいて、記憶とんでやがる。
「ねね、どうしても、どうやってもこないだ飲んだ後の事を憶えてないんだけど、何か迷惑かけてない?」
思いっきり迷惑をかけてらっしゃいます。
もう信じられないくらいに。
しょうがないので「あーあー、あれね、うん、あの夜ね。めぐ、いきなり駅前で脱ぎだそうとするから慌てるっての!」
「嘘っ!」ええ、嘘です。
「おまけに噴水の前で、『あーたーしーはー、汗かいたから気持ち悪いって言ってんでしょ!』とか叫ぶし、わけがわかんなかったよ」
と親切に言っておく。うまくいけば、もう記憶がとぶ程には飲まないだろう。いい事をすると気持ちがいい。
道すがら、ちょっと寄り道するからと俺はめぐと別れる。
ほんとは少し一人で考えたかっただけ。

……記憶がとぶ程に飲んだときの事だ、別に深い意味は無いのだろうし、こっちも忘れてあげたほうがいいのだろう。
でも、それは本当に記憶が無くなっていたのではなく、本当は意味があったのをその時は知る由もなかった。

あとはしゅうちゃんかー。空を見上げる。
空は青かった。
初夏なのに、高く感じた。
あの頃のように。

もしも、お前の人生で一箇所だけ、選択をやり直せるならどこを選ぶ?どう変える?

そう聞かれて、
あの時を選ぼうとしなければ、俺はきっと、最低の類の人間だろう。
あの時を思い描かなければ、俺はきっと、ただ生きているにさえ値しないのだろう。
395: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/17(金) 06:03:28 ID:/Z8EEVQK(3/10)調 AAS
心が壊れるような思いをした高校1年のあの時のあと。
俺はそれでも大抵は学校にちゃんと通っていた。(当たり前だが)
偏差値の高めの高校だったせいか、あの学校には悪いっぽいヤツはいたが、不良と言える程の存在はいなかった。
勿論、全国規模でこういう傾向があったのかどうかは知らないが、少なくとも俺のすんでいた田舎ではそうだった。

「あー、あいつ、惚れた女が他のヤツらとやってんの、間抜けにただ見てたヤツだぜ」
俺に聞こえないようにみんながそう思っているんじゃないか。
ああそうだよ!俺はそれでもあいつが好きだった!それでも助けられなかったヤツだよ!
心の中でだけ反論していて。
でもそれが俺の被害妄想だって教えてくれたのはあの時の一年坊と、数人。
『中学時代、すげえ仲のよかった同級生の子だよ』
それだけしかいえない、言わない俺。
でも、はっきりと尋常でない顔色、その後の俺の様子。俺が心が動かないなんて評した俺、しかしあいつらの目に写る俺の様子はそんな生やさしいものじゃあなかったらしい。
痛々しすぎて、見ていられない程だったと、だから、その子が俺にとって何だったのか、きっと分かっていたのだろう。
『すげえ仲のいい』その意味を。

数人で先輩をも詰ったらしい、そもそも公になって困るのは明らかに先輩のほう。
先輩もそれとなく、俺の様子を気には掛けていたらしく。
でも、そんな気遣いですら俺には辛かった、苦しかった、その場で泣き崩れる事が出来たなら、むしろどんなに楽だろう。
土下座なんてされても、もう戻らない日々が悲しすぎて、何も出来なかった俺があまりに不甲斐なくって。

俺は次第に煩わしさに、学校の人間とあまり付き合わなくなっていた。
いや、はっきり言って、あの事を知っている人間と顔を合わすのも辛かった。

そのうちにバイトを始めてみた。髪の毛の色が濃い栗色に変わった。タバコを吸い始めた、酒に酔って帰る事もあった。
高校2年になって、女も―――覚えた。知ってしまった。
二人だけ。一人目は遊び人風。適当、正しく遊びのお付き合い。間違ってもクールなのではなく、心の反応の鈍い俺を勝手に誤解して、勝手に騒いで、勝手にキレて、勝手に去っていった。
二人目はバイト仲間の真面目な子。交際を申し込まれた。断った。付き合ってるうちに好きになるかもしれないからと強引な手法。寝た。なのに俺が好きにならないのはどうやら悪い事だったらしい。
勝手に盛り上がって消えていった、俺は悪い人間なのだそうだ。きっぱりと断言された。
三人目は……未遂だからいいだろう。
一つ年上、真面目っぽい外観にそれとは違う何かが見え隠れ。
キスをした。それから口に含んでしてくれた。上手なテクニック、尋ねてみると、キャリア十数人と見た目と裏腹な事を口にする。
処女を失くした相手は彼氏だったと照れずに語る、今から2年前の高校一年の時だったと。
そうして驚愕の言葉を口にする。
今もその彼とはずっと付き合ってる、別れる?一回振られそうになって、泣いてしがみ付いた。なんとか振られずにすんだ。
彼氏以外とのセックスは一度味をしめたら、もうやめられない。何度もやめようとしたけど、これだけは無理そう。

そこまで聞いて、思わず殴った。ベッドの中、これからって時、平手だけど、バシンって結構いい音がしたと思う。
何をするのと怒鳴る女に、あまりに腹が立って、悔しくって、大声で怒鳴っていた。年上相手にあり得ない暴言。
「お前、最悪だ!」
それっきり、お誘いも無い。あったら困るがこれでいい。きっと俺でない誰かを探すんだろうけど、それは知らないし、俺はそんなの欲しくない。
それから、一度だけ見た、その女の彼氏は、優しそうな顔で自分の彼女に手を振ると、幸せそうな顔で会話をしていた。
396: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/17(金) 06:05:05 ID:/Z8EEVQK(4/10)調 AAS
俺はあの頃、汚れてしまいたいと思っていたのかもしれない。
堕落してしまいたいと思っていたのかもしれない。
でも、何故だかそれでも自分の中に少しだけ守りたいものがあって。
理由は未だにはっきりと分からない。
もしかしたら、もしかしたら、

めぐに近づきたいと思っていたのかもしれない、同時にめぐからもっともっと遠ざかりたいと思っていたのかもしれない。
矛盾しているようで、
似ているようで、やっぱり矛盾していて。

それから暫くして、そろそろ受験考えないっとって頃になって、いつまでもぐずぐず生きては行けないぞって頃になって、俺は髪を黒く戻し、夜に出歩くのをやめて、日々を過ごした。
そんな頃、まだ朝が肌寒い頃。
朝、少し早めに家を出る俺、いつもの事だ。駅まで自転車を漕ぐ。
いつもの道、坂を下ると、いつものように通勤通学の人の流れに混ざりんでいく。
そう考えもせずに、余所見をしながら坂にさしかかろうとした、その時。
目前に人影が現れた、いや、現れたって言葉はおかしいのだろう。
単に俺が前も見ずに自転車に乗ってて、目の前に人がいたのに気が付かなかったってのが正解だろう。
でも、俺にしてみれば、全くの予想外の事態で、それはまさに人が急に現れたって言うのは間違いでは無いだろう。

で、思いっきり跳ね飛ばしてしまった……。
もの凄く慌てた。見ず知らずの人に怪我させてしまったかもしれない。俺の人生ここまで?って思えるくらいに慌てた。
自転車を飛び降りると、今跳ねた人。女性。いや、女子高生。よく見るとめぐと同じ制服。同じ学校の生徒?
めぐとは全く似ていない真っ黒な髪、ワンレンの髪型、横顔に覗く黒ぶちメガネのつる。

「ごめんなさい!大丈夫ですか!?」慌てて声を掛ける俺。
「あいたたたた……」
聞いた事のある声。一気に心臓の鼓動が跳ね上がる。でも外見は全く違うし、似た声の人なんだろう。
そう思って、傍に寄り、跪いて助け起こそうとした時、その人は普通に立ち上がって、服をぱしぱしと叩いた。
「痛いじゃないっ。……やっほ!」やっぱりめぐだった!
正直、ずっと会いたかった、と思う。でも会えないと思った。見捨ててしまったと思ってた。会う資格なんて無いと思ってた。
でも、それでも会いたいって思うようになってた俺には、まるで、大昔に中学で初めてあっためぐを思い出していて。

少しの挨拶、お互い恐る恐る交わした会話。
でも、わだかまりが消える程ではなくって。
それでも多少は楽しいと思えた。だから、とっくに変わっていた携帯の番号だけ交換して、その朝は分かれた。

それから憂鬱な一日を過ごすかと思っていたら。
きっと俺は馬鹿だろうと思う。はっきり言って馬鹿以外に表現は難しいくらいに馬鹿だろうと思う。
俺、その日、思いっきり浮かれていたらしい……。
家に帰ってくると、嫁いでいた姉貴が家に来てて、
「なんかいい事あったの?」とか「珍しいね、最近のあんたがそんな顔してるの」とか。
思いっきり顔に出ていたらしい……。

たとえどうやっても過去は消えないと思う。消せないと思う。
でも、今朝のめぐはまるで出合った頃を思い出させてくれて。
もう一度、もう一度だけチャンスがあるのかもしれない。
でも、でも、―――暗雲とした気持ちが巡る。

また傷つくだけかもしれない。

浮かれたり、沈んだり、ちょっと激しい思いのまま、それでも思い切って電話を掛ける。
そうして、暫くの間、毎日の様に電話やメールでやり取りをする様になった。
397: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/17(金) 06:06:51 ID:/Z8EEVQK(5/10)調 AAS
あれからどうしてた?なんて聞けない、聞けるわけもない。
現状の報告、お互いに少しずつ、少しずつまた、距離が近づいていった様な気がしていた。

そうして、少しの楽しい時間が回り出した。
駅前で待ち合わせ、友達を、仲のいい女の子を連れてくると言っていた。
まず、めぐが登場。
「いきなり口説いちゃダメだよ」なんて笑ってる。恐ろしい事を言う。
相変わらずだと思った。でもそれ、今の俺には結構痛いセリフだぞ?
「大丈夫だよ、めぐの友達にそんな可愛い子がいるわけがな…………痛い痛いやめろめぐしゃれになっ」
本当に相変わらずだった。
本気でヘッドロックを掛けられ、感触を楽しむ余裕も与えられず、のた打ち回るくらいに痛かった。
そうこうしてるうち(?)にめぐの友達が真っ白の、綺麗に磨かれたような自転車に乗って現れた。
それがしゅうちゃんだった。

「へえ、しゅうちゃんって言うんだ?」
ファーストフードに立ち寄って、話し込んでる三人。
「うん、あだ名だけどね」答えたのはめぐだ。
「どんな字、書くの?」
「ああ、えっと、名前は『ひでみ』で」とご本人。
ちょっと考える……、『ひでみ』は『秀美』?頭の字の読み方を変えて『しゅう』なのか?
「ううん、違うよー。『秀才のひでみちゃん』、略して『しゅうちゃん』で〜っすっ」
……どんな略し方なのだろうか、このセンスはあんまりだ。これ付けたのめぐか?めぐなのか?
「へえ、なるほどなるほど。ところで誰がそのあだ名付けたの?」
めぐだったら、釘を刺してやったほうがいい。遠まわしな陰湿なイジメはやめろと。
「あ、自分で付けました♪」……すげえ痛い人だなって思いました。

「そっか、秀才なんだ」でもこれは嘘では無い模様。
しゅうちゃんは学年で一、二位を争うくらいの学力、めぐは昔、かなり勉強が出来なかったが、今はそれなりの成績を取っていると言っていた。
多分、この彼女がそこらを面倒見てくれていたのに違いない。
・・・・・・昔は俺だったのにな。少し寂しく感じてしまう。
遠い日、俺の前でテスト前に泣き付いていためぐを思い出す。

「あ、でもそうくん。あっと、あたしもそうくんって呼んでいいです?」
「いいですいいです、ついでに敬語もやめて下さい」にっこり笑う俺。「同じ年なんだから」わざと敬語なのは冗談。
あ、はいとにっこり笑ってから笑顔のままで「そうくんも昔、偏差値74も出してたとか、それって凄ーい!・・・あ、ごめんなさい、昔とか」少し敬語の残るしゅうちゃん、結構、面白い子だ。
「でしょでしょ」とめぐが続く。
……めぐだな、教えたの。まったく余計な事言うなよ、別に成績と頭の出来はあんまり関係ないだろーが。頭の中でごちる俺、俺が馬鹿なのは思い知ってるし。
つーか、今の俺、けっこう学力落ちてるんだが、それは新手の嫌がらせ?
「あはは、それは一時期だけだしー。別に全科目でもないしー。今はそれほどでもないしー……」だんだんと声のトーンが落ちてしまう。
でも、楽しい時間であるのは間違いではなく。取り留めの無いような会話。時間を忘れてしまうくらいに楽しく。
こうして、めぐのいる時間を過ごせるのが、本当に本当に楽しく思えた。
どこまでいっても未練の残ってる自分を恨むように憎むように過ごしてきたけど、それはそれで良かったのかと思えてしまうくらいに。
398: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/17(金) 06:08:44 ID:/Z8EEVQK(6/10)調 AAS
そうして、学校に友達が少なかった俺は、自然、二人を過ごす時間が増えていった。
勉強がてら、図書館にも行った(俺達の住んでいた田舎の図書館には机があった)、女3人よれば姦しいと言うが、2人でも充分に姦しく、勉強にならず、司書さんに怒られてしまったり。
プールにも行った、めぐは勿論に眩しく。しゅうちゃんは溜め息が漏れる言うか、すげえと言うか、埋もれてみてえとか、そんな感想が出そうな。軽くからかってみたら、怒ってた。
二人とも照れ照れで、こっちまで照れてしまう。周りの視線が痛いとか、両手に花とか少しバチ当たりな俺がいて。
いろんなところに3人で息抜きと称して遊びに行った。
夏休みが近づき、そろそろ受験生には勝負時。めぐと二人で居た時、俺はそろそろタバコもやめないとなぁと、二人の前では吸わなかったセブンスターに火を付ける。
驚くかと思った。怒ってくれるかと思ったんだけど、軽く流された。
ああ、そんなもんだよな、今の俺達の距離は・・・・・・。

その頃の俺達はたま〜にだけど夜に俺の家に集まったりしてた。
「久しぶりだね」最初の頃、めぐが漏らした言葉が感慨深そうに見えたのは自意識過剰?
めぐがこうして又、家に来てくれるようになったから?

俺の実家は部屋数こそ多くないが、敷地は結構大きく、俺の部屋は端っこ。
多少であれば夜に人を呼んでも家族にあまり迷惑は掛からない。
「いつでも来ればいいよ」俺の言葉に、
「うん!」元気良く二人とも。

しゅうちゃん、すごくいい子だと思った。真っ白の自転車。乗り物を見れば人柄が分かる、なんて言葉が納得出切るくらいにいつも綺麗に乗っていた。
下世話な言い方になるが、大人びた体つきに、幼い表情、よくはしゃぐ、それはまるで昔のめぐを思い出すくらいに。
この子がいないと、きっと俺はめぐとこんな風に自然に過ごせたりなんて出来なかったかもしれない。
全然、男に慣れていなくって、そのせいなのか、親友の旧友の同じ年の俺にまるで懐くかの様に接してくれる。
ずっとこんなだったらいいのに―そう願っていた。本気でそう思っていたのに。

テストも終わり、長い休暇、受験生にはそろそろ勝負時。
そんな季節にも、やっぱり俺達は一緒の時間を作ったりしてた。
そんなある日、めぐから連絡が入る。

「今夜、また行ってもいいかなっ?」「もちろん」間髪入れずに答える。
「えっと、友達連れて行っていいかな?」「おっけーおっけー」
「お酒は?」「う、あんまり飲むなよ?一応、あるけど……」言いにくいがまあ、たまにこんな事もあったりする。
(※日本の法律ではお酒は二十歳になってから、これは真似してはいけません)
電話を切ってから、少し、不審に思う。言いにくそうにしてた様に感じて、少しだけ。どうしてだろう。考えたくない予感。でもすぐに振り払う。悪い予感なんて投げ捨てる。
そうして日も暮れ。俺は今まで生きてきて、最も後悔する夜を知る事になる。
先に後悔なんて出来ない。――出来ればそれは、ものすごく幸せな事なのだろう、きっと。

珍しくもしゅうちゃんが先にやって来た。やっぱり自転車に乗ってきた。
真っ白の自転車、ママチャリとはちょっと違う、結構値段もしそうなお似合いの自転車。
きっと磨いたりもしてるのだろう。
挨拶をして、部屋に通す。天真爛漫な態度、やっぱり誰かを思い出す。
「今日は早く着いたよー」きっと真っ直ぐ最短の道を来たのだろう。
日の暮れるような時間だと、一旦駅の方へ出て、大通り沿いに進んで、次の駅のところで自分の家へ向かうと言う。
最短の道、ちょっとした山の裾野あたりを通る道だと、薄暗くなると無用心なのだそうだ。
なので、今日は30分ちょっとで来れて、楽だったと笑う。
いつもの服装とは違うしゅうちゃんを見る。まるで昔のめぐを思い出す様な服。少しだけ、少しだけ重い気持ちになって、すぐにそれを振り払う。
いつもの様に会話を楽しんでいるところにめぐがやって来た。

「おっ、先に楽しんでるねっ!」
399: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/17(金) 06:11:52 ID:/Z8EEVQK(7/10)調 AAS
めぐは友達を連れてきていた、優しそうな男の友達。ギクリと心臓が一瞬止まる。
挨拶を交わす、すごく紳士的な態度、初対面での礼を失さない態度。
心がざわめき出す。誰なんだよ、そいつ!声には出さない、顔にも出さない。
にこやかに、あくまで自然に礼を返す。でも、……冷静を保てない。
自然、絨毯に座るのはめぐとその男、俺としゅうちゃん、の組み合わせ。
遊び慣れた様な雰囲気、年上の男。第一印象はそんな感じ。

心はうわの空でも会話は進む、あれからの一年が俺にそんな芸を教えてくれていた。
「噂のめぐの幼馴染が君なんだね、噂通り優しそうだ」一瞬、ほんの一瞬俺は固まった。
めぐ?今、めぐって呼び捨てにしたのか?どういう関係なんだよ!俺の!・・・・・・俺の好きななんてもう言えっこない・・・めぐの。
それでも俺だけが、俺だけが……でも、俺は今のめぐにとって……何でもない、ただの友達程度……。
何も言えるわけもない……。
それでも俺は笑顔だった。はにかんでみせたり、あくまで丁寧な態度。
そんな自分に悔しくなる。取り乱せない自分に却って情けなくなる。
その男は遊び人風な風貌に反して、俺に対してまでも、あくまで真摯に真面目で優しげだった。
素直さの欠片すら無くしてしまったのだろうか?もう俺は。

「ところで、この部屋、禁煙……だよね?」
ああ、別に構いませんよ。灰皿取ってきますね。飲み物のお代わりも持ってくるからと、俺は部屋を後にする。
……逃げ出したい気分だったのは本当だ。
悔しさで涙が出そうになる。逃げる、何も言えない自分に。

そうして部屋に戻ろうとして、自分の部屋から漏れる会話が耳に入ってくる。

「そうくんっていい子っぽいね、うん、本当に優しそうだ」やめてくれ、俺のことなんて何も知らないくせに。
「でしょでしょ」めぐが言う、ねえ、その人、めぐの何なんだよ、いつも俺には内緒なのかい?
「うんうん、いそうでいないタイプだよね」しゅうちゃんが続く。君こそいないタイプだ。俺なんて所詮、十把一絡げの安っぽいどこにでもいるタイプだ。
「きっと、うまくいくさ」「そうだよね〜」一瞬、血の気が引く。何を言ってるんだ?
「やめてよ〜」否定するしゅうちゃん。そうだ、否定しなきゃいけないよ。
だって俺は……君じゃなくって、ほんとに。でも……。
溜め息が漏れた。知っていた。ほんとは薄々だけど知っていた。重々感じていた。男に免疫の無いようなしゅうちゃん。
俺を見る目の暖かさ。何気ない会話の節々に溢れる優しさと言う名の感情。
どう引き算しても、何も無いとは感じてなかった。
でも、たぶんそれは、恋とか愛とかじゃあなくって。むしろ、ただの憧れみたいなものだろう。
淡い、淡い憧れみたいなものだろう。何より、しゅうちゃんは俺を、ほんとの俺を知らなさ過ぎる。

そうして、部屋の前でもう一度、溜め息を漏らす。
めぐ、そういう事なのか?俺にしゅうちゃんとくっ付けようと、そう考えていたのかい?
そうして、めぐ自身はその男と……。

話題が移った、さっきの話題の中に飛び込む勇気なんて俺にあるはずも無い。
また変な話題になる前に、さっさと部屋に入る事にした。
まず灰皿を置く、普段、俺は部屋の中でタバコは吸わない。
部屋に匂いが染み付くのが嫌なのだ。それだけの理由。当然、部屋に普段灰皿なんておいてない。
400: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/17(金) 06:14:16 ID:/Z8EEVQK(8/10)調 AAS
飲み物を配り、横のしゅうちゃんに話しかける。
めぐを、真っ直ぐ見る事すら出来なかった。

灰皿にすっと手が伸びてくる、……信じられないものを見た、めぐの手だった、いやそれだけだったら驚かない。
タバコを一本手にしためぐの手だった。
手にしたタバコの銘柄はセブンスター。
俺の吸うタバコと同じだった。
横の男も懐からタバコを取り出す、予想通りのセブンスター。
ああ、そっか、やっぱりそうなんだね。
悲しくもあったが、怒りみたいな気持ちもあった。
仲良くタバコ?ふざけるな!めぐにタバコなんて吸わせてるんじゃねえ!
てめえがとめろよ!俺が!俺は!俺はもう、そんな言葉を口にするなんて、
したくっても、したくっても出来ねえんだ!言える立場じゃねえんだ!

悲しくなる、それでも平然と会話を楽しむ風な俺がいる。

もう、さっさと時間が経って欲しかった、のを憶えている。

そろそろお暇しますって感じで二人が立ち上がる。
しゅうちゃんとめぐじゃなくって、めぐと男。
男は車でここまでめぐを送って来たと言っていた。
今から車で送ってもらうとめぐが言う。
時計にそっと目をやると、示す時間は午後9時半。
いい時間だろう。家に帰るにも、恋人と二人で過ごすにも……。

これくらいの時間から。一年で俺が覚えた事。思い出す。めぐが……。きっとこれから。胸をぎゅっと握る潰される様な感覚と必死で戦う。

後で送ってもらいなよ、とめぐがしゅうちゃんに言う。
そうだね、酔ったままだと危ないよ、と男が言う。
しゅうちゃん、少し顔が赤い。確かに少し酔いを醒ましたほうが良さそうだ。
真面目な子なのに、俺達に少し引っ張られてしまったのだろう、こちらで気をつけてあげなきゃな。と普段なら考えただろう。
でも、俺はその時、自分の感情のコントロールに精一杯で、余裕なんて無くしてしまっていて。

見送った後、少しだけしゅうちゃんと話をした。いつもみたいに盛り上がれない、盛り上がらない。
心の中は、あの二人のことでもう一杯だった。嫉妬で一杯だった。『男の嫉妬はみっともない』のお手本みたいだった。
まだ、未練が一杯で、それでも踏み出すのが怖くって怖くってしょうがなくって、もうあんな思いはしたくなくって。
苦しくって苦しくって、悲しくって悲しくって感情の吐き出し方すら分からなくって。

そうして、俺は、酷い人間になる。

出し方の分からない感情を怒りに変えて、目の前のより卑下な存在にぶつけようとする。
目の前の、女子高の話題に出てくる男でしか、実際の男になんて全く慣れてない、
知り合ったばかりの親友の幼馴染に、淡い憧れを胸に抱いているような童顔な女の子にやり場の無い感情を持っていこうとする。

「だいじょうぶ?真っ赤な顔してるよ。」俺の問いかけに自分で鏡を覗き込むしゅうちゃん。
「いっそ、泊まっていく?」
401: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/17(金) 06:20:41 ID:/Z8EEVQK(9/10)調 AAS
部屋の中の時間が止まったような、部屋の中の空気が一瞬で凍りついたような、そんな瞬間。

「この部屋、俺以外がいても気づかれないよ?」

今までもオヤジが言えばセクハラな言葉を口にした事は何度かある。
でもそれはきっと冗談だって、俺のしゅうちゃんを見る目が、俺が昔のめぐを見る目と同じだったからこそ、
それが冗談だってしっかり伝わっていて。

でもこの時の俺の目は、きっと『男の目』になっていたに違いない。
メッシュのアウター、花の刺繍の白いブラウス。それを盛り上げる、ひと際大きな胸。
膝丈のバーバリチェックのスカート。しっかり括れたウエスト。
「や、あ、その…」口ごもってしまうしゅうちゃん。俯いてしまった。
「あ、あたし、あ、そ、そん…」そんなつもりじゃないのは知ってるよ。

「もう子供って年じゃないでしょ」
殴ってやりたい。もしもタイムマシンがあって、一度だけ使えるなら、この時の俺を殴ってやりたい。
この言葉がどれほど酷いか、分かっていて使っている。
黙り込むしゅうちゃん。
俯いたまま、表情を見て取れない。

そうして、羽織っていたメッシュのアウターに手を伸ばしかけた、その時。
「なんてね?」「無理だよ、しゅうちゃんには」わざと『には』を強調して言う。
憧れの存在に面と向かって言われて、これほど内面を抉られる言葉はあまり無いだろう。内面だけを狙って抉る言葉は少ないだろう。

悲しくも、悔しくもあったのだろう、しゅうちゃんが唇を噛んだ。
と思った瞬間、手早く、荒々しく、アウターを脱ぎ始める。
焦って、しゅうちゃんの手を掴んで止める!自分を安売りすんな!なんて言えもしない。
手も出せないくせに一丁前の事を言ってるのは、俺自身のほうだ。
そんな度胸も、めぐの友達に手を出す度胸なんて、ほんとは無いくせに、なんて卑怯な。

一瞬でとてつもない自己嫌悪に襲われる。余計に自分が惨めに思えてしまう。
手を離すと「ごめん」としか言えない俺が居て。

「悪かった、ひどい冗談だった。ごめん、酔いすぎてる俺。この部屋、好きに使ってくれていいから……」
やっとのことでそれだけ言うと、部屋を飛び出すように出て行った。
そうして居間に逃げていく俺、ソファにごろんと寝転ぶ、一人になりたい。
もう何も考えたくない。
めぐ、なんでだよ……。俺の事しか考えない俺。
思考の迷路、暗闇、答えなんて見つからない。
俺は本当に。彼女の別の存在。一度見捨てた、振り切った。今更。彼女にはもう。でも俺と居たら嬉しそう。
ぐるぐる思考が巡る、そんな中で、目を閉じ、俺は暗い居間でだんだんとまどろんでいった。

――遠くでドアが開き、閉まる音が聞こえたような気がした。

あの時、いっそ飲み物を取りにいくときにめぐを誘い、問い詰めれば良かった。
こんなに嫉妬するくらいに未練がまだあったのなら、いっそもう一度くらい告白しても良かった。
しゅうちゃんに八つ当たりなんてしちゃいけなかった。
いっそ、まだ俺が力ずくでしゅうちゃんを奪ってしまった方が、まだましだったかもしれない。
例え、それでどんなに俺が非難されようとも。

どうして、頭が回らなかったのだろう。
どうして、無理してでも送ってあげなかったのだろう。
どうして、ドアの音に反応出来なかったのだろう。
どうして、暗い夜道をしゅうちゃん一人で――――帰してしまったのだろうか!

それはきっと、一生悔やみ続けなければいけない出来事。あの夜の出来事。
402: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/17(金) 06:23:42 ID:/Z8EEVQK(10/10)調 AAS
では、今朝はここまでです。
なるべく早く完結するようにしますので、待ってくださっている方、すみません…。
403: 2007/08/17(金) 17:07:51 ID:Zj39FC68(1)調 AAS
今帰ってきた
纏めて読みたいので終わるまで我慢
404: 2007/08/17(金) 22:35:45 ID:DU9/FPPS(1)調 AAS
なかなか凄い展開ですな。
純愛話では得られない、NTR特有のドキドキ感が堪らんす(;´Д`)
405: 2007/08/17(金) 22:39:00 ID:SvjnLVU7(1)調 AAS
あわわ・・・先をみたいようなみたくないような
406
(1): 2007/08/17(金) 22:43:41 ID:TA/hCS8H(2/2)調 AAS
一応2つのNTRシーンの内、1つ目はもう書き終わってるのかな?
それが思い出の女性なのか、目の前に居る女性なのかは楽しみにしておこう。
407
(1): 2007/08/17(金) 23:05:26 ID:HjOTfqiU(1)調 AAS
めぐってだれ?

安室とかいうのはどうなったん?????

なにこれ
408: 2007/08/18(土) 02:30:31 ID:ZEyH/83f(1)調 AAS
まぁ文章が稚拙なのは素人なんで許して欲しいが
良く読んでないのは良くないし、興味ないならスルーが基本だよ。
409: 2007/08/18(土) 03:53:13 ID:ruR9x3/Q(1)調 AAS
文章の稚拙云々じゃなくて、>>407は書き手のコテを確認してないだけでしょ。
それとも>>392を皮肉った荒らしか。
410: 2007/08/20(月) 03:21:20 ID:EFVkTYKL(1)調 AAS
ほっ ほっ ほぁー

ほっちゃん枕物語はまだですか?
411
(2): 2007/08/20(月) 21:56:24 ID:eNMPZtE8(1/2)調 AAS
えー、さまよっているうちになんかすごいスレにたどりついてしまいました。

 ちょっとお聞きしたいのですが、「寝取られ」の定義は、自分が付き合ってる(結婚してる)女性を
とられるという事なんですよね。
つまり下記のような場合…

<例文>

「ハヨーッス!」
「痛ッ!」
 人の頭を後ろから思い切りどついて肩を並べてきたのは、幼馴染の春香だった。
 幼稚園の時からの腐れ縁ってやつだが、昔から水泳命で1年中真っ黒、男か女か
さえわからない位だったのに、最近ちょっと胸が膨らんできたりして、なんかオレ的
には少し気まずい感じなのに、こいつは全く相変わらずだ。
 どつきどつかれ歩いていると、後ろから
「まーた道の真ん中で夫婦漫才かよ」
と自転車にのったタケルが俺たちを追い越していった。
「ウッセバーカ!」
と毒づく春香を尻目に、ニヤニヤしながら奴は風のように去っていった。
「あんな奴がモテモテなんて、うちのクラスはなんかまちがっとる!」
とムカつきまくっている春香に、
「どうせお前みたいな男女なんか相手にされねえんだから、余計な心配すんな」
と優しく忠告してあげると、彼女は目を吊り上げながらオレのケツにマジキックを叩き込み、
「バーカバーカお前なんかウンコ」
とあまりにIQの低い罵声を残しながら走り去っていった。

 小さいころからあまりに身近すぎて、オレの春香への思いは一言では言えないものがあった。
 だが、まあ、突き詰めれば、その、なんというか、基本的には好きって事なんだろうと思う。
 オレがその気持ちを確信したのは、忘れ物を取りに戻った暗くなりかけた教室で、
タケルのデカいチンポを一所懸命しゃぶっている春香を目撃したその瞬間だった。

<めでたしめでたし>
 
……とまあこういうのは別につきあってる訳でもなんでもないんだから全然チガウ!という事でおK?
412
(1): 2007/08/20(月) 21:58:46 ID:m7lXkrK4(1)調 AAS
お前の例文だけでヌケた
413: 2007/08/20(月) 22:11:20 ID:AXfbG+Qv(1)調 AAS
新たな寝取られ小説作者の誕生である
414: 2007/08/20(月) 22:12:23 ID:K+FodEPF(1)調 AAS
めでたしめでたし、なのか
415
(1): 2007/08/20(月) 22:16:18 ID:eNMPZtE8(2/2)調 AAS
>>412<<413
えっ?これ寝取られなの?こっちの片思いとかでも?

……ムツカシイナー
416: 2007/08/21(火) 00:41:09 ID:FoCaxnJQ(1)調 AAS
例文じゃなくて本気で書いて欲しいぜ…
>>415
全然難しくないよーあなたが思うものが寝取られです。
417: 2007/08/21(火) 01:49:25 ID:n7rmE+qz(1)調 AAS
付き合ってなくても高嶺の花に片思い、とかじゃなく
この場合幼なじみだけど、かなり親しい仲の片思いの女性が他の男とヤるのは寝取られに相当するかと
418: 2007/08/21(火) 02:31:49 ID:r6enqfg+(1)調 AAS
うーん、嫉妬というか、切なさがポイントという事なのでしょうか…

あの、聞いてばかりですいませんが、こちらの方々としては、
 ・寝取られっぱなし。寂しくジ・エンド
 ・なんやかんやで主人公のもとに戻ってくる
のどちらが気持ち的にシックリくるものなんでしょうか?
419: 2007/08/21(火) 02:57:25 ID:63cs5d8h(1)調 AAS
しっくりくるという意味合いの取り方で変わってくるが。
寝取られっぱなしは鬱になる傾向としてしっくりくる。
元鞘ルートは寝取り男にあんなことやこんなことをされて、開発されたことに嫉妬するという意味ではしっくりくる。

どちらも俺が抱くしっくり感だけどね。
420: 2007/08/21(火) 03:00:38 ID:cQuR26TA(1)調 AAS
そこらへんは人によるし物語の展開にもよるって感じかな
421: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/21(火) 04:13:44 ID:xlSc4vVB(1/8)調 AAS
あー、申し訳なく、病院送りなってましたm(_ _)m
つっても一泊で戻れた程度なんですが、あまりに体力に余裕がなくって、遅くなってしまいました。

>>406
んっと、一応、終わってるんだけど、まだ終わってないと言うか。
過ぎた事を敢えて、全部書いてないと言うか、「その時点の俺」が知るべくも無い事は、
あまり書いてないわけですね。後で知った別の視点での事、は後から、です。

>>411
問題ないんじゃないでしょうか?
ガッツ書いて下さい。

では、途中までですが、投下いきます。
422: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/21(火) 04:14:22 ID:xlSc4vVB(2/8)調 AAS
翌朝、目覚めは最悪だった。
親に何でここで寝ているのかと不思議そうに見つめられながらも自室に戻ると、やはりしゅうちゃんの姿は見えず、
ああ、やっぱり昨夜のあのドアの音は、しゅうちゃんが帰った音なんだな、とおぼろげな記憶を辿る。
随分、時刻も遅かったけど、まあ何かあったら一報があったろうと、勝手に思う。
全く、勝手に思い込む。

そうして、朝食も取らずに自室のベッドに転がった。
頭の中は既にしゅうちゃんは存在しておらず、めぐの事ばかり考えていたと思う。
友達って言ったのに。照れ隠しなのか。俺の存在は。それこそ友達。でも雰囲気が違うような。それは自意識過剰じゃないか。
色んな事を噛み締めるように、思い出すように反芻する。
高1の頃のあの記憶、画面の中の映像を見るかのようなリアリティの無い映像。
一年を掛けず、そんな風に感じれるくらいには、自分の中で整理は済んでいた。
あれはあれ、今は今、それくらいにはとっくになっていた。
もっと言えば、あれを現実感ある出来事と感じれなくなっていた、感じ取るのを心と頭が拒否していた、と言うのが正しいのかもしれないが。
そうしてここ数ヶ月。また、新しく始まるように、いや違う、途切れたものを取り返すように、過ごしていた、過ごしてきたはずなのに。
勉強も手につかず、じゅくじゅくの傷跡をえぐるように、思う。
昨夜のあの時。
あの男がめぐの背に手をさりげなくやった時、別にいやらしくも何ともなく。
それを振り解きもしないめぐ、たったあれだけで心が掻き乱された。
情けない…全くもって情けない。
こんなに、まだこんなに俺は君のことが。

鳴り響く携帯の着信音。時間はまだ、午前中だったと記憶に残っている。
携帯の画面を見ると、めぐからだった。
暗い気持ちで、それでも希望にすがるように、携帯の通話ボタンを押した。

俺は今、病院に向かっている。頭が混乱している、気持ち悪い、焦る気持ちが俺を急かす、冷静になれと俺を押さえ込む。
どうしよう、どうしてなんだ。
―――しゅうちゃんが病院に運ばれた。
昨夜の事と関係があるのだろうか?

全くもってナンセンスだ、でも確かにその時そう思った。あろうがなかろうが、それでも駆けつけるのは同じだろうに。
でも、確かに思った。俺って結局、俺の事しか、俺の関与する事しか頭に無い人間なのだろうか?
それでも駆けつけた。
423: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/21(火) 04:15:30 ID:xlSc4vVB(3/8)調 AAS
病棟のナースセンター、集中治療室のずっと手前にめぐはいた。あっちに見えるのはしゅうちゃんのご家族だろうか。
めぐは真っ赤な、きっと泣きはらしたのだろう眼をして、しゅうちゃんの眼鏡を握り締めてた。
――その眼鏡はレンズが割れ、汚れ、ぼろぼろに見えた、ように思う。

いつ何があったのかと尋ねる俺に、めぐはよく分からないと答える。
掻い摘んだ話だと、今朝、大怪我でここへ運び込まれたと言う。
今朝…と言う事は昨夜の事は関係ない?あったとしても大きな関係では無い?
全くもって自分の事ばかり、思い出しても腹の立つ。
そうして聞く、昨夜、しゅうちゃんは………家に戻らなかった。
正しくは今朝、夜明けの頃、今まで朝帰りなんてした事の無い娘が心配で、朝までまんじりともせず、
しゅうちゃんを待ち続けたご両親が玄関の外、門の辺りだろうか?音を聞いてしゅうちゃんの帰りを知る。
乱暴な、または乱雑に自転車が倒れるような音、そんな感じらしい。
そうして玄関の扉が開く。そしてご両親が見たものは……。

全身血まみれ、服は引き裂いたかのようにぼろぼろ、光の宿らない眼、そのまま倒れこむ、倒れこんだしゅうちゃんだった、と。

実際、この辺りは俺も記憶がかなり混迷している、未だに俺が何を知り、知らされたのか、どんな順番でそう知ったのか、
混乱が酷すぎてよく憶えちゃあいない。

意識を失ったしゅうちゃんを、慌てて病院に運び込んだ、そう聞いた。

そして、今、しゅうちゃんは意識は無い、昏睡状態だと――、場合によってはこのまま、と。
このままって?このままなんだって?
問い詰める俺に答えられないめぐ。
容態はかなり危ない、それだけ俺は理解した――。
体の中の血液がまるでどうにかなってしまったのかのように、神経がざわめく、耳に入った音がまるでエコーがかかっているかのように響く、
膝に力が入らない、ガクガクする、いや膝だけでない、全身、全身に力が入らない。
俺はきらきら光を反射するリノリウムの床に向かって落ちて行った。崩れていった。

目の前に「どうして、どうして――」それだけ繰り返すめぐがいて。
後から考えれば、これは『どうしてこんな事に』そういう意味なのだろうが、その時の俺には
『どうしてあんな事を?』
と責めているように聞こえた。

その直後、誰とどんな会話をしたのか、今となっては覚えていない。
今となってどころか、その時ですら、混乱の真っ只中にいた俺には、よく覚えてなかったのが本当なのだが。
424: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/21(火) 04:16:27 ID:xlSc4vVB(4/8)調 AAS
それから俺は毎日、病院に通った。
集中治療室と廊下を隔てる壁、ガラスの窓。
頭のガーゼを抑えるネット、腕に覗く白い包帯が痛々しすぎて。
しゅうちゃんの意識が戻ったのはそれから3日が過ぎ、4日目を迎える頃だったと思う。

目覚めたとはいえ、まだ記憶の混濁が激しいのか、俺とかはまだ、話はさせて貰えず、話が出来たのはそれからさらに数日後、
警察とかの聴取が終えた後だった。
救急で運ばれると、警察に連絡が行く。そうでなくとも交通事故なら勿論、警察は来るだろう。その程度に思っていた。思い込みたかっただけかもしれないけれど。
そうして、しゅうちゃんが人と話を出来るようになってようやく知った。

これは事故ではなく、事件であった事を。

ここからはしゅうちゃん自身の記憶が曖昧なので、委細は違っているのかもしれないけれど。
俺には単に、全てを教える事が出来なかったのかもしれないけれど。
それでも、俺に知らされた事すべてを繋げると、こんな感じだった。

あの夜、あれから、しゅうちゃんはよりによって、家までの最短距離、物騒な道のほうで帰ったらしい。
「どうして?」なんて聞けるわけない、少なくとも俺に聞く資格は無い、俺だけは聞く資格が無い。
それに、今さら聞いてもどうしようもない。
道の脇に停まっていたのか、後ろから近づいてきたのか、一台の車。
乗り込んでいたのは2人組の男だったと言う。
「声を掛けられた、泣いてるの?と聞かれた」と。あと、遊ぼうとかいい事しようとか、その手の言葉。
少し下卑た事も言われた、と。そして、最初は無視して、そのうちになにやらしゅうちゃんは言い返したと。
結構な事を言い返したような、含みのある言い方をしゅうちゃんはしていたと思う。

振り切るように自転車を漕いで立ち去ろうとした時。
後ろから近づく車のエンジンの音、慌てて自転車を止めようとしたその時。

――引き摺られた。引っ張られた。投げ出された。

助手席から手が伸びてきてたのをおぼろげながら憶えていると。
どっちが上でどっちが地面なのか分からなくなるような浮遊感を味わった直後、
体に、そして頭に凄い衝撃が伝わってきて。

その後のことはまったく憶えていない、どうやって家に戻ったのかすら、全く憶えていないと。
そうして夜明け頃に、しゅうちゃんは家に辿りつき、病院に運ばれたと。

頭への衝撃が意識が戻らなかった原因らしい、外傷的には大した事がなくとも、こういう事もあるんだと実感した。
そうして俺はやっと知った。

これは俺のせいなんだと知った。
425: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/21(火) 04:17:32 ID:xlSc4vVB(5/8)調 AAS
俺がやったとか、俺の責任だとか、そういう意味じゃあない。
あの夜、あの時、俺だけに選択肢があった。俺だけこの事態を避けれた。
どうして、せめて物騒なところを過ぎるまで送ってやらなかったのか!?
まだ無理やり引き止めたほうがずっとましだったはず。
どうして、せめて明るく帰れる様に接する事が出来なかったのか!?
八つ当たりに正当性なんて全然ない、俺は間違いなく、しゅうちゃんを傷つけた共犯者だろう。

思う、今まで無かった程、遅くなってしまった、きっと安全な道を遠回りする余裕も無かったのだろう。
あの夜のやり取りを思い出す。
酷い人間だった俺がいて…、きっとショックは少なくなかったのだろう。
『泣きながら』ついうっかり言ってしまったのだろう、それが何より如実に語っている。

あれから、ショックと悲しみで人気の無い道を辿るしゅうちゃんに近寄る如何わしい男達、非好意的にあしらわれ、短絡な思考だったのだろうか、そうして怪我をさせられる。

俺は聞けなかった、尋ねるなんて無理だった。
「ねえ、怪我をさせられた後、家に戻るまでの間に、『何か』されたりしなかった?」なんて…、そんなの無理だった。

ただ、怪我の回復を祈り、毎日、毎日病院に通った。めぐもしょっちゅう来てた、あまり会話は無かったと思う。
記憶が戻らない。それが本当かどうかなんて、勿論聞けない。
カラダの状態、少なくとも外傷的な事だけはちゃんと教えてくれた。腕の骨にはヒビが入っていると。
進学希望のしゅうちゃん、かなり痛手な筈、だから勉強に必要なものは一切、俺が運んだし、わからない事があれば、全部俺が調べていった。
罪滅ぼしのつもりかもしれなかったけど。
それでも本当は俺は、どうやって謝ればいいかすら、分からなかった。分かるはずもなかった。

後遺障害―――頭の衝撃は神経か脳になんらかの傷を負っていたらしい、しゅうちゃんは右耳が聞こえなくなっていた。おそらく一生そのままらしい事を知った。

どこで、いつ、どのタイミングで聞かされたのか、正確には憶えちゃいない。指が手のひらに食い込む程握り締め、下唇の裏側を噛み締めていた。自分で噛み切るなんて事が出来るとは思わなかった。
そんなの小説や映画の中だけの話だろうと、でも俺はその時、噛み切ってた。

――口の中に血の味が広がっていった。後悔の味。罪の味。きっと俺は一生この味を忘れる事は無いだろうと思った。
一日で血は止まったけれど、しばらくずっと噛んだ場所はしこりみたいになっていて。それを感じるたびに、心が痛んだ。

それからの日々、俺は正直、待っていたんだと思う。
誰かが教えてくれるのを待っていたんだと思う。

もしも、しゅうちゃんのカラダに何か、犯人に何かされたのだとしたら、きっと俺には永劫教えないはず。
逆に、何もなかったとしたら?
きっと、折を見て、教えてくれるだろう、誰かがそれとなく伝えてくれるだろう、そう思った。

病院関係者は教えてくれるはずがない。教える事が出来ない。確か、守秘義務があったはずだ。
これまでに数回話した、しゅうちゃんのご両親は、それは言いにくいだろう。きっと教えてくれない。

だから、たぶんめぐか、しゅうちゃん本人がさりげなく、それとなく教えてくれるんじゃないか、そう思う日々で。
でも、それは甘い期待だったのかもしれない。
結局最後まで俺は、俺には何も伝えられる事は無かった。
だから、それは、そういう事なんだと、そうなんだって事だと理解した。
426: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/21(火) 04:18:14 ID:xlSc4vVB(6/8)調 AAS
過ぎた日々のしゅうちゃんを思い出す―――。
太陽の下。長い髪を左右にゆらゆらたなびかせて歩いてた。
木漏れ日の下、どうでもいい話に感心したように耳を傾けていた、結構天然でぼけぼけで、よく笑っていた。
プールの水際、はしゃぐ姿。図書館、めぐとともに騒がしく。
でも、もうあんな風には出来ないのかもしれない、そう思うと悲しく、罪悪感は激しく、喪失感は限りなく。

ただ、俺がこの事態を、避けれるのに避けなかった事だけを痛感、文字通りに痛感していた。

時系列は正しくなんて憶えていない。
一度と言わず、しゅうちゃんの家に俺は行った。
引き止めなかった事、送らなかった事、俺に非はいくらでもある。詫びて済むなんて思ってないけど、それでもじっとはしていられなかった。
八つ当たりみたいに辛く当たった事を正直に言うのはすごく辛かった。
でも、それでもあまり責められなかった、と思う……。
いっそ思い切り責めて欲しかったと思うのは甘えなのだろうか。
警察が病院に来た時、最後に会った人間として、話を聞かれた。
めぐが傍にいて、だからその場では言えない俺がいて、結局警察署でって事になった。
もしかして、俺も犯人に一味くらいに思われたのかもしれない。
「あの、ここではちょっと……」なんて、後で考えたらそうなのだろうと思う。
「俺のせいなんです」全部話した。最後にどう接したのか、帰った大体の時刻、何か分かったのか分からなかったのか「そうですか、参考になりました」とだけ、事務的に言われた。その後、病院までちゃんと送ってくれた。

事件後の自転車、しゅうちゃんの白い自転車を一度だけ見た。
前の車輪を支えるフォークが曲がっていた。フレームまで傷だらけ、全体に泥を被ったように汚れていて、ハンドル周りには血の跡が残っていた。
そうなる前に見た、白い、磨かれたように綺麗な自転車を思い出して、
今の姿がまるで病院のベッドの上で横たわって意識の戻らなかったしゅうちゃんを思い出して、
まるで俺を責めている様に見えて。
そして、その時、初めて泣いた。

それからゆっくりと快方に向かうしゅうちゃん。少しの間は車椅子で、俺はしょっちゅう押していたが、そのうちちゃんと自力で歩けるようになった。
(十数日でも寝たきりだと、すぐには歩けないのだそうだ。頭のせいかもしれなかったけど)
夏休みが終わるまでに退院出来ればいいのだけれど、なんて寂しそうに言うしゅうちゃんが居て。
いたたまれない気持ちのままで、それでも毎日通い続ける俺がいて。だんだんとめぐの事も考える余地も余裕もなくしていった。

看護師さんが噂した、あの二人って、そうなのかな、なんて。
でも全く違う、二人は被害者と加害者の関係。
いっそ、しゅうちゃんにはっきりと害されたほうがましなくらい、少なくとも俺は、しゅうちゃんがそうする権利はあると思っていたし、俺はそれを甘んじて受ける義務があると思っていた。

ベッドの上で、退院まだかな、としゅうちゃんが言う。
でも、傷が治っていくのに、案外と退院の話は遅くって、治療の状態の分からない俺には返事のしようがなくって。
そうしてしゅうちゃんは言う。
「あたし、右耳ずっと聞こえないんだって」既にそれは俺に聞かされていた。
「俺のせいだ」俯いて、やっとそれだけ言えた、くらいだったと思う。
「じゃあ責任とってもらっちゃおっかな」軽く、軽い口調だったと思う、冗談なのかそうでないのか、なんて俺に分かる筈もなく。

ただ、当たり前のように当たり前の返事をしていた。

「うん。わかった」それだけ言うのに、30秒はかかったと思う。
開けっ放しだった扉の閉まる気配、めぐだろうと思う。
でも、もうそんなのどうでも良くって。ああ、気を使ったのかな、なんて思っていて。

もうどうでも良かった。
427: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/21(火) 04:19:37 ID:xlSc4vVB(7/8)調 AAS
以上、本日まで休みとってるので、今夜遅くなるかもしれませんが、出来れば続き投下しますね、ではでは。
428: 2007/08/21(火) 05:47:38 ID:9KribOdw(1)調 AAS
長ぇええええここまでくるとエロ関係なく続きが気になるわw
429: 2007/08/21(火) 12:49:08 ID:97poNqpi(1)調 AAS
普通に物語として読んでしまうな。
430: NTRタト思タラNTテタ 2007/08/21(火) 14:11:14 ID:xlSc4vVB(8/8)調 AAS
あー、エロいとかはもうちょい、ほんとにちょい後ですね。
えっと、需要あれば、それなりに書きます、もう振り切ってると言うか開き直ってる部分も多いし。
まあ、ひろみさん(仮)との事になるんですけどね?

えっと、次はちょい鬱。自分で自分にトドメ刺すって感じです。
しかし、大元の話から離れず、でもボカす、難しいです。こんなに難しいとは思わなかったです。
ちょっと実際と変えるだけで、話の流れ自体が変わりかねないです。

しかし、人間ってやな記憶はきっとオブラートに包むように、まるで他人事であったかのように思い出の中に仕舞うものなんですね、きっと。
きっちり思い出す事がこれほど辛い事だなんて知らなかったです。自分の事であるのを再認識するのがこんなにしんどいなんて知らなかったです。
かなり精神参ってましたが、もうこっからは2つ、いや1つ半くらいしかしんどいの無いので、なんとかなりそうっす。

…しゅうちゃん(仮)パート、実際にはあっと言う間の出来事だったんですが、書くと長いもんですね。書いてる本人が一番びっくりしてたりします、では夜にまた来ます。
431: 2007/08/21(火) 19:09:17 ID:KzhHaM/1(1)調 AAS
えと、他人事のようでも、自分にダメージ食らってると思うんで
無理せずにね

特に男はね
432: 2007/08/21(火) 19:42:38 ID:SVJ/sjnx(1)調 AAS
需要というか、エロいエロくない関係無しに貴方の文章をより長く読みたいので
なるべく略さずにお願い
433: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:46:57 ID:Z9iTqFZP(1/15)調 AAS
>>389の続き、第二話投下開始するべ
434: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:47:43 ID:Z9iTqFZP(2/15)調 AAS
「何お前、あーいうのが好みだったっけ?」
「うるさいなぁ、もう……」
「正直に言えよ。どこまで進んでるんだ?」
その日俺は、友人の飛鳥と海本に、質問攻めにあっていた。
態度に表れていたのか、或いは二人でいるところを目撃でもされたのか。
俺と怜ちゃんの関係は、もはや周知の事実のようだった。
と言っても、まだ別に付き合っているわけではない。
付き合っているわけではないのだが、何故か公認カップルのように扱われる。
怜ちゃんの友人である嘉狩さんや村雨さんも一緒になって、
ここぞとばかりに俺と怜ちゃんの進展具合を聞きだそうとしてくる。
「そう言えば今日は社会学の日だっけぇ?」
「そうね。吉良先輩と安室さんが、二人とも三限目が暇になる予定の日ね」
わざとらしく、遠まわしな表現をする子達だ。
今はまだ二限目。怜ちゃんは一人で別の講義を受けている時間だ。
この後昼休みに入って、昼食を済ませ、それから慎と海本は刑法総論に、
嘉狩さんと村雨さんは情報処理入門に、それぞれ向かうのだ。
そして、まさに今、二限目の終了を告げる音楽が講義棟の中に響いた。
講師が「今日はここまでにします」と宣言し、
学生達がぞろぞろと席を立って、教室を出て行く。
「ほら、早く電話してあげなきゃ。先輩」
「うるさいなぁ、嘉狩さんは……別に、六人全員でご飯食べるだけなら
 何も電話するのは俺じゃなくても良いだろう?
 と言うか、普通女友達である君らの方が電話するのが自然……」
「あぁもうっ! あの子もそうだけど、まどろっこしい奴め!」
嘉狩はそう言うと、俺の胸ポケットに入っていた携帯電話を無理矢理奪った。
その瞬間、慎と海本が俺の体を拘束する。
「お前らなぁ!」
「えーと、電話帳は、と……あったあった。はい」
嘉狩さんは勝手に俺の携帯電話を操作して、メモリダイヤルから怜ちゃんの名を探し出し
通話ボタンを押してから、拘束されている俺の耳元に受話器をあてた。
ここまでされると、もう抵抗する意味も無い。
拘束が緩んだので、俺は自分で携帯電話を握り、怜ちゃんが出るのを待った。
慎と嘉狩さんは、ニヤニヤしながら俺の方を見てくる。
海本は心の中で「俺達って本当に友達思いだなぁ」などと思っていそうだ。
村雨さんは、少し冷めたところがあるので、他の三人程関心を持っていないかもしれないが。
435: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:48:52 ID:Z9iTqFZP(3/15)調 AAS
ところが。
呼び出し音がもう十回程は鳴っているというのに、怜ちゃんは出なかった。
「……あれ?」
段々、周囲の者達も訝しげな表情で見てくる。
講義はもう終わっている筈なのに、何故電話に出ないのだろうか。
たまに規定の時間を過ぎても講義を続ける変態講師がいるが、
その類の講義を今受けているのだろうか?
だとすれば、電話に出たくても出られないのかもしれない。
そう思って、俺は留守電にメッセージを入れた後、通話を切った。
「怜ちゃん、今日学校には来てるの?」
「さぁ? 私達、今日あの子と一緒に受けるのは社会学だけだもん。
 いつもは昼休みに学食で合流するんだけど……」
嘉狩さんも村雨さんも、怜ちゃんが今大学にいるかどうかすら、把握していないらしい。
確かに俺だって、暇な時は大学を抜け出して遊びに行っているけれど……
そうだ、そう言えば。
先週、俺が大学を抜け出して、ゲーセンに行った時。
あの時も彼女は、俺の誘いを断っていた。
その時は、電話には出てくれたが、他の男と一緒だった。
日色唯。
まさか、またあの男と会っているのだろうか?
だから携帯電話が鞄の中で振動している事にも、気付いていないとか?
或いは場の空気的に、出たくても出られないとか?
……馬鹿馬鹿しい。
仕事中やデート中じゃあるまいし、男友達からの電話に出られない空気って、何だ?
……デート中?
「あーもう……」
一人で勝手に、一人で密かに、俺は悪い想像を膨らませ続けた。
そんな筈が無いのだ。
ついたった今まで講義の時間だったのに、それからわずか一分たらずで
もうデートしているなど、有り得ない。
講義をサボっていたのならまだしも、彼女にはまだサボれる程の度胸は無い。
入学してまだ間もない一年生の前期、しかも彼女のような遊ばないタイプの子は
どの講義だったらサボっても試験や単位に差し支えないか、判断するのに時間がかかる。
風邪か何か、そういった正当な理由が無い限り、
彼女のようなタイプはまず間違いなく真面目に講義に出席し続ける。
そしてもし風邪をひいているのならば、デートどころではない。
家でゆっくりと体を休めているところだろう。
安心して良いのだ。安心して良いのだ。
俺は、自分にそう言い聞かせた。
しかし、その日は結局、怜ちゃんは一度も電話に出なかった。
社会学の講義にも、出席しなかった。
その日は彼女はバイトにも入っていなかったので、
彼女が元気なのかどうかすら、俺にはわからなかった。

その時彼女に訪れていた不幸な出来事を
俺が知らされたのは、それから数日後の事だった。
436: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:49:38 ID:Z9iTqFZP(4/15)調 AAS
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「はっ……はっ……はっ……」
カーテンを閉め切った暗い室内に、断続的な溜息が静かに響く。
暗いとは言っても、外は昼間。カーテンの隙間からは、光が漏れている。
その微かな光が、汗と涎と、滲んだ涙を仄かに照らし出す。
突然、携帯電話の着信音が鳴った。
しかし、怜はそれを取ろうとはしなかった。
取りたくても、仰向けに寝かされた状態で
大人の男に跨られていては、手を伸ばす事すら難しかった。
しばらくして呼び出し音は切れ、留守電に切り替わる。
「ただ今、電話に出る事が出来ません。発信音の後に、お名前とご用件をどうぞ」
「ピー……あ、もしもし怜ちゃん? 俺だけど」
その声は、まさしく吉良大和のものだった。
「もう昼休みだし、皆で一緒にご飯食べようと思ったんだけど……
 また電話します。それじゃ。……ピー」
怜に跨っている男……唯はその手を伸ばし、テーブルの上にあった
怜の携帯電話の電源を、勝手に切った。
「ったく、間の悪い奴だなぁ。お楽しみの最中また電話なんかされちゃ、たまんねぇよ」
そう言って唯は、放心状態になっている怜を見下ろした。
その下腹部は唯の男根に貫かれ、純潔を散らして血を流していた。
ソファの上に、赤い染みが少しずつ広がっていく。
股はみっともなく開かれ、両足が唯の腰の左右を通過している。
パンティは足首にひっかけられたまま、Tシャツはただ首元まで捲り上げられているだけだ。
剥ぎ取られたブラとジーンズが、無造作にソファの横に放り捨てられている。
着信音に妨げられて中断させられていたピストン運動を、唯は再開した。
肉のぶつかる音が、液体の分泌される音と交じり合い、淫靡な空間を形成する。
一方で怜は、恥辱と嫌悪感に苛まれていた。
肉体が勝手に反応して愛液を分泌するのが、たまらなく悔しい。
こんなもの、ただ単に膣壁を保護するために、分泌されているだけのものなのに。
「お願い……もう、止めて……」
すすり泣く声は悲痛で、少女がいかに耐え難い辛苦に晒されているかを物語っていた。
そして吉良達はと言うと、怜の身に何が起こっているか知る由も無いまま
学生食堂で談笑まじりに昼食をとっている最中だった。
カーテンの隙間からは、皮肉な程に輝かしい木漏れ日が降り注いでいた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
437: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:50:23 ID:Z9iTqFZP(5/15)調 AAS
今日こそは、怜ちゃんに会えるだろうか。
俺の心の中は、期待で膨らんでいた。
たった一日、会える筈だった日に会えなかったというだけで、
もう俺の心は寂しさを感じていた。
そもそも彼女とは学年が違うので、講義が重なる事もそう多くは無い。
けれど昼休みぐらい、会える筈だ。
昨日は彼女が風邪をひいていたのか、連絡さえとれなかった。
今日は元気だろうか?
それとも、まだ体調が悪くて欠席しているのだろうか?
気遣ってメールしてみたけれど、返ってきたのは「大丈夫です」という、
簡素で味気ない、たった一言の返信のみだった。
何か彼女に嫌われるような事をしてしまっただろうか?
いいや、心当たりは無い。
けれど、自分でも気付かない内に、彼女が機嫌を損ねるような事を、してしまっているかもしれない。
しかしそれなら、俺一人を避けるのはわかるが、嘉狩さん達とまで会わない理由にはならない。
一体何があったのだろう?
単なる風邪であって欲しいという、俺の希望的観測が的中してくれていれば良いのだけれど。
「なぁ吉良、そんなに安室が気にかかるのか?」
隣の席に座っていた海本が、講師に聞こえないように小声で尋ねてくる。
何故気付かれたのだろうか。声に出していたつもりは無いのだが。
「そりゃあ気付くさ。昼休みが近づくにつれて、お前ソワソワしだしてるもん」
「……放っといてくれ」
言われてみれば、確かに俺は落ち着きを失っていたかもしれない。
やたらと教室の時計を気にしたり、その上で自分の腕時計も見たり、
携帯電話のディスプレイに表示された時刻までもいちいち確認している。
そんな俺の挙動は、傍から見れば滑稽だったろう。
昼休みになって怜ちゃんと会い、表面上は何でもないフリをする俺を
慎や海本達がニヤニヤしながら見てくる様子が、今から想像出来るかのようだ。

しかし、その日も怜ちゃんは電話に出なかった。
昨日と同じように、留守電の応答メッセージが流れてくるだけだ。
「……吉良クン、怜と喧嘩でもしたの?」
嘉狩さんが、面白半分、心配半分で尋ねてくる。
「試しに、私がかけてみましょうか」
村雨さんが気をきかせて、俺の代わりに怜ちゃんに電話してくれた。
これでもまだ怜ちゃんが電話に出ないのであれば、
俺が嫌われているのではなく、単に今電話に出られない事情があるという事だろう。
しかし、村雨さんからの電話には、怜ちゃんは大人しく出てきた。
「……もしもし」
「もしもし、安室さん? 今どこにいるの?」
俺が電話しても出なかったくらいだから、誰が電話しても無駄だろう。
俺も慎達もそう思っていたから、いざ怜ちゃんが
通話に出たと分かった時は、正直少し驚いた。
「今から皆で昼食をとるんだけど、安室さんも……来る、よね?」
「……そうだね」
全面的な肯定とは言いがたい、中途半端な回答だ。
こういう時は、素直に「無理」とでも答えてくれた方がまだ、こちらも楽なのだが。
あまり乗り気でなさそうな彼女に、とりあえず学生食堂で待っているからと言って
村雨さんは通話を切り、俺達は揃って食堂に席を確保しに向かった。
438: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:51:26 ID:Z9iTqFZP(6/15)調 AAS
八人がけの席に座って、怜ちゃんの到着を待つ。
彼女が食堂にやってくるまでに、思ったより時間はかからなかった。
入り口のガラス張りのドアの向こうに、彼女の姿が現れる。
「あー怜、こっちこっちー」
嘉狩さんが、元気良く手を振って彼女を迎え入れる。
しかし、すぐにその手を、決まり悪そうに引っ込めた。
怜ちゃんの表情が、初めて出会った頃以上に陰鬱だったからだ。
「……おはよう」
挨拶の声も、骨のように乾いて聞こえる。
「あ、うん、お早う……つーかどうしたの? 妙に元気無さそうだけど」
「そうでもないよ。元から私って、こんな感じでしょ?」
尋ねる嘉狩さんに、怜ちゃんは少し冗談めかして答えた。
確かに、元から彼女は暗い子だった。
それでも、これ程ではなかたっと記憶している。
出会った頃の彼女の暗さやネガティブさは、単に自分に自信が無い事によるものだった。
今の彼女の陰鬱さは、それとは何か別種ものであるように、俺には見えた。
しかし、少なくとも怜ちゃんは、それを俺達に
悟らせないように振舞っているつもりらしい。
であれば、下手に問いただす事も、俺達には出来ない。
何も気付かないフリをしつつ、俺達は昼食をとった。
怜ちゃんの事が気になりすぎて、俺は何を食べても不味いとしか思えなかった。
加えて、ボソボソとご飯を口に運ぶ怜ちゃんは、俺の百倍は不味そうに飯を食べていた。
食べ終わるまでに人一倍時間がかかっていて、
それでも尚全ては食べ切れていなかった。
元々小食な子だったけれど、今日はいつも以上だった。
その日は彼女と一緒に受ける講義も無かったので、彼女の様子が気になりつつも
何一つ聞き出せないまま、俺は一人でコミュニカティブ・イングリッシュの授業に向かった。
439: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:53:00 ID:Z9iTqFZP(7/15)調 AAS
更に数日後。
彼女と一緒に話す機会と時間が得られたのは、バイト先。
奇しくも、以前二人でバイトの帰りに食事をした日から、ちょうど一週間後だった。
あの時は、一週間後に告白しようと、内心決めていたものだ。
しかし怜ちゃんは、頑なに俺と距離をとろうとしているようだった。
心理的な距離も勿論だが、それ以前に、物理的に距離が離れている。
夕方を過ぎて客も殆ど来ない時間帯なのだから、レジでお喋りでもしていれば良いものを
無駄に店内を歩き回っては、本の並びのズレているところを直していっている。
それ自体は真面目で勤勉な職務態度と言えるのだが、何か腑に落ちない。
レジに……というより、俺に近づきたくないみたいに思えてならない。
俺は思い切って、聞いてみる事にした。
どう尋ねて良いものかも分からないので、遠まわしな言い方はしない。
出来るだけ端的に、ストレートに尋ねる。
「怜ちゃん、俺の事嫌いになった?」
口に出した後で、卑怯な聞き方をしたものだと気付いた。
仮にも先輩にこんな風に聞かれて、はいと答える者など普通はいない。
「え? 別に、そんな……吉良先輩の事を、嫌いになんかなるわけ……」
敬語は使わないでくれと、先週言ったのに、
それでも彼女は俺を『吉良先輩』と呼んだ。
今の俺には、それを非難する言葉を吐く事は出来なかった。
ただ、こんなネガティブな表情のまま接客されたのでは、かなわない。
「とりあえずさ、笑顔だけは心がけようよ。
 体調悪いんなら仕方ないけど、それならそう言ってくれれば良いし……」
「いえ、その……すみません。気をつけます」
そうは言うものの、とても笑顔を心がけようとしているようには見えない。
その時俺には、彼女が何だか、静かに少しずつ、
遠くに消えていくかのように見えた。
今掴んでいなければ、そのまま手の届かないところに行かれてしまいそうに思えた。
そう感じるのは、俺の錯覚なのだろうか?
その時の怜ちゃんは、限りなく不安定な存在に見えた。

「怜ちゃん、この後時間ある?」
バイトが終わって、レジも閉め終わり、さぁ帰ろうという時になって
俺は勇気を振り絞って声をかけてみた。
今の彼女の状態では、電話に出なかった時と同様、食事に誘ってもあっさり断られるか、
下手をすると根本的に無視される可能性すら感じた。
それを踏まえた上で、それでも俺は、今呼び止めなければ後悔すると思った。
「……時間なら、ありますけど……何で?」
「いや、何でって言われても……。
 晩御飯、食べに行こうかなと思って」
能面のような無表情な顔で問い返す彼女に、俺は何とか言葉を繋ぐ事が出来た。
一瞬は、気圧されて声さえ出ないかと思った程だ。
やはり、何かおかしい。
体調が悪いとか、俺を嫌っているとか、そんなレベルではない。
人間としての根源的な何かが、壊れてしまっているように見える。
このまま、何も答えてもらえないまま、黙って静かに立ち去られるのではないか。
そんな不安さえ感じた。
「……良いですよ。久しぶりに、またファミレスにでも行きましょうか」
相変わらずの敬語だったが、彼女は承諾してくれた。
とても快諾とは言い切れない反応だったのが、少し寂しかった。
とは言え、断られると思っていたので、むしろ良い意味で予想外だ。
「ほ、本当に良いの?」
「……? 何をそんなに驚いてるんですか?
 断った方が良かったですか?」
「いや、そんな事は断じて無いけど……」
俺は彼女を伴って、近くのファミレスに向かった。
440: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:53:43 ID:Z9iTqFZP(8/15)調 AAS
食事中、俺達は、他愛の無い話ばかりをしていた。
好きなアーティスト、好きな映画、好きな小説。
以前と代わり映えのしない会話だったけれど、それこそが重要だった。
以前と変わらないという、その事が、今の俺には安心感を与えた。
むしろ、以前程話が弾まなかったとすれば、そっちの方が俺にはショックだったろう。
怜ちゃんは、相変わらず元気は無かったけれど、相槌は普通に返してくれた。
大学やバイトの時より、幾分は明るくなってくれたようだった。
「はぁ……こんなに喋ったの、久しぶりかも」
帰りの道々、彼女は一人呟いた。
「嘉狩さんや村雨さんと一緒の時は、あまり喋らないの?」
「うーん、私元々口数少ないし……根暗だから……。
 でも、吉良先輩と一緒にいる時は、何だか口数多くなっちゃうかも」
夜風が、頬と俺の心を撫でた。
その瞬間、俺の中で歯止めになっていたものが消えた。
この所彼女に元気が無かった事も、
時折俺を避けるような素振りを見せていた事も、
全ての懸念を、この一瞬だけ忘れ去ってしまった。
胸の中に仕舞ってある言葉を、今こそ伝えるべきだと直感した。
「怜ちゃん、俺……怜ちゃんに伝えたい事があるんだ」
言いかけた俺の前で、彼女の目が皿のように丸くなるのがわかる。
「俺、怜ちゃんの事、好……」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
最後まで言い切るより前に、怜ちゃんの悲鳴が、俺の言葉を遮った。
唖然とする俺を放ったらかしにして、彼女は……逃げた。
いきなり後ろを振り向いて、狂ったように瞬発的に、その場から走り出す。
それを追いかけねばならないと、俺が判断したのは、
彼女が走り出してからたっぷり一秒は経過してからだった。
441: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:54:35 ID:Z9iTqFZP(9/15)調 AAS
ワケが分からない。
ワケが分からない。
何故、逃げる?
何故、電話に出なかった? 何故、俺と距離を置こうとした?
そのくせ何故、ファミレスでは何事も無かったかのように、楽しく会話しようとしていた?
俺と一緒にいたくないのか、
俺と一緒にいるのを楽しいと感じてくれているのか、
一体どっちなんだ?
逃げる彼女を追いかけている間、止まない疑問が
ずっと俺の脳内に横たわっていた。
「待ってよ、怜ちゃん!」
「止めて! 追いかけて来ないで!」
常から彼女には敬語を使って欲しくないと思っていたが、
こんなシチュエーションで叶えられても、心が痛むだけだ。
運動不足の彼女の足に、俺が追いつくのに、実際には五秒とかからなかった。
「どうして逃げるんだよ!?」
追いついた俺は、彼女を止めるために、そのか細い肩に手をかけた。
瞬間、まるで暴漢にでも襲われたかのような絶叫が、夜道に木霊する。
「きぃやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
一時は能面とさえ思えた、淡白で何も映し出さなかった顔は
苦痛と恐怖に歪み、涙をボロボロと零し始めた。
膝を折って屈みこみ、頭を抱えて歯をガチガチと鳴らす彼女に、通行人達が振り返る。
もう夜間で、人通りも大分少ないにも関わらず、
わずかに二組程、偶然その場を通りがかっていたのは、俺にとって不幸だった。
非難するような視線が、釘のように俺に刺さる。
一人は携帯電話を取り出し、警察に連絡しかけているようだ。
「ちょっ、待って下さい! 俺達、友達なんです!
 何も問題無いですから、はやまらないで!」
俺は通行人達に弁明するのに必死になった。
突発的に怯えだした怜ちゃんを、宥める余裕さえ無かった。
何とか彼女が落ち着き、通行人達に「大丈夫ですから……」と言ってくれるまで
実に数分もの時間を必要とした。
442: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:55:32 ID:Z9iTqFZP(10/15)調 AAS
傍にあった自販機で缶ジュースを二本購入し、
一本を怜ちゃんに手渡した。
「はい。ミルクティーで良かったかな?」
「……ありがとう、ございます……」
彼女は、受け取ったジュースを一口たりとも飲もうとしなかった。
プルトップを開ける、その力さえも出せないかのようだ。
ただ、消え入りそうな小さな声で、一言だけ呟いた。
「私……吉良先輩とは、付き合えません……」
それは、本来衝撃的な言葉の筈だった。
ついせ先週は、玉砕するとは毛程も思っていなかった俺への、
本当なら矢よりも痛く、銃弾よりも貫く筈の残酷な言葉。
しかし今の俺には、そんな言葉そのものには、何らの衝撃も感じなかった。
直前までの、彼女の狂乱ぶりの方が、余程衝撃的だったからだ。
「良ければ、理由を話してくれる?
 俺の事、友達としてしか見れないの?」
彼女は、首を横に振った。
「違うんです……私、吉良先輩の事、大好きです……。
 でも……だから……だからこそっ……」
その後しばらく、彼女の言葉は途切れた。
今更になって、彼女も俺の事を好きでいてくれたのだと、
俺はこの時初めて知らされた。
けれど、その言葉に素直に喜べるような状況では、なかった。
一分か、二分くらい経ってから、ようやく次の言葉が紡がれた。
その言葉は、さすがに俺を釘付けにした。
「私、もう……汚れちゃった、から……」
再び、怜ちゃんは歯をガチガチと震わせた。
その瞳に、絶望の色が影をさす。

「こないだ、社会学の日に……っ
 お……お兄ちゃんに……よごっ……汚、され……っ」
それ以上、俺は彼女に何も言ってほしくなかった。聞きたくなかった。
あまりにも悲痛で、あまりのも予想外で、あまりにも無慈悲で……
この世の言葉では形容出来ない程の失意が、俺を襲った。
彼女の言う『お兄ちゃん』が、日色唯の事だと察知するのにさえ、時間がかかった。
記憶の中で、唯の顔を思い起こす。
軽薄で、不真面目で、信用のおけない、あの男。
激しい憎悪が、俺の中に芽生えた。
今なら、殺人さえも罪に問われないような気がした。
「……あの野郎っ!」
錆びて朽ちかけた鎖のように、ボロボロに繋ぎ合わされた怜ちゃんの言葉から、
俺は全てを悟った。
ここ最近、彼女に元気が無かった理由。
俺と一緒にいる時間を楽しんでくれながらも、俺を避けようとしていた理由。
全てが、ピースのあったパズルのように、瞬時に理解出来た。
彼女もやはり、俺に好意を抱いてくれていたのだ。
けれど、唯によって汚され、俺の胸に素直に飛び込めない体にされてしまった。
俺と一緒にいる時間を楽しんでくれていたのは、俺の事が好きだったから。
俺を避けようとしたのは、俺に合わせる顔が無かったから。
肩に触れただけで悲鳴を上げたのは、恐怖症に陥っていたから。
全ては、彼女の信頼していた『お兄ちゃん』……
日色唯に、その信頼を裏切られたせいだった。
443: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:56:19 ID:Z9iTqFZP(11/15)調 AAS
その夜、俺は彼女の下宿に泊まった。
彼女が唯に組み伏されたというソファも、確認した。
「そこ、本当は上からシーツがかかってたんだけど……」
汚れたから捨てたんですと、彼女は言った。
敢えて何で汚れたかは、俺は聞かなかった。
彼女はもう、その時と同じ血を流す事は、未来永劫叶わない。
「良ければ、経緯を話してくれない?
 どんないきさつで、この部屋であいつに……その……」
聞くのは悪いと思いつつも、聞かずにはいられなかった。
答えたくないなら、答えなくて良いよと、俺は付け加えた。
怜ちゃんは、一言一言、掠れるような悲痛な声で、ゆっくりと答えた。
「あの日は……あいつが、ここに遊びに来てたんです……。
 あいつをここに呼ぶのは、初めてだったけど……。
 私自身は、何度かあいつの部屋に、上がった事もあったし……」
俺にとっては、少し悔しい事実だった。
二人がある程度仲が良い事はわかっているつもりだったが、
怜ちゃんの方から唯の部屋に上がりこむ事を了承し、二度もお邪魔したと言う事は
唯に対してそれなりにガードを下げていたと言う事だろう。
今日初めて彼女の部屋に上がらせてもらえた俺としては、負け越した気分にさせられる。
もっとも、それも仕方の無い事だ。スタートラインがそもそも違う。
俺と怜ちゃんが知り合うより前から、唯と怜ちゃんは知り合っていたのだから。
……そうして数ヶ月の時間をかけて築き上げてきた信頼関係を、
あの男、日色唯はぶち壊しにしたわけだが。

「……あいつを、訴えよう」
俺は提案した。
本当は殺してやりたいが、そんな事をしたら、こっちが犯罪者になってしまう。
罪に問われるのは、あの男だけで十分だ。
しかし、怜ちゃんはそれを断った。
「良いんです……私が、悪いんだから」
「何でだよ!? 怜ちゃんの何が悪いって言うんだ!」
「私が……簡単に、気を許したから……」
そんな馬鹿な話があるか。
信頼し、気を許す方が、悪いだと?
そんな理屈、通ってたまるか。
俺は、彼女に悲鳴を上げられるかもしれない危険性を冒して
それでも彼女を、きつく抱きしめずにはいられなかった。
「怜ちゃんっ!」
「……ひぃっ、あ……」
彼女は、反射的に絶叫しかけた。
けれど、すんでのところで、その声を抑え込む。
「俺が、全部忘れさせてやるから……
 あいつの事も……あいつにされた事も、全部……」
すすり泣く声が、暗い部屋に静かに流れる。
その時泣いていたのは、怜ちゃんだっただろうか。それとも、俺の方だっただろうか。
「無理ですよ……いくら、先輩でも……」
「女の子にとって、初めての体験は、一生モノだもん……」
「どう足掻いたって、忘れられるわけ……」
途切れ途切れに、痛切な声が耳に届く。
それでも俺は、彼女を抱かずにはいられなかった。
性欲からではなく、本当の意味で彼女を助け出すために。
その夜俺は、初めて彼女と交わった。
444: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:57:20 ID:Z9iTqFZP(12/15)調 AAS
ベッドの傍に服を脱ぎ散らかして、裸で絡み合う。
柔肌を優しく撫でて、体温を確かめ合う。
見つめあい、近づき、瞳を閉じて、口付けあう。
思えば、彼女とキスするのはこれが初めてだった。
この唇を、あの卑劣な男は奪ったのか。
そう思うと、腹立たしくてならなかった。
「とうとう、キス……しちゃったね」
そう呟いた俺の声に、しかし怜ちゃんは、何も返さなかった。
「……感想は?」
聞いてはみるが、やはり答えようとしない。
ただ、泣き出しそうな目で、俺を見上げてくるばかりだ。
やがて意を決したのか、一言だけ彼女は呟いた。
「気持ち悪い、です……」
つぅっと、一筋の涙が彼女の頬を伝って、シーツの上に零れ落ちた。
俺はもう一度口付けて、それから舌を突き出し、ディープキスに移行した。
この口の中も、あの男の汚らわしい唾液で汚されたのだろうか?
ならば、浄化してやる。
怜ちゃんの体の隅々まで、俺が汚しなおしてやる。
あの男に汚された跡など、無くしてやる。
滑らかな舌と舌が重なり合い、唾液が交換された。
口を離した時には、薄い糸が二人の唇の間に引かれていた。

彼女の貧相な肉付きから予想はしていたけれど、
乳房の方も、やはり貧しい肉付きだった。
ひょっとすると着やせとかしているかも……と少し思っていたのだけれど
彼女は予想通り、ボリュームの控え目な胸をしていた。
俺はそこに顔を近づけると、ディープキスの時と同じように
舌を伸ばして、先端の乳首を転がし始めた。
やはりここも、あの男に弄ばれたのだろうか。
処女膜を貫かれた程なのだから、まさか胸が無事な筈は無かった。
いくら毎日入浴で綺麗に洗っているであろうとは言え、
あの男が舐めたのと同じ部分を、一所懸命に舐めさせられるのは、不快極まりなかった。
そしてそれは、怜ちゃんも同様らしかった。
「私、もう駄目かも……
 吉良先輩にこうしてもらえるの、幸せな筈なのに……
 感触とか匂いとか思い出して、吐き気がしてきちゃう……」
あまりにも正直過ぎるその言葉に、俺は勝てなかった。
唯の事を忘れさせるつもりで抱いたのに、逆効果だった。
俺の行為の悉くが、怜ちゃんに唯を思い出させる結果と、なっているようだった。
彼女の体は今、俺に犯されているが、彼女の心は、未だに唯に犯され続けていた。
その夜俺は、最終的には彼女の中に挿入し、射精までしたけれど、
ついぞ彼女の嗚咽を止める事は出来なかった。
彼女は最後まで、絶頂に達する事も無く、ひたすら鼻をすすり続けた。
彼女が唯とお揃いのチョーカーを川に投げ捨てたのは、
その日の夜中の内だった。
445: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 22:58:11 ID:Z9iTqFZP(13/15)調 AAS
「でさぁ、それが超ウケるんだってば」
「本当かよ? 唯の言う事だからなぁ」
「んだよソレ。マジいっぺん読んでみってば。論より証……あん?」
講義棟を友人らしき男達と、せせら笑いながら歩いている唯を、俺は見つけた。
元々あの男とは学部が同じなので、見つけるのに然程時間はかからなかった。
廊下の向こう側から歩いてくる唯を、俺は睨み付けた。
その視線に気付いた唯が、訝しげに俺を見てくる。
「よぉ、確か……吉良だっけ?
 奇遇だなぁ、お前も次の時間は比較政治論か?」
そ知らぬ顔で話しかけてくる、その面構えも口調も、全てが腹立たしい。
こいつが、今、目の前で息をしている事すらも。
俺は拳を握り締めると、思い切り唯の頬を殴り飛ばした。
「が……っ!?」
「な、お、おいっ……?」
「何やってんだよ、お前!」
唯の友人達は、ワケがわからないといった風に、俺を見てきた。
もっとも唯ですら、何故俺に殴られたのか、わかっていないだろう。
「……ってぇなぁ、んだよテメェ?」
「……るか……」
呟く俺の声は、唯の耳には届かなかったらしい。
奴は、聞き返すようなジェスチャーをしてきた。
聞き漏らさないように、とぼけられないように、声を強くして話す。
「お前にわかるのかっ!?
 信頼してた『お兄ちゃん』に酷い事をされた時の、あの子の気持ちが!
 お前とペアのチョーカーを川に投げ捨てた時の、あの子の手の震えが!」
瞬間、周りの者達全て、唯も唯の友人達も、関係の無い通行人達も誰も彼もが、
声を止め足を止めて、俺の方を注視してきた。
唯はやっと、何故自分が殴られているのか、理解したようだった。
構わず、俺は糾弾を続ける。
「俺に全てを話してくれたの時のあの子の声の震えが、お前に想像出来るのか!」
そして、そう……両思いの子を、寝取られた男の悔しさが、お前に想像出来るか?
もう一発、俺は唯の頬を、拳を固めて殴り飛ばした。
口の中を切ったらしく、多少の血を吐きながら、唯は床の上に倒れた。
「げほっ、かはっ……いきなり何しやがんだ、この野郎……」
そこへ、たまたま駆けつけた慎と嘉狩さんに、俺は拘束された。
「吉良、止めろ!」
「どんな事情があるのか知らないけど、こんな所で喧嘩はまずいよ!」
しかしそんな言葉は、俺にとってはナンセンスだった。
怜ちゃんをレイプした男が、こうしてシャアシャアとしているのに
そのレイプ魔を殴った俺を、罪に問える者がこの世にいるのか?
446
(1): 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 23:00:05 ID:Z9iTqFZP(14/15)調 AAS
その時俺は、どんな表情をしていたのだろうか。
或いはこういうのを、鬼のような形相、というのかもしれない。
俺の表情を覗き込む嘉狩さんの目が、怯えたように青ざめていた。
「よくも……よくも怜ちゃんに、酷い事を……っ」
だが、まだ慎も嘉狩さんも、怜ちゃんの身に起きた事を知らない。
知っているのは、昨日の夜彼女本人からその話を聞かされた俺と、
被害者である怜ちゃん自身と、彼女を襲った張本人である、唯だけだ。
「何……? 怜がどうかしたの?」
「怜ちゃんは……怜ちゃんは、こいつに……」
その瞬間、唯の声が俺の言葉を遮った。
「おいおい、そんな事バラして良いのか、吉良?
 軽々しくバラしちまえば、傷つくのは俺じゃなくて、怜の方なんじゃねぇの?」
口元の血を拭いながら、ノロノロと立ち上がる唯。
俺は悔しかった。
声を大にしてこの男の罪を述べられない、今の状況が。
この男のせいで、とうとう怜ちゃんは今日、起き上がる気力すら湧かず
大学も欠席、バイトのシフトも早めにキャンセルして、
一日中自分の下宿の中でカーテンも開けずに、閉じこもっていると言うのに。
俺は慎と嘉狩さんに引っ張られて、渋々その場を後にした。
殺したい程憎い相手が、目の前にいるのに。
唯は立ち上がって埃を払うと、無表情で俺を一瞥した。
どれ程俺が殺意をこめて睨みつけようと、奴は涼しい顔で受け流していた。
447: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/21(火) 23:00:46 ID:Z9iTqFZP(15/15)調 AAS
まだ続くけど、とりあえず第二話終了
448
(1): 2007/08/22(水) 00:18:32 ID:JtTYHn+r(1/4)調 AAS
>>411の続きです。しかしこのスレすごいなあ。でもそんなのカンケ(ry
 
その光景に耐え切れず、オレはその場から脱兎のごとく逃げ出した。混乱が渦巻く頭の中で、オレは
自分の本当の気持ちと、何をすべきかを必死で考えていた。

次の日の朝。
「ソイヤッ!」
「痛ッ!」
 と、朝のお約束を交わしたものの、オレの様子がいつもと違う事に春香はすぐ気づいた。
「春香、ちょっと寄り道してかねえか」
「ハ?なに?もう時間ギリギリだよ?つーか、え、ナニ?」
 オレは彼女の手を掴むと、黙って近くの公園に引っ張っていった。
 最初はブー垂れていた彼女だったが、オレの様子に何かを察したらしく、途中から無言になっていた。

「で、なに」
と言う彼女は、すでにこっちの用事を察していた様で、顔が少し青ざめていた。
「あー、オレ昨日忘れ物を取りに夕方教室にもどってさ…」
彼女の眉がピクッと動いたが、基本表情は変わらず。
「…あんたに関係ないじゃん」
「そ、そりゃそうだけど、けどお前、アイツのヤリチンぶりはよく知ってるだろーが!」
彼女の顔から完全に血の気が引いていった。ベースが黒いのでなんか複雑な顔色に。
「私は特別なんだって…」
「は?」
「彼が言うには、確かにいろんな女と付き合ってきたけど、私は本当に特別なんだって!」
…マジで信じられん。俺の嘘なんて「あのー」といった瞬間に見抜いてしまう晴香が、ベタドラマにさえ
出てこないようなそんなベタゼリフにコロッとやられるなんて。
 ……いや、違う。こわばった彼女の顔を見て気付いた。たぶん晴香も本当は信じていない。
 くそ、どうする、どうするオレ!続きはネット…じゃなく、よし行けオレ!
449: 2007/08/22(水) 00:19:35 ID:JtTYHn+r(2/4)調 AAS
「…そんなん言ったらなあ」
「ハ?」
「そんなん言ったら、オレもお前が好きなんだよ!」
 晴香は一瞬呆然とオレの顔を見ていたが、次の瞬間真っ赤になって怒り出した。
「ふざけないで!」
「いやいやいや聞けって!昨日のアレを見てはっきり分かったんだよ」
 怒りに震えていた彼女の目から、突然涙がブワッと溢れ出てきた。
「…あんた私を全然女扱いしてくれなかったじゃん!…でも、タケルはホントに、ホントに優しくて…」
 行けオレ、パート2!オレは彼女をギュッと抱きしめた。わー、女の子って細いんですねー。
「オレがガキだった。なんつーか、とにかくすまんかった」
 もう彼女は一言も発せず、ひたすらオレの腕の中でヒグヒグ泣いていた。

「ハンカチ貸して」
と彼女が細い手を伸ばす。
「ほれよ」
と渡すと、彼女はそれで思い切り鼻をかんだ。アメリカとかヨーロッパの人か!と言いたいがガマン。
 学校に向かう道中、二人の間になんか照れくさいような、ぎこちないような空気が流れるが、別に不快な
ものではなかった。
 学校に着く直前、彼女は、タケルとの事は今日中にケリをつけると言った。
「大丈夫か?」
「ウハハハ、この春香様を舐めんなよ!」
 と、そっくり返って笑う彼女を見て、なんかオレの心はジンワリするのであった。
 
 その夜。オレはお袋に「ちょっとコンビニへ」と言って散歩に出た。と言うのは口実で、春香の顔が
見たくなったのだ。ああそうさ、現金なヤツ、それがオレさ。
 もちろん、タケルとの事がどうなったか知りたいというのもあった。そういえば、確か今日は彼女の
お母さんはパートの遅番だから、彼女の家でじっくり話ができる…いや、話だけでは物足りなくなった
二人は…ムム…ムムム…(ボフッ!)←ビデオ屋の「1本100円セール!」ノボリに突入した音

 彼女の家が見えた。家の前に自転車が止まっている。近寄ってみると、それはタケルのものだった。心臓が
極限までビートイット←誤用。話が込み入ってるんだろうか。このまま待たせてもらいましょうか…

 …と言いつつ春香の家の屋根にいるオレ。裏の塀を登り、1階の屋根をぐるっと回り込むと、2階の彼女の
部屋にたどり着けるのだ。何年ぶりだろうかこのルート。
 正直、オレの頭の中ではサイアクの妄想が渦を巻いていたが、一方で、今朝の春香の笑顔は何となく信じても
いいんじゃないかという気もしていた。
 やがてオレは目的の窓にたどり着き、そーっと中を覗き込んだ。……なあんだ……心配して損したよ。
450: 2007/08/22(水) 00:26:56 ID:JtTYHn+r(3/4)調 AAS
 ベッドの上に素っ裸のタケルが仰向けに寝ていて、その上にこれまた素っ裸の春香がまたがっていた。彼女の、
日焼け跡がくっきり残る小さな白い尻がタケルの逞しい手に鷲掴みにされ、見てるほうが余計な心配をするほど
深々とごついチンポをぶち込まれていた。
 彼女はもう自分では身動きがとれないらしく、タケルの逞しい体にしがみついて、切れ切れにあえぎ声を発していた。
 やがて、タケルは春香の尻をグッと引き寄せてその奥深くにバッチリ発射し、同時に春香も完全にイッて
しまったらしく、二人は溶け合うようにガックリと体を重ねて動かなくなった。
 
 さあてどうしよう。もうあきらめるところだよな。昨日までのオレなら。

「こんばんわー!」
と、窓をガラッと開けて、一応靴は脱いで上がりこむ。二人がバッと身を起こす。
「なんだよお前!」
とタケルが息巻くが、春香はタオルケットで体を隠し、オレから顔を背けた。
「タケル、やっぱオレお前許せねえわ」
「は?ナニそれ?なんか俺お前に許してもらうような事あったっけ?コイツなにいってんだろうなあ春香」
とタケルがせせら笑いながら春香に同意を求めたが、彼女は無言でうつむいたままだった。タケルがみるみる
不機嫌な顔になる。汗と体液の臭いが立ち込める部屋に、なんとも言いがたい空気が流れた。
 やがてタケルが吐き捨てるように
「…チッ、なんかお前らウゼーよ。めんどくせーから帰るわ。ったくよお……」
と言い、尻を掻きながら部屋を出て行った。そのゴッツいチンポを
 ひたすら無言だった春香がポツリと言った。
「…こんなだから」
「は?」
「あたしこんなだから」
 オレは、頭をポリポリ掻きながら言った。
「…ハァ…ってことは、オレはこれから先、ずっとこんな苦労をしてかなきゃならないって訳ね」
 オレの言葉を聞き、信じられないと言う表情で顔をあげた春香が、急に泣きながらオレに抱きついてきた。
 オレはニッコリしながら彼女の頭を撫でていたが、実はTシャツ一枚越しの春香の胸の感触に全神経が集中
していた……

……ってなるかなあ、もし今突入したら。
 今、目の前では、タケルの上からごろりと転げ落ちるようにベッドに横になった春香が、タケルに何かを
囁かれてクスクス笑っていた。やがて彼女は彼に覆いかぶさるようにしてキスをした。そのキスは彼の首、胸、
ヘソとだんだん下りていき、最後には、まだ結構力強く起立している、二人の体液にまみれたチンポの先に
キスしたかと思うと、本当に愛しげにその肉の塊を咥え込んだ。
 そう言えば、オレはよく水泳で鍛えられた彼女の体を「泳ぐアメフト」なんてからかってはケツキックを
くらっていたが、ガッチリした体型のタクヤに重なっている彼女の姿を見ると、やっぱり華奢だなあと改めて
気付かされた。
 そして、今朝彼女を抱きしめた時の、たぶんもう2度と触れる事のないであろう細い肩を思い出しながら、
頭を掻き掻きそっとその場を離れた。

 それからオレは家に帰り、春香が写った写真(もちろん水着)を机から引っ張り出して、生まれて初めて
彼女でオナニーをした。うん、まあ、なかなか良かったよ。

<めでたしめでたし>
 
451: 2007/08/22(水) 00:30:37 ID:Abp3qs24(1)調 AAS
oh my god!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
452
(1): 2007/08/22(水) 02:56:36 ID:U8oUoxCB(1)調 AAS
これはひどいビッチwwwwww

>ガッチリした体型のタクヤ
タクヤって誰wwwww
453: 2007/08/22(水) 03:27:38 ID:JtTYHn+r(4/4)調 AAS
>>452
 あ!…(ガクッ)…「春香」が「晴香」になってるところも……
 突然「そのゴッツいチンポを」って何……
 基本中の基本がなってませんでした。
 反省&精進します……
454: この夏の向こうまで ◆7UgIeewWy6 2007/08/22(水) 20:51:07 ID:mfBj3WF/(1/6)調 AAS
1.

突然、凄いヤツが、隣町にある羽島高校の水泳部に出現した…とは噂で聞いてた。
インターハイを目指す俺にとっては、ライバル。もちろん関心を引く話だ。
水泳の華。100メートル自由形。
俺、冨田忠志の現在のベストタイムは53秒12。
この1年で、全国に手が届くまでタイムを伸ばしてきた。
昨年は悲願のインターハイ出場をギリギリで逃した俺にとって、
高校3年のこの夏が、最後の夏だった。
「三島ってヤツらしいぜ。なんと高2だってよ」
さっそく情報を収集してきたらしい同じ水泳部の田中が、部活の最中に話し掛けてきた。
「昨年まではアメリカにいたらしくてよ、今年、日本に帰ってきたらしい」
「帰国子女か」
「52秒台を出したとかいう噂だぜ」
「マジかよ」
「東峰学園の池田と鳥谷だけがライバルだと思ってたのにな、忠志」
「…バカ。ここまで来て、そんなポッと出の、しかも1年後輩に負けてたまるかよ」
闘志が湧いてきた。俺は飛び込み台に立つと、水飛沫を上げてプールに飛び込んだ。
水の中。この青い世界が好きだ。自分の限界までスピードを上げていく。
どこまでも、どこまでも行けそうな気がする。水の抵抗も味方にして、追い越して、
そして、夏の向こうまで。必ず行ける。
そう思っていた。

「夏樹!」
夕暮れの校門で待っている夏樹に、俺は呼びかける。
セーラー服姿の夏樹が振り返る。ショートヘアを揺らし、ニッコリと笑った。
「お疲れ!忠志。今日も頑張ってたじゃん!」
小麦色の肌。半袖から伸びる腕が、健康的で眩しい。
水野夏樹。
陸上部で女子のエースとして活躍している彼女は、走り幅跳びの選手として
俺と同じく、インターハイ出場を目指している。
そして、俺の…ガールフレンド以上、恋人未満って存在。
幼稚園の頃からの幼馴染で、腐れ縁なのか、高校までずっと一緒にいる。
隣近所の親同士が仲が良く、兄妹のように育ってきた。
年頃になってから、お互いを男と女として意識しないわけじゃなかったが、
どうにも幼馴染ってのは面倒なもんで、いざとなると照れて素直になれない。
お互い、内心では好きなことを分かっていながら、言えずにいる。
だからこれまでお互い、彼氏や彼女なんか持ったこともない。
学校でも、どうやら俺たちは公認のカップルってことになってるらしい。
俺は、自分の「初めての相手」は夏樹だ、と決めてる。
夏樹も…そう思ってくれているに違いない。
でも、そのために、まずはこの夏だ。
インターハイに出場を決めて、夏樹にこの10数年の想いを告白する。
俺は、そう決めていた。
455: この夏の向こうまで ◆7UgIeewWy6 2007/08/22(水) 20:52:09 ID:mfBj3WF/(2/6)調 AAS
2.

その日は、夏樹とふたりで晩飯にカレーを食った。夏樹手づくりの。
俺と夏樹の両親が「夫婦たちの日」とかを勝手に作って、フランス料理の
コースだかを食べに出かけたせいだ。
「ほんと、バカ親!」
夏樹は笑いながら言うが、俺とふたりってことが、満更でもなさそうだった。
お互い、隣同士の互いの家を行き来する間柄だし、親同士も仲が良いから、
夏樹と晩飯を食うのは珍しいことじゃない。
でも、ふたりっきり…というのは、そう言えば、最近はなかったっけ。
自分の家に一度帰って、シャワーを浴びてきたらしい夏樹は、
短パンにピンクのTシャツだけっていう、ラフな格好。
…でも、なんだよ、そのふとももとか、腰付きとか、反則だろ、って思う。
俺だって、同じような格好してるわけだけど。
エプロンを付けてキッチンに居る夏樹に思わず見とれていたら、釘を刺された。
「…なんだ?じーっと見て。二人きりだからって、襲うなよっ」
「は?バカ。あのオテンバ娘でも料理するんだなーって、思ってただけだよ」
「ふん。食べさせてあげないぞ。こう見えても、お母さんにいろいろ習ってんだから」
軽口を叩き合ってるうちに、カレーが出来上がる。
テーブルを挟んで、二人で食べる。
俺が最初に口に運ぶのを、じーーっと夏樹が見つめてる。一応、緊張してるらしい。
「…ど、どお?」
「……ん。美味いよ」
俺が言うと、ぱぁっと向日葵みたいに笑った、
「…そっか!よしよし、うんうん!」
安心したように夏樹は食べ始めた。
「…なあ」俺は聞く。
「ん?」
「夏樹は、インターハイ…行けそうか?」
「うん!頑張るよ。絶対行く。忠志も、頑張んなきゃダメだよ。一緒に行くんだから」
「…おう」
「忠志なら、絶対行けるよ。この一年、頑張ってたもん」
夏樹がそう言うなら、大丈夫な気がする。
夏樹がそう言ってくれるなら、俺は絶対に負けない。
456: この夏の向こうまで ◆7UgIeewWy6 2007/08/22(水) 20:53:04 ID:mfBj3WF/(3/6)調 AAS
3.

突然、羽島高校の水泳部から合同練習の申し込みがあって、その日の
我が名桜高校水泳部は、皆、かなりの興奮状態だった。
噂を聞きつけて、プールサイドには見学の生徒たちが鈴なりになっている。
「県予選前に、殴り込みかよ、おもしれえ。やってやろーじゃねえの!」
田中が息巻いている。でも、俺は冷静だった。
ただ、その1年後輩の三島ってヤツを見てみたい。そう思っていた。
やがてプールサイドに、スイムウェアを付けた羽島高校のメンバーが現れだす。
引率の教師が、こちらの部長先生に挨拶をしている。
(…どれが三島ってヤツだろ)
そう思っていると、プールサイドをスタスタとこちらに向かってくる男がいる。
172センチの俺より…背が少し、高い。
細身のくせに、その身体は、相当鍛えていると一目でわかる筋肉の付き方をしている。
サラサラとした茶髪を、片手でふわっと掻き揚げた。
身体は立派だけど…0.1秒を競う競技で、この髪型はありえないだろ?
「…冨田さんって、どちらですか?」
そう聞いてきた。間違いない。こいつが、三島。
「俺だけど」
俺は前に出た。周囲が互いの高校のエースの邂逅に、固唾を飲んでる雰囲気が伝わる。
「…俺、三島尚哉です」
1年後輩とは思えない落ち着いた雰囲気を漂わせ、静かに言う。
「…速いんですってね。どの程度か、見せてもらうのを楽しみにして来ました」
…カチンと来た。
「俺が冨田忠志。よろしくな」
手を差し出す。三島がその手を握り返してきた。握り負けそうになる圧迫があった。
(…こいつ!)
そう思ったとき、背後で声がした。
「忠志!」
振り返ると、金網越しに、陸上部のユニフォームを来た夏樹がいた。
「頑張れ、忠志!応援してるぞ、負けるなっ」
夏樹が手を振った。夏樹、サンキュ。これで勇気百倍だ。
「…彼女さんですか?」
その時、三島が俺の肩越しに、夏樹を見た。
何か、胸騒ぎがした。こんな男に夏樹を見られるだけでも、イヤだった。
「どうでもいいだろ。とにかく、勝負といこうぜ」
「…そうっすね」
三島が夏の青空の下で、薄く笑った。
457: この夏の向こうまで ◆7UgIeewWy6 2007/08/22(水) 20:54:00 ID:mfBj3WF/(4/6)調 AAS
4.

人気のなくなったプールサイド。俺はまだそこに座り込んでいた。
…完敗だった。
100メートル自由形の勝負。俺は、どんどんとヤツに離されていく自分を
感じながら、どうにも出来なかった。ヤツの足だけが、水の壁の向こうに見えていた。
「…俺の勝ちっすね」
俺がゴールした時、三島はとっくに濡れた髪を掻きあげていた。
信じられなかった。この一年、人の3倍、いや、4倍の練習をしてきたはず。
「体調悪かったんじゃないですか?今のがベストですか?」
「…なに?」
「あ、気を悪くしました?すんません、口悪くて…。んじゃ、握手お願いします」
三島は人を食った態度で笑いながら、勝負後の握手を、求めてきた。
それに応じないなんてブザマな真似は、そのときの俺には出来なかった。
俺の手がヤツの手の中に吸い取られ…そして、ぎゅううっと握り潰されていた。
俺は、ようやく聞いた。
「…どれくらい水泳やってるんだ?」
三島はニヤリとした。聞いて欲しかったというように。
「…3ヶ月ですよ。アメリカでは、バスケばっかりやってたんで」
3ヶ月。
小学生の頃から泳いでいた俺が、3ヶ月の素人に負けたのか。
「…忠志」
声がした。俺はゆっくりと見上げる。夏の眩しい日差しが、夏樹の表情を影にしていた。
「…大丈夫、負ける事だってあるよ」
夏樹が、俺のそばにしゃがんだ。
「…残念だったね」
同情の響きが辛かった。
「次は勝てるってば」
夏樹の前で負けた。俺を信じてくれてる夏樹の目の前で。
「次?もう時間がないだろ!」
俺は思わず声を荒げた。夏樹がじっと俺を見つめる。
「県予選まで、もう2週間ないんだ。どうしようもないだろ!」
「忠志」
「あいつ、水泳やって3ヶ月だってよ。そんなヤツに、ずっとやって来た俺が…」
「忠志、トップにならなくてもいいんだよ、3位までに入れば…」
夏樹がそう言って、俺はつい、苛立った。
「そんなんじゃ意味ねーんだよ!」
「忠志」
俺は立ち上がった。これ以上、同情されたくなかった。夏樹にだけは。
この世界でただひとり、夏樹にだけは。
俺は身体を翻すと、夏樹をプールサイドに残して、更衣室へ歩き出した。
夏樹の哀しげな視線を背中に感じながら。
458: この夏の向こうまで ◆7UgIeewWy6 2007/08/22(水) 20:55:59 ID:mfBj3WF/(5/6)調 AAS
5.

三島に負けたことでスランプに陥った俺が、インターハイ予選で負けたのは
仕方のないことだったかも知れない。
精神的に立ち直るには、時間がなさすぎた。
俺は、県予選でまたも三島に惨敗し、結局、県内5位に終わって、インターハイの
出場権までも逃した。
俺の夏は、これで、終わったんだ。
どうしてこんなことになったのだろう。俺はずっと胸の中でその問いを繰り返していた。
夏樹は、女子陸上の走り幅跳びで、見事、インターハイの出場権を掴んだ。
でも、何もかもが無駄だった。俺は虚脱してしまっていた。
「応援に来てよね」
インターハイに出かけていく朝、夏樹は俺の部屋にやってきて言った。
「忠志の分まで、頑張るからさ」
黙っている俺に、夏樹はさすがに怒った。
「…いつまで落ち込んでるんだよ!そんなの忠志らしくない!バカ!」
俺を元気付けようとしてくれてるのは分かったけど、身体に力が入らなかった。
だって、この夏の為だけに、俺は頑張ってきたんだから。

そして、夏樹が出掛けていったインターハイも、今日で終わる。
俺は、自分の部屋のベッドに仰向けになって、天井を見つめていた。
大会の間、夏樹から連絡はなかった。電話も、メールも。
夏樹が全国4位に入賞したことは知っていた。
その時だけ、「おめでとう」と頑張ってメールを送ったけれど、返事はなかった。
「…怒ってるのかな」
天井に向けて俺は呟いた。
今夜、夏樹が帰ってきたら、謝ろう。いつまでも落ち込んでいても仕方がない。
水泳人生が終わったわけじゃなかった。まだ、大学がある。
ようやく、そんなふうに考えられる自分がいた。
夏樹が戻ってきたら、思い切り肩を叩いて「やったな!おめでとう!」と
言ってやろう。
きっと、夏樹も心からの笑顔を見せてくれる。
そうして、ここしばらくの自分の行動を素直に謝って…もう一度、色々とやり直そう。
そう思った。
もう、何もかもが、遅かったことなんて、知らずに。

夏樹は、インターハイから帰って来たその日、俺の家には来なかった。
(…明日、来るつもりなのかな。)
でも、土産くらい今夜のうちに持ってきたっていいのにな、と思う。
俺は、深夜、自分の部屋のカーテンを開けて、隣家の2階の夏樹の部屋を伺ってみた。
カーテンが閉まっている。でも、灯りが点いていた。
帰ってるんだ。
「お帰り」とメールを送ろうか。でも疲れているのかも知れないな。
『お帰り!今、窓からそっち見てるぜ。窓、開けてくれよ』
携帯メールの文字をそこまで打ち、俺はしばらく考えた。
そして結局、そのままメールを消去して、カーテンを閉ざした…。

俺は知らなかった。
夏樹がその時、携帯電話を握り締めて荒い息をついて、自分の耳に当てていたことも。
自分の部屋のベッドの上で、電話の相手の声に操られて、真っ裸になっていたことも。
大きく、その両脚を開いていたことも。
まだ幼い乳房のてっぺんで、桃色の乳首が、固くツンと尖っていたことも。
携帯電話を持たない右手の指先が、その股間の女の部分に深く潜り込んでいたことも。
夏樹を、思うままに翻弄している相手も。

…俺はまだ、何も知らなかった。
459: この夏の向こうまで ◆7UgIeewWy6 2007/08/22(水) 20:57:14 ID:mfBj3WF/(6/6)調 AAS
本日はここまでにさせていただきます。
460: 2007/08/22(水) 21:22:51 ID:jIcl8ggq(1)調 AAS
なんかスレが盛り上がってきたGJ!!
461: 2007/08/22(水) 22:03:20 ID:eEL98s/a(1)調 AAS
正直な話こういうのを待っていた!
続き楽しみです〜
462: 2007/08/22(水) 22:38:54 ID:DPcrbSq2(1)調 AAS
次回の投下、全裸で待ってるよ。
463: 2007/08/23(木) 01:35:03 ID:uzx5s+Uj(1)調 AAS
わっふるわっふる
464: 2007/08/23(木) 09:35:52 ID:JBW/8Ar/(1)調 AAS
ここ最近では一番いいねー
こうゆう読ませる文章は続きが楽しみだぜ
465: 2007/08/24(金) 00:13:48 ID:1MXFtApU(1/2)調 AAS
ううう…投下は嬉しいがこうもNTR連続だとダメージに耐えられるか俺

ところで最近サンデーで連載中の飛び込み漫画がすごいNTR展開だな
正直エロのないNTRは不快なだけなのでやめてほしいよ
466
(4): 2007/08/24(金) 00:35:33 ID:64hLMZ5a(1/2)調 AAS
豪華なフランス料理にやや胃もたれを感じたあなたに、タクアンのきれっぱしを投下。(言っとくけど下手クソだよ!)

俺、今のバイトをまあ給料がいいんで結構長くやってるんだけど、
オーナー(45歳・妻・子供2人)がかなりイヤミなヤツって以外はまあ不満なし。
で、8月頭に新しいバイトが入って、それが同中っていうか同級生の子だったのよ。
会ったのはクラス会が1回だけあってそれ以来かな。
彼女は結構目立ってた方で、クラス内ランクで言うと上の中くらい。(ちなみに俺は中の下…ウソ下の上)
その時からヤセてて、まあそれは今もそうなんだけど、胸が…胸が成長してたんですよ!上の上に格上げ!
なんかまぶしくて見れないけど!で、俺は下の上だったのに、名前を覚えててくれたのがかなりうれしかったっす。

それで、うちのバイトは金がいいだけあって仕事中はメチャ忙しくて彼女と話す暇なんて全然ないわけですが、
8月10日ごろだったか、上がりがたまたま一緒で、メシにさそったのよ!マジで俺の今までの人生で最大の決断!
「再開の記念におごらせてよ」とか言って寒いなー!!
でも、まーあっさりOKで、つっても駅前のデニーズだけど。
彼女は細長い足にピッチピチのジーンズで、ピンクっぽいタンクトップに、黒の見せキャミっつーのかなアレ。
見せキャミなのにやっぱりまともに見れねーけど!しかし肩細いなあ、って見てたか。
でまあいろんな話したんだけど、
彼女は中学の時からやってた部活をヒザ壊してドクターストップで、またできるかは微妙らしいけど、
とにかく暇なんでバイトを始めたんだと。
それで次は俺が一番したくねー話で、
「Tくんさー、Nのこと好きだったでしょ。アレどうなったん?」
ちなみにこの話は一時けっこークラスで話題になってて、実は彼女はそれで俺の名前を覚えてたっぽいorz
で、その話は事実無根だったんで、そう言うと、
「え、じゃ誰が好きだったん?時効やん、言ってみ?」
…ここでさあ、「イヤ…実は…君が」とか言えっかフツー?ホントはそうだったから迷ったけどさあ!
…スマン、やっぱ俺にはムリ!!適当にごまかしましたよ。
あとオーナーの話。ヤツは、さっきイヤミって書いたけど、もう一つ属性があって、それはエロ!!
彼女の肩に手をおいて「どう?馴れた?」とかさー、見ててマジムカツク!
「そーだねけっこーセクハラだよねー、昨日入力のやり方聞いたらさー、
『それはこうだよ』とかいって私のもってるマウスの上から手え握ってきてさー!なんか汗っぽくてキモかったよ!」
…ヤローマジ殺してー
で、結局彼女が「いーよいーよ」とか言うのを、約束だからとか言ってムリヤリおごって店をでて、
「また誘っていい?」(これも俺的にはかなり必死)と聞くと
「全然いーけど、もうオゴるとか言わんでね」と言われてまあいっかと。

で、その後何回かメシ食って、
・少なくとも今は彼氏はいない
・部活やらない人間がどうやって時間をつぶしてんのか全くわからない
・オーナーのセクハラは確かにチョットって感じだけど、どうせ夏休み限りだし、時給いいからまあガマンガマン
てな話をしました。
しかしみんなここからどう発展させるんですかねえ。スキル無さすぎだなー俺。

それでですねー、昨日の夜ですよ。
ひまだったんで、ホントの入りの1時間ぐらい前に、まあシフト上では彼女とちょうど入れ替わりだけど、
顔ぐらい見れっかなーって感じで行ったんですわ。
俺らは裏から入るんだけど、入ろうとしたら彼女が廊下で携帯で話してて、それがですよ!
「…え?海が見えるかどうか?そりゃ見えたほうがいいですけど、予約が取りづらいんだったら、Sさん
(オーナーの下の名前ね)の好きで決めていいですよ。…いや、絶対泊まりはムリですよお。昨日だって
結局家に着いたら11時過ぎちゃってて、メッチャ怒られたもん。あれだけ今日は早く帰らせてって
言ったのにどっかのエロオジサンのせいで全くもー」
だって!なんじゃそりゃ!!書いててまた腹たってきた!!なんかもう死にてえ、いや殺してえ!!!

しかしなあ、よりによってオーナーとはなあ。腹でてるしウッスラハゲてるし、マジでおっさんなんだけどなー。クッソー!
場所も時間も大体分かったから、写真でも撮って奥さんにばらしたろかとか、ケーサツにチクればつかまっちまう
年齢だなーとか考えたけど、まーさすがにそれはしないわ。
ヒマだから見に行く位はするかもしんないけど。イヤしないしない。

じゃそういう事で!正直文章ヘタクソですまんかった!だが悔いは無い!
467: 2007/08/24(金) 00:45:21 ID:qrBHBrZ6(1/16)調 AAS
お前に幸あらん事を祈るわ
468
(1): 2007/08/24(金) 00:51:56 ID:3/qwtX9D(1)調 AAS
あとでまとめサイトで読むことにしようっと

じゃないと耐えられん
469: 2007/08/24(金) 01:07:11 ID:dswlBfd1(1)調 AAS
あー、きっと男にあんまり免疫なかったんだね、彼女。
お酒飲まされたのかな?スキンシップの成果かな?一瞬の心のほころびにつけ込まれちゃったんだろうね。
せめて傍にしっかりした男性がいればまた、違う結果があったのかもしれないけど、残念、彼女のそばにそういう男性はいなかった。
あとは諦めるか諦めないかせめて後悔の無いようにね?

なんてスレ遵守の事を言わずに本音で書くと、俺、今かなり年下の高校生の仲良しの子いるんだけど、多分、彼女は同級生からは怪しい目で見られているんだろうと思う。
俺の部屋に日がとっぷり暮れた後でも平気で無防備に遊びにきたりするし、タバコに火を付けると、
「また吸ってるー!体に悪いんだから!」とか言って勝手に咥えてるのをさっと取り上げて灰皿に押し付けて消しちまうし、
名前はお互いにファーストネームで呼び合ってるが、それでも一切、やましい事はしてない、これからすることも絶対に無いと断言できる。
はっきり言って可愛い子だと思うし、しょっちゅうブラなんて透けてて、これまた大きい乳との境目なんてムハーものなんだけど、
それでもそういうのヤなんだよね。それに彼女も俺の事、絶対になんとも思ってないはずだ。
かなりエロ話もする、嫌がってるのが面白くて、調子に乗って怒りはじめるまでする、それでもむしろ、この子が早く「彼氏出来そうだ〜」なんて話を聞かせてくれるのを本気で心待ちにしてたりする。

そのバイトの子が君の予想通りの事になってるかもしれないし、ひょっとしたらまだ(ヤバイ)、なのかもしれないし、全然違うのかもしれない。
上手くは言ってやれないが、本当に悔いの無い決断を望みます。
470
(1): 2007/08/24(金) 01:47:12 ID:64hLMZ5a(2/2)調 AAS
うお!松屋からもどればいつの間にか温かいお言葉が。
いやー、実は、俺が書くことに耐えられなかっただけで、携帯ではセックスの話が
もっとはっきり出てたんですわ。正直それで楽勝でヌけるくらい。イヤ抜きませんよ!

まあ、むしろ気にせずアプローチをしてみようというのが今のとこ最有力案。
むしろ、こんなきっかけがなけりゃ動けなかったかもしれないと思うと、
オーナーに感謝←それはムリ。あんな子にそんな濃いセックスを教えちゃイカン!クソ中年!

馴合いだ!と怒られそうなので、ここから完全にROMに戻りますが、お言葉をいただいた方には大いなる感謝を。
471
(4): 2007/08/24(金) 01:49:58 ID:QR0Er0X6(1)調 AAS
この寝取られブログ知ってる?
外部リンク[html]:toran.livedoor.biz

事実は小説よりも興奮するなり
ちんこギンギンになりながら読んでました
472: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 01:57:23 ID:qrBHBrZ6(2/16)調 AAS
>>446の続き

登場人物おさらい
主要登場人物
・安室怜……吉良に思いを寄せながらも、唯に汚されてしまった娘。
        白城大学一年生。
・吉良大和……怜のバイト先の先輩であり、白城大学の二年生。
         怜とは両思いだったが、告白するより前に、怜を唯に犯されてしまった。
・日色唯……白城大学の二年生で、吉良と同じ学部。
        怜とは、ブログで知り合った。前章で彼女の貞操を奪う。

脇役
・飛鳥慎……吉良の友人。
・海本……吉良の友人。
・嘉狩明日葉……怜の友人。
・村雨四乃……怜の友人。

はっきり言って名前までいちいち覚える必要の無い人達。
あぁ、何か多分主要人物の誰かの友達なんだろうなー
ぐらいの認識でも全然読めると思う。
473: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 01:58:45 ID:qrBHBrZ6(3/16)調 AAS
人は、何かを卒業する度に、新しい何かに向かって進んで行く。
精神論や人生訓を語ろうと言うわけではない。
単純な、進学や入学の事を言っているのだ。
小学校、中学校、高校、大学。
半数以上の子どもは大学に進学するし、仮に大学には進まなくとも
九割以上の者は、最低限高校くらいは卒業するものだ。
勿論そうでない者も世間にはいるが、日本では少数派だ。
そして、これら教育と学問の過程の中で、
もっとも進学の際に緊張やストレスを伴うのは、中学校だと言われている。
先輩後輩という関係性は、小学校までには殆ど無かった概念だ。
全生徒に共通して着用を義務付けられる、制服というものも、
私学小学校の卒業でない限りは、まぁ初めてのものだ。
成績というものを小学校までより遥かに意識させられるし、
中学校の部活動の質と重さは、小学校のクラブ活動とは比較にならない。
様々な要因が絡み合って、結果、小学校では問題無く過ごしていた子も
中学にあがった途端に適応出来なくなり、過大なストレスを抱える者も出てくる。
結果、その者は不登校児童となり、多くの場合、白い目で見られる事になる。

高校は、まだ良い。
高校は、中学校時代にその問題をクリア出来た者が進む道なのだから。
しかし、中学校で不登校児童となってしまった者は、どうするのだろうか?
夜間高校に通う、通信制高校に進む、或いは進学自体しない……
いろんな選択肢がある。
その選択肢の中には『中学では順応出来なかったけれど、
それでもとりあえず一般的な高校には進学しておく』というものも、含まれる。
それまでと異なる環境、異なる人間達の中にいる事で、
自分を見下す同窓生達の目から逃れ、再スタートしようと試みるという事だ。
それが実を結び、遅めの順応を見せる生徒もいる。
逆に、まるで効果をあげる事が出来ず、高校でも不登校になってしまう者もいる。
そして、私……安室怜は、そのどちらでも無かった。
474: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 01:59:31 ID:qrBHBrZ6(4/16)調 AAS
自分で言うのも何だけど、元々頭は良かった。
中学の頃は、たまにしか……中間試験や期末試験の時期にしか、登校しなかった。
勉強は、家で一人でしていた。それでも試験の点数は高かった。
けれど、たまに教室に現れた私を、誰もが奇異な目で見た。
こんな子、クラスにいたっけ?
転校生じゃないの?
誰もがそんな、珍しい生き物を見るような目で見てくる。
やがて、毎日の出席確認の際に、名を呼ばれるだけで返事をしない、空席の主なのだと判明する。
「あぁ、アレが安室さんか」
「私初めて見たかも」
ひそひそと話しているつもりかもしれないが、
試験直前の静まり返った教室では、嫌でも耳に届いてくる。
正義感の強い担任が、突然怒り出す。
「お前達、陰口はやめるんだ!
 せっかく安室が、勇気を出して来てくれたんだぞ?
 もっと温かく、自然に迎えてやれないのか?」
あぁ、偽善甚だしい。
何が『勇気を出して来た』って?
ただ単に、試験だけは受けないとまずいから、来ただけだと言うのに。
普段登校しないのは、勇気が無いからではなく、成績や上下関係や
その他諸々の事をとやかく言われるのが、煩わしいからだというだけなのに。
何が『自然に迎えてやれ』だって?
先生、あなたにとって私は、教室に迎え入れる存在なのですか?
私は、客人か部外者ですか?
あなたが一番、私をこのクラスの人間だと思っていないじゃないですか。
やがて、私のプライドはズタズタになっていった。
475: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 02:00:13 ID:qrBHBrZ6(5/16)調 AAS
こうして私は、抜け殻のように空っぽな中学時代を過ごした。
出席日数は少なかったけど、成績は学年でもトップクラスだった。
内申点は低かったが、それでも進学は何とかなるものだ。
私は学区外の、そこそこの偏差値の高校に入学した。
私の地力から言えば、その高校の授業のレベルは、話にならなかった。
普通に家で予習復習や自主学習をしていれば、勝手に成績トップになれた。
中学の頃に比べれば、上下関係も然程気にならなかった。
中学の頃は部活動に所属するのが当たり前のようなものだったから、
自然と先輩後輩の関係が幅をきかせており、鬱陶しい事この上無かった。
けれど高校では、半数近くが部活動無所属だ。
所属している人間は可哀想だけれど、無所属の人間に先輩も後輩も無い。
そもそも、違う学年の人間と関わる事すら無いのだから。
私は、中学の時程不快な気持ちには、ならずに済んだ。
大人しく通学し、大人しく授業に出席し、大人しく成績トップを維持した。
目立つような真似さえせず、休み時間も黙って本を読んでいれば、
中学の頃とは違って、特別変な目で見られる事も無かった。

ただ、いつも心の中に、靄のようなものがあった。
友人がいないという寂しさ? それもあるだろう。
けれど、もっと根源的なもの。
人間を人間として保全するための、重要なファクター。
いわゆる『自尊心』『プライド』というものが、私には欠けていた。
私は、良い成績をとる事以外には、ただ無為に過ごしていただけだった。
中学の時に味わった、ヒキコモリを見下し侮蔑する、あの視線。
無意識に特別扱い、例外扱いされる、あの疎外感。
いや、特別扱いだとか、例外扱いだとか、そんな生易しいものではない。
病原菌保有者か、良くてせいぜい蚊を見るような、あの生々しい侮蔑の目。
誰もが私を、そこらへんを飛んでいる羽虫のように見ていた。
もはや『見ている』という言葉すら適さないかもしれない。
視界の端に、わずかに留めている、と言った方が適切だろうか。
それも当人達にとって、意識的に視界に留めているわけではない。
飛び回る蚊が、時折たまたま、視界を掠める。その程度。
中学の時に崩壊し、ボロボロにされた私のプライドは、何ら修繕されていなかった。
私を認めてくれる友人を得る事も出来ず、
成績を教師に褒められるという事も無かった。
むしろ、その高校の偏差値にしては妙に高い私の学力を、
教師達は気味悪がってさえいたかもしれない。
そうして、あぁあの子はそう言えば、中学時代はヒキコモリだったんだっけね、
だから内申点は低くて、この高校にしか進学出来なかったんだっけ、
そうそう、出身中学の学年主任からそう伝えられていたっけ、と思い出すのだ。
中学では常に自分の周りに壁を感じて過ごしていたが、
それを言うなら、高校では常に、自分が試験管の中にいるような気分で過ごしていた。
私はいつしか、試験管の中にいても自分以外の人間と繋がり合える世界……
ネットの世界に、度々訪れるようになっていた。
476: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 02:01:02 ID:qrBHBrZ6(6/16)調 AAS
「そんな時だったわ……あいつと知り合ったのは」
私は吉良君の腕の中で、かつて私の『お兄ちゃん』だった人……
日色唯との、馴れ初めを語っていた。
「へぇ、怜ちゃんが元登校拒否児ね」
「意外だった?」
「いいや、むしろ第一印象そのままだった」
「……正直ね、吉良君」
あれから……私が吉良君と初めて交わってから、二週間が経過していた。
いつしか私は、彼の事を『吉良先輩』ではなく『吉良君』と呼ぶようになっていた。
敬語も、使わなくなっていた。
セックスした回数は、もう覚えていられない程多かった。
付き合い始めてまだたった二週間だけれど、
一日に何度も交わっていたから、回数など事細かに数えていられなかった。
「あいつと知り合ったのは、ブログだったわ……いつか言ったと思うけど」
「あぁ、聞いた覚えがあるね」
私の声も、吉良君の声も、室内に響いていた。
バスルームというものは、やはり声が反響するものなのだなと、改めて思う。
吉良君は浴槽にもたれかかっており、その吉良君に、更に私がもたれかかっている。
勃起した彼のモノが私の尾てい骨のあたりに触れる。
たくましい両腕が、私の体を抱えるようにしながら、
その大きな掌は執拗に私の貧相な乳房を揉み続ける。
「止そう、あいつの話は。どう? まだ気持ち悪い?」
「うん……まだ、少しだけ」
唯に犯された時のトラウマから立ち直れない私を、
吉良君は救い出そうとしてくれていた。
あれから二週間、私も吉良君も、全く大学に行っていない。
一日中裸で抱き合うか、セックスをするか、バイトに行くか、後は食事と睡眠くらいだ。
大学には行きたくなかったし、行けなかった。
行けば、唯がいる。
私とは学年が違うから、遭遇する確率はあまり高くないけれど、零ではない。
ましてや吉良君と唯は同じ学部の同じ学年だから、度々講義で会う。
吉良君が唯を殴り飛ばしたという話は、事後に聞き及んだ。
偶然なりとも二人が再会すれば、今度はどうなるかわからない。
私も吉良君も、唯の顔さえ見たくない、ただそれだけのために、
私の下宿に引き篭もっていた。
477: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 02:01:53 ID:qrBHBrZ6(7/16)調 AAS
吉良君は私を抱えるようにして、浴槽から立ち上がった。
「あいつに汚された部分、全部俺が綺麗にしてあげるよ」
彼はボディソープを手にとると、両手でそれを擦り合わせた。
見る見る内に泡立ち、滑らかになる。
彼はその滑らかな指先で、私の乳房を覆い隠した。
子どもの額を撫でてやるかのように、優しく胸を触り続ける。
やがて人差し指を立て、爪先でコリコリと乳首を掻きだした。
母乳の出る小さな穴の入り口に、彼の繊細な爪が引っかかる感触が、たまらない。
彼はその後、何分もかけて、念入りに私の胸を洗ってくれた。
この二週間の間で、彼にはもう何度も体を洗ってもらっていたけれど、
この体が唯に汚された事が余程悔しいのか、彼はどれほど洗っても足りないようだった。
「ねぇ、怜ちゃん」
「なに……?」
「あいつに、どんな事されたの?」
突然の言葉に、私は少し体を強張らせた。
「……思い出したくない」
「答えてよ。胸は勿論触られた? よね?
 アソコも弄ばれたんだろうね、当然。中には出されたの?
 それとも、ちゃんと外に出してもらえた?」
「いやっ。思い出させないでってば」
けれど、吉良君はそんな答えでは納得しないようだった。
突然唇を被せてきて、私の言葉を遮らせる。
貪るように舌を伸ばし、わざとらしい程唾液を流し込んでくる。
「この口は? どうなの? フェラとかさせられたの?」
「そっ……そんなの、さすがにされなかったけど……」
「そう。この喉の奥には、まだあいつの汚らしい精液は、流し込まれてないんだね」
そう言って彼は、座るよう私に促してきた。
彼が何を求めているのか、私には理解出来た。
大人しく膝立ちで座りこみ、ちょうど目の前に彼のモノがくる高さにする。
「まだあいつに汚されてないのなら、幸いだよ。
 怜ちゃんのまだ綺麗なトコロ、全部俺が汚していってあげる。
 強姦魔に負け越したままじゃ、悔しいからさ」
478: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 02:02:35 ID:qrBHBrZ6(8/16)調 AAS
もう見慣れたけれど、やはりこの男性器という代物は、気持ち悪い形をしている。
それを言うなら女性器も大差無いけれど、両者には決定的違いがある。
女性器……膣と子宮と卵巣は、男を受け入れ、子を産むための器だ。
それに引き換え男性器は、ただ貫き、蠢き、精液を迸らせる、凶器だ。
両者が揃わなければ子をなす事は出来ないのだから、
その意味では両者の間に貴賎は無い筈なのだけれど。
どうしても私には、男性器を肯定的に見る事が出来なかった。
それは、嫌々ながら処女膜を貫通され、蹂躙された記憶が引き起こす、心の傷だった。
そしてまだ、傷は癒えていない。
癒えていないにも関わらず、さもそれを可愛がるかのように演技しながら、
私は私の彼氏の男性器を、自らの口にふくむ。
舌の表と裏を使い分けながら、亀頭を入念に舐めまわす。
尿道を蛇のようにつつき、刺激し、先走り汁を味わう。
それは決して美味には感じなかったけれど、こうしてあげると男性は喜ぶらしかった。
唯が私の秘所を舐めた時は、どんな味だったんだろう?
一度吉良君がセックスの時に、私の蜜で濡れた自分の指先を、
私の口の中に滑らせてきた時があったけれど、その時は特に味を感じなかった。
こんなものを、何で男は有難がって吸いたがるんだろう。
「やけに乗り気だね、怜ちゃん。もう少し嫌がるかと思ってたんだけど」
私は、ちゅぽんと音を立てて彼のモノから口を離し、答えた。
「……本当だったらこんなの、唇で触れるだけでもゴメンだわ。
 吉良君のだから、我慢して咥えてあげてるのよ」
「そっか」
吉良君は泡をまとった掌で、私の頭を撫でてきた。
我慢という言葉は、あまり彼のお気には召さなかった筈だった。
当然だろう、我慢してセックスしてあげてると言われて、喜ぶ男はいない。
私のセックスは、これまでずっと我慢ばかりだった。
最初の、唯に犯された時から今まで、ずっと。
吉良君との交わりも全て、本当は我慢しての事だった。
まだ傷は癒えていないのだから、抵抗が残っていて当然だ。
けれど、そんな素振りは極力見せない。見せれば、吉良君が悲しむ。
「……っ! そろそろ、もう……っ」
そう言って吉良君は私の首を両手で固定すると、動けない私の口の中に
思い切り精液をぶちまけてきた。
我慢して飲み込んであげれば、私が喜んでいると思ったのか、彼は満足してくれた。
479: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 02:03:34 ID:qrBHBrZ6(9/16)調 AAS
「それじゃ……俺今日は、そろそろバイトだから」
まだ幾分まどろんでいる私にそう言って、吉良君はベッドから立ち上がった。
バスルームでのフェラチオの後、部屋に戻ってから何回ヤったかわからない。
半分意識が飛んでいる時もあったので、数はもう数えられたものではない。
「終わったらすぐ帰ってくるから。待っててね」
手を振る私に笑顔で返し、吉良君は玄関から外に出て行った。
私は、一人になった。
「……暇だなぁ」
誰にともなく、私は呟く。
ちょっと前までは、一人で暇な時は、唯とメールするか、唯のブログを覗くかだった。
しかし今では、唯と連絡をとりあうなど、考えられない。
彼がブログにどんな事を書いてるのか、知るのが怖いから、
携帯電話をネットに接続する事さえ出来ない。
全然関係の無いサイトやページを閲覧していても、どうしても
あいつのブログが気になってしまうであろう事が、自分でもわかるから。
しょうがないので、暇潰しにテレビゲームでもしようと思い立った。
実家から持ってきたハードの電源をいれ、テレビのスイッチをつけ、
画面にうつるソフトメーカーのロゴを何とはなしに眺める。
そう言えば、何のソフトが入ってたっけ?
漠然と考えていると、次に画面に映ったのは、対戦格闘ゲームのタイトルだった。
「……馬鹿馬鹿しい」
それは、唯が私に貸してくれたものだった。
近年格闘ゲームの中では主流になりつつあるらしい、
キャラクターの設定やドラマを前面に押し出したタイプだ。
生粋の格闘ゲーマーには、キャラゲーと呼ばれて嫌われる向きもあるとは、唯の弁。
けれど私は、このゲームに登場するキャラクター達の
性格設定や相関関係などに、魅力を感じていた。
唯曰く、私のような女は一部では『腐女子』と呼ばれるらしい。
このソフトが私のハードの中に入っているのは、
しばらく以前に、キャラを気に入った私が、無理を言って借りたからだ。
結局操作が複雑過ぎて、一時間で根を上げたけど。
「これ……返さなきゃなぁ」
思い返してみれば、私は唯から借りたままのものが、結構あった。
ヒモ理論だか何だかの、物理学の解説書。
一昔前の野球アニメのテーマソングのシングルCD。
これらを唯に返さなければならないと考えると、気分が鬱になった。
「今更……会えるわけ、ないじゃん……」
480: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 02:04:31 ID:qrBHBrZ6(10/16)調 AAS
悔しい。
いつの間にか、気がつくといつも、あいつの事ばかり考えている。
心から好きな吉良君よりも、心の底から嫌悪している唯の事ばかりを。
あいつの事が、脳の中にこびりついて離れない。
まるで頭蓋骨にドリルで穴をあけられて、脳の皺の隙間に
直接精液を流し込まれたかのようだ。
あいつを思い出すと気持ち悪くて仕方ないのに、思い出さずにはいられない。
生活のあらゆるところに、あいつの影があった。
気晴らしに外に出かけてもみたけれど、無駄だった。
あぁ、ここあいつと一緒に歩いたなぁ、とか。
あぁ、あいつここで靴の紐直してたなぁ、とか。
あぁ、あいつここで私を放置して何十分も漫画雑誌立ち読みしてたなぁ、とか。
どこに行っても、どこに行っても、常にあいつがいる。
姿は無いけれど、姿が見える。私の、すぐ目の前か、或いは右隣に。
こんな精神状態で、大学など行けるわけが無かった。
行けば必ず、あいつに会ってしまう。
仮に会わなかったとしても、いつどこで鉢合わせるか、
ビクビクしながら過ごす羽目になる。
あいつが存在しなければ、私は心に傷を抱えながらも、通学は出来るのに。
あいつが存在しなければ、私は今でも大学で友人達と笑っていられたのに。
あいつが存在しなければ、私は大事な貞操を、好きな人に捧げる事が出来たのに。
我知らず、涙が後から後から零れてくる。
失ったものが大き過ぎて、体の中から溢れてくる。
あの日、あいつを部屋に入れなければ良かった。
いやそもそも、あの日、あいつを呼ばなければ良かった。
何故私は、あいつを自ら呼び求めたりしたんだろう。愚か過ぎて言葉も無い。
「うぅ……くっ……」
声を殺して下唇を噛む。
この呪縛から、解放されたい。苦しみを解き放ちたい。
ふと気がつくと、私は洗面台にいた。
泣きはらした顔が、鏡の向こうから私を見つめてくる。
私が涙を拭うと、鏡の中の私も、涙を拭った。
私が剃刀を右手に持つと、鏡の中の私は、左手に同じものを構えていた。
481: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 02:05:21 ID:qrBHBrZ6(11/16)調 AAS
手の甲に刃を突き立て、すぅっと引く。
綺麗にパックリと避けて、中から血が染み出してきた。
痛む皮膚に慌ててティッシュを被せるけれど、そんなものでは止まらなかった。
「思ったより痛くないけど、思ったより出血するのね……」
痛覚が思考回路を麻痺させているのか、私は思いのほか冷静だった。
いや、或いは、逆に完璧に錯乱していたのかもしれない。
水で洗って消毒するという、当たり前の処置を忘れて、呆然と傷口に見入ってしまったからだ。
そして不思議と、傷口を見ると心が安定していく気がした。
血液に混じって、心の中の毒素が排出されているような感じになった。
私は、狂っているのかもしれない。
こんな事を、気持ち良いと思ってしまった。
止血もせずぼーっと過ごしていると、玄関のドアノブを回す音が聞こえた。
「ただいま。晩御飯の材料買ってき……」
そこまで言いかけたのに、吉良君は手に持っていたビニール袋を落として
慌てて私に駆け寄り、ありったけのティッシュと、持っていたハンカチで
私の手の甲を押さえてきた。
殆ど意識を保っていなかったので気付かなかったけれど、
彼がバイトに出かけてから、いつの間にか五時間は経過していた。
「何やってるんだよ、怜ちゃん!」
「だって……なんか、こうしたかったんだもん……」
本気で心配してくれる吉良君の、真剣な眼差しに、私はまた涙を流してしまった。
あぁ、愚かだ、私は。
こんなに私を大事に思ってくれる人がいるのに、
何故自傷などという、情けない事をしてしまったのだろう。
こんな私を見て、唯なら何と言うだろう。
「……もう限界だ。明日、あいつを学校から追い出そう」
唐突なその言葉に、私は疑問符を投げかける事さえ忘れていた。
「あいつ一人がいるせいで、俺達二人が……いや、怜ちゃんが、
 こんな思いをしなけりゃいけないなんて、間違ってるよ。
 犯罪者は追放するのが当然だ」
その時沁みるように感じたのは、消毒薬を塗布された傷口だったか、
それとも私自身の心だったか。
482: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 02:06:05 ID:qrBHBrZ6(12/16)調 AAS
翌朝。
私と吉良君は、久しぶりに大学の門をくぐった。
一限目が終わって、休み時間になったばかりの頃だった。
次の二限目、吉良君と唯は、近代美術史の講義を受ける予定の時間だった。
吉良君は私に、柱の影で待つように言うと、指定の教室の中に入って行った。
程なくして退室してきた辺りを見ると、まだ中に唯はいなかったようだ。
「このドアの前で待つ。怜ちゃんは、あいつから見えない所に隠れてて」
「うん……でも、どうするの? 喧嘩……するの?」
「そんな事しないさ。下手に教務課にでもかぎつけられて、
 俺まで停学処分にされちゃ、たまらないからね」
平和的に解決するから、と彼は微笑んだけれど、
どういう意味での平和的解決かは、聞くまでもないようだった。

やがて、教室の近くの階段の方から、複数の笑い声が登ってきた。
私にはすぐに、その声の主がわかってしまった。
気持ちの悪い事だけれど、あいつの声はもう私の中に刷り込まれてしまっている。
「……から、中身がわからないって事が問題なんだよ」
「そうまでして金払う意味がわかんねーってば」
何の話をしているのかわからないが、唯は、唯の友人達を連れて
賑やかに階段を上ってきた。
美術史の教室の反対側にある空き教室の、ドアの窓ガラスの部分から、慎重に覗き込む。
唯の首元には、相変わらず私とペアで買った、チョーカーがぶら下がっていた。
吉良君が、唯に詰め寄っていくのが見える。
「日色、少し話しがある」
「おいおい、苗字は気に入ってないから、唯って呼んでくれってこの前言っ……」
「御託はいらない」
有無を言わせないその迫力に、唯よりも先に、私が怖気づいた。
むしろ唯は怖気づくどころか、飄々と受け流しているように見える。
「怜の話か?」
「お前が馴れ馴れしくあの子の名前を口にするな、レイプ犯のくせに」
「……おい、唯? レイプって一体……」
吉良君が露骨に口にしたその言葉に、唯の周りにいた者達が反応する。
「レ、イ、プ、ねぇ……。
 人聞きの悪い単語を往来で堂々と口にすんなよ。皆ヒくぜ?」
「だったら、お前が往来に来なければ良い。
 今すぐ帰れ。二度と大学に来るな」
「はぁ? お前何様よ。そんなに俺の事が嫌いなら、
 お前が大学に来なけりゃ良いだけの話じゃん」
その瞬間、吉良君が唯の胸倉を掴む。
唯の友人達が静かにザワつくのが、ドア越しの気配でも察知出来た。
その内の一人が、よく事情はわからないまま、とりあえず吉良君の手を
唯から離させようとするが、そんな事で吉良君が手をゆるめるわけはなかった。
「よくもぬけぬけと……怜ちゃんは、お前に追い詰められたせいで、
 昨日はとうとう自分の手を切りまでしたのに……っ」
「……自傷って事か? ……なるほど、ね。
 ま、あいつはいつか、そういう事しそうだと思ってたよ」
唯は自分の友人達に、大丈夫だから先に教室に入っているように言った。
そうして吉良君を連れて、人気の無い非常階段の方に向かった。
483: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 02:06:54 ID:qrBHBrZ6(13/16)調 AAS
非常階段は、幸い私が隠れている教室のすぐ傍にあった。
非常階段と言っても、ドアはガラス張りで丸見えだし、
それに唯も吉良君もドアを閉めようとしなかったから、傍の私には声も筒抜けだった。
「こないだはいきなり殴りかかってきたかと思えば、
 今度は性犯罪者呼ばわりするわ、自主退学しろっつってくるわ。
 お前に何の権限があんの?」
「勘違いするな、変態。平和的に解決してあげようって言ってるんだ。
 これ以上ゴネるようなら、法に訴えてやっても良いんだ」
「おいおい、強姦罪は親告罪だぜ?
 第三者のお前が何言ったって、事は進まねぇよ。
 第一お前、裁判の事ロクに知らないだろ。訴状の提出の仕方知ってんの?
 金どんだけかかると思ってんの? それに、法廷であの子に証言させるわけ?
 セカンドレイプって言葉、知ってる?
 法廷での質問攻めに、あいつが耐えられんの?
 第一、どう証言するわけ? 俺を部屋に呼んだのは、あいつの方だぜ。
 自分から男誘っといて、ヤられたら訴えるなんて、法的には通るだろうけど
 世間的にはムシの良い話……」
「黙れっ!!」
それまでは二人とも、廊下にいる者達には聞こえない程度の声で話していたけれど
吉良君の怒号だけは、離れた位置で談笑していた無関係の人達の耳にまで、届いた。
「お前一人がここにいるだけで、俺も彼女も大学に来れないんだ。
 俺は兎も角、被害者であるあの子が我慢しなけりゃならない道理は、どこにも無い。
 本当ならお前は殺されても文句が言えない立場なのに、
 退学程度で済ませてやろうと言ってるんだ」
「……なら、殺せよ」
「何?」
「殺したいんだろ? 殺せば良いさ。あの子がそれを望んでるのか?」
484: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 02:07:41 ID:qrBHBrZ6(14/16)調 AAS
その物言いが、殊更に吉良君を逆上させたようだった。
やはり平和的解決は難しいらしい。吉良君は、本能的に唯に飛び掛った。
「止めて、吉良君!」
思わず割り込みに入った私の、止めようとする声も手も無視して、
吉良君は唯の顔を何発も殴った。
唯のかけていた色眼鏡は非常階段の上を転げ落ちていき、鉄柵の隙間から下に落下した。
首にかかっていたチョーカーは無理矢理引きちぎられ、傍の叢に放り投げられる。
「がっ! ごふっ! げふっ、お……っ!」
馬乗り状態の吉良君の拳を、唯には避ける事は出来なかった。
非力な私には、彼の腕を掴んで止める事も出来なかった。
それを止めたのは、先程教室に入っていった筈の唯の友人達と、
偶然その場に居合わせたらしい、海本君と四乃ちゃんだった。
「止めろ吉良!」
「何があったんですか、吉良先輩!」
海本君が吉良君を唯から引き剥がすと、唯の友人達が、倒れた唯に駆け寄った。
「大丈夫か、唯」
唯を心配するその言葉すら、吉良君に火をつける結果となった。
「何でそんな奴の心配をするんだよ!
 怜ちゃんは、誰にも何も打ち明けられなかったばかりに、
 誰にも心配してもらえなかったのに!」
確かに、唯に犯されてから最初の数日間、私は一人で悩み続けた。
何も知らなかったとは言え、私をほんの数日でも
一人で苦悩させてしまった負い目が、吉良君にはあるのかもしれなかった。
事情を知らない海本君達が、問うような目で私を見てくる。
けれど、私には答えられなかった。
余りある屈辱と恥辱を味わったあの体験を、どうして口に出来ようか。
あぁ、なるほど、これが唯の言った、セカンドレイプというものか。
確かに私には、法廷で証言する事など、出来そうも無かった。
もっとも、訴えようという気さえ、無かったけれど。
485: 374 ◆ldQo/fT6KU 2007/08/24(金) 02:08:22 ID:qrBHBrZ6(15/16)調 AAS
のろのろと立ち上がった唯の顔面は、左頬が赤く腫れ、唇が切れていた。
ぺっと唾を吐くと、それには赤黒いものが混じっていた。
「……俺が消えれば、怜も吉良も納得するんだな?」
「とっとと失せろ、犯罪者」
吉良君は、寒気がする程の即答を返した。
唯は服についた埃を払うと、叢を一瞥した。
投げ捨てられたチョーカーを気にしたみたいだった。
けれど、それを拾いに行く事はしなかった。
「じゃ、俺帰るわ」
唯は友人達にそう言うと、フラフラとおぼつかない足取りで歩き出した。
眼鏡が無いから、足元が不確かなのかもしれない。
これが唯と顔を合わせる最後になるかもしれないと思うと、
滑稽だけれど私は急に、彼に借りたまま返していない本やCDの事を思い出した。
「……ねぇ、借りっぱなしのゲームとか本とか……」
「いらねぇよ。
 そんなモン返すために、わざわざまた俺に会いたかねぇだろ。
 ……じゃぁな」
事情を知らない四乃ちゃんが、兎に角これでは駄目だと思ったのか、
立ち去ろうとする唯を呼び止める。
殴り合いでも、ましてや一方的なリンチでもなく、
話し合って結論を出すべきだと判断したのだろう。
けれど、四乃ちゃんの手が肩に届く前に、唯は歩調を速めて、その手を避けた。
「俺に触らない方が良いぜ、吉良のお友達さん。汚れたくないだろ?」
それは、血と汗と泥にまみれた彼の体に触れて、手が汚れてしまう事を差したのか。
或いは、私を汚した強姦魔として、自分を嘲ってそう言ったのか。
帰りに新しい眼鏡買わなきゃなぁ……と独り言を呟きながら、唯は去って行った。
以降二度と、彼は大学に現れなかった。
安心して通学出来る日々が、久しぶりに私と吉良君の元に帰ってきた。
1-
あと 284 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ

ぬこの手 ぬこTOP 0.060s