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お姫様でエロなスレ3 (499レス)
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303: 姫とお見合い 4 [sage] 2006/07/19(水) 16:33:04 ID:ZQpMrSBs ベアトリスは過保護に育てられた王女である。 だがそれほど好き嫌いにうるさいたちではない。 食べ物も着るものも公務や侍女に関しても、それからもちろん結婚相手も。 ところが何事にも例外はあるもので、その数少ない例外の一つが雷だった。 小さな頃から雷は嫌いだった。 否応無しに場を支配するあの大きな音も、それから規則性のない唐突な稲光も同じくらい忌まわしい。 遠慮会釈なく自分勝手に他人の神経を掻き回す落ち着きのない傍若無人ぶり。 同じ例外の範疇にイヴァン兄がいるが、どちらも似ている。 兄が昔から苦手な理由も雷と同じと言えるかもしれない。 ベアトリスは自室で、控え室から聞こえてくる侍女のいびきを窺いながら神経質に枕を抱えなおした。 この不吉な轟きの中で前後不覚に眠っていられるロジーヌの神経が理解できない。 せめて一緒に起きていてくれると少しは心強いのだが、この侍女はまだ若いせいもあり、普段から一旦寝入ると絶対に起きることがないのはよくわかっている。 稲光が部屋の装飾を青白く浮かび上がらせ、ベアトリスはびくっと薄い寝間着に覆われた肩を震わせた。 きっとすぐに音が来る。 数えたくないのに拍子をとっているとやがてドロドロと不気味な唸りが腹を揺るがせた。 同時に、ざあっと無数の水滴が窓を打つ音がした。 雨が降り始めたようだ。 ベアトリスはほどいた豊かな髪ごと両耳を塞ぎ、急いで冷たい床に足を降ろした。 この勢いでは当分雷は続くに決まっている。秋の雷は特に威圧的で大嫌いだ。 ロジーヌが当てにならない以上、頼る相手は同じ階の義姉しかいない。 ナタリーならベアトリスの子どもじみた恐怖心も笑わずにしばらく一緒にいる事を赦してくれるだろう。 杏色の目をこらして用心深く窓の外の気配を窺い、ベアトリスはガウンを羽織った。 腹にこたえる新たな雷の音に耐え、それが終わるやいなや一気に部屋の外に滑り出る。 あとは走るしかない。 後ろでに扉を締め、ベアトリスは稲光を見なくてすむように目をできるだけ細くした。胸が早鐘を打っている。 義姉の部屋まで階段を挟んで棟の三分の一ほどの距離だが、その間に雷は鳴らないだろうか。 幽霊はいないに違いないと信じている。 話に聞くだけで、まだ見た事はないし見る気もない。 だが兄と雷は怖い。それらは現実だからだ。 現実的なベアトリスが怖いのは理不尽な現実だけだ。 彼女は歯を食いしばった。 何も考えないようにして吹き抜けのホールの二階部分を走り抜け、反対側の廊下に飛び込んだ。 その間に一度大窓越しに稲光が炸裂し、ベアトリスは小さな悲鳴をあげながら義姉の部屋の取っ手に縋り付いた。 開け放して部屋に走り込んだ。 部屋はほの暗く、誰の気配もなかった。 ベアトリスは息をきらしながら呆然として無人の部屋を見回した。 離宮の女主人の部屋に相応しくさりげなく贅を凝らした部屋である。 だがその趣味のいい装飾を浮かび上がらせているのは部屋の中央に置かれている長い夜用の燭台の数本の蝋燭だけ、義姉も女官たちも誰もいない。 宴から、兄に連行された義姉が下がっていくのは確かに見たのに。 一体どこに行ったのだろう。 「フィリップ、…のところ……?」 ベアトリスは震えながら控えの間を抜け、寝室を覗いて呟いた。 もしやこの雷が心配で、義姉は息子の様子を見に行ったのだろうか…? 思い当たり、へなへなと膝が崩れそうになった。 きっとそうに違いない。 甥の部屋は三階にあるが、階段を上がり、長大な廊下を踏破する気力がもはやベアトリスにはない。 「いや……ど、どうしましょう……!」 またもや稲光が窓越しに立ち尽くすベアトリスを照らし出した。 悲鳴をあげ、ベアトリスは窓に突進するとカーテンの紐を引っ張った。 全部の窓を閉じてまわる勇気はなく、手近な窓だけ手当たり次第に閉じたところで足が浮かび上がるような強烈な轟音が心臓を掴んで揺すぶった。 http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148836416/303
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