[過去ログ] スクールランブルIF16【脳内補完】 (756レス)
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115(1): Kiss of life 04/11/01 06:44 ID:Sog93hpo(18/22)調 AAS
まあ、どんな事情であっても時は進むし場面も変わる。
現時刻はPM9:00、「入ったら蜂の巣」という文字がイヤにリアルなドアの前
時間キッカリなのは、播磨が絃子に命令された時間だからである。
ちなみに、時間指定だけでなく
体をよく洗ってくること!
歯も磨いてくること!
動きやすい服に着替えること!
着替えも忘れずに…ね?
……なぜだろう、絃子サンの部屋へと続くドアが
地獄の門も顔負けのプレッシャーを放っている気がしてきた
いやな汗もダラダラと体中から流れ出し
のどは勝手にゴクリと鳴る
なんというか、この向こう側へ行ったら、もう戻れない感じ
(ここは開けるべきなのか!? しかし、入らなければ教えてもらえない
しかし、入ったらいけないというか、超絶ヤヴァイ気がビシビシするんですケド…)
播磨拳児、こんなところで護身完成である。
「ええい、郷に入らずんば郷に従えだッ! 逝くぜこの野郎!」
ア○ロ、逝きま〜すとドアをバタンと開ける播磨
それでは、今からは播磨の一人称形式で進みませう
116(1): Kiss of life 04/11/01 06:45 ID:Sog93hpo(19/22)調 AAS
なんというか、クラリときた
感覚的じゃねえ、リアルに、だ
「やあ拳児クン、ちょっと遅いかったな。まあ、焦らされるのも嫌いじゃない」
絃子サン! なんで部屋が薄暗いんですか!?
「さあ、早くこっちにおいで」
……なんだか、お香の匂いがするんですけど!
その、いろいろとクルかほりがするんですけど!?
これっていわゆる王族とかが夜伽につかっちゃたりするアレ!?
「やれやれ、相変わらず恥ずかしがりやだな……」
……先生! 彼女の下着が黒です! ガーターベルトです!
というか服をキテません!
「さあ、心配しなくても夜は長い。初めても心配はいらないよ?」
なんのお話でつか?
つーかなぜ体を密着させるつーか胸が胸が胸がムネガガガガガガガガ
「フフフフフフ、おやおや。若いというのはイイね、いい反応だ」
ちょっと手が手が、そこはダメダメダメダメm
フォォォォオォォぉぉ!!!
117(1): Kiss of life 04/11/01 06:49 ID:Sog93hpo(20/22)調 AAS
「それじゃあ、たっぷり……教えてあげよう」
「ちょ……待て、待てつーかなんか全然違う…」
フフフフフフフ……それでは…
イヤァァァァァァ!………ブツ
播磨の意識、残念ながらここブラックアウト
なので、残念ながら絃子の部屋の出来事は我々には分からない
分からないと言ったら分からない。
きっとアレだ、すさまじい特訓だったのだ、多分。
そう、ここはあえて内容を秘とすることで、彼のすさまじい特訓を表現したい
つーか書けませんってトコで、どうか一つ
118(1): Kiss of life 04/11/01 06:50 ID:Sog93hpo(21/22)調 AAS
チュンチュン
窓の外の朝日がまぶしい、というか今の播磨には眩しすぎて直視できない
そう、自分はこの一夜で無理やり大人にされ、汚れてしまったのだ
小鳥のさえずりも、この勢いだとドナドナに聞こえてきそうである
「……どうだったかね、拳児くん? キスのコツは分かったかね?」
なにやらご満悦でお肌ツルツルの絃子さん、播磨の胸の上、腕の中で甘えながらそんなことを言っている。
それを聞いているのかいないのか、播磨拳児は一言ポツリ
「太陽が……黄色い」
などと呟いたそうな。
おしまい
119(1): 犬@リハビリ 04/11/01 06:52 ID:Sog93hpo(22/22)調 AAS
え〜と、こんな短い&アホなんでいいのなら
どうでしょうか>>110さん
他のは……まあ、要望があればそのうちに書く…鴨?
120: 名無し 04/11/01 07:18 ID:YQQOG/H2(2/2)調 AAS
Sog93hpoさん GJ
110です。続き書いてくださって すごくうれしいです。
>あえて内容を秘とする 中身がものすごく知りたいです(爆)
要望 もちろん出しますので書いてください
121: 04/11/01 07:19 ID:dwxsVE1c(1/3)調 AAS
GJ!
やっぱり上手いですね。
絃子さん話良かったです。
122: 04/11/01 08:31 ID:IBHq2Xuw(1)調 AAS
内容的にはGJでいいんだが、これって15禁にならないか?
見ただけで立っちまったぞ。
123: クズリ 04/11/01 09:19 ID:2tXPlHJ6(1/3)調 AAS
>>76
言われて初めて気付きました……_| ̄|○
自分でも、この速さはおかしいと思ってたんですが、そういうことだったんですか。いえ、HP作るのとか
初心者なので、見よう見まねでカウンターとか設置してたもので……
御指摘ありがとうございます。さっそく修正しておきました。
やー。これでカウンタの周りの速さにびっくりせずにすむ。良かった。
124(1): 04/11/01 11:06 ID:NPPmkIWg(1/4)調 AA×
>>108
![](/aas/entrance2_1099026765_124_EFEFEF_000000_240.gif)
125(1): 04/11/01 11:18 ID:NPPmkIWg(2/4)調 AAS
まー、殺すのは行き過ぎとしても
なんでこう露骨に差をつけたような書き方しかできないのか
非常に不快ですね。
シリアスを突き詰めようとする意欲もなく
かといってコメディを試してみようとする発想もなく
一番ラクな方向に逃げちゃう。最悪もいいとこです。
もうこんな悪意に満ちた愚劣なこと書かないでください。
繰り返しになるけど本当に不快。
126(1): 04/11/01 11:20 ID:NPPmkIWg(3/4)調 AAS
↑のは>>108のSog93hpo氏に対しての意見ね。
127(2): 04/11/01 12:00 ID:yIUVeSms(1)調 AAS
>124-126
なんだ、複数人かと思ったら全部一緒かよ。
しかも虐殺AA描いたあと、いきなり日和ってるし。
別にそこまで書くほどのものでもないだろ、お前の感想こそ
悪意に満ちた愚劣なものじゃないのか?(w
普通に「天満ももうちょっと良い目みさせてあげてください」とか
描けばいいのに、わざわざ作者の人を追い込もうとするんだな。
何つーの? 手前の願望剥き出しにしててみっともないっつーか。
128: 04/11/01 12:10 ID:tgCUr9DU(1)調 AAS
面白いSSだった思います。
Sog93hpo氏、どうかお気になさらずに
129: 通りすがった麻生サラ好き 04/11/01 12:32 ID:ut.wiyks(1)調 AAS
>>46
なんだかだいぶ返事が遅れちゃいましたが、感想ありがとうございます。
やっぱ絡み不足でしたか……キスさせようかどうかは悩みました。
続きをいつか書けばするかも……ですねw
>>47
感想ありがとうございます。
やはり、ここまできて続きを書くのだとしたら、今度は麻生君に動いてもらわねば
なりませんね……書くかどうかは未定ですが……。
で、サラの口調見直すとチョトおかしいかもですね……もっと作品を熟読してまいります……。
それでは。
130: 04/11/01 12:36 ID:dwxsVE1c(2/3)調 AAS
>>127
彼は本スレでもAA連投荒らしやキモイ哲学のコピペ連投とかしてる
いつもの基地害天満厨だから誰も相手にしないと思われ。
しかし真性基地害ってのは凄いなw
131(5): 04/11/01 13:18 ID:NPPmkIWg(4/4)調 AAS
>>127
(゚Д゚)ハァ?
俺は天満が好きなんだから、当然のことでしょ。
貴方が沢近好きなのか八雲好きなのか(或いは両方?)知らないけど、
彼女たちが貶されたと感じたら、怒るでしょ?
それとどこがどう違うと?
大体あんな通俗的な差別性が露呈した駄作に悪用された彼女の身にも
なってみたらどうなんだよ、作者は。
その程度のことも分からないような低脳ならSSなんか書くな。
132: 誘導されたのでここに来ました 04/11/01 13:32 ID:wgztAj5U(1)調 AAS
>>131
そこまで熱くなるなって。だったら自分で書きなさいって。自分の思うように書けばいいじゃん。
>>71
感想ありがとうございます。
うぅ、すいません。読み返してみたら自分でも「なんじゃこりゃ(゚Д゚)」状態になりました。
Sog93hpo氏、面白かったです。
133: 04/11/01 13:59 ID:CpKjSe5s(1/2)調 AAS
ア○ロをアフロとしか変換できずしばらく悩んだ俺はだいぶ病んでいるという事は確かだ・・・ _| ̄|○
134: 04/11/01 14:05 ID:Yz6xbtcQ(1)調 AAS
>>131
所詮二次元のキャラなんだしそこまで入れ込まんでも……。
>>119
GJ!
残りのキャラのSSも書いてくれると嬉しいです。
特にサラの話が気になります。
135: 04/11/01 14:21 ID:XH4Pbpik(1)調 AAS
>>131
いまどき珍しい、頭の悪いPTAみたいな人ですね。
136: 04/11/01 14:27 ID:qhTy/rmg(1)調 AAS
スルーしろよ…
137: 04/11/01 14:30 ID:euNvPUlY(1)調 AAS
>:Sog93hpo
GJ! さくらんぼって来たから、隣子が来ると思ってた……orz
でもイトコさん話上手い!
>>131
おいおい。落ち着け。せめて小さいAAの方を使え。
そうしないと、容量消費しすぎたり。また天満SS書く人が敬遠しちゃうぞ。
138: 誘導(ry 04/11/01 15:13 ID:IKd64ef.(1/8)調 AAS
皆さんは高校時代、エロの二言を追及した事はなかっただろうか?
この物語はエロを極限まで追求しようとした漢達の激闘を示したものである。
2004年某月某日。
その日の日直だった西本願司は職員室で担任との会話を済ませ、教室に戻ろうとした時だった。
西本の耳にとても耳寄りな情報が入った。これは2Cの男子に早く知らせなければ・・・西本は冷静に冷静に
自分を落ち着かせながら2Cへと帰っていった。
そのころ2Cでは昼食を懸けた腕相撲選手権が行われ、男子達は激しくヒートアップしていた。
とその時だった。ドアをガラガラと開けて西本が呟いた。
「情報を入手した。」これだけの発言では普通のクラスなら、「何の情報だよ!」とツッコミが入るだろうがこのクラスは
そうではなかった。腕相撲選手権は直ちにお開きとなり、机を移動させ、まるでこれから統合幕僚会議でも開くかのような
緊張感が漂っていた。
139: 誘導(ry 04/11/01 15:14 ID:IKd64ef.(2/8)調 AAS
この会議は通称西本会議(別名長卓会議)と呼ばれ、2C男子の欲望と夢を一気に担う会議だった。
この会議は5人のトップメンバーと会員だけが参加する事ができ、会員でない普通の2C生徒はこの会議に参加できなかった。
ちなみに会員になるには試験があり、この試験を突破できないと会員にはなれない。そのため会議の参加者は
トップメンバーと4人の会員しかいなかった。が会議に参加していない会員も多く、実態は今だ謎に包まれている。
また5人のトップメンバーはコードネームで呼ばれており、西本は「仏の西本」、今鳥恭介は「ハミングバード」
冬木武一は「しらさぎ」、奈良健太郎は「下っ端」と呼ばれている。しかし残る一人については西本しか情報を持っておらず
会員名簿もトップシークレットであるため、トップメンバーですら残る一人を知らない。噂では播磨や花井、梅津等が残る一人では
ないかと噂されているものの、噂の域は出ないようだ。
そして何よりも彼らはエロに関するものなら幅広く扱い、小さなものはメモリースティックから、大きな物だと写真集まで。
またジャンルも幅広くロリータやスカトロ、熟女を除くモノはたいがいそろっていた。
無論情報も取り扱っており、この学校の中には一大エロネットワークがで築かれていたのだった。
140: 誘導(ry 04/11/01 15:14 ID:IKd64ef.(3/8)調 AAS
「今度笹倉先生が個展を開くんだな。そこで公開される絵の題材とモデルが決まったんだな。題材はヌード。そして
刑部先生がその絵のモデルなんだな。」西本から発せられたその言葉によってざわめいていた教室は静寂に包まれた。
「マジ?」「うそ?」「キター!!」等の言葉がボソボソとやりくりされた後、歓声が響いた。
男子達のボルテージは急上昇し、誰しもが自分の脳内で妄想を繰り広げていた。
全裸の刑部先生が自分を呼んでいる・・・そしてその豊満な乳房に自分の顔を埋める。
「早く来て・・・。」その後はいわずもがな悶々と想像を膨らましていった。
ある物は教室から出て行く時内股になり、ある物は鼻の血管を突き破って血が大量に噴出した。
そして男子達は口を揃えて言った。「西本の情報は俺達を潤すぜ!!」
半ば暴動状態に陥っている男子達に向けて西本は静かに口を開きこう言った。
「静かにしてくんろ。ハミングバード、彼女の胸囲はどれくらいあるのかね?」
「ずばりDと推測されます。」
自信たっぷりに言い渡すハミングバードに周りの会員は唸った。
「ここに彼女のパーソナルデータがあります。奈良君、これを皆に配布して。」
しらさぎの情報収集能力はまさに完璧だった。生年月日、血液型、住所etc・・・
ただわかっていないのは趣味と3サイズ、あと播磨との関係程度しかなかった。
141: 誘導(ry 04/11/01 15:15 ID:IKd64ef.(4/8)調 AAS
「これより作戦行動を開始する。作戦暗号名は『ら号』刑部先生の暗号名は『マルタイ』。
この情報は今この場にいない者も含め全会員に通達。及び会員は通常業務に徹して欲しい。前回の『マルビ作戦』の
二の舞にはしたくない。会議は3日後の放課後、この教室で。以上、解散。」
西本のこの一言で会議は終了した。そして会員の一人がこうつぶやいた。
「これから忙しくなるな。」
その日の午後の授業はいきなり刑部先生の授業。男子達は黙々とノートを取り続けた。
その脳裏には官能的な唇、ふっくらとふくらんでいる胸、しなやかな肢体。男子は脳が半ばとろけていた。
その脳がとろけかけていた会員の1名はどうしようもなくある質問をしたくなった。しかし、自分がその質問を
するのはエロ会員である事をむざむざ女子に教えることになる。硬派で通してきた俺はそれだけは避けたい!
そう考えた彼は2列向こうの友達にその質問をさせる事にした。ルーズリーフに質問を書き、友人へと紙を投げた。
しかし、所詮紙。うまい具合にとんで行くはずもなく、隣の女子の頭に落ちた。
会員は必死で「何も見るな、隣に渡せ。」と女子にジェスチャーを送ったが、見るなと言われると見たくなるその心情、
中を見てしまった。紙には「いままでモデルしてたかどうか聞け。」と書かれていた。女子はこの一言を瞬時に理解し、
読み終わった紙を隣の男子に渡した。会員とその友人の思考回路を寸断するには十分すぎるショックだった。
なぜなら次の日からこの2人が女子の間で晒し者になるのは明白だったからである。
142: 誘導(ry 04/11/01 15:16 ID:IKd64ef.(5/8)調 AAS
その日の夕方、密命を受けたしらさぎは集音機を持って美術室の廊下にいた。西本からの命令は
「女同士でなにかやらかすとも限らない。盗聴の上、もしそういったシチュエーションになったら報告せよ。」
との事だった。しらさぎは「んな事あるわけないじゃん。」と思いつつも手持ちのノートパソコンで音声の収集をしていた。
とその時だった。気になる音声が彼の耳に飛び込んできた。
「ちょっと!何、人の胸揉んでるのよ、葉子!」
「ん〜、なにかイメージと違うんだよね・・・こうして、こう」
「もう、馬鹿・・・」
この会話を聞いてしらさぎは意識が飛んでしまった。飛ぶ前にしっかり音声をRECモードにして。
薄れゆく意識の中、しらさぎはこう考えていた。こんな会話を生で聞けるなんて・・・自分は幸せ者だ・・・。
翌日、食堂でしらさぎと一緒に昼食を食しながら2名の男子が女子の間で晒し者になっている事、そして昨日の美術室での
出来事を聞いていた西本の背後にカレーライスを持ってきた男が座った。カレーを持ってきた男の姿を確認すると西本は
カレーを持ってきた男にこう問いかけた。
「マルタイの棒ラーメンはどこにありますか?」
その問いに男はこう答えた。
「あなたがいつも座っているベンチがあるでしょう。そこに行けばきっとありますよ。」
「分かりました、教えてくれてありがとう。あなたがいつも使っている公衆電話の下にあなたへの感謝の印がありますよ。」
西本はベンチに行き、ベンチの下を覗き込んだ。そこには1枚の紙がはりつけてあった。その紙にはこう書かれていた
「ら号 1000開 1700閉 2週 矢美館ニテ」
普通の人間が見たら単なる落書きだと判断するだろうが、西本は違った。その文面を全て理解した。
143: 誘導(ry 04/11/01 15:16 ID:IKd64ef.(6/8)調 AAS
そしてその日の夜にその情報は会員達の間を駆け巡った。美術室での出来事、開催日の日程の事。
その日の夜は「ヨッシャー!!」という叫び声が街中にこだました。
最初の会議から3日たち、集結した全会員にこう言った。「突撃予定日は今週土曜日、各員時間を空けること。
場所は矢神美術館にて。入場開始時刻は1000時、閉館は1700時。入場料は1500円。高いかも知れんがその目で刑部先生の裸を
確認できるなら安い物だと判断する。以上!」
うおおお!教室を怒号が制した。しかし誰かが言った。
「所詮絵だぜ。」
「馬鹿だな、俺達には心眼があるだろ!」
そして土曜日、作戦の決行日。男達は開場5時間前から並んでいた。一刻も早く見たい。もはや男達はリビドーの固まりだった。
この5時間は生涯で最も長い5時間だろう。早く、早く開いてくれ・・・男達の中ではそれはまるで永遠とも思える時間だった。
「あと10分だ・・・」西本の一言で男達の目の色が変わった。「総員、戦闘準備にかかれ!突入準備!」「オゥ!!」
美術館の前に男達の雄叫びが響く。ドクン、ドクン、ドクン。心臓が飛び出しそうな勢いだ。
「それじゃ開場で〜す。」受付嬢の一言と同時に西本が叫んだ。
144: 誘導(ry 04/11/01 15:16 ID:IKd64ef.(7/8)調 AAS
「総員突入!!GO!!GO!!GO!!」男達は走った。全力疾走した。あの角を曲がれば、先生の裸が拝める。
「絃子さ〜ん」「待っててね〜」男達は口々に叫びながら走った。だが角を曲がった瞬間、立ち尽くす西本の姿があった。
「どうしたんだよ、にしも・・・」そういいかけて会員の一人は倒れた。到着した会員は皆同じようなリアクションをした。
ある者は泣きながらひざまずき、またある者は失神して医務室に運び込まれた。そこにあった物は
まるでピカソのようなキュビズム調で描かれた彼女だった。
失意のズンドコに落とされた彼らが美術館を出るのにそう時間は掛らなかった。会員Aに至っては他の人間の手助けがないと
歩けないレベルまで落ちていた。1500円もかけて、朝の5時から馬鹿みたいに並んで・・・彼らの頬を涙が伝っていった。
だが、西本の次の一言で男達は瞬時に回復した。
「裏流出のビデオを大量に入手したんだが・・・口直しに見ないか?」
「それは前回のマルビ作戦の時に押収された・・・?」
「ビデオの奪還に成功したんだな。見るか?」
「も ち ろ ん !」
145(1): 誘導(ry 04/11/01 15:19 ID:IKd64ef.(8/8)調 AAS
もう、なんか馬鹿丸出しみたいな勢いで書いてしまったこの話。
スレタイに補完ってなってたんで第5巻b14のお話を勝手に補完してしまいました。
ご笑覧いただけたら幸いです。すいません。
146: 04/11/01 15:56 ID:CJt7cejw(1)調 AAS
ひそひそ 「沢近はヤリマン」
ひそひそ 「天満はヤリマン」
147: 04/11/01 16:24 ID:CzKEHzRg(1)調 AAS
>>145
とりあえず>>1の避難所に行って「SSの書き方について話し合うスレ」を読もう。
きっとためになるはずです。
あと、・・・は…にした方が読み易いですよ。
148: 04/11/01 16:52 ID:zeKzlZo.(1)調 AAS
>113-118
やべ、鼻血出そうになった・・・・
149(1): Hot Coffee 1/3 04/11/01 19:28 ID:G9ARTp02(1/4)調 AAS
部屋に差し込む陽光と肌を刺す早朝の空気に目が覚めた。
「…うう…寝ちまってたのか」
机に突っ伏していたせいか体のアチコチが痛い、だが壁を突き破り一仕事成し遂げた今の俺にはその痛みすらも心地良い。
今回の原稿はコレまで書いてきた中で一番の自信作だと胸を張って言える。
一昨日までのスランプが嘘のように筆が進んだ。
…そう、スランプだ。
天満ちゃんに妹さんとの関係を誤解され、あまつさえ応援までされてしまったあの日から…
俺は漫画に情熱をぶつける事さえできなくなってしまっていた。
絵は描けた、天満ちゃんの顔なら例え目をつぶっていたって完璧に描くことができる自信がある。
だが、ストーリーが思い浮かばなくなってしまった…
コレまでは二条が俺と天満ちゃんの仲を妨げる唯一の障害であり、それを取り除くにはシンプルにぶちのめせば良かったんだが…
今の俺と天満ちゃんの間の最大の障害が…よりによって世話になっている妹さんだなんてな…
漫画とはいえ女を殴るわけにはいかないし、なにより妹さんには大いに世話になっている。
悪役をさせるなんて不義理をするわけにはいかねえ。
まあ…なんだ天満ちゃんの妹さんだから、ってこともあるしな。
そんなわけで、談講社の編集さんに出された読みきりの締め切り直前になってもまだ妹さんに相談することもできずに居たんだが…
土曜の放課後、妹さんの友達さんが変な気を使って俺と妹さんが一緒に帰ることになって、
一緒に歩いてるうちに言いづらかったはずの漫画のストーリーが浮かばないなんて泣き言をもらしちまってた。
「優しい娘だよな、妹さんは…」
俺みたいな不良の言うことでも真面目に聞いてくれるし、理解(わか)ってくれる。
メガネが入れ込んでるのも分からないでもないぜ、さすがは天満ちゃんの妹さんってとこか。
150(1): Hot Coffee 2/3 04/11/01 19:37 ID:G9ARTp02(2/4)調 AAS
俺の泣き言を聞いてくれた妹さんは、それだけじゃなくて解決策まで考え出してくれた。
妹さんの考えたストーリーを俺が描くっていう完璧な策だ。
妹さんのストーリーは不思議な印象のあるストーリーで、今まで俺が描いて来た漫画とはぜんぜん毛色が違ったんだが…
あらすじを聞いているうちに引き込まれて、気が付けば天満ちゃんの家を通り過ぎて俺と絃子のマンションの前まで来ちまってた。
申し訳ないとは思いつつも、今度はテスト中なわけでもないしまたアシスタントとして泊り込みで手伝ってもらうことになって…
ああ、ちなみに前回と同じ轍は踏んでねえぜ。
妹さんの着替えだとかを取りに行ったついでに「土日を利用して俺の家に泊まる」と天満ちゃんにもしっかりと断ってある。
天満ちゃんは顔を真っ赤にして妹さんに「頑張れ、八雲!」だとか言ってたが…
俺が漫画を描いてる事は他言無用と約束してある。
妹さんは約束を破るような娘じゃないから、漫画のことを言っているはずはないんだが…何を頑張るんだったんだろうな。
って、そうだ、妹さんだ。
妹さんはどこに行っちまったんだ?
まさか、俺が寝てる間に帰っちまったのか?
土日で終わらず学校があるってのに遅くまで付き合ってもらっちまって…会ったら礼を言わねえといけねえなあ。
………そうだ、まだ学校に行くには早い時間だし…シャワーくらいは浴びていかねえと天満ちゃんに嫌われちまうぜ。
ぼんやりとしていた意識をハッキリさせようと頭を振ると、肩にかかっていた何かが落ちた。
「俺の上着…妹さんが掛けてくれたのか」
ク〜〜〜ッ、料理は上手い上に気が利くし、まったくもって実に良く出来た娘さんだぜ。
上着をベットの上に放り投げ、部屋のドアを開けると、リビングから物音が聞こえてきた。
イトコのヤツ、帰ってきてるのか?
まったく、土曜の夜に一度帰ってきてすぐ出かけたっきり、丸一日以上連絡もよこさねえで…
どっかに泊まるなら泊まるって言っておけってんだ。
151(1): Hot Coffee 3/3 [sage 規制にひっかかりすぎ orz] 04/11/01 19:47 ID:G9ARTp02(3/4)調 AAS
一言言ってやろうとリビングに顔を突っ込むと…髪を後頭部で結えた妹さんがキッチンに立っていた。
俺の気配に気がついたのか、妹さんはこちらを振り向くと
「おはようございます、播磨さん。ちょうどコーヒーがはいったところですよ。えっと…飲みます、よね?」
などとエプロン姿で言ってくれた。
「お、おお、ありがたく頂くぜ」
帰ってなかったのか…妹さん。
なぜだろう、妹さんがまだ居てくれたことにどこか安堵している俺が居る…
妹さんと一緒にいると凄く安心できる俺が居る…
俺は…
まだシャッキリとしていないせいか変なことを考えてしまう頭で妹さんからコーヒーを受け取り、一つのソファに並んで座る。
ブラックのままで一口飲むと、昨日の夜入れてもらった時より俺好みのコーヒーだった。
カップから顔を上げ、横目で妹さんをみると、妹さんはもうエプロンもはずして髪を解いた姿で…マグカップを両手で持ち、冷ましながら飲んでいる。
そういえば、読みきりのラストでも女の子がこんな風にコーヒーを飲んでたっけか。
ああ、そうそう、この俺がそこまで引き込まれた話ってのはだな。
他人の心が読める女の子の話だ。
152(2): 04/11/01 19:56 ID:G9ARTp02(4/4)調 AAS
分校あぷろだのひでぱぱさんの絵をみて、居ても立っても居られずに勢いのみで書き上げてみました。
スクランものを書くのは初めてでして、書きやすいかも、と思って播磨の一人称にこだわって見たんですが…いまいち播磨らしくない…
しかも、書いている途中に試し描きさんのお子様ランブルネタが混入してしまいました。
お子様ランブル本編、すごく期待してます。
ひでぱぱさん、試し描きさん、こんなもの勝手に書いちゃいましたが、応援してます、これからも頑張ってください。
行が少し余ったのでついでに何処か(具体的には前スレのラスト辺り)から受信した電波を…
その頃の笹倉家
「絃子さん、幾ら絃子さんでも身体に毒ですよ〜?」
「うるさい…飲まなきゃやっていられないんだよ…」
「あ〜あ…今日は月曜日で学校があるって分かってますか?
私、そろそろ出ないといけないんですけど…」
「葉子まで…私を…グスッ…どうせ…私は…」
「わかりましたっ、今日は私も休みますから〜
まったく、播磨君とは一度じっくりと話し合わないと…」
へっぽこな絃子さんは書いてて楽しいですねえ(笑
153: 04/11/01 20:10 ID:eK17ILEg(1)調 AAS
>>149-152
お疲れさまです。折角リアルタイムで読んでたんで忌憚のない感想を。
>>150の
>妹さんの着替えだとかを取りに行ったついでに「土日を利用して俺の家に泊まる」と
>天満ちゃんにもしっかりと断ってある。
>天満ちゃんは顔を真っ赤にして妹さんに「頑張れ、八雲!」だとか言ってたが…
>俺が漫画を描いてる事は他言無用と約束してある。
>妹さんは約束を破るような娘じゃないから、漫画のことを言っているはずはないんだが…
>何を頑張るんだったんだろうな。
この辺のくだりがちと不自然かな?
前回(本編)では「刑部先生」宅に泊まって勉強してた、ってことで何とか
辛うじて信じてもらえたけど。公式に付き合っていることになっている八雲と
一緒に泊まるって言われたら天満でなくとも同種の反応を示す。
播磨がそれを不思議がるってのは、結局前回からの学習能力が無いと言ってるに
等しい。もちろんこれは作者が八雲を播磨と(再び)2人きりにさせたいことから
くる展開ですが。
>>151
>なぜだろう、妹さんがまだ居てくれたことにどこか安堵している俺が居る…
>妹さんと一緒にいると凄く安心できる俺が居る…
>俺は…
おにぎり派(お子様派?)としての作者の「挿評」(=メッセージ性)がよく出てますねw
二次創作の原動力をよ〜く感じる部分だと思います。本編じゃその辺なんか分からないし。
一番疑問だったのが最後
>ああ、そうそう、この俺がそこまで引き込まれた話ってのはだな。
>他人の心が読める女の子の話だ。
試し描き氏の漫画からのネタだから真面目に突っこむのは野暮というものでしょうが
自分の枷ともいうべき秘密は流石にバラさないですよね。モデルとか婉曲な形でも。
なにはともあれお疲れさんでした。
154: 04/11/01 20:34 ID:dwxsVE1c(3/3)調 AAS
>>152
GJ!
綺麗に纏まってて良いんじゃないでしょうか。
播磨の一人称も上手いと思います。
へっぽこな絃子さんは読んでるのも凄く楽しいですw
155(1): Birthday... Ganji Nishimoto 04/11/01 21:21 ID:2tXPlHJ6(2/3)調 AAS
その日、西本願司は憂鬱だった。
発端は、一通のメール。それは兄からのものだった。
『彼女が出来た。ビデオコレクションはもういいから』
衝撃は大きかった。
あの兄に。月一で送っていた願司コレクションを何よりも楽しみにしていた兄に。自分と同じで
女の子と一生、縁のなさそうだった兄に。
彼女が出来たというのだ。
翻って、自分は。
エロソムリエと呼ばれ、クラスの男子のほとんどの人望を集めている。一方で、女子との接点な
どほとんどないと言っていい。
そのことに疑問を抱いたことなどない。自分の幸せは、ビデオの中にあると信じていた。
だが一番、自分に近しい存在であった兄に恋人が出来たという事実が、彼を落ち込ませた。何だ
かんだ言っても、生身の少女に興味がないわけではないのだ。例えば、明日の誕生日を一緒に祝っ
てくれる彼女が欲しい、と思いもする。
ワスも、自分を見直すべきかもしれないっすね……
翌朝。顔をうつむかせながら歩く彼に話しかけてきたのは、吉田山を始めとする西本会議のメン
バーだった。
「よう、西本」
「……おお、皆ダスか」
「何だよ、落ち込んでるのか?ま、これを見れば元気出るだろうけどな」
言いながら吉田山が取り出したのは、一本のビデオだった。
「……何だすか?これ」
「フフッ、聞いて驚くなよ?あの阿豆樹もなかの新作ビデオだぜっ!!しかもまだ発売されてない
ものだっ!!」
「ネットオークションにかかってたんだよ。ちょっと高かったけれど、他でもない西本の誕生日だ
からな。いつものお礼ってことで、ま、受け取ってくれよ」
「お前ら……最高だすっ!!」
願司は、思う。
やっぱりワスは、恋愛よりも男の友情を優先させるダスっ、と。
その夜。兄からのメールに、願司は思わず笑ってしまった。
『フラレタ。コレクション頼む』
156: クズリ 04/11/01 21:49 ID:2tXPlHJ6(3/3)調 AAS
ということで、西本願司君、誕生日おめでとうございますm(_ _)m
……烏丸君も、究極超人あ〜るを彷彿とさせて好きなんですが……愛情が足りないように
見えましたか。精進します。
御指摘、どうもありがとうございましたm(_ _)m
157: 04/11/01 23:56 ID:CpKjSe5s(2/2)調 AAS
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
乙!一日で振られる西本兄ワロタ
158: 04/11/02 01:46 ID:S3YwFCbc(1)調 AAS
>>155
GJ!
中高生らしくて非常にほのぼのしてしまいました。
159: 04/11/02 03:15 ID:uj3N04l6(1)調 AAS
分校でも人気だしな。
160: 04/11/02 11:07 ID:ugyC4cpo(1)調 AAS
昼下がりの教室
屋上から戻った播磨は天満達の雑談を聞いていた。
「今時童貞が許されるのは小学生までよね〜」
「きゃはははは〜」
「愛理ちゃん駄目だよ播磨君に聞こえてるよ」
161: 04/11/02 11:26 ID:8pOve47I(1)調 AAS
>>131ウザいよ。
162: 04/11/02 11:59 ID:pAQxj4qA(1/3)調 AAS
>160
IDがまるで「うぎぃ」とエロ漫画の叫び声のよう。
163: 04/11/02 13:28 ID:pAQxj4qA(2/3)調 AAS
>95
ドラキュラの衣装でかぼちゃ頭とは、さながらジャックランタンみたい
ですね(w
グッジョブです。
164: THE CONVERSATION 04/11/02 14:27 ID:vuVsZKBg(1/8)調 AAS
笹倉邸
キンコ〜〜ン……ガチャ…
「え〜〜えっとさ… フロのカマがこわれて…」
ダダダダダダッ!!
イトコさーん!!?
玄関で葉子が叫んでいるが、とりあえず無視して階段を駆け上がる。方向は確かこっちであっているはず。
ガチャ……カラカラカラカラ
さて…と、機材はすべてトランクに入っていたはずだが……よし全てそろっているな。
アンテナをマンションの方角に向けて……電源を入れて…おっと、ヘッドホンをつけないとな。
周波数はと……確かメモに……あった。ゆっくりゆっくりチャンネルをあわせる。
……ザッザザーー……ガガッ…ピー…
クソッ、ノイズが酷いな
……ジ…ジジー……ああ、すまねぇ……さん…
ムッ、来たか?
……ジ…ここも頼むわ……
165: THE CONVERSATION 04/11/02 14:28 ID:vuVsZKBg(2/8)調 AAS
頼む?何を?
「い、絃子さん?」
「葉子、だまってて」
……あ…はい、ここですか……
な?……何をしているのだ……
……オウ、そこだ……流石に上手ぇな……ジ…ザ…ザザー……
く、またノイズが。天候が悪いからか?
そ…それにしても、な…何が「上手い」というのだ。
……ザザーーー…ガッ…ザー…ジジ…ジ………ザーー…
駄目か? まぁいい、しばらく時間を空けてみるか。
「あの〜、絃子さん? お風呂…沸きましたけど……」
「……」
「イトコさ〜ん」
「…いただこう」
166: THE CONVERSATION 04/11/02 14:32 ID:vuVsZKBg(3/8)調 AAS
―――――カポーン……―――――
ふう……さて、状況は…と。
む、雨か…厄介だな。
……ザザ…ジ……ゃ美味え!!こんな美味えパスタ食ったのは初めてだ…ガガ…ピー……
ぬお! 声がでかいぞ拳児君。……しまった、後半を聞き逃したか。
どうやら食事中だったようだな。……塚本君の手作りか……さぞや美味いことだろうな……
……ふん……どうせ私には作れないよ……。
ザーーーーーッ
雨が酷くなってきたな。ただでさえ電波状況が悪いと言うのに。
「絃子さーん! ビールでいいですかー? それともワインにします?」
「……ビール!」
……ピー……ジ…ジ……るとしたら……
167: THE CONVERSATION 04/11/02 14:36 ID:vuVsZKBg(4/8)調 AAS
む? 急に会話のトーンが下がったな。
……私……経験ないから……ジ……どうしたらいいのか…
!!!? な!? ま ま まさか!!?
……ジジ…男の人と女の人がつき…ジ…って…ザザーーッ……
!?!?!?!?!?
な…? なななななななななあーーーー!!??
―――――――思考停止中――――――――
「絃子さーん! 準備できましたよー!」
ドタドタドタドタドタッ!!
プシュッ……ゴキュ…ゴキュ…ゴキュ…プハーッ
「あ…あの、イトコさん?」
ダダダダダダダダッ!
―――――しばらくお待ちください―――――
168: THE CONVERSATION 04/11/02 14:41 ID:vuVsZKBg(5/8)調 AAS
ハッ!? 私はなにを?
と と とにかく落ち着け私。よく考えろ。
あの播磨拳児君だぞ??? 相手は塚本君は塚本君でも妹の塚本君だ。
うん。いくら拳児君でもそこまでロクデナシではない……はずだ。……うん、よし。
……ゴホン、では続きを……ん?
……ザザーーーーーーッ………
あれ? おかしいな……? 何も聴こえなくなったぞ。
故障か? まさか! 気付かれた? バカな!?
「絃子さーん! 絃子さんのマンションの方角、停電らしいですよー。大丈夫ですかー」
………………てい? ……ハ…ハハッ……っは〜…
な…なるほど停電か。……コンセントに仕掛けておいたのが仇になったか……。
ふむ、今度からは時計かラジカセにも仕掛けておくとしよう……って、なにをやっているんだ…私は……。
「絃子さん?」
「葉子!」
「は、はい?」
「飲むぞ、付き合いたまえ」
「はあ……?」
「返事は!」
「はいぃ!」
169: THE CONVERSATION 04/11/02 14:42 ID:vuVsZKBg(6/8)調 AAS
……まったく……よく考えれば何で私が取り乱さなくてはならないんだ……
預かっていた出来の悪いペットが女を連れて帰ってきただけの話ではないか。
そうだ、私がいちいち干渉することではない。
そうだとも、ワタシは…………。
…………
「イトコさーん、その辺にしたほうが……」
「なんだい葉子、もう終わりかい? この程度で根を上げるなんて」
「いえ……ほら、明日も仕事がありますし…そろそろ…」
「明日がなんだい。今日は今日しかないんだよ……。明日のことを今日考えるなんて……
……だいたい明日って言われてもどんな顔して……」
「絃子さん…? 酔ってます?」
「……」
「イトコさん?」
「……スゥー……スゥー……」
……フサァ……
「おやすみなさい。絃子さん」
(終わり)
170(2): THE CONVERSATION 04/11/02 14:48 ID:vuVsZKBg(7/8)調 AAS
初SSで初投稿です、皆さんはじめまして。
このスレに触発されて挑戦してみたのですが、やっぱりムズイです……。
もっと始まりと結末をうまく書けるようになりたい……今回はかなり中途半端になってしまったので。
さらによく見ると、擬音や三点リーダばかり…書き終えてから色々反省点が見えてきました。
一応避難所の講座を一通り読んだのですが、全てを生かすにはまだ力不足なので、今後の糧にするべく、
いろいろご感想をいただければ幸いです。
内容に関しては……まあ、あの日の幕裏でこんなことがあったら良いなぁ という脳内妄想を書き連ねてみました。
題名は、内容からそれらしい洋画タイトルを検索して適当に…あまりこういうセンスは良くないので…
改めて常連さんたちはすごいなぁと思い知りました。
171(1): 04/11/02 14:52 ID:z9435dWc(1)調 AAS
なんか一連の投下は誤爆じゃないかとも思われ。
しかもエロパロには対照的なSSが投下されてるし。
172: THE CONVERSATIONの人 04/11/02 15:07 ID:vuVsZKBg(8/8)調 AAS
>171
すみません。誤爆ではないです。エロパロってチェックしてなかったので…
ここではこのぐらいの描写はNGでしたか?
173: 04/11/02 15:24 ID:VUOYT5y2(1)調 AAS
いや、この程度ならこっちでいいと思うが・・・・・
逆にコレをエロパロに投稿されたら肩透かしって感じだな。
最近へっぽこ絃子さんが楽しくて仕方ないので、面白かったよ。
なんかオレの中で絃子=ヘッポコがデフォになりつつあるな。
ヤヴァイ傾向かもしれん。
174: 04/11/02 15:59 ID:OtJpsyyM(1)調 AAS
>>170
GJ!
かなり面白かったよ。
停電であの後のやりとりを聞けなかったのが残念だw。
さらに取り乱してただろうに。
こういう絃子さんは良いですね。次回作期待してます。
175: 04/11/02 16:02 ID:pAQxj4qA(3/3)調 AAS
あの漫画編でポテチを落とすわ茫然と播磨の言うことに従うわと
新たな一面を見せまくったからなぁ。
176: 04/11/02 17:17 ID:DdkDlgSU(1)調 AAS
>>170
GJ!
絃子さん萌えるな。
勢いもあって良かったと思います。
177: National Culture Day 04/11/03 06:19 ID:j67BUYyY(1/13)調 AAS
11月 3日
文化の日(National Culture Day)
1946(昭和21)年、平和と文化を重視した日本国憲法が公布されたことを記念して、
1948(昭和23)年公布・制定の祝日法で「自由と平和を愛し、文化をすすめる」国民の祝日に定められた。
戦前は、明治天皇の誕生日であることから、「明治節」という祝日だった
178: National Culture Day 04/11/03 06:21 ID:j67BUYyY(2/13)調 AAS
暇つぶしに持ってきた『毎日が記念日』という文庫本を読むと
なるほど、そういえば今日は文化の日だったな、と思い出す。
毎月の休日が楽しみの学生の頃とくらべ、休みの日が文字通り『休むだけ』の日の社会人と
なってからは、休日が何の日かまでは気にしなくなっていたらしい。そんな自分に、少々驚く。
……というか、そういえば来週末は文化祭ではないか? いやはやボケるにはまだ若いはずなんだが――
季節はすでに秋から冬へと衣替えに忙しらしく、ほんの少し前までは青々とした木々が夏の深緑から
秋の紅葉へと自身の色を変えていた。あと少し経てば。今度は寒くないのかと心配に思うほど自信の衣を
ひらりひらりと落としていくだろう。
あるいは、少し肌寒い11月にせめて少しでもと、我々に陽の光を当ててくれるために、自身が作る影を
減らしてくれているのかもしれない。
刑部絃子がいる場所は、都会よりも秋から冬の進み具合が速い、少々郊外にあるバス亭である。
何ゆえ彼女がこんな場所にいるかというと、休日を利用して高校時代の友人の家を尋ねたためであった。
自分と同い年のはずの彼女は、初々しかった新妻を経て、やはり初々しい母親へとなっていた。
娘を見に来て欲しいといわれたときは、半分冗談かと思ったほどだが、一緒に送られた幸せそうな笑みと
おそらく、彼女の幸せが具現化された小さな命が、彼女の腕の中で気持ち良さそうに眠っている写真を見れば
信じざる得ない。それに、旧友からのお誘いで、祝い事があるならば断る理由もない。
179: National Culture Day 04/11/03 06:23 ID:j67BUYyY(3/13)調 AAS
とりあえず、手土産に赤ちゃん用品を持って出かけたのが午前10時、電車とバスを乗り継いで、
家へとたどり着いたのがちょうど太陽が南に昇りきったころだった。
友人との久しぶりの邂逅は、概ね良好だった。ただ、自分の旦那への愚痴と、子育ての大変さを熱く
語られるても、やれやれといった感じである。話してるほうはどうか知らないが、聞いているほうは
壮大な『のろけ話』でしかないわけで、聞いているうちにお腹がいっぱいになってしまう。とはいえ、
不快という感覚は毛ほどもなかったわけではあるのだが。
さて、友人との談話も終わり、夕日が傾くまえに家に着きたいと思っていた絃子は、まだ帰したくない
と言って、せがむ友人をなんとか振りほどき、家から徒歩で20分ほどのバス亭で、時刻表を見ながら
のんびりと文庫本を読んでいたわけである。
ちなみに、彼女が文庫本を読み出してから、駅前行きのバスはすでに3本ほど発車しており、今しがた
4本目のバスの運転手に、自分は乗らないと伝えたばかりである。
まあ、理由としてはありきたりだが、刑部絃子とあろうものがお金が足りなくなってしまったのだ。
確かにどの駅で降りるかとと、どのバスに乗りどこで降りるかは聞いていたが、その料金を聞かなかったのが
彼女の痛恨の一撃だった。まさか、バスの料金だけで四桁いくとはさすがの絃子様も予想だにしていなかった。
それにしても、最大の失敗はご丁寧に電車の切符は往復で買ってしまっていたことだ。駅からなら、
まだどうとでもなったものを。往復切符で特急券を買わなければ、帰りのバス代は払えた計算である。
まあ、今更悔やんでも換金所は遠く離れた場所にあり、そこに行くには切符を換金したお金がいるという
パラドクス。自分自身の力ではどうしょうもないので、絃子はあまり頼りたくはないが、同じ職場で同僚の、
自称カワイイ後輩にメールにて向かいに来てくれるよう頼んだのである。待ち合わせ場所は、分かりやすいように
ここのバス亭にした。
180: National Culture Day 04/11/03 06:24 ID:j67BUYyY(4/13)調 AAS
メールを送ってから43分、返信がきてから40分、彼女の家からなら高速を使わなくてもあと30分ほど
でここにたどり着くだろう。
文庫本のページをぱらぱらと捲り、今日が文化の日ということを思い出したのは、そんな時間を持て余した
時だった。
文化の日…ねぇ
となれば、思い出すのは高校時代の文化祭。そして一番ハシャイでだ二年生のとき、個人ではライブを演ったが
クラスでは演劇をした。白雪姫とシンデレラと眠れる森の美女を足して3をかけたような演劇をした記憶がある。
そして、その演劇に自分も主演として、なぜかクラスどころか学年すら違う後輩も主演として出演していた。
言わなくても十分に想像は難くなく、自分はお姫様を助ける王子役で、彼女は助けられ、幸せにされるお姫様。
たしか二人の主演という事で、かなりの観客が集まり、結果としてその年のグランプリになった。そして、男性姿の
自分の写真も飛ぶように売れ、あまつさえ○○年度のミスターコンテストで特別賞を受賞などしてしまった。
あまり思い出したくもなく、また話されたくもない話題であった。やはり、自分の学生時代の思い出などは
コンクリートに固めてどこぞの湾に捨てたほうがいい気がする。まあ、それでも色々と思い出してくる自分の
少々出来のいい頭がうれしいやら悲しいやら。
そして、ある情景が一つ思い浮かんできた……あれは、たしか衣装の仮縫いができた時である。お姫様の
ドレスは、『お姫様!』というイメージそのままを服にしたようなデザインだった。そしてさらに、それを着た
後輩は、彼女自身の風貌、雰囲気のせいもあって、まさに完全無欠のお姫様へと変身した。
一方、自分はえらく男前になっていた。周りからは「カッコいいー」だの「抱いてー」だの、およそ同姓に
言われてもたいして貫禄を受けない黄色い声の雨あられ。まあ、自分でも驚くほど似合っていたので、悪い気は
しなかったが、だからといって嬉しいと感じるのは少し違うだろう、いろいろと、主に女の子として。
181: National Culture Day 04/11/03 06:25 ID:j67BUYyY(5/13)調 AAS
まあ、それでれ別段イヤというわけでもなく練習は頑張ったし、若さというか、まさに青い春というか、
それなりにノリノリになっていったのだから、概ね問題は起きなかった。
ただ、そこらへんについて鮮明に思い出として残っていることが二つほどある。
一つは、何度も後輩が『本当にお姫様役を自分でやっていいのか』と聞いてきたことである。こいつは、
自分から他のクラスに遊びに来ておいて、よくぞまあそんなことを、と思ったが。おそらくは、彼女にも
常識とか、それに類似したものが多少はあったのだろう、ということで納得した。
納得はしたのに、イヤに覚えているのが本気で彼女が自分に何度も尋ねて来たからである。それも珍しく
真摯な表情で。
もう一つ、何の気まぐれか、ふと更衣室にポツンと置いてあった、お姫様役の衣装を手に取った。恐ろしく
ふわふわとしたその衣装を、少し自分の体とあわせてみた。そして、鏡の前に立つ。
……驚くほどサイズがあってない。たしか、この衣装はそんなに小さいわけではなく、一般的な女子高生
の身長に合うはずである。しかし、自分の手足や肩幅は、ものの見事に衣装からはみ出している。つまり
自分は『女の子』の着る服が着れないし、来てもおそらく似合わない。分かっていても、ため息が出てしまった。
そして目測ではあるが、多分これを着たらサイズが大きくて余ってしまう部分がありそうである。
腰から下と、両腕の間にあるのふくらみは、自分の持ち物では、おそらく悲しい空洞ができてしまうだろう。
新たなる追い討ちに、なんとなくため息が出るものの、将来に期待することで自分をなぐさめた。
思い出とは、つくづく思い出したくないものばかりを思い出してしまうものである。そして、その例に漏れず
勝手に不機嫌になった絃子は、後輩へと八つ当たりのメールを送った。
182: National Culture Day 04/11/03 06:26 ID:j67BUYyY(6/13)調 AAS
Title まだ?
本文:速く来い、こっちは高校時代の文化祭の思い出を思い出して、機嫌が悪い。
よって可及的速やかにやって来ること
Title re:まだ?
本文:予想だと、おそらくもう少しのはずです。
それと、文化祭の思い出って、私がお姫様で、絃子さんが王子様役をしたやつですか?
アハハハ、すいません、私がお姫様役をやっちゃって。ホントは絃子さんがお姫様をやりたかったのに。
……彼女からの返信は、色々と予想外であった。まず『予想では』?『はずです』?
そして、さらに言うならば、その後の内容はどういう意味だ? 自分がお姫様役をやりたかった?
あれだろうか、天然ボケだとは常々思っていたが、ついに天然が取れてボケてしまったのだろうか。
183: National Culture Day 04/11/03 06:37 ID:j67BUYyY(7/13)調 AAS
Titl 何を言ってるのかよく分からんぞ
本文:予想とか、はずとかどういう意味だ。それに、別にわたしはお姫様役をやりたかったワケではない
Title re:何を言ってるのかよく分からんぞ
本文:まあ、気にしないでください。とにかくもうすぐですから。
あれー? 私はずっと絃子さんはお姫様を演りたいと思ってると思ってましたよ
だから、私がしちゃっていいのかなー? と
私がお姫様役? しかもやりたかった?
彼女自身も鼻で笑ってしまうようなことである。やれやれ、とそのことを完膚なまでに否定する文章を
入力する。しばらくして間断なく動く指の動きがピタリと止まった。
そういえば……彼女の主演が決まる前までは、確か自分がお姫様役候補だった。まあ、自分で言ったら自慢
で嫌味にしかならないが、クラスの投票でブッチギリの一位票で当選したところまでは覚えている。
そして、彼女が来てからは、あれよあれよと話しが進み、気が付いたらも自分は、もととはまったく逆の役柄で
ある、剣を振りかざし、眠っているお姫様のもとへとはせ参じる王子さま役。
……なんだかさらに思い出してきた、いや、思い出してきてしまったと言うべきか。お姫様役が
半場決まったときに家で、恥ずかしさと、それに比例するかのように、なんとも言えない高揚感を感じた。
それをごまかす為に、布団でぐるぐる丸くなったり、ギターを弾いたりしていた気がする。
……思い出したくなかった、甘酸っぱい青春の一ページというヤツである。その当時の自分の若さに
恥ずかしさと、わずかだが残っていた「女の子」の部分に軽い憧憬と哀愁をが入り混じった、複雑な心境になる。
返信のメールの大部分を削除し、簡潔な内容を送った。別に、どうしてもやりたかったわけじゃない、と
184(1): National Culture Day 04/11/03 06:38 ID:j67BUYyY(8/13)調 AAS
ふう、とため息を出すと、呼応するかのように木枯らしが吹き抜けた。もはや空は夕陽で視界を朱色に染め
はじめ、一刻ごとに夜の闇が気温と共に体温を連れ去りっていく。歩くから、と薄着してたのが災いして、
少々肌寒い。そろそろ本気で向かえの車が来て欲しくなった
腰のポケットから、振動が伝わる。それが待ちわびている後輩からのメールの到着を教えてくれた。
Titl またまた
本文:女の子は、いつだって自分がお姫様で、白馬に乗った王子様がやってくるのを夢見るんですよ。
それは、絃子さんだって同じハズですよ☆
はいはい分かったから、白馬に乗った王子様よりも暖房の効いてる車を速くもってこい、というメールを打つ。
そして、右手が送信ボタンに手がかかった時だった。聞き覚えのあるエンジン音と、やはり聞き覚えのありすぎる
声が聞こえたのは。
「やっと見つけたぞコンチクショーがっ!」
いきなりやって来た、自分のマンションに寄生している居候の従姉が、偉そうにバイクから自分を見ながら
そう叫んだ。あまりの突然の人物と出来事に、目を点にしてしまう絃子。
……なぜ、コイツがこんな所にいる?
185: National Culture Day 04/11/03 06:39 ID:j67BUYyY(9/13)調 AAS
当然の疑問であるこの質問を居候に投げかけたところ、なんともトンチンカンな返答だった。
なんでも、彼の携帯電話にこんなメールが来たとのことである。
Titl ピンチだって〜
本文:絃子さんが、××市の○○っていうバス停留所で、キミを待っている!
速く来ないとお仕置きだそうだよ、さびしがってるからはやく迎えに行ってあげてね〜♪
勢いあまって、人の携帯を地面に投げつけて、鉄とプラスチックとその他諸々のゴミにしてしまうところだった。
まあ、なんとかそんな最悪の事態は免れたが、携帯電話の持ち主は、わずかだがミシリと言って自分の携帯が
破壊されそうだったのを見逃さなかったりする。
己の中の葛藤を、無理やり封じ込めて、それでも這い出て来そうなのを上から踏みつけることで、ようやく
絃子は冷静な判断を下した。ここで怒っても仕方がないし、なによりいつまでもここにいるわけにはいかない。
とっとと家に帰ってお風呂に入って、温かいご飯を食べて、暖かいお布団で眠ろうじゃないか。
一方、迎えに来て感謝されるはずである播磨は、まあ、言いたいことも色々あったのだが、賢明にも
というか、あまりにも絃子の発するオーラにビビって、小さな声でグチグチ言うだけであった。
186: National Culture Day 04/11/03 06:42 ID:j67BUYyY(10/13)調 AAS
「……ったく、速く乗れよ」
そして、いざ乗らんとした時に絃子はクシャミをひとつ。寒い。そして、この格好でこの気温の中バイクに
乗ったら恐ろしく寒いのではないか? というか、間違いなく冷たい風で凍えてしまう。そこで、解決策として、
運転手が着ている暖かそうなジャケットを説得という名の脅迫と、説明の皮をかぶった理不尽な理論を
駆使して強奪、もとい謙譲してもらうことにした。
しかし、珍しいかな、絃子の作戦は失敗した。しかし、ジャケットは得ることが出来た。
「ホレ、これ着ろよ」
いきなり彼が自分のジャケットを、投げ渡したのだ。いかに彼から衣服を剥ぎ取ろうか算段していた絃子
としては、これはなかなかのカウンターパンチだった。
「……なんだよ、いらねえなら俺が着ていくぞ」
珍しいじゃないか、君にしては、という意味の文章を+300%の嫌味と、気づかれない程度の感謝の気持ちを
込めて、彼の人に投げかけると
「あのな、俺だって寒そうにクシャミされたら、たとえそれが絃子だろうともこれぐらいはする!」
つーか、お前と違っておれは冷血じゃんねえ、というその後の部不相応の発言と『絃子だろうと』の部分に
かなり腹を立てるが、とにもかくにも播磨のジャケットを着ることに成功した。さすがにさっきまで彼が
着ていただけあって、なかなかぬくい。その、大きなサイズのせいか、包み込まれるように感じるジャケット
暖かさのせいだろうか、絃子は上手く反撃が出来ない。仕方がなく、アリガトウとだけ言うと、黙って播磨の
後ろの座席へと座った。
187: National Culture Day 04/11/03 06:44 ID:j67BUYyY(11/13)調 AAS
「あ〜クソ寒ぃ、ったく俺がこんな目に…ほんじゃあ行くぞ」
バイクが轟音を立てて疾り出した。播磨の体に晩秋の冷たい風が叩きつけられているのだろう、
本当に寒そうである。まあ、自分のせいだということは間違いないので、仕方がなく、ほんの少しだけ
体を密着させて、両腕で播磨の体をしっかりと抱いてやった。
一瞬、播磨はピクリと反応をしたが別段なにも言わず、相変わらず無茶な運転で、自分のバイクを操り夜の道路を
走らせていく。絃子は体と気持ちを、変な意味ではなくて、それなりに安心できる運転という意味としてだな、
と自分に言ってから、その背中に預けた。そして、そのうち顔を背中にうずめた。本人曰く、寒いから。
道の途中で、駅からの特急券があること思い出す。しばしの思案、数秒の後、絃子はポケットからクシャクシャに
した長方形の厚紙を夜の闇へと投げ捨てた、風が吹いたと思ったら、すでにそれは見えなくなっていた。
突然メールの着信を告げる振動がやってきた、器用にバイクの後ろで内容を見る。
Titl どうですか〜
本文:颯爽とあらわれた、優しい王子様に助けられるお姫様の気分は?
携帯を仕舞い込み、チラリと自分の体を預けている人物に視線を向ける。
後輩が言うところの、颯爽とあらわれて、優しい王子様である
コレが王子様、ねえ…
188: National Culture Day 04/11/03 06:50 ID:j67BUYyY(12/13)調 AAS
ちょうど信号で停止する。視線に気づいた播磨が、後ろを向いて、何だよ? と言う。
絃子は、別に、と言ってプイっと横を向く。
眼前の信号は青へと変わり、再びバイクが走り出す。
王子様にしてはヒゲにグラサンで、顔も納得できないし、言葉遣いも悪すぎる
乗ってきたのは白馬どころか、自分があげた中古の単車
というか、助けに来たんじゃなくて、ただ単に迎えに来ただけじゃないのか?
優しさは……それなりにあるようなので、なんとか許せるといったところ
総合評価としては……まあ、激甘の採点でギリギリ、本当にギリギリで及第点にしてやろう
そう播磨を評価すると、自分の顔をポスっと播磨の、いつの間にか自分よりも大きくなっている背中に埋める。
さらに絃子はもう少しだけ、体を密着させる。そうそう、夜風が寒いから。
再び考える
コレが王子様ということに、心の底から納得はいかない、納得はいかないが――
珍しく、邪悪な意思のない笑みを浮かべて、そして小さな声で呟いた。
「まあ、たまにはお姫様というのも………悪くないかな」
目をつぶって、出来損ないで欠陥品の『王子様』に体を任せ、身を預ける。
二人が乗ったバイクは、もうすぐ二人で住んでいるマンションへと着こうとしていた。
fin
189(1): 犬@リハビリ中 04/11/03 06:51 ID:j67BUYyY(13/13)調 AAS
クズリさんが誕生日ネタでくるなら、自分は祭日ネタで投下
次はきっと勤労感謝の日に、播磨に奉公(奉仕?)させる絃子さんの話を書いたりする予定です
まあ、上は冗談ですが、いろいろなジャンルの作品を書いて勘を取り戻したいです、ハイ。
リハビリがてら、絃子さんの台詞は最後だけ、と自分ルールでやってみる
しかし、上手くいったんだかいかないんだか分からない。 _| ̄|○
超姉万歳、というところでまた次回作で
正直あるかどうかは分からないんですが
190: 04/11/03 11:16 ID:g9nzsCbw(1)調 AAS
GJ!
(゚д゚)ウマー
なんか可愛いなあ絃子さんが。
楽しく読ませて頂きました。次回作待ってます。
鯖が激重でなかなか書き込めないよ。(つд`)
191: 04/11/03 12:02 ID:h0Bqa8vE(1)調 AAS
>>189
グッジョブ!
雰囲気あるなぁ
葉子さんの播磨へのメールにワロタ
どんなノリなんだこの人はw
絃子さんの描写も良かったよ。こういう超姉もイイ!
192: 04/11/03 15:48 ID:uxVDjyds(1)調 AAS
久々の本格派、堪能させてもらいました。
いや、マジで上手いっス。
193(1): 04/11/03 16:20 ID:ARYIwzt6(1/2)調 AAS
11/24はSSが投稿されるようになって一周年記念ということで、
何か書いておきたいなぁ。
194(1): 04/11/03 16:46 ID:nVzlxwVg(1/2)調 AAS
もう一年か…某キャラ萌えスレをのっとって始まったんだっけか。
あの頃は友人とわきゃわきゃいいながら本スレ・SSスレ・分校見てたな。
195: [age] 04/11/03 17:26 ID:RHs0PJPs(1)調 AAS
ヒゲへ
プロの漫画家になりたければ裸婦デッサンをしなさい
沢近より
196: 04/11/03 17:34 ID:ARYIwzt6(2/2)調 AAS
>194
いや、実を言うとそうではない。最初は半角二次元板のハァハァスレで
書かれたのが最初。書いた俺が言うのだから間違いない(w
197: 04/11/03 17:39 ID:2zRe8dGk(1)調 AAS
どちらにせよ194とその友人はキモイ
198: 04/11/03 18:15 ID:1lvvzbVY(1)調 AA×
![](/aas/entrance2_1099026765_198_EFEFEF_000000_240.gif)
199: 04/11/03 18:20 ID:PskWhEt6(1)調 AAS
>>193
そこで回帰して旗ですよ。
200: 04/11/03 18:32 ID:w4kAOSnA(1)調 AA×
>>194
![](/aas/entrance2_1099026765_200_EFEFEF_000000_240.gif)
201: 04/11/03 20:27 ID:nVzlxwVg(2/2)調 AAS
( ゚∀゚)ウヒョー
202: 04/11/03 23:36 ID:.qdEU0zo(1)調 AAS
>>184のとこ、絃子から見て播磨は従弟ですよね?
203(1): 04/11/04 00:30 ID:WsjzX8Gk(1/9)調 AAS
SSを作ってみました。長いので分割させて投下します
204: 04/11/04 00:35 ID:WsjzX8Gk(2/9)調 AAS
保健室の前でサングラスと髭を蓄えた長身の男がウロウロしている。
男の名前は播磨拳児、失神高校史上で最強最悪の不良であり回りの生徒
からは恐怖と畏怖の念を持って恐れられている。
「入るべきか、入らずべきか・・・天満ちゃん」
極悪な不良とは思えない情けないことを口にする。心配で心配でオロオ
ロする。体調を崩して保健室に運ばれていった天満の様子を見に来たのだ
が、入り口の前で躊躇してしまって入ることができない。不良の溜まり場
に殴り込みに行くより、こっちの方がずっと怖い。
深く深く溜息をつく、手が震えて戸を開ける事ができない
「くそ・・・天満ちゃんの様子がみてぇ・・・だが、しかし・・・」
腕を組みあれこれ悩んでいた播磨の視界が突然消える。目の前が真っ暗に
なる自らの現状を表すようだった。
「ハーリーオー、何してるの?」
聞きなれた女性の声がする、声の主は最近学校に編入されてきた保険医の
お姉さんだ。播磨とは少なからず縁があり親しい関係だった。
彼女は保健室の前でウロウロしている播磨の姿を見つけて後ろから抱き着
いてきたのだった。手で目を覆い隠したのはちょっとした悪気の無いスキン
シップなのだが、播磨にはそうは思えなかった。
「だ・・抱きつかんでください!姉ヶ崎先生!」
振り払うわけにもいかず、播磨は姉ヶ崎が自分から離れるまで待った。
姉ヶ崎は「冗談冗談」と言って播磨から離れる。正直、播磨にとってこの女性は
心臓に悪かった。
205: 04/11/04 00:39 ID:WsjzX8Gk(3/9)調 AAS
姉ヶ崎に手を引かれて保健室に入る。無邪気なスキンシップなのだが、いらぬ
誤解を着せられるので止めて欲しかった。姉ヶ崎は自分のデスクに腰掛け、播磨
にも座るように促す。
「ちょっと待っててね、お茶出すから。紅茶でいいよね?」
紅茶の匂いが鼻腔をくすぐる。鼻から吸収した紅茶の香りは播磨の脳を刺激し
てリラックスさせる成分を分泌させる。お茶は味だけではなく香りを楽しむ、
播磨は茶の心を知っていた。
茶を飲み少し談笑をする、今の播磨には心の平静さが必要だった。心を落ち着か
せるためにゆっくり茶を口にする。
「ところでハリオ。何しにここに来たの?まさか・・・」
姉ヶ崎は「サボるために来たんじゃないでしょうね?」と口にしようとしたが
言う前に播磨に「違います!」と、真剣な剣幕で遮る。
「自分は塚本さんの様子を見に来たのです!」
言ってしまった、播磨は己の言動に後悔した「俺は天満ちゃんが好きです!」
と宣言したようなものだった。
姉ヶ崎は表情を曇らせて播磨に告げる。
「塚本さんね。さっきまでここで寝てたけど、さっき病院に行くって言って出て
いっちゃったわ。ちょっと前のことよ」
ガタっと椅子を倒して播磨が立ちあがる。出口に向って一目散に走り出す。
「ちょ、ちょっと、ハリオ!どこ行くの?」
礼を言って保健室を出る。確か天満の家と病院は通り道にあるから、どっち
行っても道は一緒だから、会えるかなり確率は高い。
愛車を取りに駐車場に向う。急げば会えるかもしれない。いや、会わなくては
ならない。このまま会えずじまいだと心労で倒れるかもしれない、播磨は真剣に
そう思っていた。
206: 04/11/04 00:42 ID:WsjzX8Gk(4/9)調 AAS
「拳児君、どこに行く気かね?」
バイク専用の駐車場の前に刑部絃子がいた。播磨は色々と文句を言いたい人物
だったが今はそんな事を言う暇は無い。1分1秒が惜しい。絃子を素通りして愛
車のバイクに向う。
「イトコ・・・止めてくれるな。俺には行くべき場所がある」
絃子は首を横に振って「違う、別に止めにきたわけでない」と言う。播磨を止めに
きたわけではなさい、この従弟に渡すものがある。
「ほら、ノーヘルじゃマズイだろ?」
絃子はどこから持ってきたかは知らないが、ヘルメットを差し出してきた。無言
でヘルメットを受け取る。播磨はヘルメットを持っていなかった。
「すまねぇ・・・恩にきるぜ。イトコ」
「さんをつけんか、さんを・・」
絃子が窘める間も無く、播磨を乗せたバイクは疾風の如く去っていった。何故か絃子
は播磨の行く先を問わなかった。
「無事に会えるといいな。拳児君、ただ次の授業までには帰って来いよ」
絃子は天満が保健室に入っていくのをたまたま見かけていた。彼女に恋をしている播
磨が様子を見に来ないわけがない。播磨が保健室を飛び出したと姉ヶ崎から連絡を受けて
播磨の行動を予測して先回りをしていたのだった。
「これで姉妹揃って欠席か。やっぱり帰ってこないかもな」
絃子は深く嘆息をした。播磨は欠席が多い、留年しなければいいのだが
207: 04/11/04 00:46 ID:WsjzX8Gk(5/9)調 AAS
運転しながら考える。天満を追いかけるのはいい、だが何と声をかけたらいい?何を
してあげればいい?考えても考えても答えは出てこない。ただただ、天満が心配だった。
(ウダウダ考えても仕方ねぇことかもしれねぇな・・とにかくまずは追いつく!)
街の景色がドンドン流れていく、天満の通学経路は知っている、そこを辿っていれば
必ず会える。かなりのスピードを出しているが天満だけは見逃すまいと。猛禽類が狩りを
するが如く、播磨は視覚を研ぎ澄ませる。
「見つけた・・・・塚本!」
目標の姿を捕らえる。天満は電柱に手をかけて俯いていた、肩で息をしていて立ってい
るのも辛そうだった。播磨は路上にバイクを駐車させて天満に駆け寄る、あまりの悲壮感に
胸が張り裂けそうな思いだったが、自分のやるべきことはすぐに分かった「天満ちゃんを病
院に連れていく」こと、目的を作ってくれたことだけはありがたかった。
「は、播磨君。どうしたの?」
天満は播磨の姿を見て驚きの声をあげる、今はまだ昼休みの時間。だからこそ播磨がこん
な所に来るとは夢にも思っていなかった。
「乗りな・・・病院まで連れていってやるから」
ぶっきらぼうに言う。必死に頭の中を絞りだして出てきた言葉は気が利いてない不器用な
言葉だった、何事も頭の中で描いてるようにはいかない。播磨の考えではもっと綺麗な言葉
を吐けたはずなのに
「でも・・・播磨君、学校は・・・」
播磨は、天満が言い終える前に絃子がくれたヘルメットを天満に無理矢理被せる、呆然
とする天満を抱えてバイクに向う。天満に主導権は与えない。播磨は天満に心で詫びる、
不器用な俺を許してくれと
208: 04/11/04 00:48 ID:WsjzX8Gk(6/9)調 AAS
「フラフラの女の子を一人で家に帰すわけにはいかねぇだろ。心配すんな。お前を運んだら
すぐに戻るからよ」
天満を後部座席に座らせて自分も運転席に飛び乗る。天満は何も言わなかった。播磨の好
意に甘えることにしたのか、播磨の背にしがみついてきた。こんな自分を信じてくれた天満
に播磨は感謝の念を抱かずにはいられなかった。
「ゴメンね。病院に行く前に家に行かないと・・・」
播磨は天満を後ろに乗せてツーリングがしたかった。だが、こんな状況でそれが適ってし
まうとは皮肉なものだ。自嘲的に笑う
(俺はこんなシチュを望んでないわけじゃなかった。だが、やっぱり元気な天満ちゃんが一
番だぜ・・・弱ってる君は見たくない)
「播磨君・・どうしたの?」
天満の言葉が物思いに耽っていた播磨を現実に引き戻す。
「おお!わりぃ、わりぃ!出発するからしっかり掴まってな」
播磨はゆっくりバイクを流す、普段は絶対に守らない法定速度をちゃんと守り、無理な
走行もしない。教習所で習った模範的な運転をする。今、自分の背にいるのは宝石よりも
どんな大金よりも大切な女性を乗せているのだから、慎重かつ丁寧な運転が必要だ。
209: 04/11/04 00:51 ID:WsjzX8Gk(7/9)調 AAS
運転中に播磨は天満から色々なことを聞いた。今朝から体調があまり良くなかった、保健
室で休んで一次的に体調は回復したが帰り道で急激に悪くなっていったこと、播磨が来てく
れて嬉しかったこと、最後のは播磨にとって、とても嬉しい言葉だった。
「播磨君って私の家どこか知ってたっけ?」
背中越しから天満が声をかけてくる。天魔の記憶によると播磨は塚本家に来たことは無い
はずだった。だが、天満のナビゲート無しで家に向っている、ちょっと不思議だった。痛い
所を付かれて播磨は焦る。天満を上手く誤魔化すための言い訳を考える
「前にここらをフラフラしてた時、お前の家をたまたま見つけたんだよ」
播磨は苦し紛れの嘘をついた。たまたまではない、高校入試の際に血眼になって探した末に
ようやく見つけたとはとても言えない。それを聞いて天満はクスクスと笑う
「嘘ばっか・・・播磨君は八雲の彼氏だもんね。知らないわけないよね」
「あのな塚本、妹さんとはなぁ・・・」
天満は相変わらず勘違いしている。確かに八雲は播磨の家に泊まったこともある、今
も世話にもなっている、播磨が誤解を解くための言葉を選んでいる時に、無常にも塚本
家の前に着いてしまった
210: 04/11/04 00:57 ID:WsjzX8Gk(8/9)調 AAS
「あっ、着いたんだ・・・ありがとう。播磨君」
礼を言って天満はバイクから降りる。フラフラとした不安定な足取りで自宅に戻る。
バイクに乗っている間にも病は進行して体調はより酷くなっているようだった。そんな
天満を見て播磨は己の無力感を痛感していた。ズボンのポケットから独特の振動があ
ったのに気づくのに少し時間を要した
「ん・・・こんな時にメールかよ。誰からだ?」
ポケットから携帯を取り出して内容を確認する。登録してないアドレスだったが相手
はすぐに分かった、いつも八雲と一緒にいる金髪の娘しかいない。播磨と関わりのある
下級生の女子など八雲と彼女しかいないのだから
題名:八雲が・・・
本文:多分知ってると思いますけど、八雲が風邪で学校を休んじゃいました。
後でちゃんとお見舞いに行って下さいね。
携帯を閉じてポケットにしまう。新たな目的ができて、播磨の身に力が入る。まだやる
べきことがある。
「ちっ・・・このまま学校に戻るわけには行かなくなっちまったぜ!」
急な事態に舌打ちする。妹の八雲まで倒れてしまっている以上、自分が天満を連れて
いくしかない。例え嫌がっても連れていくと覚悟を決める。
「妹さんがいなかったトコで気がつくべきだった・・・」
播磨は天満に会うことのみで頭がいっぱいで肝心なことを失念していた。何故、妹の八雲
が天満の付き添いでいなかったのかを、己の愚鈍さを呪わずにはいられなかった。
211: 04/11/04 00:59 ID:WsjzX8Gk(9/9)調 AAS
この板重過ぎますね。続きは早い内に
212: 04/11/04 01:23 ID:b0B7OBL2(1)調 AAS
王道?播磨カコイイ!
期待支援
213: 04/11/04 02:03 ID:239o2ozc(1)調 AAS
姉妹どんぶり上げ。
214: 闇夜 ◆PMny/ec3PM 04/11/04 02:34 ID:0yEKhHZU(1)調 AAS
乙。
失神高校ワロタw
215: 04/11/04 02:36 ID:K7HiWp2A(1)調 AAS
今は軽いぞぅ。
216: 通りすがった麻生サラ好き 04/11/04 12:39 ID:SDB9OAw.(1)調 AAS
ちょっと文章が説明的ですね。
後、『・・・』ではなく、『…』にした方が良いと思われます。
ちなみに、「てん」と打って変換で出ます。
後、単体で使うよりもふたつ繋げた方が若干、見やすい……かどうかは人に
よりますので一概には言えませんが、大抵の小説やSSでは
『〜…〜』より『〜……〜』を多用している事は間違いないと思います。
最後に、「入らずべきか」というのは、播磨が不良(=若干、学力が足りない)だと
いう事を差し引き、敢えてこういう文にしたのでしょうか?
普通は「入らざるべきか」だと思いましたので。
では、続きをお待ちしています。
217(1): 04/11/04 15:18 ID:VdsAnPcI(1)調 AAS
久々に犬サソキター、GJです
…と、犬サソ自体に反応している人がいない
今の住民は犬サソを知らないと思ったら、ちと悲しい
218: クズリ 04/11/04 16:15 ID:OavXA192(1/8)調 AAS
犬さん復活おめでとー。
ということで最近、こちらに書いていない私でしたが、やはり原点はここだと思い直して、
またちょくちょくお邪魔させていただこうかしら、と。
そう思いながら、書き始めた頃のことを思い出しながら書いていたんですが……
元々、大したことない実力が、さらに落ちてる気がする……どうにもこうにも…… _| ̄|○
それでも投稿はするんですが。
ちなみに今回の作品は、某絵師さんから頂いた絵と、そこに寄せられた文に感銘を受けて
書かせていただきました。本当にありがとうございますm(_ _)m
ということで、お目汚しになるやもしれませんが。
『My Place』
副題は、「〜そして私は、この場所に至った〜」
219: My Place-1 04/11/04 16:16 ID:OavXA192(2/8)調 AAS
幼馴染という言葉に甘えていた。
いつまでも傍にいるものと思い込んでいた。
突きつけられた現実から、もう目を背けられない。
失いたくない、人だから。
My Place
〜そして私は、この場所に至った〜
空が、目に痛いほど赤い。雲が綺麗な茜色に染め上げられ、風の河の流れに乗って去っていく。
わずかに開けた窓から入り込み、カーテンを揺らす空気は冷たく、冬の訪れが間近に迫っているこ
とを感じさせる。
少女、周防美琴は一人、ベッドに横たわって天井を見つめていた。その顔、そしていつからかま
た長く伸ばし始めた髪が、差し入る赤光を照り返して微かに朱い。やがて小さく、その形の良い唇
が動く。
「……やっぱ、このまんまじゃ、いられないよな……」
紡ぎ出されたは言葉であり、苦悩の欠片だった。顔を一瞬、顰めた後、美琴は勢いをつけて上体
を起こす。そのまま横に顔を向け、窓の外を見つめる。広がる、いつもの風景。空、そして彼の部
屋の、窓。こんなにも近い距離で過ごしてきたんだな、と美琴は改めて思う。
灯る光、おそらく彼は今、勉強をしているのだろう。今は高校三年生の秋。大学の入試が間近に
迫っているからだろう、日付が変わるぎりぎりの時間まで彼の部屋の明かりが消えることはない。
ホント真面目な奴だよな、と彼女は小さく笑う。隣人であり、幼馴染である花井春樹が、入試の
勉強に励みながら今でも、朝四時に起きていることも知っている。文武両道を地で行く男だ、彼は。
窓から呼びかけようとしてふと、思いとどまる。何も変わらないじゃないか、それじゃ。鞄の中
から携帯を取り出して、メールを作る。
『花井、暇か?ちょっと付き合えよ』
短い内容。なのに何故か、送信ボタンを押すのに勇気がいった。笑い声が心に響く。
何やってんだよ、美琴さんともあろう人がさ。決めたんだろう?迷うなよ。
大きく息を吸い込んで、覚悟を決める。
そして送信ボタンを、深く、押し込んだ。
220: My Place-1 04/11/04 16:17 ID:OavXA192(3/8)調 AAS
「遅いぞ、周防。そっちから声をかけたのに、待たせるとは何事…………?」
「悪ぃ、悪ぃ。ちょっと、用意するのに時間がかかってさ」
扉を開けて出てきた美琴を責めようと振り返った花井は、そこに見た姿に一瞬、息を飲んだ。そ
の反応に、美琴はひそかに満足する。
普段、彼女が花井と二人で会う用事と言えば、大体が組み手であり、今日もおそらくそうだと思
っていたのだろう。そしてそういう場合、彼女はすぐに道着に着替えられるように、ラフな格好だ
った。だが、今日の美琴は違った。
惜しげもなく肩を出した白のワンピースは、小粒のパールの上品な輝きが、胸元をあしらってい
る。グロスを塗った唇は艶々と薄桃色に輝き、首筋に振った香水の甘い香りがほのかに身を包む。
「周防、どうしたんだ、その格好」
目を丸くする花井に、美琴は照れ臭そうに笑いながら、
「これ?この前、買ったんだ。どうかな?」
言いながら、美琴はポーズを取ってみせる。背が高いこともあって、なかなかに様になっている
のだが、花井はと言えば、
「そんなに肩を出して。風邪をひくぞ、周防」
「……そういう奴だったよな、お前って」
思わず、一つ溜息。
だがそれが彼らしい。そう思うと、自然に浮かぶ微笑。顔を上げて美琴は、
「なぁ、花井。ちょっと歩かないか」
いつも通りの、気軽な気持ちで彼を誘う。一瞬、不思議そうな顔をした花井だったが、
「ふむ。まあ、いいだろう」
と鷹揚にうなずく。その様が、あまりに想像通り過ぎて、美琴は小さく噴出した。
そうだよな。これが、花井だよな。
思うと、何故か、心が楽になった。
「それにしても、一体、どういう風の吹き回しだ?」
「ま、いいじゃん。たまにはこういう日があっても、さ」
並びはしない。先を歩く美琴、その後を花井が付いていく。
沈む夕陽を遠くに眺めながら歩いている彼女の脳裏に、ふと浮かぶ既視感。
いつだったか、こんな風にして歩いたことがあったような……
「懐かしいな」
背中からかけられた声に、歩みを止めることなく、美琴は肩越しに振り返る。
221: My Place-1 04/11/04 16:18 ID:OavXA192(4/8)調 AAS
「……何が?」
「小学校の頃は、こうしてよく、二人で歩いたものだったな」
ああ。そうだったっけ。美琴はそれで思い出す。
今の彼からは想像も出来ないが、昔の花井は美琴よりも弱く、性格も大人しかった。
そして、いじめられていた。
何かのきっかけがあって彼は変わったのだが、それが何なのかを美琴は知らない。ただ、自分が
ついていてあげなければ、と思っていた存在が、独り立ちしたことを嬉しく思いながら、それでも
拭いきれない寂しさがあった。
あれから随分と年月が経つ。そんな想いがあったことを、忘れてしまうぐらいに。
「懐かしいな」
だから美琴は、彼の言葉を繰り返す。万感の思いを込めて。
「それで――――何があったんだ」
ただ、歩き続ける二人。会話のないままに、いつしか美琴の足は矢神神社へと向いていた。階段
をゆっくりと上る途中で、花井の静かな、そして深い言葉が空気を震わせる。
足が止まる。
唐突に吹いた一陣の風が、髪とスカートを撫でていった。
花井に背を向けたまま、美琴は軽く空を仰ぎ、そしてわずかに微笑む。
ほんと、何でそんなに私の事、よくわかるんだよ。
幼馴染。その言葉が不意に、胸の奥に浮かんでくる。
「早いよな、一年って」
「ん?ああ、そうだな」
戸惑うような彼の声を受けながら、振り向かないままに、美琴は喋り続ける。
「もうすぐ、卒業なんだよな、私達」
「……まだ半年もあるぞ」
「一年があっという間なのに、半年なんてすぐだろ?」
その言葉に、花井が軽く肩をすくめる気配が伝わってきて、彼女は小さく苦笑する。
「去年の秋だっけ。お前が塚本の妹に、フラレタのって」
空気が、凍った。
222: My Place-1 04/11/04 16:18 ID:OavXA192(5/8)調 AAS
「……ああ、そうだな」
だがそれも、一瞬のことだった。彼の声は感情を押し殺したものだったが、それでもはっきりと、
力強く答えた。
詳しいことを、彼女自身は知らない。ただ、花井が塚本八雲に告白をし、フラレタという事実だ
けが、彼女の耳に入ってきていた。もっとも、それでなくても、彼の腑抜け具合を見ればすぐに、
わかったことではあったが。
「……辛かった?」
その問いかけに、惑う雰囲気。
また吹く、風。
「ああ。辛かった」
「――――そっか」
正直な答えを、美琴は全身で受け止める。まだ彼女は、振り向かない。
花井の顔を、見ようとしない。
流れる雲。随分と歩いたように思えて、それほどの時が経っていないことを、遠くに沈もうとし
ている夕陽が教えてくれている。
「それが、どうしたんだ、周防」
彼もまた、何かを振り切るのに時間を必要としていたのだろう。しばしの沈黙のあと、やっと、
花井は口を開いた。
「ん……」
小さく相槌を打ってから、美琴はまた、天を仰ぐ。
階段の脇に植えられた木々、揺れる枝。
いつも来る場所なのに、こんなにも美しいことを、今まで気付かなかった。
「……周防?」
後ろ手に手を組み、再び黙ってしまった彼女の様子に、彼は案じるかのように問いかけてくる。
そして彼女は口を開く。
「一昨日、さ」
「ああ」
「私、告白されたんだ――――今鳥に」
223: My Place-1 04/11/04 16:19 ID:OavXA192(6/8)調 AAS
「…………そうか」
彼の答えは、それだけだった。
美琴も、それ以上の言葉を聞けるとは、思っていなかった。だから、目を細めて、小さく笑うだ
けだった。
「知ってたんだろ?」
一歩、足を踏み出すと同時に、背の向こうの彼に問いかける。
逡巡する気配の後、花井は重々しく答えた。
「ああ」
きっと、今、私を見てないだろうな。振り向かずとも、彼女にはわかった。事実、彼は美琴の背
中から目をそらしていた。
「だと思った」
「……すまん」
「何で、謝るんだよ」
「いや……」
普段の大きな声ではない。迷うような、小さな声。
「やっぱり、花井は花井だよな」
「どういう意味だ、それは」
「隠そうとしたって、無駄だった、ってこと」
一歩、また一歩と踏みしめるように階段を上る美琴。やがて見えてくる、境内と神社の本殿。
「何で、わかったんだ?その……私が、今鳥に告白されたこと」
「見ていれば、わかる」
「……そういうもの?」
「ああ――――多分、な」
「…………でも、ほとんどの奴らは、気付いていないみたいだったけれどね」
いつも通りに振舞っていた筈だ。馴れ馴れしく振舞ってくる今鳥を、普段と変わらずあしらって
見せた。
『相変わらずね、今鳥君って』
そう言ったのは、親友の一人でもある沢近愛理。塚本天満もまた、それに頷いていた。ただ一人、
高野晶だけは意味深な目をしていたが、そのことに触れようとはしてこなかった。
「やっぱり、花井は、花井だね」
再び繰り返す言葉。俯いて見つめる石段に、蟻が一匹、歩いていた。
「私のこと、よくわかってる」
224: 04/11/04 16:21 ID:rqskEJoU(1/2)調 AAS
支援
225: My Place-1 04/11/04 16:22 ID:OavXA192(7/8)調 AAS
「どうしたんだ、周防。一体」
こらえられなくなったのだろうか。一段飛びに階段を上り、距離を縮めてくる彼の手が、彼女の
肩に触れそうになった瞬間。
最後の一段を登り終えた美琴は、振り向いた。
ほんのわずかな距離で、向かい合う少女と少年。
彼は美琴の瞳に浮かぶ、切なさに射すくめられて、その場に立ち竦む。
「周防?」
「あのさ、花井」
戸惑う彼の、眼鏡越しの目をしっかりと見つめながら、美琴は言葉を口にした。
「今日から、幼馴染をやめないか?」
遠くで、烏が鳴いている。カー、カーと。
226(1): クズリ 04/11/04 16:23 ID:OavXA192(8/8)調 AAS
ということで、リハビリ……
性懲りもなく連載になりそうですが、皆様、長い目でお付き合いいただけると、嬉しく思いますm(_ _)m
それでは、よろしくお願い致します。
227: 04/11/04 16:27 ID:rqskEJoU(2/2)調 AAS
支援になってなかったカナ??
クズリさんの連載物は大好きです!!
美琴さんの言う「幼なじみをやめないか?」とはどういう心境で
言ったのだろう。。。
気になります!続き待ってます!頑張って下さい!!
228: 04/11/04 18:26 ID:J5kF.RMw(1)調 AAS
>>217
反応してないのは以前のようなことを起こさないためじゃないのか?
俺は犬さん復活喜んでるが
前みたいなことになると嫌なんであんまり話題には出さないようにしてるんだが
229(2): 04/11/04 20:51 ID:H/IHZ7H2(1/3)調 AAS
縦笛なんかで連載すんのかよ…
('A`)イラネ
230: 04/11/04 20:52 ID:H/IHZ7H2(2/3)調 AAS
縦笛なんかで連載すんのかよ…
('A`)イラネ
231: 04/11/04 20:52 ID:H/IHZ7H2(3/3)調 AAS
縦笛なんかで連載すんのかよ…
('A`)イラネ
232: 04/11/04 22:39 ID:IxrIc3Qg(1)調 AAS
そう言わずに(´Д`;)
233: 04/11/05 00:46 ID:mGkFfNVI(1/2)調 AAS
分からんでもないけど三回も言うことじゃないのは確かだな
234(1): Rumble fish 04/11/05 01:04 ID:yn0nVX/Y(1/11)調 AAS
舞来たよ舞、ということであえて設定無視して勢いで。
ただ単純にあの二人にぶつけてみたかっただけなので、所属軍が違うのは気にしない方向で。
さて、では。
235: Rumble fish 04/11/05 01:07 ID:yn0nVX/Y(2/11)調 AAS
シーン3
暗い廊下。無音。
累々たる『死体』――敗北者。
「くそっ、どこだ!」
「……おい、こりゃ一旦引いた方が」
「バカ言うな、ここ抜かれるワケにゃいかねぇだろ? しかも相手は」
小声の二人、その背後に音もなく立つ人影。
「たった一人」
「っ!」
「な!?」
驚愕する二人の表情を映し、暗転。
銃声。
「――ごめんなさい」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「お疲れさま。よかったわよ、つむぎ」
そう言って舞が笑顔で差し出したペットボトルを、はにかみながらも、ありがとう、と
受け取るつむぎ。一口含めば、喉を駆け下りていく炭酸の刺激が快く感じられる。
「急造のバンドにしては上々だったでしょ?」
「言わなきゃ誰も信じないわよ、そんなの。同じクラスの私からしてみれば、異色のメンバー
だとは思うけどね」
「うん、それは私も。その辺は冬木君らしさだと思うけど」
236: Rumble fish 04/11/05 01:10 ID:yn0nVX/Y(3/11)調 AAS
つむぎの言葉に、変なところですごいのよね、と舞も頷く。単なるカメラ小僧と思わせる
ようで、意外に鋭い目を持っている冬木。なんだかんだと問題を起こしながらも、ある意味で
クラスの中枢を担っている一人である。
「それで、クラスの方はどう? 舞ちゃんは見に行かなくてもいいの?」
「盛況だと思うよ、それなりに。私の方の仕事は準備段階でおしまい、当日までの裏方、かな」
「そういうの、舞ちゃんらしいよ」
若干苦笑混じりのつむぎ。
「せっかくなんだから、準備だけじゃなくて本番も楽しめばいいのに」
「楽しんでるって、十分。裏方の仕事だって昔からそっちの方が好きだったしね」
こちらも自覚しているのか、やはり苦笑混じりの舞。
「……ところでさ」
「何?」
「おかしなこと訊くんだけど……どこも変じゃないわよね、私」
わずかに表情を曇らせ、唐突にそう尋ねてきた舞に眉をひそめるつむぎ。
「えっと、別にそんなことないと思うけど……どうして?」
「それがね――」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
シーン7
教室。荒い息遣い。
背中合わせに立つ二人の男女――沢近と播磨。
「……ちょっと、離れなさいよ」
「うるせぇ。ヘタに動けねぇんだから仕方ねぇだろ」
「……フン」
237: Rumble fish 04/11/05 01:11 ID:yn0nVX/Y(4/11)調 AAS
慎重に辺りをうかがう。
人の姿は見えない。
「このままじゃどうしようもないわね。動くわよ」
「……いけんのか?」
「あっちは一人よ? それに」
「それに?」
沈黙。
耳に痛いような静寂。
「この私と」
画面は播磨の正面から。
沢近の表情は映らない。
「――アンタで負けるわけないじゃない」
一拍の間。
「けっ、言ってくれんじゃねぇか。んじゃあっさり死ぬんじゃねぇぞ」
「その言葉、そのまま返すわ」
二人、口の端に笑み。
死線を抜けてきた者だけに許される、壮絶な笑み。
238: Rumble fish 04/11/05 01:14 ID:yn0nVX/Y(5/11)調 AAS
「Ready――」
沢近、笑みの引いた正面からのカット。
「――Go」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「視線を感じる?」
「そうなの。最初は勘違いかと思ったんだけど、なんだかずっと……ほら」
言われたつむぎが舞の視線の先に目をやれば、何やらこちらを見ている二人連れの女生徒。
何故か二人とも両手を胸元で組んでいて、心なしか潤んでいるような瞳。やがて逆に見られて
いることに気がついたのか、はっとした表情になってきゃーきゃーと走っていく。
「……何あれ」
「こっちが聞きたいの。午前中はあそこまでじゃなかったんだけど……」
はあ、と舞が溜息をついたところに。
「なになに? どうしたの?」
「あ、嵯峨野さん」
つむぎと同じバンドのメンバーだった恵が話に食いついてくる。
「えーとね」
かくかくしかじか、と事情を話すつむぎ。それを聞いて、ふうん、と何かを考える素振りを
見せていた恵が文化祭のパンフレットを取り出す。
「文化祭の前まではそんなことなかった……って言うより、今日からなんだよね」
「え? あ、うん」
さらに問は重ねられる。
「そして、時間が経つごとに気になる回数も増えてきた、と」
「うん……なんだか段々派手になってきてる気もするし」
「派手、って言うと?」
「……さっき、なんか男の子に敬礼されたの」
「あこがれの表情に敬礼、ね」
239: Rumble fish 04/11/05 01:15 ID:yn0nVX/Y(6/11)調 AAS
やがて、出展の一覧を追っていた彼女の目が一点で止まる。
「じゃ最後に一つ確認ね。ちょろっと噂で聞いたんだけどさ、大塚さんってこの間のゲームで
大活躍だったんだって?」
「そうなの? 舞ちゃん」
「……活躍とかじゃなくて、私はああいう馬鹿げたお遊びは早く終わらせないと、って思って」
ちょっとがんばりすぎたかも、と次第に尻すぼみになる声。それを聞いて、だったらさ、と
パンフレットのある出展題目を指し示す嵯峨野。
「もしかして、コレのせいなんじゃない?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
シーン9−3
カタン、という小さな物音。
振り返る沢近。
視界の中で動く黒い影。
「そこっ!」
「待てお嬢、そいつは」
その影に当たり、カン、と軽い音を立てて跳ね返る銃弾。
「鏡!?」
「くそ、逃げろ沢近――!」
声に被さるようにして、沢近の後頭部に静かに突きつけられる銃口。
「チェックメイト、かしら」
「……参ったわね」
240: Rumble fish 04/11/05 01:16 ID:yn0nVX/Y(7/11)調 AAS
両手を上げた沢近の手から二丁の銃が落ちる。
その正面に立つ播磨は動けない。
「ここにきてトラップとはね」
「二対一、だったしね」
「まあいいわ。それじゃ」
笑顔の沢近。
「あとは任せたわよ」
そして――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「こらーっ!」
目指す教室のドアを勢いよく開け、そのまま怒鳴り込む舞。後ろには、苦笑いを浮かべる
つむぎと恵の姿。
「どういうことなの!? 高野さん!」
「それはこちらの台詞だと思うけど」
臆せず淡々と答えたのは、この部屋で行われている『個人撮影映画』の出展者である高野晶
その人。大入りの客の前、大画面に映し出されているのは先日行われたサバイバルゲームの
模様であり、そして。
『――なんてね』
『え――?』
カチン、と撃鉄の落ちる音だけが響く。
『もう弾切れなの』
さばさばとした表情で、愛理の後頭部に突きつけていた銃を下ろす舞の姿だった。
241: Rumble fish 04/11/05 01:18 ID:yn0nVX/Y(8/11)調 AAS
「撮影の許可は取ったと思うけど?」
「それはいいの。高野さんのことだから、こういう風になるのはなんとなく予想出来てたし」
「だったら何か問題が?」
しれっと言ってのける晶に、遂に舞が沸点を突破する。
「だからどうして私の扱いがこんなに大きいの!?」
――そう。
前半部での鬼神のごとき活躍、そして終盤においても愛理と拳児――それぞれに様々な意味で
有名人たる二人を敵に回し、最後まで戦い抜く。ある種主役とさえ言えるポジションが、その
映像の中では舞に与えられていた。
それ故に、この映像を見た生徒から口コミで評判が伝わり、仮名も何も使っていない登場人物
たちを捜すのはそう難しいことではなかった、というのがことの真相。
で。
「その方が面白いと思ったから」
「な……そんな!」
またもあっさり言い放つ晶に、舞が一瞬言葉に詰まる。そこでさらに、ねえ、と客席に向かって
問いかける晶。え、と振り向いた舞の視界に映ったのは。
「舞さん、ですか?」
「握手してください!」
「サイン!」
「え、あ、ちょ、待っ――」
にわかファン、とでも言うべきか、文化祭の空気にも後押しされてテンションの高くなっていた
観客たちにもみくちゃにされる舞。晶はと言えば、すっとその隙間を縫うようにいつのまにか抜け
出し、つむぎや恵と一緒にその騒ぎを眺めている。
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