[過去ログ] スクールランブルIF16【脳内補完】 (756レス)
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(5): 04/10/29 14:12 ID:6qps.Rk6(1/3)調 AAS
週刊少年マガジンとマガジンSPECIALで連載中の「スクールランブル」は
毎週10ページの週刊少年漫画です。
物足りない、もっとキャラのサイドストーリー・ショートストーリーが見たい人もいる事でしょう。
また、こんな隠されたストーリーがあっても良いのでは?
有り得そうな展開を考察して、こんな話思いついたんだけど…といった方もいるはずです。
このスレッドは、そんな“スクランSSを書きたい”と、思っている人のためのスレッドです。
【要はスクールランブルSSスレッドです】

SS書き限定の心構えとして「叩かれても泣かない」位の気概で。
的確な感想・アドバイスレスをしてくれた人の意見を取り入れ、更なる作品を目指しましょう。

≪執拗な荒らし行為厳禁です≫≪荒らしはスルーしてください。削除依頼を通しやすくするためです≫
≪他の漫画のキャラを出すSSは認められていません≫

【前スレ】
スクールランブルIF15【脳内補完】
2chスレ:entrance2

SS保管庫(仮)
外部リンク[html]:tenma.web.infoseek.co.jp

SS投稿避難所 
外部リンク[php]:web2.poporo.net
一度投下した作品を修正したものなどはここに投下してください。
SSの書き方について話合ったり質問したりもできるので一度目を通すことをお勧めします
2: 04/10/29 14:16 ID:7OxjQf92(1/2)調 AAS
【過去スレ】
スクールランブルIF14【脳内補完】
2chスレ:entrance2
スクールランブルIF13【脳内補完】
2chスレ:entrance2
スクールランブルIF12【脳内補完】
2chスレ:entrance2
スクールランブルIF11
2chスレ:entrance2
スクールランブルIF10【脳内補完】
2chスレ:entrance2
スクールランブルIF09【脳内補完】
2chスレ:entrance2
スクールランブルIf08【脳内補完】
2chスレ:entrance2
スクールランブルIf07【脳内補完】
2chスレ:entrance2
スクールランブルIf06【脳内補完】
2chスレ:entrance2
スクールランブルIf05【脳内補完】
2chスレ:entrance2
スクールランブルIf04【脳内補完】(スレスト)
2chスレ:wcomic

関連スレ(21歳未満立ち入り禁止)
【スクラン】スクランスレ@エロパロ板4【限定!】
2chスレ:eroparo
3: 04/10/29 14:18 ID:7OxjQf92(2/2)調 AAS
>>1

4: 04/10/29 14:36 ID:AgafWAkQ(1)調 AAS
>>1
乙です。
5: 前スレ目次 04/10/29 14:38 ID:6qps.Rk6(2/3)調 AAS
2chスレ:entrance2 Squall
2chスレ:entrance2 無題
2chスレ:entrance2 美女達と野獣
2chスレ:entrance2 Autumn in my Heart
2chスレ:entrance2 fragments
2chスレ:entrance2 Carnival eve
2chスレ:entrance2 All's well that ends well
2chスレ:entrance2 Birthday... Shigeo Umezu
2chスレ:entrance2 無題
2chスレ:entrance2 The day of departure
2chスレ:entrance2 Heroine is a blond girl
2chスレ:entrance2 Carnival
2chスレ:entrance2 Handkerchief
2chスレ:entrance2 Still
2chスレ:entrance2 Carnival<解決編>
2chスレ:entrance2 Birthday... Masaaki Mitsui
2chスレ:entrance2 Birthday... Masakazu Tougou
2chスレ:entrance2 Birthday... Takeichi Fuyuki
2chスレ:entrance2 Chance at the perfect shot
2chスレ:entrance2 無題
2chスレ:entrance2 「LIVE A LIVE 〜播磨拳児と沢近愛理の場合〜」
2chスレ:entrance2 Synchronicity_fairy_tale
2chスレ:entrance2 無題
2chスレ:entrance2 Synchronicity_fairy_tale2
6
(1): 前スレ目次 04/10/29 14:48 ID:6qps.Rk6(3/3)調 AAS
2chスレ:entrance2 無題
2chスレ:entrance2 無題
2chスレ:entrance2 Sometime, Somewhere
2chスレ:entrance2 無題
2chスレ:entrance2 無題
2chスレ:entrance2 ぬくもり

以上、前スレの全作品です。
漏れてる作品がありましたら追加よろしく。
7: 04/10/29 15:07 ID:3jBF6JFE(1)調 AAS
>>6
乙カレーです。
8: 04/10/29 16:20 ID:mrLB7g8.(1)調 AAS
1乙
さあ、神を待つか…
9: 04/10/29 16:57 ID:lck5MimQ(1)調 AAS
>1 Z
10: 04/10/29 18:34 ID:Dmva2vro(1)調 AAS
スレたて及び目次乙です
11: 04/10/29 19:54 ID:d3vsNBMk(1)調 AAS
お疲れ様です。このスレ本当に毎日楽しみにしてます。
12: 04/10/30 01:00 ID:yXKnGvAc(1)調 AAS
スレたて乙です
13: 04/10/30 01:21 ID:Z6WAoicE(1)調 AAS
>1
乙です
14: 04/10/30 17:33 ID:BqsIa9X2(1)調 AAS
なんか重い…サーバーの問題なのかな

それはともかく1さん乙!
15: 通りすがった麻生サラ好き 04/10/30 18:46 ID:ZpiKchH6(1/30)調 AAS
はい、前スレ733です。実は前々スレで『雨、ふたり』とかいう
ネーミングセンスのなさを露呈しまくった作品書いたのと同一人物だったりします。

ようやくSSが完成いたしました。
で、第2弾SSということでコテでも付けようかと……まあ、なんともアレなコテですが
シンプルイズザベストとか言うやつで……。

例によって麻生とサラです。タイトルは『日常』です。

では、どうぞ。
16
(1): 日常 04/10/30 18:48 ID:ZpiKchH6(2/30)調 AAS
「……頭いてぇ……」

 教室の中、自分の席に突っ伏しつつ、俺は思わずうめく。

 昨日の帰宅途中、傘も持たない哀れな俺の頭上を雨がパラパラと降り立ってきた。
 軽く舌打ちをしつつも『まあ、この程度ならどってことないか……』
なんて思いながら歩を速めた俺をあざ笑うかのように、突然の集中豪雨。

 天に恨みを買った覚えなどなかったが、加害者と被害者の関係はいつも
忘れやすい方と忘れにくい方に分かれるものである。
 ひょっとしたら、俺が何かしたと言う事を忘れているだけかもしれないし、
気づかないうちに……という事もありうる可能性のひとつだ。

 ……まあ、だったら俺なんかよりももっと晴らすべき恨みを持っている人間も居るはずな
訳で(有害な煙を出しまくってる町工場(まちこうば)の管理者とか経営者とか)。
 やるんだったら、俺みたいに小さな存在ではなく、もっと社会的地位をしっかりと
確立した大物を相手に乾坤一擲(けんこんいってき)な決意を固めた上で挑んでもらいたい。

 そして復讐が復讐を呼び、更にその復讐が復讐をそして…………以下エンドレス。
 ちなみに、『乾坤一擲』とは、『運命をかけて、伸るか反るかの勝負をする』という
意味で大体合っているはずだ。辞書によって多少の差異はあるだろうが。

 ……こんな馬鹿げた考えを走らせている時点で、今の俺がどれだけ疲弊しきっているのかは
言うまでもないだろう。心なしか性格とか口調とかも若干、変わっているように思える。
 端的に言うと、どうにも散々雨の打擲(ちょうちゃく)を受けた俺は風邪を引いたらしい。
17: 日常 04/10/30 18:49 ID:ZpiKchH6(3/30)調 AAS
普段から割りと健康体である俺は久々の倦怠感を満喫中だ。嬉しくて涙が滂沱(ぼうだ)
の如く溢れそうである……って、また俺らしからぬ思考が駆け巡っているぞオイ。
 ……それとも、案外こっちが素だったりするのだろうか……だとしたら嫌な新発見だ。

 チラッと時計を窺うとまだ一時限目の休み時間…………表に出尽くしていると
思っていた疲労はどうにもまだまだ内に堪っていたらしく、時計を見た途端
ドッと溢れ出てきた。今なら疲労のみで死ねる気がする……もちろん、
気のせい以外の何者でもないんだが。

「おーい、アソー? まだ生きてるかー?」

 俺を呼んでいるらしい声に目いっぱいの精神力で顔を向ける。

「……なんだよ菅」

 短く一気に言い放つ。下手に言葉の間を取る方が疲れるからだ。

「朝一からヤバそうだったが、どうにも現在進行形でピンチらしいな」
「…………」

 無言で返す。正直、アイコンタクトで訴えるのも億劫(おっくう)だ。
18: 日常 04/10/30 18:49 ID:ZpiKchH6(4/30)調 AAS
「……マジでピンチらしいな。しょーがね、保健室連れてってやるよ。
 ありがたく思え」

 ……なんて親切ぶっているが、どうせコイツの事だ。美人ということで有名な
姉ヶ崎とかいう保険医が本命に違いない。割合的に、保険医8:俺2って所か
……まあ、保健室に行く事自体は全然吝(やぶさ)かではないのだが。

「……ワリ、頼むわ……」

 菅に体重を預けるような形で肩を貸してもらう。
 なんだか、何もかもにやる気が湧かない。歩くのですら面倒くさいと思うほどだ。
 今なら惰気(だき)の塊であろう今鳥にも負けない気がする。ダメな方面で――
――と思うのはさすがに少々失礼だろうか。
19: 日常 04/10/30 18:50 ID:ZpiKchH6(5/30)調 AAS
 ガラガラ

「すいませーん。急患をひとりお連れしましたーっ」
「……ウルセェ」

 菅のやかましさに対し今にも消え入りそうな声を漏らす。普段ならこの程度の声量どうって
事もないのだろうが、今現在の俺にはそれだけで極上の厄災だ。

「はいはーい、どうしたのかな?」
「いやー、どうにもこいつ風邪引いちまったらしくて……ベッドで寝かせてやれますか?
 あ、俺、こいつの親友で菅って言います」

 いらん自己紹介を兼ねつつも、俺の容態と処方を代弁してくれる辺り、
なんだかんだでこいつも良い奴ではある。
 しかし、『親友』なんて言葉を惜しげもなく使うのは勘弁してもらいたい。
 冗談の一環なんだろうが。

「んー……キミ、顔色が悪いわね。顔は良いけど。どうも風邪って言うのは本当みたいだし、
分かったわ。解熱剤を出すから飲んだ後横になりなさい」
「……ハイ」
20: 日常 04/10/30 18:51 ID:ZpiKchH6(6/30)調 AAS
 キーンコーンカーンコーン…………

 ……チャイムの音で目を覚ます。どのくらい寝ていたのかと視線を時計に向けた。
 まだ二時限目の授業が終わった所。およそ、一時間弱寝ていた事になる。
 とっとと快復に向かう事を期待していたのだが、思ったほどの効果は得られていない
らしく、まだ身体が重い。それでも、多少は楽になったが。
 今現在においてせめてもの救いは、セキやクシャミ、鼻水がない所くらいか。

 そのままベッドの上でボーっと過ごす。耳を周囲に傾けると、机の上で何やら
姉ヶ崎保険医がペンを走らせているらしい音が聴こえてくる……まあ、俺には
良く分からないが、色々とやらなければならない事があるんだろう。

 なんて思っているとまぶたが重くなってきた。逆らう必要もないので、
おとなしく寄ってきたまどろみに身をゆだね――ようとしたその時だ。

 ガラガラ

「あ、姉ヶ崎先生、すいません。ちょっと良いですか?」
「あら? なんでしょう?」
「ええ、実は……」

 今寝ているベッドの位置からだと扉の方が見えない。
 おそらくは教師の誰かだろう。まあ別段、気にする事もない……。
 今度こそ睡魔に促されるままノコノコと付いて行こうとした俺に――
21: 日常 04/10/30 18:59 ID:ZpiKchH6(7/30)調 AAS
「あっと、キミ……麻生君だよね? 先生、ちょっと用事が出来ちゃったから
少しの間ここ空けるけど、おとなしく寝てるんだゾ?」

 なんて可愛らしく(俺がどう判断したかは別として)右手の人差し指を立てた後、
姉ヶ崎保険医はどこぞへと消えていった。
 ……まあ、誰も居ない方が返って気兼ねなく寝れるというものだ。

 掛け布団を少し深めに被り、ようやく寝れる……と思った俺だったが、
どうも今日は睡魔にトコトン嫌われているらしい……まあ、一応誘惑に来たことから、
睡魔の邪魔をする何かしらの存在がいるという可能性も捨てきれないが、それはともかく。

 ガラガラッ

 ほんの少しだけ、先ほどよりも勢い良く扉の開く音がする。
 続いて俺が寝ているベッドへ真っ直ぐ歩み寄ってくる誰かの気配。
 ――ひょっとして……なんて思った俺の脳裏に浮かんだ顔が、次の瞬間
颯爽と視界へ飛び込んできた。

「あっ、先輩! あの、体調を崩されたそうで……大丈夫ですか?」
22: 日常 04/10/30 18:59 ID:ZpiKchH6(8/30)調 AAS
 ――言うまでもないと思うが、一応は言っておこう。
 彼女の名は サラ・アディエマス 俺のバイト仲間にして一年後輩。
 それ以外での交流は特にない。聞くところによれば男子女子、共に結構な人気がある
らしい……特に男子。……まあ、別段俺には関係ない。…………ないったらない。

「あの……大丈夫ですか?」

 俺からの反応がないと見るや、彼女は心配そうに先ほどと同じ言葉を発し、覗き込むように
見つめてきた。――って、近い! 近いぞおい!!

「いや、心配すんな。ちょっと風邪引いて横になってるだけだから」

 なんていう内心の焦りをおくびにも出さずスラスラと答える。
 部活帰りで疲労が堪っている所に、正しく浴びるほど天からの恵みを受ければ
こうなるのも無理はない――むしろ自明の理だ。

「うーん……顔赤いですね。熱は?」

 ……そういや測ってない。美人な上に腕もいいと聞いたあの保険医もポカをやらかすのだろうか。
 で、人間っていうのは『熱を測る』というだけの行為に意外とご熱心だったりするわけで。
23: 日常 04/10/30 19:00 ID:ZpiKchH6(9/30)調 AAS
「……まだ測ってなかった。悪い、体温計取ってくれるか?」
「はい、おまかせください」

 おどけるようにかしこまって彼女が体温計の納まっている棚へ向かう。
 ちなみに、どこに何がしまってあるのかは棚の引き出しごとに
大まかな表記があるから大体は把握できる。

「はい、どうぞ先輩」
「ああ、サンキュな」

 短く答えて、ワイシャツの第二ボタンまでを外す。
 ……上手く体温計が入らないのでやっぱ第三ボタンまで外そう。

「わー、意外とたくましい」
「…………」

 斬って捨てるかのごとく無視を決め込む。思いっきり、無言のプレッシャーを与えているつもりだが
彼女がそれに押しつぶされている様子はない。
 どうでも良いが、以前から『意外』という言葉が付きまとっているように思える……。
 それは置いといて、熱を測り終えるまで約3分……その間、
実は先ほどから疑問に思っていた事を訊いてみる。
24: 日常 04/10/30 19:01 ID:ZpiKchH6(10/30)調 AAS
「なあ」
「? なんでしょう」

 軽くズレている様に思えた体温計の位置を軽く正す。

「なんでお前はここに居るんだ?」
「はえ?」

 どうも言葉が足りなかったらしい。

「いや、だからどうして俺がここに居るって知ってたんだ?」
「あー、その事ですか」

 ……もしかして、以前と同じく菅の奴に聞(訊)いたのだろうか? しかし、
いまいちピンとこないな、それは。学年も違うし、奴と彼女とでは俺以上の交流はないはずだ。

「実は、高野先輩に聞いたんですよ。なんでも麻生先輩が体調を崩して、この学校で三指に入る
と思われる美人保険医に手厚く癒されてるって」

 そういう事か――っておい。……なんとも、誤解というか語弊(ごへい)というか……。
25: 日常 04/10/30 19:02 ID:ZpiKchH6(11/30)調 AAS
「まあ、先輩がどういう女性の趣味をしていようとも、私自身にはなんの関係も問題もないのですが、
日頃からお世話になっている先輩がピンチとなれば、純粋かつ真摯(しんし)な心で心配し
駆けつけもする程度には、私も義理人情というものをわきまえている……ということです」

 ……だから、なんだってお前はそう日本語に以下略。

「……ところで、ふと思ったんですけど、先輩と高野先輩ってどこか似てますよね」

 俺と高野?

「…………そうか?」
「はい、それはもう」

 なぜか彼女は嬉しそうに語る。

「クールな所とか、ちょっと無愛想な所とか、無口な所とか、高いポテンシャルを隠し持ってそうな所とか、
意外と優しい所とか……後、美形な所とか」

 最後の部分はスルーするとして、こう見ると(聞くと)確かに似通っているようにも思えてくる。
 しかし……まあ……。
26: 日常 04/10/30 19:04 ID:ZpiKchH6(12/30)調 AAS
「高野は……なんていうか。あらゆる点で俺以上って感じがするけどな」

 なんとなく。

「えーそうですかぁ? 先輩も負けてないと思いますけど……」
「いや、別に勝っても嬉しくないんだが」

 そんなやり取りをピピピッピピピッなんていう電子音が、有無を言わさずに中断させた。

「お、どれどれ……」

 ふたりして覗き込むと……。

 38.5

「…………」
「…………」

 妙な沈黙。

「……結構あるな」

 解熱剤、効いてないんじゃないだろうか。
27: 日常 04/10/30 19:06 ID:ZpiKchH6(13/30)調 AAS
「先輩、寝なさい」

 有無も否応もない言葉だった。

「こんなにヒドいなんて思いませんでした。早く寝ないともっと重い病気に発展しかねません。
 ほら、早く横になって、布団をかぶって」

 なんて、言葉と同じように有無も否応もない機敏な動作で動く彼女。
 しかし、俺自身はさっさと寝ようとしていたのに、その都度邪魔されて寝させてもらえなかった
というのが真実だったりするんだが……なんだか、非常に理不尽を感じる。

「先輩、何かして欲しい事はありますか? 水が飲みたいとか、氷枕が欲しいとか」

 良く氷枕なんて知って――いや、もう何も言うまい。

「いや、特には……っていうか、そろそろ授業始まっちまうぞ? ちゃんと寝るからお前は戻れよ」
「むー……まあ、仕方ありませんね。ピンチになったら呼んでください。すぐ駆けつけますから」

 どうやって呼べというのだろうか。

「それじゃあ、先輩。また」

 そんな俺の疑問を形にする間もなく、彼女は現れたときと同じように颯爽と教室へ戻っていった。
28: 日常 04/10/30 19:07 ID:ZpiKchH6(14/30)調 AAS
 その後も、彼女は休み時間のたびに俺の元へ通い、色々と世話をしてくれた。……別に
変な意味は全くない。
 そして、一日に何回もある休み時間と違い、一日一回限定の昼休みがやってきた。
 ちなみに、姉ヶ崎保険医は昼食を摂りに席を外している。

「さて先輩。お昼にしましょう」
「……いつからそこに居た」
「……ふふふ、秘密です」

 口元に人差し指をあて、『シー』のポーズを取る彼女。他の人間がやったら怖気が走った
かもしれない動作(言葉込み)も、彼女がやると妙に絵になった。

「先輩、食欲はどうですか?」
「ん? ……あー……」

 当然ながら、体調を崩している俺にはとても旺盛と言えるほどの食欲はない。
 しかし、体調を崩している今だからこそ食べなければならないと
理性の部分が強く訴えているのも事実。
 結局、俺は本能よりも人間らしく理性を尊重する事にした。
29: 日常 04/10/30 19:08 ID:ZpiKchH6(15/30)調 AAS
「けど、俺は昼飯を持ってないぞ」
「分かってますよ、ですからぁ――」

 そして、取り出す弁当箱――――と、購買のパン2点。

「はい、先輩」

 続いて差し出される彼女の右手。ちなみに、手のひらが上になっている。

「……ひょっとして、代金か?」

 彼女はニッコリと

「はい。ほら先輩って貸し借りはあまり好きじゃないって言ってたじゃないですか。
 ですから、気兼ねなく食べてもらうために、お金はちゃーんと徴収しまーす。
 あ、お代は一個分ですよ? ひとつは私が食べますから」

 笑顔を見せつつおどけてみせる。

「……ほらよ」

 思わず微笑みに近い苦笑がもれる。どうも、俺の思考パターンは把握されてしまったようだ。

「はい。確かに。それと、私のお弁当はふたりで半々に分けますからね?
 先輩、全部どうぞって言ったら断固拒否しそうですし。これなら妥協してくれますよね?」

 ……本当に把握されてしまったようだ。
30: 日常 04/10/30 19:09 ID:ZpiKchH6(16/30)調 AAS
「ごちそうさん」
「はい、お粗末さまでした」

 昼休みをだいぶ残し、昼食を終えた。まあ元々、そんなに量のある弁当じゃない
上に、それをふたりで分けたのだから、それも当然と言った所か。……まあ、
美味い弁当に箸がどんどん進んだというのもあるが……。ちなみに、
俺の箸は食堂で借りてきた物らしい。
 ……しかし、保健室で飲み食いしても良かったのだろうか。

「先輩、食後のお茶どうぞ」

 といった俺の懸念も、この一言に反応した瞬間霧散してしまった。まあ、人間の
思考なんてそんなものだろう。
 ちなみに、中身は紅茶で彼女持参の水筒に入っていた物だ。もちろん、食事中で既に
堪能している(というか、飲み物のないパンはかなりキツい)。

「ん、サンキュな」

 なんて言いつつ口元にカップ(水筒の蓋になってるアレ)を運ぶ。
31: 日常 04/10/30 19:09 ID:ZpiKchH6(17/30)調 AAS
「……やっぱ美味いな」

 別に俺は紅茶党という訳でも、グルメという訳でもない。精々、家に時々置いて
あるパックのやつか、コンビニで売っている『午○の紅茶』(ペットボトル)を飲む程度だ。
 しかし、そんな心得のない俺でもこれは美味いと思えた。

「本当ですか? あはは、嬉しいです」

 まあ、淹れ方が上手いのか、美味い茶葉を使っているのか、あるいはその両方
なのかは知らないが。……多分、一番最後なのだろうけど。

「あ、すいません。ちょっとゴミ捨ててきちゃいますね」

 彼女はパンを包んでいたビニールを掲げてみせる。まあ、時間のあるうちに
行ってくる方が良いだろう。

「ん、分かった。気をつけてな」

 ……とまあ、俺は親切で注意を促したのだが、それが却って悪かったのだろうか。
32: 日常 04/10/30 19:10 ID:ZpiKchH6(18/30)調 AAS
「あはは、大丈夫で――」

 俺の言葉に受け答えしながら、座っていた椅子から立ち上がろうとした彼女が、
その椅子の足に自身の足を引っ掛けられる……なんて表現は被害者の見方で
実際には彼女が足を引っ掛けたのだが、ともかく。

 半ばお約束のように、バランスを崩した彼女はゆっくりと俺に向かって倒れてくる。
 俺には、それがひどくスローモーションで映った。人間、何からしらの
危機的状況に追い詰められると、驚異的な集中力を発揮し、それが普段眠っている
7割だか、8割だかの力……いわゆる、火事場の馬鹿力を発現させるという……。

 それはなんと、ただの主婦が赤ん坊を引きそうにあった車をひっくり返すだとか、
視界に映る全ての運動物をどんなスピードであろうとも捉えられるだとか。

 ……なんて、どこかで一度は目にするような逸話を思い出した所で、
この状況をどうにかするなんて事は出来ない訳だが。

 ――やがて。

 バフッ
33: 日常 04/10/30 19:11 ID:ZpiKchH6(19/30)調 AAS
 人ひとり分の重さは結構なはずなのに、あまり重たいと感じない彼女の存在。
 距離にして、およそ10cmも離れていない位置に彼女の瞳がある。目が合った。
 驚きで見開かれている。布団越しに感じる柔らかさ。……あの雨の日と同じ。
 その香りも、ぬくもりも、それは変わらずそこにあった。

 ――――そして、合わさった俺の唇と彼女の唇――――

 の、間に挟まった俺の右手。

 ま、間に合った……!

 心の奥底で安堵の言葉を紡ぐ。
 彼女が覆いかぶさってくる直前、その軌道を熱に犯されているにも関わらず、瞬時に
把握した俺は、半ば反射的に自分の唇に右手の甲を滑り込ませた。
34: 日常 04/10/30 19:12 ID:ZpiKchH6(20/30)調 AAS
 この時、もし俺が口に手のひらを当てていたら、彼女は硬い手の甲
へ顔面を打ちつけ、今頃悶え苦しんでいただろう……。今は日頃の部活で
鍛えられた俺の観察力と判断力を素直に褒めてやりたい。

 なんて、俺がほんの少しだけ自身の功績に浸ろうとしているというのに。

 ズイ

 という擬音と共に、彼女との距離が更に狭まる……いや、だから近い! すげー近いぞおい!!
 およそ10cmほど距離のあった俺と彼女の瞳がだんだんと近づいていく……9,8,7,6,5……

「お、おいちょ、何を――」

 俺が言葉の全容を言い終える前に、

 コツン

「…………んー……まだ熱ありますね」

 なんて、額と額を併せてつぶやく彼女。
 ……不意打ちってのは、あんまり頂けないと思うんだが。
 心の中で文句を言う俺を差し置き、次の瞬間にはスッと身を離される。
35: 日常 04/10/30 19:14 ID:ZpiKchH6(21/30)調 AAS
「……ビックリしました?」

 って、確信犯かよ。

「……驚かない人間も居るだろうが、大体の奴らは驚くと思う」

 なんだか、一気に脱力した。今でならどんな事が起こっても眠れそうだ。

「あはは、すいません……色々と……」
「いや……別に気にしてない」

 緊急回避も間に合った事だし。

「そう、ですか……えーと……それじゃあ、もう一度熱、測りましょうか」

 もう好きにしてくれ。

「ちょっと待っててくださいね」

 再び体温計を取ってくる彼女。一度位置を把握したおかげか、所要時間は10秒にも満たなかった。
36: 日常 04/10/30 19:15 ID:ZpiKchH6(22/30)調 AAS
「じゃあ先輩。身体起こして、動かないでくださいね」
「ああ、分かっ――」

 ……ん? なぜ動いちゃいけない?
 という疑問が頭を掠めたと同時。

 プチ……

 俺のワイシャツの第二ボタンが外されていた……彼女の手によって。
 ちなみに、第一ボタンは元々外してある。

「って! ちょ、おまっ! 何してんだ!!」
「え? あー、えーとですね。驚かせてしまったお詫びに先輩の手を
わずらわせる事なく、私が熱を測ってあげようかと……」
「せめて一言断れ!!」

 断りの文句を言われても絶対に了承しないが。

「さっき、『分かった』って言ったじゃないですか」
「言い切ってな……う……」

 ズルズルとベッドに埋まる俺。
37: 日常 04/10/30 19:16 ID:ZpiKchH6(23/30)調 AAS
「大声だしたらめまいが……」
「ほら無理しちゃダメですよ先輩。おとなしく私の手に掛かってください」
「……すごく不穏当な発言だぞ、それ」

 なんていう冷静なツッコミも虚しく、彼女はこっちへ身を乗り出してくる……って、
さすがにマジでヤバイだろ! もしこんなトコを誰かに見られ――

「おーい、アソー? まだまだ生きてる――――」

 ……まあ、この場合、だ。俺に過失があったとすれば、それは彼女の奇行に気を取られ、
接近していた菅の気配に気づかなかった事くらいだと思う……。
 別に、俺は彼女にこうしてくれと頼んだわけではない。むしろ拒絶した側だ。
 よって、何人(なんぴと)といえど、俺を非難する権利も何もないはずなのだが……。
38: 日常 04/10/30 19:17 ID:ZpiKchH6(24/30)調 AAS
「――アソ……懐かしいよな。ザリガニやらカエルやらを追いかけていた小学校時代……」

 そうだな。その頃、俺とお前はまだ知り合ってなかったけどな。

「中学校時代……女の子に初めて告白をして、フられた俺を慰めてくれたよな……」

 そんな思い出も記憶もないけどな。

「俺、お前と高校で知り合えてよかったよ」

 ……上の流れはなんだったんだ。

「じゃあな、アソ。冬木によろしく言っとくよ」

 そうか、じゃあな…………って、待て待て! マジか!

「マジだ」

 ……俺、喋ってないんだが……アイコンタクト?

「フ……」

 と、菅の奴がニヒルに笑みをたたえたかと思った次の瞬間。
39: 日常 04/10/30 19:18 ID:ZpiKchH6(25/30)調 AAS
「明日から平穏な生活を送れると思うなよぉぉぉぉぉおっ!!」

 体育祭で見た播磨の猛ダッシュをも上回る勢いで廊下を疾駆。……そのダッシュが出来れば
もう少し、あのリレーも楽になったんじゃないだろうか。

「今の人……以前に先輩の家を教えてくれた人ですよね?」
「ああ……まあ、多分な」

 あの走りを見る限り、本人かどうか怪しいものだが。

「それはそれとして、先輩。ほら早く熱を測りま――」

 キーンコーンカーンコーン……

「……ほら、昼休みが終わったぞ。遅刻したくなかったら早く教室に戻れ」
「……むー……分かりました」

 どことなく寂しそうな後姿を見せつつ、彼女は保健室を後にした。
 ちなみに、ひとりになった後、測った熱は37.3まで下がっていた。
 ようやく解熱剤の効果が出たのか……それとも彼女の看病が効いたのか……。
 ……まあ、せっかくだから後者ということにしておこう。

 ちなみに、次の日から男子も女子も俺を見る目が微妙に変わっていたが、
それはまた別の話……。
40: 日常 04/10/30 19:20 ID:ZpiKchH6(26/30)調 AAS
 彼女は午後以降も保健室へ足を運んでくれたが、特にコレといった事もなく放課後を迎え、
早々に部活(茶道部らしい)へ行った。
 対する俺は、授業も結局全欠で部活も休んだ(というか顧問に止められた)。
 家に帰った後もさっさと布団に入り、なんとも実りのない一日を送る事となった……。

「……もうそろそろ夕飯か」

 布団に入ったまま、部屋の時計を見てひとりつぶやく。
 俺の脳裏によぎるのは、発した言葉とはなんの関係もない、保健室での彼女の事。
 ……もし、あの時……俺が右手を間に挟まなかったら……どうなっていたんだろうか?
41: 日常 04/10/30 19:20 ID:ZpiKchH6(27/30)調 AAS
 まあ、彼女がそうかどうかは知らないが、もしファーストキスだった場合、やはり
傷ついたり、涙を見せたりするんだろうか……。
 男よりも、女の方がそういった『初物』に対する感動は深いと、良く目にする。

 もしあの時、そうなってしまっていたら……彼女は、俺をどういう目で見るのだろう。

 俺は、彼女を、どう見れば良いのだろう?

「兄ちゃーん。ご飯できたってー」

 弟の声で、俺は自分だけの内面世界から、この世界へ帰還を果たす。それは、俺だけじゃない、
色々な人間が住まう所で『日常』という限りなく続く物によって構成される。そんな場所。
 でも、多分……きっと、明日から歩む日常は、今まで違う。
 それは、本当にささやかな違いでしか、ないんだと思う。

 ――でも、そう。それでも確かに、それは明確にそこにあって、その当人足るのが、
俺と彼女に違いないと……そう思った。
42: 日常 04/10/30 19:21 ID:ZpiKchH6(28/30)調 AAS
「はぁ……」

 屋根裏の自室。その中にあるベッドに顔をうずめながら、私はため息を漏らす。
 今日の私……いつもとどこか違っていたと、きっと先輩も分かってる。
 明日から……今もさほど太くない接点を、もっと細くされてしまうかもしれない……
そう思うと、ほんの少し、自責と後悔の念が湧き上がってくる。

 それでも、私は動いてしまったのだ。
 今のままで、嫌だった訳じゃない。でも、それ以上を求めてしまった……。
 それだけの事。それゆえの事。

「……先輩……」

 つぶやいて、布団の中にもぐりこむ。全てを拒絶するかのように、深く深く。
 起こしてしまった事は変えられない。過去はどうあがいても、変えられない。
 なら……せめて……せめて未来は……。

―――ささやかで良い……どうか、今までと、ほんの少し違う『先輩との日常』を―――

 了
43
(1): 通りすがった麻生サラ好き 04/10/30 19:23 ID:ZpiKchH6(29/30)調 AAS
以上です。
最近、ようやくプライベートファイルを手に入れました。
で、麻生の方はどうやらそこまで意識していないとの事で……と言うわけで、
サラにがんばって貰いました。

もし、作品の中盤で彼女のキャラに違和感を感じていただけたら幸いだと思ったり……w

では、失礼いたしました。

ってか、最近、風邪ネタ多い(つД`)
44: 誘導されたのでここに来ました 04/10/30 19:56 ID:zINovQn6(1)調 AAS
【戦慄の】スクールランブル#89【ツインテール】 でちょこっと書いたところちょこっと
人気出たのでまた小出しにネタ書かせて頂きます。
とりあえず
麻生、菅、花井はそのまま。
鼻デカ=青。その他1号=白。その他2号=紫(白はすでにRPG7を被弾し死亡)
軍事好きなヤツ=赤

以上です。ではちょっこす時間貰います。
45: 誘導されたのでここに来ました 04/10/30 20:02 ID:/LBdy78U(1)調 AAS
とりあえず誘導される前の文がこれです

「教室が猛攻を受けている!花井を除く全員、教室まで撤退、撤退!」麻生の叫びを聞き、
全員は全速力で撤退を開始した。しかし、先行していた白の甲高い声が麻生の耳に入ってきた。
「麻生!あそこの角に誰かいるぞ!」
「なに?誰だ!」
「わからんが肩になにか長い筒のような物を抱えてる!先は丸くなっていて、こっちに向いて・・・」
次の瞬間だった。沢近が金を惜しみなく使って買ったスモーキーズ製RPG7が爆音を立てて発射された。
40ミリスラグ弾は先行していた白の足元に着弾し、ポリプロピレン製弾頭は飛び散り、白の体に直撃した。
幸運な事に白がバリアとなり、他のメンバーに被害は出なかった。白は痛みをこらえながら「ヒット・・・した」
と声を絞り出し息絶えた。「ちくしょぉぉぉぉ!出て来い!この野郎!」菅が激高し、MP5を乱射している。
「全員、銃を撃ちながら走れ!このままだと全滅しちまう!撤退だ!」麻生は倒れている白の事を気にしながらその場を離れた。
麻生は走りながら頭の中でこう考えていた。
演劇軍は本気だった。アイツラはこれをお遊びだとは考えていない。戦争だ。これは戦争じゃないか。俺は楽観視しすぎていた・・・
麻生はこれを単なる遊びと割り切っていた自分に激しく後悔した。顔を真っ青にしながら走る紫の横について麻生はこう言った。
「これは戦争だ!本物の戦争なんだ!」
46
(1): 04/10/30 20:07 ID:MTtTEPeg(1/2)調 AAS
>43
GJ!麻生と菅のアイコンタクト?がとても面白かったです。。。
もう少しサラと麻生の絡みに盛り上がりがあると良いかと。
個人的にキスしちゃった方が良かったかなーと。
あくまで個人的です。。。
47
(1): 04/10/30 20:13 ID:HOR9rOQE(1)調 AAS
>16->43、楽しく読ませてもらいました。
麻生とサラ、此れくらいの距離がいいですよね。
ZpiKchH6さん、今後があるなら、麻生がどうサラに近づいていくのか、
はたまた第3勢力が割り込んで来るのか。
よかったらそういうのお願い…って図々しいっすね
とにかく、乙です。

「はえ?」とか「むー」ってのは…可愛いっすけど。
48: 誘導されたのでここに来ました 04/10/30 20:49 ID:Cidm1YTY(1)調 AAS
教室に到着するなり麻生は持っていた銃を投げ出し校内電話を使って演劇軍にコンタクトした。
「どういう事だ!ロケットランチャーがあるという話は聞いてないぞ!!」
この問いに高野は淡々と答えた
「個人の持ち込み武器は改造銃ではない限り何を使用しても良いと言ったわ。その事は覚えてる?」
「しかし、あんな武器の持ち込みは・・・」
「個人持込武器まで私は面倒見切れないわ。それでは健闘を祈るわ。じゃ」
「おい!まだ話は」
非情にもそこで電話は切れた。そして高野はもう麻生から内線がかかってこないように
電話線をモジュラージャックから外した。もう2度と高野の耳に麻生の声が入ることはなくなった。

「駄目だ、電話線を引き抜きやがった。」麻生の悲壮な声が教室に響くまでそう時間はかからなかった
49: 04/10/30 20:59 ID:xk5/NhuU(1)調 AAS
管、かわいそ…
50: 誘導されたのでここに来ました 04/10/30 21:17 ID:FEtE.C/o(1/3)調 AAS
「アソ、どうすんだよ。またRPG撃たれたら次は間違いなく壊滅だぞ。そうなったら俺達の負けだ。」
沈黙を破って菅が発言した。さらに菅はこう続けた。「それに主戦力である花井の生死は不明。戦力の分散化は
危険だと思うぜ。」ここで周防も口を挟んだ「弾が切れてもどうやっていいのか分からない人が結構いる。せめて
エアガンに詳しい赤だけはここに置いといて欲しいんだけど・・・」

しばらく考え込んでいた麻生が口を開いた「分かった。赤はこの陣地で女子を支援してくれ。防御陣地は5人で。
攻撃に重点を置き、RPGの射撃手は発見次第直ちに射殺。排除しろ。次に偵察要員として2人。菅と紫が先頭に立って欲しい。
俺は二人をバックアップする。兵力の分散化を進めると返って全滅する可能性がある。そこで階段に見張りを1人立てて階段部の警戒にあたる。
見張りだが異常が発生したら大声で叫べ。すぐに俺達が援護に向かう。まずは3Fからの索敵を開始する。以上だ。異論のある人は手を挙げてくれ。」
指揮官のいなくなったここでは麻生の意見に従うのが一番だと判断したのだろう。異論は誰からも出なかった。

「それでは作戦開始!!」麻生の一言で攻撃隊は廊下へと飛び出した
51
(1): 04/10/30 21:36 ID:H0iANJYg(1)調 AAS
投下するなら書き上げてからまとめて投下しろ。
他の人が投下できなくなるだろ。
52: 誘導されたのでここに来ました 04/10/30 21:38 ID:FEtE.C/o(2/3)調 AAS
暗闇だけが学校を支配する。暗闇を照らすのは月の薄明かりだけ。本当なら蛍光灯を付けるところだが
付けたが最後、敵に自分の居場所を示す事になる。それがどれだけ危険な事か、偵察隊員の菅はその恐ろしさを
分かっていた。もし自分の場所がばれたらあのRPGで撃たれるのだろう。あんなものが体に直撃したら・・・
ぞっとした。横では紫が「見つけたらフルオートでBB弾を敵に叩き込んでやるぜ。」と意気込んでいた。
「おいおい、あまり興奮すると体に悪いぜ。」菅は自分に言い聞かせるように紫に話しかけた。とその時だった。
「これから3Fの索敵を開始する。見張りは原さん、お願いします。菅、紫。フルオートじゃなくてスリーバーストモード
にセットしてくれ。」セレクタレバーを変える軽い音が廊下に響く。「それでは進軍開始!」

菅と紫はじりじりと進んでいく。途中、教室の中をチェックしながら進んでいく。尤もドアにはカギがかけられていたので
中に入るのは困難だろうが。このまま何もおきなければ良いんだが・・・麻生は心の中で祈ったその時だった。
偵察隊の紫が異変に気づいた。これまで固く閉ざされていたドアが開いている。
「麻生、2-Cのドアが開いている。ちょっと様子を見てくるからバックアップ頼むわ。」
「よし、じゃあ俺と青がバックアップする。菅、紫。突入してくれ。スリーバーストじゃなくてフルバーストに変えてくれ」
「了解」
53: 誘導されたのでここに来ました 04/10/30 21:39 ID:FEtE.C/o(3/3)調 AAS
>>51
ごめん、しばらくしてまとめて投下するよ。ごめん
54
(1): 通りすがった麻生サラ好き 04/10/30 21:50 ID:ZpiKchH6(30/30)調 AAS
確かに、そうしないとロクに推敲も出来ませんしね。
55: 誘導されたのでここに来ました 04/10/30 21:57 ID:/1orkGok(1/2)調 AAS
>>54
あぁ、俺の馬鹿!そんな重大な事も忘れてた・・・申し訳ない。ほんとすいませんorz
56: 46 04/10/30 22:04 ID:MTtTEPeg(2/2)調 AAS
俺も気づかずレスしてスマン。。。

こういった作品は好きだ!
作品が仕上がったらぜひ読ませてくれ!!!!
57: 誘導されたのでここに来ました 04/10/30 22:04 ID:/1orkGok(2/2)調 AAS
しかも原って誰だよ・・・原じゃなくて城戸だよ・・・何俺の友達の名前打ち込んでんだよ・・・
58
(1): [age] 04/10/30 22:30 ID:FeM2MxJ6(1/2)調 AAS
沢近のようなツンデレキャラはマガヅンでは最終的にくっつく場合が多い

逆に天然系は二号サン扱いが多い

よって、播磨x沢近 二号さん 天満 三号さん 八雲 が導き出せる。

間違いない
59: 04/10/30 22:49 ID:VntvWSzM(1)調 AAS
知るか
荒れそうなこと書き込むんじゃない。

↓以降SS待ち
60: 04/10/30 23:06 ID:999syIRo(1/2)調 AAS
>>58
てめぇの考察なんざ誰もきいてねぇよ。(・∀・)カエレ!!
61: 04/10/30 23:19 ID:GFQC6smE(1)調 AAS
言うまでもないが、ステータスとしては、愛人>>>>>>>>本妻
62
(1): 04/10/30 23:31 ID:LVRy5phQ(1)調 AAS
播磨は誠実だし、優しいし、絶倫だから、
一号も二号もないよ。
63: 04/10/30 23:35 ID:999syIRo(2/2)調 AAS
>>62
絶倫かよΣ(´Д`;)
64: 04/10/30 23:51 ID:FeM2MxJ6(2/2)調 AAS
高野は浮いた話無いな
65: 誘導されたのでここに来ました 04/10/31 00:08 ID:mArs8CVs(1/7)調 AAS
突入した紫と菅の前にいたのは沢近だった。その美しい金髪を降りさけながら踊っていた。
月の光が金髪に反射してキラキラと輝き、まるで踊り子のようだった。ただ踊り子と異なっていた点は
その手に6インチコルトパイソンを握っている点だった。「美しい・・・」紫が漏れるように話したまさに
その瞬間だった。冷酷に、静かにその声は沢近から聞こえた。「撃て。」

紫と同じように沢近の姿に見入っていた菅はその一言で我に帰った。目を凝らすと沢近の後ろにナニカを構えた人間がいた。
まさかRPG!?マズイ!慌てて伏せの体勢をとりながら紫に叫んだ。「伏せろ!」だがもうその時は遅かった。
RPGから発射されたポリプロピレンの破片を紫は避けられるはずもなくその場で倒れた。
「何があった!?」ドアを開けてこっちを見る麻生と青。ドア際に立つ彼らは演劇軍からしてみれば単なる的でしかなかった。
66: 誘導されたのでここに来ました 04/10/31 00:08 ID:mArs8CVs(2/7)調 AAS
麻生は瞬時に紫を撃った武器を悟った。あのガスの出る不快な音、ポリプロピレンの破片。間違いなく白を一瞬で行動不能に
陥らせたRPGだ!麻生は慌ててドアの影に隠れた。青は麻生が隠れるのを見て慌てて隠れようとした。だが遅かった。
たった2秒遅かっただけなのだが、2秒のタイムラグは青を行動不能にさせるには十分な時間だった。沢近はパイソンの
弾丸を徹底的に青に浴びせた。「ぐわぁぁ!ヒットした・・・ぞ・・・」廊下に響く青の声。手から落ちるMP5。

どうやら菅を行動不能にする気らしい。教室の中ではバスバスとRPGの弾頭の破裂する音と兆弾したBB弾が
ドアにあたるカツカツという嫌な音が絶え間なく聞こえてくる。麻生は心の中で毒づいた。畜生!畜生!畜生!とその時だった。
「どうしたの!?」階段で見張りをしていた城戸が大慌てで来た。「来るな!RPGがいる!危険だ!それに見張りは!?」
麻生が叫ぶ。「大丈夫、代わりの人を呼んできてあるから。」「代わりがいるなら大丈夫だな、よし。」
「中には誰がいるの?」「菅だ!身動きが取れないらしい!」「どれどれ・・・」「馬鹿、覗くな!危ない!」
麻生の制止を振り切って城戸がドアから教室の中を覗いた瞬間だった。
RPGの射手が一瞬怯んだ。今だ!菅はRPGの射手が怯んだ隙を見逃さなかった。菅は持っていたMP5をフルバーストで
撃った。声にならない声を、叫び声を上げながら撃った。「菅を援護するぞ!」麻生の一言で城戸はもっていたMP5Kの弾丸を
教室に叩き込んだ。麻生はG3SASをやはりフルバーストで叩き込んだ。
67: 誘導されたのでここに来ました 04/10/31 00:07 ID:mArs8CVs(3/7)調 AAS
どれくらい時間が経っただろうか。自分の中では1時間は経っていただろう。だが紫と青がやられてからまだ10分も経っていなかった。
沢近はどうやら不利を悟ってベランダを伝って逃げたようだ。まだうずくまっているRPGの射手の頭に銃口を押し付けた。
どうやらこいつには幸運の女神が付いているらしい。RPGと机が盾となり、被弾していなかったのだ。
「ゲームセットだ、この野郎。残念だったな。」トリガーを引こうとしたその時、城戸が割って入った。「駄目!撃たないで!」
麻生と菅が同時に怒鳴る。「なぜだ!コイツは仲間の命を2人も奪った野郎だ!許されない!」「それはわかっているの・・・
だけど・・・お願い、もう戦う気は彼には無いわ。」「円・・・」そう、RPGの射手は他でもない梅津茂雄だった。

「わかった、行くぞ。菅。」麻生は菅に言った。「でもよぅ、アソ。」思いっきり不満な顔をしている菅に麻生は耳打ちした。
「あの二人の雰囲気をぶち壊す気か、菅。」そう言われて菅は初めて気づいた。城戸と梅津の周りだけ少女マンガの世界に
変わっている事に。「しばらくあの2人はあのままにしておこう。」「そうだな、アソ。だけどまだ制圧はしきれてないぜ。」
「あぁ、わかっているよ。さてどうするかね。」と言い掛けたその時だった。教室から乾いた音。慌てて振り返ると
逃げたはずの沢近が窓の外から教室の中に銃を向けていた。そして、銃口の先には倒れた城戸がいた。
68: 誘導されたのでここに来ました 04/10/31 00:08 ID:mArs8CVs(4/7)調 AAS
城戸は何が起こったのか理解できなかった。背中に走った激痛、1発、2発、3発。あまりの痛さにその場でうずくまった。
城戸の視界に入ったのは叫び声を上げながら乱射する麻生と菅の姿。「油断しちゃいけないわよ。」と笑いながら話す沢近
の声、そして気遣う梅津の表情だった。梅津は必死に話しかけてくる「円・・・大丈夫?痛くない?」
「痛くない訳ないでしょ?馬鹿ね・・・」「最後まで円と一緒か・・・」「そうね、最後まで茂雄と一緒だったのね、ふふ。」
イタズラっぽく笑って城戸は眠りについた。

「やられたのは3人か・・・かなりの戦力ダウンだな。」「アソ、俺らの軍隊で男は俺、お前と赤。
生死は分からんが花井しかいねぇ。相当キツイぜ。」「兎に角沢近をなんとかしないとお話に・・・」
麻生と菅の会話に梅津が割って入った。
「俺が喫茶店軍に入る。」
69: 誘導されたのでここに来ました 04/10/31 00:09 ID:mArs8CVs(5/7)調 AAS
「なんだと!?」菅が素っ頓狂な声を上げた。「お前、正気か?さっきまで敵だった俺達の軍に入るなんて!」
「無茶を言ってるのは重々承知の上だ。だが俺は円を目の前で殺られた。俺はアイツの仇を討つ。」
「馬鹿を言うのも程々にしろ!お前は俺達に何をした?ロケット砲で俺達を攻撃してきた。結果2人も死んだんだぞ!」
麻生は菅と梅津の押し問答を聞いていたが静かに口を開いた。「梅津、俺達を裏切らないと誓うか?」
この一言を聞いて菅は「何言ってるんだよ!敵だぞ、敵!」まだ何か言いたそうな菅をさえぎり麻生は続ける。
「お前が本気なら俺はいいぞ。」菅は魚みたいに口をパクパクしている。が菅を無視して梅津は
「沢近の命を殺る。」と言った。この一言で梅津は喫茶店軍に亡命した。

喫茶店軍に入った5分後、梅津は沢近との合流地点に向かっていた。麻生に渡したRPGの代わりに麻生から渡してもらった
ベレッタ93Rを片手に。あそこの角を曲がればそこに沢近がいる。角を曲がって沢近と会った。
「あれ、貴方まだヒットしていなかったのね。」沢近は驚いた表情で、しかし冷静に梅津に話した。
「そう簡単にはくたばらないさ。お前を倒すまではな!」沢近の眉間にM93を突きつけこう言った。
「動くな。円の仇だ。」校舎を照らしていた月が雲の陰に隠れ、沢近と梅津の周りは暗闇に支配された。
70: 誘導されたのでここに来ました 04/10/31 00:27 ID:mArs8CVs(6/7)調 AAS
「あぁ、やっぱり貴方裏切ったのね。薄々感づいていたけどね。でも、殺された彼女のために敵に身を
売るって言うのは嫌いじゃないわ。私。」と冷静に沢近は言い放った。梅津が何か言いたそうだったがそれをさえぎり
話を続けた。「貴方は馬鹿ね、菅君と麻生君、貴方の3人で来たらカタはついていたのにたった一人で来た。彼女を殺されて
頭にきてるのは分かるけど、得策とはいえないんじゃないかしら?」沢近の一言でキレた梅津は静かにこう言った。
「煩い。」だが言ったその瞬間だった。沢近の後方で待機していた元SAS軍曹の執事の中村はベルファストでIRA闘士を
暗殺した時の腕で彼の持っていたM93を弾き飛ばした。彼の腕は鈍っておらず、戦闘能力を梅津は瞬時に奪われた。
形勢は逆転した。

梅津の眉間にパイソンをつきつけ沢近は言った。「私、貴方みたいな人嫌いじゃないわ。だけど、敵に自分を売るような人は嫌いなの。
貴方、演劇軍クビよ。」バスっという乾いた音。崩れ落ちる梅津。その脳内ではこの言葉が巡りめぐっていた。

ごめん、円・・・俺・・・君の仇を討てなかったよ・・・
71
(2): 誘導されたのでここに来ました 04/10/31 00:29 ID:mArs8CVs(7/7)調 AAS
なんか眠くなってきたのでところどころテキトーな部分がある上、
物語がいつまでも無限に広がる可能性があったので無理矢理話を終わらせてしまいました。

結果的にオチは最悪。最初に出てきた人物が生かしきれなかったのが非常に残念です。

もうガンガン叩いてくれて結構です。も、もう睡魔の誘惑に打ち勝てそうにないので落ちます。
おやすみなさい。
72: 04/10/31 00:44 ID:7OnoVdbQ(1)調 AAS
>>71
じゃあ、一言だけ。
沢近の台詞とか、元ネタあるだろ。何かはあえて言わないが。
73: 04/10/31 02:12 ID:Qk7QaXy2(1)調 AAS
前スレの終わりが物凄く気になるのですが。
74: 04/10/31 02:36 ID:n.0hKlvQ(1)調 AAS
たしかにものすごく気になるなぁ。
放置プレイ?
75
(1): [sage ] 04/10/31 02:42 ID:Z7NEluiY(1)調 AAS
前スレで投下してた名無しです
お目汚しすみませんでした。
埋め用にと思っていたもので、
新スレにはどうかと思ったので、残りは避難所の292から書かせていただきました
容量を考えずに勝手に投下してしまい、申し訳ありませんでした。
よろしければ感想、アドバイスご指摘お願いします。
76
(1): 04/10/31 03:20 ID:jFT5/40o(1)調 AAS
クズリさんのサイト、カウンターの回り方が異様に速いと思ったら、単に二重カウントもカウントしているように設定してあるんだね。
出来たばっかりなのに50000ヒットはおかしいと思ったよ。
77: 04/10/31 09:37 ID:tT/SfGGI(1)調 AAS
>>75
もうちょっとホラー風味が欲しかったな。
まあ、萌える。幽子SSGJ。
78: パンプキン☆クラーク 04/10/31 20:33 ID:Sjw9qHcs(1/17)調 AAS
「ヒゲ、あんた何で皆が集まって仮装してるかわかってる?」

「あ?知らねーよ。大事なことなのか?」

眼前で黒い布をマントのように羽織りこちらを見下すように眺める女性を播磨は見上げた。
そうなのである。この播磨という男、今日どんなパーティが催されるのか全く知らないのだ
が、塚本家で行うということだけ耳に挟みこの場で浮ついていたのであった。

「はぁ〜あ、やっぱりね。日本出たことないアンタにわかるワケないと思ったわ。」

その言葉通り、さして期待していなかったと言わんばかりに播磨の目の前の女性は仰々しく
両手を広げ肩を上下させる。そのあからさまに馬鹿にしたポーズを前にして、流石の播磨も
堅く拳を握りその塊を震わせる。
(うるせーな…漁船でなら日本出てんだよチクショウ。)
播磨にしてみればこの女性と関わるのは極力避けたいと常日頃から考えているのだがどうい
うわけか絡まれてしまう。最近では、この女は俺にケンカを買ってほしいのか?と少しだけ
本気で思ってしまうほどだ。

「仕方ないから海外在住経験の豊富なこのア・タ・シが無知な猿に教えてあげるわ。今日は
 ハロウィーン・パーティでね。所謂仮装パーティなの。そもそもこの起源は…

そう聞き及んだところまでで播磨の意識は奥の部屋の方へと移った。それは勿論その奥の部
屋に彼の想い人、塚本天満その人がいたからである。今まさにカボチャのマスク(?)を被り、
マスクの後頭部あたりから触角のように結った髪をピョコンと出しているのが目に入った。
(天満ちゃん…お面を被ってもその愛らしさは滲み出てるぜ…)
と、一人悦に入って楽しんでいたのだが、突然その視界を眼前の女性の美しい金色の髪と綺
麗に整った顔に遮られた。

…って、ちょっと!聞いてんの?アンタの為に説明してやってんだからね!」
79: パンプキン☆クラーク 04/10/31 20:46 ID:Sjw9qHcs(2/17)調 AAS
「お、オウ。聞ーてるって。」

「ホントかしら?まぁいいわ。要は『Trick or Treat?』って言ってお菓子を渡し合うの。」

「とりっくおあとりーと?何だそりゃ。」

「お菓子くれなきゃイタズラするぞ!って意味よ。それで受け取ったお菓子を食べ合うのが
 今日のパーティなの。嫌なら帰っていいわ。呼んだ覚えもないし。」

「やりゃーいいん…やらせてください。」

彼女の表情の変化を播磨は見逃さなかった。と同時に謙った言い方に変更する。手慣れたも
のである。今や眼前の女性、沢近愛理に対する播磨の態度はパブロフの犬のそれと同等なの
であった。
(それにしてもお菓子か…)
何で女ってやつはお菓子だけでパーティが開けるのだろうと播磨は思った。だがいくら考え
てもそれは理解できないことだしする必要もない。それより今は天満ちゃんと同じ空間にい
ることを楽しまなければと瞬時に頭を切り替える。
(それにガムくらいなら俺も持ってるし…女のこと言えた義理じゃねーしな。)
そして天満のいる方へ一歩を踏み出そうとしたその時、またも沢近から声が投げかけられた。

「それじゃこれアンタの衣装ね。晶が持ってきてくれたのよ。感謝なさい。」

「…衣装?まさか俺も着替えるのか?」

「当然でしょ!どこの世界にサングラスと学生服でハロウィンやる馬鹿がいるのよ!」

かくしてパーティは始まったのであった。
80: パンプキン☆クラーク 04/10/31 20:47 ID:Sjw9qHcs(3/17)調 AAS
大きなテーブルを囲んで集まった皆が思い思いに談笑している。
魔女、パンプキン、ドラキュラ等ほとんどが西洋のお化けの格好をしているが中には明らかに
場違いな姿もあった。河童やぬり壁、果てはドジビロンマスクまで。姿までもが皆思い思いの
ままであった。
そして播磨はというと、

「…なぁ播磨、でいいんだよな?お前何だそりゃ?」

隣に座ってる魔女、もとい魔女の格好をした周防美琴が播磨に尋ねる。
尤も美琴がこう尋ねるのも無理はなかった。播磨の為に元々晶が用意した衣装はドラキュラの
もののはずであり、当然播磨の衣装はドラキュラのそれである。しかし首から上は違っていた。
どうしてもドラキュラのイメージとしてサングラスは不可というのが皆(特に沢近)の見解だっ
たが、播磨には天満に素顔を見られてはならない海よりも深い理由があった。
それ故に苦肉に策として天満と同じパンプキンヘッドを被っているのである。しかし天満のよ
うに背が低く衣装も揃ってるパンプキンならともかく、播磨は体格が良く、更に衣装は黒色の
侯爵服だ。なのでそのアンバランスさが逆に不気味さを醸し出す、奇妙なお化けがここに新生
していたのだった。

「まぁいいわ。これはこれで過去の通例に挑戦的な姿ともキメラとも言えなくもない…」

と、逆隣に座っている晶が許可を示す。何故か晶の体はおろか、顔までも目の部分を除いてほ
とんどが包帯でグルグル巻きだ。

「まぁ仮装は良いとして、お菓子買って来たんだろーね?」
美琴はもう一つの不安な点を遠慮することなく播磨に投げかける。

「ああ、さっき急いで果物屋で買って来たぜ。」

と、テーブルの下から包みを出しテーブルに置く。
美琴は果物屋という言葉に若干の違和感を覚えたものの播磨が包みを開けるのを待った。
81: パンプキン☆クラーク 04/10/31 20:50 ID:Sjw9qHcs(4/17)調 AAS
そうして包みを開けて出てきたもの。それは、

    バ ナ ナ

であった。
瞬間、美琴は幼稚園時代に「バナナはおやつに入るんですか?」とギャグで言って遠足前日に
クラスを沸かせた自分を場違いにも思い出していた。

「あらら」

晶はそれだけ言うと席を立ってしまう。
勿論播磨はギャグでバナナを選んだのではない。前に妹さんを借りていたお詫びに天満にバナ
ナを手渡したところ喜んでそれを食べていた姿をしつこく覚えていたのである。
(これで天満ちゃんに喜んでもらおう!)
そう意気込みテーブルを挟んで斜め向かいに座っている天満の方を見ると、触角の飛び出たパ
ンプキンと河童の姿をした烏丸が仲睦まじく(少なくとも播磨にはそう見えた)談笑してるのが
播磨の目に映った。

orz

そ…
そうだった…天満ちゃんは烏丸のことを…

わかっていたとは言え眼前の光景がショックでしかない播磨は、まだ固まったまま放心してい
る美琴を尻目に席を立ち、逃げるように台所へ逃げるようにして引っ込んだ。
そして台所に行く播磨を見ていた一人の女性も同様に席を立つのだった。
82: パンプキン☆クラーク 04/10/31 20:56 ID:Sjw9qHcs(5/17)調 AAS
塚本家の台所に立って播磨は思いふける。
先程の光景と、天満の嬉しそうな顔を。
(わかっている。彼女の心は俺には向いてねぇ。)

「あ、あの…」

(だが…そう簡単に諦められるワケねーだろう。)

「播磨さ…ん?ですよね、あの…」

(もっかい時間を置いてから話しかけてみるっきゃねーな。)

「あの、と…トリック・オア・トリート。」

ふとその言葉を初めて耳で認識し、播磨は自分に話し掛けてる者がいると気付き、慌てて後ろ
を振り向いた。カボチャ頭のまま勢いよく振り向いた為、少し視界がズレたがその女性が自分
の異様な仮装にビクッと体全体が震えたのは見てとれた。
その女性は異性にして播磨の友人ランク第一位の塚本八雲だった。
少しだけ憂いを帯びた顔立ちで播磨の前に立っていた。
83: パンプキン☆クラーク 04/10/31 20:59 ID:Sjw9qHcs(6/17)調 AAS
「は…りまさんですよね?どうかしたんですか?」

「い、妹さんだったか。…いや、何でもねーんだ。」

「でも…さっきは」

「そうだ!妹さんさっき何か言ってたよな?確かお菓子をあげなきゃいけないんだっけ。」
 言葉を遮るようにして播磨は話を反らす。この子は勘が鋭いところがあるとの播磨の直感故
 だった。

「え?は、はぁ…でも別にそんな…」

「いいっていいって遠慮しなくて。妹さんコレ受け取ってくれよ。」

そう言って播磨は房ごとバナナを八雲に手渡した。八雲は戸惑いながらも受け取ったバナナを
眺める。どういう反応を示せばいいのか思案している様子である。
84: パンプキン☆クラーク 04/10/31 21:04 ID:Sjw9qHcs(7/17)調 AAS
八雲が思考を巡らせてる間に、播磨は八雲の向こう皆のいる居間の方へと目を見やる。相変わ
らず天満と烏丸は二人で話しこんでいるようだ。周りの皆が気を遣い二人っきりで話せるよう
に配慮しているらしかった。
(この分じゃ今日は諦めるしかねーな…)
天満の幸せそうな顔を心眼で思い浮かべながら播磨はそう思った。

「あの…いいんですか?これ丸ごと貰っちゃって。」
 おそるおそる八雲が尋ねる。どうやら八雲が最良の答えと弾き出したのがコレのようだ。

「構わねーさ。思えば漫画手伝ってもらった時の御礼とか全然してなかったしな。」

「でも丸ごと貰ったら播磨さん他の人にお菓子あげられなくなるんじゃ…」

「大丈夫。っつーか俺用事思い出したんで帰ーるわ。だから全部貰ってくれ。」
 (ここにいると辛いだけだしな…)と自分の言葉に付け加えるように考える。

「えっ?でも、」

「お姉さんと一緒にでも食べてくれや。じゃあな妹さん。」
 と言うや否や、播磨は台所を抜け玄関へと向かおうとした。が、

「待ってください播磨さん。あの…これあたしのお菓子、です。」

そう播磨の背中に声がかけられる。振り返り見ると八雲は顔を俯け、それとは対照的に両手を
播磨の真っ直ぐ突き出している。そしてその手先には白い包みが握られていた。
乳白色の紙包みに赤いリボンが上手く映えているのが印象的な包みだった。皆で食べるための
お菓子…というよりも誰かにプレゼントする為に装飾してあるようにも感じられる。それを裏
付けるかのようにその包みの封は今だ切られていない様子である。

「へ?俺に?でもそれこそ妹さんが他の人にあげる分がなくなるんじゃ…」
85: パンプキン☆クラーク 04/10/31 21:06 ID:Sjw9qHcs(8/17)調 AAS
「い、いいんです。他の人の分は別に取り分けてありますから。だからその…」
 
受け取ってくださいという言葉をどうしても続けられずに俯いてしまう。その後の無言の時間
が八雲には何十分にも何時間にも感じられただろう。やがて、いや逡巡した後、播磨はいつも
八雲に漫画を見てもらう時のような自然な笑顔になった。

「そうか。それじゃあ遠慮なく貰っておくかな。もしかして手作りか?」

「ハイ、そうですけど…駄目、ですか?」

「いや駄目なわけないだろ!お菓子ありがたく頂くぜ。それじゃ。」

一時だけお互い照れ笑いで向かい合うと、そう言って再び八雲に背を向け逃げるようにして玄
関へと向かう。それはこれ以上天満と烏丸が仲睦まじく話しているところを見たくないのもあ
ったが八雲との遣り取りが何故かとても照れ臭く感じたからだった。
八雲はそそくさと玄関へ向かう播磨を少しだけ見送り、

「良かった…。でも播磨さん、あの格好のまま帰るのかな?」

と、今の気持ちを素直に言葉にした。
86: パンプキン☆クラーク 04/10/31 21:09 ID:Sjw9qHcs(9/17)調 AAS
「ハ、ハリマ!考えてみたんだがやっぱりバナナはお菓子じゃないぞ!!」

「そりゃそうだ」

やっと復活した美琴は本来の播磨の席の方に向かって第一声を放ったが、その言葉は何故か播
磨の席に着いていた晶に即答されてしまった。美琴の方を見ず茶を啜りながら答える晶の姿は
どこか余裕が感じられる。つまりいつも通りということだ。

「あ、あれ!?播磨どこいった?」

「何か用事があって帰るみたいだよ。」

ふーん、と些か納得できない美琴は状況を把握するように周りを見る。塚本はどうやら烏丸君
と上手くやってるようだ…と、ふと晶の隣に蠢く白い包帯で顔すらも見えない物体に注視する。
その目線で察した晶は無言の問いに答える。

「ああこれ?花井君。八雲のお菓子お菓子ってうるさいからちょっと静かにしてもらったの。」

「キ…キツいな、花井の奴には特に。」

「後輩の頑張りを邪魔させたくないからね。…あ、あと友達の邪魔もか。」

「ん〜?…あ、あれ?そーいや沢近は?トイレか?」

「さあ…カボチャにイタズラしにでも行ったんじゃないかしら?」

晶の顔には微笑が、美琴の顔には怪訝な表情がそれぞれ湛えていた。
87: パンプキン☆クラーク 04/10/31 21:11 ID:Sjw9qHcs(10/17)調 AAS
塚本家の玄関の戸を開け歩き始めた播磨を迎えたのは冬の到来を知らせる冷たい木枯らしだった。
少し立ち止まり空を見上げてみる。すると彼の心を見透かしたかのように灰色の緞帳のような雲
が空に幕を下ろしているようにも感じた。
(天満ちゃんは烏丸のヤロウが…駄目だ!悪い方向にばっか考えちまう!今日は帰って寝よう!)

「ちょっと!待ちなさいよヒゲ!」

走って帰ろうとした播磨に向かって声が投げかけられる。しかし播磨には振り向かずとも誰だか
わかっていた。彼が一番係わり合いたくない女性だ、しかもこんな時に…。構わず無視して走り
去ろうとしたその時、右腕を両手でガシッと掴まれ無視して帰る計画は瞬く間に頓挫した。

「アンタ呼んでもいないのに来て、言ってもいないのに帰るつもり?」
 ギュッと両手で播磨の腕を強く握りながら沢近は言葉をまくしたてる。
「大体アンタお菓子だって誰にもあげずに持ち帰るつもりなの!?」

「うるせー、もうお菓子は妹さんに全部あげたんだよ!渡したんだからいいだろが。」

面倒臭そうに播磨が言う。すると突然腕にかかる沢近の手の力が消える。拍子抜けした播磨は沢
近を見やるが相手も何故か憮然顔である。

「へ、へぇ…あのコに。何?プレゼントのつもりかしら?全部あげちゃうなんて馬鹿みたいね」

気のせいか播磨は目の前の女性の強気に翳りのようなものを感じた。
もうその気になれば無視して帰れるが言われっぱなしも癪な播磨はここぞとばかりに反論する。

「ったくオメーは男と女を見たらそっちにしか考えられねーのか。いいか妹さんには色々世話に
 なってんだよ。そのお礼とお詫びを兼ねてお菓子全部あげたってワケだ。」

どうだと言わんばかりに播磨は鼻息を荒くする。しかしその言葉は沢近を窮させるどころか逆の
効果を示し始めた。
88: パンプキン☆クラーク 04/10/31 21:16 ID:Sjw9qHcs(11/17)調 AAS
「お礼?お詫び?…な、なんだそっか。それを早く言いなさいよバカヒゲ!」

「言う前にテメェが勝手に勘違いしてただけだろが!」

軽口を叩き合う二人。だが、彼女の表情には翳りといったものは最早見当たらなくなっていた。
それどころか普段の愛想笑いとは違う心よりの笑顔さえ時折顔を見せる。表情の変化には播磨
も気付いていたが何故なのか全く理解できず、やはりこの女はオカシイという短絡的な結論に
落ち着いた。

「Trick or Treat!!」

「…は?」

「聞こえなかったの?それとも理解できないのかしら? Trick or Treat?って言ったのよ。」

「…で?」

「アンタもう忘れたの?言われた人はお菓子をあげなきゃいけないの!早く頂戴。」
89: パンプキン☆クラーク 04/10/31 21:20 ID:Sjw9qHcs(12/17)調 AAS
「馬鹿かお嬢、もうねーって言ったろーが。」

「…そう、この私のイタズラの方がいいってわけね…」

途端に先程の笑顔は姿を消し、播磨の最も恐れる悪魔の微笑が姿を表した。今の彼女の格好、
吸血鬼の衣装の効果も相まってか本当に血を吸うくらいのことはしかねない雰囲気を醸し出
す。
それでなくとも彼女の恐ろしさを充分すぎるほど知っていた播磨は慌ててポケットやズボン
を探す。一瞬、八雲から貰ったお菓子を渡そうかとも考えたがそんな失礼なことはできない
とその考えを一蹴する。勿論失礼とは八雲に対してだが。
(ヤバイ…何かないか何か…!!こりゃあ…)
ポケットに突っ込んだ指先に当たる感触が何か、頭を巡らせる。TVで出演者が箱の中に手
を入れ中身を当てるクイズのように。しかしTVのそれとは違い播磨には瞬時にそれが何な
のかわかった。
90: パンプキン☆クラーク 04/10/31 21:29 ID:Sjw9qHcs(13/17)調 AAS
「ほらよ。」
 そうして播磨は沢近の眼前にそれを素早く差し出した。

「…これは何かしら?」

「見てわかんねーのか。チューインガムだよ。」

そうなのである。晶が用意した衣装は上半身だけで下半身は学生服のままだったのだった。
それで入れっぱなしの板ガムを助け舟とばかりに沢近に差し出したのだ。

「開封してないならともかく…残り2枚しか残ってないわ。」

「残り2枚も入ってるじゃねぇか」

しばしの沈黙、そして何も言わずに軽く俯いている沢近を何故か怒っていると判断した播磨
はどこから攻撃されてもダメージを軽減できるように、全身に力を入れた…その時
91: 04/10/31 21:29 ID:6prgrbt6(1)調 AAS
支援
92: パンプキン☆クラーク 04/10/31 21:38 ID:Sjw9qHcs(14/17)調 AAS
「プッ!アハハハハ!」

目の前で大口を開けて笑う沢近を見て、播磨はいよいよ自分の死期が近いと判断した。この
狂喜の後に何が飛んでくるかわからない…と恐怖しながら。
しかし沢近はひとしきり大笑いした後、播磨の手に持たれていたガムをそっと掴み、

「仕方ないわね、これで我慢してあげるわ。次はもっとまともなモン持ってきなさいよ。」

と少しだけ凄み塚本家の玄関へと走って行った。
播磨は攻撃されなかったことと罵声が飛んでこなかったことが不思議で暫くそこに棒立ちに
なっていたが、考えた末に今日は機嫌が良かったのだろうと無理矢理ともいえる理由に帰結
させることにする。
道路に止めてあるバイクに跨りキーを差し込むと同時にもう一つ、疑問が浮かぶ。

「アイツ次はって言ったよな…。もしかして俺カツアゲされ続けんのか?」
     ~~~~
93: パンプキン☆クラーク 04/10/31 21:40 ID:Sjw9qHcs(15/17)調 AAS
「どこ行ってたんだよ沢近。手洗いか?」
 黒いマントをたなびかせて居間に戻ってきた沢近に美琴が声をかける。

「え…えっと、まぁそのへんよそのへん。」

返答に少しだけ窮しながらも笑顔で自分の席に座るその姿に、美琴は普段以上の態度の柔ら
かさを感じた。そしてその理由を聞こうと「なぁ…」というのとほぼ同時に塚本家の外から
ドルルルルッとバイクのエンジンがかかる音を聞き、すぐにもその音は遠ざかっていく。
話の腰を折られた為、美琴は別の話題を振らざるを得なくなった。

「あの音は播磨だよな。アイツ本当に帰ったんだな。」

「播磨君…どうかあの姿で帰って警察呼ばれませんように。南無。」

その言葉を聞いて美琴は、あっと声を上げる。今の播磨は、服は西洋紳士風、顔はパンプキ
ンである。そんな怪しい人物がバイクに乗っていたら晶の言ったことが事実になる可能性は
大だ。しかし自分の格好に気付かぬまま帰ってしまった播磨を思い浮かべると、心配よりも
どことなく笑ってしまう美琴であった。

そんな友人達を尻目に沢近は座りながらテーブルの下で先程のガムを眺める。
封は切られ残りは二枚、包装は長らくポケットに入れていたのかクシャクシャだ。

(次は…来年のパーティこそは…もう少し上等なものを)

そんな二人でありたい。と、そう願ってやまない美しいヴァンパイアがそこにはいた。

                        fin & Happy Halloween!
94: 04/10/31 21:55 ID:Sjw9qHcs(16/17)調 AAS
即興で作ったんで文頭が1スペース空いてないとか文章おかしいとか多々ありますが、触発
させるような絵を描いてくれたお絵描き掲示板のハロウィン絵描いてくれた皆さんに捧げる

…ことができてたらいいな。

(物語の終わりから一時間後)
「イトコー、今帰ったぜ。」
「おかえりケンジく…!!」
「ん?どうしたイトコ。」
「ケンジ君新手の嫌がらせかい?…そうかハロウィーンの時期だったな」
「へ?」
「あいにく君にやるお菓子はない。しかしイ、イタズラされる気もない。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。話が見えねぇ。」
「うるさい問答無用だ。」

  カチリッ

顔を少し赤らめたソファの女性は手元の自動小銃の安全装置を外した━━━━━━━━。
95: 04/10/31 22:02 ID:Sjw9qHcs(17/17)調 AAS
それと支援して下さった方も有難うございました。ひっかかりまくり…。
96: 04/11/01 01:44 ID:0z/NrByE(1)調 AAS
GJ!
でも、絃子。自動小銃は残酷すぎると思います(w
97: Kiss of life 04/11/01 04:29 ID:Sog93hpo(1/22)調 AAS
 Question. あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.1 ツインでツンデレなE・SさんのAnswer

「ツンデレってのはどういうことよ?」

 気にしないでください

「フーン…それにしても なんでそんなことを教えなきゃいけないのよ?
 ……ま、別にそれぐらいことなんて別に話してもいいけど。
 私ほどになるとその程度の話なら色々あるしね
 そうね……う〜んと……」

 実はないんですか?

「そんなわけないでしょ! ったく……
 あ! そういえば、えらくムカつく思い出があったわ」

 では、それをお願いします。

「ちょっと学校で残ってたときのこと。クタクタになって教室に戻ると、私の席に座ってるハゲがいたのよ
 そのハゲバカのせいで、私は変える準備が出来ないわけよ」

 ははあ
98: Kiss of life 04/11/01 04:30 ID:Sog93hpo(2/22)調 AAS
「でも、ホラ私って優しいじゃない?
 寝かせといてやたのよ、そのヒゲハゲバカを、この私の机に」

 なるほど、その代わり彼の寝顔を見て楽しんでいたわけですね?

「……………なんで、そうなるのよッ!
 ったく、ともかく、ソイツぐっすり寝てるから…」

 もしかして『起きないと、キスするわよ?』とか言ったんですか? 

「………まあ、そんなことを言った気がしないでもないわね」

 それまた……で、実際にしたんですか?

「ノーコメントね、それは私だけの秘密ってトコかしら」

 分かりました、ありがとうございます
99: Kiss of life 04/11/01 04:34 ID:Sog93hpo(3/22)調 AAS
 Question. あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.2 超姉で二挺拳銃なI・OさんのAnswer

「なんだね、超姉というのは?」

 気にしないでください。

「まあ、いいだろう。そうだな……いろいろあるが、なにがいいかな」

 出来るだけ、表に出せる話題でお願いします

「なんだソレは、まあいい。
 そういえば、こんな話しがあったな」

 なんでしょう

「ほんの数日前だがね、ある従兄弟が私のところに来てね
 教えてくれと言うんだよ」

 なにをですか?

「口の中でサクランボを結ぶやつ、私の特技なんだがね」

 ははあ
100: Kiss of life 04/11/01 04:35 ID:Sog93hpo(4/22)調 AAS
「なんでも、将来彼女が出来たときのために、テクニックとして手に入れたかったそうだ。
 まあ、これが出来るとキスが上手いと言われているからだろうがね」

 それで?

「カワイイ従兄弟の頼みだ、教えてあげたさ。
 ……もちろん、たっぷりと朝までかけて、ネ」

 ……ちなみに、どうやってですか?

「知りたいかね? いちおう、質問に沿った話をしたつもりだが」

 ……結構です。最後にもう一つ、教えたのはソレだけですか? 

「ここは彼のためにノーコメントにしておこう、それが大人というものだ」

 分かりました、ありがとうございます
101: Kiss of life 04/11/01 04:36 ID:Sog93hpo(5/22)調 AAS
 Question. あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.3 シスターで黒なS・AさんのAnswer

「なんですか、黒って」

 気にしないでください

「しかし、神に仕える聖職者である私にその手の話題を振りますか
 なかなかチャレンジャーな方ですね」

 そういえば、そうでした。
 失礼しました

「……まあ、例えばの話ですが」

 はい

「朝起きると、ベッドから出ると朝食の匂いがしてきます
 寝ぼけながらふらふらとキッチンに行くと、先輩が朝食を作ってくれてたんです」

 ……先輩?

「あくまで例えばの話ですので、深い意味はありません。
 それでは、続けてもいいですか?」

 どうぞ
102: Kiss of life 04/11/01 04:37 ID:Sog93hpo(6/22)調 AAS
「私の体を気遣ってくれたんでしょうね。
 その優しさが嬉しくて、気づかれないようにスススと近づいて、呼ぶんです
 『先輩』って」

 体を気遣う?……いえ、なんでもありません
 それで?

「ビックリして振り向いた瞬間に、こう頬に……チュっと
 またビックリしながら、真っ赤になる先輩がもう可愛くて可愛くて……

 ははあ

「……なんて話とかならいいんですかね」

 はい、結構です。
 ……ちなみに、その先輩は男性ですよね?
 なんで、朝に『先輩』がそんな所にいるんですか?

「あまり野暮なことを聞かないのが、人に好かれる条件ですよ?」

 失礼しました、ちなみにこれは『例えば』の話ですよね?

「フフフ、ノーコメントにしておきましょう♪」

 分かりました、ありがとうございます
103: Kiss of life 04/11/01 04:38 ID:Sog93hpo(7/22)調 AAS
 Question. あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.4 ポニーテールでDなM・SさんのAnswer

「なんだ、Dってのは」

 気にしないでください。

「ったく、しっかし私にそんな色っぽい話はねえぞ?」

 それもそうですね

「……それはそれでムカつくな、とはいえ事実ちゃー事実だしな…
 あ! そういや、こんなのがあったっけ」

 なんですか?

「ん〜たしか幼稚園か低学年のころだったかな、キスについて噂が広がったんだよ
 確か……そうそう、キスすると子供が出来るってヤツ」

 ああ、よくありますね、そういう噂は

「んで、確かめようって話になって、私がキスしようとしたんだけど」

 さすがミコちん
104: Kiss of life 04/11/01 04:39 ID:Sog93hpo(8/22)調 AAS
「ミコちん言うな。でも相手がいなかったんだよ
 もしかしたら本当に子供が出来るかもしれないってビビちまって
 まあ、今考えればガキだな〜って思うんだけどな」

 子供のころの話ですからね

「でも、私としてはどうしても確かめたかったんだよ
 そんで、近所に住んでるヤツを捕まえて、してみたんだよ
 ……その、キスを…って、今言うとちょっと恥ずかしいな、わはは」

 ほうほう、そして?

「ん〜なんか、そいつスッゲェビックリしてさ
 『なにするの!? ミコちゃん』ってさ、そりゃ真っ赤な顔に変な顔でさ」

 まあ、いきなりならそうですね

「アハハハハ、まあな。でさ、当時の私としては、その顔が面白かったわけで」

 ことあるごとにキスをしてた、と?

「ん〜まあなw
 ま、ガキの頃のだから、カワイイモンだろ?」

 そうですね、子供同士ですから
 ちなみに今でもその彼と出来ますか?
 ……もしくはしてますか?

「バ、バッカ野郎! んなコト答えられるか! ノーコメント、ノーコメントだ!」

 分かりました、ありがとうございます
105: Kiss of life 04/11/01 04:41 ID:Sog93hpo(9/22)調 AAS
 Question. あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.5 妹でオニギリなY・TさんのAnswer

「……オニギリ?」

 気にしないでください

「はあ……
 あの、それでそういう話なんですけど、私出来ないんです、すいません」

 どうしてですか?

「……その、そういう経験がないんです」

 そうでしたか、それはスイマセンでした

「……あ」

 どうかしましたか?

「その、厳密にはキスじゃないんですけど……」

 構いません、お願いいたします

「……私、ある人の……その、趣味の手伝いをしてるんですけど
 その作業の最中に、お茶を煎れたんです……
 紅茶なんですけど」

 なるほど
106: Kiss of life 04/11/01 04:44 ID:Sog93hpo(10/22)調 AAS
「それで…その人も作業しながら紅茶を飲んでたんですが……」

 それで?

「……」

 もしもし?

「……えと……気づいたんです。そのコップが実は私が飲んでたカップで……」

 ははあ、それはいわゆる間接的なマウス・トゥ・マウス
 間接キスだったワケですか

(コクコク)

 けっこうなお話しでした、十分ですよ 
 ……あといくつか伺いたいんですが

「……なんですか?」

 それに気づいたのは、彼が飲む前ですか? 飲んだ後ですか?

「………え? それは……」

 飲む前なら、なぜ止めなかったんですか?
 飲んだ後なら、その後にちゃんと彼の本当のカップと交換しましたか?

「……えと………その、ノーコメント…です」

 分かりました、ありがとうございます
107: Kiss of life 04/11/01 04:44 ID:Sog93hpo(11/22)調 AAS
 Question.あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.6 謎でガンウォーリアーなA・TさんのAnswer

「謎?」

 気にしないでください

「別にいいけどね」

 それでは、あなたのキスの思い出を教えt

「ノーコメント」

 ええと、あなたのキスの思い出d

「ノーコメント」

 あの、あなたのk

「ノーコメント」

 ……分かりました、ありがとうございます
108
(2): Kiss of life 04/11/01 04:47 ID:Sog93hpo(12/22)調 AAS
 Question.あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.7 確か主人公でおそらくヒロインなT・TさんのAnswer

「なんか、納得いかない紹介なんだけど、ブーブー」

 気にしないでください

「そうだね、本当はちゃんとヒロインだから気にしないも〜ん。
 う〜ん、それにしてもキスの思い出か……そうだなー」

 すいませんでした

「私に場合は……って、ええ!? なんで急に謝るの!?」

 え、だって…… 

「だって何よ!? 言ってみなさいよ!」

 言っていいんですか?
 アナタの場合はキスの思い出なんて――

「……ウウ……
 やっぱり言わないで…悲しくなるから……」

 主人公でヒロイン、ですよね?

「……ノーコメント……グス」

 分かりました、がんばってください
109: Kiss of lifeの中の犬 04/11/01 04:48 ID:Sog93hpo(13/22)調 AAS
リハビリ、リハビリ
110
(1): 名無し 04/11/01 06:35 ID:YQQOG/H2(1/2)調 AAS
Sog93hpoさん 面白かったです。
できればそれぞれのエピソードを書いてくださいませんか?
読みたいです。(エロパロのほうでも)
111: Kiss of life 04/11/01 06:42 ID:Sog93hpo(14/22)調 AAS
 夕焼けに染まった教室の中、窓ガラスで仕切られたグラウンドからの掛け声は遠くて、
まるで離れた場所で起きているの喧騒のように錯覚させられる。まるでこの教室だけが
切り離されているような感覚にとらわれてしまう。
 校舎内に残っている生徒は、もう少ない。

 そして、すでに2−Dの教室内にいる生徒は二人だけである。そのうち一人は、慎ましくも他人の机で
心地良さそうな寝息を立てている。すっかり眠り込んでしまっているようだ。

「……ずいぶん気持ちよく寝てくれるじゃない、このハゲ」

 机に突っ伏して眠っている男に向かって、横に座っている少女がつぶやいた。

「ていうか、アンタが起きてくれないと私が帰れないんだけど?」

 やや冷めた表情と、責めるような口調。しかし、声自体は大きくもないので彼が起きる気配などない。
 ゆっくりと、夕焼け空が赤みを増していった。

「ホント、起きないわねコイツ、もしかしてケンカ売ってるのかしら」

 つんつん、と指で体をつついても反応はない。その無反応な彼を見て、彼女は一人勝手にストレスを
募らせてゆく。少々、大人気ない。彼女はストレス発散として、起きる気配がないことをいいことに、
彼に様々な悪戯と、いっても本当にかわいいものだが、そんなことを繰り返す。

 とはいえ、それも一通り終わってしまえば飽きてくる。そして、退屈とともに再び彼に対する
腹立たしさがやってきた。さらに、その気持ちを知らずに眠っている男を見てその苛立ちは増加した。
112: Kiss of life 04/11/01 06:43 ID:Sog93hpo(15/22)調 AAS
「ほんと、いい加減に起きなさいよ?」

 スっと彼に近づく、まさに呼吸が触れあう至近距離

「……いい加減起きないと」

 ――キスするわよ?

 赤色から、夜の黒い世界へと移り行く教室の中で、一人の男子生徒が眠っている。
 ドアを静かに開けて、教室を出る女子生徒が一人
 彼女は、チラリと後ろの男子生徒を見る

 とりあえず、幸せそうなバカヅラがムカつく

「……そんなこと、するわけないじゃない…バカ」

 その言葉は、教室内を彷徨ったが誰の耳にも入らずに
 忘れ物のように教室内に残っり、しばらくしてから静かに消えた。
113
(1): Kiss of life 04/11/01 06:44 ID:Sog93hpo(16/22)調 AAS
「絃子サン、折り入ってお願いがありマス!」
「却下」

 即答。
 つーか速すぎである。

「ぐおぅ! まだなにも言ってねえのにそれはねぇだろが!?」
「アッハッハッハ、いや〜スマン、スマン。
 なんとなく君のまじめな顔を見たら馬鹿にしたいという抑えがたい衝動にかられてな」
 
 ガマン、ガマンよ拳児!
 と自分を鼓舞&静止させて播磨拳児は目標へのアタックを続ける。
 そう、全ては輝ける未来にためである。

「俺にサクランボ結びを教えてくれ!」
「……ほう、あの人気投票でのアレかね?」
「応さッ!!」

 曰く、あれが出来るということはキスが上手いということ
 それは彼女を作ることに際してもすてーたすになる!
 彼女と付き合っていくうえでもすてーたすになる!
 それはつまり、自分と天満ちゃんとの幸せに繋がる!
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(1): Kiss of life 04/11/01 06:45 ID:Sog93hpo(17/22)調 AAS
「……君が言いたいトコロはこんな感じかね?」
「そのとぉぉりッ!」

 しばし思案の絃子
 みの○んたのセリフを待つ気分の播磨

「……まぁいいだろう」
「うおっしゃぁぁ!」

 播磨、交渉成功
 彼は自分に課した、恐ろしく困難なミッションを成功してのけたのだッ!
 自分で自分を褒めてあげたいぐらいである。

「ウシ、じゃあどうするかさっそく教えてくれ!」
「まあ待て、私にも準備というものがある、とりあえず今夜ワタシの部屋に来たまえ」
「分かったッ!」

 意気揚々と自室へと向かう播磨
 その後姿を、アラスカのキツネ並に狩人な視線を送り
 いたいけな子羊を罠にはめた狼のような笑みを浮かべる絃子
 ……どうなる、播磨!?
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(1): Kiss of life 04/11/01 06:44 ID:Sog93hpo(18/22)調 AAS
 まあ、どんな事情であっても時は進むし場面も変わる。
 現時刻はPM9:00、「入ったら蜂の巣」という文字がイヤにリアルなドアの前
 時間キッカリなのは、播磨が絃子に命令された時間だからである。
 ちなみに、時間指定だけでなく

 体をよく洗ってくること!
 歯も磨いてくること!
 動きやすい服に着替えること!
 着替えも忘れずに…ね?

 ……なぜだろう、絃子サンの部屋へと続くドアが
 地獄の門も顔負けのプレッシャーを放っている気がしてきた
 いやな汗もダラダラと体中から流れ出し
 のどは勝手にゴクリと鳴る
 なんというか、この向こう側へ行ったら、もう戻れない感じ

(ここは開けるべきなのか!? しかし、入らなければ教えてもらえない
 しかし、入ったらいけないというか、超絶ヤヴァイ気がビシビシするんですケド…)

 播磨拳児、こんなところで護身完成である。

「ええい、郷に入らずんば郷に従えだッ! 逝くぜこの野郎!」

 ア○ロ、逝きま〜すとドアをバタンと開ける播磨

 それでは、今からは播磨の一人称形式で進みませう
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(1): Kiss of life 04/11/01 06:45 ID:Sog93hpo(19/22)調 AAS
 なんというか、クラリときた
 感覚的じゃねえ、リアルに、だ

「やあ拳児クン、ちょっと遅いかったな。まあ、焦らされるのも嫌いじゃない」

 絃子サン! なんで部屋が薄暗いんですか!?

「さあ、早くこっちにおいで」

 ……なんだか、お香の匂いがするんですけど!
 その、いろいろとクルかほりがするんですけど!?
 これっていわゆる王族とかが夜伽につかっちゃたりするアレ!?

「やれやれ、相変わらず恥ずかしがりやだな……」

 ……先生! 彼女の下着が黒です! ガーターベルトです!
 というか服をキテません!

「さあ、心配しなくても夜は長い。初めても心配はいらないよ?」

 なんのお話でつか?
 つーかなぜ体を密着させるつーか胸が胸が胸がムネガガガガガガガガ

「フフフフフフ、おやおや。若いというのはイイね、いい反応だ」

 ちょっと手が手が、そこはダメダメダメダメm
 フォォォォオォォぉぉ!!!
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