[過去ログ] 【無職転生】理不尽な孫の手 総合183【六面世界の物語】 (1002レス)
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306: 2020/09/29(火) 12:55:28 ID:F2vV7aX6(1)調 AAS
昔、山里に竹を取って暮らす翁と媼がいた。早春のある日、翁は光り輝くタケノコの中から手のひらに収まる大きさの姫を見つけ、自宅へ持ち帰る。姫はその日のうちに人間サイズの赤子の姿へと変わり、翁と媼によって「天からの授かりもの」として育てられる。赤子の姿になった直後から生育が速く、半年余りで少女へと成長した。姫は、少年・捨丸をはじめとする近くに住む木地師の子どもたちから「タケノコ」と呼ばれ、自然の中で彼らと遊びながら天真爛漫に育つ。子どもたちが口ずさむ自然の営みをたたえる童歌を、幼い頃から姫は知っていたうえに、節と歌詞の異なるもう一つの歌も覚えていた。その歌を歌って姫は目に涙を浮かべるが、その理由は自分でもわからなかった。一方、光る竹から黄金(金の粒)や豪奢な衣を授かる体験を繰り返した翁は「天が姫を立派に育てよと命じている」と考え、「高貴の姫君に育てて貴公子に見初められることが姫の幸せである」と都に屋敷を建てて、秋に一家で移り住む。

姫は、翁が宮中から招いた女官の相模から「高貴の姫君」としての躾けを受けさせられる。相模の教える習い事の間は、姫は遊んだりふざけたりするばかりだった。しかし、翁などの前などでは相模が驚くほどにきちんと姫君としての作法をこなした。やがて姫は「なよたけのかぐや姫」の名を与えられ、成人儀礼(裳着)と披露目の宴が行われる。だが、酔った宴の客は翁に対し姫を侮辱する暴言を口にした。それを聞いた姫は屋敷を飛び出し、装束も脱ぎ捨てながら走り続け、肌着一枚の姿で故郷の山の家にたどり着く。そこの集落には木地師たちの姿はなく、出会った炭焼きの男から「木地師は10年はここには戻らない」と聞かされる。冬景色の「山は死んだのではないか」という姫に、男は「木々は我慢しながら春の訪れを待っているのだ」と答える。姫は、雪の中で行き倒れるが、気が付くと元の装束をまとって屋敷に戻っていた。

それ以来、姫はふざけなくなり、相模の教えに従い行儀よく振る舞うようになった。次の春、屋敷の前は姫を、妻などに迎えるという多くの男であふれた。ついには5人の公達(車持皇子・石作皇子・阿部右大臣・大伴大納言・石上中納言)が揃って求婚に訪れる。姫を珍しい宝物に例えて称える公達に対し、姫は自分を思う気持ちの証として、自分と比較された宝物をそれぞれの公達に持参するよう求めた。公達は唖然として引き上げ、相模も結婚を拒んだ姫に教えることはないと屋敷を去る。公達が帰ったのを見て、門前の男たちも姿を消した。これを喜んだ姫は、媼や侍女の女童を伴って花見に出かける。途中素晴らしい桜の木を見つけてその下に向かうが、そこで自分にぶつかった身分の低そうな子どもの家族が、平伏して許しを請い立ち去ったことに衝撃を受け、花見もせずに帰路につく。その途上、物盗りの疑いで追われる捨丸と偶然顔を合わせ、盗みに対する制裁の暴力を受けるのを見て、さらに悲しむのだった。

3年後、宝物を持参したと称する公達が現れたが、贋物であったり、姫の関心を引くために巧言を弄したことが暴かれる。宝物を得るために石上中納言が事故死したことで、姫は自らを責め悲嘆した。だが、御門はかぐや姫に「5人の公達を手玉に取る女」と興味を示し、宮中に招こうとする。命に代えても出仕しないという姫に、御門は忍びで屋敷を訪れ、姫を抱きすくめて連れて行こうとする。その瞬間、姫の姿はかき消える。おどろいた御門が叫ぶ呼びかけで、姫は姿を現し、御門は「次は自分の元に来ると信じている」と御所へと引き上げた。

この出来事以来、姫は月夜には一人で空を見上げるようになった。翁と媼が理由を問うと、姫は「自分が月から地上におろされた者」だと明かし、御門の訪問の時に無意識に月に「ここにいたくない」と助けを求めたため、「今月の15日には月から迎えが来る」と述べる。姫の幸せだけを願ってきたのにという翁に、姫は翁の願った「幸せ」が自分(姫)には辛かったと吐露するが、御門の来訪をきっかけとして自らの出自と地上に来た理由、童歌の意味、月に帰ることを思い出し、このまま月には帰りたくないと泣き伏した。

姫は媼に、月で以前地上から戻ってきた天人[注釈 1]が、「本当に待っているのならすぐにでも帰ってくる」という意味の歌(もう一つの「童歌」)を口ずさみながら涙するのを見た経験を語り、「今ならその天人の気持ちがわかる、自分ももう一度帰りたい」と話す。媼は、姫を他に知られないようにして、姫が拾われた竹藪のある故郷の山に向かわせる。ちょうど時を同じくして、山には成長した捨丸をはじめとする木地師たちが戻ってきたところだった。捨丸と再会した姫は、捨丸となら幸せになれたかもしれないが「もう遅すぎる、逃げられない」と語る。
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